特許第6840345号(P6840345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6840345立体インナーマスク及びそれを内装した組合せ立体マスク
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6840345
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】立体インナーマスク及びそれを内装した組合せ立体マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20210301BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   A62B18/02 C
   A41D13/11 D
【請求項の数】15
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-112076(P2020-112076)
(22)【出願日】2020年6月29日
【審査請求日】2020年7月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390018625
【氏名又は名称】サンエス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593075533
【氏名又は名称】山一株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084342
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 久巳
(74)【代理人】
【識別番号】100213883
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 雅史
(72)【発明者】
【氏名】白石 哲也
(72)【発明者】
【氏名】原見 博樹
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−312724(JP,A)
【文献】 特開2017−197851(JP,A)
【文献】 特開2014−008299(JP,A)
【文献】 特開2012−217538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻及び口を密閉するように鼻と顎前部と両頬に当接する輪郭部を有したインナーマスクであり、前記輪郭部は鼻に当接する上縁横袋条部と顎前部に当接する顎袋条部と両頬に当接する左頬側条部と右頬側条部が連続して構成され、前記上縁横袋条部には上ワイヤー部が挿入されており、前記顎袋条部には下ワイヤー部が挿入されており、前記上縁横袋条部の中間位置と前記顎袋条部の中間位置を結ぶように中央山状縦条部が形成されており、呼吸を容易にするために前記中央山状縦条部により鼻と口の前方に鼻口空間部が形成され、前記中央山状縦条部の左側は左側基布で密閉され、前記中央山状縦条部の右側は右側基布で密閉されており、前記下ワイヤー部を顎前部に対し山状に湾曲させて山状開口部を立設することができ、前記山状開口部を介して前記鼻口空間部と下方の外気を連通させて呼吸を楽に可能にすることを特徴とする立体インナーマスク。
【請求項2】
前記顎袋部は下縁横袋条部であり、前記左頬側条部は前記上縁横袋条部の左端部と前記左側基布の左縁と前記下縁横袋条部の左端部を縫合して形成された左縁縫条部であり、前記右頬側条部は前記上縁横袋条部の右端部と前記右側基布の右縁と前記下縁横袋条部の右端部を縫合して形成された右縁縫条部であり、前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に挿入された1本の上ワイヤーであり、前記下ワイヤー部は前記下縁横袋条部に挿入された1本の下ワイヤーであり、前記下ワイヤーを山状に湾曲させて前記山状開口部を立設する請求項1に記載の立体インナーマスク。
【請求項3】
前記顎袋条部は下縁横袋条部であり、前記左頬側条部は前記左側基布の左縁に形成された左縁袋条部であり、前記右頬側条部は前記右側基布の右縁に形成された右縁袋条部であり、前記上縁横袋条部と前記左縁袋条部と前記下縁横袋条部と前記右縁袋条部とは連続した1本の周回袋条部を周回状に形成して構成される請求項1に記載の立体インナーマスク。
【請求項4】
前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に挿入された1本の上ワイヤーであり、前記下ワイヤー部は前記下縁横袋条部に挿入された1本の下ワイヤーであり、前記下ワイヤーを山状に湾曲させて前記山状開口部を立設する請求項3に記載の立体インナーマスク。
【請求項5】
前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に挿入された1本の上ワイヤーであり、前記左縁袋条部と前記下縁横袋条部と前記右縁袋条部に連続する1本の下ワイヤーが挿入されており、前記下ワイヤー部は前記下ワイヤーの中で前記下縁横袋条部に挿入されている部分を云い、前記下縁横袋条部の前記下ワイヤー部を山状に湾曲させて前記山状開口部を立設する請求項3に記載の立体インナーマスク。
【請求項6】
前記上縁横袋条部と前記左縁袋条部と前記下縁横袋条部と前記右縁袋条部からなる周回袋条部に連続する1本の周回ワイヤーを周回状に挿入し、前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に挿入されている前記周回ワイヤーの部分を云い、前記下ワイヤー部は前記下縁横袋条部に挿入されている前記周回ワイヤーの部分を云い、前記下縁横袋条部の前記下ワイヤー部を山状に湾曲させて前記山状開口部を立設する請求項3に記載の立体インナーマスク。
【請求項7】
前記左頬側条部は前記左側基布の湾曲左縁に形成された湾曲左縁袋条部であり、
前記右頬側条部は前記右側基布の湾曲右縁に形成された湾曲右縁袋条部であり、
前記顎袋条部は下方に湾曲した湾曲顎袋条部であり、前記湾曲左縁袋条部と前記湾曲顎袋条部と前記湾曲右縁袋条部は連続して一体状に湾曲した湾曲袋条部を形成し、前記上縁横袋条部と前記湾曲袋条部とは連続した1本の周回袋条部を周回状に構成する請求項1に記載の立体インナーマスク。
【請求項8】
前記上縁横袋条部に1本の上ワイヤーを挿入し、前記湾曲袋条部に1本の下ワイヤーを挿入し、前記上ワイヤー部は前記上ワイヤーに相当し、前記下ワイヤー部は前記湾曲顎袋条部に位置する前記下ワイヤーの部分を云い、前記下ワイヤー部を山状に湾曲させて前記山状開口部を立設する請求項7に記載の立体インナーマスク。
【請求項9】
前記上縁横袋条部と前記湾曲袋条部に連続する1本の周回ワイヤーを周回状に挿入し、前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に位置する前記周回ワイヤーの部分を云い、前記下ワイヤー部は前記湾曲顎袋条部に位置する前記周回ワイヤーの部分を云い、前記湾曲顎袋条部の前記下ワイヤー部を山状に湾曲させて前記山状開口部を立設する請求項7に記載の立体インナーマスク。
【請求項10】
前記中央山状縦条部は縫着により形成された突条の中央山状縦突縫条部からなる請求項1〜9のいずれかに記載の立体インナーマスク。
【請求項11】
前記中央山状縦条部は縦ワイヤーが挿入された突条の中央山状縦袋条部からなる請求項1〜9のいずれかに記載の立体インナーマスク。
【請求項12】
前記中央山状縦条部は積層された平繊維部である中央山状縦平条部からなる請求項1〜9のいずれかに記載の立体インナーマスク。
【請求項13】
前記左側基布の顔面とは接触しない上面に左側袋部が形成され、及び/又は前記右側基布の顔面とは接触しない上面に右側袋部が形成されている請求項1〜12のいずれかに記載の立体インナーマスク。
【請求項14】
前記左側袋部及び/又は前記右側袋部に保冷剤を内装した請求項13に記載の立体インナーマスク。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかの立体インナーマスクと、当該立体インナーマスクの顔面とは接触しない上側に立体性の無い平マスクを積層して使用することで全体として立体性を有することを特徴とする組合せ立体マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面の鼻口部を覆うように装着される衛生マスクの一種であり、更に詳細には、立体性の無い平マスクを装着する際に一緒に使用する立体インナーマスクに関し、大きな鼻口空間部を形成して呼吸を容易にするとともに、必要に応じて下方外気と連通する山状開口部を強制的に形成して息苦しさを解消できる立体インナーマスク及び立体性の無い平マスクと併用する組合せ立体マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
図21は、立体性の無い従来の平マスクを装着した顔側面図である。この平マスクには、市中で最も多く見られる複数段の折畳み部を有したプリーツマスクも含まれる。
図21に示される平マスク2は、上縁部にノーズワイヤー4を挿入して鼻71との密着性を高めているが、下縁部は自由端となっているため顎下面又は喉部との密着性が十分でない弱点があり、耳73に掛けられるゴムの引張力だけで上記密着性を与えるに過ぎないものである。従って、ゴムの引張力を強くすると、顎下面又は喉部への食い込みが強く成るため息苦しくなる。また、この平マスク2は鼻71及び口72にもフワフワと接触して鼻口空間部70が図示のように小さいから、呼吸する場合にも自由度が少なく息苦しくなる弱点がある。
【0003】
図22はノーズワイヤーとセンターワイヤーを有したダブルワイヤー型の従来の平マスクのネット写真図(非特許文献1)の一例である。
図21の平マスク2では一本のノーズワイヤー4を有していただけであるが、図22では口72に当たる部分にセンターワイヤーを横方向に一本追加し、このセンターワイヤーの山状性を利用して上記鼻口空間部70を大きくし、息苦しさを解消しようとするものである。
しかし、センターワイヤーによる山状部は横方向に一本入っているだけであり、前記山状部の縦方向への幅は極めて狭く、両唇を含む程の幅も無いのが実情である。従って、上記鼻口空間部70を幅方向に大きくできないため、息苦しさが完全に解消できないのが実情である。
【0004】
図23はノーズワイヤーを一本だけ有した従来の立体インナーマスクのネット写真図(非特許文献2)である。この写真図から分かるように、この立体インナーマスクは、ノーズワイヤーと直交するように縫合線である中央山状縦突縫条部を有している。従って、上側に立体性の無い平マスクを積層使用した場合に、その中央山状縦突縫条部により鼻口空間部70を大きくできる効果を有している。しかしながら、下縁に下ワイヤーを有していないから、下縁は顎前部又は顎下部への密着力に弱く、外気との遮断効果は十分ではない。
また、この立体インナーマスクを平マスクと併用したときには、顎下面や喉前部との密着力が増すが、装着状態のままでは、息苦しくなった時に下方外気から空気を吸い込み下方外気に吐き出すことができない弱点を有している。呼吸に伴う空気の吸い込みと吐き出しは、主としてこの立体インナーマスクと上側に積層される平マスクの繊維面の隙間を通して行われることになる。二つのマスクの繊維の隙間だけでしか呼吸できないとなると、繊維が密なマスクでは呼吸がしんどくなる傾向が強い。従って、楽な呼吸をしたいときには、二重のマスクを外すことしか解決策が無い、という弱点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ノーズワイヤーとセンターワイヤーを有したダブルワイヤー型の従来の平マスクのネット写真図の一例
【非特許文献2】ノーズワイヤーを一本だけ有しそれに直交して縫合線である中央山状縦突縫条部を有した従来の立体インナーマスクのネット写真図の一例
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、立体性を有していないプリーツマスク等の平マスクを装着する際に、その内側で直接的に鼻口部を覆って鼻口空間部を確保する立体インナーマスクに関し、鼻に密着するための上ワイヤー部と鼻口空間部を大きくするための中央山状縦条部と顎前部に密着させるための下ワイヤー部を有することを特徴とする。しかも、通常は顎前部に密着させるための下ワイヤー部を、必要に応じて顎前部に逆U字状に立てて山状開口部を強制的に立設でき、この山状開口部を介して下方外気との通気を可能にし、下方から外気を吸い込み、且つ下方へ呼気を吐き出すことができ、マスク装着状態のまま必要に応じて呼吸を極めて楽に行うことができる立体インナーマスクを提供することを目的とする。また、この立体インナーマスクを立体性の無い平マスクと組み合わせて使用できる組合せ立体マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、鼻及び口を密閉するように鼻と顎前部と両頬に当接する輪郭部を有したインナーマスクであり、前記輪郭部は鼻に当接する上縁横袋条部と顎前部に当接する顎袋条部と両頬に当接する左頬側条部と右頬側条部が連続して構成され、前記上縁横袋条部には上ワイヤー部が挿入されており、前記顎袋条部には下ワイヤー部が挿入されており、前記上縁横袋条部の中間位置と前記顎袋条部の中間位置を結ぶように中央山状縦条部が形成されており、呼吸を容易にするために前記中央山状縦条部により鼻と口の前方に鼻口空間部が形成され、前記中央山状縦条部の左側は左側基布で密閉され、前記中央山状縦条部の右側は右側基布で密閉されており、前記下ワイヤー部を顎前部に対し山状に湾曲させて山状開口部を立設することができ、前記山状開口部を介して前記鼻口空間部と下方の外気を連通させて呼吸を楽に可能にすることを特徴とする立体インナーマスクである。
【0008】
本発明の第2の形態は、前記第1形態において、前記顎袋部は下縁横袋条部であり、前記左頬側条部は前記上縁横袋条部の左端部と前記左側基布の左縁と前記下縁横袋条部の左端部を縫合して形成された左縁縫条部であり、前記右頬側条部は前記上縁横袋条部の右端部と前記右側基布の右縁と前記下縁横袋条部の右端部を縫合して形成された右縁縫条部であり、前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に挿入された1本の上ワイヤーであり、前記下ワイヤー部は前記下縁横袋条部に挿入された1本の下ワイヤーであり、前記下ワイヤーを山状に湾曲させて前記山状開口部を立設することができる立体インナーマスクである。
【0009】
本発明の第3の形態は、前記第1形態において、前記顎袋条部は下縁横袋条部であり、前記左頬側条部は前記左側基布の左縁に形成された左縁袋条部であり、前記右頬側条部は前記右側基布の右縁に形成された右縁袋条部であり、前記上縁横袋条部と前記左縁袋条部と前記下縁横袋条部と前記右縁袋条部とは連続した1本の周回袋条部を周回状に形成して構成される立体インナーマスクである。
【0010】
本発明の第4の形態は、前記第3形態において、前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に挿入された1本の上ワイヤーであり、前記下ワイヤー部は前記下縁横袋条部に挿入された1本の下ワイヤーであり、前記下ワイヤーを山状に湾曲させて前記山状開口部を立設できる立体インナーマスクである。
【0011】
本発明の第5の形態は、前記第3形態において、前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に挿入された1本の上ワイヤーであり、前記左縁袋条部と前記下縁横袋条部と前記右縁袋条部に連続する1本の下ワイヤーが挿入されており、前記下ワイヤー部は前記下ワイヤーの中で前記下縁横袋条部に挿入されている部分を云い、前記下縁横袋条部の前記下ワイヤー部を山状に湾曲させて前記山状開口部を立設できる立体インナーマスクである。
【0012】
本発明の第6の形態は、前記第3形態において、前記上縁横袋条部と前記左縁袋条部と前記下縁横袋条部と前記右縁袋条部からなる周回袋条部に連続する1本の周回ワイヤーを周回状に挿入し、前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に挿入されている前記周回ワイヤーの部分を云い、前記下ワイヤー部は前記下縁横袋条部に挿入されている前記周回ワイヤーの部分を云い、前記下縁横袋条部の前記下ワイヤー部を山状に湾曲させて前記山状開口部を立設できる立体インナーマスクである。
【0013】
本発明の第7の形態は、前記第1形態において、前記左頬側条部は前記左側基布の湾曲左縁に形成された湾曲左縁袋条部であり、前記右頬側条部は前記右側基布の湾曲右縁に形成された湾曲右縁袋条部であり、前記顎袋条部は下方に湾曲した湾曲顎袋条部であり、前記湾曲左縁袋条部と前記湾曲顎袋条部と前記湾曲右縁袋条部は連続して一体状に湾曲した湾曲袋条部を形成し、前記上縁横袋条部と前記湾曲袋条部とは連続した1本の周回袋条部を周回状に構成する立体インナーマスクである。
【0014】
本発明の第8の形態は、前記第7形態において、前記上縁横袋条部に1本の上ワイヤーを挿入し、前記湾曲袋条部に1本の下ワイヤーを挿入し、前記上ワイヤー部は前記上ワイヤーに相当し、前記下ワイヤー部は前記湾曲顎袋条部に位置する前記下ワイヤーの部分を云い、前記下ワイヤー部を山状に湾曲させて前記山状開口部を立設できる立体インナーマスクである。
【0015】
本発明の第9の形態は、前記第7形態において、前記上縁横袋条部と前記湾曲袋条部に連続する1本の周回ワイヤーを周回状に挿入し、前記上ワイヤー部は前記上縁横袋条部に位置する前記周回ワイヤーの部分を云い、前記下ワイヤー部は前記湾曲顎袋条部に位置する前記周回ワイヤーの部分を云い、前記湾曲顎袋条部の前記下ワイヤー部を山状に湾曲させて前記山状開口部を立設できる立体インナーマスクである。
【0016】
本発明の第10の形態は、前記第1〜9形態において、前記中央山状縦条部は縫着により形成された突条の中央山状縦突縫条部からなる立体インナーマスクである。
【0017】
本発明の第11の形態は、前記第1〜9形態において、前記中央山状縦条部は縦ワイヤーが挿入された突条の中央山状縦袋条部からなる立体インナーマスクである。
【0018】
本発明の第12の形態は、前記第1〜9形態において、前記中央山状縦条部は積層された平繊維部である中央山状縦平条部からなる立体インナーマスクである。
【0019】
本発明の第13の形態は、前記第1〜12形態において、前記左側基布の顔面とは接触しない上面に左側袋部が形成され、及び/又は前記右側基布の顔面とは接触しない上面に右側袋部が形成されている立体インナーマスクである。
【0020】
本発明の第14の形態は、前記第13形態において、前記左側袋部及び/又は前記右側袋部に保冷剤等の助剤を内装した立体インナーマスクである。
【0021】
本発明の第15の形態は、前記第1〜14形態のいずれかの立体インナーマスクと、当該立体インナーマスクの顔面とは接触しない上側に立体性の無い平マスクを積層して使用することで全体として立体性を有することを特徴とする組合せ立体マスクである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の形態によれば、鼻に当接する上縁横袋条部に上ワイヤー部が挿入されているから立体インナーマスクを鼻に密着させることができ、同時に顎前部に当接する顎袋条部には下ワイヤー部が挿入されているから立体インナーマスクを顎前部に密着させることができる。更に、両頬に当接するように左頬側条部と右頬側条部が形成されているから、両頬との密着性も良好である。総合すると、立体インナーマスクの輪郭部は鼻及び口の外周面と密着しており、外気との空気の出入りを極力遮断することができる利点がある。
また、上縁横袋条部と顎袋条部の中間位置同士を結ぶ中央山状縦条部が形成されるから、この中央山状縦条部によりこの立体インナーマスクが上方に膨出した状態に保持される。従って、マスク繊維面が鼻口部に接触せず鼻口の前方に鼻口空間部が大きく形成されるから、呼吸が極めて楽になる利点がある。この中央山状縦条部の具体的形状については、山状性を保持できる構造なら全て採用することができる。例えば、縦条部を縦平条部とする場合には、平繊維層を複数段に積層して厚く形成して強構造にしてもよいし、太繊維により縦平条部としても強構造を有し、山状性を確保することができる。また、縁かがり縫い等の縫合技術で縦突縫条部とすればその突条性により強構造を確保でき、山状性を発現することができる。更に、縦袋条部に縦ワイヤーを挿入して構成すれば縦ワイヤーにより山状強度を一層強固にすることができる。
特に本形態の特徴は、マスクによる息苦しさを感じたときに、マスクを装着した状態のまま、顎前部に対し前記顎袋条部の下ワイヤー部を逆U字状の湾曲状に立設して山状開口部を強制的に形成すれば、顎前部との間に山状開口部が通気口として安定して開口され、この山状開口部を通して下方から外気の空気を吸い込んだり、下方に呼気を吐き出したりして大きく呼吸を容易に行うことができ、これが本発明の最大の利点である。
前記中央山状縦条部と前記左頬側条部との間は左側基布で密閉され、前記中央山状縦条部と前記右頬側条部との間は右側基布で密閉されているから、基布を介して外気との間で確実に呼吸することができる。基布を介しての正面外気との呼吸では、基布の素材と基布の目の粗度を適度に選択することにより呼吸の楽さ加減を調節することができる。
【0023】
本発明の第2の形態によれば、前記顎袋部は下縁横袋条部であるから、当該下縁横袋状部の中に下ワイヤー部として1本の下ワイヤーを容易に挿入して収納できる。しかも下ワイヤーの両端が前記下縁横袋条部の中に自由端として存在するから、前記下ワイヤーを容易に左右動させることができ、逆U字状、即ち山状に湾曲させて山状開口部を極めて簡単に立設できるから、マスクをしたまま息苦しさを簡単且つ早急に解消できる利点がある。
また、前記左頬側条部は左縁縫条部として縫合形成でき、同時に前記右頬側条部も右縁縫条部として縫合形成できるから、左縁縫条部と右縁縫条部を例えば縁かがり縫い等の縫合技術で太くて両頬に密着性があるように簡単に形成できる利点がある。
【0024】
本発明の第3の形態によれば、前記顎袋条部は下縁横袋条部であり、前記左頬側条部は前記左側基布の左縁に形成された左縁袋条部であり、前記右頬側条部は前記右側基布の右縁に形成された右縁袋条部であるから、上縁横袋条部を加えると四辺全部が袋状部であり、四辺の袋状部を連続した1本の周回袋条部で周回状に形成される立体インナーマスクが提供される。従って、1本の周回袋条部で立体インナーマスクの輪郭部を構成でき、製造工程と製造時間の短縮により極めて効率的に立体インナーマスクを製造できるから、立体インナーマスクを低価格で提供できる利点がある。
【0025】
本発明の第4の形態によれば、前記第3形態において、四辺の袋状部を連続した1本の周回袋条部で周回状に形成できる利点に加えて、前記下ワイヤー部を前記下縁横袋条部に挿入された1本の下ワイヤーで構成するから、下ワイヤーを山状に湾曲させて山状開口部を立設することが極めて容易になる。即ち、前記下縁横袋条部に挿入された1本の下ワイヤーの両端は自由端になるため、下ワイヤーの動き自由度が高くなり、即ち、下ワイヤーの左右動の調整が容易になる結果、前記下縁横袋条部を山状に湾曲させて山状開口部を極めて簡単に立設できる特徴がある。
【0026】
本発明の第5の形態によれば、前記第3形態において、四辺の袋状部を連続した1本の周回袋条部で周回状に形成できる利点に加えて、前記左縁袋条部と前記下縁横袋条部と前記右縁袋条部に連続する1本の下ワイヤーが挿入されるから、下ワイヤーの左端部は左縁袋条部に存在し、下ワイヤーの右端部は右縁袋条部に存在する。従って、左縁袋条部は下ワイヤーの左端部により頬面に密着され、右縁袋条部は下ワイヤーの右端部により頬面に密着されるから、立体インナーマスクの頬面との密着性を格段に向上できる。
従って、前記下縁横袋条部の中に挿入されている下ワイヤーの一部分が下ワイヤー部となり、下縁横袋条部の中の前記下ワイヤー部を山状に湾曲させると、山状開口部の両端は顎前部に対して突刺状では無くアール状になるため、柔らかく顎前部に当たり、皮膚感覚がマイルドな山状開口部を立設できる利点がある。従って、息苦しくなった時に山状開口部を簡単に立設できるだけでなく、マスク装着状態のままマイルドな感覚で下方外気との呼吸を楽に行える利点を有する。
【0027】
本発明の第6の形態によれば、前記第3形態において、四辺の袋状部を連続した1本の周回袋条部で周回状に形成できる利点に加えて、前記上縁横袋条部と前記左縁袋条部と前記下縁横袋条部と前記右縁袋条部からなる周回袋条部に連続する1本の周回ワイヤーが周回状に挿入されるから、左縁袋条部には左縁ワイヤー部が存在し、右縁袋条部にも右縁ワイヤー部が存在する。従って、上縁横袋条部の上ワイヤー部と下縁横袋条部の下ワイヤー部を加えると、立体インナーマスクの輪郭部の四辺全てがワイヤー部により鼻口の外周面に圧接されており、立体インナーマスクの全輪郭部が鼻口外周面に確実に密着され、外気との遮断性が一層に向上する利点を有する。
特に、息苦しくなったときには、前記下縁横袋条部の下ワイヤー部を山状に湾曲させて顎前部に対し山状開口部を容易に立設できるだけでなく、マスク装着状態のままマイルドな感覚で下方外気との呼吸を楽に行える利点を有する。
【0028】
本発明の第7の形態によれば、前記第1形態において、前記左頬側条部は前記左側基布の湾曲左縁に形成された湾曲左縁袋条部であり、前記右頬側条部は前記右側基布の湾曲右縁に形成された湾曲右縁袋条部であり、前記顎袋条部は下方に湾曲した湾曲顎袋条部であるから、前記上縁横袋条部を加えると四辺全部が袋状部であり、四辺の袋状部を連続した1本の周回袋条部で周回状に形成される立体インナーマスクが提供される。
特に、前記湾曲左縁袋条部と前記湾曲顎袋条部と前記湾曲右縁袋条部の三辺を合せて連続した一体状の湾曲袋条部と呼称し、前記上縁横袋条部を加えると上縁横袋条部と湾曲袋条部とを、四辺の袋状部を連続した1本の周回袋条部で周回状に形成して立体インナーマスクを構成するものである。
従って、1本の周回袋条部で立体インナーマスクの輪郭部を構成でき、製造工程と製造時間の短縮により極めて効率的に立体インナーマスクを製造できるから、立体インナーマスクを低価格で提供できる利点がある。
【0029】
本発明の第8の形態によれば、前記第7形態において、四辺の袋状部を連続した1本の周回袋条部で周回状に形成できる効率化の利点に加えて、前記上縁横袋条部に1本の上ワイヤーを挿入し、前記湾曲袋条部に1本の下ワイヤーを挿入するから、マスクの輪郭部が鼻口外周面に上ワイヤーと下ワイヤーで押圧されるため、輪郭部を介しての外気との遮断性が高くなる利点を有する。
ここで、前記上ワイヤー部は上ワイヤーに相当する。また、下ワイヤーの左端部が前記湾曲左縁袋条部まで伸び、且つ下ワイヤーの右端部が前記湾曲右縁袋条部まで伸びている場合には、前記下ワイヤー部とは、下ワイヤーのうち前記湾曲顎袋条部に位置する下ワイヤーの部分に相当している。
従って、前記湾曲左縁袋条部は下ワイヤーの左端部により頬面に密着され、前記湾曲右縁袋条部は下ワイヤーの右端部により頬面に密着されるから、立体インナーマスクの頬面との密着性を格段に向上できる。
前記湾曲顎袋条部の中に挿入されている下ワイヤーの部分を山状に湾曲させると、山状開口部の両端は顎前部に対して突刺状では無くアール状になるため、柔らかく顎前部に当たり、皮膚感覚がマイルドな山状開口部を立設できる利点がある。従って、息苦しくなった時に山状開口部を簡単に立設できるだけでなく、マスク装着状態のままマイルドな感覚で下方外気との呼吸を楽に行える利点を有する。
【0030】
本発明の第9の形態によれば、前記第7形態において、四辺の袋状部を連続した1本の周回袋条部で周回状に形成できる効率化の利点に加えて、前記上縁横袋条部と前記湾曲左縁袋条部と前記湾曲顎袋条部と前記湾曲右縁袋条部の四辺に連続する1本の周回ワイヤーを周回状に挿入するから、湾曲左縁袋条部には左縁ワイヤー部が存在し、湾曲右縁袋条部にも右縁ワイヤー部が存在する。従って、上縁横袋条部の上ワイヤー部と湾曲顎袋条部の下ワイヤー部を加えると、立体インナーマスクの輪郭部の四辺全てがワイヤー部により鼻口周囲の外周面に圧接されており、立体インナーマスクの全輪郭部が鼻口周囲の外周面に確実に密着され、外気との遮断性が一層に向上する利点を有する。
特に、息苦しくなったときには、前記湾曲顎袋条部の下ワイヤー部を山状に湾曲させて顎前部に対し山状開口部を容易に立設できるだけでなく、マスク装着状態のままで下方外気との呼吸を楽に行える利点を有する。
【0031】
本発明の第10の形態によれば、前記第1〜9形態において述べた技術的効果に加えて、前記中央山状縦条部は縫着により形成された突条の中央山状縦突縫条部からなり、縦突縫条部を太目で強固な突条性を発現できる縁かがり縫い等の縫着技術により形成すれば折れ曲り強度や湾曲強度が強いため、山状形態を強力に保持することができ、大きな鼻口空間部を安定して形成することができ、息苦しさを解消することができる利点がある。
【0032】
本発明の第11の形態によれば、前記第1〜9形態において述べた技術的効果に加えて、前記中央山状縦条部は縦ワイヤーが挿入された突条の中央山状縦袋条部からなる立体インナーマスクが提供される。縦ワイヤーにより山状形態を安定して保持でき、しかも山状形態は指操作で湾曲度を可変できるから、所望により鼻口空間部を大小可変することができる。
【0033】
本発明の第12の形態によれば、前記第1〜9形態において述べた技術的効果に加えて、前記中央山状縦条部は積層された平繊維部である中央山状縦平条部からなる立体インナーマスクが提供される。複数段の平繊維部を積層すれば強度が増大し、また平繊維部の繊維を太くすれば平繊維部が厚くなるだけでなく積層により一層強度が増大できる。この中央山状縦平条部により山状形態を安定して保持でき、鼻口空間部を大きく形成して息苦しさを解消することができる。
【0034】
本発明の第13の形態によれば、前記第1〜12形態において述べた技術的効果に加えて、前記左側基布の顔面とは接触しない上面に左側袋部が形成され、及び/又は前記右側基布の顔面とは接触しない上面に右側袋部が形成されている立体インナーマスクを提供することができる。袋部は左側袋部だけでもよいし、右側袋部だけでもよいし、左側袋部と右側袋部の両方が形成されてもよい。この袋部には所望により種々の物を内装することができる。
【0035】
本発明の第14の形態によれば、前記第13形態において、前記左側袋部及び/又は前記右側袋部に保冷剤等の助剤を内装した立体インナーマスクが提供できる。夏場には、袋部に保冷剤を装着することにより鼻口空間部を冷却でき、冬場には、袋部に保温剤を装着することもできる。前記助剤には、保冷剤や保温剤だけでなく、加湿剤や芳香剤等、所望により種々の助剤を内装することが可能である。
【0036】
本発明の第15の形態によれば、前記第1〜14形態の立体インナーマスクと、当該立体インナーマスクの鼻口とは接触しない上側に立体性の無い平マスクを積層して使用することで全体として立体性を有することを特徴とする組合せ立体マスクを提供することができる。ここで立体性の無い平マスクとは、装着すると鼻や口に接触してくるマスクで、プリーツマスク等が典型例である。
この平マスクを鼻口部に装着すると、平マスクの内面が鼻や口に接触してくるので息苦しくなり、平マスクを外して呼吸を整えることがよくある。そこで、本発明に係る立体インナーマスクを鼻口部にまず装着し、その上に平マスクを積層状態で組み合わせて装着すれば、立体インナーマスクが鼻口空間部を大きく形成してくれるので、息苦しさが解消される効果がある。
しかも、下ワイヤー部又は下ワイヤーを逆U字状、即ち山状に顎前部に対して立てて山状開口部を立設すると、山状開口部が下方に向かって通気口となり、下方から外気を吸い、下方に呼気を排気することができるので、マスクを外して呼吸する必要が無くなると云う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明に属する第1群の3種類の立体インナーマスク1の実施例の斜視図である。第1群とは、輪郭部6が略多角形で、その左頬側条部40を左縁縫条部41とし、右頬側条部50を右縁縫条部42とした立体インナーマスク1を云う。ここで、(1A)は中央山状縦条部30を中央山状縦突縫条部31とした第1の立体インナーマスク1、(1B)は中央山状縦条部30を中央山状縦袋条部32とした第2の立体インナーマスク1、(1C)は中央山状縦突縫条部31を有して左側袋部61と右側袋部62を形成した第3の立体インナーマスク1を示す。
図2図2は、本発明に属する第2群の3種類の立体インナーマスク1の実施例の斜視図である。第2群とは、輪郭部6が略多角形で1本の周回袋条部55からなる立体インナーマスク1を云う。ここで、(2A)は中央山状縦条部30を中央山状縦突縫条部31とした第4の立体インナーマスク1、(2B)は中央山状縦条部30を中央山状縦袋条部32とした第5の立体インナーマスク1、(2C)は中央山状縦突縫条部31を有して左側袋部61と右側袋部62を形成した第6の立体インナーマスク1を示す。
図3図3は、本発明に属する第3群の3種類の立体インナーマスク1の実施例の斜視図である。第3群とは、輪郭部6が上縁横袋条部10と湾曲袋条部60から構成された1本の周回袋条部55からなる立体インナーマスク1を云う。ここで、(3A)は中央山状縦条部30を中央山状縦突縫条部31とした第7の立体インナーマスク1、(3B)は中央山状縦条部30を中央山状縦平条部35とした第8の立体インナーマスク1、(3C)は中央山状縦突縫条部31を有して左側袋部61と右側袋部62を形成した第9の立体インナーマスク1を示す。
図4図4は、第1群の立体インナーマスク1の実物の写真図であり、(4A)は(1A)の表面写真図、(4B)は(1C)の表面写真図である。
図5図5は、第1群の立体インナーマスク1の実物の写真図であり、(5A)は(1A)を折り畳んだ側面写真図、(5B)は(1A)を裏側から撮影した裏側写真図である。
図6図6は、第2群と第3群の立体インナーマスク1の実物の写真図であり、(6A)は(2A)を裏側から撮影した裏側写真図、(6B)は(3B)の表面写真図である。
図7図7は、第3群の立体インナーマスク1の実物の写真図であり、(7A)は(3A)の表側写真図、(7B)は(3A)を裏側から撮影した裏側写真図である。
図8図8は第1群と第3群の立体インナーマスク1を装着したときに顎前部77に開口される山状開口部78を発現させた状態のマスク装着図であり、(8A)は(1A)を装着したマスク装着図、(8B)は(3B)を装着したマスク装着図である。
図9】(9A)は下ワイヤー部21の左右両端が下縁だけで途切れた本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図、(9B)はその山状開口部78を立設した状態の顔装着側面図である。
図10】(10A)は下ワイヤー部21の左右両端が頬上部まで到達している本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図、(10B)は山状開口部78を立設した状態の顔装着側面図である。
図11】(11A)は上ワイヤー部11と下ワイヤー部21が連続した周回ワイヤーを用いた本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図、(11B)はその山状開口部78を立設した状態の顔装着側面図である。
図12図12は、縦ワイヤー33を有した本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図である。
図13図13は、左側袋部61と右側袋部62を有した本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図である。
図14図14は、図1(1A)に示される立体インナーマスク1を製造する前半工程図である。
図15図14は、図1(1A)に示される立体インナーマスク1を製造する後半工程図である。
図16図16は、図1(1B)に示される立体インナーマスク1を製造する要部工程図である。
図17図17は、図2(2A)に示される立体インナーマスク1を製造する要部工程図である。
図18図18において、(18A)は図2(2B)に示される立体インナーマスク1を製造する要部組立図、(18B)は図2(2C)に示される立体インナーマスク1を製造する要部組立図である。
図19図19は、図3(3B)に示される立体インナーマスク1を製造する製造工程図である。
図20図20において、(20A)は図3(3A)に示される立体インナーマスク1を製造する要部組立図、(20B)は図3(3C)に示される立体インナーマスク1を製造する要部組立図である。
図21】立体性の無い従来の平マスク2を装着した顔装着側面図ある。
図22】ノーズワイヤーとセンターワイヤーを有した従来のマスク(非特許文献1)を装着したネット写真図ある。
図23】ノーズワイヤーだけを有した従来のインナーマスク(非特許文献2)のネット写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明に係る立体インナーマスク及びそれを内装した組合せ立体マスクの実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明に属する第1群の3種類の立体インナーマスク1の実施例の斜視図である。第1群とは、輪郭部6が略多角形で、その左頬側条部40を左縁縫条部41とし、右頬側条部50を右縁縫条部42としている点に特徴を有する立体インナーマスク1を云う。ここで、(1A)は中央山状縦条部30を中央山状縦突縫条部31とした第1の立体インナーマスク1、(1B)は中央山状縦条部30を縦ワイヤー33が挿入された中央山状縦袋条部32とした第2の立体インナーマスク1、(1C)は前記中央山状縦突縫条部31を有して左側袋部61と右側袋部62を形成した第3の立体インナーマスク1を示す。
【0040】
更に詳述すると、図1の(1A)〜(1C)に図示されるように、前記第1群の立体インナーマスク1では、その輪郭部6は略多角形に構成されており、その左頬側条部40と右頬側条部50は袋条部ではなく、例えば縁かがり縫い等の縫合技術を用いて縫合形成されている点に特徴を有している。ここでは、その左頬側条部40は左縁縫条部41となり、右頬側条部50は右縁縫条部42として構成されている。
【0041】
図(1A)は前記第1群の中で第1の立体インナーマスク1に関するもので、中央山状縦条部30を例えば縁かがり縫い等で形成された中央山状縦突縫条部31としている点に特徴を有す。中央山状縦突縫条部31を有しているために、立体インナーマスク1を装着しても、鼻や口に対し湾曲状に浮き上がり、大きな鼻口空間部を形成して呼吸を楽にする効果を発現できる。
この立体インナーマスク1の輪郭部6は、一点鎖線で示された上ワイヤー11aが上ワイヤー部11として内部に挿入された上縁横袋条部10と、右頬側条部50として縫合された前記右縁縫条部42と、一転鎖線で示された下ワイヤー21aが下ワイヤー部21として内部に挿入された下縁横袋条部23(上位概念である顎袋条部20に相当)と、左頬側条部40として縫合された左縁縫条部41から形成されている。前記上縁横袋条部10は縫合線10dで縫合され、前記下縁横袋条部23は縫合線23dで縫合されている。
【0042】
前記上縁横袋条部10の中間位置から前記下縁横袋条部23の中間位置へと中央山状縦条部30として中央山状縦突縫条部31が山状形態で且つ突条として線状に形成されている。この中央山状縦突縫条部31は例えば縁かがり縫い等の縫合技術により突条に形成されたものである。ここでは、二重符号として31(30)と書かれている場合には、中央山状縦条部30として中央山状縦突縫条部31が縫合形成されていることを示している。他の二重符号も同様であることは云うまでもない。
前記中央山状縦突縫条部31と左縁縫条部41の間には左側基布51が張設されており、前記中央山状縦突縫条部31と右縁縫条部42の間には右側基布52が張設されている。従って、この立体インナーマスク1は、例えばお寺の屋根状のような略多角形体の立体形状をしていると考えられたい。
前記上縁横袋条部10の左端部10bと前記左側基布51の左縁51dと前記下縁横袋条部23の左端部23bは前記左縁縫条部41により一体に縫合されている。また、前記上縁横袋条部10の右端部10cと前記右側基布52の右縁52dと前記下縁横袋条部23の右端部23cも前記右縁縫条部42により一体に縫合されている。
【0043】
図(1B)は前記第1群の中で第2の立体インナーマスク1に関するもので、中央山状縦条部30として縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32を形成している点に特徴を有す。図16で後述するように、前記中央山状縦袋条部32は、全長に亘って縦袋孔34aを有しており、この縦袋孔34aの中に縦ワイヤー33が挿入されて山状形態を保持している。
縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32を有しているために、立体インナーマスク1を装着しても、鼻や口に対し強力に湾曲状に浮き上がり、大きな鼻口空間部を形成して呼吸を楽にできる効果を発現できる。他の構造に関しては、図(1A)と同一である。
【0044】
尚、図示はしていないが、縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32の替わりに、中央山状縦条部30として図3の(3B)に示すように、中央山状縦平条部35を使用しても良い。この中央山状縦平条部35は平繊維体を複数層積層して厚く強固に形成すれば、山状形態を形成することができる。平繊維体の繊維糸を太くしたり、積層段数を増加することによってより強固な中央山状縦平条部35を構成でき、マスク装着時に大きな鼻口空間部を形成してマスクを介しての呼吸を楽にすることが可能になる。
【0045】
図(1C)は前記第1群の中で第3の立体インナーマスク1に関するもので、中央山状縦条部30として前記中央山状縦突縫条部31を有し、左側基布51に左側袋部61を形成し、右側基布52に右側袋部62を形成している。
即ち、第3の立体インナーマスク1を特徴づける点は、左側基布51の上に左側袋部61が形成され、右側基布52の上に右側袋部62が形成されていることだけである。想像線を付したのは左側袋部61と右側袋部62の入口が開口されていることを示している。袋部は左側袋部61だけでもよいし、右側袋部62だけでもよいし、左側袋部61と右側袋部62の両方が形成されてもよい。
この袋部には所望により種々の物を内装することができる。例えば、夏場には、袋部に保冷剤を装着することにより鼻口空間部を冷却でき、冬場には、袋部に保温剤を装着することもできる。その他の助剤として、加湿剤や芳香剤等、所望により種々の助剤を内装することが可能である。
尚、図(1C)において、中央山状縦条部30として、前記中央山状縦突縫条部31だけでなく、縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32を使用してもよいし、中央山状縦平条部35を使用してもよいことは云うまでもない。
【0046】
図2は、本発明に属する第2群の3種類の立体インナーマスク1の実施例の斜視図である。第2群とは、輪郭部6が略多角形で1本の周回袋条部55からなることを特徴とする立体インナーマスク1を云う。ここで、(2A)は中央山状縦条部30を中央山状縦突縫条部31とした第4の立体インナーマスク1、(2B)は中央山状縦条部30を縦ワイヤー33が挿入された中央山状縦袋条部32とした第5の立体インナーマスク1、(2C)は中央山状縦突縫条部31を有して左側袋部61と右側袋部62を形成した第6の立体インナーマスク1を示す。
【0047】
更に詳述すると、図2の(2A)〜(2C)に図示されるように、前記第2群の立体インナーマスク1では、その輪郭部6は略多角形で1本の周回袋条部55から構成されており、その左頬側条部40は左縁袋条部53となり、右頬側条部50は右縁袋条部54となり、更に上縁横袋条部10と下縁横袋条部23が加わって1周が連通した状態で周回袋条部55を構成している点が特徴である。
【0048】
図(2A)は前記第2群の中で第4の立体インナーマスク1に関するもので、中央山状縦条部30を例えば縁かがり縫い等で縫合された中央山状縦突縫条部31としている点に特徴を有する。中央山状縦突縫条部31を有しているために、立体インナーマスク1を装着しても、鼻や口に対し湾曲状に浮き上がり、大きな鼻口空間部を形成して呼吸を楽にする効果を発揮する。
この立体インナーマスク1の輪郭部6を構成する周回袋条部55は、一点鎖線で示された上ワイヤー11aが上ワイヤー部11として内部に挿入された上縁横袋条部10と、右頬側条部50として前記右縁袋条部54と、一転鎖線で示された下ワイヤー21aが下ワイヤー部21として内部に挿入された下縁横袋条部23(上位概念である顎袋条部20に相当)と、左頬側条部40として前記左縁袋条部53の四辺から形成されている。周回袋条部55は点線で表された周回状の縫合線55dで縫合され、左側基布51の左縁51dと右側基布52の右縁52dも含んで縫合されている。
【0049】
前記上縁横袋条部10の中間位置から前記下縁横袋条部23の中間位置へと中央山状縦条部30として中央山状縦突縫条部31が山状形態で且つ突条として線状に形成されている。この中央山状縦突縫条部31は例えば縁かがり縫い等の縫合技術により突条に形成されたものである。ここでは、二重符号として31(30)と書かれている場合には、中央山状縦条部30として中央山状縦突縫条部31が縫合形成されていることを示している。他の二重符号も同様であることは云うまでもない。
前記中央山状縦突縫条部31と左縁袋条部53の間には左側基布51が張設されており、前記中央山状縦突縫条部31と右縁袋条部54の間には右側基布52が張設されている。従って、この立体インナーマスク1は、例えばお寺の屋根状のような略多角形体の立体形状をしていると考えられたい。
【0050】
図(2B)は前記第2群の中で第5の立体インナーマスク1に関するもので、中央山状縦条部30として縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32を形成している点に特徴を有する。図16で後述するように、前記中央山状縦袋条部32は、全長に亘って縦袋孔34aを有しており、この縦袋孔34aの中に縦ワイヤー33が挿入されて山状形態を保持している。
縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32を有しているために、立体インナーマスク1を装着しても、鼻や口に対し強力に湾曲状に浮き上がり、大きな鼻口空間部を形成して呼吸を楽にできる効果を発現できる。他の構造に関しては、図(2A)と同一である。
【0051】
尚、図示はしていないが、縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32の替わりに、中央山状縦条部30として図3の(3B)に示すように、中央山状縦平条部35を使用しても良い。この中央山状縦平条部35は平繊維体を複数層積層して厚く強固に形成すれば、山状形態を形成することができる。平繊維体の繊維糸を太くしたり、積層段数を増加することによってより強固な中央山状縦平条部35を構成でき、マスク装着時に大きな鼻口空間部を形成してマスクを介しての呼吸を楽にすることが可能になる。
【0052】
図(2C)は前記第1群の中で第6の立体インナーマスク1に関するもので、中央山状縦条部30として前記中央山状縦突縫条部31を有し、左側基布51に左側袋部61を形成し、右側基布52に右側袋部62を形成している。他の構造に関しては、図(2A)と同一である。
即ち、第6の立体インナーマスク1を特徴づける点は、左側基布51の上に左側袋部61が形成され、右側基布52の上に右側袋部62が形成されていることだけである。想像線を付したのは左側袋部61と右側袋部62の入口が開口されていることを示している。袋部は左側袋部61だけでもよいし、右側袋部62だけでもよいし、左側袋部61と右側袋部62の両方が形成されてもよい。
この袋部には所望により種々の物を内装することができる。例えば、夏場には、袋部に保冷剤を装着することにより鼻口空間部を冷却でき、冬場には、袋部に保温剤を装着することもできる。その他の助剤として、加湿剤や芳香剤等、所望により種々の助剤を内装することが可能である。
尚、図(2C)において、中央山状縦条部30として、前記中央山状縦突縫条部31だけでなく、縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32を使用してもよいし、中央山状縦平条部35を使用してもよいことは云うまでもない。
【0053】
図3は、本発明に属する第3群の3種類の立体インナーマスク1の実施例の斜視図である。第3群とは、輪郭部6が上縁横袋条部10と湾曲袋条部60から構成された1本の周回袋条部55からなる立体インナーマスク1を云う。ここで、(3A)は中央山状縦条部30を中央山状縦突縫条部31とした第7の立体インナーマスク1、(3B)は中央山状縦条部30を中央山状縦平条部35とした第8の立体インナーマスク1、(3C)は中央山状縦突縫条部31を有して左側袋部61と右側袋部62を形成した第9の立体インナーマスク1を示す。
【0054】
更に詳述すると、図3の(3A)〜(3C)に図示されるように、前記第3群の立体インナーマスク1では、その輪郭部6は略半楕円形の1本の周回袋条部55から構成されており、この周回袋条部55は上縁横袋条部10と湾曲袋条部60から構成されることが特徴である。周回袋条部55は、左側基布51の湾曲左縁51eと右側基布52の湾曲右縁52eを内部に含んで縫合線55dで縫合形成されている。湾曲袋条部60において、左頬側条部40に相当するのは湾曲左縁袋条部57であり、右頬側条部50に相当するのは湾曲右縁袋条部58であり、顎袋条部20に相当するのは湾曲顎袋条部59である。従って、湾曲袋条部60は、湾曲左縁袋条部57と湾曲顎袋条部59と湾曲右縁袋条部58が連続した状態で構成されている。であり、右頬側条部50に相当するのは湾曲右縁袋条部58であり、顎袋条部20に相当するのは湾曲顎袋条部59である。
【0055】
図(3A)は前記第3群の中で第7の立体インナーマスク1に関するもので、中央山状縦条部30を例えば縁かがり縫い等で縫合された中央山状縦突縫条部31としている。中央山状縦突縫条部31を有しているために、立体インナーマスク1を装着しても、鼻や口に対し湾曲状に浮き上がり、大きな鼻口空間部を形成して呼吸を楽にする効果を発揮する。ここでは、二重符号として31(30)と書かれている場合には、中央山状縦条部30として中央山状縦突縫条部31が縫合形成されていることを示している。他の二重符号も同様であることは云うまでもない。
この立体インナーマスク1の輪郭部6を構成する周回袋条部55は、一点鎖線で示された上ワイヤー11aが上ワイヤー部11として内部に挿入された上縁横袋条部10と、1点鎖線で示された下ワイヤー21aが挿入された湾曲袋条部60からなり、下ワイヤー21aの左端部21bは湾曲左縁袋条部57に達し、下ワイヤー21aの右端部21cは湾曲右縁袋条部58に達している。下ワイヤー21aのうち湾曲顎袋条部59に存在している部分を下ワイヤー部21と呼称している。
【0056】
図(3B)は前記第3群の中で第8の立体インナーマスク1に関するもので、中央山状縦条部30として中央山状縦平条部32を形成している点に特徴を有する。他の構造に関しては、図(3A)と同一である。
この中央山状縦平条部35は平繊維体を複数層積層して厚く強固に形成すれば、山状形態を形成することができる。平繊維体の繊維糸を太くしたり、積層段数を増加することによってより強固な中央山状縦平条部35を構成でき、マスク装着時に大きな鼻口空間部を形成してマスクを介しての呼吸を楽にすることが可能になる。
【0057】
図(3C)は前記第3群の中で第9の立体インナーマスク1に関するもので、中央山状縦条部30として前記中央山状縦突縫条部31を有し、左側基布51に左側袋部61を形成し、右側基布52に右側袋部62を形成している。他の構造に関しては、図(3A)と同一である。
即ち、第9の立体インナーマスク1を特徴づける点は、左側基布51の上に左側袋部61が形成され、右側基布52の上に右側袋部62が形成されていることだけである。想像線を付したのは左側袋部61と右側袋部62の入口が開口されていることを示している。袋部は左側袋部61だけでもよいし、右側袋部62だけでもよいし、左側袋部61と右側袋部62の両方が形成されてもよい。
この袋部には所望により種々の物を内装することができる。例えば、夏場には、袋部に保冷剤を装着することにより鼻口空間部を冷却でき、冬場には、袋部に保温剤を装着することもできる。その他の助剤として、加湿剤や芳香剤等、所望により種々の助剤を内装することが可能である。
尚、図(3C)において、中央山状縦条部30として、前記中央山状縦突縫条部31だけでなく、縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32を使用してもよいし、中央山状縦平条部35を使用してもよいことは云うまでもない。
【0058】
図4は、第1群の立体インナーマスク1の実物の写真図であり、(4A)は(1A)の表面写真図、(4B)は(1C)の表面写真図である。
図(4A)は、図(1A)に図示された前記第1群の第1の立体インナーマスク1の表面写真図であり、輪郭部6が上縁横袋条部10と左縁縫条部41と下縁横袋条部23と右縁縫条部42から構成されている。中央山状縦突縫条部31の左右は、左側基布51と右側基布52により密閉されている。
図(4B)は、図(1C)に図示された前記第1群の第3の立体インナーマスク1の表面写真図であり、輪郭部6が上縁横袋条部10と左縁縫条部41と下縁横袋条部23と右縁縫条部42から構成されている。中央山状縦突縫条部31の左右は、左側基布51と右側基布52により密閉されている。その特徴は、左側基布51に左側袋部61が形成され、右側基布52に右側袋部62が形成されていることである。そして左側袋部61と右側袋部62に保冷剤などの助剤を内装して、夏場や冬場の適宜の対応が可能になる。
【0059】
図5は、第1群の立体インナーマスク1の実物の写真図であり、(5A)は図(1A)の第1の立体インナーマスク1を折り畳んだ状態の側面写真図であり、(5B)は図(1A)の第1の立体インナーマスク1を裏側から撮影した裏側写真図である。符号の部材名称は図(1A)と同様である。
【0060】
図6は、第2群と第3群の立体インナーマスク1の実物の写真図であり、(6A)は(2A)を裏側から撮影した裏側写真図、(6B)は(3B)の表面写真図である。
(6A)は、(2A)に示される第4の立体インナーマスク1を裏側から撮影した裏側写真図であり、輪郭部6は1本の周回袋条部55で形成され、この周回袋条部55は上縁横袋条部10と右縁袋条部54と下縁横袋条部23と左縁袋条部53の四辺から構成されている。
(6B)は、(3B)に示される第8の立体インナーマスク1の表面写真図であり、輪郭部6は1本の周回袋条部55で形成され、この周回袋条部55は上縁横袋条部10と湾曲袋条部60から構成され、更に前記湾曲袋条部60は湾曲左縁袋条部57と湾曲顎袋条部59と湾曲右縁袋条部58から構成されている。また、その中央山状縦条部30は縫合線35aで縫合固定された中央山状縦平条部35から形成されている。後述するように、中央山状縦平条部35は、左側基布51と右側基布52の突合部を折り返して縫合線35aで縫合して形成されている。しかも太繊維を使用しているから、中央山状縦平条部35は厚く形成され、中央山状形態を強力に保持できる。
【0061】
図7は、第3群の立体インナーマスク1の実物の写真図であり、(7A)は(3A)の表側写真図であり、(7B)は(3A)を裏側から撮影した裏側写真図である。
(7A)は、(3A)に示される第7の立体インナーマスク1の表面写真図であり、輪郭部6は1本の周回袋条部55で形成され、この周回袋条部55は上縁横袋条部10と湾曲袋条部60から構成され、更に前記湾曲袋条部60は湾曲左縁袋条部57と湾曲顎袋条部59と湾曲右縁袋条部58から構成されている。また、その中央山状縦条部30は中央山状縦突縫条部31から形成されている。この中央山状縦突縫条部31により鼻口空間部を大きく形成できるため呼吸が楽になり、左側基布51と右側基布52は目が粗く形成されているから繊維面を介しての呼吸も極めて楽になる特性を有している。
(7B)は、(3A)に示される第7の立体インナーマスク1を裏側から撮影した裏側写真図である。符号は(7A)と同一であり、中央山状縦突縫条部31により鼻口空間部が大きく形成されていることが明示されている。
【0062】
図8は第1群と第3群の立体インナーマスク1を装着したときに顎前部77に開口される山状開口部78を発現させた状態のマスク装着図であり、(8A)は(1A)を装着したマスク装着図、(8B)は(3B)を装着したマスク装着図である。
(8A)は、図(1A)に示された第1群の第1の立体インナーマスク1を装着した状態のマスク装着図であり、顎前部77に対し下ワイヤー部を立てることにより下縁横袋条部23に山状開口部78を立設した状態を示している。マスク面を介しての呼吸がしんどくなった時に、この山状開口部78を立設すれば下方外気との通気口が完成し、下方外気との間で楽に呼吸ができるようになり、これが本発明の最大の特徴である。
(8B)は、図(3B)に示された第3群の第8の立体インナーマスク1を装着した状態のマスク装着図であり、顎前部77に対し下ワイヤー部を立てることにより湾曲顎袋条部59に山状開口部78を立設した状態を示している。マスク面を介しての呼吸がつらくなった時に、この山状開口部78を立設すれば下方外気との通気口が完成し、下方外気との間で楽に呼吸ができるようになり、これこそ本発明の最大の特徴である。
【0063】
図9の(9A)は下ワイヤー部21の左右両端が下縁だけで途切れた本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図、(9B)は山状開口部78を立設した状態の顔装着側面図である。
(9A)の立体インナーマスク1は、図1(1A)〜(1C)及び図2(2A)に示される第1〜第4の立体インナーマスク1に相当し、実際には上ワイヤー部11は上ワイヤー11aから構成され、下ワイヤー部21は下ワイヤー21aから構成されている。この立体インナーマスク1の中央山状縦条部30の山状保持力により平マスク2を押し上げており、鼻71及び口72の前方に大きな鼻口空間部70を形成できる。この大きな鼻口空間部70により、右頬側条部50を含む輪郭部が顔面と密着していてもマスク装着による息苦しさは解消される。
(9B)では、この立体インナーマスク1と平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3を装着して息苦しくなった時には、下ワイヤー部21を顎前面77に対し手指操作で立てて山状開口部78を強制的に立設し、鼻口空間部70と下方外気とが山状開口部78を介して連通状態になる。従って、人は下方外気との間で呼吸でき、即ち下方外気を吸引して下方外気に向かって吐き出すことができ、マスクを装着した状態のままで外気呼吸により息苦しさから解放される特段の効果を発揮することができる。
【0064】
図10の(10A)は下ワイヤー部21の左右両端が頬上部まで到達している本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図、(10B)は山状開口部78を立設した状態の顔装着側面図である。
(10A)の立体インナーマスク1は、図2(2B)及び図3(3A)〜(3B)に示される第5、7、8の立体インナーマスク1に相当し、実際には上ワイヤー部11は上ワイヤー11aから構成され、下ワイヤー部21は下ワイヤー21aから構成され、下ワイヤー21aの右端部21cが頬上部に達している。図(9A)と同様に、この立体インナーマスク1の中央山状縦条部30の山状保持力により平マスク2を押し上げており、大きな鼻口空間部70により、マスク装着による息苦しさは解消される。
(10B)では、この立体インナーマスク1と平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3を装着して息苦しくなった時には、下ワイヤー部21を顎前面77に対し手指操作で立てて山状開口部78を強制的に立設し、鼻口空間部70と下方外気とが山状開口部78を介して連通状態になる。従って、マスクを装着した状態のままで外気呼吸により息苦しさから解放される特段の効果を発揮することができる。
【0065】
図11の(11A)は上ワイヤー部11と下ワイヤー部21が連続した周回ワイヤー56を用いた本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図、(11B)はその山状開口部78を立設した状態の顔装着側面図である。
(11A)の立体インナーマスク1は、図2(2C)及び図3(3C)に示される第6、9の立体インナーマスク1に相当する。1本の周回ワイヤー56が使用されているから、周回ワイヤー56の上縁部である上ワイヤー部11と下縁部である下ワイヤー部21が図示されている。図(9A)と同様に、この立体インナーマスク1の中央山状縦条部30の山状保持力により平マスク2を押し上げており、大きな鼻口空間部70により、マスク装着による息苦しさは解消される。
(11B)では、この立体インナーマスク1と平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3を装着して息苦しくなった時には、下ワイヤー部21を顎前面77に対し手指操作で立てて山状開口部78を強制的に立設し、鼻口空間部70と下方外気とが山状開口部78を介して連通状態になる。従って、マスクを装着した状態のままで外気呼吸により息苦しさから解放される特段の効果を発揮することができる。
【0066】
図12は、縦ワイヤー33を有した本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図である。
図12に示される立体インナーマスク1は、直接的には図(1B)の第2の立体インナーマスク1が相当するが、縦ワイヤー33を使用しているという観点では、図(2B)の第5の立体インナーマスク1も相当すると云える。
鼻71と口72を塞ぐように本発明に係る立体インナーマスク1を装着する。上ワイヤー部11は鼻71の横形状に沿うように押し当てられて鼻71を密閉する。下ワイヤー部21は顎前部77の横形状に沿うように押し当てられて顎前部77を密閉する。左頬側条部40と右頬側条部50は左右の頬面に密閉配置される。中央山状縦条部30としては縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32が使用され、縦ワイヤー33により安定した強固な山状形態を保持できる。従って、鼻口部の前方に大きな鼻口空間部70形成でき、マスク繊維面が鼻口部に接触することが無いのでマスク繊維面を介しての呼吸を一層に楽にすることができる。
上記立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2、例えばプリーツマスクを積層配置する。具体的には。そのノーズワイヤー4を上ワイヤー部11より上の鼻位置に配置し、その下端を下ワイヤー部21より下方の顎下部又は喉位置に当て、二点鎖線で示すゴム輪を耳73に掛けて固定する。このように使用すると、立体性の無い平マスク2が本発明に係る立体インナーマスク1と組み合わされて、組合せ立体マスク3が完成する。
従って、本発明に係る立体インナーマスク1を使用すれば、ウィルスや細菌や花粉や粉塵などの侵入を確実に遮断できる。しかも、鼻口空間部70が大きく形成保持されるので、マスクの繊維面を介しての呼吸は比較的楽に行うことができる。
【0067】
図13は、左側袋部61と右側袋部62を有した本発明に係る立体インナーマスク1の上側に立体性の無い平マスク2を積層使用した組合せ立体マスク3の顔装着側面図である。
図13に示される立体インナーマスク1は、直接的には図(1C)の第3の立体インナーマスク1が相当するが、左側袋部61と右側袋部62を有しているという観点では、図(2C)と図(3C)の第6、9の立体インナーマスク1も相当すると云える。
図13の立体インナーマスク1は、中央山状縦条部30で大きな鼻口空間部70を形成し、特に左側袋部61と右側袋部62を有することを特徴としている。マスク内部の鼻口空間部70は密閉されているから、熱気が溜まりやすい傾向にある。そこで、夏場は保冷剤75を前記左側袋部61と右側袋部62に内装することによって、鼻口空間部70を冷却して息苦しさを解消できる利点がある。
袋部に内装される助剤は保冷剤に限られず、保温剤や加湿剤や芳香剤等、所望により種々の助剤を内装することが可能である。
このように使用すると、立体性の無い平マスク2が本発明に係る立体インナーマスク1と組み合わされて、組合せ立体マスク3が完成される。
【0068】
図14は、図1(1A)に示される第1の立体インナーマスク1を製造する前半工程図である。
(14A)は、左側基布51とほぼ対称的に同型の右側基布52との配置工程図である。輪郭が上縁51bと下縁51cと左縁51dと左側山状縁51aからなる左側基布51と、輪郭が上縁52bと下縁52cと右縁52dと右側山状縁52aからなる右側基布52とが、前記左側山状縁51aと前記右側山状縁52aとが対向するように配置される。
(14B)は、左側基布51の左側山状縁51aとほぼ対称的に同型の右側基布52の右側山状縁52aとが突き合わされた状態の突合工程図である。一点鎖線は左側山状縁51aと右側山状縁52aが山状であることを示すために引かれているだけである。
(14C)は、中央山状縦条部30が中央山状縦突縫条部31として形成される縫合工程図である。上述のように突き合わされた左側山状縁51aと右側山状縁52aが、例えば縁かがり縫いなどの縫合技術により、中央山状縦突縫条部31として突条に湾曲形成される。更に、前記上縁51bと前記上縁52bの上側に並行状態で且つ横幅を略一致させて、袋孔12aを有する断面U字状のU字帯12が配置され、前記下縁51cと前記下縁52cの下側に並行状態で且つ横幅を略一致させて、袋孔22aを有する断面U字状のU字帯22が配置される。
【0069】
図15は、図1(1A)に示される第1の立体インナーマスク1を製造する後半工程図である。
(15A)は、上ワイヤー11aと下ワイヤー21aの配置並びに上縁横袋状部10と下縁横袋状部23の配置工程図である。まず、中央山状縦突縫条部31の上端部31aを含めて上縁51bと上縁52bをU字帯12で狭着し、縫合線10dのように縫着して上縁横袋状部10を形成する。同様に、中央山状縦突縫条部31の下端部31bを含めて下縁51cと下縁52cをU字帯22で狭着し、縫合線23dのように縫着して下縁横袋状部23を形成する。更に、上ワイヤー11aを袋孔12aの横に配置し、下ワイヤー21aを袋孔22aの横に配置する。
(15B)は、上下ワイヤー11a、21aを袋孔12a、22aへ夫々挿着する挿入完了図である。上ワイヤー11aの全長を上縁横袋状部10の袋孔12aの所定位置まで挿入配置し、続いて下ワイヤー21aの全長を下縁横袋状部23の袋孔22aの所定位置まで挿入配置する。
(15C)は、第1の立体インナーマスク1の完成工程図である。上縁横袋状部10の左端部10bと下縁横袋状部23の左端部23bを含んで左縁51dを例えば縁かがり縫い等で縫着して左縁縫条部41を形成し、更に上縁横袋状部10の右端部10cと下縁横袋状部23の右端部23cを含んで右縁52dを例えば縁かがり縫い等で縫着して右縁縫条部42を形成する。最終的に、図1(1A)の第1の立体インナーマスク1が完成される。
【0070】
図14の前半工程と図15の後半工程の必須部分を纏めた全体工程を説明すると、本発明に係る第1の立体インナーマスク1の製造方法が、下記のように3段階で構成される。
本製造方法発明の第1段階は、輪郭が上縁51bと下縁51cと左縁51dと左側山状縁51aからなる左側基布51と、この左側基布51と対称的に略同型で、輪郭が上縁52bと下縁52cと右縁52dと右側山状縁52aからなる右側基布52とを、前記左側山状縁51aと前記右側山状縁52aとが対向するように重ねて、前記左側山状縁51aと前記右側山状縁52aとを縫着して中央山状縦突縫条部31を中央山状縦条部30として形成することである。
本製造方法発明の第2段階は、前記左側基布51の上縁51bと前記右側基布52の上縁52bと前記中央山状縦突縫条部31の上端部31aとをU字帯12により狭着して全長に亘って袋孔12aを有するように一体に縫合し、且つ前記左側基布51の下縁51cと前記右側基布52の下縁52cと前記中央山状縦突縫条部31の下端部31bとをU字帯22により狭着して全長に亘って袋孔22aを有するように縫合し、その縫合により前記U字帯12を上縁横袋状部10に前記U字帯22を下縁横袋状部23にすることである。
本製造方法発明の第3段階は、上縁側の前記袋孔12aに上ワイヤー11aを挿入し、且つ下縁側の前記袋孔22aに下ワイヤー21aを挿入し、前記左側基布51の左縁51dと前記上縁横袋状部10の左端部10bと前記下縁横袋状部23の左端部23bの全長を縫着して左縁縫条部41を形成し、且つ前記右側基布52の右縁52dと前記上縁横袋状部10の右端部10cと前記下縁横袋状部23の右端部23cの全長を縫着して右縁縫条部42を形成することである。
従って、本製造方法発明は前記第1段階から前記第3段階までを特徴とする。
【0071】
図16は、図1(1B)に示される第2の立体インナーマスク1を製造する要部工程図である。
(16A)は、左側基布51の左側山状縁51aとこれと対称的に略同型の右側基布52の右側山状縁52aとが重ね合わされた状態の重合図である。一点鎖線は左側山状縁51aと右側山状縁52aが山状であることを示すために引かれているだけである。また、全長に縦袋孔34aを有する縦U字帯34を配置し、前記縦袋孔34aに挿入される縦ワイヤー33が配置される。
(16B)は、左側山状縁51aと右側山状縁52aの重合部を前記中央山状縦U字帯34で狭着して縫合線32dで縫合し、中央山状縦袋条部32を形成する縫合図である。そして縦ワイヤー33を前記中央山状縦袋条部32の縦袋孔34aの全長に挿入すると、中央山状縦袋条部32が中央山状縦条部30として形成される。そのため中央山状縦袋条部32(30)の符号で示される。
(16C)は最終完成図であり、前述したように、図14の(14C)及び図15の(15A)・(15B)の各工程を経ることによって、最終的に図1(1B)に図示される第2の立体インナーマスク1が完成される。
【0072】
縦ワイヤー33を挿入した中央山状縦袋条部32を有する第2の立体インナーマスク1の製造方法の全体工程は、下記のように3段階で構成される。
本製造方法の第1段階は、輪郭が上縁51bと下縁51cと左縁51dと左側山状縁51aからなる左側基布51と、この左側基布51と対称的に略同型で、輪郭が上縁52bと下縁52cと右縁52dと右側山状縁52aからなる右側基布52とを、前記左側山状縁51aと前記右側山状縁52aとが対向するように重ね、前記左側山状縁51aと前記右側山状縁52aとを縦U字帯34により狭着して全長に亘って縦袋孔34aを有するように縫合線32dで一体に縫合し、前記縦袋孔34aに縦ワイヤー33を挿入して中央山状縦袋条部32を中央山状縦条部30として形成することである。
本製造方法の第2段階は、前記左側基布51の上縁51bと前記右側基布52の上縁52bと前記中央山状縦袋条部32の上端部32aとをU字帯12により狭着して全長に亘って袋孔12aを有するように一体に縫合し、且つ前記左側基布51の下縁51cと前記右側基布52の下縁52cと前記中央山状縦袋条部32の下端部32bとをU字帯22により狭着して全長に亘って袋孔22aを有するように縫合し、その縫合によりU字帯12を上縁横袋状部10にし、前記U字帯22を下縁横袋状部23にすることである。
本製造方法の第3段階は、上縁側の前記袋孔12aに上ワイヤー11aを挿入し、且つ下縁側の前記袋孔22aに下ワイヤー21aを挿入し、前記左側基布51の左縁51dと前記上縁横袋状部10の左端部10bと前記下縁横袋状部23の左端部23bの全長を縫着して左縁縫条部41を形成し、且つ前記右側基布52の右縁52dと前記上縁横袋状部10の右端部10cと前記下縁横袋状部23の右端部23cの全長を縫着して右縁縫条部42を形成することである。
従って、本製造方法発明は前記第1段階から前記第3段階までを特徴とする。
【0073】
図17は、図2(2A)に示される第4の立体インナーマスク1を製造する要部工程図である。
(17A)の組立図を説明する。まず、図(14C)に示されるように、左側基布51の左側山状縁51aと右側基布52の右側山状縁52aを縫合して中央山状縦突縫条部31を形成する。この中央山状縦突縫条部31を形成した左側基布51と右側基布52を中央に配置する。その上縁に上ワイヤー11aを配置し、その下縁に下ワイヤー21aを配置する。更に、それらを取り巻くように、袋孔12aを有した周回状のU字帯12を周回配置する。
この周回状のU字帯12は、その袋孔12aに上ワイヤー11aと下ワイヤー21aを挿入し、左側基布51と右側基布52の周囲に袋孔12aで狭着して縫合すると、周回袋条部55に変化する。この周回袋条部55は四辺である左縁袋条部53と上縁横袋条部10と右縁袋条部54と下縁横袋条部23から構成される。
(17B)は縫合完成図を示し、図(2A)の第4の立体インナーマスク1が完成される。周回袋条部55は上ワイヤー11aと下ワイヤー21aを挿入して周回状の縫合線55dにより縫合完成される。
【0074】
図18において、(18A)は図(2B)に示される第5の立体インナーマスク1を製造する要部組立図、(18B)は図(2C)に示される第6の立体インナーマスク1を製造する要部組立図である。
(18A)の要部組立図を説明する。まず、図(16B)に示されるように、左側基布51の左側山状縁51aと右側基布52の右側山状縁52aを合せて縦ワイヤー33が挿入された中央山状縦袋条部32を形成する。この中央山状縦袋条部32を形成した左側基布51と右側基布52を中央に配置する。その上縁側に上ワイヤー11aを配置し、その下縁側に両端部が上方に突き出たU字形状の下ワイヤー21aを配置する。更に、それらを取り巻くように、袋孔12aを有した周回状のU字帯12を周回配置する。
この周回状のU字帯12では、その袋孔12aに上ワイヤー11aと下ワイヤー21aを挿入し、左側基布51と右側基布52の周囲にU字帯12を袋孔12aで狭着して縫合すると、周回袋条部55に変化する。この周回袋条部55は、左縁袋条部53と上縁横袋条部10と右縁袋条部54と下縁横袋条部23を四辺として構成される。その結果、図(2B)に示される第5の立体インナーマスク1が完成される。
次に、(18B)の要部組立図を説明する。(18A)との相違点は、中央山状縦袋条部32に替えて中央山状縦突縫条部31が形成され、左側基布51と右側基布52に左側袋部61と右側袋部62が形成されており、周回ワイヤー56が周回状に配置されていることである。(18A)と同様の手順で、図(2C)の第6の立体インナーマスク1が完成される。
【0075】
図19は、図3(3B)に示される立体インナーマスク1を製造する製造工程図である。
(19A)では、左側基布51とほぼ対称的に同型の右側基布52との配置工程図である。輪郭が上縁51bと湾曲左縁51eと左側山状縁51aからなる左側基布51と、輪郭が上縁52bと湾曲右縁52eと右側山状縁52aからなる右側基布52とが、前記左側山状縁51aと前記右側山状縁52aとが対向するように配置される。一点鎖線で示される左側折返し片51fと右側折返し片52fを対向接合させて一点鎖線に沿って縫合する。左側折返し片51fを折り返して左側基布51と縫合線35aで縫合する。同様に、右側折返し片52fを折り返して右側基布52と縫合線35aで縫合する。その結果、(19B)に示されるように、左側基布51と右側基布52に中央山状縦平条部35が形成される。
(19B)では、中央山状縦平条部35が形成され左側基布51と右側基布52が中央に配置される。その上縁側に上ワイヤー11aを配置し、更にその上縁側に、袋孔12aを有した上縁と略同長のU字帯12を配置する。また、下縁側に左端部21bと右端部21cが上方に突き出たU字形状の下ワイヤー21aを配置する。下ワイヤー21aの底近傍が下ワイヤー部21である。更に、それらを取り巻くように、袋孔22aを有したU字状のU字帯22を配置する。U字帯12、22は長さが違うだけで断面構造は同一である。縫合されると、U字帯12は上縁横袋条部10になり、U字帯22は、湾曲左縁袋条部57と湾曲顎袋条部59と湾曲右縁袋条部58からなる湾曲袋条部60になる。
(19C)では、上ワイヤー11aを袋孔12aに挿着し、左側基布51と右側基布52の上縁をU字帯12で狭着して縫合線55dで縫合する。更に、下ワイヤー21aを袋孔22aに挿着し、湾曲左縁51eと湾曲右縁52をU字帯22で狭着して縫合線55dで周回状に縫合する。その結果、輪郭部6として、上縁横袋条部10と、湾曲左縁袋条部57と湾曲顎袋条部59と湾曲右縁袋条部58からなる湾曲袋条部60が形成される。
この周回状のU字帯12では、その袋孔12aに上ワイヤー11aと下ワイヤー21aを挿入し、左側基布51と右側基布52の周囲にU字帯12を袋孔12aで狭着して縫合すると、周回袋条部55に変化する。この周回袋条部55は、左縁袋条部53と上縁横袋条部10と右縁袋条部54と下縁横袋条部23を四辺として構成される。その結果、図(2B)に示される第5の立体インナーマスク1が完成される。
【0076】
図20では、(20A)は図3(3A)に示される第7の立体インナーマスク1を製造する組立図、(20B)は図3(3C)に示される第9の立体インナーマスク1を製造する組立図である。
(20A)では、中央山状縦突縫条部31が形成され左側基布51と右側基布52が中央に配置される。その上縁側に上ワイヤー11aを配置し、更にその上縁側に、袋孔12aを有した上縁と略同長のU字帯12を配置する。また、下縁側に左端部21bと右端部21cが上方に突き出たU字形状の下ワイヤー21aを配置する。下ワイヤー21aの底近傍が下ワイヤー部21である。更に、それらを取り巻くように、袋孔22aを有したU字状のU字帯22を配置する。U字帯12、22は長さが違うだけで断面構造は同一である。縫合されると、U字帯12は上縁横袋条部10になり、U字帯22は、湾曲左縁袋条部57と湾曲顎袋条部59と湾曲右縁袋条部58からなる湾曲袋条部60になる。
ワイヤー11aを袋孔12aに挿着し、左側基布51と右側基布52の上縁をU字帯12で狭着して縫合する。更に、下ワイヤー21aを袋孔22aに挿着し、湾曲左縁51eと湾曲右縁52eをU字帯22で狭着して周回状に縫合する。その結果、輪郭部6として、上縁横袋条部10と、湾曲左縁袋条部57と湾曲顎袋条部59と湾曲右縁袋条部58からなる湾曲袋条部60が形成される。この結果、図3(3A)に示される第7の立体インナーマスク1が完成される。
(20B)では、中央山状縦突縫条部31が形成され左側基布51と右側基布52が中央に配置される。左側基布51には左側袋部61が形成され、右側基布52には右側袋部62が形成されている。左側基布51と右側基布52の周囲を取り巻くように1本の周回ワイヤー56を配置する。周回ワイヤー56のうち上側部分が上ワイヤー部11になり、下方U字形状の底部近傍が下ワイヤー部21になる。上ワイヤー部11の上縁側に、袋孔12aを有した上縁と略同長のU字帯12を配置する。また、湾曲左縁51eと湾曲右縁を取り巻くように、袋孔22aを有したU字状のU字帯22を配置する。U字帯12、22は長さが違うだけで断面構造は同一である。縫合されると、U字帯12は上縁横袋条部10になり、U字帯22は、湾曲左縁袋条部57と湾曲顎袋条部59と湾曲右縁袋条部58からなる湾曲袋条部60になる。
周回ワイヤー56のうち、上ワイヤー部11を袋孔12aに挿着し、左側基布51と右側基布52の上縁をU字帯12で狭着して縫合する。更に、周回ワイヤー56のうち、下方のU字状部を袋孔22aに挿着し、湾曲左縁51eと湾曲右縁52eをU字帯22で狭着して周回状に縫合する。その結果、輪郭部6として、上縁横袋条部10と、湾曲左縁袋条部57と湾曲顎袋条部59と湾曲右縁袋条部58からなる湾曲袋条部60が形成される。この結果、図3(3C)に示される第9の立体インナーマスク1が完成される。
【0077】
本発明は、上記実施例や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、立体性を有していないプリーツマスク等の平マスクを装着する場合に、その内側で直接的に鼻口部を覆って大きな鼻口空間部を確保でき、しかも息苦しいときに必要に応じて顎前部に山状開口部を安定状態で形成して、鼻口空間部と下方外気とを通気状態にして呼吸を極めて楽に行うことができる立体インナーマスクを提供し、しかもその立体インナーマスクを立体性の無い平マスクと組み合わせた組合せ立体マスクを提供することができる。特に、近年の新型コロナ対策において立体マスクとして大いに貢献するものである。
【符号の説明】
【0079】
1 立体インナーマスク
2 平マスク(立体性の無い平マスク)
3 組合せ立体マスク
4 ノーズワイヤー
6 輪郭部
10 上縁横袋条部
10b 左端部
10c 右端部
10d 縫合線
11 上ワイヤー部
11a 上ワイヤー
12 U字帯
12a 袋孔
20 顎袋条部
21 下ワイヤー部
21a 下ワイヤー
21b 左端部
21c 右端部
22 U字帯
22a 袋孔
23 下縁横袋条部
23b 左端部
23c 右端部
23d 縫合線
30 中央山状縦条部
31 中央山状縦突縫条部
31a 上端部
31b 下端部
32 中央山状縦袋条部
32a 上端部
32b 下端部
33 縦ワイヤー
34 縦U字帯
34a 縦袋孔
35 中央山状縦平条部
35a 縫合線
40 左頬側条部
41 左縁縫条部
42 右縁縫条部
50 右頬側条部
51 左側基布
51a 左側山状縁
51b 上縁
51c 下縁
51d 左縁
51e 湾曲左縁
51f 左側折返し片
52 右側基布
52a 右側山状縁
52b 上縁
52c 下縁
52d 右縁
52e 湾曲右縁
52f 右側折返し片
53 左縁袋条部
54 右縁袋条部
55 周回袋条部
55d 縫合線
56 周回ワイヤー
57 湾曲左縁袋条部
58 湾曲右縁袋条部
59 湾曲顎袋条部
60 湾曲袋条部
61 左側袋部
62 右側袋部
70 鼻口空間部
71 鼻
72 口
73 耳
75 保冷剤
77 顎前部
78 山状開口部
【要約】
【課題】立体性の無い平マスクと共用される立体インナーマスクを提供する。
【解決手段】本発明の立体インナーマスク1は、輪郭部6が鼻71に当接する上縁横袋条部10と顎前部77に当接する顎袋条部20と両頬に当接する左頬側条部40と右頬側条部50から連続して構成され、上縁横袋条部10には上ワイヤー部11が挿入され、顎袋条部20には下ワイヤー部21が挿入され、上縁横袋条部10の中間位置と顎袋条部20の中間位置を結ぶように中央山状縦条部30が形成されており、中央山状縦条部30により鼻口の前方に鼻口空間部70が形成され、中央山状縦条部30の左側は左側基布51で密閉され、中央山状縦条部30の右側は右側基布52で密閉されており、下ワイヤー部21を顎前部77に対し山状に湾曲させて山状開口部78を立設でき、山状開口部78を介して鼻口空間部70と下方外気を連通させて呼吸を楽にすることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図18
図19
図20
図21
図22
図23