特許第6840346号(P6840346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6840346
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】稼働データ連動型システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20210301BHJP
   G06Q 40/02 20120101ALI20210301BHJP
【FI】
   G06Q30/06 308
   G06Q40/02 300
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-554557(P2020-554557)
(86)(22)【出願日】2020年4月23日
(86)【国際出願番号】JP2020017533
【審査請求日】2020年10月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514026196
【氏名又は名称】Global Mobility Service株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】中島 徳至
(72)【発明者】
【氏名】大島 麿礼
【審査官】 安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2019/193665(WO,A1)
【文献】 特開2020−061093(JP,A)
【文献】 特開2004−038665(JP,A)
【文献】 特開2001−282994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス提供者側サーバと、ファイナンス企業サーバと、前記ファイナンス企業サーバとローン提携した利用者のローン対象車両に搭載されGPS機能を備えた通信制御ユニットと、がネットワーク網を介して双方向通信可能に接続された稼働データ連動型システムにおいて、
前記サービス提供者側サーバは、
前記通信制御ユニットによって前記ローン対象車両の稼働状況と位置情報とをリアルタイムで常時遠隔管理しつつ前記稼働状況に係る情報を積算したデータである働き方情報を得る第1の手段と、
前記通信制御ユニットに備えられ、利用者が前記ローン対象車両のローンの弁済時に支払いが不可能の情報が入力された場合、稼働情報と位置情報とから前記ローン対象車両の稼働を不可にしても良い状況確認後に当該ローン対象車両の稼働を不可にする遠隔起動制御手段と、
前記第1の手段によって得られる前記働き方情報を前記ファイナンス企業サーバに提供する第2の手段と
を備え、
前記サービス提供者側サーバは前記ファイナンス企業サーバと決済連携するとともに、
前記稼働データ連動型システムは、
前記働き方情報から前記利用者の就業の意欲を与信の尺度とする手段であって、前記働き方情報において週の稼働日が落ち込んでいる場合であって該落ち込んでいることの正当な理由がないときには働く意欲にムラがあると判断する手段と、
積み重ねた過去の弁済実績データと前記稼働状況とから毎週の弁済額や期間変更に対応できる可変返済の仕組みと
を備えることを特徴とする稼働データ連動型システム。
【請求項2】
前記遠隔起動制御手段は、前記利用者が前記ローン対象車両のローンの弁済時を過ぎた時点で支払いを行った情報を前記ファイナンス企業サーバが入手し、前記ファイナス企業サーバから前記サービス提供者側サーバが稼働指示情報を入手後に、前記ローン対象車両の稼働を再起動する請求項1に記載の稼働データ連動型システム。
【請求項3】
利用者の稼働状況に応じて、返済スケジュールを可変にする請求項1に記載の稼働データ連動型システム。
【請求項4】
前記遠隔起動制御手段は、前記ローン対象車両の稼働を不可にするとき、前記ローン対象車両のエンジンを安全な場所でストップさせる請求項1乃至3のいずれかに記載の稼働データ連動型システム。
【請求項5】
前記遠隔起動制御手段は、前記ローン対象車両の稼働データから状況を確認して停止させることができることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の稼働データ連動型システム。
【請求項6】
サービス提供者側サーバと、ファイナンス企業サーバと、前記ファイナンス企業サーバとローン提携した利用者のローン対象車両に搭載されGPS機能を備えた通信制御ユニットと、がネットワーク網を介して双方向通信可能に接続された稼働データ連動型システムにおいて、
前記サービス提供者側サーバを、
前記通信制御ユニットによって前記ローン対象車両の稼働状況と位置情報とをリアルタイムで常時遠隔管理しつつ前記稼働状況に係る情報を積算したデータである働き方情報を得る第1の手段と、
利用者が前記ローン対象車両のローンの弁済時に支払いが不可能の情報が入力された場合、稼働情報と位置情報とから前記ローン対象車両の稼働を不可にしても良い状況確認後に当該ローン対象車両の稼働を不可にする遠隔起動制御手段と、
前記第1の手段によって得られる前記働き方情報を前記ファイナンス企業サーバに提供する第2の手段と
として機能させ、前記稼働データ連動型システムを、
前記サービス提供者側サーバを前記ファイナンス企業サーバと決済連携させる手段と、
前記働き方情報から前記利用者の就業の意欲を与信の尺度とする手段であって、前記働き方情報において週の稼働日が落ち込んでいる場合であって該落ち込んでいることの正当な理由がないときには働く意欲にムラがあると判断する手段と、
積み重ねた過去の弁済実績データと前記稼働状況とから毎週の弁済額や期間変更に対応できる可変返済の手段と
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6記載のプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行融資の与信を得られない経済的弱者を対象にした稼働データ連動型システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界では約20億人が、自動車ローンを組む際に審査を通過できない状況にある。そのため、新車への買い替えが進まず、特に経済成長が著しいASEAN各国などでは、製造が古く、排気ガスや騒音などの影響が大きい車両を使い続けていることなどが社会問題となっている。
【0003】
発展途上国の大都市の都市交通は、一部の地域で高架鉄道等の導入が進んでいるものの、多くは路線バスやタクシーで支えられている。地域ごとにさまざまな形態の車両や運営がなされており、バスとタクシーの間の中間的交通手段と位置付けられ、例えば、フィリピン、マニラ、インドネシア、カンボジア等の新興国では、低額な三輪タクシーを購入し、就業を始めることが進められている。そのドラーバーの多くが個人事業主だが、低所得者層の人たちの中には現金をある程度所有し、律儀な性格で、毎月の返済能力もあり、一年中、休まずに働く人もいるにもかかわらず、三輪タクシーを買おうと思っても、今までの金融機関から与信を得られず、ローンの審査に通ることができないため車を買えない。そのため、既存のドライバーは老朽化した古い車両を乗り続け、ドライバー志望者は三輪タクシーを所有するオーナーから高い金額を支払って借りるしかない。車を買えない状況がある。
【0004】
また、これら三輪タクシーを使った中間的公共交通手段は、生活の知恵に基づいた柔軟で使い勝手の良いシステムという面がある一方で、管理が非近代的であるほか老朽化した車両を使い続けることによる安全性や大気汚染なども問題、さらには低賃金により運転手が貧困から抜け出せないなどの問題もある。
【0005】
また、ITの進化によるデータ社会の到来で、与信の尺度はこれからますます多様になる。運行データ以上に裾野が広く、有望視されるのがスマートフォンである。博報堂の調査によると、マニラで暮らす消費者のスマホの保有率は16年時点で88.9%であって、所得水準を踏まえると東南アジアでは高い水準である。興味のある商品について調べた検索情報、友人と情報を共有したSNSでのやり取り、朝起きてから夜寝るまで、消費者の生活ぶりをダイレクトに映し出すスマートフォンから得られるデータは幅が広くて深い。こうした膨大なデータをAI(人工知能)で分析すれば、信用力の尺度はより精緻になる。そんな考えのもと、従来とは違う観点から金融サービスを提供する企業も出てきている。
【0006】
また、従来では、特許文献1に開示されているように、サーバから車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替えるリレー制御指令を受信する通信手段と、少なくとも車両動力のオンオフ状態を検出する車両情報検出手段と、車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替える外部リレーを制御するリレー入出力手段と、前記リレー制御指令に基づき外部リレーを制御する車両情報連動制御手段と、を有する車載器において、前記車両情報連動制御手段は、前記車両情報検出手段により検出された車両動力のオンオフ状態が変更されてからの経過時間に基づいて、リレー制御指令の採用の可否を決定することを特徴とする車載器が存在する。
【0007】
また、特許文献2に開示されているように、車両の起動状態を管理するサーバと、前記サーバから提供される前記車両の起動状態を制御する制御指令に基づき前記車両の起動状態を制御する車載器と、を含む車両起動制御システムであって、前記車載器は前記制御指令により前記車両の起動可能状態と起動不可状態とを切り替えるリレー制御手段を備え、前記リレー制御手段は通信手段、携帯端末及びICカードを含む複数の手段のいずれからの制御指令によっても、前記車両を起動可能状態から起動不可状態、又は、起動不可状態から起動可能状態に切り替えることが可能であり、前記サーバは、金融システムにアクセス可能に接続されており、前記車両に関する前記金融システムを介しての所定の料金の支払い状態を監視可能であり、前記サーバは、前記車両に関して所定の料金が支払われたことを検知した場合には、前記通信手段、前記携帯端末、及び、前記ICカードを含む複数の手段のいずれかの手段を介して、前記車両を起動不可状態から起動可能状態に切り替えるための制御指令を前記車載器に提供することを可能にすることにより、前記車両の起動状態を制御することを特徴とする車両起動制御システムが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6238038号公報
【特許文献2】特許第6476407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1及び特許文献2の場合、例えば、銀行口座保有率が約3割にしか満たない例えばフィリピン等の経済環境の中、三輪タクシー(電気自動車)を購入したくても年間所得の低いBOP(Base of Pyramido)層の国民は銀行の与信が得られないことから、ローンを組むことができず、容易には購入できないという人々が後を絶たない。この深刻な社会問題を解決するために持続可能な事業を構築しなければ、いかに良い車を作ろうとも普及せず、社会の変革を実現することは困難である。
【0010】
ただ、年間所得の低いBOP層が国民の大半を締める例えばフィリピン等で就業の意欲があれば、低所得者でもローンを組むことができれば真面目に働き生活を豊かにし、充分にローン返済が可能になるという人々へ希望と活躍の機会を創出することができる。日本でも伝統的な自動車ローンは、申し込んだ人の過去の信用情報にキズがあれば融資を断る。その結果、日本の人口の1・5%に当たる車が欲しくても買えない190万人の潜在的な借り手たちがいる。
【0011】
そこで、本発明の一実施形態として、真面目に働く人が正しく評価される仕組みを提案すべく、海外からの転入者、コンビニ等の非正規社員、母子家庭の専業主婦、携帯電話料金の滞納者等を含む通常の銀行融資の与信を得られない経済的弱者であって低所得者でも容易にローンを組むことで、三輪タクシーや電気自動車等のローン対象車両およびローン対象設備を購入することができ、就業の意欲があればローン対象設備、車両によって安定した収入が得られると同時に、積み重ねた過去の弁済実績データと稼働状況から毎週の弁済額や期間変更に対応できる可変返済の仕組みを有し、利用者に有利なローン返済ができるものとした稼働データ連動型システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る稼働データ連動型システムは、サービス提供者側サーバと、利用者の設備物品に搭載した通信制御ユニットと、がネットワーク網を介して双方向通信可能に接続され、前記サービス提供者側サーバは前記通信制御ユニットによって前記設備物品の稼働状況と位置情報をリアルタイムで常時遠隔管理し、利用者が前記設備物品のローンの弁済時に支払いが不可能の情報が入力された場合、前記サービス提供者側サーバは前記通信制御ユニットに備えた遠隔起動制御手段により、稼働情報と位置情報から前記設備物品の稼働を不可にしても良い状況確認後に当該設備物品の稼働を不可にする稼働データ連動型システムであって、前記サービス提供者側サーバは、積み重ねた過去の弁済実績データと稼働状況から毎週の弁済額や期間変更に対応できる可変返済の仕組みを導入し、利用者に有利なローン返済ができるものとしたことを特徴とする。
【0013】
本構成によれば、一実施形態として、万が一貸し倒れが生じても、リアルタイムで設備物品の現在位置を特定して確実に回収することができる。しかもリスクが少なく貸金を回収することができるようになれば、信用不安であった顧客層に対しても、低リスクで安全なローン提供が可能となる。また、設備物品の稼働を不可にしても良い状況確認後に当該設備物品の稼働を不可にするので、設備物品を安全に回収することができる。また、可変返済の仕組みによって、利用者は無理のない返済が可能となり、適正な金利でローンを利用することができるため、利用者による次のローン活用へと繋がっていく持続可能性を担保することができる。
【0014】
本発明の第2の態様として、サービス提供者側サーバと、ファイナンス企業サーバとローン提携した利用者の設備物品に搭載した通信制御ユニットと、がネットワーク網を介して双方向通信可能に接続され、前記サービス提供者側サーバは前記通信制御ユニットによって前記設備物品の稼働状況と位置情報をリアルタイムで常時遠隔管理し、前記ファイナンス企業サーバに対し利用者が前記設備物品のローンの弁済時に支払いが不可能の情報が入力された場合、前記サービス提供者側サーバは前記通信制御ユニットに備えた遠隔起動制御手段により、稼働情報と位置情報から前記設備物品の稼働を不可にしても良い状況確認後に当該設備物品の稼働を不可にする稼働データ連動型システムであって、前記サービス提供者側サーバは前記ファイナンス企業サーバと決済連携するとともに、前記サービス提供者側サーバは前記ファイナンス企業サーバに利用者の与信データと働き方情報を提供し、ファイナンス企業に対し、積み重ねた過去の弁済実績データと稼働状況から毎週の弁済額や期間変更に対応できる可変返済の仕組みを導入し、利用者とファイナンス企業の双方に有利なローン返済ができるものとしたことを特徴とする稼働データ連動型システム。
【0015】
本構成によれば、一実施形態として、万が一貸し倒れが生じても、リアルタイムで設備物品の現在位置を特定して確実に回収することができる。しかもリスクが少なく貸金を回収することができるようになれば、金融機関は信用不安であった顧客層に対しても、低リスクで安全なローン提供が可能となる。また、設備物品の稼働を不可にしても良い状況確認後に当該設備物品の稼働を不可にするので、設備物品を安全に回収することができる。また、可変返済の仕組みによって、利用者は無理のない返済が可能となり、適正な金利でローンを利用することができるため、利用者による次のローン活用へと繋がっていく持続可能性を担保することができる。
【0016】
本発明の第3の態様として、上記第1の態様において、前記遠隔起動制御手段は、利用者が前記設備物品のローンの弁済時を過ぎた時点で支払いを行った情報をサービス提供者側サーバが入手後に、前記設備物品の稼働を再起動する。
【0017】
本構成によれば、一実施形態として、返済遅延率を劇的に軽減させることができる。しかも、万が一貸し倒れが生じた際には、エンジンの遠隔起動制御手段の実行とリアルタイムでの現在位置特定により、確実にローン対象車両を回収することができる。
【0018】
本発明の第4の態様として、上記第2の態様において、前記遠隔起動制御手段は、利用者が前記設備物品のローンの弁済時を過ぎた時点で支払いを行った情報を前記ファイナンス企業サーバが入手し、前記ファイナス企業サーバから前記サービス提供者側サーバが稼働指示情報を入手後に、前記設備物品の稼働を再起動する。
【0019】
本構成によれば、一実施形態として、ファイナンス企業が提携するコンビニやATM等にて入金の確認ができるまで設備物品の稼働を停止するので、返済遅延率を劇的に軽減させることができる。しかも、万が一貸し倒れが生じた際には、エンジンの遠隔起動制御手段の実行とリアルタイムでの現在位置特定により、確実にローン対象車両を回収することができる。
【0020】
本発明の第5の態様として、上記第1、第2の態様において、利用者の稼働状況に応じて、返済スケジュールを可変にする。
【0021】
本構成によれば、一実施形態として、例えば、病気や怪我などで一時的に稼働状態が悪くなった場合、返済期間を延長することができる。あるいは、しっかり稼いで、稼働データが当初のローン設定時に設定した値よりも高い状態を確認することで返済期間を短縮することもできる。
【0022】
本発明の第6の態様として、上記第1、2、3、4の態様において、前記設備物品はローンを組んで購入したローン対象車両であり、前記遠隔起動制御手段は、前記ローン対象車両の稼働を不可にするとき、前記ローン対象車両を安全な場所でエンジンをストップさせる。
【0023】
本構成によれば、一実施形態として、万が一貸し倒れが生じた際には、エンジンの遠隔起動制御手段の実行とリアルタイムでの現在位置特定により、確実にローン対象車両を回収することができる。
【0024】
本発明の第7の態様として、上記第1,2,3,6のいずれかの態様において、前記遠隔起動制御手段は、前記設備物品の稼働データから状況を確認して停止させることができるものとした。
【0025】
本構成によれば、一実施形態として、前記設備物品を急に停止するのではなく、稼働データから状況を確認して停止させるため、前記設備物品を安全に回収することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、銀行融資の与信を得られない経済的弱者であって低所得者でも容易にローンを組むことで、三輪タクシーや電気自動車等のローン対象車両およびローン対象設備を購入することができ、就業の意欲があればローン対象設備、車両によって安定した収入が得られると同時に、積み重ねた過去の弁済実績データと稼働状況から毎週の弁済額や期間変更に対応できる可変返済の仕組みを有し、利用者に有利なローン返済ができるものとした稼働データ連動型システムを構築可能にする。また、本発明の稼働データ連動型システムは、保険や学資ローンなどへの応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る稼働データ連動型システムのフローチャート図である。
図2】本発明の一実施形態に係る稼働データ連動型システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る稼働データ連動型システムについて詳細に説明する。本実施形態では、経済的弱者であって低所得者でも容易にローンを組むことで三輪タクシーや電気自動車等のローン対象車両Pを購入することができ、就業の意欲があれば三輪タクシーや電気自動車によって安定した収入が得られる仕組みである。
【0029】
稼働データ連動型システムは三輪タクシーや電気自動車を始めとするあらゆるモビリティの遠隔起動制御とセンシングを可能にする独自開発のIoTデバイス「MCCS(Mobility−Cloud Connecting System)、センシングした情報の蓄積・分析・解析を行うとともに、Open APIを通じて外部の多様なシステムとの連携を実現する独自開発のクラウド上のプラットフォームシステム「MSPF(Mobility Service Platform)」を用いて、金融機関(ファイナンス企業)に対し「車さえあれば仕事をすることができるにも関わらずローンを組むことができず、仕事に従事できない」という就業に意欲のある人々を対象に、低リスクで安全なローンを提供できるようになる画期的なサービスを提供する。また、運行データを細かく記録・分析できるツールがあれば、借り手の資産の多寡ではなく、継続的に働き、安定したキャッシュフローを生み出せるかどうかという新しい観点から信用力を測れる。
【0030】
本実施形態の稼働データ連動型システムは、図1および図2に示すように、サービス提供者側サーバ1と、金融機関であるファイナンス企業サーバ2とローン提携した利用者のローン対象車両(設備物品)Pに搭載したIoTデバイスである通信制御ユニット4と、がネットワーク網3を介して双方向通信可能に接続されている。すなわち、ローン対象車両(設備物品)PにIoTデバイス「MCCS」を搭載することを条件に、ファイナンス企業サーバ2は利用者へローン(融資)を提供する(図1中、経路a参照)。それにより利用者は車を活用して日々仕事に従事し、充分な稼ぎを得た上でローン返済を行う(図1中、経路b参照)。
【0031】
サービス提供者側サーバ1は通信制御ユニット4によってローン対象車両(設備物品)Pの稼働状況と位置情報をリアルタイムで常時遠隔管理(監視)する。すなわち、サービス提供者側サーバ1はエンジンの遠隔操作だけではなく、通信制御ユニット4にGPS(全地球測位システム)機能も備えており、ローン対象車両(設備物品)Pがどの地区をどれだけの時間走っているか、リアルタイムで把握できる。そして、サービス提供者側サーバ1はファイナンス企業サーバ2と決済連携する情報とともに、サービス提供者側サーバ1はファイナンス企業サーバ2に利用者の与信データと働き方情報(稼働状況情報を積算したデータ)を提供する。
【0032】
また、ファイナンス企業サーバ2に対し利用者がローン対象車両(設備物品)Pのローンの弁済時に支払いが不可能の情報が入力された場合、サービス提供者側サーバ1にエンジン停止の依頼を受けて(図1中、経路c参照)、サービス提供者側サーバ1は通信制御ユニット4に備えた遠隔起動制御手段5により、ローン対象車両の稼働を停止にしても良い状況確認後に当該ローン対象車両の稼働を停止にする(図1中、経路d参照)。すなわち、ローン対象車両の稼働を停止にするとき、ローン対象車両を安全な場所でエンジンをストップさせる。また、遠隔起動制御手段5は、設備物品の稼働データをみて停止した状態からの起動を制限する。
【0033】
例えばローンを組んだ当初は週6日だった稼働が、週3日まで落ち込んでいたら黄信号。サービス提供者は運転手に連絡し、事情を聞き取る。「風邪を引いていた」あるいは「冠婚葬祭で帰省していた」なら問題ないが、これといった理由がない場合は要注意。その運転手は働く意欲にムラがあり、将来的にローンの返済が行き詰まる可能性があると推測できる。こうした場合、サービス提供者は位置情報を参考に運転手の元を訪問し、支払いに不安がないか面談を実施する。こうした仕組みを整えた結果、貸し倒れ率は0.9%になり、これは従来型ローンの20分の1という低水準となる。
【0034】
遠隔起動制御手段5は、利用者がローン対象車両(設備物品)Pのローンの弁済時を過ぎた時点で支払いを行った場合に、ローン対象車両(設備物品)Pの稼働を再起動する。すなわち、前記したようにローン返済の遅延が生じた際は、ファイナンス企業サーバ2は、サービス提供者側サーバ1にエンジン停止依頼の情報を送り、サービス提供者側サーバ1は、遠隔起動制御手段5によって、ローン対象車両(設備物品)Pのエンジンを停止させるのであるが、利用者が返済遅延金を入金した際(図1中、経路e参照)には、ファイナンス企業サーバ2は、サービス提供者側サーバ1に入金確認後のエンジン停止解除依頼の情報を送り(図1中、経路f参照)、サービス提供者側サーバ1は通信制御ユニット4に備えた遠隔起動制御手段5によってエンジン停止の解除を行う(図1中、経路g参照)。
【0035】
このように遠隔制御によりエンジン起動が制御され、サービス提供者側サーバ1またはファイナンス企業サーバ2が提携した全国のコンビニやATM等にて入金すると直ちにエンジン起動制御が解除される自動決済システム連携により、返済遅延率を劇的に軽減させる。万が一貸し倒れが生じた際は、エンジン起動制御中の車の現在位置を特定し、確実に回収ができる仕組みとしており、これにより従来金融機関は信用不安であった顧客層に対しても、低リスクで安全なローンの提供が可能になる。
【0036】
また、ファイナンス企業サーバ2に対し、積み重ねた過去の弁済実績と稼働状況から毎週の弁済額や期間変更に対応できる可変返済の仕組みにより支払が行われた際には、前記遠隔起動制御手段5によって設備物品の稼働を再起動する。可変返済の仕組みとは、例えば毎月の返済金額が1万円で返済期間3年の場合、金額を8000円に下げて期間を5年にする等、利用者に対し無理のない返済を可能にするよう新規契約を締結する。
【0037】
以上、説明したように、本実施形態では、銀行融資の与信を得られない経済的弱者であって低所得者でも容易にローンを組むことで三輪タクシー(電気自動車)を購入することができ、就業の意欲があれば三輪タクシー(電気自動車)によって安定した収入が得られる。
【0038】
また、他の例としては、本実施形態に係る稼働データ連動型システムは、保険や学資ローンなどへの応用も可能である。すなわち、保険や学資ローンなどを契約する利用者の携帯端末に前記通信制御ユニット4を内蔵したアプリをインストールさせる。サービス提供者側サーバ1と、ファイナンス企業サーバ2と、はネットワーク網3を介して双方向通信可能に接続され、サービス提供者側サーバ1は利用者の保険の掛け金支払状況や学資ローンの弁済状況を通信制御ユニット4によって常時管理し、ファイナンス企業サーバ2に対し利用者が保険の掛け金支払時や学資ローンの弁済時に支払いが不可能の情報が入力された場合、サービス提供者側サーバ1は、通信制御ユニット4に備えた遠隔起動制御手段5によって保険や学資ローンの契約を不可にする。ただ、ファイナンス企業サーバ2に対し、積み重ねた過去の掛け金の支払いや弁済時の実績から毎月の掛け金額・弁済額や期間変更に対応できる可変返済の仕組みにより支払が行われる際には、前記通信制御ユニット4に備えた遠隔起動制御手段5によって保険や学資ローンの契約を新しい契約に替わって再開する。
【0039】
また、上記した稼働データ連動型システムは、これを記憶したROMに記憶させるプログラムとしても良く、また、事前にROMに記憶させるのではなく、適宜の記録媒体に記録しておいても良い。
【0040】
なお、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【0041】
例えば、ファイナンス企業が、ローン返済金が変動することを受け入れない場合、サービス提供者が自ら車のローン提供者となり、稼働状況によって変動するローン返済金を吸収する。
【0042】
また、稼働状況に応じて、返済期間をダイナミックに変更する(返済期間を延長するだけでなく、短縮する)こともできる。例えば、病気や怪我などで一時的に稼働状態が悪くなった場合、返済期間を延長することができる。あるいは、しっかり稼いで、返済期間を短縮することもできる。また、稼働状況に応じた返済期間・1回あたりの返済額の計算までサービス提供者側サーバで実施し、その計算結果だけをローン提供者であるファイナンス企業サーバ2へ伝えることもできる。
【符号の説明】
【0043】
P ローン対象車両(設備物品)
1 サービス提供者側サーバ
2 ファイナンス企業サーバ
3 ネットワーク網
4 通信制御ユニット
5 遠隔起動制御手段
&#8195;
【要約】
年間所得の低いBOP層が国民の大半を締める新興国で容易に三輪タクシーを購入することができるようにする。サービス提供者側サーバ1は通信制御ユニット4によって設備物品の稼働状況と位置情報をリアルタイムで常時遠隔管理し、利用者が設備物品のローンの弁済時に支払いが不可能の情報が入力された場合、サービス提供者側サーバ1は通信制御ユニットに備えた遠隔起動制御手段5により、位置情報と稼働情報から設備物品の稼働を不可にしても良い状況確認後に当該設備物品の稼働を不可にし、前記サービス提供者側サーバは、積み重ねた過去の弁済実績データと稼働状況から毎週の弁済額や期間変更に対応できる可変返済の仕組みを導入し、利用者に有利なローン返済ができるものとした。
図1
図2