特許第6840432号(P6840432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840432
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/722 20060101AFI20210301BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20210301BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20210301BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20210301BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   C11D1/722
   C11D3/20
   C11D3/43
   C11D17/08
   A47L15/42 Z
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-232581(P2016-232581)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-90661(P2018-90661A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信行
(72)【発明者】
【氏名】大谷 孝
【審査官】 林 建二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−011385(JP,A)
【文献】 特開2004−035576(JP,A)
【文献】 特表2004−514608(JP,A)
【文献】 特表2004−534572(JP,A)
【文献】 特開2004−091686(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/048764(WO,A1)
【文献】 特開2014−005457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
A47L 15/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(A1)で表される非イオン界面活性剤〔以下、(A)成分という〕、(B)炭素数3又は4のグリコール及び炭素数6以上12以下のグリコールエーテルから選ばれる1種以上の溶剤〔以下、(B)成分という〕及び水を含有し、
(A)成分の含有量が2質量%以上20質量%以下である、機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物。
1a−O−[(EO)/(PO)]−H (A1)
[式中、R1aは炭素数9の分岐鎖の第1級アルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示し、mはEOの平均付加モル数を示し、nはPOの平均付加モル数を示し、mは以上10以下、nは以上以下の数である。“/”はEOとPOがランダムでもブロックでもよいことを示し、EOとPOの付加順序は問わない。]
【請求項2】
(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が0.5/9.5以上8/2以下である、請求項1記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物。
【請求項3】
(B)成分の含有量が、10質量%以上40質量%以下である、請求項1又は2記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物。
【請求項4】
(B)成分がジエチレングリコールモノブチルエーテルである、請求項1〜3の何れか1項記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物。
【請求項5】
1aが炭素数9の、主鎖の鎖端から2番目の炭素原子にメチル側鎖を有する第1級アルキル基である、請求項1〜4の何れか1項記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に、エタノールを含有する、請求項1〜5の何れか1項記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物。
【請求項7】
下記工程1の終了後、下記工程2を行う、食器の洗浄方法。
工程1:請求項1〜6の何れか1項記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を水で希釈した処理液で、食器を手洗い又は浸漬洗浄又は噴霧洗浄する工程
工程2:機械洗浄機を用いて、工程1で洗浄した食器を洗浄する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物、及び食器の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設、病院、介護施設、学校、事業所などで食器類を洗浄する場合、大量の食器類を短時間で洗浄するのに適した、いわゆる業務用自動食器洗浄機が用いられる。業務用自動食器洗浄機を用いた米飯等の食器の洗浄では、手洗い用食器洗浄剤を希釈した溶液に食器を浸漬した後、スポンジを用いた予備洗いを行う。又、より効率化を図る為、連続洗浄槽を有するコンベアー型が用いられた予備洗いを行う。その後、業務用自動食器洗浄機での洗浄が行われる。
【0003】
特許文献1は、デンプン洗浄力、油脂洗浄力、及び再汚染防止力が良好であり、デンプン分解酵素活性を低下させることなく、保存安定性に優れることを課題として、(A)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル6質量%〜40質量%、(B)デンプン分解酵素、(C)酵素安定化剤、(D)可溶化剤、及び(E)pH調整剤、を含有することを特徴とする前浸漬用洗浄剤組成物を開示している。
特許文献2は、低泡性でありながら、高い洗浄性能と貯蔵安定性等を有するとともに、いかなる希釈倍率においてもゲル化することがなく、食器・調理器具の手洗い洗浄作業はもとより、自動洗浄作業に先立つ前浸漬槽や予洗槽で用いるのに好適な液体濃縮中性洗浄剤組成物を提供することを課題として、特定の非イオン界面活性剤(A)、(B)と、ステアリン酸(C)と、水溶性溶剤(D)と、水(E)を含有し、上記(A)成分と(B)成分の組成物全体に対する含有割合の合計が63〜75質量%に設定され、かつ原液のpHが6.0〜7.5であることを特徴とする液体濃縮中性洗浄剤組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−11385号公報
【特許文献2】特表2004−35576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、機械洗浄する際のデンプン汚れ洗浄力が高く、透明安定性に優れ、低温での泡立ちが抑制された機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物、及びこれを用いた食器の洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)下記一般式(A1)で表される非イオン界面活性剤〔以下、(A)成分という〕、(B)炭素数3又は4のグリコール及び炭素数6以上12以下のグリコールエーテルから選ばれる1種以上の溶剤〔以下、(B)成分という〕及び水を含有する、機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物に関する。
1a−O−[(EO)/(PO)]−H (A1)
[式中、R1aは炭素数6以上18以下の分岐鎖の第1級アルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示し、mはEOの平均付加モル数を示し、nはPOの平均付加モル数を示し、mは1以上30以下、nは2以上50以下の数である。“/”はEOとPOがランダムでもブロックでもよいことを示し、EOとPOの付加順序は問わない。]
【0007】
また、本発明は、下記工程1の終了後、下記工程2を行う、食器の洗浄方法に関する。
工程1:前記機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を水で希釈した処理液で、食器を手洗い又は浸漬洗浄又は噴霧洗浄する工程
工程2:機械洗浄機を用いて、工程1で洗浄した食器を洗浄する工程
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、機械洗浄する際のデンプン汚れ洗浄力が高く、透明安定性に優れ、低温での泡立ちが抑制された機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物、及びこれを用いた食器の洗浄方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者等は、特定の非イオン界面活性剤である(A)成分と、特定の溶剤である(B)成分を特定量用いることで、機械洗浄する際のテンプン汚れ洗浄力や低温での抑泡性に優れると共に、透明安定性を高めることができる機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を見出した。
【0010】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、優れた洗浄力を有し、食器を前洗浄した後、すすぎ工程を必ずしも必要とせずに、機械洗浄機を用いて該食器を洗浄することができる。
この機械洗浄前の洗浄における高い洗浄力、及びその後のすすぎ工程の省略により、掛かる労力の低減および時間短縮を実現できる。また、すすぎ工程を有さないことで、本発明の組成物が洗浄機に持ち込まれて機械洗浄が行われるが、そのようにして持ち込まれた本発明の組成物も洗浄力の向上に貢献するため、十分な洗浄が可能となり、機械洗浄機用の洗浄剤の削減または削除ができ、さらには洗浄時間短縮も可能となる。つまりは、洗浄工程全体での労力、時間、ひいてはトータルコストの低減が実現できる。
【0011】
〔機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物〕
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、下記一般式(A1)で表される非イオン界面活性剤である。(A1)成分は、デンプン汚れ洗浄性、透明安定性、低温での抑泡性、濡れ性の観点から好ましい成分である。
1a−O−[(EO)/(PO)]−H (A1)
[式中、R1aは炭素数6以上18以下の分岐鎖の第1級アルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示し、mはEOの平均付加モル数を示し、nはPOの平均付加モル数を示し、mは1以上30以下、nは2以上50以下の数である。“/”はEOとPOがランダムでもブロックでもよいことを示し、EOとPOの付加順序は問わない。]
【0012】
一般式(A1)中のR1aは、炭素数6以上18以下の分岐鎖の第1級アルキル基である。ここで、分岐鎖の第1級アルキル基には、第2級アルキル基は含まれない。分岐鎖の第1級アルキル基とは、分岐鎖を有する第1級アルコールから水酸基を除去した残基であり、一般式(A1)中のR1aO−においてO−と結合するR1aの炭素原子が第1級炭素原子となっている。また第2級アルキル基とは、第2級アルコールから水酸基を除去した残基であり、一般式(A1)中のR1aO−においてO−と結合するR1aの炭素原子が第2級炭素原子となっている。
1aの炭素数は、洗浄性と低温抑泡性の観点から、6以上、好ましくは7以上、より好ましくは8以上、そして、18以下、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9以下である。
1aは、炭素数6以上18以下の、主鎖の鎖端から2番目の炭素原子にメチル側鎖を有する第1級アルキル基が好ましく、具体的には、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソトリデシル基等が挙げられる。主鎖の鎖端から2番目の炭素原子にメチル側鎖を有する第1級アルキル基とは、R1aO−において、主鎖中のO−と結合する炭素原子(即ち、α位の炭素原子)に対して、末端から2番目の炭素原子(即ち、ω2位の炭素原子)にメチル側鎖を有する第1級アルキル基である。
第1級アルキル基の主鎖の鎖端から2番目の炭素原子にメチル側鎖を有することは、13C-NMRにより確認できる。
【0013】
また、一般式(A1)中、EOの平均付加モル数mは、低温抑泡性の観点から、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは5.8以上であり、そして、デンプン汚れ洗浄性の観点から、30以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは9以下である。
【0014】
また、一般式(A1)中、POの平均付加モル数nは、低温抑泡性の観点から、2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは4.5以上、より更に好ましくは4.8以上であり、そして、デンプン汚れ洗浄性の観点から、50以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7以下、より更に好ましくは6以下、より更に好ましくは5.2以下である。
【0015】
また、一般式(A1)中、EOとPOの付加順序は、ランダム付加でもブロック付加であってもよいが、低温抑泡性の観点から、ランダム付加であることが好ましい。
【0016】
一般式(A1)の非イオン界面活性剤の具体例としては、
ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(9)イソヘプチルエーテル
ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(9)イソオクチルエーテル
ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(9)イソノニルエーテル
ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(9)イソオクチルエーテル
ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(9)イソデシルエーテル
ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(9)イソトリデシルエーテル
ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(7)イソノニルエーテル
ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(11)イソノニルエーテル
から選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、低温抑泡性の観点から、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(11)イソノニルエーテル及びポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(9)イソノニルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(9)イソノニルエーテルがより好ましい。
( )内はエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基の平均付加モル数である。
【0017】
一般式(A1)の非イオン界面活性剤の重量平均分子量は、デンプン汚れ洗浄性、抑泡性、濡れ性の観点から、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、そして、好ましくは1200以下、より好ましくは1000以下である。
【0018】
一般式(A1)の非イオン界面活性剤は、R1aOH(R1aは前記式(A1)のR1aと同じである。)に、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを、それぞれ所定量付加重合させることにより得ることができる。
【0019】
一般式(A1)の非イオン界面活性剤は、例えば「プルラファック」の商品名でBASF(株)から入手可能である。
【0020】
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、炭素数3又は4のグリコール及び炭素数6以上12以下のグリコールエーテルから選ばれる1種以上の溶剤である。(B)成分は、透明安定性の観点から好ましい成分である。
(B)成分は、透明安定性の観点から、好ましくは炭素数6以上12以下のグリコールエーテルである。
【0021】
炭素数3のグリコールとしては、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールから選ばれる1種以上が挙げられ、透明安定性の観点から、好ましくは1,2−プロパンジオールである。尚、炭素数3のグリコールには、エーテル結合は含まれない。
【0022】
炭素数4のグリコールとしては、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、及び1,4−ブタンジオールから選ばれる1種以上が挙げられ、透明安定性の観点から、好ましくは1,3−ブタンジオール、及び1,2−ブタンジオールから選ばれる1種以上であり、より好ましくは1,3−ブタンジオールである。尚、炭素数4のグリコールには、エーテル結合は含まれない。
【0023】
炭素数6以上12以下のグリコールエーテルの炭素数は、透明安定性の観点から好ましくは8以上であり、また、好ましくは10以下である。尚、炭素数は、グリコールエーテルの総炭素数である。
【0024】
炭素数6以上12以下のグリコールエーテルは、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数2又は3のグリコールのポリエーテル、あるいは前記グリコール若しくは前記ポリエーテルに、アルキル基が、1つエーテル結合したモノアルキルエーテル化合物が好ましい。
モノアルキルエーテルのアルキル基としては、好ましくは炭素数1以上4以下であり、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基である。各種とは、ノルマル、イソ、ターシャリーを含む。
【0025】
炭素数6以上12以下のグリコールエーテルの具体例としては、3−メチル−3−メトキシブタノール(炭素数6)、エチレングリコールモノブチルエーテル(炭素数6)、ジプロピレングリコール(炭素数6)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(炭素数8)、ジブチレンジグリコール(炭素数8)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(炭素数10)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(炭素数10)等が挙げられ、透明安定性の観点から、好ましくはジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
【0026】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、透明安定性の観点より、2種類以上の(B)成分を組み合わせることが好ましい。2種類以上の(B)成分の組み合わせとしては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルと炭素数3又は4のグリコールの組み合わせが好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルと炭素数3のグリコールとの組み合わせがより好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルとプロピレングリコールとの組み合わせがより更に好ましい。
【0027】
<エタノール>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、透明安定性の観点から、エタノールを含有することが好ましい。
【0028】
<水>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、水を含有する。水は、組成物の残部となる量で用いられる。水は、イオン交換水又は蒸留水を用いることが出来る。また、水を殺菌又は滅菌する目的から少量の塩素を含有してもよい。本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、液体が好ましい。
【0029】
<その他の成分>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、pH調整剤、増粘剤、粘度調整剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、抑泡剤、漂白剤、漂白活性化剤、酵素などの成分(ただし、(A)成分及び(B)成分を除く)を配合することができる。
【0030】
<組成等>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(A)成分、(B)成分、及び水を、所定の比率で配合してなることが好ましい。
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(A)成分を、デンプン汚れ洗浄性の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、透明安定性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下含有する。
【0031】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(B)成分を、透明安定性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、そして、原料コスト低減の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下含有する。
【0032】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(B)成分として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(b−1)と炭素数3又は4のグリコール(b−2)を組み合わせる場合、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(b−1)の含有量と炭素数3又は4のグリコール(b−2)の含有量の質量比(b−2)/(b−1)は、透明安定性の観点から、好ましくは5/5以下であり、より好ましくは4/6以下であり、デンプン汚れ洗浄性の観点から、好ましくは0.5/9.5以上である。
【0033】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、デンプン汚れ洗浄性及び透明安定性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上、そして、抑泡性及び透明安定性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
【0034】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、デンプン汚れ洗浄性の観点から、好ましくは0.5/9.5以上、より好ましくは1/9以上、更に好ましくは1.5/8.5以上、そして、透明安定性の観点から、好ましくは8/2以下、より好ましくは6/4以下、更に好ましくは5/5以下である。
【0035】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、エタノールを、透明安定性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、経済性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下含有する。
【0036】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、水を、原料コスト低減及び溶解性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、そして、非イオン性界面活性剤及び溶剤を簡便に配合する観点から、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下、より更に好ましくは73質量%以下含有する。
【0037】
<pH>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、安全性観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8以下である。pHは、JIS K 3362:2008 8.3の記載に準じて測定することができる。
【0038】
<粘度>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の25℃における粘度は、使用時の取り扱いの観点から、好ましくは200mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下であり、そして、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上である。粘度は、JIS Z 8803:2011の記載に準じて測定することができ、具体的には、TOKIMEC社製B型粘度計を用いて、ローター:No.1、回転数:30rpmの条件で測定することができる。
【0039】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(A)成分,(B)成分及び水を配合して得ることが好ましい。
また本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、透明安定性の観点から、更にエタノールを配合して得ることが好ましい。
【0040】
<機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の製造方法>
本発明は、(A)成分と、(B)成分と、水とを混合する機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の製造方法を提供する。この製造方法により、(A)成分、(B)成分及び水を含有する、機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物が製造される。
また本発明は、(A)成分と、(B)成分と、エタノールと、水とを混合する機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の製造方法を提供する。この製造方法により、(A)成分、(B)成分、エタノール及び水を含有する、機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物が製造される。
【0041】
これら本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の製造方法に用いられる(A)成分、(B)成分の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物で述べたものと同じである。
また本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物で述べた(A)成分、(B)成分、エタノール及び水の含有量、並びに(A)成分と(B)成分の合計含有量は、含有量を混合量と読み替えて、本発明の機械洗浄前洗い用洗浄剤組成物の製造方法に適用することができる。
また本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物で述べた(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)は、各成分の含有量を混合量と読み替えて、本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の製造方法に適用することができる。
【0042】
〔食器の洗浄方法〕
本発明の洗浄剤組成物は、機械式洗浄機、即ち、自動食器洗浄機による洗浄前の処理剤組成物として用いるものである。
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を用いる前処理の洗浄方法としては、例えば、(1)該組成物を含む可撓性材料、例えば、該組成物と水とを含むスポンジ等の可撓性道具で、食器の硬質表面を洗浄する手洗い洗浄法、(2)該組成物を含む浸漬洗浄剤中に、硬質表面を有する物品(例えば、セラミック又はプラスチックの食器)を浸漬させる浸漬洗浄法、(3)該組成物を、食器に、例えばスプレー等で、噴霧又は塗布して接触させる洗浄法などが挙げられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
(1)の食器を手洗い洗浄する場合は、スポンジに含まれる水で希釈された後の該洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
(2)の浸漬洗浄する場合は、浸漬洗浄剤中、該洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
(3)のスプレー等で噴霧洗浄する場合は、噴霧洗浄剤中、該洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0043】
本発明の好ましい洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物で、食器を手洗い洗浄、浸漬洗浄又は噴霧洗浄する工程と、該食器を機械により洗浄する工程とを有する。以下、より具体的な洗浄方法について説明する。
【0044】
本発明は、下記工程1の終了後、下記工程2を行う、食器の洗浄方法に関する。
工程1:本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を水で希釈した処理液で、食器を手洗い洗浄、浸漬洗浄又は噴霧洗浄する工程
工程2:機械洗浄機を用いて、工程1で洗浄した食器を洗浄する工程
【0045】
<工程1>
手洗い洗浄、浸漬洗浄、噴霧洗浄のいずれの場合も、工程1での処理液の温度は、洗浄力及び安全性の観点から、好ましくは70℃未満、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下、より更に好ましくは30℃以下、そして、好ましくは5℃以上である。
【0046】
工程1で、手洗い洗浄する場合は、水を含んだスポンジ等の可撓性材料で食器を洗浄することが好ましい。
工程1で手洗い洗浄する場合、処理液中の本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。この含有量となるように、本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を水で希釈する。
【0047】
工程1で、浸漬洗浄する場合、処理液中の本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。この含有量となるように、本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を水で希釈する。
工程1で、浸漬洗浄する場合、洗浄力の観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上、そして、同様の観点から、好ましくは120分以下、より好ましくは90分以下、更に好ましくは60分以下、より更に好ましくは30分以下、食器を処理液中に浸漬する。また浸漬の際、食器をスポンジ等で手洗いしても良い。すなわち、工程1は、前記処理液で食器を手洗い洗浄及び浸漬洗浄する工程であってもよい。この場合、手洗い洗浄と浸漬洗浄の順序や回数は問わない。
食器の浸漬は、処理液を収容した浸漬槽を用いて行うことができる。浸漬槽は、一般的にシンクと表現されているものを使用することができる。業務用で使用されるシンクの容積は、厨房に於ける洗浄室の広さにより異なるが、例えば、0.1m以上3m以下のものが挙げられる。食器は、処理液に完全に浸漬することが好ましい。食器を完全に浸漬する容積を有する浸漬槽と処理液の量を組み合わせることが好適である。
【0048】
工程1で、噴霧洗浄する場合、処理液中の本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。この含有量となるように、本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を水で希釈する。
工程1で、噴霧洗浄する場合、洗浄力の観点から機械洗浄機を用いた予備洗浄を行う事ができる。噴霧洗浄時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは2秒以上、更に好ましくは3秒以上、そして、同様の観点から、好ましくは120秒以下、より好ましくは90秒以下、更に好ましくは60秒以下、食器の噴霧洗浄を行う。すなわち、工程1は、前記処理液で食器を手洗い洗浄及び浸漬洗浄及び噴霧洗浄する工程であってもよい。食器の噴霧洗浄は、一般的な業務用機械洗浄機を用いて行うことができる。機械洗浄機は、アンダーカウンター型、ドアー型、コンベアー型と表現されているものを使用することができる。特には、浸漬槽を有するコンベアー型の使用が好ましく、食器表面に噴霧液を接触させる事が出来る、噴霧圧力の高い機械洗浄機を組み合わせることが好適である。
【0049】
<工程2>
工程2では、機械洗浄機を用いて、工程1で洗浄した食器を洗浄する。
工程2では、本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物が抑泡性に優れるため、工程2の前に工程1で洗浄した食器を水ですすぐ必要がない。
工程2で用いる機械洗浄機は、例えば自動食器洗浄機として知られている装置が挙げられる。自動食器洗浄機は、一般に市場で入手可能な自動食器洗浄機であればよく、家庭用自動食器洗浄機を用いることも可能であるが、好ましくは業務用自動食器洗浄機である。
また、工程2での洗浄条件は特に限定されず、洗浄剤の種類、洗浄温度、洗浄時間などは、自動食器洗浄機による公知の洗浄条件に準じて行うことができる。工程2で用いる洗浄液は、工程1で用いる処理液とは異なる組成であることが好ましい。
工程2では洗浄を40℃以上で行うことが好ましい。具体的には、工程2で用いる洗浄水の温度は、抑泡性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、そして、好ましくは90℃以下である。
【実施例】
【0050】
<機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の調製方法>
下記の成分を用いて、表1記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を、下記のように調製した。
【0051】
各成分の合計量が500gになる様に配合量を計算した。下記の順に500mLビーカーに各組成を投入し、攪拌機(TOKYO DRIKAKIKAI社製、TypeZ−2200)及び撹拌羽(3枚羽:直径4cm)を用い、回転数200(rpm/min)にて混合した。尚、調製温度は25℃から35℃の範囲にて調整した。
調製手順は、水に(B)成分及びエタノールを添加、撹拌し、均一になったところで、(A)成分を添加し、均一に撹拌した。撹拌し、均一になったところで、pHの調整を行った。pH調整は、水酸化ナトリウム又はクエン酸を添加することにより調整した。
【0052】
機械洗浄前洗い用洗浄剤組成物(原液)のpHは、安定性確保のために、25℃で7とした。pHは、「JIS Z 8802 7.2」のpH測定法により測定した。pHの測定には、堀場製作所製のpHメーター F−52を用いた。
【0053】
ここで、用いた成分は以下のものである。
・(A)成分
A−1:一般式(A1)中のR1aがイソノニル基、mが9、nが5.2、EOとPOがランダム付加体である非イオン界面活性剤、商品名「Plurafac LF901」(BASFジャパン株式会社製)
A−2:一般式(A1)中のR1aがイソノニル基、mが5.8、nが4.8、EOとPOがランダム付加体である非イオン界面活性剤、商品名「Plurafac LF900」(BASFジャパン株式会社製)
【0054】
・(A’)成分((A)成分の比較成分)
A’−1:一般式(A1)中のR1aが炭素数12〜14の第2級アルキル基、mが7.0、nが0の非イオン界面活性剤、商品名「ソフタノール70」(株式会社日本触媒製)
A’−2:一般式(A1)中のR1aが炭素数12〜14の第2級アルキル基、mが7.0、nが4.5の非イオン界面活性剤、商品名「ソフタノールEP7045」(株式会社日本触媒製)、EOとPOはこの順にブロック結合している。
A’−3:一般式(A1)中のR1aが炭素数12〜14の第2級アルキル基、mが7.0、nが8.5の非イオン界面活性剤、商品名「ソフタノールEP7085」(株式会社日本触媒製)、EOとPOはこの順にブロック結合している。
A’−4:一般式(A1)中のR1aが炭素数12の直鎖の第1級アルキル基、mが6.0、nが0の非イオン界面活性剤、商品名「エマルゲン106」(花王株式会社製)
A’−5:一般式(A1)中のR1aが炭素数12の直鎖の第1級アルキル基、mが8.0、nが0の非イオン界面活性剤、商品名「エマルゲン108」(花王株式会社製)
【0055】
・(B)成分
B−1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(炭素数8、商品名「BDG−NS」、日本乳化剤株式会社製)
B−2:1,2−プロパンジオール(炭素数3、商品名「プロピレングリコール」、旭硝子株式会社製)
B−3:ジプロピレングリコール(炭素数6、商品名「DPG−RF」、株式会社ADEKA製)
B−4:1,3−ブタンジオール(炭素数4、商品名「1,3ブチレングリコール」、株式会社ダイセル社製)
【0056】
<デンプン汚れ洗浄性の評価>
(1)直径12cm、高さ4.5cmで、側面からの形状が半円形状のメラミン製茶碗の内側に、炊飯器で炊いた米飯を、平面から見た茶碗の直径と重なるように幅3cm、長さ16cmの帯状で、米粒が残らない様に擦りつけた。米飯の温度は40±10℃であった。
(2)米飯を擦りつけたメラミン製茶碗を、25℃±5℃に調整された部屋で2時間放置し、擦りつけた米飯が乾燥、固化している事を触手で確認した。
(3)25℃の水800mLを、縦18.7cm、横12.8cm、高さ6.0cmのポリプロピレン製バットに入れ、表記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を0.8g投入し、処理液を調製した。処理液中の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の濃度は0.1質量%であった。
(4)茶碗を、米飯を擦りつけた面積の半分が浸かるように、処理液に5分間浸漬(工程1)後、取り出した。
(5)取り出した茶碗は1分以内に、1ドアタイプの業務用食器洗浄機(三洋電機株式会社製 SANYO DR53)にセットし、洗浄温度50℃、洗浄時間40秒、濯ぎ温度80℃、濯ぎ時間10秒の条件で洗浄した(工程2)。尚、洗浄機の洗浄液槽(38L)を、業務用自動食器洗浄剤(アクシャルニュースターAN:花王株式会社製)にて、濃度が0.15質量%になる様に予め洗浄液を調整している。又、この食器洗浄機では、洗浄中、洗浄液槽に収容された洗浄液の濃度は一定となるように制御されている。
(6)洗浄終了後、取り出した茶碗内側の米飯汚れの洗浄性確認の為、ヨウ素化デンプン反応を用いた着色度合にて確認した。
(7)ヨウ素溶液(試薬:0.01N)を、茶碗内側全体に噴霧した後、40℃±5℃の温水で10秒間すすぎ、浸漬部分の着色度合を目視にて判定した。デンプン汚れ除去性の評価は、下記に示す5段階の評価基準に従って評価した。結果を表1に示した。
5:浸漬部分に、極僅かに着色が認められる(極僅かに、デンプン汚れが残存。)。
4:浸漬部分に、僅かに着色が認められる。
3:浸漬部分に、着色が認められる。
2:浸漬部分に、多く着色が認められる。
1:浸漬部分に、非常に多く着色が認められる(機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を使用しないで洗浄した結果と同等である。)。
【0057】
<透明安定性の評価>
表記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を、100mlのガラス製容器(マルエム社製No8、40mm×120mm)に50ml入れ、緩やかに混合しながら昇温させた。昇温により外観が白濁状態になった後、冷却を行い透明になった温度を、アルコール温度計(0〜100℃)にて測定し、結果を表1に示した。透明になった温度が高いほど、透明安定性に優れる。尚、透明安定性に優れる組成物は、保存時の安定性にも優れる。
【0058】
<抑泡性の評価>
表記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を、イオン交換水にて0.3質量%に希釈した後、100mlのガラス製容器(マルエム社製No8、40mm×120mm)に30ml入れ密閉したものを該組成物ごとに2つ用意した。該組成物を密閉したガラス製容器の一方を5℃に、もう一方を25℃にそれぞれ調温した後、縦方向に20回振とうさせた。10秒間静置した後、泡の高さをそれぞれ測定した。
評価は、下記に示す5段階の評価基準に従って評価した。結果を表1に示した。
5:1mm未満
4:1mm以上5mm未満
3:5mm以上10mm未満
2:10mm以上20mm未満
1:20mm以上。
機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の5℃〜25℃の中低温領域において泡立ちが少なければ、工程1での浸漬洗浄時の前洗いにおいて、循環又はバブリングの際に於ける泡立ちを抑制できる為好ましい。更には、機械洗浄前洗い食器用洗浄剤組成物が付着した食器を機械洗浄する際の泡立ちを抑制できるため好ましい。より更には、噴霧洗浄に於いて直接機械洗浄機に投入して使用する事が出来るため好ましい。本評価は数字が大きい方が好ましい。
【0059】
<濡れ性の評価>
(1)表記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を、1ml計りとり1000mlのビーカーに投入した後、0.1質量%の希釈濃度になる様にトータルで1000mlの25℃の水道水を側壁に伝わらせながら注いだ。注ぎ終わった後、直径0.5cm/長さ20cmのガラス棒で表面に泡が立たない様に緩やかに混合した。5分間静置し表面の泡が無くなった事を確認した。
(2)綿ニット未精練布を2cm×2cmサイズに裁断した。用いる綿ニット未精練布は、天然由来の有機物汚れ及び無機物汚れが付着しているものを使用した。有機物汚れは、未精練布をジエチルエーテールにて抽出後、ガスクロマトグラフィー法での分析により、脂肪酸及びその塩が約33質量%、アルコール類(炭素数28〜30のアルコール化合物)約38質量%、エステル類が約21質量%、その他約8質量%が付着した物であった。無機物汚れはケルダール法での分析により、Caが1400〜1800ppm及びMgが500〜1100ppmが付着した物であった。
(3)表記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物0.1質量%希釈溶液に、2cm×2cmに裁断した前記綿ニット未精練布を静かに浮かべ、ビーカーの底に沈む迄の時間を計測した。これを、3回繰り返した平均時間を、下記に示す5段階の評価基準に従って評価した。結果を表1に示した。
5:30秒未満
4:30秒以上60秒未満
3:60秒以上90秒未満
2:90秒以上120秒未満
1:120秒以上
綿ニット未精練布がビーカーの底に沈む迄の平均時間が短いほど、濡れ性が高いことを示す。濡れ性が高いほど、洗浄力が高くなる傾向があり、本評価は、数字が大きい方が好ましい。
【0060】
【表1】
【0061】
表1中、比較例1〜5の(A)と(B)の合計含有量、及び質量比(A)/(B)は、(A)成分の含有量を(A’)成分の含有量に置き換えて算出した値である。