特許第6840570号(P6840570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840570
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】警報装置、および、警報システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20210301BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20210301BHJP
   G08B 13/191 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   G08B21/24
   G08B21/02
   G08B13/191
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-34864(P2017-34864)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-142094(P2018-142094A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠祐
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−235802(JP,A)
【文献】 特開2008−250927(JP,A)
【文献】 特開2015−200142(JP,A)
【文献】 特開2006−338601(JP,A)
【文献】 特開2015−206666(JP,A)
【文献】 特開2001−036893(JP,A)
【文献】 米国特許第6100803(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B13/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険区域の出入口付近に設置可能で、略三角柱状の構造を有する警報装置であって、
前記警報装置の2つの斜面のそれぞれに設けられ、人を検知し、互いに検知エリアの少なくとも一部が異なる第1の人体検知部、および、第2の人体検知部と、
前記第2の人体検知部が設けられている前記斜面における前記第2の人体検知部の下方に設けられ、前記第2の人体検知部の検知エリアの方向に音声を発生させるスピーカである音声発生部と、
前記第1の人体検知部、前記第2の人体検知部の順で人を検知した場合に、前記音声発生部によって音声で警報を出力する制御部と、を備える警報装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の人体検知部、前記第2の人体検知部の順で人を検知した場合に警報を出力する第1のモードと、前記第1の人体検知部、前記第2の人体検知部の少なくともいずれかが人を検知した場合に警報を出力する第2のモードと、を備える請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記警報装置を垂直な面に取り付けるための取付部としての吸盤を、さらに備える、請求項1または請求項2に記載の警報装置。
【請求項4】
危険区域の出入口付近に設置可能で略三角柱状の構造を有する親機と、前記危険区域内の作業者によって携帯可能な子機と、を備える警報システムであって、
前記親機は、
前記親機の2つの斜面のそれぞれに設けられ、人を検知し、互いに検知エリアの少なくとも一部が異なる第1の人体検知部、および、第2の人体検知部と、
前記第2の人体検知部が設けられている前記斜面における前記第2の人体検知部の下方に設けられ、前記第2の人体検知部の検知エリアの方向に音声を発生させるスピーカである音声発生部と、
前記子機に対して警報信号を無線送信する無線送信部と、
前記第1の人体検知部、前記第2の人体検知部の順で人を検知した場合に、前記親機の音声発生部によって音声で警報を出力するとともに、前記無線送信部によって前記子機に対して警報信号を無線送信する制御部と、を備え、
前記子機は、
前記親機からの前記警報信号を無線受信する無線受信部と、
音声を発生させる音声発生部と、
前記無線受信部によって前記親機から前記警報信号を受信すると、前記子機の音声発生部によって音声で警報を出力する制御部と、を備える警報システム。
【請求項5】
前記子機は、
振動を発生させる振動発生部を、さらに備え、
前記子機の制御部は、
前記無線受信部によって前記親機から前記警報信号を受信した場合に、前記振動発生部によって振動を発生させる、請求項4に記載の警報システム。
【請求項6】
前記子機は、
前記子機の音声発生部によって音声で警報が出力されている場合に操作されることで当該警報の出力を停止させる停止操作部を、さらに備える請求項4または請求項5に記載の警報システム。
【請求項7】
前記子機は、
前記作業者が前記子機を身に付けるための取付部を、さらに備える、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、警報装置、および、警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、危険区域で作業者が作業を行っている場合に、その危険区域に作業者以外の第三者が接近したり入ったりすることがある。そのために、危険区域の出入口等に警報装置が設けられていることが多い。従来の警報装置としては、例えば、危険区域に接近した第三者を人体検知センサで検知すると、その第三者に対して危険区域の存在等を音声で報知するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3168921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来の警報装置では、作業者以外の第三者が危険区域に進入または接近したことによる警報を第三者に適切に伝えることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、危険区域において適切に警報を出力することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の警報装置は、危険区域の出入口付近に設置可能で、略三角柱状の構造を有する警報装置であって、前記警報装置の2つの斜面のそれぞれに設けられ、人を検知し、互いに検知エリアの少なくとも一部が異なる第1の人体検知部、および、第2の人体検知部と、前記第2の人体検知部が設けられている前記斜面における前記第2の人体検知部の下方に設けられ、前記第2の人体検知部の検知エリアの方向に音声を発生させるスピーカである音声発生部と、前記第1の人体検知部、前記第2の人体検知部の順で人を検知した場合に、前記音声発生部によって音声で警報を出力する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の高速道路の料金所の概略的な平面図である。
図2図2は、第1実施形態の親機の斜視図である。
図3図3は、第1実施形態の親機を図2のX方向に見た平面図である。
図4図4は、第1実施形態の子機の斜視図である。
図5図5は、第1実施形態の子機を図4のY方向に見た平面図である。
図6図6は、第1実施形態の親機の構成を示すブロック図である。
図7図7は、第1実施形態の子機の構成を示すブロック図である。
図8図8は、第1実施形態の親機と子機の処理を示すフローチャートである。
図9図9は、第2実施形態の工事区域、非工事区域を含む平面図である。
図10図10は、第2実施形態の親機と子機の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を用いて、実施形態の警報装置(親機10)、警報システム(親機10および子機20)等について説明する。
【0009】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の高速道路の料金所の概略的な平面図である。図1に示すように、第1実施形態の高速道路の料金所には、4つのアイランド1と、4つのブース2と、3つの走行レーン3と、事務所4と、通路5と、が設けられている。
【0010】
4つのアイランド1は、第1アイランド1a、第2アイランド1b、第3アイランド1c、および、第4アイランド1dから構成されている。以下、それらを総称する場合は、「アイランド1」という。
【0011】
4つのブース2は、4つのアイランド1それぞれに設けられた、第1ブース2a、第2ブース2b、第3ブース2c、および、第4ブース2dから構成されている。以下、それらを総称する場合は、「ブース2」という。
【0012】
3つの走行レーン3は、第1走行レーン3a、第2走行レーン3b、および、第3走行レーン3cから構成されている。以下、それらを総称する場合は、「走行レーン3」という。なお、走行レーン3を走行する車両の走行方向は、図1の下から上の方向である。
【0013】
事務所4は、ブース2での業務を担当する収受員32の待機場所である。通路5は、事務所4と各アイランド1とをつなぐ通路である。具体的には、通路5は、例えば、地下通路、または、高架通路である。つまり、通路5は、収受員32等が事務所4と各アイランド1の間を行き来する場合に、各走行レーン3を直接横切らないで済むように設けられたものである。
【0014】
ここで、第2アイランド1bが工事区域(危険区域の一例)になったものとする。その場合、作業者31は、事務所4から第2アイランド1bに移動し、第2アイランド1bで作業を行う。そのとき、作業者31は、子機20(詳細は後述)を携帯する。
【0015】
工事区域になった第2アイランド1bに対して、原則としては、収受員32は立ち入らない。しかし、例えば、第2アイランド1bの横の第2走行レーン3bで車両がETC(Electronic Toll Collection System)に関するトラブル等によって立ち往生していると、収受員32は、その対応のためにその工事区域となっている第2アイランド1bに入ることもある。そこで、通路5における第2アイランド1bとの境界付近に、注意喚起のための親機10(詳細は後述)が設置される。
【0016】
次に、図2図3図6を参照して、親機10について説明する。図2は、第1実施形態の親機10の斜視図である。図3は、第1実施形態の親機10を図2のX方向に見た平面図である。図6は、第1実施形態の親機10の構成を示すブロック図である。
【0017】
親機10は、危険区域の出入口(境界)付近に設置可能な警報装置であって、第1熱感知センサ11a(第1の人体検知部)、第2熱感知センサ11b(第2の人体検知部)、電源スイッチ12、切替スイッチ13、音声発生部14、吸盤15、電源部16、無線送信部17、および、制御部18を備える。なお、制御部18以外の各構成は、それぞれ、制御部18と電気的に接続されている。また、以下において、第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bを総称する場合は「熱感知センサ11」という。
【0018】
第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bは、人を検知し、互いに検知エリアの少なくとも一部が異なる(図3参照)。また、第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bは、親機10が地面に設置された場合を想定し、斜め上方が検知エリアとなるように、親機10の上面と側面にまたがって配置されている。
【0019】
電源部16は、親機10の駆動電源であり、例えば乾電池である。電源スイッチ12は、親機10の上面に配置され、親機10の動作のONとOFFの切替機能を有している。
【0020】
切替スイッチ13は、親機10の上面に配置され、第1のモードと第2のモードの切替機能を有している。第1のモードとは、第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bの順で人を検知した場合に警報を出力するモードである。第2のモードとは、第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bの少なくともいずれかが人を検知した場合に警報を出力するモードである(第2実施形態で詳述)。
【0021】
音声発生部14は、音声を発生させるスピーカであり、人が第1熱感知センサ11aの検知エリアを通過した後に第2熱感知センサ11bの検知エリアを通過した場合に、その人に音声が届きやすいように、第2熱感知センサ11bの下方の側面に配置されている。
【0022】
吸盤15は、親機10を垂直な面に取り付けるための取付部であり、親機10の背面に固定されている。つまり、親機10は、地面に設置してもよいし、地面に設置することが困難な場合等は吸盤15によって垂直な壁面等に設置してもよい。無線送信部17は、子機20に対して警報信号を無線送信する機能を有する。
【0023】
制御部18は、モード判定部181、人体検知判定部182、進行方向判定部183、および、出力制御部184を備える。
【0024】
モード判定部181は、切替スイッチ13によって第1のモードと第2のモードのいずれに設定(切替)されているかを判定する。
【0025】
人体検知判定部182は、熱感知センサ11によって人を検知しているか否かを判定する。
【0026】
進行方向判定部183は、第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bの順で人を検知した場合に、その人の進行方向が危険区域への進入方向であると判定する。また、進行方向判定部183は、第2熱感知センサ11b、第1熱感知センサ11aの順で人を検知した場合に、その人の進行方向が危険区域への進入方向と逆方向であると判定する。なお、親機10の上面には、第1熱感知センサ11aから第2熱感知センサ11bへの方向に、矢印Aが表記されている。親機10を工事区域の出入口に設置する者は、この矢印Aが危険区域への進行方向と一致するように、親機10を設置すればよい。
【0027】
出力制御部184は、音声制御部1841、および、送信制御部1842を備える。音声制御部1841は、進行方向判定部183によって第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bの順で人を検知した場合に、音声発生部14によって音声で警報を出力する。音声の警報の内容は、例えば、「この先は工事区域です。ご注意下さい。」である。
【0028】
送信制御部1842は、進行方向判定部183によって第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bの順で人を検知した場合に、無線送信部17によって子機20に対して警報信号を無線送信する。
【0029】
次に、図4図5図7を参照して、子機20について説明する。図4は、第1実施形態の子機20の斜視図である。図5は、第1実施形態の子機20を図4のY方向に見た平面図である。図7は、第1実施形態の子機20の構成を示すブロック図である。
【0030】
子機20は、危険区域内の作業者によって携帯可能であり、電源スイッチ21、音声発生部22、停止ボタン23、フック24、電源部25、無線受信部26、振動発生部27、および、制御部28を備えている。なお、制御部28以外の各構成は、それぞれ、制御部28と電気的に接続されている。
【0031】
電源部25は、子機20の駆動電源であり、例えば乾電池である。電源スイッチ21は、子機20の上面に配置され、子機20の動作のONとOFFの切替機能を有している。
【0032】
音声発生部22は、音声を発生させるスピーカであり、子機20の側面に配置されている。音声発生部22は、音声制御部282からの指示に基づいて、音声で警報を出力する。音声の警報の内容は、例えば、「工事区域に人が接近しています。ご注意下さい。」である。
【0033】
停止ボタン23は、子機20の上面に配置され、音声発生部22によって音声で警報が出力され、また、振動発生部27によって振動が発生されている場合に操作されることで、それらを停止させる機能を有する。
【0034】
フック24は、作業者31が子機20を身に付けるための取付部であり、子機20の背面に固定されている。
【0035】
無線受信部26は、親機10からの警報信号を無線受信する機能を有する。振動発生部27は、振動制御部283からの指示に基づいて、振動を発生させる。
【0036】
制御部28は、受信制御部281、音声制御部282、および、振動制御部283を備える。
【0037】
受信制御部281は、親機10から警報信号を受信する無線受信部26を制御する。音声制御部282は、無線受信部26によって親機10から警報信号を受信した場合に、音声発生部22によって音声で警報を出力する。
【0038】
振動制御部283は、無線受信部26によって親機10から警報信号を受信した場合に、振動発生部27によって振動を発生させる。
【0039】
次に、図8を参照して、第1実施形態の親機10と子機20の処理について説明する。図8は、第1実施形態の親機10と子機20の処理を示すフローチャートである。ここで、親機10は、切替スイッチ13によって第1のモードに設定され、図1に示すように、通路5における第2アイランド1bとの境界付近(例えば、階段の踊り場の地面)の第2アイランド1bへの進入方向に向かって右側に、正面(熱感知センサ11、音声発生部14がある側)を通路5の内側に向けた姿勢で設置される。また、子機20を携帯した作業者31は、工事区域である第2アイランド1bで作業を行っているものとする。
【0040】
まず、親機10において、人体検知判定部182は、熱感知センサ11(第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bの少なくともいずれか)によって人を検知しているか否かを判定し(ステップS1)、Yesの場合はステップS2に進み、Noの場合はステップS1に戻る。
【0041】
人体検知判定部182が熱感知センサ11によって人を検知したと判定した場合(ステップS1でYes)、進行方向判定部183は、検知された人の進行方向が工事区域への進入方向か否かを判定し(ステップS2)、Yesの場合はステップS3に進み、Noの場合は処理を終了する。
【0042】
ステップS2において、進行方向判定部183は、第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bの順で人を検知した場合に、その人の進行方向が危険区域への進入方向であると判定する。また、進行方向判定部183は、第2熱感知センサ11b、第1熱感知センサ11aの順で人を検知した場合に、その人の進行方向が危険区域への進入方向と逆方向であると判定する。したがって、収受員32が通路5から親機10の横を通って第2アイランド1bに入る場合、進行方向判定部183は、第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bの順で収受員32を検知し、収受員32の進行方向が危険区域への進入方向であると判定する。
【0043】
ステップS3において、親機10の音声制御部1841は、音声発生部14によって音声で警報を出力する。音声の警報の内容は、例えば、上述したように、「この先は工事区域です。ご注意下さい。」である。これにより、この音声の警報を聞いた収受員32は、第2アイランド1bが工事区域であることを認識し、行動に注意を払うことができる。
【0044】
ステップS3の後、ステップS4において、送信制御部1842は、無線送信部17によって子機20に対して警報信号を無線送信する。
【0045】
ステップS4の後、ステップS5において、子機20の無線受信部26は、親機10からの警報信号を無線受信する。
【0046】
ステップS5の後、ステップS6において、子機20の音声制御部282は、音声発生部22によって音声で警報を出力する。音声の警報の内容は、例えば、上述したように、「工事区域に人が接近しています。ご注意下さい。」である。これにより、この音声の警報を聞いた作業者31は、工事区域である第2アイランド1bに人(収受員32)が接近または進入していることを認識し、行動に注意を払うことができる。
【0047】
また、ステップS6において、振動制御部283は、振動発生部27によって振動を発生させる。これにより、作業者31は、環境音が大きくて音声発生部22による音声の警報を聞き取りづらい場合であっても、子機20の振動によって、工事区域である第2アイランド1bに人(収受員32)が接近または進入していることをより確実に認識し、行動に注意を払うことができる。ステップS6の後、処理を終了する。
【0048】
このようにして、第1実施形態の親機10によれば、親機10の横を通る人の進行方向が工事区域への進入方向の場合にのみ、親機10からその人に音声の警報で注意を喚起する。そして、親機10は、親機10の横を通る人の進行方向が工事区域への進入方向の逆方向の場合は、親機10からその人に音声の警報で注意を喚起しない。つまり、親機10は、適切に音声の警報を出力することができる。
【0049】
また、親機10の横を通る人の進行方向が工事区域への進入方向の場合には、親機10からその人に音声の警報で注意を喚起するとともに、子機20による音声の警報や振動によって作業者31にも注意を喚起することができる。つまり、作業者31以外の第三者(収受員32等)が危険区域に進入または接近したことによる警報を第三者と作業者31の両者に適切に伝えることができる。したがって、工事区域における安全性をより向上させることができる。
【0050】
例えば、従来技術で、危険区域の出入口に設置された人体検知センサが人を検知した場合、その検知した人にのみ音声の警報によって注意を喚起するものがあった。しかし、その方法では、危険区域内にいる作業者に対してその旨を通知することができず、安全性の点で不充分であった。一方、第1実施形態の警報システムによれば、親機10の横を通過した収受員32と、子機20を携帯している作業者31の両方に注意喚起することができ、安全性をより向上させることができる。
【0051】
また、例えば、従来技術で、危険区域の出入口に監視員を配置するという方法もあるが、その方法では大きな人件費が発生するという問題がある。一方、第1実施形態の警報システム(親機10および子機20)によれば、監視員が不要なので、そのような大きな人件費が発生するという問題は起きない。
【0052】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の事項については、重複する説明を適宜省略する。図9は、第2実施形態の工事区域41、非工事区域42を含む平面図である。第2実施形態では、図9に示すように、工事区域41と非工事区域42がドア43を介してつながっている場面を例にとって説明する。
【0053】
工事区域41では、作業者51が作業を行う。そのとき、作業者51は、子機20を携帯する。そして、非工事区域42内のドア43の横に、注意喚起のための親機10を設置する。
【0054】
次に、図10を参照して、第2実施形態の親機10と子機20の処理について説明する。図10は、第2実施形態の親機10と子機20の処理を示すフローチャートである。ここで、親機10は、切替スイッチ13によって第2のモードに設定され、図9に示すように、非工事区域42内のドア43の横に、正面を図9の右側に向けた姿勢で設置される。また、子機20を携帯した作業者51は、工事区域41内で作業を行っているものとする。
【0055】
まず、親機10において、人体検知判定部182は、熱感知センサ11(第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bの少なくともいずれか)によって人を検知しているか否かを判定し(ステップS11)、Yesの場合はステップS12に進み、Noの場合はステップS11に戻る。例えば、来訪者52が親機10に近付き、熱感知センサ11によって来訪者52を検知した場合、ステップS11でYesとなる。
【0056】
ステップS12において、親機10の音声制御部1841は、音声発生部14によって音声で警報を出力する。音声の警報の内容は、例えば、第1実施形態と同様、「この先は工事区域です。ご注意下さい。」である。これにより、この音声の警報を聞いた来訪者52は、工事区域41が工事区域であることを認識し、行動に注意を払うことができる。
【0057】
ステップS12の後、ステップS13において、送信制御部1842は、無線送信部17によって子機20に対して警報信号を無線送信する。
【0058】
ステップS13の後、ステップS14において、子機20の無線受信部26は、親機10からの警報信号を無線受信する。
【0059】
ステップS14の後、ステップS15において、子機20の音声制御部282は、音声発生部22によって音声で警報を出力する。音声の警報の内容は、例えば、第1実施形態と異なり、「ドアの近くに人がいます。ご注意下さい。」である。これにより、この音声の警報を聞いた作業者51は、ドア43の近くに来訪者52がいることを確実に認識し、行動に注意を払うことができる。
【0060】
また、ステップS15において、振動制御部283は、振動発生部27によって振動を発生させる。これにより、作業者51は、環境音が大きくて音声発生部22による音声の警報を聞き取りづらい場合であっても、子機20の振動によって、ドア43の近くに来訪者52がいることをより確実に認識し、行動に注意を払うことができる。ステップS15の後、処理を終了する。
【0061】
このようにして、第2実施形態の警報システムによれば、ドア43(親機10)に来訪者52が近付いた場合に、親機10から来訪者52に音声の警報で注意を喚起するとともに、子機20による音声の警報や振動によって作業者51にも注意を喚起することができる。したがって、工事区域41における安全性をより向上させることができる。
【0062】
また、1組の親機10と子機20を、第1のモードと第2のモードの2種類のモードで使用することができるので、便利かつ経済的である。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0064】
例えば、親機10を垂直な面に取り付けるための取付部は、吸盤15に限定されず、磁石やフック等の別の手段であってもよい。また、作業者31が子機20を身に付けるための取付部は、フック24に限定されず、安全ピン等の別の手段であってもよい。
【0065】
また、親機10において、第1熱感知センサ11a、第2熱感知センサ11bそれぞれを、検知エリアが任意方向に可変となる構造としてもよい。
【0066】
また、第1の人体検知部、第2の人体検知部は、熱感知センサに限定されず、超音波センサ、遮断式赤外線センサ等の別の手段であってもよい。
【0067】
また、音声の警報は、上記のような音声メッセージに限定されず、ブザー音等の別の種類の音でもよい。また、音声の警報の内容は上記した例に限定されない。
【0068】
また、親機10において、第1熱感知センサ11aから第2熱感知センサ11bへの方向を危険区域への進入方向とするようにしたが、別途の切替スイッチ等を操作することにより、第2熱感知センサ11bから第1熱感知センサ11aへの方向を危険区域への進入方向とするように切替可能としてもよい。そうすれば、親機10を、通路における左右のいずれの側にも設置することができる。
【0069】
また、親機10を第1のモードで使用する対象施設は、高速道路の料金所に限定されず、他の場所の工事区域等、任意の危険区域であればよい。
【符号の説明】
【0070】
1 アイランド
2 ブース
3 走行レーン
4 事務所
5 通路
10 親機
11 熱感知センサ
11a 第1熱感知センサ(第1の人体検知部)
11b 第2熱感知センサ(第2の人体検知部)
12 電源スイッチ
13 切替スイッチ
14 音声発生部
15 吸盤(取付部)
16 電源部
17 無線送信部
18 制御部
181 モード判定部
182 人体検知判定部
183 進行方向判定部
184 出力制御部
1841 音声制御部
1842 送信制御部
20 子機
21 電源スイッチ
22 音声発生部
23 停止ボタン
24 フック(取付部)
25 電源部
26 無線受信部
27 振動発生部
28 制御部
281 受信制御部
282 音声制御部
283 振動制御部
31 作業者
32 収受員
41 工事区域
42 非工事区域
43 ドア
51 作業者
52 来訪者
A 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10