【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、最先端技術の欠点を少なくとも1つ克服することであった。
【0014】
驚くべきことだが、請求項に記載されているようなポリエーテル変性シロキサンを含む組成物は、超拡散性かつ良生分解性であることが分かっている。
【0015】
本発明は、生分解性が60%超、より好ましくは63%以上、特に好ましくは65%以上であり、その最大値が100%である式(I)のポリエーテル変性シロキサンを含む組成物を提供する。
M
aD
bD’
c 式(I)
(式中、M=R
13SiO
1/2、D=R
12SiO
2/2、D’=R
1R
2SiO
2/2であり、aは2、bは0〜0.1、好ましくは0、cは1.0〜1.15、好ましくは1.0〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05であり、
式中、R
1は、独立して1〜8個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはフェニル基、特に好ましくはメチル基であり、
R
2は、独立して式(II)のポリエーテル基である。)
−R
3O[CH
2CH
2O]
m[CH
2CH(CH
3)O]
nR
5 式(II)
(式中、m=3.4〜11.0、好ましくは3.6〜9.9、より好ましくは4.5〜8.5、n=2.5〜8.0、好ましくは2.7〜7.5、より好ましくは3.0〜6.0、ただし、m/n=1.9〜2.8であり、
R
3は、独立して2〜8個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基、好ましくはエチレン基、プロピレン基、1−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルプロピレン基、特に好ましくは−CH
2CH
2CH
2−であり、
R
5は、水素である。)
【0016】
好ましくは、R
3Oなし、さらにR
5なしで計算されるポリエーテル基は、44g/mol*m+58g/mol*n(式中、指数mおよびnは式(II)に関係する。)により計算されるモル質量M(PE)を有する。
【0017】
M(PE)の好適値は、下限のM(PE)が520g/molより大きく、好ましくは530g/molより大きく、より好ましくは535g/molより大きく、上限のM(PE)が660g/mol未満、好ましくは630g/mol未満、より好ましくは600g/mol未満である。
【0018】
好ましくは、M(PE)の値は、520g/molより大きく、660g/mol未満、特に535g/molより大きく600g/mol未満である。
【0019】
好ましくは、m+nの和は、9より大きく19以下、より好ましくは9.5より大きく15以下、特に好ましくは10より大きく12以下である。
【0020】
より好ましくは、本発明の組成物は、式中、指数cが1〜1.05であり、式(II)のポリエーテル基の指数mが3.4〜11.0であり、指数nが2.5〜8.0である、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0021】
より好ましくは、本発明の組成物は、式中、指数cが1〜1.05であり、m/n比が1.9〜2.8である、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0022】
特に好ましくは、本発明の組成物は、式中、指数cが1〜1.05であり、ポリエーテル残基のモル質量M(PE)が520g/molより大きく660g/mol未満である、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0023】
特に好ましくは、本発明の組成物は、式中、指数cが1〜1.05であり、R
5基が水素である、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0024】
特に好ましくは、本発明の組成物は、式中、指数cが1〜1.05であり、ポリエーテル残基のモル質量M(PE)が520g/molより大きく660g/mol未満であり、R
5基が水素である、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0025】
好ましくは、本発明の組成物は、式(I)のポリエーテル変性シロキサン以外、いかなるポリエーテル変性シロキサンも包含しない。
【0026】
本発明の組成物の1つの利点は、それらが上記定義の意味で水中で超拡散特性を有する点である。このために、ポリプロピレンフィルム上の液滴面積は、実施例で詳細に記載される通り測定される。
【0027】
好ましくは、本発明の組成物は、0.1重量%水溶液として、10〜60cm
2、好ましくは15〜50cm
2、より好ましくは20〜40cm
2の拡散面積を有する。より好ましくは、本発明の組成物は25℃で前述の拡散性を有する。
【0028】
指数cが少なくとも1.2である式(I)のポリエーテル変性シロキサンは、非拡散性化合物として特許文献3より公知であり、本発明から除外される。
【0029】
好ましくは、本発明の組成物は、式中、指数dが1.0〜1.05であり、これらのシロキサンの0.1重量%水溶液が15〜60cm
2の拡散面積を有する、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0030】
より好ましくは、本発明の組成物は、式中、指数cが1〜1.05であり、m/n比が0.8〜2.8であり、これらのシロキサンの0.1重量%水溶液が15〜60cm
2の拡散面積を有する、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0031】
本発明の組成物のさらなる利点は、それらの生分解性である。
【0032】
生分解性は、好ましくは、OECD 301 F法により測定される。より好ましくは、生分解性は、OECD 301 Fに準拠し、22℃で28日後に測定される。特に好ましくは、生分解性は、実施例に記載されている通り測定される。
【0033】
好ましくは、本発明の組成物中の式(I)のポリエーテル変性シロキサンは、生分解性が60%超、より好ましくは63%以上、特に好ましくは65%以上であり、その最大値が100%である。
【0034】
好ましくは、本発明の組成物は、式中、指数dが1.0〜1.05であり、シロキサンの生分解性が60%超である、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0035】
より好ましくは、本発明の組成物は、生分解性が60%超であり、さらに式中、指数cが1〜1.05であり、ポリエーテル基のモル質量M(PE)が520g/molより大きく660g/mol未満であり、R
5基が水素である、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0036】
より好ましくは、本発明の組成物は、生分解性が60%超であり、さらに式中、指数cが1〜1.05であり、ポリエーテル基のモル質量M(PE)が520g/molより大きく660g/mol未満であり、R
5基が水素であり、これらのシロキサンの0.1重量%水溶液が15〜60cm
2の拡散面積を有する、式(I)のポリエーテル変性シロキサンを包含する。
【0037】
好ましくは、本発明の組成物は、非生分解性ポリエーテル変性シロキサンを一切包含しない。
【0038】
本発明はさらに、第1工程において、式(V)のH−シロキサンを精製し、第2工程において、ヒドロシリル化の方法で、式(VI)の末端不飽和ポリエーテルと反応させることを特徴とするポリエーテル変性シロキサンの製造方法を提供する。
M
aD
bD’
c 式(V)
(式中、M=R
13SiO
1/2、D=R
12SiO
2/2、D’=R
1R
2SiO
2/2であり、aは2、bは0〜0.1、dは1.16〜3であり、
式中、R
1は、独立して1〜8個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはフェニル基、特に好ましくはメチル基であり、
R
2は、水素である。)
R
4O[CH
2CH
2O]
m[CH
2CH(CH
3)O]
nR
5 式(VI)
(式中、m=3.4〜11.0、好ましくは3.6〜9.9、より好ましくは4.5〜8.5、n=2.5〜8.0、好ましくは2.7〜7.5、より好ましくは3.0〜6.0、ただし、m/n=0.44〜3.08、好ましくは0.55〜3.00、より好ましくは0.8〜2.8、特に好ましくは1.9〜2.8であり、
R
5は、それぞれ独立して1〜16個の炭素原子を有するヒドロカルビル基または水素、好ましくは水素またはメチル基、特に水素であり、
R
4は、独立して2〜8個の炭素原子を有する一価の末端不飽和ヒドロカルビル基、好ましくはCH
2=CH
2−、CH
2=CHCH
2−、CH
2=CHCH(CH
3)−、CH
2=CHC(CH
3)
2、特に好ましくはCH
2=CHCH
2−である。)
【0039】
好ましくは、式(V)のH−シロキサンは、H−シロキサンを適切な熱分離法に供することにより、本発明の方法の第1工程で精製される。熱分離法は、この用語で当業者に知られており、熱力学的相平衡の形成を基礎とする全ての方法を包含する。好適な熱分離法は、蒸留、精留、吸着、結晶化、抽出、吸収、乾燥および凍結を含むリストから選択され、蒸留および精留が特に好ましい。標準圧力下での蒸留および精留が特に好ましい。
【0040】
生成物を精製するための標準圧力下、頂点温度142℃でのR
2=水素であり、指数aおよびb=0であり、指数d=1.16〜1.22である式(V)の化合物のための標準圧力下での蒸留および精留が特に好ましい。
【0041】
好ましくは、本発明の方法では、熱分離法以外の任意の分離法に付された式(V)のH−シロキサンは、使用されない。
【0042】
式(V)の化合物の指数dについては、先行技術の方法により、好ましくは1H NMRを活用して、より好ましくは実施例に記載の方法により、測定することができる。
【0043】
本発明の方法におけるヒドロシリル化反応は、好ましくは、当業者によく知られている白金族触媒を用いて、より好ましくはKarstedt触媒を用いて触媒される。
【0044】
本発明の方法におけるヒドロシリル化反応は、好ましくは、式(V)のH−シロキサンの水素含量に応じて完全転化される。本願明細書において、完全転化とは、SiH官能基の転化率が>99%であることを意味するとして理解される。これは、当業者によく知られている方法で、好ましくはアルカリ分解後のガス測容法により検出される。これは、例えば、反応混合物の試料をブタノール性ナトリウムブトキシド溶液(w(ナトリウムブトキシド)=5%)と反応させ、形成された水素量から、依然として存在するSiH官能基量を決定することにより行うことができる。
【0045】
式(VI)のポリエーテルおよび式(II)のポリエーテルは、統計的構造を有していてもよい。統計的分布とは、所望の数のブロックと所望の配列を有するブロック構造の分布か、あるいはランダムな分布である。それらは、交互構造を有していてもよく、または鎖上に勾配を形成していてもよい。より具体的には、それらは、異なる分布をもつ基が任意に互いに続き得る任意の混合形態を形成することもできる。特定の実施は、その実施が理由で、統計的分布を制限するものになり得る。制限の影響を受けない全ての範囲では、統計的分布に変化はない。
【0046】
さらに好ましくは、R
4Oなし、さらにR
5なしで計算される式(VI)のポリエーテル基が、44g/mol*m+58g/mol*n(式中、指数mおよびnは、式(II)で定義した通りである。)により計算されるモル質量M(PE)を有する点が、本発明の方法における式(VI)のポリエーテルにも当てはまる。
【0047】
M(PE)の好適値は、M(PE)の下限が520g/molより大きく、好ましくは530g/molより大きく、より好ましくは535g/molより大きく、M(PE)の上限は660g/mol未満、好ましくは630g/mol未満、より好ましくは600g/mol未満である。
【0048】
好ましくは、M(PE)の値は、520g/molより大きく660g/mol未満、特に535g/molより大きく600g/mol未満である。
【0049】
好ましくは、m+nの和は、9より大きく19以下、より好ましくは9.5より大きく15以下、特に好ましくは10より大きく12以下である。
【0050】
より好ましくは、R
5は水素であり、M(PE)の値は520g/molより大きく660g/mol未満であり、特に好ましくはR
5は水素であり、M(PE)の値は535g/molより大きく600g/mol未満である。
【0051】
より好ましくは、本発明に係る式(V)のH−シロキサンは、指数dが1〜1.05であり、式(VI)の末端不飽和ポリエーテル(式中、指数mは3.4〜11.0であり、nは2.5〜8.0である。)と反応する。
【0052】
より好ましくは、本発明に係る式(V)のH−シロキサンは、指数dが1〜1.05であり、式(VI)の末端不飽和ポリエーテル(式中、m/n比は0.8〜2.8である。)と反応する。
【0053】
より好ましくは、本発明に係る式(V)のH−シロキサンは、指数dが1〜1.05であり、式(VI)の末端不飽和ポリエーテル(式中、m/n比は1.9〜2.8である。)と反応する。
【0054】
特に好ましくは、本発明に係る式(V)のH−シロキサンは、指数dが1〜1.05であり、式(VI)の末端不飽和ポリエーテル(式中、ポリエーテル基のモル質量M(PE)は、520g/molより大きく660g/mol未満である。)と反応する。
【0055】
特に好ましくは、本発明に係る式(V)のH−シロキサンは、指数dが1〜1.05であり、式(VI)の末端不飽和ポリエーテル(式中、R
5基は水素である。)と反応する。
【0056】
特に好ましくは、本発明に係る式(V)のH−シロキサンは、指数dが1〜1.05であり、式(VI)の末端不飽和ポリエーテル(式中、ポリエーテル基のモル質量M(PE)は、520g/molより大きく660g/mol未満であり、R
5基は水素である。)と反応する。
【0057】
特に好ましくは、本発明に係る式(V)のH−シロキサンは、指数dが1〜1.05であり、式(VI)の末端不飽和ポリエーテル(式中、R
5基は水素であり、m/n比は1.9〜2.8である。)と反応する。
【0058】
好ましくは、本発明の方法による生成物は、本発明の方法による生成物に対応しないポリエーテル変性シロキサンを一切包含しない。
【0059】
本発明の組成物については、先行技術の方法により製造することができ、好ましくは本発明の方法により製造することができる。
【0060】
本発明はさらに、作物保護におけるアジュバントとしての本発明の組成物の使用および/または本発明のプロセス生成物の使用を提供する。
【0061】
本発明のアジュバントは、全ての植物を対象とする全作物保護組成物に適する。好ましくは、前記アジュバントは、除草剤、防カビ剤、殺虫剤、成長調節剤ならびに多量および微量栄養素(肥料)とともに、好ましくは除草剤とともに使用される。作物保護組成物と肥料は、合成由来であってもよく、または生物由来および天然由来であってもよい。
【0062】
本発明の組成物は、さらなる成分を含んでいてもよい。これらのさらなる成分は、除草剤、防カビ剤、殺虫剤、成長調節剤および肥料、好ましくは除草剤から選択されてよい。好適な肥料は、多量および微量栄養素である。
【0063】
好ましくは、本発明の組成物は、噴霧液用タンクミックス添加剤として使用される。好適な使用濃度は、噴霧液の0.001〜1体積%、好ましくは0.01〜0.5体積%、より好ましくは0.02〜0.15体積%(約0.1重量%に相当)である。これは、通常、1ha当たり100〜1000Lの噴霧液が散布される場合に、10〜3000mL/haに相当する。好ましくはアジュバントの量が50〜700mL/haであり、1ヘクタール当たりの合計水適用量とは関係なく、噴霧液各量に基づいて添加される。
【0064】
有効物質とは、植物をダメージから守ること、または害虫等による作物収穫量の損失を防ぐこと、または広葉雑草および/またはイネ科雑草等の望ましくない付随植物を除去すること、または植物に(肥料とも呼ばれる)栄養素を供給することを目的として植物および作物に使用するために、各国で承認および/または登録および/またはリスト化されている物質である。有効物質は、合成物質であってもよく、あるいは生物学的物質であってもよい。有効物質は、抽出物質または天然物質または拮抗作用を有する有効有機体であってもよい。それらは、通常、殺虫剤または植物保護剤とも呼ばれる。一般に、有効物質は、取り扱い性および有効性の目的で配合物に組み込まれる。
【0065】
植物または植物部位で使用するために、作物保護組成物の配合は、通常、ノズルによる標準的な噴霧の前に水で希釈され、さらに有効成分だけでなく、乳化剤、分散助剤、凍結防止剤、消泡剤、殺生物剤、および界面活性剤等の表面活性物質を含む。単独でまたは上記で特定された他の助剤との組み合わせで提供される有効物質、特に防カビ剤、殺虫剤および栄養剤は、様々な方法で植物の種子(種子)に適用され得る。このような方法は、種子処理法とも呼ばれる。種子を防カビ剤および殺虫剤で処理することにより、成長初期段階の植物を病気および昆虫の攻撃から保護することができる。
【0066】
式(I)のポリエーテル置換シロキサンを含む本発明の組成物、本発明の方法、ならびに前記組成物および/またはプロセス生成物の本発明の使用は、以下、実施例により記載されるが、本発明がこれらの例示的実施形態に限定されることは一切意図されていない。範囲、一般式または化合物の類を以下で規定する場合、これは、明示的に言及されている化合物の対応範囲または群のみならず、個々の値(範囲)または化合物を抽出することにより得られる化合物の全ての下位範囲および下位群を包含するものとする。本願明細書において文献が引用される場合、それらの内容は、本発明の開示内容全てを成すものとする。以下、パーセンテージを示す場合、特に明記しない限り、重量%である。組成物の場合、%記号は、特に指示がない限り、組成全体に対するものである。以下、平均値を報告する場合、特に指示しない限り、当該平均は質量平均(重量平均)である。上記および下記で測定値を報告する場合、これらの測定値は、特に明記しない限り、圧力101325Pa(標準圧力)かつ温度25℃で測定されている。