(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る車載システムにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図1および
図2を参照して、実施形態について説明する。実施形態は、車載システムに関する。
図1は、実施形態に係る車載システムを示す概念構成図である。
図2は、実施形態に係る車載システムによって実行される制御の一例を示すフロー図である。
【0012】
実施形態に係る車載システム1は、車両に適用され、車両に搭載される複数の接続対象機器への電力の供給を制御するシステムである。車載システム1が適用される車両は、電気車両(EV)、ハイブリッド車両(HEV)、プラグインハイブリッド車両(PHEV)、ガソリン車両、ディーゼル車両など、駆動源としてモータ、またはエンジンを用いるいずれの車両であってもよい。また、車載システム1が適用される車両の運転操作は、運転手による手動運転、半自動運転、自動運転のいずれであってもよい。
【0013】
図1に示すように、車載システム1は、電源10、電源ボックス20、およびスイッチ30aを含んで構成されている。電源10は、車両に搭載されている。電源10は、蓄電装置であり、電力を充放電するものである。例えば、電源10としては、鉛電池やニッケル水素電池、リチウムイオン電池等を用いることができる。また、電源10は、発電機やオルタネータなどの電力発生源を含んで構成されてもよい。
【0014】
電源ボックス20は、いわゆる電気接続箱である。電源ボックス20には、複数の接続対象機器40が接続される。電源ボックス20は、電源10から受電した電力を電源ボックス20に接続された複数の接続対象機器40に対して分配する電流分配機能を有している。実施形態の電源ボックス20は、複数の機器用コネクタ21と、複数のインテリジェントパワーデバイス(IPD:Intelligent Power Device)22と、制御部23とを有する。
【0015】
機器用コネクタ21は、接続対象機器40が接続されるコネクタである。機器用コネクタ21としては、一般的な車載用コネクタを用いることができる。実施形態において、各機器用コネクタ21は、相互に同一の構成である。なお、機器用コネクタ21において、「同一の構成」とは形状、構造、および大きさが、実質的に同一であることを指す。
【0016】
電源ボックス20は、機器用コネクタ21を介して、複数の接続対象機器40に電力を分配する。つまり、電源ボックス20は、複数の機器用コネクタ21に対して電源10から受電した電力を供給する。そして、機器用コネクタ21に接続されている接続対象機器40は、当該機器用コネクタ21を介して、電源10からの電力を受電する。各接続対象機器40は、電源ボックス20によって分配された電力により駆動される。
【0017】
複数の接続対象機器40は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)40aを内蔵する負荷機器、およびサブ電源ボックス20aを含む。実施形態の負荷機器は、エアコンユニット41、ヘッドランプユニット42、コンビネーションスイッチ43、およびオプション機器44を含む。各負荷機器は、それぞれ固有の電子制御ユニット40aを内蔵している。つまり、エアコンユニット41は、エアコンユニット41を制御するエアコンECU41aを内蔵しており、ヘッドランプユニット42は、ヘッドランプユニット42を制御するヘッドランプECU42aを内蔵しており、コンビネーションスイッチ43は、コンビネーションスイッチ43を制御するコンビネーションスイッチECU43aを内蔵しており、オプション機器44は、オプション機器44を制御するオプションECU44aを内蔵している。ここで、オプション機器44は、後付けで車両に搭載される負荷機器であり、例えば、カーナビゲーションシステムやヘッドアップディスプレイ装置などである。また、サブ電源ボックス20aは、電源ボックス20と略同一の構成を有するものである。なお、
図1においては、図示の簡略化のため、サブ電源ボックス20aにおける一部の構成要素を省略して図示している。電源ボックス20と同様にサブ電源ボックス20aには、接続対象機器40が接続される。実施形態においては、サブ電源ボックス20aには、オプション機器44が接続されている。サブ電源ボックス20aに接続されたオプション機器44は、サブ電源ボックス20aを介して、電源ボックス20から電力が分配される。
【0018】
インテリジェントパワーデバイス22は、半導体回路により構成されており、出力に流れる電流の電流値を検出する機能、ヒューズ機能およびゲートドライバを含んでいる。インテリジェントパワーデバイス22は、機器用コネクタ21毎に一つ以上が接続される。実施形態においては、インテリジェントパワーデバイス22は、対応する機器用コネクタ21に対して一対一で接続されている。インテリジェントパワーデバイス22は、接続対象機器40の機能を制御する。
【0019】
制御部23は、電源10から機器用コネクタ21への電力供給を制御する電子部品である。制御部23は、各インテリジェントパワーデバイス22に制御信号を出力する。各インテリジェントパワーデバイス22は、制御部23からの制御信号に基づいて、対応する機器用コネクタ21への電力供給量を制御する。
【0020】
また、制御部23は、記憶部23aを含む。記憶部23aは、接続対象機器40の種類と、当該接続対象機器40の識別情報(後に詳述する)とが対応付けられたテーブルを記憶する部分である。ここで、「接続対象機器40の種類」とは、車両に搭載された接続対象機器40の一つ一つを区別するカテゴリである。実施形態において、接続対象機器40の種類には、エアコンユニット41、ヘッドランプユニット42、コンビネーションスイッチ43、オプション機器44、およびサブ電源ボックス20aがある。また、例えば、車両右側に搭載されるヘッドランプユニットと車両左側に搭載されるヘッドランプユニットとが別々の機器として分けられている場合、接続対象機器40の種類は、車両の左右に搭載されたヘッドランプユニットのそれぞれを区別するカテゴリである。記憶部23aには、電源ボックス20に対して接続され得る接続対象機器40の識別情報が予め記憶されている。また、記憶部23aには、記憶部23aに記憶されていない接続対象機器40の種類と当該接続対象機器40の識別情報とを新たに追加して記憶させることもできる。
【0021】
制御部23は、例えば、主に演算処理を行うMPU(Micro Processing Unit)等の中央演算処理装置、記憶部23aとしてのメモリ(RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory))、およびインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。
【0022】
スイッチ30aは、電源ボックス20における複数の機器用コネクタ21に対する電力供給の遮断と許可とを切り替える機能を有する。実施形態のスイッチ30aは、ダイアグツール30に設けられている。ダイアグツール30は、車両診断機である。ダイアグツール30は、例えば、車両販売店や車両整備工場などで、故障箇所などの車両情報を検出する際に用いられる。実施形態の電源ボックス20は、ダイアグ用コネクタ24を有している。ダイアグツール30は、ダイアグ用コネクタ24を介して、電源ボックス20に接続される。
【0023】
作業者がダイアグツール30を操作してスイッチ30aをONしたとき、ダイアグツール30は、制御部23に対して、電源ボックス20における各機器用コネクタ21への電力供給を遮断させる第一指令信号を出力する。制御部23は、入力された第一指令信号に基づいて、各インテリジェントパワーデバイス22に対して制御信号を出力し、機器用コネクタ21への電力供給を遮断する。
【0024】
また、作業者がダイアグツールを操作してスイッチ30aをOFFしたとき、ダイアグツール30は、制御部23に対して、電源ボックス20における各機器用コネクタ21への電力供給を許可させる第二指令信号を出力する。制御部23は、入力された第二指令信号に基づいて、各インテリジェントパワーデバイス22に対して制御信号を出力して、機器用コネクタ21への電力供給を許可する。
【0025】
本実施形態において、接続対象機器40は、配索材を介して電源ボックス20と接続されている。実施形態の配索材は、電源ライン、グランドライン、および二本の配索間通信ラインが含まれている。配索材の端部には、機器用コネクタ21に嵌合する相手方コネクタが取り付けられており、相手方コネクタには、電源ラインとつながる電源端子、グランドラインとつながるグランド端子、2本の配索間通信ラインとそれぞれつながる2つの通信端子が設けられている。また、機器用コネクタ21にも電源端子、グランド端子、二つの通信端子が設けられている。機器用コネクタ21と相手方コネクタとが嵌合したとき、機器用コネクタ21における電源端子、グランド端子、および二つの通信端子は、それぞれ、相手方コネクタにおける電源端子、グランド端子、および二つの通信端子に接続される。
【0026】
ところで、パーソナルコンピュータなどに用いられるUSBコネクタ装置においては、USBプラグをUSBポートに挿入する際に、最初に電源端子とグランド端子とが接触し、その後に通信端子が接触するように形成されている。この構成によって、USBプラグは、電力の供給を受けている状態のUSBポートに対しての挿抜(活線挿抜)が可能とされている。
【0027】
しかし、一般的な車載用コネクタは、活線挿抜で用いることを想定されていないため、USBコネクタ装置のように活線挿抜に対応した構成には成っていない。例えば、電源から車載用コネクタに対して電力が供給されている状態で、当該車載用コネクタを相手方の車載用コネクタに対して挿抜(活線挿抜)した場合、例えば、端子間にアーク放電が発生することがある。また、複数の端子(電源端子、グランド端子、および通信端子)を有する車載用コネクタ同士を嵌合する場合、車載用コネクタに対する相手方のコネクタの傾き具合に応じて、どの端子から順に接続されるかが変わる場合がある。
【0028】
実施形態において、作業者は、機器用コネクタ21に接続対象機器40が接続される期間の前後にわたって、スイッチ30aによって機器用コネクタ21に対する電力供給を遮断できる。このとき、スイッチ30aによって電源ボックス20と接続対象機器40との通信も遮断される。スイッチ30aによって機器用コネクタ21に対する電力供給を遮断することで、機器用コネクタ21に電力が供給されていない状態で、接続対象機器40のコネクタを接続することができる。したがって、機器用コネクタ21として一般的な車載用コネクタを用いた場合でも、機器用コネクタ21の端子と接続対象機器40におけるコネクタの端子との間にアーク放電が発生することを抑制できる。つまり、機器用コネクタ21に対する電力供給をスイッチ30aによって遮断してから、機器用コネクタ21に対して接続対象機器40を接続することにより、活線挿抜を防止することができる。
【0029】
また、電源10から各機器用コネクタ21への電力供給がスイッチ30aによって許可された際に、制御部23は、接続対象確認処理を実行する。接続対象確認処理は、機器用コネクタ21に接続された接続対象機器40の種類の識別と、当該接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21の位置の特定とを行う処理である。接続対象確認処理において、電源ボックス20の制御部23は、機器用コネクタ21に接続された接続対象機器40の識別情報を取得する。
【0030】
実施形態において、識別情報は、接続対象機器40に対して予め固有に設定された通信IDおよび接続対象機器40に流れる識別用電流の電流値を含む。通信IDは、制御部23と接続対象機器40とが通信を行う際に、制御部23が当該接続対象機器40を識別するために用いられる識別子である。制御部23は、接続対象機器40と通信を行うことにより、通信IDを取得する。なお、サブ電源ボックス20aを介して電源ボックス20に接続された接続対象機器40の場合、制御部23は、サブ電源ボックス20aの制御部23sが取得した当該接続対象機器40の通信IDを制御部23sと通信を行うことで取得する。
【0031】
識別用電流は、接続対象確認処理の期間中に、接続対象機器40が一時的に自身の回路に所定の電流値で流す電流である。例えば、接続対象機器40が負荷機器(41〜44)である場合、識別用電流は、当該接続対象機器40の電子制御ユニット40aの回路に所定の電流値で流される電流である。また、例えば、接続対象機器40がサブ電源ボックス20aである場合、識別用電流は、サブ電源ボックス20aの制御部23sの回路に所定の電流値で流される電流である。識別用電流の電流値は、接続対象機器40毎に予め設定されている。例えば、識別用電流の電流値は、各接続対象機器40の種類に応じて設定される。例えば、識別用電流の電流値は、各接続対象機器40の種類毎に異なる電流値で設定される。
【0032】
例えば、接続対象機器40は、識別用電流を流すための回路である識別用回路を有している。インテリジェントパワーデバイス22は、接続対象確認処理の期間中に、識別用回路に一定の電圧で電力を出力し、インテリジェントパワーデバイス22の出力から識別用回路へ流れる電流の電流値を検出する。識別用回路の構成(例えば、回路の抵抗)は、識別用電流の電流値に応じて各接続対象機器40の種類毎に異なっている。インテリジェントパワーデバイス22の出力から識別用回路へ流れる電流の電流値は、各接続対象機器の種類毎に設定された識別用電流の電流値となっている。制御部23は、インテリジェントパワーデバイス22によって検出された電流値の情報を通信によって取得することで、接続対象機器40の識別用電流の電流値を取得する。このとき、制御部23は、インテリジェントパワーデバイス22の出力に流れている電流値(識別用電流の電流値)をAD変換することで識別用電流の電流値に関する識別情報を取得する。また、サブ電源ボックス20aを介して電源ボックス20に接続されている接続対象機器40の場合は、サブ電源ボックス20aが取得した当該接続対象機器40における識別用電流の電流値に関する情報をサブ電源ボックス20aの制御部23sから取得する。
【0033】
実施形態の記憶部23aには、接続対象機器40の種類と、当該接続対象機器40の通信IDと、当該接続対象機器40の識別用電流の電流値とが対応付けられたテーブルが記憶されている。制御部23は、記憶部23aに記憶されたテーブルおよび制御部23が取得した識別情報(接続対象機器40の通信IDおよび識別用電流の電流値)に基づいて接続対象確認処理を実行する。制御部23は、接続対象確認処理では、テーブルおよび通信IDに基づいて接続対象機器40の種類の識別を行う。実施形態においては、制御部23は、接続対象機器40から通信IDを取得し、記憶部23aに記憶されているテーブルを参照して、当該通信IDと対応する接続対象機器40の種類を見つける。例えば、複数の機器用コネクタ21のそれぞれに接続対象機器40が接続されている場合、制御部23は、各接続対象機器40の通信IDを取得し、テーブルとそれぞれの通信IDに基づいて、各接続対象機器40の種類を識別する。この結果、機器用コネクタ21に接続された接続対象機器40の種類が識別される。
【0034】
また、制御部23は、テーブルおよび識別用電流の電流値に基づいて接続対象機器40が接続されている機器用コネクタの位置の特定を行う。実施形態においては、制御部23は、機器用コネクタ21に接続されている接続対象機器40の回路に流れる識別用電流の電流値を取得する。ここで、例えば、複数の機器用コネクタ21のそれぞれに接続対象機器40が接続されている場合、制御部23は、複数の接続対象機器40の識別用電流の電流値をそれぞれ取得する。そして、制御部23は、記憶部23aに記憶されているテーブルを参照し、取得した複数の識別用電流の電流値と、各機器用コネクタ21に接続されている接続対象機器40の種類とをそれぞれ対応させる。識別用電流の電流値は、機器用コネクタ21に接続されているインテリジェントパワーデバイス22から取得したものであるため、識別用電流の電流値と対応する接続対象機器40の種類を特定することで、種類を識別された接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21の位置を特定できる。このような接続対象確認処理によって、制御部23は、機器用コネクタ21に接続された接続対象機器40の種類と、当該接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21の位置を認識する。
【0035】
なお、接続対象確認処理において、制御部23は、テーブルおよび接続対象機器40の識別用電流の電流値に基づいて、接続対象機器40の種類の識別および当該接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21の位置の特定を行ってもよい。この場合、制御部23は、接続対象機器40の種類の識別および当該接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21の位置の特定を行った後、テーブルと接続対象機器40の通信IDとに基づいて、識別された接続対象機器40の種類の確認を行う。
【0036】
電源ボックス20と接続対象機器40とをつなぐ配索材における電源ラインの許容電力値等の仕様は、各接続対象機器40に供給される電力に対応した仕様になっている。制御部23は、機器用コネクタ21に対して、当該機器用コネクタ21に接続された接続対象機器40および当該接続対象機器40と電源ボックス20とをつなぐ配索材に合わせた電力値で電力供給を行う。また、制御部23は、接続対象機器40や配索材の仕様に合わせてインテリジェントパワーデバイス22のヒューズ機能が働くように設定する。例えば、制御部23は、接続対象機器40に対して、配索材の許容電力値および接続対象機器40の許容電力値のうちいずれか低い方の電力値を超える電流が流れないように、インテリジェントパワーデバイス22のヒューズ機能が働く電力値で電力供給を行う。実施形態においては、配索材の許容電力および接続対象機器40の許容電力値は、記憶部23aに接続対象機器40の種類に対応させて記憶されている。例えば、制御部23は、接続対象確認処理によって、電源ボックス20に対して新たに接続された接続対象機器40や接続される機器用コネクタ21が変更された接続対象機器40を認識し、接続対象機器40の種類と、特定された接続対象機器40の接続位置に応じて、これらの接続対象機器40の制御についての設定を更新する。
【0037】
<車載システムの制御例の説明>
図2を参照して、実施形態に係る車載システム1の主要な制御内容について説明する。
図2は、実施形態に係る車載システムによって実行される制御の一例を示すフロー図である。なお、
図2に示す制御が実行される際、スイッチ30aが設けられたダイアグツール30は、電源ボックス20に接続されている。
【0038】
まず、電源ボックス20の制御部23は、スイッチ30aがONであるかを確認する(ステップS1)。
図2に示すように、スイッチ30aがOFFである場合、制御部23は、再度ステップS1を実行する。制御部23が、スイッチ30aがONであることを認識した場合、制御部23は、各機器用コネクタ21への電力供給を遮断する(ステップS2)。実施形態においては、制御部23が、スイッチ30aがONであることを認識した場合、制御部23は、各インテリジェントパワーデバイス22に各機器用コネクタ21への電力供給を遮断させる第一指令信号を出力する。各インテリジェントパワーデバイス22は、電力供給を遮断させる第一指令信号に基づいて、電源10から機器用コネクタ21への電力供給を遮断する。
【0039】
次に、接続対象機器40が機器用コネクタ21へ接続される(ステップS3)。例えば、作業者は、接続対象機器40が接続されていない機器用コネクタ21に対して、接続対象機器40を接続し、電源ボックス20に対して接続対象機器40を追加する。また、例えば、作業者は、既に接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21から、当該接続対象機器40を外して、別の接続対象機器40を接続してもよい。
【0040】
次に、制御部23は、スイッチ30aがOFFであるかを確認する(ステップS4)。制御部23が、スイッチ30aがONであることを認識した場合、制御部23は、ステップS2に戻り、各機器用コネクタ21への電力供給を遮断した状態を維持する。作業者によってスイッチ30aがONされ、制御部23が、スイッチ30aがOFFであることを認識した場合、制御部23は、機器用コネクタ21への電力供給を許可する(ステップS5)。実施形態においては、制御部23が、スイッチ30aがOFFであることを認識した場合、制御部23は、各インテリジェントパワーデバイス22に各機器用コネクタ21への電力供給を許可させる第二指令信号を出力する。各インテリジェントパワーデバイス22は、電力供給を許可させる第二指令信号に基づいて、電源10から各機器用コネクタ21への電力供給を再開する。
【0041】
制御部23は、機器用コネクタ21に対する電力供給をスイッチ30aによって許可された際に、接続対象確認処理を実行する(ステップS6)。制御部23は、記憶部23aに記憶されたテーブルおよび電源ボックス20に出力された識別情報に基づいて接続対象確認処理を実行する。実施形態において、制御部23は、接続対象確認処理では、テーブルおよび通信IDに基づいて接続対象機器40の種類の識別を行う。また、制御部23は、テーブルおよび識別用電流の電流値に基づいて接続対象機器40が接続されている機器用コネクタの位置の特定を行う。接続対象確認処理の完了後、制御部23は、例えば、ダイアグツール30のモニタ等に、機器用コネクタ21に接続されている接続対象機器40の種類と、当該接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21の位置に関する情報を表示させる。また、制御部23は、同じ識別情報を有する接続対象機器40が複数接続されている場合など、異常な接続を認識した場合、ダイアグツール30のモニタ等に、エラーを知らせる表示を行ってもよい。また、制御部23は、異常な接続を認識した場合、電源10から機器用コネクタ21への電力の供給を再度遮断してもよい。
【0042】
その後、制御部23は、電源ボックス20における電力供給の設定を変更する(ステップS7)。例えば、ステップS7において、制御部23は、ステップS6で特定された機器用コネクタ21に対して、当該機器用コネクタ21に接続された接続対象機器40や当該機器用コネクタ21と当該接続対象機器40とをつなぐ配索材に合わせた電力値で電力供給を行う。制御部23は、変更された設定を記憶部23aに記憶する。
【0043】
以上説明したように、実施形態に係る車載システム1は、車両に設けられ、複数の機器用コネクタ21、および複数の機器用コネクタ21に対して電源から受電した電力を供給する制御部23を有する電源ボックス20と、電源ボックス20における複数の機器用コネクタ21に対する電力供給の遮断と許可とを切り替えるスイッチ30aと、を含み、制御部23は、機器用コネクタ21に対する電力供給をスイッチ30aによって許可された際に、機器用コネクタ21に接続された接続対象機器40の種類の識別と、当該接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21の位置の特定とを行う接続対象確認処理を実行する。
【0044】
実施形態に係る車載システム1においては、電源ボックス20における機器用コネクタ21への電力供給をスイッチ30aによって遮断することができる。そして、制御部23は、機器用コネクタ21に対する電力供給がスイッチ30aによって許可された際に、接続対象確認処理を実行する。接続対象確認処理によって、複数の機器用コネクタ21のうち、どの位置の機器用コネクタ21に接続対象機器40を接続しても、制御部23が当該接続対象機器40を認識し、その制御が可能となる。この構成によって、実施形態に係る車載システム1によれば、電源ボックス20に対して、接続対象機器40を容易に追加できるという効果を奏する。
【0045】
また、実施形態に係る車載システム1において、制御部23は、接続対象機器40の種類と接続対象機器40の識別情報とを対応させたテーブルを記憶する記憶部23aを有し、接続対象確認処理は、制御部23が、機器用コネクタ21に接続された接続対象機器40の識別情報を取得し、記憶部23aに記憶されたテーブルおよび識別情報に基づいて、機器用コネクタ21に接続された接続対象機器40の種類の識別と、接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21の位置の特定とを行う処理である。
【0046】
記憶部23aは、追加される接続対象機器40の種類および識別情報を新たにテーブルに追加して記憶することができる。例えば、電源ボックス20に、追加される接続対象機器40の種類および識別情報が、テーブルとして予め記憶されていなかった場合でも、当該接続対象機器40の種類および識別情報を記憶部23aが新たに記憶することで対応することができる。
【0047】
また、実施形態に係る車載システム1において、識別情報は、接続対象機器40に対して予め固有に設定された通信IDおよび接続対象機器に流れる識別用電流の電流値を含み、制御部23は、接続対象確認処理では、テーブルおよび通信IDに基づいて、接続対象機器40の種類の識別を行い、テーブルおよび識別用電流の電流値に基づいて当該接続対象機器が接続されている機器用コネクタ21の位置の特定を行う。識別情報として、複数の情報(通信IDおよび識別用電流の電流値)を用いることで、接続対象機器40の種類の識別と当該接続対象機器が接続されている機器用コネクタ21の位置の特定とを精度よく行うことができる。
【0048】
また、実施形態に係る車載システム1において、識別情報は、接続対象機器40に対して予め固有に設定された通信IDおよび接続対象機器40に流れる識別用電流の電流値を含み、接続対象確認処理では、制御部23は、テーブルおよび接続対象機器40の識別用電流の電流値に基づいて、接続対象機器40の種類の識別および当該接続対象機器40が接続されている機器用コネクタ21の位置の特定を行った後、テーブルと通信IDとに基づいて、接続対象機器40の種類の確認を行う。通信IDを確認用の情報として用いることで、接続対象機器40の種類の識別と当該接続対象機器が接続されている機器用コネクタ21の位置の特定とを精度よく行うことができる。
【0049】
また、実施形態に係る車載システム1において、スイッチ30aは、ダイアグツール30に設けられており、ダイアグツール30は、電源ボックス20に設けられたダイアグ用コネクタ24に接続されて、スイッチ30aによって複数の機器用コネクタ21に対する電力供給の遮断と許可とを切り替える。
【0050】
また、実施形態に係る車載システム1において、複数の機器用コネクタ21は、相互に同一の構成である。したがって、例えば、ヘッドランプユニット42が接続されている機器用コネクタ21からヘッドランプユニット42を取り外し、当該機器用コネクタ21にエアコンユニット41を接続するといった事もできる。つまり、実施形態に係る車載システム1における電源ボックス20は、複数の機器用コネクタ21を共用化(標準化)できる。また、例えば、新規の接続対象機器40を車両に搭載する際に、複数の機器用コネクタ21のうちどの位置の機器用コネクタ21に対しても当該接続対象機器40を接続することができる。したがって、容易に接続対象機器40の追加や変更をすることができる。
【0051】
なお、上述した本発明の実施形態に係る車載システムは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、上述の実施形態においては、制御部23が接続対象機器40の種類と接続対象機器40の識別情報とを対応させたテーブルを記憶する記憶部23aを有している構成を例に用いて説明したが、この構成には限られない。例えば、記憶部23aは、制御部23とは別の部材として電源ボックス20に設けられていてもよい。
【0053】
例えば、上述の実施形態においては、スイッチ30aがダイアグツール30に設けられている構成を例に用いて説明したが、この構成に限られない。例えば、スイッチ30aは、ダイアグツール30とは別の部材として電源ボックス20に接続されていてもよい。
【0054】
例えば、上述の実施形態においては、複数の機器用コネクタ21が同一である構成を例に用いて説明したが、この構成に限られない。例えば、機器用コネクタ21の形状、構造、および大きさは、相互に異なっていてもよい。