特許第6840723号(P6840723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840723
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】ポイント・オブ・ケア尿分析器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/20 20060101AFI20210301BHJP
   G01N 33/493 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   A61B5/20
   G01N33/493 A
   G01N33/493 B
【請求項の数】14
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2018-503629(P2018-503629)
(86)(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公表番号】特表2018-533382(P2018-533382A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】IL2016050855
(87)【国際公開番号】WO2017021971
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年8月2日
(31)【優先権主張番号】62/201,118
(32)【優先日】2015年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518021780
【氏名又は名称】アート メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ART MEDICAL LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】エリア リロン
(72)【発明者】
【氏名】イダン ガブリエル ジェイ
【審査官】 福田 千尋
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/142508(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0314101(US,A1)
【文献】 特開2001−327905(JP,A)
【文献】 特開平7−333231(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0316219(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0083191(US,A1)
【文献】 特表2010−509018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/398
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の臨床監視のための尿分析装置であって、
患者から尿を受け取るように適合された尿収集管と流体連通する大きさおよび形状の入口(102)と、
前記尿が出口に向かって流れることができる滴下チャンバ(106)と、
前記滴下チャンバを通って落下している尿の各滴を照明するための少なくとも1つの照明源であって、前記各滴の落下方向に直交する方向に光を投射するように適合された照明源と、
前記滴下チャンバを通って落下している前記各滴の少なくとも1つの画像を取り込むように構成されたセンサ(110)であって、前記滴下チャンバの前記照明源とは反対側に位置決めされたカメラを備えるセンサ(110)と、
各滴の基準時間を測定するための計時メカニズム(112)と、
コードを記憶するように構成されたプログラムストア(122)と、
前記記憶されたコードを実施するために前記プログラムストアに結合されたハードウェアプロセッサ(124)と、
を備え、前記コードは、
前記少なくとも1つの画像を分析して前記滴の複数の様々な部分の複数の断面積を計算することによって前記各滴の量を推定するためのコードと、
前記尿の各滴の前記推定された量および各滴の前記基準時間に基づいて、前記滴下チャンバを通って流れる尿排出の尿排出流量を計算するためのコードと、
前記患者の所定の数の尿排出流量測定値のスライディングウィンドウを用いて行われる最小二乗回帰分析に基づいて特定される前記尿排出流量の傾向を臨床でリアルタイムで計算および更新するためのコードと、
前記計算された傾向に基づいて未来の尿排出流量を予測するためのコードと、
前記尿排出流量、前記計算された傾向、および前記予測された未来の尿排出流量を、リアルタイムで動的に表示されるように出力するためのコードと、
を含む、尿分析装置。
【請求項2】
前記尿排出流量の前記傾向が前記尿排出流量の増減をいつ示すかを特定するための、およびディスプレイ上に提示されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)上に、前記傾向を示すものを提示するためのコードをさらに含む、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項3】
前記尿排出流量の前記傾向が急性腎障害(AKI)をいつ示すかを特定するための、および検出されたAKIを示すものをグラフィカルユーザインタフェース(GUI)上に提示するためのコードをさらに含む、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項4】
前記予測された未来の尿排出流量が、未来の尿流量値が所定の許容範囲外になることを予測する場合に警報を生成するためのコードをさらに含む、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項5】
前記コードは、瞬間尿排出流量を計算し、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)上に前記瞬間尿排出流量を提示するための命令を含む、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項6】
ディスプレイへのインタフェースと、前記ディスプレイ上に、前記測定された尿排出流量および前記尿排出流量の特定された傾向を含むグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提示するための命令を含むコードとをさらに備える、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項7】
前記センサは、前記滴下チャンバ内を流れる尿を、前記流れる尿が前記出口と流体連通した蓄尿袋に入る前に分析するように構成されている、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項8】
前記カメラは、高速ゲートカメラであり、前記各滴の前記少なくとも1つの画像を取り込むために、前記カメラの上方に配設された光検出器によって起動されるように構成されている、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項9】
前記コードは、前記滴の幅の複数の時系列で順序付けされた計算値と、複数の例示的な滴の幅の複数の時系列で順序付けされた値とを組み合わせることによって、前記滴の液体含有物タイプを計算するためのコードを含み、前記複数の例示的な滴は、様々な液体含有物タイプを含み、それぞれの滴は、複数の前記液体含有物タイプのうちの1つとなるように計算される、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項10】
前記滴下チャンバは透明であり、前記センサは、前記透明な滴下チャンバの壁を通して前記尿の各滴の量を推定するための前記カメラを備える、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項11】
前記入口、前記滴下チャンバ、前記センサ、前記計時メカニズム、前記プログラムストア、および前記ハードウェアプロセッサは、単一の使い捨て可能なユニットとして一体化されている、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項12】
前記入口を通して受け取られた前記尿を個々の連続して落下する滴になるように形成するための滴形成要素(104)をさらに備える、請求項1に記載の尿分析装置。
【請求項13】
前記滴形成要素は、前記患者からの前記受け取られた尿の尿流量に一致する速度で前記個々の連続して落下する滴を形成するように設計されている、請求項12に記載の尿分析装置。
【請求項14】
前記センサは、バイナリフィルタを用いて前記各滴の前記少なくとも1つの画像を処理して前記少なくとも1つの画像をバイナリ画像に変換することによって前記各滴のそれぞれの量を推定するように構成されている、請求項1に記載の尿分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年8月5日に出願された米国仮特許出願第62/201,118号の、米国特許法第119条(e)の下での優先権の利益を主張する。この仮特許出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、尿分析に関し、限定ではないが、より詳細には、ポイント・オブ・ケア尿分析のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
尿流および/または尿成分測定は、医学界によって、一般に健康の指標として用いられ、特に、入院患者および/または手術後の患者の場合に用いられる。最新医療は、蓄尿袋にマーク付けされたグレードを用いた手動による観察により(例えば、留置カテーテルを用いて)患者の尿排出を測定することに基づく。尿流の減少は、例えば、急性腎障害(AKI:acute kidney injury)を示す場合がある。尿流の増大は、例えば、閉塞解除後利尿(POD:post obstructive dieresis)を示す場合がある。尿分析は、尿の中に手動で浸される尿検査ストリップを用いて行われる。検査ストリップ上に現れる色が、基準と視覚的に比較される。より正確な値が必要とされるとき、尿サンプルが分析のために研究室に送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願第2016084080号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Section 2: AKI Definition, Kidney International Supplements (2012) 2, 19-36, Ralib, Azrina Md, et al. "The urine output definition of acute kidney injury is too liberal." Critical care 17.3 (2013): 1
【非特許文献2】Labib, Mary, et al. "Volume management in the critically ill patient with acute kidney injury." Critical care research and practice 2013 (2013)
【発明の概要】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、患者の臨床監視のための尿分析装置であって、患者から尿を受け取る尿収集管と流体連通するような大きさおよび形状の入口と、尿が出口に向かって流れる滴下チャンバと、各尿滴を分析して、各滴のそれぞれの量を推定する少なくとも1つのセンサと、各滴の基準時間を測定する計時要素と、コードを記憶するプログラムストアと、記憶されたコードを実施するためにプログラムストアに結合された少なくとも1つの処理ユニットと、を備え、コードは、各尿滴の推定量、および各滴の基準時間に基づいて、滴下チャンバを通って流れる尿排出の尿排出流量を計算するためのコードと、尿排出流量を出力するためのコードと、を含む、尿分析装置が提供される。
【0007】
任意選択で、尿分析装置は、尿排出流量の増減を示す尿排出流量の傾向を特定し、ディスプレイ上に提示されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)上に傾向を示すものを提示するためのコードを更に備える。
【0008】
任意選択で、尿分析装置は、急性腎障害(AKI)を示す尿排出流量の傾向を特定し、検出されたAKIを示すものをGUI上に提示するためのコードを更に備える。
【0009】
任意選択で、尿分析装置は、傾向の分析が、未来の尿流量が所定の許容範囲外に降下することを予測するとき、警報を生成するためのコードを更に備える。
【0010】
任意選択で、傾向は、所定の数の尿排出流量測定値のスライディングウィンドウを用いて行われる最小二乗回帰分析に基づいて特定される。
【0011】
任意選択で、コードは、瞬間尿排出流量を計算し、GUI上に瞬間尿排出流量を提示するための命令を含む。
【0012】
任意選択で、尿分析装置は、ディスプレイへのインタフェースと、ディスプレイ上のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)上に、測定された尿排出流量および尿排出流量の特定された傾向を示すものの提示を命令するコードとを更に備える。
【0013】
任意選択で、センサは、滴下チャンバ内を流れる尿を、流れる尿が出口と流体連通した蓄尿袋に入る前に分析する。
【0014】
任意選択で、センサは、各滴の少なくとも1つの画像を取り込むために、カメラの上方に配設された光検出器によって起動される高速ゲートカメラを備え、滴の少なくとも1つの画像の分析に基づいて各滴の量を推定するためのコードを更に備える。任意選択で、高速ゲートカメラは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)モジュールおよび電荷結合素子(CCD)モジュールからなる群から選択される高解像度画像センサを備える。
【0015】
任意選択で、コードは、滴の幅の複数の時系列で順序付けされた計算値と、複数の例示的な滴の幅の複数の時系列で順序付けされた値とを組み合わせることによって、滴の含有物のタイプを計算するためのコード命令を含み、複数の例示的な滴は、異なる含有物タイプの液体で構成され、それぞれの滴は、複数の液体のタイプのうちの1つとなるように計算される。
【0016】
任意選択で、滴下チャンバは透明であり、センサは、透明な滴下チャンバの壁を通る尿滴の量を推定するための光学センサを備える。
【0017】
任意選択で、尿分析装置は、患者によって排出される尿を、滴下チャンバの内部に一度に1滴ずつの尿滴として形成する滴下形成要素を更に備える。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、患者の臨床監視のための尿分析装置であって、患者から尿を受け取る尿収集管と流体連通するような大きさおよび形状の入口と、尿が出口に向かって流れる滴下チャンバと、患者から受け取った尿滴に接触するように入口の下の滴下チャンバ内に位置決めされた複数の成分測定要素であって、成分測定要素は、回転要素上に配置され、回転要素は、成分測定要素のうちの別のものを新たな尿滴に対し露出するように所定の時間間隔で所定の量だけ回り、成分測定要素の各々は、それぞれの尿滴内の異なる尿成分の濃度を推定する、成分測定要素と、それぞれの成分測定要素によるそれぞれの尿成分の測定値を示す成分信号を出力するように成分測定要素に結合された少なくとも1つのセンサと、を備える、尿分析装置が提供される。
【0019】
任意選択で、尿分析装置は、コードを記憶するプログラムストアと、記憶されたコードを実施するためにプログラムストアに結合された少なくとも1つの処理ユニットと、を更に備え、コードは、各それぞれの尿成分の成分信号を分析して、それぞれの尿成分の濃度および存在のうちの少なくとも一方を計算するためのコードと、各それぞれの尿成分の濃度および存在のうちの少なくとも一方を出力するためのコードと、を含む。
【0020】
任意選択で、成分測定要素および少なくとも1つのセンサは、各々がそれぞれの尿成分の濃度および存在のうちの少なくとも一方を推定するように設計されたそれぞれのラボ・オン・チップを含む。
【0021】
任意選択で、成分測定要素の各々は、それぞれの成分の濃度によって異なる色に変化する含浸ストリップ媒体を含み、少なくとも1つのセンサは、回すたびに回転要素上の各それぞれの成分測定要素の変化した色を検知し、検知された変化した色を示す信号を出力するように構成されたカラーカメラと、信号を分析して、検知された変化した色に対応するそれぞれの成分の濃度を計算するコード命令とを備える。
【0022】
任意選択で、成分信号は、滴下チャンバ内を流れる尿において、流れる尿が出口と流体連通した蓄尿袋に入る前に行われる分析に基づいて生成される。
【0023】
任意選択で、尿分析装置は、滴を検出し、回転要素の回転をトリガする信号を出力するセンサを更に備える。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、患者の臨床監視のための尿分析装置であって、患者から尿を受け取る尿収集管と流体連通するような大きさおよび形状の入口と、尿が出口に向かって流れる滴下チャンバと、患者の少なくとも1つの尿滴を通過するように向けられた光を生成する光源と、少なくとも1つの尿滴を通過する光を受け取り、光スペクトルを出力する分散要素と、複数の光検出器要素上で光スペクトルを受け取り、受け取った光スペクトルの強度を示す信号を、それぞれの光検出器要素に基づく光の波長の関数として出力する多要素検出器と、コードを記憶するプログラムストアと、記憶されたコードを実施するためにプログラムストアに結合された少なくとも1つの処理ユニットと、を備え、コードは、信号を分析し、少なくとも1つの尿成分の値を計算するためのコードと、少なくとも1つの尿成分の値を出力するためのコードと、を含む、尿分析装置が提供される。
【0025】
任意選択で、光源は、ある範囲の波長を放出することが可能な調節可能光源である。
【0026】
任意選択で、光源は、掃引光源であり、分散要素は、光源を、少なくとも尿によって反射され、多要素検出器の要素のサブセットに向けられる第1の部分と、尿を通過し、単一の検出器を有する別の検出器に向けられる第2の部分とに分割し、光源は、時間の関数として掃引され、尿分析装置は、多要素検出器および別の検出器によって出力された信号の分析に基づいて尿の容積モル浸透圧濃度を計算するためのコード命令を更に備える。
【0027】
任意選択で、尿分析装置は、ある範囲の波長を放出することが可能な光源の調節可能光源と、光源によって放出された光を、基準経路および尿を通る経路に分割するビームスプリッタと、基準経路の光および尿を通る経路の光を結合して、結合スペクトル信号にするメカニズムとを備える干渉計を更に備え、結合スペクトル信号を分析して少なくとも1つの尿成分の濃度を計算するためのコード命令を更に備える。
【0028】
任意選択で、尿分析装置は、滴下チャンバ内に位置決めされ、尿充填状態に絶えず維持されるように構成された透明なチャンバを更に備え、尿を通る経路の光は、透明なチャンバを通るように向けられる。
【0029】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0030】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。ここで特に詳細に図面を参照するが、示されている詳細は例示であり、本発明の実施形態の例証的考察を目的としていることを強調しておく。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明のいくつかの実施形態に係る、形成された尿滴を用いて患者から排出された尿の流量を推定し(各滴について測定された量を用いる)、かつ/または排出された尿内の1つまたは複数の成分の濃度を推定するシステムのコンポーネントのブロック図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態に係る、図1のシステムの動作方法のフローチャートの図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態に係る、図1のシステムが実施される環境の概略図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態に係る、尿滴量を推定し、および/または尿排出流量を推定するのに用いられる信号を出力する例示的な尿分析器の概略図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態に係る、尿滴量を分析し、尿排出流量の計算のための信号を出力する例示的な尿分析器の概略図である。
図6A】本発明のいくつかの実施形態に係る、例示的な滴チャンバおよび/または調査カプセルの概略図である。
図6B】本発明のいくつかの実施形態に係る、落下する滴に対しフローセンサおよび/または計時メカニズムによって行われる測定に対応するように位置決めされた図6Aの滴チャンバおよび/または検査チャンバの概略図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態に係る、センサによって得られる処理された滴画像の概略図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態に係る、尿内の成分を測定する成分測定装置を含む、図5を参照して説明された例示的な尿分析器装置の概略図である。
図9】本発明のいくつかの実施形態に係る、回転して、異なる尿滴を有する各成分測定要素と接触する回転装置の実施態様の概略図である。
図10】本発明のいくつかの実施形態に係る、尿の成分を測定するためのスペクトル分析システムのコンポーネント、およびサンプルスペクトル出力を示す概略図である。
図11】本発明のいくつかの実施形態に係る、スペクトル分析に基づく成分分析器の例示的な実施態様の概略図である。
図12】本発明のいくつかの実施形態に係る、スペクトル分析に基づく成分分析器の別の例示的な実施態様の概略図である。
図13】本発明のいくつかの実施形態に係る、尿分析器によって出力された信号から1つまたは複数の尿成分の濃度を抽出するのに用いられる信号および/またはグラフを含む図である。
図14】本発明のいくつかの実施形態に係る、特定の尿成分の濃度を推定するための較正曲線の例の図である。
図15】本発明のいくつかの実施形態に係る、測定された尿排出流量を示す、ディスプレイ上に提示された例示的なGUIの概略図である。
図16】本発明のいくつかの実施形態に係る、警報を生成するために1つまたは複数の尿成分の濃度を計算する方法のフローチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、尿分析に関し、限定ではないが、より詳細には、ポイント・オブ・ケア尿分析のためのシステムおよび方法に関する。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、1つまたは複数の尿滴の推定量、および分析されている各それぞれの滴の形成を示すタイムスタンプに基づいて、患者によって排出される尿の尿排出流量を計算する尿分析装置(および/または1つまたは複数のプロセッサによって実行されるコード命令によって実施される尿分析装置の動作方法)に関する。患者によって排出される尿(例えば、尿道留置カテーテルから受け取られる)は、ドリッパー要素、例えば中空管によって単一の滴に形成される。センサが、1つまたは複数の尿滴を分析し、各それぞれの滴の量を推定する。計時要素が、各それぞれの滴の時間を、任意選択でタイムスタンプとして求める。1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なコード命令が、滴の量およびタイムスタンプに基づいて、尿排出流量を計算する。尿分析装置は、患者のリアルタイムの尿排出の臨床監視を提供し、これは例えば、尿が収集袋内に数時間にわたって蓄積し、蓄積した量が袋上のマークを用いて視覚的に読み取られる標準的な手動による方法と対照的である。そのような方法は、尿排出が正常であるかまたは異常であるかを判断できるまでに何時間も尿を収集することを必要とし、したがって、そのような方法は、量および/または時間推定の不正確性に起因した誤りを生じやすい。尿分析装置によって提供されるリアルタイムデータは、医療提供者によって、正確な値を用いて、および/もしくは予測値に基づいて、患者により迅速に治療を提供し、かつ/またはリアルタイムデータおよび/もしくは予測データによって提供される早期の治療により、患者が悪化および/または病状が進行することを防ぐことができる。
【0034】
任意選択で、尿排出流量の傾向が(例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なコード命令によって)特定される。特定された傾向は、患者の尿排出流量の安全な範囲を表す所定の許容範囲に対する尿排出流量の値の増加または減少を予測する。任意選択で、傾向は、急性腎障害(AKI)を示す。傾向は、計算された尿流量値を提示するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)上で、例えば、尿流量データ点の回帰直線に基づく矢印として表すことができる。傾向が、尿排出流量が近々(例えば、次の1時間、6時間、もしくは12時間、または他の未来の時間に)所定の許容範囲外の値に達することが予測されることを示すとき、任意選択で警報を生成することができる(例えば、GUI上のフラッシュ警告メッセージ)。
【0035】
任意選択で、少なくとも2つの尿滴に基づいて(例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なコード命令によって)瞬間尿排出流量が推定される。瞬間尿排出流量は、GUI上に表示し、かつ/または時間の関数としての尿流量のグラフ上の点としてプロットすることができ、これを用いて傾向を特定することができる。瞬間尿排出流量は、患者の状態のより正確なかつ/またはリアルタイムの表現とすることができ、これは例えば、何時間にもわたって蓄積した尿を用いて平均尿流量が推定される標準的な手動による方法と対照的である。代替として、またはそれに加えて、尿排出流量は、手動による方法によって用いられる時間間隔よりも短くすることができる時間間隔、例えば30分または1時間にわたって測定される。尿排出流量は、時間間隔の間に患者によって排出された尿滴のサンプルまたはほとんどもしくは全てを用いて測定される。尿排出流量は、手動による読出しのために十分な尿が蓄積するように数時間待機する必要なく、患者の状態のより正確な表現を提供することができる。
【0036】
本明細書に記載の尿分析装置(および/または尿分析を行う1つまたは複数のプロセッサによって実行されるコード命令)は、患者の健康状態の早期の変化、例えば、AKIの早期発症、尿閉、尿路感染、およびPODの早期発症を検出するのに用いられる、患者の自動監視(例えば、連続的、周期的および/またはイベントベース)を提供する。予測傾向は、異常な健康状態への早期の進行、例えばAKIへの進行を予測することができる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、患者によって排出される尿内の1つまたは複数の尿成分のリアルタイム値を測定する尿分析装置(および/または1つまたは複数のプロセッサによって実行されるコード命令によって実施される尿分析装置の動作のための方法)に関する。例示的な値は、各個々の成分について測定された濃度、閾値(例えばゼロまたは他の値)を用いた各個々の成分の存在、尿の容積モル浸透圧濃度、および尿の重量モル浸透圧濃度を含む。尿分析装置は、尿の各連続して受け取られた滴について異なる尿成分の測定を行う。任意選択で、各連続した単一の滴または滴のグループは、滴内の異なる単一の成分を測定するために用いられ、これは例えば、同じ尿量を用いて複数の成分を測定するために大量の尿内に尿試験紙が挿入される標準的な手動による方法と対照的である。代替として、またはそれに加えて、単一の滴を用いて重量モル浸透圧濃度および/または容積モル浸透圧濃度を測定することができる。
【0038】
任意選択で、各連続して形成された滴は、異なる成分を測定するように設計された測定要素上に落下する。例示的な測定要素は、異なる成分を測定するように各々が設計された複数のラボ・オン・チップ(LOC)ユニット、および各々が、それぞれの媒体によって測定されるそれぞれの成分の濃度によって異なる色に変化するように設計された媒体を含む。カラーカメラは、各媒体の色を検知し、色を示す信号を生成することができる。信号は、成分の濃度を推定するための命令コードを用いて分析することができる。代替として、またはそれに加えて、LOCおよび/または他の測定要素を用いて、容積モル浸透圧濃度および/または重量モル浸透圧濃度を測定することができる。
【0039】
任意選択で、測定要素は、回転要素の表面に沿って配置される。回転要素は、1つまたは複数の連続して形成された滴を測定要素(各測定要素は、1つまたは複数の滴、例えば正確な読み値を得るのに必要な最小量を受け取ることができる)に露出させるために所定の量回るように(例えばモータによって)制御される。例えば、回転要素は、所定の回転率または間欠回転(indexing)(例えば、製造者が定義した設定に従って、滴の形成に基づいてオペレータによって手動で設定される、かつ/または各落下する滴によってトリガされる)で回り、各滴(または複数の連続した滴)が、滴の異なる成分を測定する異なる測定要素上に落下するようにする。代替として、回転は、センサが落下する滴を検出することによってトリガされ、次の測定要素を落下する滴に対し露出するように回転要素を回転させる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、スペクトル分析に基づいて、患者によって排出された尿内の1つまたは複数の尿成分の値を推定するシステムおよび/または方法(例えば、プロセッサによって実行されるコード命令)に関する。尿成分の測定は、所定の時間間隔、例えば、15分ごと、60分ごと、または他の時間間隔で行うことができる。例示的な値は、各個々の成分について測定された濃度、閾値(例えばゼロまたは他の値)を用いた各個々の成分の存在、尿の容積モル浸透圧濃度、および尿の重量モル浸透圧濃度を含む。光源(例えば、広帯域光)は、尿滴を通るように方向付けられ、任意選択で分散される。例えば、光源は調節可能であり、光の波長の狭帯域(例えば単一の帯域)が滴を通るように(例えば連続して)方向付けられる。尿滴を通過した光は、単一要素または多要素検出器アレイに向けて方向付けられる。1つまたは複数のプロセッサによって実行される分析コードは、アレイの要素によって生成される強度を分析することにより、および/またはいずれの要素が活性化されるかに応じて、例えば、標準的な基準(例えば、経験的測定値および/または数学モデルを用いて計算される)と比較することにより、1つまたは複数の尿成分の濃度を推定する。
【0041】
任意選択で、TIRプリズム(または他の光分割実施態様)は、光源によって生成された光を、少なくとも、尿によって反射されてアレイの要素のサブセットに達する、第1の部分に分割する。光は、尿を通るように送信されて単一要素検出器に達する第2の部分に分割される。光の波長は経時的に変動する。検出器アレイおよび単一要素検出器の信号は共に分析され、1つまたは複数の尿成分の濃度、ならびに/または尿の容積モル浸透圧濃度および/もしくは重量モル浸透圧濃度が推定される。
【0042】
代替として、またはそれに加えて、光源からの光は、ビームスプリッタによって基準ビームと、1つまたは複数の尿滴を通過するビームとに分割される。基準ビームは、尿を通過した後に光と結合され、1つまたは複数の尿成分の濃度、ならびに/または尿の容積モル浸透圧濃度および/もしくは重量モル浸透圧濃度を推定するように分析される。例えば、信号を互いに減算して、尿成分を示す信号に到達する(すなわち、尿を通過した光から基準光を取り除く)ことができる。
【0043】
本明細書に記載のシステム(尿分析装置を含む)および/または方法(例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるコード命令)は、患者の実際の状態をより正確に反映する、尿流および/または尿成分の濃度を求める技術的問題に対処する。例えば、現行の方法は、例えば、何時間にもわたって袋に収集された尿の量を手動で読み出し、推定時間数で除算し、かつ/または何時間にもわたって収集された尿量に尿スティックを手動で浸す、何時間にもわたって得られた手動の平均測定に依拠する。提案される解決策は、手動の方法が提供する遡及的平均ビューではなく、患者のリアルタイムの状態により正確に関係する尿流量および/または尿成分の濃度の現場での(すなわち、患者の臨床での)推定を提供する。この推定を用いて、患者の尿流量および/または尿成分の濃度が安全な所定の範囲を離れる傾向を有することを事前に予測することができる。
【0044】
本明細書に記載のシステム(尿分析装置を含む)および/または方法(例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるコード命令)は、尿分析の技術分野における基礎をなす技術的プロセスを改善する。本明細書に記載のシステムおよび/または方法は、形成された尿滴を用いた臨床におけるリアルタイムの測定を提供することによって、患者の尿流量(すなわち尿排出)および/または尿成分の濃度を推定するプロセスを改善する。
【0045】
本明細書に記載のシステム(尿分析装置を含む)および/または方法(例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるコード命令)は、患者の尿流量を推定し、および/または尿成分の濃度を推定するコード命令を実行する演算機の性能を改善する。性能の改善は、患者の尿流量を計算し、かつ/または尿成分の濃度を推定するための処理時間、処理リソース、および/またはメモリリソースを低減することによって得られる。性能の改善は、例えば、測定を行うために何時間にもわたって尿の大量のサンプルを収集するのではなく、少なくとも部分的に、少量の尿(1滴または数滴の尿滴を収集することに基づく)を用いた所定の時間間隔にわたる分析により測定値を計算することによって達成される。
【0046】
本明細書に記載のシステム(尿分析装置を含む)および/または方法(例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるコード命令)は、例えば、患者によって排出された尿(例えば、尿道留置カテーテルから受け取られる)を用い、物理的センサから得られた電気的読み値を用い、かつ/または物理的ディスプレイ上に測定値を提示する、物理的に実在するコンポーネントに関係する。
【0047】
本明細書に記載のシステム(尿分析装置を含む)および/または方法(例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるコード命令)は、患者の尿排出流量および/または排出される尿の成分の濃度のリアルタイムのまたはポイント・オブ・ケア(POC)の推定の独自の、特定の、かつ進化した技法を提供する。
【0048】
したがって、本明細書に記載のシステムおよび/または方法は、患者の尿排出および/または尿成分のより正確な値を計算する際に生じる実際の技術的問題を克服するために、コンピュータ技術および物理的ハードウェアに密接に関係する。
【0049】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途において、以下の説明に示され、かつ/または図面および/もしくは実施例に例示されるコンポーネントおよび/または方法の構造および構成の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施もしくは実行することが可能である。
【0050】
本発明は、システム、方法および/またはコンピュータプログラム製品とすることができる。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0051】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置によって用いるための命令を保持し、記憶することができる有形装置とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定ではないが、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、または上記の任意の適切な組み合わせとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非包括的なリストは、以下のもの、すなわち、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、および上記の任意の適切な組み合わせを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書において用いられるとき、電波または他の自由に伝播する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通って伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、または配線を通して送信される電気信号等、一時的な信号自体であるものとして解釈されない。
【0052】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの演算/処理装置に、またはネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワークおよび/もしくは無線ネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部記憶装置にダウンロードすることができる。ネットワークは、銅製の伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータおよび/またはエッジサーバを含むことができる。各コンピューティング/処理装置におけるネットワークアダプタカードまたはネットワークインタフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために転送する。
【0053】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコードもしくはオブジェクトコードとすることができる。コンピュータ可読プログラミング命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的にリモートコンピュータ上で、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続することができるか、または接続は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットを通じて)外部コンピュータに対し行うことができる。いくつかの実施形態では、例えばプログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることによってコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0054】
本発明の態様が、本発明の実施形態による方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して本明細書に記載される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、および/またはフローチャート図および/またはブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施できることが理解されよう。
【0055】
これらのコンピュータ可読プログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供してマシンを生成し、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサにより実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能/動作を実施する手段を作成するようにする。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、および/または他の装置が、特定の方式で機能するように指示し、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能/動作の態様を実施する命令を含む製造品を含むようにする。
【0056】
コンピュータ可読プログラム命令を、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他の装置上にロードして、コンピュータ、他のプログラマブル装置または他の装置上で一連の動作ステップを実行させ、コンピュータ実施プロセスを生成し、コンピュータ、他のプログラマブル装置または他の装置上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能/動作の態様を実施するようにすることができる。
【0057】
図面におけるフローチャートおよびブロック図は、本明細書の様々な実施形態によるシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。いくつかの代替的な実施態様では、ブロックに示す機能は、図に示される順序と外れて生じる場合がある。例えば、連続して示された2つのブロックが、実際には実質的に同時に実行される場合があり、または場合によっては関与する機能に応じて、ブロックが逆の順序で実行される場合がある。また、ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図におけるブロックの組み合わせを、専用ハードウェアベースのシステムによって実施することができることも留意されたい。専用ハードウェアベースのシステムは、指定された機能または動作を実行するか、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する。
【0058】
本明細書において用いられるとき、推定、測定および計算という用語は、場合によっては、例えば尿排出流量および/または尿成分濃度を得ることを指すときには交換可能である。例えば、センサは、尿滴に対し測定を行うことができる。測定は、尿排出流量および/または尿成分濃度を計算するために用いられる。計算された値は、尿内の実際の値の推定値を表す(すなわち、尿のサンプルに対し行われた計算の外挿に基づく)。
【0059】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、形成された尿滴を用いて患者により排出された尿の流量を推定し(各滴について測定された量を用いる)、かつ/または排出された尿内の1つまたは複数の成分の濃度を推定するシステム100のコンポーネントのブロック図である図1を参照する。また、本発明のいくつかの実施形態に係る、図1のシステム100の動作方法のフローチャートである図2も参照する。
【0060】
システム100は、患者から尿を受け取る尿収集管との流体連通、例えば、患者の膀胱内に位置決めされた留置カテーテルの出力への接続のための入口102を備える。入口102から受け取られる尿は、尿収集システム(例えば、袋、排水管)への出口108を有する滴下チャンバ106内に滴を誘導する滴形成要素104(例えば、中空管)によって単一の連続して落下する滴になるように形成される。滴形成要素104は、例えば、グループに面する管の端部に滴を形成する細長い中空管として実施することができる。
【0061】
本明細書に記載されるように、フローセンサ110(例えば、光学カメラ)は、各滴を分析して滴量を推定し、これは尿排出流量を推定するのに用いられる。フローセンサ110は、電磁センサ、任意選択で光学センサ、任意選択で滴の1つまたは複数の画像を取り込む光学カメラとして、任意選択で、滴が滴下チャンバ106を通って落下しているときに実施することができる。
【0062】
任意選択で、フローセンサ110は、例えば、本出願と同じ発明者による、2015年11月24日に出願された特許文献1に記載されているような滴および/または滴下測定および/または分析器であり、特許文献1は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0063】
計時メカニズム112(例えば、光学カメラに接続されたクロック)は、滴ごとに時間基準を測定する。時間基準は、絶対時間基準(例えば、実際の現在の時刻)および/または相対時間基準(例えば、前回の滴から経過した時間であり、任意選択で、新たな滴ごとにゼロにリセットされる)。本明細書に記載されるように、相対時間は、尿排出流量を推定するのに用いられる。代替として、またはそれに加えて、計時メカニズム112は、所定の時間内、例えば、秒ごと、分ごと、時間ごとまたは他の期間ごとに落下する滴数をカウントするカウンタを含む。
【0064】
成分測定要素116は、尿成分を測定する。任意選択で、成分測定要素116は、本明細書に記載されるように、例えばスペクトル分析を用いて尿の容積モル浸透圧濃度および/または重量モル浸透圧濃度を測定する装置として実施され、および/または干渉計として実施される。代替として、またはそれに加えて、成分測定要素116は、各々が異なる尿成分の濃度(または存在)を測定するように設計された複数の要素、例えば、ラボ・オン・チップ、カラーストリップ、または(本明細書に記載されるような)他の生化学的センサとして実施される。
【0065】
コンポーネント110、112、116の例示的な実施態様が本明細書に記載される。
【0066】
システム100は、所望の測定を行うためのコンポーネント、すなわち、フローセンサ110、および(尿排出流量を測定するための)計時メカニズム112、および/または(1つまたは複数の成分を測定するための)成分測定要素116の様々な組み合わせを用いて実施することができることに留意されたい。
【0067】
1つまたは複数の物理的および/または仮想インタフェースを含むことができるコンポーネントインタフェース118は、1つまたは複数のコンポーネント110、112、116とコンピューティングユニット120との間の接続性を提供する。コンポーネントインタフェース118は、例えば、ケーブルインタフェース、無線チャネルインタフェース、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)、ソフトウェア開発キット(SDK)インタフェース等のうちの1つまたは複数を用いて実施することができる。
【0068】
コンピューティングユニット120は、プロセッサ124および/またはデータレポジトリ126によって実施(すなわち、命令実行)するためのコード命令を記憶するプログラムストア122を含む。プログラムストア122(および/またはデータレポジトリ126)は、尿排出流量を計算するためのフローコード122A、1つまたは複数の尿成分の濃度を計算するための成分コード122Bおよび/または他のコード、例えば、(本明細書に記載されるような)傾向および/または計算値を表示するGUIをレンダリングするための命令を記憶することができる。
【0069】
プロセッサ124は、例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および特定用途向け集積回路(ASIC)として実施することができる。プロセッサ124は、クラスタとして、および/または1つまたは複数のマルチコア処理ユニットとして並列処理のために構成することができる1つまたは複数のプロセッサ(同種または異種)を含むことができる。
【0070】
プログラムストア122は、プロセッサ124、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)および/または記憶装置、例えば、不揮発性メモリ、磁気媒体、半導体メモリ装置、ハードドライブ、リムーバブルストレージおよび光媒体(例えば、DVD、CD−ROM)によって実施可能なコード命令を記憶する。
【0071】
データレポジトリ126は、例えば、メモリ、ローカルハードドライブ、リムーバブル記憶ユニット、光ディスク、記憶装置として、ならびに/またはリモートサーバおよび/もしくは(例えば、ネットワーク接続を用いてアクセスされる)コンピューティングクラウドとして実施することができる。
【0072】
コンピューティングユニット120は、任意選択で、ディスプレイ、例えば、タッチスクリーン、マウス、キーボード、および/または音声認識ソフトウェアを有するマイクロフォンを含む1つまたは複数のユーザインタフェース128と(例えば、適切なインタフェースを用いて)通信することができる。
【0073】
コンピューティングユニット120は、ネットワーク132を介して1つまたは複数のサーバ134と接続するための、例えば、ローカル無線ネットワークを介して測定値を(例えば、ナースステーションに位置する)遠隔監視サーバに送信するための、インターネットを介して測定値をホームドクターのオフィスにある記憶サーバに送信するための、ネットワークインタフェース130(例えば、ネットワークインタフェースカード、無線ネットワーク接続、ケーブル接続、仮想ネットワークインタフェース等)を含むことができる。
【0074】
コンピューティングユニット120は、例えば、独立型のポータブルユニット(患者のベッド間を移送されるように設計される)、既存のコンピュータ(例えば、病棟に位置するデスクトップコンピュータ)内のハードウェアカード(またはチップ)、および/または既存のコンピュータ(例えば、医師のラップトップ)内にロードされたコンピュータプログラム製品として、および/またはモバイル装置(例えば、スマートフォン、タブレット、コンピュータ眼鏡等のウェアラブルコンピュータ)上のアプリケーションとして実施することができる。
【0075】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、システム100が実施される環境の概略図である図3を参照する。患者311によって排出される尿は、尿分析器312によって受け取られる。患者は、入院患者、養護施設の患者、または自宅で治療を受けている患者とすることができる。患者によって排出される尿は、カテーテルによって収集することができ、任意選択で、尿が腎臓によって生成されるときに膀胱から尿を排出する尿道留置カテーテル(例えば、フォーリーカテーテル)によって収集することができる。
【0076】
尿は、(本明細書に記載されるように)尿分析器312によって受け取られ、分析される。尿分析器312は、図1を参照して説明された以下のコンポーネント、すなわち、入口102、滴形成要素104、滴下チャンバ106、出口108、フローセンサ110、計時メカニズム112、および成分測定要素116のうちの1つまたは複数を含むことができる。尿分析器312は、患者のベッドに位置決めすることができる独立型のポータブル装置として実施することができる。尿分析器312は、完全に使い捨てとすることができるか、1つまたは複数の使い捨て部品を含むことができる。
【0077】
フローセンサ110、計時メカニズム112、および/または成分測定要素116によって生成される信号は、ハブ313によって受信および処理される。ハブ313は、(例えば、ケーブルおよび/または無線チャネルおよび/またはネットワークによって)尿分析器312と電気通信する外部ユニットとすることができ、かつ/または、ハブ313および尿分析器312は、単一のユニットに統合することができる。ハブ313は、図1を参照して説明したコンピューティングユニット120に対応することができる。
【0078】
メインコンソール314は、ディスプレイ、任意選択でタッチスクリーンとして、かつ/または、計算された尿排出流量および/もしくは成分濃度(すなわち尿データ)を表示するためのユーザ入力インタフェース(例えば、ボタン、キー)を含んで実施することができる。メインコンソール314は、図1を参照して説明したユーザインタフェース128に対応することができる。
【0079】
ここで図2を参照すると、202において、患者によって排出された尿がシステム100によって受け取られる。
【0080】
システム100は、入口102によって受け取られる尿が、膀胱内の尿、漏れ、およびカテーテル内に残っている尿に起因した残りの尿および/または尿排出流量の変動を表す許容値要件(例えば、範囲)内で、腎臓によるリアルタイムの尿生成を正確に反映するという仮定の下で動作する。
【0081】
入口102は、カテーテルに適合する大きさのプラスチック管として実施することができ、任意選択で可撓性であり、任意選択で使い捨てである。入口102は、カテーテルに一体化されてもよい。
【0082】
204において、受け取られた尿は、滴形成要素104、例えば、尿を受け取る端部の反対端に個々の滴を形成するような大きさおよび形状の薄い中空管によって滴に形成される。滴形成要素104は、尿流のボトルネックとして機能しないような大きさおよび/もしくは形状にされ、かつ/または他の形で設計される。滴形成要素104が滴を形成することができる速度は、患者によって排出される尿の速度に一致するように設計され、それによって、滴形成要素104が、尿流のボトルネックとして機能しないように、かつ尿流量の推定に不正確に影響を及ぼさないようにされる。
【0083】
形成された滴は、一度に一滴ずつ滴下チャンバ106内に滴下する。滴の形成および滴下の速度は、尿排出流量に関連することができる。患者の腎臓によって形成される尿滴は、リアルタイム分析のためにカテーテルを通って流れる。患者によって形成される尿は、例えば、カテーテル内に溜まった尿および膀胱内にいくらか残っている尿を除いて、必ずしも蓄積しない場合がある。
【0084】
206において、各滴が検知され、任意選択でフローセンサ110によって撮像され、かつ/または計時メカニズム112によって計時される。本発明者らは、例えば、特許文献1の図20において異なる液体について測定された滴量データによって示されるように、尿滴量が、尿の組成によって変動することを発見した。各滴の量が患者の尿に応じて変動し、これは同じ患者について動的に変動する可能性があるので、尿滴量は正確に推定することができない。各尿滴の量を測定することにより、尿排出流量の正確な計算が提供される。
【0085】
各滴の量は、フローセンサ110によって推定される。計時メカニズム112は、各滴の時間(例えば、滴間の経過時間、および/または実際の時間による各滴の絶対時間)を測定する。尿排出流量は、時間および量の測定値に基づいて計算される。
【0086】
フローセンサ110は、例えば、蓄尿袋内に収集された尿からの流体量を求める他の方法と比較して、流れる尿が出口と流体連通する蓄尿袋に入る前に、滴下チャンバ106内の尿滴を分析する。
【0087】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、尿滴量を推定し、および/または尿排出流量を推定するのに用いられる信号(すなわち、滴の時間の信号)を出力する例示的な尿分析器401の概略図である図4を参照する。
【0088】
患者によって排出された尿は、図1を参照して説明した入口102に対応することができる入口412によって受け取られ、かつ/または入口102に接続することができ、かつ/または滴形成要素104の出力とすることができる。入口412は、尿の個々の滴414を、透明な(または半透明な)調査カプセル411(これは、図1を参照して説明した滴下チャンバ106に対応することができ、かつ/または滴下チャンバ106内に位置しかつ/もしくは連通することができる)内に解放する。
【0089】
入口412から落下する各滴は、例えば、フォトセンサとして実施することができる検出器416をトリガする。検出器416は、光源415、例えば、レーザ、ライトバルブ、および/または発光ダイオード(LED)によって放射される電磁放射(例えば、可視光、赤外光、レーザ)を検知することができる。光源415および検出器416は、互いの反対側に位置決めすることができ、それによって、光源415からの光は、カプセル411の内腔を通過して検出器416に達する。落下する滴414は、光源415から検出器416までの電磁送信に影響を及ぼし(例えば、妨害し、遮断しおよび/または散乱させ)、トリガ信号417を生成する。
【0090】
任意選択で、トリガ信号417を用いて、計時メカニズム112(例えば、回路、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるコード命令)によって、トリガとなる滴の時間(例えば、滴間の相対経過時間および/または滴の絶対時間)を求める。計時メカニズムは、光源415および検出器416を含んで実施することができる。
【0091】
高速ゲートカメラ418は、カメラ418の上方に位置決めされる光検出器416によって出力されるトリガ信号417によって起動される。高速ゲートカメラ418は、高解像度画像センサ、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)モジュールおよび/または電荷結合素子(CCD)モジュールとすることができる。
【0092】
カメラ418は、各滴の1つまたは複数の画像を取り込む。照明要素419(例えば、ライト)が滴414を照明する。照明は、滴量の推定精度を改善することによって、画像の品質を改善することができる。本明細書に記載されるように、コード命令(例えば、フローコード122A)は、滴の画像の分析に基づいて各滴の量を推定する。照明要素419は、カプセル411の、カメラ418と同じ側に、またはカメラ418の反対側に位置決めすることができる。照明要素419は、カメラ418と一体化することができる。
【0093】
任意選択で、滴の量、および/または滴内の尿成分の濃度は、滴の幅の複数の時系列で順序付けされた計算値と、例示的な滴の幅の時系列で順序付けされた値とを組み合わせることにより、滴の内容物のタイプを計算することによって計算される。例示的な滴(例えば、経験的に収集されたデータおよび/または数学モデルを用いて計算されるデータに基づいて、データレポジトリ126内のテンプレートまたはライブラリに記憶される)は、異なる内容物タイプの液体を含む。それぞれの滴が、液体のタイプのうちの1つになるように計算され、これにより、量の推定および/または濃度の推定(例えば、容積モル浸透圧濃度および/または重量モル浸透圧濃度)が可能になる。更なる詳細は、例えば、特許文献1を参照して提供される。
【0094】
代替として、またはそれに加えて、滴の量は、(例えば、互いに対してある角度で位置決めされた、任意選択で直交するように位置決めされた2つのカメラを用いて)滴の2D画像から3Dボリュームを構築し、構築された滴の量を計算することによって推定される。例えば、滴の2D画像は、対称であることが想定され、上下方向において中心長手方向軸周りで回転され、滴の3Dボリュームを生成することができる。
【0095】
代替として、またはそれに加えて、特許文献1を参照して詳細に説明されるように、滴の量は、滴の水平方向の平坦なセグメントの量を合算することによって計算される。滴の各水平方向の平坦なセグメントの量は、時間間隔のシーケンス中の制限された水平方向の平坦なエリア内で取り込まれる電磁放射(EMR)を測定することによって計算される。滴が落下するとき、各時間間隔において、滴の異なる水平セグメントが、制限された水平方向に平坦なエリア内のEMRの一部分と干渉する。滴の水平セグメントの幅は、干渉されるEMR量に比例する。水平セグメントの量は、セグメントの幅およびセグメントの速度が既知であるときに計算することができる。
【0096】
分析された後、尿分析器401の底部に落下する滴は、(図1を参照して説明した出口108に対応することができ、および/または出口108に接続することができる)出口413を出ることができる。
【0097】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、尿滴量を分析し、尿排出流量の計算のための信号を出力し、かつ/または尿排出流量を計算して出力する例示的な尿分析器の概略図である図5を参照する。
【0098】
入口尿管502は、患者によって排出された尿を受け取る。本明細書に記載されるように、落下する滴520は、センサ504をトリガし、光学センサ(例えば、カメラ)510によって撮像される。マイクロコントローラ506(例えば、回路、および/または1つもしくは複数のプロセッサによって実行されるコード命令として実施される)は、取り込まれた画像および/または計時信号を処理し、更なる処理および/またはディスプレイ上への提示のために、信号508をハブおよび/または他のコンピューティングユニットに出力する。マイクロコントローラ506は、他のコンピューティングユニットおよび/またはハブによる処理から未加工画像および/または計時信号を処理し出力することができる。代替として、またはそれに加えて、マイクロコントローラ506は、画像および/または計時信号を分析し、推定滴量および/または計算された尿排出流量を出力する。
【0099】
(撮像された後の)滴は、蓄尿袋516に収集することができる。袋516(任意選択で、使い捨てである)は、移送バルブ514を閉じることによって交換することができる。
【0100】
較正されたチャンバ512を用いて、長期間にわたって蓄積された尿の総量を測定することができる。
【0101】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、例示的な滴チャンバ(例えば、図1を参照して説明された106)および/または調査カプセル(例えば、図4を参照して説明された411)の概略図である図6Aを参照する。入口ポート602は、尿滴を受け取る。尿滴は、透明な壁606間を落下する。尿滴は、滴下チャンバ(および/または調査カプセル)の底部のプール空間608内に蓄積し、出口ポート604から出る。滴下チャンバは、任意選択で壁606に接触することなく落下する滴を収容するような大きさおよび形状にされ、フローセンサ110および/または計時メカニズム112が滴を計時しかつ/または滴を検知することができるのに十分な長さを有する。
【0102】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、落下する滴に対しフローセンサ110および/または計時メカニズム112によって行われる測定に対応するように位置決めされた図6Aの滴チャンバおよび/または検査チャンバの概略図である図6Bを参照する。
【0103】
壁(すなわち、606)は、フローセンサ110および/もしくは計時メカニズム112を収容するための窪み(例えば、壁が十分厚いとき)を含むことができ、かつ/または電磁放射を送信する開口609(例えば、壁が完全に透明でないか、もしくは汚れるおそれがあるときは窓)を含むことができ、かつ/または窪みおよび/もしくは開口609が必要とされないように十分透明とすることができる。以下のコンポーネント(本明細書に詳細に記載される)、すなわち、照明源610(例えば、レーザ、LED)、検出器612(照明源610によってトリガされる)、従来の焦点レンズまたはテレセントリックレンズを有するカメラ614、およびカメラのための照明源616(例えば、LED)のうちの1つまたは複数が、壁の窪みに収容され、かつ/または開口609の隣に位置決めされる。任意選択の成分分析器620(本明細書に記載されるように尿の成分を分析する)は、滴の尿成分を分析するために、カメラ614および/または照明源616の下に位置決めすることができる。マイクロコントローラ618および/または(例えば、外部コンピューティングユニットおよび/またはハブおよび/またはディスプレイへの)インタフェース622は、滴下チャンバおよび/または調査チャンバの壁内に一体化する(および/または壁の外部に位置決めする)ことができる。
【0104】
208において、滴量が推定される。量は、フローセンサ110によって出力される信号(例えば、画像)を用いて推定される。尿排出流量は、滴量、および計時メカニズム112によって出力される計時信号に基づいて計算される。量推定および/または尿排出流量は、コンピューティングユニット120のプロセッサ124によって実行されるフローコード112Aによって計算することができる。
【0105】
任意選択で、瞬間尿排出流量が測定される。瞬間流量は、個々の滴の流量の推定に基づく瞬間流量の近似であることに留意されたい。瞬間尿排出流量は、2つの滴間の相対時間に基づいて、1つまたは2つの滴を用いて測定することができる。流量は、より多くの滴を用いて、滴のための総測定時間に基づいて、例えば、3滴、10滴、もしくは50滴、もしくは100滴、もしくはより多くの数の滴、または約1秒、約1分、約5分、約10分、もしくは30分、もしくは60分、もしくは他の時間単位内に落下する滴数に基づいて測定することができる。尿排出流量を選択することができる単位基準は、臨床的関連度、測定の正確度、ディスプレイ上に点を提示する能力、および/または他の要素に基づいて選択することができる。
【0106】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、センサによって得られる処理された滴画像の概略図である図7を参照する。画像702は、ゲートカメラによって取り込まれる例示的な画像である。画像702は、(例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行される画像処理コード命令を用いて)画像704として示される滴の画像を分割するように処理することができる。例えば、画像702はバイナリフィルタを用いて処理され、バイナリ画像704を生成することができる。ここで、黒は滴の量を表す。任意選択で、滴ごとに1つまたは複数の画像、例えば、2つ、3つ、5つまたはそれ以上の画像が取り込まれる。最良の画像を選択することができるか、または滴ごとに複数の画像を分析して結果を平均することができる。
【0107】
は、例えば、画像処理方法を用いて画像704から得られた水平断面(またはスライス)の測定値を表す。
【0108】
単位時間にわたる1つまたは複数の滴の量(すなわち、蓄積された滴の総量)を、以下の式を用いて計算することができる。
【数1】
ここで、
dropは、滴量、または蓄積された滴量を(例えば、ミリメートル単位で)表し、
Kは、カメラのスケーリング・ジオメトリ(scaling geometry)に依拠する較正定数を表し、
nは、時間単位にわたる滴数を表し、
は、画像704を参照して示し、実施形態で説明したとおりである。
【0109】
代替として、またはそれに加えて、上記の量の式を用いて、各滴から取得された複数の画像を用いて各滴の量を推定し、各滴について計算される複数の断面積を推定することができる。各画像を分析して、滴の異なる部分について断面積を計算することができる。各断面は、連続断面間で推定される補間された厚みにおいて一様であると推定することができる。断面ボリュームの量を合算することにより、滴の総量がもたらされる。更なる詳細については、例えば、特許文献1を参照して得ることができる。
【0110】
尿排出流量は、所定の時間間隔にわたって計算された、滴下速度に平均滴量を乗算した積として計算することができる。滴下速度は例えば、フローセンサ110、計時メカニズム112、または滴を検出しカウントする別のセンサを用いて滴数をカウントすることに基づいて求めることができる。平均滴量は、例えば、滴のサンプル(例えば、ランダムなサンプル、所定の滴数ごと、所定の時間間隔ごと等)、滴の組または全ての滴、または本明細書に記載の他の方法に基づいて計算することができる。時間間隔は、予め設定することができ、および/またはユーザによって定義することができ、例えば、約10分、または約30分、または60分、または他の時間間隔である。
【0111】
尿排出流量は、所定の時間間隔にわたる一連の滴の量を加算することに基づいて、または、一連の滴が加えられた時間に基づいて、計算することができる。
【0112】
尿排出流量は、以下の式を用いて計算することができる。
流量=N×Vdrop
ここで、
Nは、蓄積された滴量を求めるのに用いられる単位時間あたりの滴数(例えば、時間あたりの滴数、または時間単位あたりの単一の滴、または単位時間あたりの複数の滴)を表し、
dropは、時間単位にわたる総平均滴量である。
【0113】
任意選択で、複数の尿排出流量点(例えば、上記で説明したように計算される)に基づいて傾向が特定される。傾向は、尿排出流量の減少または増大を示す。例えば、上昇傾向は、患者が単位時間あたり、より多くの尿を生成していることを示す。例えば、下降傾向は、患者が単位時間あたり、より少ない尿を生成していることを示す。傾向は、患者の安全なかつ/または健康なかつ/または適切な尿排出を示す、患者のための値の許容される範囲を示す所定の許容範囲に基づいて分析される。任意選択で、特定された傾向は、急性腎障害(AKI)を示す。検出されたAKIを示すものを、(本明細書に記載されるように)GUI上に提示し、かつ/または警報として提供することができる。AKIを示す傾向は、例えば、非特許文献1および非特許文献2を参照して説明されるAKI定義に基づいて特定することができる。これらの文献は全て、参照によりその全体が本明細書に援用される。例えば、範囲未満の尿排出は、例えば、急性腎不全(ARF)を示すことができる。例えば、範囲を上回る尿排出は、例えば、閉塞後多尿(POD)を示すことができる。任意選択で、傾向は、未来の尿流量が所定の許容範囲外となることを予測する。例えば、約6時間後に、患者は、尿排出が下限を下回って減少することが予測され、これは、例えば、患者がARFを発症していることを示唆する場合がある。別の例では、4時間後に、患者は、尿排出が上限を上回って増大することが予測され、これは、例えば、患者がPODを発症していることを示唆する場合がある。
【0114】
任意選択で、尿排出流量が実際に許容範囲外にあるとき、または近々(すなわち、数時間以内に)許容範囲外になることが予測されるとき、警報が生成される。警報は、インスタントメッセージとして、医療提供者(例えば、看護師、待機中の医師)のスマートフォンに送信し、傾向を提示するGUI上に提示し、患者の監視を行う別のコンピューティング装置上に送信および提示することができ、または他の実施が可能である。
【0115】
任意選択で、傾向は、所定の数の尿排出流量測定値のスライディングウィンドウを用いて行われる最小二乗回帰分析に基づいて特定される。例えば、y(0)、y(1)、y(i)、…y(n)、y(n+1)は、任意選択で、所定の時間間隔、例えば、30分ごと、1時間ごと、または他の時間単位で計算された、計算された尿排出流量を表す。z(i)=ax(i)+bは、y(0)〜y(n)の計算された尿排出流量について特定された傾向を表す(すなわち、傾向は、任意選択で最後のn個のサンプルについて、サイズnのスライディングウィンドウについて計算され、ここで、Δは連続サンプル間の時間間隔を表す)。
【0116】
以下の式が解かれる。
【数2】
【0117】
210において、滴下チャンバ内を流れる尿に対し行われる分析に基づいて、1つまたは複数の成分信号が生成される。成分信号は、尿内の1つまたは複数の成分を示す。成分信号は、分析されている各成分について生成される。
【0118】
検出される例示的な成分は、有機化合物、無機化合物、細胞(赤血球、白血球)、細胞の一部(すなわち、群発細胞からの、例えばヘモグロビン)、タンパク質(任意選択で、タンパク質のタイプごと、例えばタンパク質サイズ)、尿素、塩化物、ナトリウム、カリウム、イオン、クレアチニン、およびグルコースのうちの1つまたは複数を含む。
【0119】
各成分について、濃度を検出することができる。代替として、ある量の成分(例えば、ゼロより大きい、または閾値よりも大きい)の存在、例えば、尿素内の血液の存在、尿内のケトンの存在、尿内の糖の存在が検出される。
【0120】
代替として、またはそれに加えて、成分は、必ずしも組成を検討することなく、群として検出され、例えば、尿重量モル浸透圧濃度を推定することができる。本明細書において用いられるとき、成分という用語は、尿重量モル浸透圧濃度の測定、または複数の含有成分に基づく他の測定を含むことができる。
【0121】
尿滴または複数の滴のシーケンスは、尿滴が出口と流体連通する蓄尿袋に入る前に、任意選択で、尿滴が滴下チャンバ内にある間に分析される。
【0122】
尿滴は、滴量の計算のために分析された後に(すなわち、尿流量および成分の双方を測定する実施において)、成分を特定するために分析される。
【0123】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、尿内の成分を測定する成分測定装置802を含む、図5を参照して説明された例示的な尿分析器装置の概略図である図8を参照する。成分測定装置802は、図1を参照して説明された成分測定要素116に対応することができる。成分測定装置802は、滴量の計算のために検知される滴520を分析するために、トリガセンサ504および撮像センサ510の下(すなわち、フローセンサ110の下)に位置決めされる。成分分析は、例えば、分析プロセス中に尿を吸収することによって、尿量を計算する能力に影響を及ぼす場合があるので、成分測定装置802は、トリガセンサ504および撮像センサ510の下(すなわち、フローセンサ110の下)に位置することに留意されたい。1つまたは複数の成分の濃度および/または存在を示すプロセッサ506によって処理される信号804は、本明細書に記載されるように、外部コンピューティングユニット、ハブ、および/またはディスプレイに送信することができる。
【0124】
落下する尿滴は、それぞれの成分測定要素116上に落下し、成分測定要素116は各々が連続してそれぞれの滴ごとにそれぞれの尿成分の測定を行い、例えば、各尿滴が1つのそれぞれの成分について分析される。複数の個々の滴を独立して分析することによって、複数の成分が分析される。本明細書に記載されるように、それぞれの滴のそれぞれの尿成分を示す成分信号が生成および分析される。
【0125】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、回転して、異なる尿滴を有する各成分測定要素116と接触する回転装置900に基づく成分測定要素116の実施態様の概略図である図9を参照する。
【0126】
尿滴は、入口902から受け取られる。落下する尿滴は、例えば電磁源(例えば、ライト)および受信センサの対として実施することができるセンサ904をトリガする。センサ904は、例えば図5のセンサ504として実施することができることに留意されたい。センサ904は、滴量の計算のために滴を撮像するためのカメラ906をトリガし、これにより回転タレット907をトリガすることができる。
【0127】
タレット907は、回転要素の表面に配置された成分測定要素914を含む。回転要素は、落下する滴に対しある角度で(すなわち、滴が各要素914の長さに沿って広がることを可能にするように)位置決めすることができるか、または各成分測定要素914に個々に滴下される滴と平坦に(すなわち、水平に)位置決めすることができる。水平の向きは、ある要素914上に落下した滴が別の近傍要素914に流れる動きを阻止することによって、単一の滴が複数の要素914を横切って通過するときに潜在的に相互作用することを回避することができる。成分測定要素914の各々は、尿滴内の異なる尿成分の濃度(および/または存在)を推定する。
【0128】
タレット907は、所定の量(すなわち、円弧長、回転率)だけ回って、新たな成分測定要素914を新たな落下する滴に対し露出する。タレット907の回転は、センサ904によってトリガすることができ、かつ/または計算された尿流量に対応する所定の時間間隔に基づいてトリガすることができる。タレット907は、センサ904に結合されたモータ(例えば、サーボモータ)によって制御し、かつ/またはコントローラによって制御することができる。
【0129】
各成分測定要素914は、異なるそれぞれの尿成分の濃度(または存在)を推定するように検知するよう設計されたそれぞれのラボ・オン・チップ(LOC)(例えば、ソリッド・ステート)として実施することができる。各LOCは、それぞれの尿成分の測定濃度(または存在)を示す信号を出力する。各信号は、それぞれのLOCのそれぞれの成分の濃度を計算するように(例えば、成分コード122Bによって)分析される。
【0130】
別の例示的な実施態様において、各成分測定要素914は、それぞれの成分の濃度(または存在)によって異なる色に変化する含浸ストリップ媒体を含む。装置900は、各それぞれの成分測定要素914の変化した色を検知するような大きさにされかつ/または位置決めされたカラーカメラ908(例えば、赤・緑・青(RGB)カメラまたはマルチスペクトル・イメージャ)を含むことができる。カメラ908は、所定の尿滴量について各回転時に現在の成分測定要素914の画像を取り込むことができる。カメラ908は、検知された変化した色を示す信号を出力する。信号は(例えば、成分コード122Bによって)分析され、検知された変化した色に対応するそれぞれの成分の濃度が計算される。
【0131】
回転タレット907は、例えば、タレット907の角度を傾斜させ、かつ/またはタレット907を前後に位置決めし、かつ/または上下に位置決めすることによって、同じ成分測定要素914の異なる領域を新たな尿滴に対し露出するように制御することができる。例えば、各要素914は、複数の尿滴を検知するための複数の領域を含むことができる。タレット907の各回転後、タレット907は、滴に対し領域の新たな列を露出するように再位置決めすることができる。各タレット907を用いて、多くの数の滴を分析することができる。
【0132】
任意選択で、新たな滴での再利用を提供するために、成分測定要素914にすすぎサイクルおよび/または乾燥サイクルを適用するように、すすぎ要素および/またはドライヤ要素(例えば、ヒータ、送風機)を位置決めすることができる。
【0133】
タレット907は、使い捨て可能および/または交換可能であってもよい。
【0134】
分析後に残っている尿は落下し、出口912から、例えば蓄尿袋内に出ることができる。
【0135】
ここで、図2のブロック210に戻ると、代替として、またはそれに加えて、スペクトル分析に基づいて尿滴の成分が分析される。
【0136】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、尿の成分を測定するためのスペクトル分析システム1000のコンポーネント、およびサンプルスペクトル出力1002を示す概略図である図10を参照する。システム1000は、同じ滴1083内の複数の尿成分を同時に測定することができる。スペクトル分析システム1000は、フローセンサ110(または尿滴量を計算するための他のセンサ実施態様)の下の成分測定装置802内で(すなわち成分測定要素116として)実施することができる。
【0137】
光源1081(例えば、LED、ライトバルブ、マルチカラーレーザ)は、尿滴1083(または尿滴の一部)に向けられた光1082を生成する。スペクトル分散要素1084は、滴1083を通過した光を分散させ、スペクトル1085を生成する。多要素検出器1086は、スペクトル1085(すなわち、分散光)を検知する。成分コード122B命令は、処理ユニット120によって実行されたとき、スペクトル1085を分析して、尿滴1083内の1つまたは複数の尿成分の濃度を特定する。
【0138】
グラフ1002は、多要素検出器1086の出力に基づいて生成される例示的なスペクトル強度グラフである。各ラムダは、異なる尿成分を表す。スペクトル強度は、それぞれの成分の相対濃度を示すことができる。
【0139】
代替として、別の実施態様において、光源1081は、光の波長範囲から選択された波長(または部分範囲)を放射するように調整可能な調節可能光源である。単一の検出器は、多要素検出器1086の代わりに実施することができる。光源1081は、単一の検出器による測定のために連続的に様々な波長にすることができる。信号は、選択された波長に対応する各成分を特定するように連続して分析することができる。
【0140】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、(図10を参照して説明したような)スペクトル分析に基づく成分分析器1100の例示的な実施態様の概略図である図11を参照する。成分分析器1100は、リアルタイムで、患者の1つまたは複数の滴の容積モル浸透圧濃度および/または重量モル浸透圧濃度および/またはスペクトル成分(個々の成分の濃度を特定するのに用いることができる)を推定する。
【0141】
光源1191は、掃引光源であってもよい。光源1191によって生成される光は、レンズ1192によって、プリズム1194上に位置決めされた分析サンプル1195(すなわち、尿滴)に向けられる。尿滴は、滴を方向付けるメカニズムによってプリズム1194(すなわち、スペクトル分散要素)に向けることができ、例えば、1つまたは複数の滴を、選択された時間間隔、例えば、30分ごと、1時間ごと、または手動選択に基づいて、または他の期間で、分析のために方向付けることができる。
【0142】
任意選択で、プリズム1194は、光を2つの部分に分割するTIRプリズムである。光1193の第1の部分は、完全に(またはほとんど)反射される(すなわち、尿1195を通過しない)。光1193は、アレイ検出器1198の照明される部分1199に向けられる。アレイ検出器1198のある部分1199が照明される一方で、他の暗い部分1190は照明されないままであることに留意されたい。検出器1198の照明部分1199に達する光の部分1193は、プリズム1194によって反射されるある臨界角で到達する光線に基づく。照明された部分1199に達する光の部分1193は、尿1195の屈折率に関連している(例えば、その関数である)。屈折率は、尿1195内の複数の成分の関数であり、容積モル浸透圧濃度とも呼ばれる。アレイ検出器1198に対する照明された部分1199の強度および/またはロケーション(および/または暗い部分1190のロケーション)を分析して、例えば成分コード122Bによって尿成分の容積モル浸透圧濃度を推定することができる。
【0143】
光の第2の部分1196は、尿1195を通過する。通過した光は、別のレンズ1192Bによって、任意選択で単一の検出要素を含む別の検出器1197に向けられる。光源1191が時間の関数として掃引されるとき、時間の関数としての検出器1197の出力は、尿1195の光学スペクトルとしてグラフ化することができ、尿の1つまたは複数の成分を計算するように(すなわち、光源1191によって出力される波長に基づいて)、(例えば、成分コード122Bによって)分析することができる。
【0144】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、(図10を参照して説明したような)スペクトル分析に基づく成分分析器1200A〜Bの別の例示的な実施態様の概略図である図12を参照する。
【0145】
成分分析器1200A〜Bは、干渉計設計に基づく。分析器1200Aは、マイケルソン干渉計設計に基づき、分析器1200Bは、マッハ・ツェンダー干渉計設計に基づく。分析器1200A〜Bは、ある範囲の波長を放出することが可能な調節可能光源1201A〜B、例えば外部共振器型垂直面発光レーザ(VECSEL)を含む。
【0146】
分析器1200Aを参照すると、ビームスプリッタ(BS)1203Aは、調節可能光源1201Aによって生成されたビームを第1の基準経路1205Aに分割し、これは、任意選択で調整可能なミラー1206によって反射され、ビームスプリッタ1203Aに戻される。ビームスプリッタ1203Aは、調節可能光源1201Aによって生成されたビームを、第2の経路に分割し、これは、尿サンプル1204を通過し、別のミラー1207によって反射され、尿サンプル1204を通ってビームスプリッタ1203Aに戻される。ビームスプリッタ1203Aは、ミラー1206および1207によって反射されたビームを結合し、結合されたビームを検出器1202Aに向ける。検出器1202Aは、信号を出力し、この信号は、分析され、処理ユニット120によって実行される成分コード122Bによって尿内の成分の濃度(例えば容積モル浸透圧濃度および/または重量モル浸透圧濃度)を推定することができる。
【0147】
分析器1200Bを参照すると、BS1203Bは、調節可能光源1201Bによって生成されたビームを、第1の基準経路1205Bと、尿サンプル1204を通過する第2の経路とに分割する。経路1205B、および尿サンプル1204を通る経路は、検出器1202Bによる検知のために別のビームスプリッタ1220によって結合される。検出器1202Bは信号を出力し、この信号は、分析され、処理ユニット120によって実行される成分コード122Bによって尿内の成分の濃度(例えば容積モル浸透圧濃度および/または重量モル浸透圧濃度)を推定することができる。
【0148】
追加のミラーを用いて、例えば図12に示すように、光のビームを方向付けることができることに留意されたい。
【0149】
尿サンプル1204は、滴下チャンバ106内に位置決めされた透明な(または部分的に透明な)チャンバ内に貯留することができる。透明なチャンバは、任意選択で透明なチャンバ内に空気が存在することなく尿で満たされた状態に留まるように設計される。任意選択で、各新たな尿滴は、チャンバからの(例えば、出口1208を通って出た)対応する量を変位させ、充填した状態でチャンバを維持する。チャンバは、尿サンプル1204を通る経路に沿った光が、透明なチャンバの壁を通過し、透明なチャンバ内の尿サンプル1204を通過するように位置決めされる。
【0150】
本明細書に記載の異なる実施態様は、同じ装置において同時に実施することができ、例えば、図12を参照して説明された分析器1200Aを、尿の容積モル浸透圧濃度および/または重量モル浸透圧濃度を測定するために設置することができ、図9を参照して説明された装置900を、ある尿成分の濃度を測定するために設置することができることに留意されたい。
【0151】
212において、ブロック210を参照して説明されたように出力される信号は、プロセッサ124によって実行される成分コード122Bによって分析され、1つまたは複数の尿成分の濃度(すなわち、成分あたりの濃度)、任意選択で閾値(例えば、ゼロ、濃度閾値)を超える1つまたは複数の尿成分の存在(すなわち、各成分の存在)、および/または尿の容積モル浸透圧濃度および/または重量モル浸透圧濃度が推定される。
【0152】
本明細書において用いられるとき、(尿成分の)濃度という用語は、場合によっては、以下のもの、すなわち、1つまたは複数の尿成分の濃度(すなわち、成分あたりの濃度)、任意選択で閾値(例えば、ゼロ、濃度閾値)を超える1つまたは複数の尿成分の存在(各成分の存在)、ならびに/または尿の容積モル浸透圧濃度および/もしくは重量モル浸透圧濃度のうちの1つまたは複数を指す。
【0153】
成分コード122Bは、多要素検出器1086の出力に基づいて生成された(図10を参照して説明された)スペクトル強度グラフ1002を分析することができる。各ラムダは、異なる尿成分を表す。スペクトル強度は、それぞれの成分の相対濃度を示すことができる。
【0154】
代替として、またはそれに加えて、成分コード122Bは、図12を参照して説明された分析器1200A〜Bによって出力された結合スペクトル信号を分析することができる。ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、分析器1200A〜Bによって出力された信号から1つまたは複数の尿成分の濃度を抽出するのに用いられる信号および/またはグラフを含む図13を参照する。
【0155】
グラフ1302は、図12を参照して説明された検出器1202A〜Bによって出力される信号を表す。信号の強度(例えば、ミリアンプ(mA)単位またはミリボルト(mV)単位)は、波長、および/または検出器アレイに沿った位置の関数としてプロットすることができる。グラフ1304は、通常のレベルよりも高い濃度を有する成分を特定するための、グラフ1302の信号の分析を表す。例えば、示される例において、Na、KおよびBrは、尿内で高い濃度を有する。
【0156】
信号は、例えば、最小二乗最小化方法に基づいて分析され、較正曲線の対応する点により、経験的に導出された測定値(および/またはモデルに基づいて数学的に計算された推定値)を表す所定の関数および/またはテンプレートを特定することができる。
【0157】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、特定の尿成分の濃度を推定するための較正曲線1402の例である図14を参照する。較正曲線1402は、特定の尿成分(または成分の特定の組み合わせ)についての波長の関数として、較正された強度スペクトルを表す。曲線1402は、経験的測定値に基づいて、および/または数学モデルに基づいて生成することができる。
【0158】
センサ(本明細書に記載の任意の関連する実施態様)が波長λの強度を出力するとき、対応する尿成分の濃度(cとして表される)は、以下のように数学的に表される最小二乗関数を最小化することによって、較正曲線(fとして表される)を用いて推定することができる。
【数3】
【0159】
214において、計算された尿流量および/または尿成分の推定濃度が、ディスプレイ(例えば、ユーザインタフェース128)上に、任意選択でGUI内に提示される。
【0160】
任意選択で、尿滴が患者の身体から離れるときに、尿滴に基づいてリアルタイムで各新たな測定を行うことができるので、新たな測定はGUI上に動的にプロットされる。傾向は、任意選択で、新たな測定を含むように(そして最も古い測定を除外するように)計算ウィンドウをスライドすることによって、新たな測定に基づいて更新することができる。傾向線は、値の未来の予測を視覚的に示すようにGUI上にプロットすることができる。
【0161】
傾向は、尿流量について、測定された尿の重量モル浸透圧濃度および/または容積モル浸透圧濃度、(例えば、ゼロまたは別の濃度閾値を超える)1つまたは複数の特定の尿成分の存在、および/または1つまたは複数の特定の尿成分の濃度について計算することができる。
【0162】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、測定された尿排出流量を示す、ディスプレイ上に提示された例示的なGUIの概略図である図15を参照する。
【0163】
例示的なGUIにおいて、現在の(すなわち、瞬間)流量が、0.45ml/Kg*hourとして測定され、最近1時間の平均流量(例えば、測定値の平均および/または蓄積された計算量に基づく)が、0.52ml/Kg*hourとして測定される。計算された傾向線は、尿排出流量が減少していることを示す。同じ範囲のより低い値(0.3mg/Kg*hour)を通る予測は行われない。
【0164】
216において、警報が生成される。警報は、規則の組、関数、機械学習方法、人工知能、または他の予測方法(データレポジトリ126に記憶することができる)に基づいて生成することができる。例えば、警報は、瞬間尿排出流量が患者のための安全な範囲外にあるとき、傾向が、尿排出流量が所定の時間(例えば1〜2時間)以内に安全な範囲内から出ることが予測されることを示すとき、特定の成分が尿内に検出されるとき(例えば、血液、ケトン、糖)、尿の重量モル浸透圧濃度および/または容積モル浸透圧濃度が所定の範囲外にある(または範囲外になる傾向にある)とき、および/または1つまたは複数の尿成分の濃度が所定の範囲外にある(または範囲外になる傾向にある)ときに生成することができる。
【0165】
警報は、例えば、GUI上のフラッシュメッセージとして、医療提供者のスマートフォンに送信されるテキストメッセージとして、看護師の監視ステーションのディスプレイ上に開くビープおよびメッセージウィンドウとして、または他の実施態様で生成することができる。
【0166】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、警報を生成するために1つまたは複数の尿成分の濃度を計算する方法のフローチャート1600である図16を参照する。
【0167】
検出器1602は、例えば、本明細書に記載の、検出器の異なる領域に光を向けるスペクトル分析方法を用いて、1つまたは複数の尿成分を特定することができる(本明細書に記載の)多要素検出器を表す。例えば、検出器1602のセル1は、尿内のロイコサイト(すなわち、白血球)の濃度(または存在)を測定するのに用いられ、セルiは、任意の成分の濃度を測定するための任意のセルを表し、セルNは、尿内の糖の濃度(または存在)を測定するのに用いられる。
【0168】
1604において、セルiについて(例えば、任意選択で、検出器1602のセルごとに)異なる尿滴の複数の読み値の平均が計算される。
【0169】
1606において、平均計算値が所定の基準値と比較される(例えば、モデルに基づいて経験的に測定および/または数学的に計算される)。
【0170】
1608において、ブロック1606の比較に基づいて、尿成分ごとに濃度が計算される。
【0171】
1610において、規則の組を考慮して、濃度に基づいて警報が生成される。
【0172】
1612において、警報および/または濃度値を保存し、および/またはディスプレイ上でGUI内に提示することができる。
【0173】
1614において、患者の尿滴を監視するためにブロック1604〜1612が反復される。
【0174】
ここで、図2に戻って参照すると、218において、患者によって排出された新たな尿滴を用いて1つまたは複数のブロック202〜216が反復される。
【0175】
本発明の様々な実施形態の説明が、説明の目的で提示されたが、これは包括的であることも、開示される実施形態に限定することも意図するものではない。説明された実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者には明らかであろう。本明細書において用いられる用語は、実施形態の原理、実際の用途、もしくは市場に見られる技術を上回る技術的改善を最も良好に説明するように、または他の当業者が本明細書に開示される実施形態を理解できるように選択された。
【0176】
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連センサが開発されることが予期され、センサという用語の範囲は、そのような全ての新たな技術を予め含むことが意図される。
【0177】
本明細書において用いられるとき、「約」という用語は、±10%を指す。
【0178】
「comprises(備える、含む)」「comprising(備える、含む)」「includes(含む)」「including(含む)」「having(有する)」という用語およびそれらの活用形は、「〜を含むがこれらに限定されない」を意味する。この用語は、「〜からなる」、および「本質的に〜からなる」を包含する。
【0179】
「本質的に〜からなる」というフレーズは、更なる成分および/またはステップが、特許請求される組成物または方法の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物または方法がこれらの更なる成分および/またはステップを含み得ることを意味する。
【0180】
本明細書において用いられるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、別段文脈によって明確に示されない限り、複数の参照物を包含する。例えば、「化合物(a compound)」という用語または「少なくとも1つの化合物」という用語は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0181】
「例示的」という語は、本明細書では「例、事例または例示としての役割を果たす」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載されたいかなる実施形態も、必ずしも他の実施形態に対して好ましいもしくは有利なものとして解釈され、かつ/または他の実施形態からの特徴の組み入れを除外するものではない。
【0182】
「任意選択で」という語は、本明細書において、「一部の実施形態に与えられるが、他の実施形態には与えられない」ことを意味するために使用される。本発明のいかなる特定の実施形態も、対立しない限り複数の「任意選択的な」特徴を含むことができる。
【0183】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された可能な全ての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なされるべきである。例えば、1〜6等の範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等の具体的に開示された部分範囲、および、その範囲に含まれる個々の数値、例えば、1、2、3、4、5および6を有すると見なされるべきである。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0184】
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲内の任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字間の「範囲をとる/範囲をとる」という表現、ならびに、第1の示された数字「から」第2の示された数までの「範囲をとる/範囲」という表現は、本明細書において交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間の全ての分数および整数とを含むことが意図される。
【0185】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の種々の特徴は、別個にもしくは適切な部分的組み合わせで、または本発明の任意の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0186】
本発明はその特定の実施態様と併せて説明してきたが、多くの代替形態、変更形態および変形形態が当業者には明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲の中に入るこのような代替形態、変更形態および変形形態の全てを包含することが意図される。
【0187】
本明細書で挙げた全ての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許および特許出願が参照により本明細書に援用されることが具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体が本明細書に援用される。更に、本出願における任意の参照文献の引用または特定は、そのような参照文献を本発明の先行技術として利用できることを認めたものと見なされるべきではない。節の見出しが使用されている限りにおいて、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16