特許第6840791号(P6840791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840791
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20210301BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20210301BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20210301BHJP
   A61F 13/536 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   A61F13/535 100
   A61F13/532 200
   A61F13/53 300
   A61F13/535 200
   A61F13/53 100
   A61F13/536 100
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-122079(P2019-122079)
(22)【出願日】2019年6月28日
(65)【公開番号】特開2021-7515(P2021-7515A)
(43)【公開日】2021年1月28日
【審査請求日】2020年11月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】特許業務法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100164345
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
(72)【発明者】
【氏名】松田 昂平
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−092989(JP,A)
【文献】 特開2019−103714(JP,A)
【文献】 特開2013−255559(JP,A)
【文献】 特開2014−226215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/535
A61F 13/53
A61F 13/532
A61F 13/536
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性コアと、該吸収性コアの外周を覆うコアラップシートとを有する吸収体を備えた吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、高吸収性ポリマーとパルプ繊維との集合体からなり、
前記吸収性コアが、厚み方向において、肌面側に位置する表面部と、非肌面側に位置する裏面部と、該表面部及び該裏面部の間に位置する厚み方向中央部とに区分され、
前記厚み方向中央部が、前記表面部及び前記裏面部よりも前記パルプ繊維に対する前記高吸収性ポリマーの質量比が大きい高吸収性ポリマー高密度層とされ、
前記吸収性コアの肌面側及び非肌面側の少なくとも一方の側に、着色部を有する部材が配され、
前記着色部の色は、変色した高吸収性ポリマーの色よりも濃い色である吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性コアにスリット部が配されており、該スリット部の位置と前記着色部の位置とが平面視において重なる、請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
吸収性コアと、該吸収性コアの外周を覆うコアラップシートとを有する吸収体を備えた吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、高吸収性ポリマーとパルプ繊維との集合体からなり、
前記吸収性コアが、厚み方向において、肌面側に位置する表面部と、非肌面側に位置する裏面部と、該表面部及び該裏面部の間に位置する厚み方向中央部とに区分され、
前記厚み方向中央部が、前記表面部及び前記裏面部よりも前記パルプ繊維に対する前記高吸収性ポリマーの質量比が大きい高吸収性ポリマー高密度層とされ、
前記吸収性コアの肌面側及び非肌面側の少なくとも一方の側に、着色部を有する部材が配され、
前記吸収性コアにスリット部が配されており、該スリット部の位置と前記着色部の位置とが平面視において重なり、
前記吸収性コアの肌面側及び非肌面側に配されている前記コアラップシート同士が前記スリット部の位置で接着されている吸収性物品。
【請求項4】
吸収性コアと、該吸収性コアの外周を覆うコアラップシートとを有する吸収体を備えた吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、高吸収性ポリマーとパルプ繊維との集合体からなり、
前記吸収性コアが、厚み方向において、肌面側に位置する表面部と、非肌面側に位置する裏面部と、該表面部及び該裏面部の間に位置する厚み方向中央部とに区分され、
前記厚み方向中央部が、前記表面部及び前記裏面部よりも前記パルプ繊維に対する前記高吸収性ポリマーの質量比が大きい高吸収性ポリマー高密度層とされ、
前記吸収性コアの肌面側及び非肌面側の少なくとも一方の側に、着色部を有する部材が配され、
前記吸収性コアにスリット部が配されており、該スリット部の位置と前記着色部の位置とが平面視において重なり、
前記スリット部の幅が1mm以上20mm以下である吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性コアの肌面側及び非肌面側に配されている前記コアラップシート同士が前記スリット部の位置で接着されている、請求項2又は4記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記質量比が、前記厚み方向中央部において1.0以上2.0以下であり、前記表面部及び前記裏面部において0.25以上0.75以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性コアの平面視において、高坪量領域と該高坪量領域よりも坪量が低い低坪量領域とが配されており、
前記吸収性コアの平面領域を、長手方向に、前方部、受液領域を含む中間部、及び後方部に区分した際に、前記高坪量領域は少なくとも前記中間部の受液領域を含み、前記低坪量領域は少なくとも前記後方部を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記着色部を有する部材が前記吸収性コアの非肌面側に配され、
前記吸収性コアの平面視において、前記高坪量領域と前記着色部の位置とが重なる、請求項7記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記着色部の位置と前記吸収性コアの長手方向の端部の位置とが平面視において重なる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収体が圧縮部を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収体が前記コアラップシート同士を積層させた部位を有し、
前記高吸収性ポリマーが多く存在する位置と、前記コアラップシートを積層させた部位の位置とが、平面視において重なる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつ等の吸収性物品に用いられる高吸収性ポリマー(いわゆるSAPと称される表面架橋された高分子材料)は、高温多湿の環境下において、酸化によって黄色や褐色に変色し、吸収性物品の外観が劣化して見えることがある。このような現象は特に、東南アジア等の亜熱帯や熱帯の地域において生じやすい。そこでこれまで、酸化防止剤等を用いて高吸収性ポリマーの変色を抑制し、吸収性物品の良好な外観を維持する技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1にはハイドロキノンの含有量の少ないアクリル酸又はキンヒドロン化防止剤を用いる技術が、特許文献2には還元性化合物及び特定の酸(塩)を用いる技術が、特許文献3にはスルフィン酸誘導体を用いる技術が、それぞれ記載されている。
一方、高吸収性ポリマーを特定の部位に多く配置する技術も提案されてきた。例えば、特許文献4には、表面材側で高分子吸収体の含有比率が高く、裏面材側で高分子吸収体の含有比率が低い吸収体が介在された吸収性物品が記載されている。また、特許文献5には、粒状の吸収性ポリマーを所定の範囲に50質量部以上有する吸収性コアを有する吸収体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−322846号公報
【特許文献2】特開2003−52742号公報
【特許文献3】特表2006−521431号公報
【特許文献4】特開2009−119154号公報
【特許文献5】特開2018−47189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3に記載の技術では、酸化防止剤等の変色を抑制する成分を含む高価な高吸収性ポリマーを用いざるを得ず、吸収性物品の価格は高くなってしまう。
本発明は、上記の点に鑑み、変色を抑制する成分を含む高吸収性ポリマーを用いなくても良好な外観を維持できる吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、吸収性コアと、該吸収性コアの外周を覆うコアラップシートとを有する吸収体を備えた吸収性物品であって、前記吸収性コアが、高吸収性ポリマーとパルプ繊維との集合体からなり、前記吸収性コアが、厚み方向において、肌面側に位置する表面部と、非肌面側に位置する裏面部と、該表面部及び該裏面部の間に位置する厚み方向中央部とに区分され、前記厚み方向中央部が、前記表面部及び前記裏面部よりも前記パルプ繊維に対する前記高吸収性ポリマーの質量比が大きい高吸収性ポリマー高密度層とされている吸収性物品を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の吸収性物品は、変色を抑制する成分を含む高吸収性ポリマーを用いなくても良好な外観を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る吸収性物品の好ましい一実施形態を示したおむつの斜視図である。
図2図1に示すおむつをサイドシール部で破断して展開し伸長させて肌面側から見た状態を模式的に示した一部切欠展開平面図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4図2のおむつが有する吸収性コアを模式的に示した平面図である。
図5】(A)は図4におけるA−A線断面図であり、(B)は図4におけるB−B線断面図である。
図6図2のおむつが有する吸収性コアの別の好ましい実施態様を模式的に示した平面図である。
図7図6の吸収性コアのスリット部に、肌面側及び非肌面側のコアラップシート同士が接着されている状態を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の吸収性物品の好ましい実施形態としてのおむつについて、図面を参照しながら以下に説明する。
【0009】
本発明においては、着用者の肌に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。これらは、着用者の肌に接触する面を有さない部材に関しても、吸収性物品の部材構成における相対的な位置関係を示す用語として用いる。また、吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向という。
【0010】
図1に示すように、本実施形態のおむつ10は、吸収性本体1と外装体2とを有する。外装体2は、着用者の前側及び後側それぞれに対応する前側外装体21と後側外装体22とを有する。前記前側とは着用者の腹側であり、前記後側とは着用者の背側である。前側外装体21及び後側外装体22は横長であり、それぞれの両側縁が重ね合わされてサイドシール部11において接合され、おむつ10における環状の胴回り部10Dが形成されている。吸収性本体1は外装体2から延出した部分が、おむつ10における中間部10Cを形成している。おむつ10は、胴回り部10Dの上方が開放されたウエスト開口部12と、中間部10Cの左右両側が開放された一対のレッグ開口部13、13を有する。
【0011】
図2は、おむつ10を、サイドシール部11、11において破断して展開状態を示している。ここで展開状態とは、各部を伸長させて吸収性物品を平面状に拡げた状態をいう。
おむつ10は、展開状態において、前側部10F、中間部10C及び後側部10Rに区分される。前側部10F及び後側部10Rには、横長の前側外装体21及び後側外装体22それぞれが対応して配されている。縦長の吸収性本体1は、前側外装体21及び後側外装体22の肌面側において、その長手方向を、おむつ10の前側部10F、中間部10C及び後側部10Rに向けて配されている。この配置において、吸収性本体1は、着用者の前側、中間及び後側が繋がる方向に相当する長手方向Yと、長手方向Yに直交する幅方向Xを有する。吸収性本体1の長手方向Yの前後端部において、非肌面側の前側外装体21及び後側外装体22それぞれが吸収性本体1の肌面側に折り返されて接合されている。これにより、吸収性本体1の長手方向Yの前後端部の肌面側及び非肌面側が前側外装体21及び後側外装体22に被覆されている。
【0012】
おむつ10を構成する吸収性本体1は、図3に示すように、肌面側の液透過性の表面シート3、非肌面側の防漏性の裏面シート4、及び表面シート3と裏面シート4との間に配置される液保持性の吸収体5を有する。吸収体5は、高吸収性ポリマー67とパルプ繊維68との集合体からなる吸収性コア6と、吸収性コア6の外周を覆うコアラップシート7とを有する。コアラップシート7は親水性を有する素材からなり、例えば親水性の紙や不織布からなる。
【0013】
また、本実施形態において、吸収性本体1の長手方向Yの両側に一対のサイドシート9を備える。サイドシート9の幅方向Xの内方側の端部に長手方向Yに沿って伸長状態にした弾性部材91を配して立体ギャザー部92が形成されている。また、サイドシート9の幅方向Xの外方側の端部に長手方向Yに沿って伸長状態にした弾性部材93を配してレッグギャザー部94が形成されている。更に本実施形態の吸収性本体1において、裏面シート4の非肌面側には外装不織布48が配されている。
【0014】
吸収性コア6は、図2に示すように、吸収性本体1と同様に長手方向Yと長手方向に直交する幅方向Xとを有する。コアラップシート7は、図2及び図3に示すように、吸収性コア6の長手方向Yの全体を覆いながら幅方向Xに延出して、吸収性コア6の肌面側、両側及び非肌面側(外周)を覆いながら巻き回されている。巻き回されたコアラップシート7の幅方向Xの端部同士が積層され、吸収性コア6の長手方向Yの全長に亘る積層部75が形成されている。コアラップシート7の積層部75は、図3では、吸収性コア6の非肌面側に1つ配されているが、これに限定されない。例えば、肌面側に配されてもよく、非肌面側又は肌面側に2つ以上配されていてもよい。液吸収性の観点から、コアラップシート7の積層部75は、吸収性コア6の非肌面側に1つ配されることが好ましい。
【0015】
吸収性コア6は、図4に示すように、長手方向Yの長さを3等分して、前方部F、中間部C及び後方部Rに区分される。吸収性コア6には、尿等の排泄液を直接受ける受液領域Qがある。おむつ10において、受液領域Qは、幅方向Xの長さを2等分する線S1から、左右の幅方向3.5cm以内の領域であって、長手方向Yの長さを2等分する線M1から前側部F方向8cm以内の領域である。
なお、本発明の吸収性物品において、前方部F、中間部C及び後方部Rの区分位置及び受液領域Qは吸収性物品の種類等に応じて適宜設定される。例えば、本発明の吸収性物品が昼用の生理用ナプキンである場合、前方部F、中間部C及び後方部Rは上記のおむつ10の場合と同様に区分され、受液領域Qは、中間部Cであって該中間部Cの幅方向Xの長さを2等分する線から左右幅方向2.5cm以内の領域とされる。本発明の吸収性物品が夜用など臀部を覆う幅広の後方フラップを備える場合、長手方向Yに4等分して最初の区分が前方部F、2番目の区分が中間部C、残りが後方部Rとなる。この場合の受液領域Qは、該中間部Cであって該中間部Cの幅方向Xの長さを2等分する線から左右幅方向2.5cm以内の領域がとなる。また、本発明の吸収性物品が尿とりパッドや失禁パッドである場合は、おむつ10と同様に設定される。
【0016】
吸収性コア6は、図5(A)に示すように、厚み方向において、肌面側に位置する表面部61と、非肌面側に位置する裏面部62と、表面部61及び裏面部62の間に位置する厚み方向中央部63とに区分される。この区分は、吸収性コア6を厚み方向に3等分することによりなされる。
【0017】
吸収性コア6の厚み方向中央部63は、表面部61及び裏面部62よりも、パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比が大きい高吸収性ポリマー高密度層とされている。該高吸収性ポリマー高密度層は、厚み方向中央部63の一部にあってもよいが、厚み方向中央部63の平面領域全体にあることが好ましい。このように吸収性コア6の内部に高吸収性ポリマー67を多く配置して、吸収性コア6に含まれる高吸収性ポリマー67を偏在させた配分としている。これにより、内部の高吸収性ポリマー67が空気と接触しにくくなり、酸化に伴う変色を抑制することができる。また、高吸収性ポリマー67の密度が高いことによって変色の速度を抑えることができる。加えて、表面部61及び裏面部62は、厚み方向中央部63よりもパルプ繊維68が多い層となっているため、内部の高吸収性ポリマー67が変色しても、おむつ10の外側から変色は見えにくく、おむつ10の良好な外観が維持できる。なお、厚み方向中央部63がなす高吸収性ポリマー高密度層は、吸収性コア6の厚み3等分の中間部分として区分される部分にある限り、単層でもよく、複数層でもよい。
【0018】
厚み方向中央部63において、パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比は、高吸収性ポリマー67の変色を抑えておむつ10の外側から変色を見えにくくしながら、吸収体5の吸収性を保持する観点から、1.0以上が好ましく、1.25以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましい。また、厚み方向中央部63において、パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比は、吸収体5の加圧時の液戻り性を悪化させない観点から、2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.6以下が更に好ましい。具体的には、パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比は、厚み方向中央部63において、1.0以上2.0以下が好ましく、1.25以上1.8以下がより好ましく、1.5以上1.6以下が更に好ましい。
【0019】
表面部61及び裏面部62において、パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比は、吸収体5の加圧時の液戻り性を悪化させない観点から、0.25以上が好ましく、0.38以上がより好ましく、0.4以上が更に好ましい。また、表面部61及び裏面部62において、パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比は、内部の高吸収性ポリマー67の変色をおむつ10の外側から見えにくくする観点から、0.75以下が好ましく、0.63以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。具体的には、パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比は、表面部61及び裏面部62において、0.25以上0.75以下が好ましく、0.38以上0.63以下がより好ましく、0.4以上0.5以下が更に好ましい。
【0020】
厚み方向中央部63におけるパルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比は、表面部61及び裏面部62におけるパルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比に対して、1.3倍以上が好ましく、2.0倍以上がより好ましく、3.0倍以上が更に好ましい。これにより、高吸収性ポリマー67の変色を抑えておむつ10の外側から変色を見えにくくすることと、吸収体5の吸収性を保持こととをより確実に両立させることができる。また、厚み方向中央部63におけるパルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比は、表面部61及び裏面部62におけるパルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比に対して、吸収体5の加圧時の液戻り性を悪化させない観点から、8倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましく、4倍以下が更に好ましい。
具体的には、厚み方向中央部63におけるパルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比は、表面部61及び裏面部62におけるパルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比に対して、1.3倍以上8倍以下が好ましく、2.0倍以上5倍以下がより好ましく、3.0倍以上4倍以下が更に好ましい。
【0021】
(パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比の測定方法)
まず、吸収性コア6の測定対象部分の断面をマイクロスコープで観察しながら厚み方向に3等分して、表面部61、厚み方向中央部63及び裏面部62の各部位を採取する。
採取した各部位について、特許第4225821号公報に記載の繊維及び/又は吸水性ポリマーの定量方法に基づき、高吸収性ポリマー67とパルプ繊維68の混合物のそれぞれを定量化し、パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比を算出する。
具体的には、採取した各部位の質量を測定した後、各部位において、高吸収ポリマー67を低分子量化する。高吸収性ポリマー67の低分子量化は紫外線照射によって行うことができる。その際、採取した各部位の高吸収性ポリマー67とパルプ繊維68の混合物をメッシュ袋などに入れた状態で、アスコルビン酸及びリボフラビンを含む水溶液中に浸漬する。浸漬によって高吸収性ポリマーを膨潤させた後、前記メッシュ袋を水溶液から取り出して、上記の紫外線照射を行い、高吸収性ポリマー67の低分子量化を行う。次いで、低分子量化により生じた成分を水洗いによって除去する。除去したメッシュ袋を充分に水洗いした後、脱水及び乾燥して質量を測定する。測定した質量からメッシュ袋単体の質量を差し引いてパルプ繊維68の質量を算出し、最初に測定した各部位の質量からパルプ繊維68の質量を差し引いて高吸収性ポリマー67の質量を得る。これらを基に、各部位におけるパルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー68の質量比を算出する。上記の測定を3回行い得た質量比の平均値を、表面部61、厚み方向中央部63及び裏面部62の各部位における質量比とする。
【0022】
吸収性コア6の厚み方向中央部63を高吸収性ポリマー高密度層として形成する方法の一例としては、吸収性コアの製造装置において、高吸収性ポリマー67(SAP)を投入するSAPダクトを以下のように工夫することが考えられる。
まず、上記の製造装置として、外周面に集積用凹部を備えた回転ドラム、該回転ドラムに対し空気流に載せて繊維材料を供給する繊維材料ダクトを備えた製造装置を用いる。該製造装置おいて、前記繊維材料ダクトに高吸収性ポリマー67(SAP)を供給する第一SAPダクトと第二SAPダクトとを設置する。第一SAPダクトは、第二SAPダクトよりもパルプ繊維68の供給ラインの上流側に設置する。
該製造装置において、第一SAPダクト及び第二SAPダクトから投入する高吸収性ポリマー67の質量比を適宜設定して高吸収性ポリマーを高密度に配合させる位置を制御できる。例えば、第二SAPダクトから投入する高吸収性ポリマー67の質量に対し第一SAPダクトから投入する高吸収性ポリマー67の質量が大きくなるようにすると、吸収性コア6の表面部61よりも厚み方向中央部63側に高吸収性ポリマー67が多く配合されるようになる。
また、ダクトの差し込み深さを適宜設定することによっても高吸収性ポリマーを高密度に配合させる位置を制御できる。例えば、ダクトの差し込み深さを大きくしていくと、吸収性コア6の表面部61よりも厚み方向中央部63側に高吸収性ポリマーが多く配合されるようになる。
このように、SAPダクト数、SAPダクトから投入する高吸収性ポリマー67の質量、SAPダクトの差し込み深さを適宜設定することで、吸収性コア6における厚み方向中央部63を高吸収性ポリマー高密度層として形成することができる。
【0023】
おむつ10において、吸収性コア6の肌面側及び非肌面側の少なくとも一方の側に、着色部を有する部材が配されていることが好ましい。これにより、高吸収性ポリマー67の変色をおむつ10の外側からより目立ちにくくすることができる。装着の間の良好な外観を維持する観点から、着色部を有する部材は、吸収性コア6の非肌面側にあることがより好ましく、肌面側及び非肌面側の両方にあることが更に好ましい。肌面側及び非肌面側の両方に着色部を有する部材が配されていると、装着前、装着の間、装着後に至るまで、おむつの両面において高吸収性ポリマー67の変色を目立ちにくくすることができる。
【0024】
吸収性コア6の肌面側において、着色部を有する部材としては、例えば、コアラップシート7、表面シート3が挙げられる。また、表面シートとコアラップシート7との間に更に中間シート(図示せず)がある場合は、該中間シートも吸収性コア6の肌面側の部材に含まれる。吸収性コア6の非肌面側において、着色部を有する部材としては、コアラップシート7、裏面シート4、外装不織布48が挙げられる。更に前側外装体21及び後側外装体22に関しても、吸収性本体1の肌面側に折り返されている部分が吸収性コア6の肌面側の部材となり、吸収性本体1の非肌面側に配される部分が吸収性コア6の非肌面側の部材となる。
【0025】
前記「着色部」とは、部材に着色剤を塗布した部分であり、一定のパターンで着色した部分であってもよく、ベタ塗りした部分であってもよい。また、着色部は、文字や図柄等を示すものであってもよい。「着色部」は、部材の面積の10%以上の領域を着色していることが好ましい。
前記着色部における「色」は、有彩色に限らず、無彩色であってもよい。この「色」は、吸収性コア6における高吸収性ポリマー67の変色を目立ちにくくする観点から、変色した高吸収性ポリマー67の色(例えば黄色や褐色)よりも濃い色や、変色した色の補色が好ましい。具体的には、緑、青、紫が好ましい。
【0026】
前記着色部の位置は、吸収性コア6の長手方向Yの端部6E、6Eの位置と平面視において重なっていることが好ましい。これにより、高吸収性ポリマー67が、吸収性コア6内部、例えば高吸収性ポリマー高密度層である厚み方向中央部63から何らかの要因で移動して、パルプ繊維68が少ない端部6E、6Eに集まったとしても、高吸収性ポリマー67の変色を外側から見え難くすることができる。高吸収性ポリマー67は、おむつ10の製造や輸送等の過程で衝撃が加わると、吸収性コア6の内部を移動し、吸収性コア6の端部6E、6Eにまで到達することがある。特に、本実施形態においては吸収性コア6の厚み方向中央部63が高吸収性ポリマー高密度層となっていることから、高吸収性ポリマー67はより端部6Eに移動しやすい。そのため、前記着色部により吸収性コア6の端部が隠れていると、吸収性コア6の端部に移動した高吸収性ポリマー67が見えにくくなり好ましい。特に、変色した高吸収性ポリマー67を効果的に見えにくくする観点から、裏面シート4の着色部が着色剤のベタ塗り部とされ、該着色部の位置が吸収性コア6の端部6E、6Eの位置と平面視において重なることがより好ましい。
【0027】
吸収性コア6の平面視において、図4に示すように、高坪量領域6Hと該高坪量領域6Hよりも坪量が低い低坪量領域6Lとが配されていることが好ましい。この高坪量領域6H及び低坪量領域6Lの坪量とは、吸収性コア6を構成する高吸収性ポリマー67及びパルプ繊維68の両方を含んだ坪量である。
吸収性コア6の平面領域を、長手方向Yに前述の前方部F、受液領域Qを含む中間部C、及び後方部Rに区分した際に、高坪量領域6Hは少なくとも中間部Cの受液領域Qを含むことが好ましく、低坪量領域6Lは少なくとも後方部Rを含むことが好ましい。
高坪量領域6Hが「少なくとも中間部Cの受液領域Qを含む」とは、高坪量領域6Hが中間部Cの受液領域Qを含み、更にそれ以外の領域を含んでいてもよいことを意味する。例えば、高坪量領域6Hは、中間部C全体又は一部を含んでいてもよく、中間部Cに加え前方部F及び後方部Rのいずれかの一部を含んでいてもよい。高坪量領域6Hは、中間部Cに加え前方部Fの少なくとも一部を含んでいることが好ましく、中間部C及び前側部F全体を含んでいることがより好ましい。低坪量領域6Lが「少なくとも後方部Rを含む」とは、低坪量領域6Lが後方部Cを含み、更にそれ以外の領域を含んでいてもよいことを意味し、例えば中間部Cの一部を含んでいてもよいことを意味する。幅方向Xに沿って見たときに、高坪量領域6Hはいずれの部位でも同じ坪量になっている(後述のスリット部8を除く)ことが好ましい。また、幅方向Xに沿って見たときに、低坪量領域6Lはいずれの部位でも同じ坪量になっている(後述のスリット部8を除く)ことが好ましい。
【0028】
高坪量領域6H及び低坪量領域6Lは、図5(B)に示すように、それぞれの平面領域における吸収性コア6の厚み全体すなわち、前述の表面部61、厚み方向中央部63及び裏面部62全体を含む。高坪量領域6Hが前述のように少なくとも受液領域Qを含むことによって、吸収性コア6の受液量の多い領域における吸収容量を高める。これにより、前述の厚み方向中央部63を高吸収性ポリマー高密度層にして高吸収性ポリマー67の変色を外側から見えにくくしながら、同時に、受液領域Q周辺における吸収容量を上げて、ウエットバック(吸収した液の肌側への戻り)を抑制することができる。また、上記のような高吸収性ポリマー67の偏在によって、吸収容量を確保しながら高吸収性ポリマー67の増量を抑えて該高吸収性ポリマー67の変色を目立ちにくくすることができる。また、低坪量領域Lにおける液吸収時の膨潤の程度を抑えて、着用者の腰部への圧迫を抑制することができる。なお、高坪量領域6H及び低坪量領域6Lは、前述の(パルプ繊維68に対する高吸収性ポリマー67の質量比の測定方法)と同様の方法により測定することができる。
【0029】
上記作用をより顕著なものとする観点から、高坪量領域6Hの坪量は、低坪量領域6Lの坪量に対して120%以上であることが好ましく、140%以上であることがより好ましい。また、高坪量領域6Hの坪量は、低坪量領域6Lの坪量に対して250%以下であることが好ましく、230%以下であることがより好ましい。具体的には、高坪量領域6Hの坪量は、低坪量領域6Lの坪量に対して120%以上250%以下であることが好ましく、140%以上230%以下であることがより好ましい。
前述の高坪量領域6Hの坪量と低坪量領域6Lの坪量との比の範囲において、高坪量領域6Hの坪量は150g/m以上であることが好ましく、200g/m以上であることがより好ましく、250g/m以上であることが更に好ましい。また、高坪量領域6Hの坪量は900g/m以下であることが好ましく、850g/m以下であることがより好ましく、800g/m以下であることが更に好ましい。具体的には、高坪量領域6Hの坪量は150g/m以上900g/m以下であることが好ましく、200g/m以上850g/m以下であることがより好ましく、250g/m以上800g/m以下であることが更に好ましい。
【0030】
また、前述の高坪量領域6Hの坪量と低坪量領域6Lの坪量との比の範囲において、低坪量領域6Lの坪量は100g/m以上であることが好ましく、150g/m以上であることがより好ましく、200g/m以上であることが更に好ましい。また、低坪量領域6Lの坪量は600g/m以下であることが好ましく、550g/m以下であることがより好ましく、500g/m以下であることが更に好ましい。具体的には、低坪量領域6Lの坪量は100g/m以上600g/m以下であることが好ましく、150g/m以上550g/m以下であることがより好ましく、200g/m以上500g/m以下であることが更に好ましい。
【0031】
更に、高坪量領域6Hの坪量と低坪量領域6Lの坪量の大小関係は、高吸収性ポリマー67及びパルプ繊維68の坪量の大小関係についても当てはまることが好ましい。すなわち、高坪量領域6Hを構成する高吸収性ポリマー67の坪量は、低坪量領域6Lを構成する高吸収性ポリマー67の坪量よりも高いことが好ましい。また、高坪量領域6Hを構成するパルプ繊維68の坪量は、低坪量領域6Lを構成するパルプ繊維68の坪量よりも高いことが好ましい。
【0032】
また、上記作用をより顕著なものとする観点から、吸収性コア6の長手方向Yにおいて、高坪量領域6Hの長さは、吸収性コア6の全長の50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。また、吸収性コア6の長手方向Yにおいて、高坪量領域6Hの長さは、吸収性コア6の全長の90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることが更に好ましい。具体的には、吸収性コア6の長手方向Yにおいて、高坪量領域6Hの長さは、吸収性コア6の全長の50%以上90%以下であることが好ましく、60%以上85%以下であることがより好ましく、70%以上80%以下であることが更に好ましい。
上記作用をより顕著なものとする観点から、吸収性コア6の長手方向Yにおいて、低坪量領域6Lの長さは、吸収性コア6の全長の10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。また、吸収性コア6の長手方向Yにおいて、低坪量領域6Lの長さは、吸収性コア6の全長の50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることが更に好ましい。具体的には、吸収性コア6の長手方向Yにおいて、低坪量領域6Lの長さは、吸収性コア6の全長の10%以上50%以下であることが好ましく、15%以上40%以下であることがより好ましく、20%以上30%以下であることが更に好ましい。
【0033】
高坪量領域6Hと低坪量領域6Lとでは、坪量差に起因する厚みの差が生じていてもよく、あるいは生じていなくてもよい。また、高坪量領域6Hと低坪量領域6Lとでは、高吸収性ポリマー67とパルプ繊維68との質量比に差が生じていてもよく、あるいは、生じていなくてもよい。
【0034】
上記のような高坪量領域6H及び低坪量領域6Lは、前述の回転ドラムの外周面に配された集積用凹部において、集積用凹部の底部を構成する通気性部材のうち、低坪量領域6Hとなるべき部位を低通気性とすることで製造できる。
【0035】
また、吸収性コア6の非肌面側に前述の着色部を有する部材が配されており、吸収性コア6の平面視において、高坪量領域6Hと前記着色部の位置とが重なることが好ましい。これにより、これにより、受液領域Q周辺の吸収容量を高めてウエットバックを抑制しながら、高吸収性ポリマー67の変色を外側から更に見えにくくすることができる。同様の観点から、高坪量領域6Hの位置と前記着色部の位置との重なりは、高坪量領域6Hの面積の10%以上を占めることが好ましい。
【0036】
本実施形態において、図6に示すように、吸収性コア6にスリット部8が配されていることが好ましい。スリット部8とは、吸収性コア6においてパルプ繊維68の量が周囲よりも少なくされて、肌面側から厚み方向に形成された空間部分である。スリット部8は、切込み状の部分であってもよく、所定幅を有する溝であってもよい。このスリット部8の配置位置において、排泄液は吸収性コア6の厚み方向に浸透しやすくなる。すなわち、排泄液が高吸収性ポリマー高密度層にされた厚み方向中央部63に到達しやすくなる。これにより、おむつ10において迅速な液吸収保持性とウエットバック防止性を高めることができる。すなわち、前記迅速な液吸収保持性及びウエットバック防止性の向上を、厚み方向中央部63を高吸収性ポリマー高密度層にしたことによる高吸収性ポリマー67の変色を目立ちにくくすることと同時に実現できる。
【0037】
スリット部8は、上記の液吸収保持性とウエットバック防止性を高める観点から、吸収性コア6の肌面側から厚み方向中央部63にまで到達する深さを有することが好ましく、吸収性コア6の肌面側から非肌面側までの貫通孔であることがより好ましい。
加えて、スリット部8は、上記と同様の観点から、吸収性コア6の受液領域Qにあることが好ましい。
【0038】
図6においては、スリット部8は、受液領域Qから長手方向Yの前後に延出する長さを有し、幅方向Xに3本並べて配置されている。スリット部8の配置や本数はこれに限定されるものではないが、上記の液吸収保持性とウエットバック防止性を高める観点から、図6に示す態様が好ましい。
【0039】
スリット部8が複数本ある場合、各スリット部8の幅(溝幅であり幅方向Xの長さ)は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。各スリット部8の幅が同じであると、排泄液が吸収性コア6内で均一に、かつ素早く拡散しやすくなる。これにより、吸収性コア6のより広い範囲の領域を液吸収のために活用することができるので好ましい。この作用を一層顕著にする観点から、各スリット部8の幅は、1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。また、各スリット部8の幅は、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。具体的には、各スリット部8の幅は、1mm以上20mm以下が好ましく、3mm以上15mm以下がより好ましい。なお、各スリット部8の幅が互いに異なる場合でも、各スリット部8の幅が上記の範囲内にあることが好ましい。
【0040】
スリット部8が複数本ある場合、各スリット部8の長さ(長手方向Yの長さ)は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。各スリット部8の長さが同じであると、排泄液が吸収性コア6内で均一に、かつ素早く拡散しやすくなる。これにより、吸収性コア6のより広い範囲の領域を液吸収のために活用することができるので好ましい。この作用を一層顕著にする観点から、各スリット部8の長さは、50mm以上が好ましく、100mm以上がより好ましい。また、各スリット部8の長さは、350mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましい。具体的には、各スリット部8の長さは、50mm以上350mm以下が好ましく、100mm以上300mm以下がより好ましい。なお、各スリット部8の長さが互いに異なる場合でも、各スリット部8の長さが上記の範囲内にあることが好ましい。
【0041】
各スリット部8の長さが互いに同じである場合、各スリット部8の前方部F側の端部T1の位置は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、各スリット部8の後方部R側の端部T2の位置は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。図6においては、各スリット部8の前方部F側の端部T1の位置は互いに同じであり、各スリット部8の後方部R側の端部T2の位置は互いに同じにしている。
【0042】
各スリット部8は後方部Rにおいて非存在となっていることが好ましい。また、各スリット部8の後方部R側の端部T2の位置は、前述の低坪量領域6Lと高坪量領域6Hとの境界位置T3よりも前方部F側にあることが好ましい。これにより、吸収性コア6の液吸収力と、吸収性コア6における液拡散性と、おむつ10の良好な装着感とのバランスを図ることができる。特に、各スリット部8の後方部R側の端部T2と、低坪量領域6Lと高坪量領域6Hとの境界位置T3との間の離間距離は、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、また、50mm以下が好ましく、45mm以下がより好ましい。具体的には、各スリット部8の後方部R側の端部T2と、低坪量領域6Lと高坪量領域6Hとの境界位置T3との間の離間距離は、5mm以上50mm以下が好ましく、10mm以上45mm以下がより好ましい。これにより、高坪量領域6Hでの液の拡散が更に起こりやすくなる。また、吸収性コア6が屈曲変形しやすくなり、おむつ10の装着感が一層良好になる。
【0043】
特に、各スリット部8が、吸収性コア6における着用者の大便排泄部に対応する位置よりも後方部R側において非存在となっていると、排泄された便が着用者の肌に付着しづらくなるので好ましい。後方部R側において「非存在」とは、スリット部8全ての後方部R側の端部T2の位置が、着用者の大便排泄部に対応する位置よりも前方側Fに偏倚していることを言う。
【0044】
上記のようなスリット部8は、吸収性コア6に対して切込みを加える方法の他、前述の回転ドラムの外周面に配された集積用凹部において、スッリト部8となるべき部位に非通気性の凸部を設けることで製造できる。
【0045】
また、スリット部8の位置に対して、前述した着色部の位置が平面視において重なっていることが好ましい。スリット部8の空間には、一般的には吸収性コア6内部の高吸収性ポリマー67が脱落(又は漏出)しやすい。特に、おむつ10においては、吸収性コア6の厚み方向中央部63が高吸収性ポリマー高密度層にされていることから脱落がより起こりやすい。これに対して、スリット部8の位置と着色部の位置とが平面視において重なることによって、スッリト部8に脱落した高吸収性ポリマー67が変色しても、おむつ10の外側から見えにくくなる。すなわち、厚み方向中央部63の高吸収性ポリマー高密度層、スリット部8及び着色部によって、高吸収性ポリマー67の変色をおむつ10の外側から見えにくくすることと、吸収性能の向上とを同時に更に高めることができる。
特に、変色した高吸収性ポリマー67を効果的に見えにくくする観点から、吸収性コア6の非肌面側の部材(例えば、裏面シート4)の着色部が着色剤のベタ塗り部とされて、該着色部の位置が吸収性コア6のスリット部8の位置と平面視において重なることが好ましい。
【0046】
スリット部8が貫通孔であると排泄液の引き込み性が高められ好ましい。この場合、吸収性コア6の外周を覆うコアラップシート7に関し、図7に示すように、吸収性コア6の肌面側及び非肌面側に配されているコアラップシート7同士(肌面側コアラップ71と非肌面側コアラップシート72)がスリット部8の位置で接着されていることが好ましい。すなわち、肌面側コアラップシート71、非肌面側コアラップシート72が吸収性コア6の両面側から、スリット部8に入り込んで接着されていることが好ましい。この接着は、排泄液に濡れても剥離しないようにされていることがより好ましい。これにより、高吸収性ポリマー67が吸収体5のスリットの位置に移動しにくくなり、変色した高吸収性ポリマー67が外部から見えにくくなる。なお、コアラップシート71、72同士の接着は、上記の作用を実現する種々の方法によって行うことができる。
【0047】
コアラップシート7は、前述のとおり吸収性コア6の長手方向Yの全体を覆いながら幅方向Xに延出して、吸収性コア6の外周を覆いながら巻き回されている。巻き回されたコアラップシート7の端部同士が積層されている。このコアラップシート7同士が積層された部位、すなわち積層部75は、積層によってシートの厚みが相対的に増し、吸収性コア6内部の高吸収性ポリマー67の変色を見えにくくする。この観点から、高吸収性ポリマー67が多く存在する位置と、コアラップシート7同士を積層させた部位(積層部75)の位置とが、平面視において重なることが好ましい。なお、ここで高吸収性ポリマー67が多く存在する位置とは、前述の高吸収性ポリマー高密度層である厚み方向中央部63及び平面方向の高坪量領域6Hのいずれかの位置又は両方の位置を意味する。
【0048】
更に吸収性コア6は、高吸収性ポリマー67の移動や脱落を抑制する観点から、エンボス等によって厚み方向に一定量圧縮を加えて形成した圧縮部(図示せず)を有することが好ましい。前記圧縮部ではパルプ繊維68が圧縮を受け、これにより高吸収性ポリマー67の動きが拘束されやすくなる。この作用を奏する限り、前記圧縮部の深さは適宜設定でき、吸収性コア6の厚み方向中央部63に到達する深さであってもよい。高吸収性ポリマー67の吸収性が圧縮によって阻害されないようにする観点からは、前記圧縮部の深さは厚み方向中央部63に到達せずに、表面部61又は裏面部62のいずれかに留まる範囲で設定されることが好ましい。また、前記圧縮部は表面部61のみにあることが吸収性コア6の柔らかさを低下させない観点から好ましい。この圧縮部は、例えば吸収性コア6とコアラップシート7とを含んだ吸収体5に対して、肌面側において、吸収体5の平面方向に線状に形成することができる。線状の圧縮部としては、例えば、長手方向Y及び幅方向Xに対して斜め格子状に配したものが挙げられる。圧縮部の形状は上記の作用を奏するものであれば特に限定されず、上記の斜め格子状の他、千鳥状、波状が挙げられる。また、圧縮部は吸収体5のみに設ける場合に限らず、例えば、吸収体5と表面シート3とを一体にして圧縮したものでもよい。
【0049】
次に各構成部材について説明する。
【0050】
(吸収体5)
液保持性の吸収体5としては、本発明の効果を奏するものであれば、おむつ等の各種吸収性物品に通常用いられるものを特に制限することなく任意に採用できる。
吸収体5は、合成繊維を含有することが好ましい。合成繊維の具体例として、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維が挙げられる。また、吸収体5を構成する吸収性コア6及びコアラップシート7の内、少なくとも吸収性コア6に合成繊維が含有されていることが好ましく、吸収性コア6及びコアラップシート7の両方に合成繊維が含有されていることがより好ましい。吸収体5は、合成繊維を含有することで、排泄液に晒されてもへたり難くなる。その結果、変形した吸収体5の隙間から変色した高吸収性ポリマー67が視認されるのを抑制できる。
【0051】
吸収性コア6において、肌面側にいくほど高吸収性ポリマー67の表面積が大きいことが好ましい。高吸収性ポリマー67は、表面積が大きいと、光の乱反射により白く見えやすい。これにより、肌面側付近の高吸収性ポリマー67が変色しても、肌面側から見た時のおむつ10を白く見せやすくなる。
【0052】
また、吸収体5は酸化防止剤を有していてもよい。酸化防止剤の具体例として、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドトキシフェニルプロピオネート及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、並びにn−ブチルアミン、トリエチルアミン及びジエチルアミノメチルメタクリレート等のアミン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、吸収体5を構成する吸収性コア6及びコアラップシート7の内、いずれかに含有されていればよく、両方に含有されていてもよい。例えば、吸収体中の合繊繊維に含有してもよいし、ホットメルト接着剤に含有してもよい。ただし、ここでは酸化防止剤を高吸収性ポリマーに含ませることを含まない。これにより、変色を抑制する成分を含んだ高価な高吸収性ポリマーを用いずに、汎用の高吸収性ポリマーを用いても、前述の吸収性コア6の構成による作用と相俟って、高吸収性ポリマーの変色を抑え、変色があってもおむつ10の外側からから目立たなくすることができる。
【0053】
(表面シート3)
表面シート3は、液透過性であり、おむつ等の各種吸収性物品に通常用いられるものを特に制限なく用いることができる。排泄された体液を速やかに透過して吸収体へと移行させる観点と肌触りを良好にする観点とから、親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
【0054】
表面シート3は凹凸構造を有することが好ましい。凹凸構造の表面シート3が吸収体の肌面側に配されていると、表面シート3の肌面側で光の乱反射が生じやすくなり、肌面側から見たときのおむつ10が白く見えやすくなる。その結果、変色した高吸収性ポリマー67が外部から見えにくくなる。
【0055】
表面シート3を構成する繊維には、色調変化剤が含有されることが好ましい。色調変化剤とは、表面シート3に入射される光の透過率を下げて散乱させる作用を有する成分を言う。色調変化剤が表面シート3の構成繊維に含有されることで、変色した高吸収性ポリマー67が肌面側から見えにくくなる。
【0056】
色調変化剤の具体例として、表面シート3の構成繊維の成分とは屈折率の異なる無機紛体、有機紛体などが挙げられる。
無機紛体としては、例えば、酸化チタン、多孔質酸化ケイ素(シリカ)、多孔質シリカ、酸化アルミニウム(アルミナ)、石灰、粘土鉱物が挙げられる。粘土鉱物としては、スメクタイト、モンモリナイト、ベントナイト、カオリナイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト、ゼオライト、タルク、ミズカナイト、等が挙げられる。
有機紛体としては、ポリエチレン紛体、ポリエステル紛体、ポリプロピレン紛体、ポリアクリル紛体、ポリアクリレート紛体、セルロース紛体、ビスコース紛体、シルク紛体、シリコーン化合物紛体、フッ素化合物紛体、等が挙げられる。またこれらの有機紛体を色素によって着色したものが挙げられる。中でも、色調変化として酸化チタンを用いることが好ましい。
色調変化剤の含有量は、表面シート3の構成繊維全体を100質量%として、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。酸化チタンを表面シート3の構成繊維に一定量以上含有することで、効果的に光を散乱させることができる。一方、表面シート3の構成繊維への酸化チタンの含有量の上限値は、本発明の効果を奏するものであれば特に限定されないが、10質量%以下が実際的である。
【0057】
(裏面シート4)
裏面シート4には、透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布とを貼り合わせた複合シート、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)が用いられる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。
【0058】
裏面シート4には前述の着色部が配されていることが好ましい。該着色部の位置が吸収性コア6における高吸収性ポリマー67が多く存在する位置と、吸収性コア6の平面視において重なることが好ましい。特に、前記着色部として、兎や猫といった可愛らしいキャラクターを裏面シート4に印刷すると、高吸収性ポリマー67の変色が裏面シート4側から目立ちにくくなると同時に、おむつ10に対する需要者の訴求は高まり好ましい。
【0059】
(中間シート)
おむつ10を構成する吸収性本体1は、表面シート3、裏面シート4及び吸収体5の他に、中間シート(図示せず)を有することが好ましい。表面シート3及びコアラップシート7以外に中間シートで吸収性コア6を覆うことで、吸収性コア6の内部の変色した高吸収性ポリマー67を更に見えにくくすることができる。
【0060】
また、おむつ10を構成する外装体2、サイドシート9、これらに配される弾性部材、外装不織布48については、この種の物品において通常用いられる素材を種々採用することができる。
【0061】
以上のとおり、本実施形態のおむつ10は、高吸収性ポリマー67の変色が外側から見えにくくなっているので、変色を抑制する成分を含む高吸収性ポリマーを用いなくても良好な外観を維持できる。
【0062】
本実施形態のおむつ10はパンツタイプのものとして示したが、これに限定されず、テープタイプのおむつであってもよい。また、本実施形態のおむつ10においては、外装体を前側と後側に分離したものとして示したが、これに限定されず種々の形状のものを採用できる。例えば、外装体がおむつ10の前側部10F、中間部10C及び後側部10R全体を覆う形状とされ、おむつ10の中間部10Cにおいて幅方向に括れた形状であってもよい。吸収性コア6の形状についても、本実施形態のものに限定されず、種々のものを採用することができる。例えば、吸収性コア6の平面形状が、中間部Cにおいて幅方向Xに括れたものであってもよい。
【0063】
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態のおむつのほか、パンティライナーや失禁パッド、生理用ナプキン、尿とりパッドなどの吸収性物品を含む概念である。また、上記の構成に用途や機能に合わせ他の部材を適宜組み込んでもよい。
【0064】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の吸収性物品を開示する。
【0065】
<1>
吸収性コアと、該吸収性コアの外周を覆うコアラップシートとを有する吸収体を備えた吸収性物品であって、
前記吸収性コアが、高吸収性ポリマーとパルプ繊維との集合体からなり、
前記吸収性コアが、厚み方向において、肌面側に位置する表面部と、非肌面側に位置する裏面部と、該表面部及び該裏面部の間に位置する厚み方向中央部とに区分され、
前記厚み方向中央部が、前記表面部及び前記裏面部よりも前記パルプ繊維に対する前記高吸収性ポリマーの質量比が大きい高吸収性ポリマー高密度層とされている吸収性物品。
【0066】
<2>
前記質量比が、前記厚み方向中央部において1.0以上2.0以下であり、前記表面部及び前記裏面部において0.25以上0.75以下である、前記<1>に記載の吸収性物品。
【0067】
<3>
前記質量比が、前記厚み方向中央部において1.25以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、また、1.8以下が好ましく、1.6以下がより好ましい、前記<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記質量比が、前記表面部及び前記裏面部において、0.38以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、また、0.63以下が好ましく、0.5以下がより好ましい、前記<2>又は<3>に記載の吸収性物品。
<5>
前記厚み方向中央部におけるパルプ繊維に対する高吸収性ポリマーの質量比は、前記表面部及び前記裏面部におけるパルプ繊維に対する高吸収性ポリマーの質量比に対して、1.3倍以上8倍以下であり、2.0倍以上が好ましく、3.0倍以上がより好ましく、また、5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましい、前記<2>〜<4>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0068】
<6>
前記吸収性コアの肌面側及び非肌面側の少なくとも一方の側に、着色部を有する部材が配されている、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0069】
<7>
前記着色部は、前記着色部を有する部材の面積の10%以上の領域を着色している、前記<6>に記載の吸収性物品。
<8>
前記着色部の色は、変色した高吸収性ポリマーの色よりも濃い色である、前記<6>又は<7>に記載の吸収性物品。
<9>
前記着色部の色は、変色した高吸収性ポリマーの色の補色である、前記<6>〜<8>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<10>
前記着色部の色は、緑、青又は紫である、前記<6>〜<9>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0070】
<11>
前記吸収性コアの平面視において、高坪量領域と該高坪量領域よりも坪量が低い低坪量領域とが配されており、前記吸収性コアの平面領域を、長手方向に、前方部、受液領域を含む中間部、及び後方部に区分した際に、前記高坪量領域は少なくとも前記中間部の受液領域を含み、前記低坪量領域は少なくとも前記後方部を含む、前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0071】
<12>
前記高坪量領域の坪量は、前記低坪量領域の坪量に対して120%以上250%以下であり、140%以上であることが好ましく、また、230%以下であることが好ましい、前記<11>に記載の吸収性物品。
<13>
前記高坪量領域の坪量は150g/m以上900g/m以下であり、200g/m以上であることが好ましく、250g/m以上であることがより好ましく、また、850g/m以下であることが好ましく、800g/m以下であることがより好ましい、前記<12>に記載の吸収性物品。
<14>
前記低坪量領域の坪量は100g/m以上600g/m以下であり、150g/m以上であることが好ましく、200g/m以上であることがより好ましく、また、550g/m以下であることが好ましく、500g/m以下であることがより好ましい、前記<12>又は<13>に記載の吸収性物品。
<15>
吸収性コア6の長手方向において、前記高坪量領域の長さは、吸収性コア6の全長の50%以上90%以下であり、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、また、85%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい、前記<11>〜<14>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<16>
吸収性コア6の長手方向において、前記低坪量領域の長さは、吸収性コア6の全長の10%以上50%以下であり、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、また、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい、前記<11>〜<15>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0072】
<17>
前記<6>〜<10>のいずれか1に記載の着色部を有する部材が前記吸収性コアの非肌面側に配され、
前記吸収性コアの平面視において、前記高坪量領域と前記着色部の位置とが重なる、前記<11>〜<16>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0073】
<18>
前記高坪量領域の位置と前記着色部の位置との重なりは、前記高坪量領域の面積の10%以上を占める、前記<17>に記載の吸収性物品。
【0074】
<19>
前記着色部の位置と前記吸収性コアの長手方向の端部の位置とが平面視において重なる、前記<6>〜<18>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0075】
<20>
前記吸収性コアにスリット部が配されており、該スリット部の位置と前記着色部の位置とが平面視において重なる、前記<6>〜<19>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<21>
前記吸収性コアの肌面側及び非肌面側に配されている前記コアラップシート同士が前記スリットの部位で接着されている、前記<20>に記載の吸収性物品。
【0076】
<22>
前記スリット部の幅が1mm以上20mm以下であり、3mm以上が好ましく、また、15mm以下が好ましい、前記<20>又は<21>に記載の吸収性物品。
<23>
前記スリット部の長さが50mm以上350mm以下であり、100mm以上が好ましく、300mm以下が好ましい、前記<20>〜<22>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<24>
前記スリット部の後方部側の端部と、前記低坪量領域と前記高坪量領域との境界位置との間の離間距離は、5mm以上50mm以下であり、10mm以上がより好ましく、また、45mm以下がより好ましい、前記<20>〜<23>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0077】
<25>
前記吸収体が圧縮部を有する、前記<1>〜<24>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<26>
前記吸収体が前記コアラップシート同士を積層させた部位を有し、
前記高吸収性ポリマーが多く存在する位置と、前記コアラップシートを積層させた部位の位置とが、平面視において重なる、前記<1>〜<25>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0078】
<27>
前記吸収体が合成繊維を含有する、前記<1>〜<26>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<28>
前記吸収性コアにおいて、肌面側にいくほど前記高吸収性ポリマーの表面積が大きい、前記<1>〜<27>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<29>
前記吸収体の肌面側には凹凸構造の表面シートが配されている、前記<1>〜<28>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<30>
前記表面シートの構成繊維全体を100質量%として、色調変化剤が0.1質量%以上含有されており、1質量%以上含有されていることが好ましく、3質量%以上含有されていることがより好ましく、また、10質量%以下含有されていることが好ましい、前記<29>に記載の吸収性物品。
<31>
前記吸収体と前記表面シートとの間に中間シートが配されている、前記<29>又は<30>に記載の吸収性物品。
<32>
前記吸収体が酸化防止剤を有する、前記<1>〜<31>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【符号の説明】
【0079】
1 吸収性本体
11 サイドシール部
12 ウエスト開口部
13 レッグ開口部
2 外装体
21 前側外装体
22 後側外装体
3 表面シート
4 裏面シート
5 吸収体
6 吸収性コア
61 表面部
62 裏面部
63 厚み方向中央部(高吸収性ポリマー高密度層)
67 高吸収性ポリマー
68 パルプ繊維
6H 高坪量領域
6L 低坪量領域
6E 長手方向の端部
7 コアラップシート
71 肌面側コアラップシート
72 非肌面側コアラップシート
75 コアラップシートの積層部
8 スリット部
9 サイドシート
91 弾性部材
92 立体ギャザー部
93 弾性部材
94 レッグギャザー部
10 おむつ
10F おむつの前側部
10C おむつの中間部
10R おむつの後側部
10D おむつの胴回り部
F 吸収性コアの前側部
C 吸収性コアの中間部
R 吸収性コアの後側部
Y 吸収性コアの長手方向(又は吸収性本体の長手方向)
X 吸収性コアの幅方向(又は吸収性本体の幅方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7