特許第6840840号(P6840840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840840
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】シールドされた基板対基板コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/658 20110101AFI20210301BHJP
   H01R 12/72 20110101ALI20210301BHJP
【FI】
   H01R13/658
   H01R12/72
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-515468(P2019-515468)
(86)(22)【出願日】2016年9月19日
(65)【公表番号】特表2019-530164(P2019-530164A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】CN2016099350
(87)【国際公開番号】WO2018049686
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2019年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】児玉 博充
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−59589(JP,A)
【文献】 特開平9−237655(JP,A)
【文献】 特開2016−66477(JP,A)
【文献】 米国特許第5921814(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0063432(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/658
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板同士を相互に接続するための基板対基板コネクタであって、前記基板対基板コネクタが、
一方のプリント基板に電気的に接続される複数の信号接触子を備えるレセプタクルと、
もう一方のプリント基板に電気的に接続される複数の信号接触子を備えるプラグであって、前記プラグの前記信号接触子が、前記プラグが前記レセプタクルの中に挿入されたときに前記プラグの前記信号接触子の各々が前記レセプタクルの対応する前記信号接触子と接触することができるように構成されている、プラグと、
を備えており、
前記レセプタクルが、前記レセプタクルの前記複数の信号接触子を連続的に又は間欠的に取り囲む電磁干渉シールドを備え、前記プラグが、前記プラグの前記複数の信号接触子を連続的に又は間欠的に取り囲む電磁干渉シールドを備え、
前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドと前記プラグの前記電磁干渉シールドが、前記プラグが前記レセプタクルの中に挿入されたときに相互に直接接触するように構成されており、この接触構造が前記基板対基板コネクタの全周に設けられており
前記レセプタクルが、電気的絶縁性のあるレセプタクルハウジングを備え、前記レセプタクルハウジング内には、前記レセプタクルの前記複数の信号接触子が設置され、
前記レセプタクルの各信号接触子が、一方のプリント基板にはんだ付けされるはんだ付け部を備え、前記レセプタクルハウジングの底部分には、少なくとも1つの開口部が設けられ、前記少なくとも1つの開口部を通して、前記レセプタクルの前記複数の信号接触子の前記はんだ付け部が前記レセプタクルの挿入口側から視認可能である、基板対基板コネクタ。
【請求項2】
前記レセプタクルハウジングが、前記レセプタクルの前記複数の信号接触子を取り囲む周囲部分を備え、前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドが、前記レセプタクルハウジングの前記周囲部分の内面を被覆し、
前記プラグが、電気的絶縁性のあるプラグハウジングを備え、前記プラグハウジング内には、前記プラグの前記複数の信号接触子が設置され、前記プラグハウジングが、前記プラグの前記複数の信号接触子を取り囲む周囲部分を含み、前記プラグハウジングの前記周囲部分が、前記レセプタクルハウジングの前記周囲部分の中に挿入できるように構成され、前記プラグの前記電磁干渉シールドが、前記プラグハウジングの前記周囲部分の外面を被覆する、請求項1に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項3】
前記プラグの前記電磁干渉シールドには、前記プラグの前記電磁干渉シールドを前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドと直接接触させるための複数の当接部分が設けられ、前記複数の当接部分が、前記プラグの前記電磁干渉シールドの全周に間隔をおいてに位置付けられている、請求項1又は2に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項4】
前記当接部分が板ばねのように形成され、前記当接部分が、前記プラグの前記電磁干渉シールドの表面から外側へ向かって斜め方向に突出しており、前記当接部分は、前記プラグが前記レセプタクルの中に挿入されたときに前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドと当接することによって弾性変形されるように構成されている、請求項3に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項5】
前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドには、前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドを前記プラグの前記電磁干渉シールドと直接接触させるための複数の当接部分が設けられ、前記当接部分が、前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドの全周に間を置いて位置付けられている、請求項1から4のうちの何れか一項に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項6】
前記当接部分が板ばねのように形成され、前記当接部分が、前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドの表面から内側へ向かって斜め方向に突出し、前記当接部分が、前記プラグが前記レセプタクルの中に挿入されたときに前記プラグの前記電磁干渉シールドと当接することによって弾性変形されるように構成されている、請求項5に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項7】
前記プラグの前記電磁干渉シールドには、前記プラグの前記電磁干渉シールドを前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドと直接接触させるための複数の第1当接部分が設けられ、前記第1当接部分が、前記プラグの前記電磁干渉シールドの全周に間を置いて位置付けられ、
前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドには、前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドを前記プラグの前記電磁干渉シールドと直接接触させるための複数の第2当接部分が設けられ、前記第2当接部分が、前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドの全周に間を置いて位置付けられている、請求項1又は2に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項8】
前記第1当接部分が板ばねのように形成され、前記第1当接部分が、前記プラグの前記電磁干渉シールドの表面から外側へ向かって斜め方向に突出し、前記第1当接部分が、前記プラグが前記レセプタクルの中に挿入されたときに前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドと当接することによって弾性変形されるように構成されており、
前記第2当接部分が板ばねのように形成され、前記第2当接部分が、前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドの表面から内側に向かって斜め方向に突出し、前記第2当接部分が、前記プラグが前記レセプタクルの中に挿入されたときに前記プラグの前記電磁干渉シールドと当接することによって弾性変形されるように構成されている、請求項7に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項9】
前記第1当接部分および前記第2当接部分が、前記プラグが前記レセプタクルの中に挿入されたときに前記第1当接部分と前記第2当接部分とが交互に配置されるように位置付けられている、請求項7に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項10】
前記レセプタクルの前記電磁干渉シールドが、一方のプリント基板に電気的に接続される接地部分を備える、請求項1から9のうちの何れか一項に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項11】
前記プラグの前記電磁干渉シールドが、もう一方のプリント基板に電気的に接続される接地部分を備える、請求項1から10のうちの何れか一項に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項12】
前記基板対基板コネクタがスマートフォンに内蔵されるように適合されている、請求項1から11のうちの何れか一項に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項13】
請求項1から12のうちの何れか一項に記載の基板対基板コネクタを備えるスマートフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、特に、プリント基板同士を相互に接続するための基板対基板コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
高速信号伝送対応の基板対基板コネクタを作ることが所望されており、ここで、基板対基板コネクタは、スマートフォンに内蔵され、スマートフォン内でマザーボードとその他の基板とを接続するためのものである。
【0003】
コネクタ内の高速信号伝送は、コネクタの信号接触子間の接続部から放出されたEMI(電磁干渉)ノイズを増大させる傾向がある。高速信号伝送対応の基板対基板コネクタは、EMIノイズを遮蔽する能力を有している必要がある。
【0004】
高さがより低い、例えば約0.6から0.7mmの従来のスマートフォン用の基板対基板コネクタには、電磁干渉シールドが備わっていない。一方、従来のコンピュータ用やテレビ用の基板対基板コネクタには、電磁干渉シールドが備わっている。しかしながら、これらの電磁干渉シールド付きの基板対基板コネクタの高さは、スマートフォン用の基板対基板コネクタの高さに比べて相当に高くなっているので、従来の電磁干渉シールド付きの基板対基板コネクタの構造をスマートフォン用の基板対基板コネクタに適用することができない可能性がある。
【0005】
また、従来の電磁干渉シールド付きの基板対基板コネクタは、プラグがレセプタクルの中に挿入されたときにプラグおよびレセプタクルのうちのいずれか一方だけがプラグハウジング及びレセプタクルハウジングの両方を取り囲むように構成されたシールドを含んでいる構造を有している。これらの従来の基板対基板コネクタは、EMIノイズを完全には遮蔽することができない。例えば、従来の電磁干渉シールド付きの基板対基板コネクタでは、EMIノイズは、プラグハウジングの外面とレセプタクルハウジングの内面との間の隙間を通ったり、樹脂製のプラグハウジング及びレセプタクルハウジングを通過したりして漏出する場合がある。
【0006】
特開2012−54173号公報は、プラグとプラグに嵌合可能であるレセプタクルとを備える基板対基板コネクタを開示しており、プラグは、絶縁性プラグハウジングとプラグハウジングに固定された複数のプラグシールド部材とを備え、レセプタクルは、絶縁性レセプタクルハウジングとレセプタクルハウジングに固定された複数のレセプタクルシールド部材とを備え、プラグシールド部材から延在するグランド接触部分は、プラグシールド部材から延在するグランド接触部分とそれぞれ直接接触する。しかしながら、プラグシールド部材もレセプタクルシールド部材もコネクタの長手方向に整列されるが、コネクタの長手方向における両端、つまり、コネクタの周囲部の短辺部に設けられていない。したがって、EMIノイズが、両端に位置付けられたプラグハウジング及びレセプタクルハウジングの両端部分を通って漏出する場合がある。さらに、プラグシールド部材とレセプタクルシールド部材との間に隙間があるので、その隙間を通ってEMIノイズが漏出する場合がある。
【0007】
特開2010−97759号公報は、レセプタクル及びプラグを備える基板対基板コネクタを開示しており、レセプタクルは、絶縁性固定ハウジング、固定ハウジングに設けられた可動ハウジング、固定ハウジングの外面を取り囲む第1シールドカバー、及び、可動ハウジングの外面を取り囲む第2シールドカバーを備え、プラグは、可動ハウジングの中に挿入できるように構成された絶縁性プラグハウジングと、プラグハウジングの外面を取り囲むプラグシールドカバーとを備える。第2シールドカバーには、プラグがレセプタクルに嵌合されたときにプラグシールドカバーと直接接触する複数の屈曲タブが設けられている。しかしながら、屈曲タブは、コネクタの周囲部の短辺部に設けられているが、コネクタの周囲部の長辺部に設けられていない。したがって、EMIノイズが、プラグシールドカバーの長辺部と可動ハウジングの長辺部との間の隙間を通ったり、可動ハウジングの長辺部を通過したりして漏出する場合がある。
【0008】
特開2008−243703号公報は、レセプタクル及びプラグを備える基板対基板コネクタを開示しており、レセプタクルは、絶縁性レセプタクルハウジングとレセプタクルハウジングの外面を取り囲むレセプタクルシールド部材とを備え、プラグは、絶縁性プラグハウジングとプラグハウジングの両端を覆うプラグシールド部材とを備える。レセプタクルシールド部材には、プラグがレセプタクルに嵌合されたときにプラグシールド部材と直接接触する複数の屈曲タブが設けられている。しかしながら、屈曲タブは、コネクタの周囲部の短辺部に設けられているが、コネクタの周囲部の長辺部に設けられていない。したがって、EMIノイズは、プラグハウジングの長辺部とレセプタクルハウジングの長辺部との間の隙間を通ったり、プラグハウジングの長辺部及びレセプタクルハウジングの長辺部を通過したりして漏出する場合がある。
【0009】
従来の基板対基板コネクタの上記した未解決の課題に対処する、特に、基板対基板コネクタのEMIノイズ遮蔽性能を向上させる必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012−54173号公報
【特許文献2】特開2010−97759号公報
【特許文献3】特開2008−243703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、レセプタクル及びプラグの信号接触子によって発生したEMIノイズの漏洩をなくしたり減らしたりする能力を有する基板対基板コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、プリント基板同士を相互に接続するための基板対基板コネクタであって、コネクタが、一方のプリント基板に電気的に接続される複数の信号接触子を備えるレセプタクルと、もう一方のプリント基板に電気的に接続される複数の信号接触子を備えるプラグと、を備えており、信号接触子は、プラグがレセプタクルの中に挿入されたときにプラグの信号接触子の各々がレセプタクルの対応する信号接触子と接触することができるように構成されており、レセプタクルは、レセプタクルの複数の信号接触子を連続的に又は間欠的に取り囲む電磁干渉シールドを備え、プラグは、プラグの複数の信号接触子を連続的に又は間欠的に取り囲む電磁干渉シールドを備え、レセプタクルのシールドとプラグのシールドは、プラグがレセプタクルの中に挿入されたときに相互に直接接触するように構成されており、この接触構造がコネクタの全周に設けられている、基板対基板コネクタによって達成される。
【0013】
この基板対基板コネクタによって、プラグがレセプタクルの中に挿入されて、プラグの信号接触子の各々がレセプタクルの対応する信号接触子と接触するときに、レセプタクル及びプラグの信号接触子によって発生したEMIノイズが、レセプタクル及びプラグのシールドによってコネクタの全周で遮蔽される。
【0014】
基板対基板コネクタの一実施形態では、レセプタクルは、電気的絶縁性のあるレセプタクルハウジングを備え、そのレセプタクルハウジング内には、レセプタクルの複数の信号接触子が設置されており、レセプタクルハウジングは、レセプタクルの複数の信号接触子を取り囲む周囲部分を備えている。レセプタクルのシールドは、レセプタクルハウジングの周囲部分の内面を被覆する。また、プラグは、電気的絶縁性のあるプラグハウジングを備え、そのプラグハウジング内には、プラグの複数の信号接触子が設置され、プラグハウジングは、プラグの複数の信号接触子を取り囲む周囲部分を含み、プラグハウジングの周囲部分は、レセプタクルハウジングの周囲部分の中に挿入できるように構成されている。プラグのシールドは、プラグハウジングの周囲部分の外面を被覆する。
【0015】
基板対基板コネクタの好適な実施形態では、プラグのシールドには、プラグのシールドをレセプタクルのシールドと直接接触させるための複数の当接部分が設けられている。当接部分は、プラグのシールドの全周に間隔をおいてに位置付けられている。この実施形態では、当接部分は、板ばねのように形成されてもよい。板ばねのように形成された当接部分は、プラグのシールドの表面から外側へ向かって斜め方向に突出しており、当接部分は、プラグがレセプタクルの中に挿入されたときにレセプタクルのシールドと当接することによって弾性変形されるように構成されている。
【0016】
基板対基板コネクタの別の好適な実施形態では、レセプタクルのシールドには、レセプタクルのシールドをプラグのシールドと直接接触させるための複数の当接部分が設けられている。当接部分は、レセプタクルのシールド全周に間を置いて位置付けられている。この実施形態では、当接部分は、板ばねのように形成されている。板ばねのように形成された当接部分は、レセプタクルのシールドの表面から内側へ向かって斜め方向に突出し、当接部分は、プラグがレセプタクルの中に挿入されたときにプラグのシールドと当接することによって弾性変形されるように構成されている。
【0017】
基板対基板コネクタの更なる好適な実施形態では、プラグのシールドには、プラグのシールドをレセプタクルのシールドと直接接触させるための複数の第1当接部分が設けられており、レセプタクルのシールドには、レセプタクルのシールドをプラグのシールドと直接接触させるための複数の第2当接部分が設けられている。第1当接部分は、プラグのシールド全周に間を置いて位置付けられ、第2当接部分は、レセプタクルのシールド全周に間を置いて位置付けられている。この実施形態では、第1当接部分は、板ばねのように形成されている。板ばねのように形成された第1当接部分は、プラグのシールドの表面から外側へ向かって斜め方向に突出し、第1当接部分は、プラグがレセプタクルの中に挿入されたときにレセプタクルのシールドと当接することによって弾性変形されるように構成されている。また、第2当接部分は、板ばねのように形成されている。板ばね状の第2当接部分は、レセプタクルのシールドの表面から内側に向かって斜め方向に突出し、第2当接部分は、プラグがレセプタクルの中に挿入されたときにプラグのシールドと当接することによって弾性変形されるように構成されている。好ましくは、第1当接部分および第2当接部分は、プラグがレセプタクルの中に挿入されたときに第1当接部分と第2当接部分とが交互に配置されるように位置付けられてもよい。
【0018】
基板対基板コネクタの上記の実施形態では、レセプタクルのシールドが、一方のプリント基板に電気的に接続される接地部分を備えてもよい。また、プラグのシールドは、もう一方のプリント基板に電気的に接続される接地部分を備えてもよい。
【0019】
さらに、基板対基板コネクタの上記の実施形態では、レセプタクルの各信号接触子は、一方のプリント基板にはんだ付けされるはんだ付け部を備え、レセプタクルハウジングの底部分には、少なくとも1つの開口部が設けられてもよく、その開口部を通して、レセプタクルの複数の信号接触子のはんだ付け部がレセプタクルの挿入口側から視認可能である。
【0020】
基板対基板コネクタの好適な実施形態では、コネクタは、スマートフォンに内蔵されるように適合される。ただし、本願に係る基板対基板コネクタは、例えば携帯電話、タブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータ、卓上計算機、電子手帳、ポータブルテレビ、デジタルカメラ、医療機器などの他の種類の電子機器に内蔵されてもよい。
【0021】
「プリント基板」との用語は、さまざまな電子基板を意味すると理解されるべきであり、例えば、PCB(プリント回路基板)、PWB(プリント配線基板)、FPC(フレキシブルプリント回路)などが挙げられる。
【0022】
本発明は、添付図面を検討しつつ、後述する非限定的な発明の実施形態の詳細な説明からさらに良く理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本願の第1実施形態に係る基板対基板コネクタの一つの断面概略図であって、図3および図4に示されたA−A線に沿った断面図である。
図2図2は、本願の第1実施形態に係る基板対基板コネクタの別の断面概略図であって、図3および図4に示されたB−B線に沿った断面図である。
図3図3は、本願の第1実施形態に係る基板対基板コネクタ内のレセプタクルの平面概略図である。
図4図4は、本願の第1実施形態に係る基板対基板コネクタ内のプラグの平面概略図である。
図5図5は、本願の第1実施形態に係る基板対基板コネクタ内のレセプタクルの変形例の断面概略図である。
図6図6は、本願の第1実施形態に係る基板対基板コネクタ内のレセプタクルの別の変形例の断面概略図である。
図7図7は、本願の第2実施形態に係る基板対基板コネクタの断面概略図である。
図8図8は、本願の第3実施形態に係る基板対基板コネクタの断面概略図であって、図9および図10に示されたC−C線に沿った断面図である。
図9図9は、本願の第3実施形態に係る基板対基板コネクタ内のレセプタクルの平面概略図である。
図10図10は、本願の第3実施形態に係る基板対基板コネクタ内のプラグの平面概略図である。
図11図11は、本願の第4実施形態に係る単列型の基板対基板コネクタの断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1実施形態
図1図4に示された基板対基板コネクタ1は、2つの基板(第1基板2および第2基板3)を互いに接続するためのものであり、特に、第1基板2と第2基板3との間の信号伝送を可能にする。基板対基板コネクタ1は、スマートフォンに適しており、スマートフォンに内蔵されるように適合されている。基板対基板コネクタ1によって相互に接続される第1基板2および第2基板3は、両方ともスマートフォンに内蔵され得る部品である。
【0025】
図1および図2に示されているように、基板対基板コネクタ1は、相互に嵌合可能であるレセプタクル10およびプラグ20を備える。レセプタクル10は、例えばスマートフォンのマザーボードなどの第1基板2上に取り付けられ、プラグ20は、例えばマザーボードに接続される他の基板などの第2基板3上に取り付けられる。あるいは、プラグ20が取り付けられる第2基板3がマザーボードであってもよく、レセプタクル10が取り付けられる第1基板2がマザーボードに接続される他の基板であってもよい。
【0026】
図1図3を参照すると、レセプタクル10は、プラグ20を受容することができるように構成された雌コネクタ部品であり、全体として実質的に直方体の外観を呈する。レセプタクル10は、電気的絶縁性のレセプタクルハウジング11と、複数の信号接触子12と、電磁干渉シールド13と、電力接触子14とを備える。
【0027】
図1図2、及び図4を参照すると、プラグ20は、レセプタクル10の中に挿入可能であるように構成された雄コネクタであり、全体として実質的に直方体の外観を呈する。プラグ20は、電気的絶縁性のプラグハウジング21と、複数の信号接触子22と、電磁干渉シールド23と、電力接触子24とを備える。
【0028】
図1図4を参照すると、レセプタクルハウジング11もプラグハウジング21もそれぞれ、例えば合成樹脂などの1つ又は複数の電気的絶縁性材料から作られた成型部品である。レセプタクルハウジング11及びプラグハウジング21は、互いに係合可能であるように形成されており、特に、プラグハウジング21がレセプタクルハウジング11の中に挿入可能になるような形となっている。具体的には、矩形ループ形状の外側凹部110も、外側凹部110の中にある矩形の内側凹部111もレセプタクルハウジング11上に形成されている。一方、プラグハウジング21は、レセプタクルハウジング11の外側凹部110の中に挿入可能である外周部分211と、レセプタクルハウジング11の内側凹部111の中に挿入可能である内周部分212とを備える。
【0029】
より詳細には、図1図3を参照すると、レセプタクルハウジング11は、底部分112、外周部分113、及び内周部分114を備え、これらの部分は外側凹部110及び内側凹部111を画定する。底部分112は、略矩形に形作られ、且つ、第1基板2に隣接して平行に位置している。外周部分113は、略角筒形状を有して4つの壁を備えており、つまり、互いに対向する一対の長辺壁113aと、互いに対向する一対の短辺壁113bとを備えている。各壁113a、113bは、底部分112の外周から、第1基板2から遠ざかる方向に突出している。内周部分114は、外周部分113の内面よりも小さい略角筒形状を有しており、略角筒形状の空間を有する外周部分113の内側に位置することができるくらい小さい。つまり、外周部分113及び内周部分114は、それらの間に矩形ループ形状の外側凹部110を画定する。内周部分114は、4つの壁を備えており、つまり、互いに対向する一対の長辺壁114aと互いに対向する一対の短辺壁114bとを備えている。各壁114a、114bは、底部分112の中央部位から、第1基板2から遠ざかる方向に突出している。内周部分114の内側の空間が、内側凹部111である。内周部分114は、外周部分113と同じ向きに配置され、且つ、外周部分113と共通の中心点を有する。内周部分114は、実質的に外周部分113と同じ高さを有している。
【0030】
レセプタクルハウジング11の底部分112には、垂直に貫通して形成された2つの開口部115が設けられている。開口部115は、略矩形に形作られ、基板対基板コネクタ1の長手方向に延在する。開口部115は、内周部分114を間に挟んで両側に対称的に配置されている。つまり、一方の開口部115は、外周部分113の一方の長辺壁113aと内周部分114の一方の長辺壁114aとの間に位置し、もう一方の開口部115は、外周部分113のもう一方の長辺壁113aと内周部分114のもう一方の長辺壁114aとの間に位置している。
【0031】
図1図2、及び図4を参照すると、プラグハウジング21は、外周部分211及び内周部分212に加えて底部分210を備える。底部分210は、略矩形に形作られ、且つ、第2基板3に隣接して平行に位置している。外周部分211は、略角筒形状を有して4つの壁を備えており、つまり、互いに対向する一対の長辺壁211aと互いに対向する一対の短辺壁211bとを備えている。各壁211a、211bは、底部分210の外周から、第2基板3から遠ざかる方向に突出している。内周部分212は、外周部分211の内面よりも小さい略直方体形状を有しており、略角筒形状の空間を有する外周部分211の内側に位置することができるほど小さい。つまり、外周部分211及び内周部分212は、それらの間に矩形ループ形状の凹部213を画定する。内周部分212は、外周部分211と同じ向きに配置され、且つ、外周部分211と共通の中心点を有する。内周部分212は、実質的に外周部分211と同じ高さを有する。
【0032】
図1図4を参照すると、信号接触子12,22の各々は、1つ又は複数の例えば銅や銅合金などの導電性材料から作られた幅狭のストリップ部品であり、所望の形状に曲げて形成されている。レセプタクル10の各信号接触子12は、その一部分がレセプタクルハウジング11内に埋め込まれるようにして、レセプタクルハウジング11内に設置されている。プラグ20の各信号接触子22は、その一部分がプラグハウジング21内に埋め込まれるようにして、プラグハウジング21内に設置されている。レセプタクル10の複数の信号接触子12は、レセプタクルハウジング11の外周部分113によって取り囲まれ、プラグ20の複数の信号接触子22は、プラグハウジング21の外周部分211によって取り囲まれている。レセプタクル10の複数の信号接触子12もプラグ20の複数の信号接触子22も、基板対基板コネクタ1の長手方向に等間隔に配置されて、2列に形成されている。レセプタクル10の信号接触子12の第1列及び第2列は、内側凹部111を間に挟んで両側に対称的に配置されている。プラグ20の信号接触子22の第1列及び第2列は、内周部分212を間に挟んで両側に対称的に配置されている。レセプタクル10の複数の信号接触子12とプラグ20の複数の信号接触子22は、第1基板2上の信号伝送線路と第2基板3上の信号伝送線路との間の信号伝送を可能にするために、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにそれぞれ相互に電気的に接続されるように配置構成されている。具体的には、複数の信号接触子12,22は、レセプタクル10の複数の信号接触子12がプラグ20の複数の信号接触子22とそれぞれ係合可能となるように形成され、特に、レセプタクル10の各信号接触子12が、プラグ20の対応する信号接触子22の中に挿入可能且つ接触可能となるような形となっている。
【0033】
より詳細には、図1図3を参照すると、レセプタクル10の信号接触子12は、接触部120と、はんだ付け部121と、アンカー部122とを備える。接触部120は、プラグ20の信号接触子22と接触できるようにするために露出されている。接触部120は、凸形状を有しており、レセプタクルハウジング11の内周部分114の長辺壁114aの内側表面、先端表面、及び外側表面に沿って延在している。アンカー部122は、接触部120の端からはんだ付け部121の端まで延在しており、底部分112内に埋め込まれて固定されている。はんだ付け部121は、SMT(表面実装技術)又はPIP(ピンインペースト技術)によって第1基板2上の信号伝送線路にはんだ付けするために露出されている。はんだ付け部121がレセプタクル10の挿入口側から視認可能となるように、はんだ付け部121は底部分112から底部分112の開口部115の中へ突出している。このようなはんだ付け部121によって、信号接触子12の全長は、レセプタクルの信号接触子のはんだ付け部がレセプタクルハウジングの外周部分から突出している構成よりも短くすることができ、それによって、信号接触子12のための材料費を低減させて上記の構成よりも安くすることができる。また、信号接触子12のはんだ付け部121がより短くなるので、複数の信号接触子12のはんだ付け部121の高い共平面性を得ることができ、それによって、はんだ付け部121におけるはんだ付けの不良を防止することができる。さらに、はんだ付け部121が開口部115を通してレセプタクル10の挿入口側から視認可能であるため、はんだ付け部121の共平面性及びはんだ付け部121内のはんだ付けされる部分を容易に検査できるようになる。
【0034】
図1図2、及び図4を参照すると、プラグ20の信号接触子22は、接触部220と、はんだ付け部221と、アンカー部222とを備える。接触部220は、プラグハウジング21の凹部213の中に位置付けられ、レセプタクル10の信号接触子12と接触できるようにするために露出されている。接触部220は、レセプタクル10の信号接触子12の接触部120が中に挿入されるような凹形状を有している。接触部220は弾性変形可能であり、それによって、接触部120,220間の接触が確実に維持できるようになる。はんだ付け部221は、SMT又はPIPによって第2基板3上の信号伝送線路にはんだ付けするために露出されている。はんだ付け部221は、外周部分211から突出している。アンカー部222は、接触部220の端からはんだ付け部221の端まで延在しており、外周部分211内に埋め込まれて固定されている。
【0035】
図1図4を参照すると、シールド13もシールド23もそれぞれ、EMIノイズを遮蔽する能力を有するカバー部品である。これらのシールド13,23は、1つ又は複数の電磁波遮蔽材料、例えば、銅合金やステンレス鋼などの金属板材から作られており、金属板材をプレスすることによって形成される。あるいは、シールドは、例えば金属メッシュ材、金属フォーム材、金属めっき材、金属含有コーティング材、金属含有ポリマー材、電磁遮蔽フィルム材などの他の材料から作られてもよい。
【0036】
図1図3を参照すると、レセプタクル10のシールド13は、レセプタクル10の複数の信号接触子12を連続的に取り囲むように配置構成されている。具体的には、シールド13は、外周部分113の内面、先端表面、及び外面を覆うように、レセプタクルハウジング11の外周部分113に取り付けられている。シールド13は、内装部130、先端部131、外装部132、及び内側フランジ部133を備える。内装部130は、レセプタクルハウジング11の外周部分113の内面に沿った略角筒形状を有しており、レセプタクルハウジング11の外周部分113の内面全体を被覆するように構成されている。各先端部131は、レセプタクルハウジング11の外周部分113の先端表面に沿った矩形形状をゆうしており、外周部分113の対応する壁113a,113bの先端表面を被覆するように構成されている。各先端部131は、対応する壁113a,113bの内側表面の全長に亘って延在している。各先端部131は、内装部130内に一体的に設けられており、内装部130の上端(挿入口側の端)から外側へ延在している。内装部130と先端部131との間の角は、プラグ20をレセプタクル10の中へ挿入し易くするために、平面状の形や丸みのある形に面取りされている。各外装部132は、レセプタクルハウジング11の外周部分113の外面に沿った矩形形状を有しており、外周部分113の対応する壁113a,113bの外側表面を被覆するように構成されている。各外装部132は、先端部131の全長に亘って延在している。各外装部132は、先端部131内に一体的に設けられており、先端部131の外側端から垂下されている。各外装部132には、第1基板2に電気的に接続させるための少なくとも1つの接地部分135が設けられている。各接地部分135は、外装部132の近位端(第1基板2の側面上の端)から外側へ延在するタブである。各接地部分135は、シールド13の電気的な接地を可能にするために、SMT又はPIPによって第1基板2にはんだ付けすることができる。内側フランジ部133は、レセプタクルハウジング11の底部分112の外周に沿った矩形ループ形状を有しており、底部分112の外周を被覆するように構成されている。また、シールド13は、複数の部分に分けられてもよく、シールド13は、レセプタクル10の複数の信号接触子12を間欠的に取り囲むように構成されてもよい。
【0037】
外装部132は、必ずしも、先端部131の全長に亘って延在してレセプタクルハウジング11の外周部分113の外面の大部分を被覆する必要はない。例えば、図5に示されているように、単に先端部131を接地部分135に接続するためだけに、レセプタクル10のシールド13’の外装部132’の幅は、接地部分135の幅と同じくらいであってもよい。また、レセプタクル10のシールド13は、必ずしも、内側フランジ部133を備えている必要はない。例えば、図6に示されているように、レセプタクル10のシールド13’’内に内側フランジ部が無くてもよい。
【0038】
図1図2、及び図4を参照すると、プラグ20のシールド23は、プラグ20の複数の信号接触子22を連続的に取り囲むように配置構成されている。具体的には、シールド23は、外周部分211の先端表面及び外面を覆うようにして、プラグハウジング21の外周部分211に取り付けられている。シールド23は、外装部230及び先端部231を備える。外装部230は、プラグハウジング21の外周部分211の外面に沿った略角筒形状を有し、プラグハウジング21の外周部分211の外面全体を実質的に被覆するように構成されている。外装部230には、切欠き230aが設けられており、その切欠き230aを通して信号接触子22のはんだ付け部221が露出されている。切欠き230aは、外装部230の両側の長辺壁上に形成されている。先端部231は、プラグハウジング21の外周部分211の先端表面に沿った矩形ループ形状を有しており、外周部分211の先端表面全体を被覆するように構成されている。先端部231は、外装部230内に一体的に設けられており、外装部230の先端部から内側へ延在している。外装部230と先端部231との間の角は、プラグ20をレセプタクル10の中へ挿入し易くするために、平面状の形又は丸みのある形に面取りされている。外装部230には、第2基板3に電気的に接続させるための少なくとも1つの接地部分233が設けられている。各接地部分233は、外装部230の近位端(第2基板3の側面上の端)から外側へ延在するタブである。各接地部分233は、シールド23の電気的な接地を可能にするために、SMT又はPIPによって第2基板3にはんだ付けすることができる。また、シールド23は、複数の部分に分けられてもよく、シールド23は、プラグ20の複数の信号接触子22を間欠的に取り囲むように構成されてもよい。
【0039】
図1図4を参照すると、レセプタクル10のシールド13とプラグ20のシールド23は、信号接触子12,22によって発生したEMIノイズが漏出するのを防ぐために、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときに相互に直接接触するように構成されている。特に、EMIノイズが通過し得る経路をなくすために、シールド13,23の接触構造は、コネクタ1の全周に設けられている。接触構造は、必ずしも、コネクタ1の全周において連続的である必要はなく、EMIノイズが実質的に完全に遮蔽されるように間欠的であってもよい。
【0040】
具体的には、図1図2、及び図4に示されているように、プラグ20のシールド23の外装部230には、プラグ20のシールド23をレセプタクル10のシールド13と直接接触させるための複数の当接部分232が設けられている。各当接部分232は、矩形形状を有する板ばねのように形成されている。各当接部分232は、プラグ20のシールド23の外側表面から外側に向かって斜め方向に突出しており、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにレセプタクル10のシールド13の内装部130と当接するようになっている。当接部分232は、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにレセプタクル10のシールド13の内装部130と当接することによって弾性変形されるように構成されている。このような当接部分232は、シールド13の金属板材にコ字形状の切り線を入れ、その切れ線によって取り囲まれた部分を外側へ折ることによって形成される。当接部分232の折れ線は、先端部231に近い方の側に設けられ、当接部分232は、第2基板3に近い方の側に開口されている。複数の当接部分232は、プラグ20のシールド23の外装部230全周に間を置いて位置付けられている。複数の当接部分232の間の間隔は、シールド13,23によって遮蔽しようとするEMIノイズの周波数帯に応じて決定することができる。
【0041】
図2図4を参照すると、レセプタクル10の電力接触子14及びプラグ20の電力接触子24は、第1基板2と第2基板3との間の高電流伝送を可能にするための電流伝送要素である。これらの電力接触子14,24はそれぞれ、1つ又は複数の例えば銅や銅合金などの導電性材料から作られた幅広のストリップ部品であり、所望の形状に曲げて形成されている。電力接触子14,24のストリップ材料は、信号接触子12,22のものよりも幅が広く、それによって、相互に電気的に接続された電力接触子14,24を通して、例えば5.0A以上の高電流を、流すことができるようになっている。レセプタクル10の各電力接触子14は、その一部分がレセプタクルハウジング11内に埋め込まれるようにして、レセプタクルハウジング11内に設置されている。プラグ20の各電力接触子24は、その一部分がプラグハウジング21内に埋め込まれるようにして、プラグハウジング21内に設置されている。レセプタクル10の電力接触子14及びプラグ20の電力接触子24は、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにそれぞれ相互に電気的に接続されるように配置構成されている。
【0042】
より詳細には、図2及び図3を参照すると、レセプタクル10の電力接触子14は、接触部140及びアンカー部141を備える。接触部140は、プラグ20の電力接触子24と接触できるようにするために露出されている。接触部140は、凸形状を有し、レセプタクルハウジング11の内周部分114の短辺壁114bの内側表面、先端表面、及び外側表面に沿って延在している。アンカー部141は、底部分112内に埋め込まれて固定されている。レセプタクル10の電力接触子14は、SMT又はPIPによって第1基板2上の電流伝送線にはんだ付けすることができる。
【0043】
図2及び図4を参照すると、プラグ20の電力接触子24は、接触部240、はんだ付け部241、及びアンカー部242を備える。接触部240は、プラグハウジング21の凹部213の中に位置付けられ、レセプタクル10の電力接触子14の接触部140と接触できるようにするために露出されている。接触部240は弾性変形可能であり、それによって、接触部140,240間の接触が確実に維持できるようになる。はんだ付け部241は、SMT又はPIPによって第2基板3上の電流伝送線にはんだ付けするために露出されている。はんだ付け部241は、外周部分211から突出している。アンカー部242は、接触部240の端からはんだ付け部241の端まで延在しており、外周部分211内に埋め込まれて固定されている。
【0044】
第2実施形態
図7は、本願の第2実施形態に係る基板対基板コネクタ1Aを示している。基板対基板コネクタ1Aは、上述した第1実施形態の基板対基板コネクタ1と共通する特徴を有しており、これらの共通する特徴についての詳細な説明は省略する。第1実施形態の基板対基板コネクタ1と比較して相違する基板対基板コネクタ1Aの特徴についての詳細な説明は、下記のとおりである。
【0045】
図7に示されているように、レセプタクル10のシールド13の内装部130には、レセプタクル10のシールド13をプラグ20のシールド23と直接接触させるための複数の当接部分134が設けられている。各当接部分134は、矩形形状を有する板ばねのように形成されている。各当接部分134は、レセプタクル10のシールド13の内側表面から内側に向かって(レセプタクルハウジング11の外側凹部110の内側の方へ)斜め方向に突出しており、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにプラグ20のシールド23の外装部230と当接するようになっている。当接部分134は、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにプラグ20のシールド23の外装部230と当接することによって弾性変形されるように構成されている。このような当接部分134は、シールド23の金属板材にコ字形状の切り線を入れ、その切れ線によって取り囲まれた部分を内側へ折ることによって形成される。当接部分134の折れ線は、先端部131に近い方の側に設けられ、当接部分134は、第1基板2に近い方の側に開口されている。複数の当接部分134は、レセプタクル10のシールド13の内装部130全周に間を置いて位置付けられている。複数の当接部分134の間の間隔は、シールド13,23によって遮蔽しようとするEMIノイズの周波数帯に応じて決定することができる。
【0046】
本願の第1実施形態に係る基板対基板コネクタ1とは対照的に、第2実施形態に係る基板対基板コネクタ1Aでは、板ばね状の当接部分がプラグ20のシールド23の外装部230に設けられていない。
【0047】
第3実施形態
図8図10は、本願の第3実施形態に係る基板対基板コネクタ1Bを示している。基板対基板コネクタ1Bは、上述した第1実施形態の基板対基板コネクタ1及び第2実施形態の基板対基板コネクタ1Aと共通する特徴を有しており、これらの共通する特徴についての詳細な説明は省略する。第1実施形態の基板対基板コネクタ1及び第2実施形態の基板対基板コネクタ1Aと比較して相違する基板対基板コネクタ1Bの特徴についての詳細な説明は、下記のとおりである。
【0048】
図8に示されているように、プラグ20のシールド23の外装部230とレセプタクル10のシールド13の内装部130との両方に、プラグ20のシールド23及びレセプタクル10のシールド13同士を相互に直接接触させるための複数の当接部分232,134が設けられている。
【0049】
具体的には、図8及び図9に示されているように、プラグ20のシールド23の外装部230に設けられた第1当接部分232の各々は、矩形形状を有する板ばねのように形成されている。各第1当接部分232は、プラグ20のシールド23の外側表面から外側に向かって斜め方向に突出しており、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにレセプタクル10のシールド13の内装部130と当接するようになっている。第1当接部分232は、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにレセプタクル10のシールド13の内装部130と当接することによって弾性変形されるように構成されている。このような第1当接部分232は、シールド13の金属板材にコ字形状の切り線を入れ、その切れ線によって取り囲まれた部分を外側へ折ることによって形成される。第1当接部分232の折れ線は、先端部231に近い方の側に設けられ、第1当接部分232は、第2基板3に近い方の側に開口されている。
【0050】
図8図10に示されているように、レセプタクル10のシールド13の内装部130に設けられた第2当接部分134の各々は、矩形形状を有する板ばねのように形成されている。各第2当接部分134は、レセプタクル10のシールド13の内側表面から内側に向かって(レセプタクルハウジング11の外側凹部110の内側の方へ)斜め方向に突出しており、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにプラグ20のシールド23の外装部230と当接するようになっている。第2当接部分134は、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときにプラグ20のシールド23の外装部230と当接することによって弾性変形されるように構成されている。このような第2当接部分134は、シールド23の金属板材にコ字形状の切り線を入れ、その切れ線によって取り囲まれた部分を内側へ折ることによって形成される。第2当接部分134の折れ線は、先端部131に近い方の側に設けられ、第2当接部分134は、第1基板2に近い方の側に開口されている。
【0051】
図8図10を参照すると、第1当接部分232および第2当接部分134は、プラグ20のシールド23の外装部230全周に、及び、レセプタクル10のシールド13の内装部130全周に間を置いて位置付けられている。特に、複数の第1当接部分232及び複数の第2当接部分134は、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときに第1当接部分232と第2当接部分134とがシールド23の外装部230及びシールド13の内装部130の周方向に交互に配置されるように位置付けられている。つまり、基板対基板コネクタ1Bは、プラグ20がレセプタクル10の中に挿入されたときに第1当接部分232と第2当接部分134とが周方向に互いにずれて互いに重なることなく離間するような、第1当接部分232と第2当接部分134との間の相対的な位置関係を示す。隣接する第1当接部分232および第2当接部分134の間の間隔は、シールド13,23によって遮蔽しようとするEMIノイズの周波数帯に応じて決定することができる。
【0052】
第4実施形態
図11は、本願の第4実施形態に係る単列型の基板対基板コネクタ1Cを示している。基板対基板コネクタ1Cは、上述した第1実施形態の基板対基板コネクタ1と共通する特徴を有しており、これらの共通する特徴についての詳細な説明は省略する。第1実施形態の基板対基板コネクタ1と比較して相違する基板対基板コネクタ1Cの特徴についての詳細な説明は、下記のとおりである。
【0053】
図1図3に示された矩形ループ形状の外側凹部110及び矩形形状の内側凹部111に代えて、図11に示されているように、矩形ループ形状の凹部110’がレセプタクルハウジング11上に形成されている。一方、プラグハウジング21は、レセプタクルハウジング11の凹部110’の中に挿入可能である周囲部分211’を備える。
【0054】
より詳細には、レセプタクルハウジング11は、凹部110’を画定する底部分112、外周部分113、及び内側壁部分114’を備える。内側壁部分114’は、略矩形形状を有しており、略角筒形状の空間を有する外周部分113の内側に位置する。つまり、外周部分113及び内側壁部分114’は、それらの間に矩形ループ形状の凹部110’を画定する。内側壁部分114’は、底部分112の中央部位から、第1基板2から遠ざかる方向に突出している。内側壁部分114’は、外周部分113と同じ向きに配置される。内側壁部分114’は、実質的に外周部分113と同じ高さを有している。レセプタクルハウジング11の底部分112には、垂直に貫通して形成された1つの開口部115が設けられている。開口部115は、外周部分113の一方の長辺壁113aと内側壁部分114’との間に位置している。レセプタクル10の複数の信号接触子12は、レセプタクルハウジング11の内側壁部分114’内に設置されている。レセプタクル10の複数の信号接触子12は、基板対基板コネクタ1Cの長手方向に等間隔に配置されて一列に形成されている。信号接触子12の接触部120は、レセプタクルハウジング11の内側壁部分114’の一方の対向する側方表面、先端表面、及び、もう一方の対向する側方表面に沿って延在している。
【0055】
周囲部分211’の対向する長辺壁211a及び対向する短辺壁211bは、それらの間に矩形形状の凹部213’を画定する。プラグ20の複数の信号接触子22は、周囲部分211’の対向する長辺壁211aのうちの一方に設置されている。プラグ20の複数の信号接触子22は、基板対基板コネクタ1Cの長手方向に等間隔に配置されて一列に形成されている。信号接触子22の接触部220は、プラグハウジング21の凹部213’の中に位置付けられている。
【0056】
基板対基板コネクタ1、基板対基板コネクタ1A、基板対基板コネクタ1B、又は基板対基板コネクタ1Cによって、コネクタ1、コネクタ1A、コネクタ1B、又はコネクタ1Cにおける遮蔽性能を向上させることができる。その結果、レセプタクル10及びプラグ20の信号接触子12,22によって発生したEMIノイズの漏洩をなくしたり減らしたりすることができ、例えばスマートフォンなどの電子機器内のEMIノイズとRF信号との間の干渉をなくしたり減らしたりすることができる。したがって、コネクタ1、コネクタ1A、コネクタ1B、又はコネクタ1Cが内蔵された機器は、アンテナ性能を向上させることができ、高速信号伝送対応にすることができる。
【0057】
レセプタクル及びプラグの複数の信号接触子の列の数は、適宜変更可能であり、複数の信号接触子が3列以上に形成されてもよい。また、レセプタクルのシールド及びプラグのシールドは、コネクタの全周において互いに連続的に直接接触してもよい。
【0058】
本発明の好適な実施形態を例示目的で開示したが、当業者であれば、添付された特許請求の範囲および本発明の思想から逸脱することなく、さまざまな変形、追加及び代用が可能であることは理解されるであろう。
【符号の説明】
【0059】
1 基板対基板コネクタ
2 プリント基板
3 プリント基板
10 レセプタクル
12 信号接触子
13 電磁干渉シールド
20 プラグ
22 信号接触子
23 電磁干渉シールド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11