特許第6840867号(P6840867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840867
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
   G09F9/00 302
   G09F9/00 313
   G09F9/00 366A
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-559609(P2019-559609)
(86)(22)【出願日】2018年12月7日
(86)【国際出願番号】JP2018045180
(87)【国際公開番号】WO2019117050
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2020年3月19日
(31)【優先権主張番号】特願2017-237067(P2017-237067)
(32)【優先日】2017年12月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 一
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 安
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0201487(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0062760(US,A1)
【文献】 国際公開第2017/159503(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/188308(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/142078(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−46
G02F 1/13−1/1335
1/13363−1/141
H01L 27/32
29/786
51/50
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを有する第1サブモジュールと、
前記表示パネルの上に位置するカバー部材を有する第2サブモジュールと、
前記第1サブモジュールと前記第2サブモジュールとの間に位置する応力結合部及び第1応力分離層と、を備え、
前記第1サブモジュール及び前記第2サブモジュールは、それぞれ単一の中立面を有
前記第1サブモジュール及び前記第2サブモジュールは、折り曲げ軸に沿って折り曲げられ、
前記応力結合部は、前記第1応力分離層と同一層で前記折り曲げ軸に沿って配置されている、表示装置。
【請求項2】
さらに、前記第1サブモジュールと前記第2サブモジュールとの間に位置し単一の中立面を有する第3サブモジュールと、
前記第2サブモジュールと前記第3サブモジュールとの間に位置する第2応力分離層と、を有し、
前記第1応力分離層は、前記第1サブモジュールと前記第3サブモジュールとの間に位置し、
前記第3サブモジュールは、タッチパネルもしくは偏光板の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
さらに、前記第1サブモジュールと前記第3サブモジュールとの間に位置し単一の中立面を有する第4サブモジュールと、
前記第3サブモジュールと前記第4サブモジュールとの間に位置する第3応力分離層と、を有し、
前記第1応力分離層は、前記第1サブモジュールと前記第4サブモジュールとの間に位置し、
前記第3サブモジュールは前記偏光板を含み、前記第4サブモジュールは前記タッチパネルを含む、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
さらに、前記第1サブモジュールの下に位置する第5サブモジュールと、
前記第1サブモジュールと前記第5サブモジュールとの間に位置する第4応力分離層と、を有し、
前記第5サブモジュールは、放熱シート、フォースフィードバックシート、照明シート、緩衝シート、センサシート、筐体のうち、少なくとも1つを含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1応力分離層は、非線形弾性体である第1材料、又は、粘性流体である第2材料の少なくとも一方を含む、請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1材料の弾性率は、100KPa以下である、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1応力分離層は、透明である、請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1サブモジュール及び前記第2サブモジュールを収納する筐体と、
前記第1サブモジュールと前記第2サブモジュールとの間、及び、前記第1サブモジュールと前記筐体との間に位置する第5応力分離層と、を備える請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
第1シート部材2枚分の厚さを有する第2シート部材が第1たわみ量を得るための第1荷重をPCとし、
2枚の前記第1シート部材が空気層を介して重ね合わされた第1積層体が前記第1たわみ量を得るための第2荷重をPDとし、
2枚の前記第1シート部材が前記第1応力分離層を介して重ね合わされた第2積層体が前記第1たわみ量を得るための第3荷重をPとすると、
前記第1応力分離層のカップリング係数C.C.は以下の式で表され、

C.C.=(P−PD)/(PC−PD)

前記カップリング係数は、0以上0.12以下である、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、折り曲げたり、伸ばしたりすることができるディスプレイや照明などのフレキシブルモジュールが開発されている。フレキシブルモジュールは、例えば、柔軟性を有するプラスチックフィルム等に発光素子や電極等が配置されることによって形成されている。このようなフレキシブルモジュールを折り曲げる際に、発生する曲げ応力によって部材の破損や部材間の剥離が生じるのを防止するために、部材間に応力緩和層を形成する技術が知られている。一方で、応力緩和層に復元力が働かない場合には、折り曲げた状態から平坦な状態に戻した際に、部材の平面方向における相対的な位置関係が元の状態に戻らないという問題が生じる。その場合、例えば、タッチパネルとディスプレイとの座標がずれて、ユーザーが意図する位置とは別の位置を検出することになる等の不具合が生じる。また、タッチパネルとディスプレイの組合せだけでなく、平坦な状態に戻した際の部材間の意図しないずれは、製品信頼性を含む性能の劣化につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−113506号公報
【特許文献2】特開2007−86771号公報
【特許文献3】特開2010−181777号公報
【特許文献4】特開2016−126130号公報
【特許文献5】特開2015−148799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、性能の劣化を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、表示パネルを有する第1サブモジュールと、前記表示パネルの上に位置するカバー部材を有する第2サブモジュールと、前記第1サブモジュールと前記第2サブモジュールとの間に位置する第1応力分離層と、を備え、前記第1サブモジュール及び前記第2サブモジュールは、それぞれ単一の中立面を有する、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールの構成を示す断面図である。
図2図2は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールの他の構成を示す断面図である。
図3図3は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールの他の構成を示す断面図である。
図4図4は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールの他の構成を示す断面図である。
図5図5は、図2に示したフレキシブルモジュールの実施例を示している。
図6図6は、図5に示した表示装置を曲げたときの、面Iから面I’の間の領域の状態を示す断面図である。
図7図7は、図5に示した表示装置を曲げたときの、面Iから面I’の間の領域の状態の他の例を示す断面図である。
図8図8は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールの実施例を示す断面図である。
図9図9は、図8に示した表示装置を曲げたときの、面Iから面I’の間の領域の状態を示す断面図である。
図10図10は、応力分離層の構成を示す平面図である。
図11図11は、応力分離層の構成を示す平面図である。
図12図12は、ドライバの位置を示す図である。
図13図13は、フレキシブルモジュールの他の構成を示す断面図である。
図14図14は、図13に示した第1応力分離層の構成を示す平面図である。
図15図15は、図13に示した第1応力分離層の構成を示す平面図である。
図16図16は、ドライバの位置を示す図である。
図17図17は、フレキシブルモジュールの他の構成を示す断面図である。
図18図18は、図17に示した第1応力分離層の構成を示す平面図である。
図19図19は、応力分離層に用いられる粘性流体の性質を示す図である。
図20図20は、図5に示した第1サブモジュールの詳細な構成を示す断面図である。
図21図21は、第1サブモジュール、第2サブモジュール、及び、筐体の位置関係を示す平面図である。
図22図22は、1枚の第1シート部材SH1に係るたわみ量と荷重の関係を示す図である。
図23図23は、重なった2枚の第1シート部材SH1に係るたわみ量と荷重の関係を示す図である。
図24図24は、応力分離層のカップリング係数の実測評価を示す図である。
図25図25は、応力分離層のカップリング係数と弾性率との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
まず、本実施形態におけるフレキシブルモジュールFMの構成について説明する。
なお、本実施形態において示されるフレキシブルモジュールFMは、表示装置、センサ装置、フォースフィードバック装置、又は、これらを組み合わせて形成された装置などに適用することができる。
【0009】
図1は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールFMの構成を示す断面図である。図示した例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していても良い。
【0010】
本実施形態においては、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下と定義する。また、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れていてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。
【0011】
フレキシブルモジュールFMは、第1サブモジュールSM1と、第2サブモジュールSM2と、第1サブモジュールSM1と第2サブモジュールSM2との間に位置する第1応力分離層DCP1と、を備えている。
【0012】
本実施形態において、応力分離層(Decoupling Layer)とは、フレキシブルモジュールFMが曲げられた際に、複数のサブモジュールに生じる応力が互いに影響しないように、サブモジュール同士を滑らせることで、複数のサブモジュール間において応力を分離する層に相当する。すなわち、図1においては、第1応力分離層DCP1が第1サブモジュールSM1と第2サブモジュールSM2との間に配置されているため、第1サブモジュールSM1及び第2サブモジュールSM2は、それぞれ単一の中立面を有する。第1サブモジュールSM1は、単一の中立面NP1を有し、第2サブモジュールSM2は、単一の中立面NP2を有している。ここで、中立面とは、フレキシブルモジュールFMを曲げた際に、発生する引張応力及び圧縮応力がいずれも零となる面に相当する。
【0013】
なお、第1サブモジュールSM1及び第2サブモジュールSM2は、それぞれ複数の部材から構成されていても良い。1つのサブモジュールが複数の部材から構成されている場合には、複数の部材は後述する応力結合層(Coupling Layer)によって互いに固定されており、部材同士は一体的に変形する。そのため、1つのサブモジュールは、単一の中立面を有する。
【0014】
また、後述するが、フレキシブルモジュールFMが表示装置である場合、表示装置は、表示パネルと、表示パネルの上に位置するカバー部材と、を備えている。例えば、第1サブモジュールSM1は表示パネルを含み、第2サブモジュールSM2はカバー部材を含んでいる。
【0015】
図2は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールFMの他の構成を示す断面図である。図2は、図1に示した構成と比較して、フレキシブルモジュールFMが第3サブモジュールSM3と、第2応力分離層DCP2と、を備えている点で相違している。
【0016】
第3サブモジュールSM3は、第1サブモジュールSM1と第2サブモジュールSM2との間に位置している。第1応力分離層DCP1は、第1サブモジュールSM1と第3サブモジュールSM3との間に位置している。第2応力分離層DCP2は、第2サブモジュールSM2と第3サブモジュールSM3との間に位置している。第3サブモジュールSM3は、単一の中立面NP3を有している。なお、第3サブモジュールSM3は、複数の部材から構成されていても良く、その場合には、複数の部材は後述する応力結合層によって互いに固定されている。
【0017】
また、後述するが、フレキシブルモジュールFMが表示装置である場合、表示装置は表示パネルとカバー部材との間に、タッチパネル及び偏光板を備えている。例えば、第3サブモジュールSM3は、タッチパネルもしくは偏光板の少なくとも1つを含んでいる。第3サブモジュールSM3がタッチパネルを含んでいる場合、偏光板は、第1サブモジュールSM1もしくは第2サブモジュールSM2の何れか一方に含まれていても良い。また、第3サブモジュールSM3が偏光板を含んでいる場合、タッチパネルは、第1サブモジュールSM1もしくは第2サブモジュールSM2の何れか一方に含まれていても良い。
【0018】
図3は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールFMの他の構成を示す断面図である。図3は、図2に示した構成と比較して、フレキシブルモジュールFMが第4サブモジュールSM4と、第3応力分離層DCP3と、を備えている点で相違している。
【0019】
第4サブモジュールSM4は、第1サブモジュールSM1と第3サブモジュールSM3との間に位置している。第1応力分離層DCP1は、第1サブモジュールSM1と第4サブモジュールSM4との間に位置している。第2応力分離層DCP2は、第2サブモジュールSM2と第3サブモジュールSM3との間に位置している。第3応力分離層DCP3は、第3サブモジュールSM3と第4サブモジュールSM4との間に位置している。第4サブモジュールSM4は、単一の中立面NP4を有している。なお、第4サブモジュールSM4は、複数の部材から構成されていても良く、その場合には、複数の部材は後述する応力結合層によって互いに固定されている。
【0020】
また、フレキシブルモジュールFMが表示装置である場合、例えば、第3サブモジュールSM3は偏光板を含み、第4サブモジュールSM4はタッチパネルを含んでいる。
【0021】
図4は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールFMの他の構成を示す断面図である。図4は、図3に示した構成と比較して、フレキシブルモジュールFMが第5サブモジュールSM5と、第4応力分離層DCP4と、を備えている点で相違している。
【0022】
第5サブモジュールSM5は、第1サブモジュールSM1の下に位置している。第4応力分離層DCP4は、第1サブモジュールSM1と第5サブモジュールSM5との間に位置している。第5サブモジュールSM5は、単一の中立面NP5を有している。なお、第5サブモジュールSM5は、複数の部材から構成されていても良く、その場合には、複数の部材は後述する応力結合層によって互いに固定されている。
【0023】
また、後述するが、フレキシブルモジュールFMが表示装置である場合、表示装置は、例えば、放熱シート、フォースフィードバックシート、照明装置、緩衝シート、センサシート、筐体などを備えていても良い。例えば、第5サブモジュールSM5は、放熱シート、フォースフィードバックシート、照明装置、緩衝シート、センサシート、筐体のうち、少なくとも1つを含んでいる。
【0024】
次に、フレキシブルモジュールFMの一例として表示装置DSPを開示する。この表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータ、ゲーム機器等の種々の装置に用いることができる。本実施形態にて開示する主要な構成は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の自発光型の表示装置、電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を応用した表示装置、或いはエレクトロクロミズムを応用した表示装置などに適用可能である。
【0025】
図5は、図2に示したフレキシブルモジュールFMの実施例を示している。すなわち、表示装置DSPは、第1応力分離層DCP1及び第2応力分離層DCP2によって第1サブモジュールSM1、第2サブモジュールSM2、第3サブモジュールSM3に分割されている。
【0026】
表示装置DSPは、支持基板SP、表示パネルPNL、配線基板FPC1、配線基板FPC2、フィルムFL、タッチパネルTP、偏光板PL、カバー部材CM、第1応力結合層CP1、第2応力結合層CP2、第3応力結合層CP3、第1応力分離層DCP1、第2応力分離層DCP2などを備えている。本実施形態において、応力結合層とは、フレキシブルモジュールFMが曲げられた際に、1つのサブモジュールを構成する複数の部材が互いに一体的に変形するように、1つのサブモジュールにおいて応力を結合する層に相当する。
【0027】
第1サブモジュールSM1は、図示した例では、支持基板SPと、第1応力結合層CP1と、表示パネルPNLと、第2応力結合層CP2と、フィルムFLと、によって構成されている。支持基板SPは、第1応力結合層CP1によって、表示パネルPNLの下に接着されている。フィルムFLは、第2応力結合層CP2によって、表示パネルPNLの上に接着されている。すなわち、第1応力結合層CP1は、支持基板SPと表示パネルPNLとの間に位置している。また、第2応力結合層CP2は、表示パネルPNLとフィルムFLとの間に位置している。
【0028】
表示パネルPNLは、フィルムFLと重なる領域よりも外側に延出した実装部MTを有している。図示した例では、配線基板FPC1は、実装部MTの上に実装されている。表示パネルPNL及び配線基板FPC1は、互いに電気的に接続されている。配線基板FPC2は、配線基板FPC1の下に配置され、配線基板FPC1と電気的に接続されている。配線基板FPC2は、配線基板FPC1の表示パネルPNLと重なっている側とは反対側に重なっている。なお、配線基板FPC2は、配線基板FPC1の上に配置されていてもよい。また、配線基板FPC1及びFPC2は、表示装置DSPの折り曲げられる位置には配置されないため、表示装置DSPに生じる応力に関与せず、サブモジュールには含まれない。
【0029】
第3サブモジュールSM3は、図示した例では、タッチパネルTPと、第3応力結合層CP3と、偏光板PLと、によって構成されている。偏光板PLは、タッチパネルTPより上に位置している。偏光板PL及びタッチパネルTPは、第3応力結合層CP3によって互いに接着されている。すなわち、第3応力結合層CP3は、偏光板PLとタッチパネルTPとの間に位置している。
【0030】
第2サブモジュールSM2は、図示した例では、カバー部材CMによって構成されている。カバー部材CMは、例えば、プラスチックのフィルムである。
【0031】
第1応力分離層DCP1は、図示した例では、フィルムFLとタッチパネルTPとの間に配置され、両者を互いに接着している。第2応力分離層DCP2は、図示した例では、偏光板PLとカバー部材CMとの間に配置され、両者を互いに接着している。また、第1応力分離層DCP1及び第2応力分離層DCP2は、後で詳述するが、非線形弾性体、あるいは非線形弾性体と粘性流体の両方を含む材料によって形成されている。第1応力分離層DCP1及び第2応力分離層DCP2は、同一の材料で形成されていても良いし、異なる材料で形成されていても良い。また、1つの応力分離層は、1つの材料を用いて形成されていても良いし、異なる2つ以上の材料を用いて形成されていても良い。図5に示した例では、第1応力分離層DCP1及び第2応力分離層DCP2は、透明である。照明装置や発光素子のように表示に寄与する発光部材よりも表示面側に位置する応力分離層は、透明な材料で形成される。ここで、表示面側とは、カバー部材CMの上面側に相当する。
【0032】
応力結合層CPは、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂などを含んだ材料を用いて形成されている。応力結合層CPは、例えば、室温硬化、熱硬化、UV硬化によって形成される。応力結合層CPが熱硬化によって形成される場合、用いられる樹脂は、100℃以下で硬化する樹脂であることが望ましい。応力分離層DCPと同様に、発光部材よりも表示面側に位置する応力結合層CPは、透明な材料で形成される。また、応力結合層CPは、例えば、大気圧ラミネーションや真空ラミネーションなどのラミネーションを用いて形成される。また、応力結合層CPの厚さは、10μm〜250μm、望ましくは、25μm〜100μmである。
【0033】
図6は、図5に示した表示装置DSPを曲げたときの、面Iから面I’の間の領域の状態を示す断面図である。表示装置DSPは、面I及び面I’において同様の構成を有しているため、ここでは面I側に着目して説明する。
【0034】
ここで、支持基板SPの面SPS、表示パネルPNLの面PNLS、フィルムFLの面FLS、タッチパネルTPの面TPS、偏光板PLの面PLS、カバー部材CMの面CMSは、図5において、面I上に位置していた面に相当する。
【0035】
面SPS、面PNLS、面FLSは、同一の面SF1上に位置している。面SPS、面PNLS、面FLSは、第1サブモジュールSM1の面SME1を形成している。面TPS及び面PLSは、同一の面SF2上に位置している。面TPS及び面PLSは、第2サブモジュールSM2の面SME2を形成している。面CMSは、面SF3上に位置している。面CMSは、第3サブモジュールSM3の面SME3を形成している。各サブモジュール間に応力分離層DCPが配置されているため、表示装置DSPを折り曲げた際に、面SME1、SME2、SME3は、同一平面上に位置しない。図示した例では、面SME1は面SME2より外側に位置し、面SME2は面SME3より外側に位置している。
【0036】
表示装置DSPは、複数の中立面NP1、NP2、NP3を有している。ここで、部材に係る応力σは、弾性率E、歪みεとすると、σ=E×εで表される。すなわち、応力σは、歪みεに比例している。また、歪みεは、中立面からの距離Y、中立面における曲率半径Rとすると、ε=Y/Rで表される。つまり、各部材の中立面からの距離Yを小さくすることによって歪みεを小さくすることができる。歪みεを小さくすることによって、応力σを小さくすることができる。なお、中立面においては、歪みεは0である。そのため、後述するような無機絶縁膜などの破断強度が小さい部材を中立面上に位置させることが望ましい。
【0037】
図示した例では、第1サブモジュールSM1において、引張応力はフィルムFLの上面で最大となり、圧縮応力は支持基板SPの下面で最大となる。第1サブモジュールSM1において、中立面NP1から支持基板SPの下面までの距離を距離Y1とし、中立面NP1からフィルムFLの上面までの距離を距離Y2とする。図示した例では、第3サブモジュールSM3において、引張応力は偏光板PLの上面で最大となり、圧縮応力はタッチパネルTPの下面で最大となる。第3サブモジュールSM3において、中立面NP3からタッチパネルTPの下面までの距離を距離Y3とし、中立面NP3から偏光板PLの上面までの距離を距離Y4とする。図示した例では、第2サブモジュールSM2において、引張応力はカバー部材CMの上面で最大となり、圧縮応力はカバー部材CMの下面で最大となる。第2サブモジュールSM2において、中立面NP2からカバー部材CMの下面までの距離を距離Y5とし、中立面NP2からカバー部材CMの上面までの距離を距離Y6とする。
【0038】
また、モジュールの剛性は、弾性率E、モジュールの厚さTとすると、a×E×T(ここで、aは定数)で表される。すなわち、モジュールの剛性は、厚さTの三乗に比例するため、厚さTが小さいほど剛性が小さくなる。図6に示される表示装置DSPの剛性は、第1応力分離層DCP1及び第2応力分離層DCP2によって、第1乃至第3サブモジュールがそれぞれ分離されるため、第1乃至第3サブモジュールのそれぞれの剛性の和である。弾性率E、厚さTのものが(n−1)個の応力分離層によってn個のサブモジュールに分割された場合、各サブモジュールともに弾性率E、厚さT/nとすると、分割前はETである剛性が、応力分離層によって分割された後はE(T/n)3×n=Et3/n2となる。すなわち1/n2に剛性を小さく抑えることができる。これにより、折り曲げるために必要な力を小さくすることができ、操作性が向上する。
【0039】
次に、図6に示した表示装置DSPの比較例について説明する。
【0040】
図7は、図5に示した表示装置DSPを曲げたときの、面Iから面I’の間の領域の状態の比較例を示す断面図である。図7は、図6に示した構成と比較して、表示装置DSPが第1応力分離層DCP1及び第2応力分離層DCP2の代わりに、第4応力結合層CP4及び第5応力結合層CP5を備えている点で相違している。
第4応力結合層CP4は、フィルムFLとタッチパネルTPとの間に位置し、両者を接着している。第5応力結合層CP5は、偏光板PLとカバー部材CMとの間に位置し、両者を接着している。
【0041】
面SPS、面PNLS、面FLS、面TPS、面PLS、面CMSは、同一の面SF4上に位置している。すなわち、表示装置DSPを構成する部材は、第1乃至第5応力結合層によって一体化され、互いに固定されているため、表示装置DSPはサブモジュールに分割されていない。したがって、比較例の表示装置DSPは、単一の中立面NP6を有している。
【0042】
図示した例では、表示装置DSPにおいて、引張応力はカバー部材CMの上面で最大となり、圧縮応力は支持基板SPの下面で最大となる。表示装置DSPにおいて、中立面NP6から支持基板SPの下面までの距離を距離Y7とし、中立面NP6からカバー部材CMの上面までの距離を距離Y8とする。
【0043】
ここで、図6に示した距離Y1、Y3、Y5は、それぞれ、図7に示す距離Y7より小さい。歪みεは、ε=Y/Rで表されるため、図6に示した各サブモジュールの最大圧縮応力は、図7の最大圧縮応力よりも小さい。また、図6に示した距離Y2、Y4、Y6は、図7に示す距離Y8より小さい。そのため、図6に示した各サブモジュールの最大引張応力は、図7の最大引張応力よりも小さい。つまり、図6に示した本実施形態の構成では、図7に示した比較例の構成よりも、歪みが小さくなる。特に、表示パネルPNLに着目した場合、図6に示した例では、表示パネルPNL内に中立面NP1が位置するため、表示パネルPNLが受ける歪みが小さい。一方で、図7に示した例では、中立面NP6が表示パネルPNLから離れ、タッチパネルTP内に位置しているため、表示パネルPNLが受ける歪みが大きくなる。なお、図6の各サブモジュールの曲率半径と図7の表示装置DSPの曲率半径は、略同等であるものとする。
【0044】
また、図7に示した表示装置DSPの厚さY7+Y8は、図6に示した第1乃至第3サブモジュールの厚さの総和Y1+Y2+Y3+Y4+Y5+Y6と略同等である。図6に示した表示装置DSPは、第1乃至第3サブモジュールに分割されているため、前述の通り、その剛性は、図7に示した表示装置DSPの剛性より小さくなる。
【0045】
図7に示したようなフレキシブルモジュールFMでは、構成する部材の弾性率や厚さを考慮して単一の中立面が一番弱い部材に位置するように設計する必要がある。中立面が1つであるため、新たに部材を追加すると中立面がずれ、設計を再度行わなければならず設計自由度を確保することは困難である。また、中立面NP6から離れて位置する部材ほど大きな歪みが生じるため、塑性変形を生じて折れ目がついたり白化が生じたりする恐れがある。さらに、剛性が高くなり、曲げるための操作性が悪化する。
【0046】
本実施形態によれば、フレキシブルモジュールFMは、応力分離層DCPと、複数のサブモジュールと、を備えている。すなわち、フレキシブルモジュールFMは、複数の中立面を有している。そのため、フレキシブルモジュールFMの中立面が1つである場合と比較して、フレキシブルモジュールFMの全体に係る歪みを小さくすることができる。よって、繰り返し曲げに対しても部材の塑性変形や損傷などの性能劣化が生じるのを抑制することができる。また、サブモジュールごとに中立面を制御することができるため、それぞれのサブモジュールにおいて、特に破断強度が小さい部材に中立面を位置させることで、部材の損傷を抑制することができる。また、歪みを小さくすることができるため、曲率半径も小さくすることができる。さらに、フレキシブルモジュールFMを折り曲げた際に、図6に示したように、各サブモジュールの面SME1、SME2、SME3が滑る(ずれる)ため、剛性を小さくすることができ、円滑な折り曲げ操作が可能である。
【0047】
図8は、本実施形態に係るフレキシブルモジュールFMの実施例を示す断面図である。図8は、図5に示した構成と比較して、フレキシブルモジュールFMが機能シートFSと、第4応力分離層DCP4と、を備えている点で相違している。
【0048】
機能シートFSは、例えば、モジュールからの熱を拡散する放熱シート、フォースフィードバックシート、照明装置、外力からモジュールを保護するための緩衝シート、ペン入力方式が用いられるモジュールに配置される電磁誘導センサシートのうち少なくとも1つを含んでいる。本実施形態においては、新たにサブモジュールを追加したとしても、既存のサブモジュールの中立面が変化しないため、設計自由度を向上することができる。例えば、外付けタッチパネル、偏光板、機能シート等を、応力分離層を介して既存の設計に後から追加しても良いし、応力分離層を介して配置された機能シート等を取り除いても良い。
【0049】
図9は、図8に示した表示装置DSPを曲げたときの、面Iから面I’の間の領域の状態を示す断面図である。ここで、機能シートFSの面FSSは、図8において、面I上に位置していた面に相当する。
【0050】
面FFSは、第5サブモジュールSM5の面SME5を形成している。図示した例では、面SME5は面SME1より外側に位置している。図示したように、第5サブモジュールSM5を後から追加した場合にも、他のサブモジュールの歪みの増加を抑制することができる。また、機能シートFSは、第4応力分離層DCP4によって支持基板SPに接着されているため、機能シートFSが応力結合層によって支持基板SPに接着される場合と比べて、剛性の上昇を抑制することができる。なお、表示装置DSPは、フォースフィードバック装置を備えたサブモジュールを有していても良い。
【0051】
図10は、応力分離層DCPの構成を示す平面図である。以後、示される応力分離層DCPの構成は、上述した第1乃至第4応力分離層の何れの構成としても適用可能である。
【0052】
応力分離層DCPは、非線形弾性体である第1材料D1、及び、粘性流体である第2材料D2の少なくとも一方を含んで構成されている。なお、第1材料D1及び第2材料D2の両方を含んで構成されていても良い。
【0053】
第1材料D1の弾性率は、100KPa以下であり、望ましくは10KPa以下である。ここで、弾性率とは、特に、せん断弾性率、引張貯蔵弾性率、せん断貯蔵弾性率を指している。第1材料D1は、その上下に配置されるサブモジュールSMに対する密着性が高く、かつ、大きな変形が可能である必要がある。例えば、変形量を引張の伸び率で表すと、150%以上であり、望ましくは200%以上である。応力分離層DCPに非線形弾性体である第1材料D1を用いることによって、フレキシブルモジュールFMに、曲がる前の状態へ戻るための復元性を付与することができる。応力分離層の厚さは、10μm〜250μmであり、望ましくは25μm〜100μmである。
【0054】
第1材料D1は、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム、合成ゴム等を含んだ材料を用いて形成された弾性接着剤である。また、第1材料D1は、フレキシブルモジュールFMの動作温度範囲でゴム状態を示す。なお、ここでの動作温度範囲とは、例えば、0〜50℃である。第1材料D1は、例えば、室温硬化、熱硬化、UV硬化によって形成される。第1材料D1が熱硬化によって形成される場合、用いられる樹脂は、100℃以下で硬化する樹脂であることが望ましい。第1材料D1は、例えば、大気圧ラミネーションや真空ラミネーションなどのラミネーション、ジェットディスペンサやインクジェットなどによる塗布、感光樹脂の場合はフォトリソグラフィーによって形成される。
【0055】
第2材料D2の粘度は、100cP以上であり、望ましくは1000cP以上である。応力分離層DCPに第2材料D2を用いることによって、フレキシブルモジュールFMを曲げる操作の柔軟性を付与することができる。
【0056】
第2材料D2は、高分子、高分子混合物、高分子ゲルなどを含んだ材料を用いて形成される。また、第2材料D2は、空気であっても良い。なお、第2材料D2に用いられる粘性流体としては、後述するようなニュートン流体、非ニュートン流体である。
【0057】
応力分離層DCPに用いられる材料の比率やその構成は、フレキシブルモジュールFMを曲げた後の各部材の位置の復元性や、曲げる操作の柔軟性を重視して選択される。例えば、各部材の位置の復元性を重視している場合には、応力分離層DCPに用いられる材料は、非線形弾性体である。また、位置の復元性よりも操作の柔軟性を重視する場合には、粘性流体が用いられる。応力分離層DCPは、層全体の弾性率を調整するために、弾性率が異なる複数の第1材料D1を用いたり、第1材料D1と第2材料D2の両方を用いたりして形成されていても良い。応力分離層DCPに第1材料D1及び第2材料D2の両方を用いることによって、非線形弾性体で位置の復元性を確保しつつ、粘性流体で操作感を制御することができる。なお、線形弾性体である異なる複数の材料が用いられても良いし、粘性流体である異なる複数の材料が用いられても良い。
【0058】
図10において、第1材料D1は右上斜線で示されている。図10(a)に示した例では、第1材料D1は、応力分離層DCP全体に配置されている。図10(b)に示した例では、第1材料D1は、折り曲げ軸BAより左側の領域に配置され、第2材料D2は、応力分離層DCPのうち第1材料D1が配置されていない領域に配置されている。なお、フレキシブルモジュールFMは、折り曲げ軸BAを軸として折り曲げられるものとする。
【0059】
図11は、応力分離層DCPの構成を示す平面図である。図11(a)に示した例では、3つの第1材料D1は、線状に形成され、第2方向Yに沿って延出している。図11(b)に示した例では、第1材料D1は、点状に配置されている。図11(a)及び図11(b)において、第2材料D2は、応力分離層DCPのうち第1材料D1が配置されていない領域に配置されている。
【0060】
図12は、ドライバICの位置を示す図である。
図12(a)に示した例では、図11(a)に示した構成と同様に、3つの第1材料D1は、線状に形成され、第2方向Yに沿って延出している。ドライバICは、フレキシブルモジュールFMの第1方向Xに沿った辺に実装されている。すなわち、ドライバICは、第1材料D1の延出方向と直交する方向に延出したフレキシブルモジュールFMの辺に沿って実装されている。図12(b)に示した例では、ドライバICは、配線基板FPC1に実装されている。また、配線基板FPC1及びFPC2が第1サブモジュールSM1の下側にくるように、第1サブモジュールSM1が折り曲げられている。
【0061】
図13は、フレキシブルモジュールFMの他の構成を示す断面図である。図13は、図1に示した構成と比較して、フレキシブルモジュールFMが応力結合部Cを備えている点で相違している。
応力結合部Cは、第1サブモジュールSM1と第2サブモジュールSM2との間に位置している。すなわち、応力結合部Cは、第1応力分離層DCP1と同層に配置されている。応力結合部Cは、上記した応力結合層と同様の材料で、同様の製造方法によって形成される。
【0062】
図14は、図13に示した第1応力分離層DCP1の構成を示す平面図である。
図14において、応力結合部Cは左上斜線で示されている。図14(a)に示した例では、応力結合部Cは、折り曲げ軸BA上に第1方向Xに沿って配置されている。応力分離層DCPは、第1材料D1のみで形成され、第1材料D1は、応力結合部Cが配置されていない領域に配置されている。図14(b)は、図14(a)に示した構成と比較して、第1応力分離層DCP1の材料が異なっている。応力分離層DCPは、第2材料D2のみで形成され、第2材料D2は、応力結合部Cが配置されていない領域に配置されている。
【0063】
図15は、図13に示した第1応力分離層DCP1の構成を示す平面図である。図15(a)及び図15(b)は、図14(a)に示した構成と比較して、第1応力分離層DCP1の構成が異なっている。図15(a)及び図15(b)に示される応力分離層DCPは、第1材料D1及び第2材料D2の両方を用いて形成されている。図15(a)に示した例では、6つの第1材料D1は、線状に形成され、応力結合部Cが配置されていない領域において、第2方向Yに沿って延出している。図15(b)に示した例では、第1材料D1は、応力結合部Cが配置されていない領域において、点状に配置されている。また、図15(a)及び図15(b)において、第2材料D2は、第1応力分離層DCP1のうち、応力結合部C及び第1材料D1が配置されていない領域に配置されている。
【0064】
図16は、ドライバICの位置を示す図である。
【0065】
図16(a)に示した例では、図14(a)に示した構成と同様に、応力結合部Cは、第1方向Xに沿って延出している。ドライバICは、フレキシブルモジュールFMの第1方向Xに沿った辺に実装されている。すなわち、ドライバICは、応力結合部Cの延出方向と平行な方向に延出したフレキシブルモジュールFMの辺に沿って実装されている。図16(b)に示した例では、ドライバICは、配線基板FPC1に実装されている。また、配線基板FPC1及びFPC2が第1サブモジュールSM1の下側にくるように、第1サブモジュールSM1が折り曲げられている。
【0066】
図17は、フレキシブルモジュールFMの他の構成を示す断面図である。図17は、図13に示した構成と比較して、応力結合部Cが配置される位置が異なっている。
【0067】
図17に示した例において、応力結合部Cは、フレキシブルモジュールFMの端部EGに沿って配置されている。応力結合部Cは、第1応力分離層DCP1よりも端部EG側に位置している。
【0068】
図18は、図17に示した第1応力分離層DCP1の構成を示す平面図である。
図18に示した例では、応力結合部Cは、フレキシブルモジュールFMの端部EG側において、第1方向Xに沿って配置されている。第1応力分離層DCP1は、第1材料D1のみで形成され、第1材料D1は、応力結合部Cが配置されていない領域に配置されている。なお、第1応力分離層DCP1に第2材料D2のみが配置されても良いし、第1材料D1及び第2材料D2の両方が配置されても良い。
【0069】
図19は、応力分離層に用いられる粘性流体の性質を示す図である。第2材料として用いられる粘性流体は、例えば、ニュートン流体及び非ニュートン流体である。ここでは、非ニュートン流体として、ビンガム流体、擬塑性流体、ダイラタント流体を示す。図19において、横軸は、粘性流体に加える力の大きさを示しており、縦軸は、粘性流体の粘度を示している。また、線L1はニュートン流体、線L2はビンガム流体、線L3は擬塑性流体、線L4はダイラタント流体を示している。
【0070】
線L1に示されるように、ニュートン流体は、加える力の大きさに寄らず、粘度が一定である。すなわち、ニュートン流体は、部材がずれる速度によって粘度が変化しない。
線L2に示されるように、ビンガム流体は、加える力の大きさが一定以下のとき、粘度がニュートン流体よりも高く、加える力の大きさが一定以上のときに、粘度がニュートン流体よりも低い状態で維持される。すなわち、ビンガム流体は、一定以上の力の大きさの閾値までは動き出さないので、例えば、表示装置の曲げ状態やフラットな状態を維持したまま表示を見ることができる。
【0071】
線L3に示されるように、擬塑性流体は、加える力の大きさが小さいほど粘度が高く、加える力の大きさが大きいほど粘度が低くなる。すなわち、擬塑性流体は、例えば、遅く動かしたい時により遅く動き、早く動かしたい時により早く動くという操作感をフレキシブルモジュールに付与することができる。
【0072】
線L4に示されるように、ダイラタント流体は、加える力の大きさが小さいほど粘度が低く、加える力の大きさが大きいほど粘度が高くなる。すなわち、ダイラタント流体は、例えば、落下衝撃など意図しない動きに対する保護機能の用途をフレキシブルモジュールに付与することができる。
【0073】
以下、本実施形態において、表示装置DSPが有機エレクトロルミネッセンス表示装置である場合について説明する。
【0074】
図20は、図5に示した第1サブモジュールSM1の詳細な構成を示す断面図である。
図20に示すように、第1サブモジュールSM1は、表示パネルPNL、支持基板SP、フィルムFL、第1応力結合層CP1、第2応力結合層CP2を備えている。
【0075】
表示パネルPNLは、絶縁基板10、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、反射層4、有機EL素子OLED1、OLED2、OLED3、封止層41等を備えている。
【0076】
絶縁基板10は、有機絶縁材料を用いて形成され、例えば、ポリイミドを用いて形成される。絶縁基板10は、第1絶縁膜11によって覆われている。
【0077】
スイッチング素子SW1、SW2、SW3は、第1絶縁膜11の上に形成されている。図示した例では、スイッチング素子SW1、SW2、SW3はトップゲート型の薄膜トランジスタで構成されているが、ボトムゲート型の薄膜トランジスタで構成されていても良い。スイッチング素子SW1、SW2、SW3は、同一構成であるため、以下、スイッチング素子SW1に着目してその構造をより詳細に説明する。スイッチング素子SW1は、第1絶縁膜11の上に形成された半導体層SCを備えている。半導体層SCは、第2絶縁膜12によって覆われている。また、第2絶縁膜12は、第1絶縁膜11の上にも配置されている。
【0078】
スイッチング素子SW1のゲート電極WGは、第2絶縁膜12の上に形成され、半導体層SCの直上に位置している。ゲート電極WGは、第3絶縁膜13によって覆われている。また、第3絶縁膜13は、第2絶縁膜12の上にも配置されている。
【0079】
このような第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、及び、第3絶縁膜13は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物等の無機系材料によって形成された無機絶縁膜である。
【0080】
スイッチング素子SW1のソース電極WS及びドレイン電極WDは、第3絶縁膜13の上に形成されている。ソース電極WS及びドレイン電極WDは、それぞれ第2絶縁膜12及び第3絶縁膜13を貫通するコンタクトホールを通して半導体層SCと電気的に接続されている。スイッチング素子SW1は、第4絶縁膜14によって覆われている。第4絶縁膜14は、第3絶縁膜13の上にも配置されている。このような第4絶縁膜14は、例えば、透明な樹脂等の有機系材料によって形成されている。
【0081】
反射層4は、第4絶縁膜14の上に形成されている。反射層4は、アルミニウムや銀等の光反射率が高い金属材料で形成される。なお、反射層4は、モリブデンやクロム等で形成されていてもよい。また、反射層4の上面は、平坦面であっても良いし、光散乱性を付与するための凹凸面であっても良い。
【0082】
有機EL素子OLED1乃至OLED3は、第4絶縁膜14の上に形成されている。すなわち、有機EL素子OLED1乃至OLED3は、絶縁基板10とフィルムFLとの間に位置している。図示した例では、有機EL素子OLED1はスイッチング素子SW1と電気的に接続され、有機EL素子OLED2はスイッチング素子SW2と電気的に接続され、有機EL素子OLED3はスイッチング素子SW3と電気的に接続されている。有機EL素子OLED1乃至OLED3は、それぞれフィルムFLの側に向かって赤色光、青色光、緑色光を放射するトップエミッションタイプとして構成されている。このような有機EL素子OLED1乃至OLED3は、いずれも同一構造である。図示した例では、有機EL素子OLED1乃至OLED3は、それぞれリブ15によって区画されている。
【0083】
有機EL素子OLED1は、反射層4の上に形成された画素電極(陽極(アノード))PE1を備えている。画素電極PE1は、スイッチング素子SW1のドレイン電極WDとコンタクトし、スイッチング素子SW1と電気的に接続されている。同様に、有機EL素子OLED2はスイッチング素子SW2と電気的に接続された画素電極PE2を備え、有機EL素子OLED3はスイッチング素子SW3と電気的に接続された画素電極PE3を備えている。画素電極PE1、PE2、PE3は、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)等の透明な導電材料によって形成されている。また、上述では、トップエミッション型で説明したが、ボトムエミッション型でもよい。その場合、反射層4の代わりに後述する共通電極(陰極(カソード))をLiF/Alを用いて形成することによって反射機能を持たせても良い。
【0084】
例えば、有機EL素子OLED1は青色に発光する有機発光層ORGBを備え、有機EL素子OLED2は緑色に発光する有機発光層ORGGを備え、有機EL素子OLED3は赤色に発光する有機発光層ORGRを備えている。有機発光層ORGBは、画素電極PE1の上に位置し、有機発光層ORGGは、画素電極PE2の上に位置し、有機発光層ORGRは、画素電極PE3の上に位置している。また、有機EL素子OLED1乃至OLED3は、共通電極CEを備えている。共通電極CEは、有機発光層ORGB,ORGG、ORGRの上に位置している。共通電極CEは、リブ15の上にも位置している。共通電極CE(陰極(カソード))は、例えば、仕事関数が小さいMgやAg、またはMg−AgなどとITOやIZO等とを組み合わせた透明な導電材料によって形成されている。なお、画素電極が陰極、共通電極が陽極の上記した構造とは逆の構造の有機EL素子の場合は、画素電極が上記の陰極材料で形成され、共通電極が上記した陽極材料で形成される。
【0085】
封止層41は、有機EL素子OLED1、OLED2、OLED3の上を覆っている。封止層41は、絶縁基板10との間に配置された部材を封止している。封止層41は、有機EL素子OLED1、OLED2、OLED3への酸素や水分の侵入を抑制し、有機EL素子OLED1、OLED2、OLED3の劣化を抑制する。なお、封止層41は、無機膜と有機膜の積層体から構成されていても良い。
【0086】
フィルムFLは、封止層41の上に位置し、第2応力結合層CP2を用いて封止層41に接着されている。
【0087】
支持基板SPは、絶縁基板10の下に位置し、第1応力結合層CP1を用いて絶縁基板10に接着されている。第1応力結合層CP1は、絶縁基板10と支持基板SPとの間に位置している。支持基板SPの材料としては、例えば、耐熱性、ガス遮断性、防湿性、強度に優れ、尚且つ安価な材料が好ましい。支持基板SPは、例えば、表示装置DSPを製造する過程でのプロセス温度にて変質、変形しない程度の耐熱性を有する。また、支持基板SPは、例えば、絶縁基板10より大きな強度を有し、表示パネルPNLが外部からの応力がかからない状態にて湾曲する事態を抑制する支持層として機能する。また、支持基板SPは、例えば、絶縁基板10への水分等の侵入を抑制する防湿性やガスの侵入を抑制するガス遮断性等を有していても良い。
【0088】
このような表示装置DSPにおいては、有機EL素子OLED1乃至OLED3のそれぞれが発光した際、有機EL素子OLED1は青色の光を出射し、有機EL素子OLED2は緑色の光を出射し、有機EL素子OLED3は赤色の光を出射する。そのため、表示装置DSPのカラー表示が実現される。
【0089】
なお、上記の構成例では、有機EL素子OLED1乃至OLED3はそれぞれ青色に発光する有機発光層ORGB、緑色に発光する有機発光層ORGG、赤色に発光する有機発光層ORGRを備えていたが、これに限定されるものではない。有機EL素子OLED1乃至OLED3は共通の有機発光層を備えていても良い。このとき、例えば、有機EL素子OLED1乃至OLED3は、白色光を出射する。このような構成例においては、カラーフィルタ層が、封止層41の上に配置される。
【0090】
図20に示したような構成の第1サブモジュールSM1においては、中立面は、例えば、封止層41の無機膜、又は、第1絶縁膜11に形成されるのが望ましい。あるいは、中立面は、封止層41の無機膜と第1絶縁膜11との間に形成されても良い。
【0091】
上記の実施形態は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置に限らず、液晶表示装置に適用することも可能である。その場合、表示パネルPNLは、例えば、第1基板と、第1基板より上に配置された第2基板と、第1基板と第2基板との間に挟持された液晶層と、を備えた液晶表示パネルである。表示パネルPNLが液晶表示パネルである場合には、第2基板側から入射する光を選択的に反射することで画像を表示する反射型であっても良いし、第1基板側から入射する光を選択的に透過することで画像を表示する透過型であっても良い。なお、本実施形態に関する主要な構成については、表示装置DSPが液晶表示装置であった場合にも略同一である。
【0092】
図21は、第1サブモジュールSM1、第2サブモジュールSM2、及び、筐体BZの位置関係を示す平面図である。
筐体BZは、第1サブモジュールSM1及び第2サブモジュールSM2を収容している。応力分離層DCP10は、第1サブモジュールSM1と筐体BZとの間、及び、第2サブモジュールSM2と第1サブモジュールSM1との間に位置している。フレキシブルモジュールFMを折り曲げた際に、第1サブモジュールSM1及び第2サブモジュールSM2の応力を応力分離層DCP10が分離する。そのため、第1サブモジュールSM1及び第2サブモジュールSM2と、筐体BZとの間で応力が影響し合うのを抑制することができる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態によれば、性能の劣化を抑制することが可能な表示装置を得ることができる。
【0094】
次に、応力分離層の条件として、カップリング係数(Coupling Coefficient)の定義について説明する。
【0095】
図22は、1枚の第1シート部材SH1に係るたわみ量δと荷重pの関係を示す図である。
図22(1)は、第1シート部材SH1の平面図を示している。第1シート部材SH1は、幅bと長さLを有する矩形状である。
【0096】
図22(2)は、第1シート部材SH1の断面図であり、第1シート部材SH1に荷重pをかけた状態を示している。第1シート部材SH1は、厚さhを有している。第1シート部材SH1の両端は支持部材40によって支持されている。また、荷重pは、長さLの中心にかけられている。たわみ量δは、第1シート部材SH1の厚さhの中心位置において、荷重pがかけられていない状態(破線で示された第1シート部材SH1が平板の状態)と、荷重pがかけられている状態(実線で示された第1シート部材SH1が撓んだ状態)の差分である。これにより第1シート部材SH1をあるたわみ量δにするために要する荷重pを測定することができる。
【0097】
図22(3)は、たわみ量δと荷重pの関係式を示している。たわみ量δと荷重pの関係式は図22(3)に示すように以下の式1で表される。
p={(4Ebh)/L}δ ・・・(式1)
ここで、第1シート部材SH1のヤング率Eとする。式1が示すように、たわみ量δを与える荷重pは、厚さhの3乗に比例し、長さLの3乗に反比例する。
【0098】
図23は、重なった2枚の第1シート部材SH1に係るたわみ量と荷重の関係を示す図である。
図23(1)は、2枚の第1シート部材SH1が完全に一体化している状態を示している。ここで、完全に一体化した状態を本明細書においては、完全結合(Perfect Coupling)していると称する。2枚の第1シート部材SH1は、結合部材50によって結合されている。また、2枚の第1シート部材SH1は、一体となって撓んでいる。2枚の第1シート部材SH1は完全に一体化されているため、第1シート部材SH1の2倍の厚さを有する1枚の第2シート部材SH2であるとみなすことができる。
【0099】
図23(2)は、図23(1)に示した第2シート部材SH2のたわみ量δと荷重PCの関係式を示している。第1シート部材SH1の2枚分の厚さを有する第2シート部材SH2がたわみ量δを得るための第1荷重を荷重PCとする。たわみ量δと荷重PCの関係式は、図23(2)に示すように以下の式2で表される。
PC=8(4Ebh/L)δ ・・・(式2)
また、(4Ebh/L)δ=pであるため、PC=8×pと表すことができ、第1シート部材SH1が1枚のときと同じたわみ量δを得るためには8倍の荷重が必要であることがわかった。
【0100】
図23(3)は、2枚の第1シート部材SH1が完全に互いに固定されない状態を示している。ここで、完全に互いに固定されない状態を本明細書においては、完全分離(Perfect Decoupling)していると称する。2枚の第1シート部材SH1の間には、空気層ARが介在している。2枚の第1シート部材SH1が空気層ARを介して重ね合わされた積層体を第1積層体ST1とする。また、2枚の第1シート部材SH1は、それぞれが撓んでいる。
【0101】
図23(4)は、図23(3)に示した第1積層体ST1のたわみ量δと荷重PDの関係式を示している。第1積層体ST1がたわみ量δを得るための第2荷重を荷重PDとする。たわみ量δと荷重PDの関係式は、図23(4)に示すように以下の式3で表される。
PD=2(4Ebh/L)δ ・・・(式3)
また、(4Ebh/L)δ=pであるため、PD=2×pと表すことができ、第1シート部材SH1が1枚のときと同じたわみ量δを得るためには2倍の荷重が必要であることがわかった。
【0102】
また、式2と式3を比べると、PCはPDの4倍である。つまり、2枚の第1シート部材SH1が完全結合した状態では、2枚の第1シート部材SH1が完全分離した状態に対して同じたわみ量δを得るための荷重が4倍大きいことがわかる。
【0103】
図23(5)は、2枚の第1シート部材SH1の間に応力分離層DCPが介在する状態を示している。2枚の第1シート部材SH1が応力分離層DCPを介して重ね合わされた積層体を第2積層体ST2とする。第2シート部材SH2及び第1積層体ST1と同じたわみ量δを第2積層体ST2に与える荷重Pを測定することで、2枚の第1シート部材SH1間の結合の程度を算出することができる。すなわち、2枚の第1シート部材SH1間の応力分離層DCPについて、その分離能を定量的に評価することができる。本実施形態においては、応力分離層DCPの分離能を示す指標としてカップリング係数を定義する。
【0104】
図23(6)は、応力分離層DCPのカップリング係数を示している。第2積層体ST2がたわみ量δを得るための第3荷重を荷重Pとする。応力分離層DCPのカップリング係数C.C.は、図23(6)に示すように以下の式4で表される。
C.C.=(P−PD)/(PC−PD)
カップリング係数は、図23(1)に示した完全結合のときに1であり、図23(3)に示した完全分離のときに0である。
【0105】
図24は、応力分離層DCPのカップリング係数C.C.の実測評価を示す図である。
グラフの縦軸は、荷重(N)を示している。グラフの横軸は左から順に、第1シート部材SH1が1枚のとき、第1積層体ST1、第2積層体ST2、第2シート部材SH2を示している。第1シート部材SH1及び第2シート部材SH2は、ここでは例えばプラスチック板である。第1シート部材SH1は、長さL=80mm、幅b=20mm、厚さh=1mmを有している。ここでは、第1シート部材SH1、第1積層体ST1、第2積層体ST2、第2シート部材SH2がそれぞれたわみ量δ=5mmとなる荷重を測定した。なお、応力分離層DCPの厚さは0.1mmである。
【0106】
第1シート部材SH1が1枚のとき、たわみ量5mmを得るための荷重は、1.7Nであった。第1積層体ST1においては、たわみ量5mmを得るための荷重は、3.4Nであった。第1積層体ST1に要する荷重は、第1シート部材SH1が1枚のときに要する荷重の2倍となっている。第2積層体ST2においては、たわみ量5mmを得るための荷重は、5.2Nであった。第2シート部材SH2においては、たわみ量5mmを得るための荷重は、13.8Nであった。第1シート部材SH1の厚さがhのとき、第2シート部材SH2の厚さは2hである。図23(2)に示した通り、厚さを2倍にすると、約8倍の荷重が必要になる。第1シート部材SH1に要する荷重が1.7Nであり、第2シート部材SH2に要する荷重が13.8Nであるため、約8倍となっていることがわかる。
【0107】
図23(6)の式4に従って、応力分離層DCPのカップリング係数を算出する。ここで、図24に示した例においては、P=5.2、PC=13.8、PD=3.4であるため、カップリング係数C.C.は、以下のように表される。
C.C.=(5.2‐3.4)/(13.8−3.4)=0.17
上記の結果から応力分離層DCPのカップリング係数0.17を得られた。
【0108】
図25は、応力分離層DCPのカップリング係数と弾性率との関係を示す図である。図25は、複数の応力分離層のカップリング係数を実測した結果を示している。
グラフの縦軸はカップリング係数を示し、横軸は弾性率(貯蔵弾性率)を示している。フレキシブルモジュールの信頼性と操作性の点から応力分離層のカップリング係数は0以上0.12以下が望ましいことが分かった。応力分離層は、カップリング係数が0.12以下であるとき、弾性率100kPa以下となることが多い。すなわち、図中のカップリング係数0.12以下と弾性率100kPa以下で囲まれる領域内にプロットされる応力分離層を用いることが好ましい。
【0109】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25