特許第6840870号(P6840870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840870
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20210301BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   F25B1/00 385Z
   F25B1/00 391
   F25B1/00 361Q
   F25B1/00 381D
   F25B1/00 341V
   F25B1/00 351T
   F25B49/02 520Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-567449(P2019-567449)
(86)(22)【出願日】2018年1月24日
(86)【国際出願番号】JP2018002166
(87)【国際公開番号】WO2019146023
(87)【国際公開日】20190801
【審査請求日】2020年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】三浦 賢
(72)【発明者】
【氏名】今任 尚希
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−185229(JP,A)
【文献】 特開平07−234038(JP,A)
【文献】 特開平09−119736(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/081110(WO,A1)
【文献】 特開2006−125665(JP,A)
【文献】 特開平05−288422(JP,A)
【文献】 特開2007−218558(JP,A)
【文献】 特開2011−163708(JP,A)
【文献】 特開2013−024518(JP,A)
【文献】 特開2008−190767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 49/02
F25B 13/00
F24F 11/00−11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、室外熱交換器、および室外ファンを有し、冷媒配管で接続された複数の室外ユニットと、
室内熱交換器を有する複数の室内ユニットと、
前記各室外ユニットの運転台数を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記各室外ユニットの運転台数を減少する際に、停止対象の室外ユニットの室外ファンを高速度運転しかつ同室外ユニットの圧縮機を低能力運転し、
この高速度運転および低能力運転を所定時間にわたり継続した後、前記停止対象の室外ユニットの室外ファンおよび圧縮機を停止する、
ことを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記各室外ユニットの運転台数を減少する際に、外気温度が閾値以上であることを条件に、停止対象の室外ユニットの室外ファンを高速度運転しかつ同室外ユニットの圧縮機を低能力運転する
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記低能力運転する前記圧縮機の能力は、運転を継続する側の室外ユニットの圧縮機の能力より低い
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の室外ユニットおよび複数の室内ユニットを備えた冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の室外ユニットおよびこれら室外ユニットに配管接続された複数の室内ユニットを備え、各室内ユニットの要求能力の総和に応じて各室外ユニットの運転台数を制御するマルチタイプの冷凍サイクル装置が知られている。
【0003】
この冷凍サイクル装置では、室外ユニットの運転台数が減少した場合に、運転を継続する側の室外ユニットに過剰な量の冷媒が流れることがある。こうなると、運転を継続する側の室外ユニットにおける室外熱交換器内の液冷媒領域が増えて同室外熱交換器内の二相冷媒領域が減少し、その室外熱交換器の熱交換効率が低下する。これに伴い、冷房能力が低下してしまう。
【0004】
この不具合に対処するため、受液器いわゆるレシーバタンクを冷凍サイクルに設け、このレシーバタンクに過剰分の冷媒を溜め込む構成の冷凍装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−298335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記冷凍サイクル装置では、レシーバタンクを設ける分だけコストが高くなる。
本発明の実施形態の目的は、レシーバタンクを用いることなく、運転を継続する側の室外ユニットに過剰な量の冷媒が流れない冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の冷凍サイクル装置は、圧縮機、室外熱交換器、および室外ファンを有し、冷媒配管で接続された複数の室外ユニットと;室内熱交換器を有する複数の室内ユニットと;前記各室外ユニットの運転台数を制御するコントローラと;を備える。コントローラは、前記各室外ユニットの運転台数を減少する際に、停止対象の室外ユニットの室外ファンを高速度運転しかつ同室外ユニットの圧縮機を低能力運転し、この高速度運転および低能力運転を所定時間にわたり継続した後、前記停止対象の室外ユニットの室外ファンおよび圧縮機を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の構成を示す図。
図2】第1実施形態の制御を示すフローチャート。
図3】第1実施形態における冷凍サイクルの状態を示すp−h線図。
図4】第2実施形態の制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1]第1実施形態
以下、空気調和機に搭載される冷凍サイクル装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、複数たとえば2つの室外ユニットA1,A2が互いに並列に配管接続され、これら室外ユニットA1,A2に複数の室内ユニットB1,B2,…Bnが配管接続されている。
【0010】
室外ユニットA1において、圧縮機1の吐出口に四方弁2を介して室外熱交換器3が配管接続され、その室外熱交換器3に電動膨張弁4を介して液側パックドバルブ5aが配管接続されている。さらに、ガス側パックドバルブ5bに四方弁2およびアキュームレータ6を介して圧縮機1の吸込口が配管接続されている。室外熱交換器3の近傍には室外ファン7が配置されている。電動膨張弁4は、入力される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するパルスモータバルブ(PMV)である。
【0011】
室外ユニットA2において、圧縮機11の吐出口に四方弁12を介して室外熱交換器13が配管接続され、その室外熱交換器13に電動膨張弁14を介して液側パックドバルブ15aが配管接続されている。さらに、ガス側パックドバルブ15bに四方弁12およびアキュームレータ16を介して圧縮機11の吸込口が配管接続されている。室外熱交換器13の近傍には室外ファン17が配置されている。電動膨張弁14は、入力される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するパルスモータバルブである。
【0012】
室外ユニットA1の液側パックドバルブ5aと室外ユニットA2の液側パックドバルブ15aとが渡り配管51により接続され、室外ユニットA2のガス側パックドバルブ5bと室外ユニットA2のガス側パックドバルブ15bとが渡り配管52により接続されている。
【0013】
室外ユニットA1の液側パックドバルブ5aと室外ユニットA2の液側パックドバルブ15aとを接続する渡り配管51の他端側に室内ユニットB1,B2,…Bnの各電動膨張弁21を介して室内ユニットB1,B2,…Bnの各室内熱交換器22がそれぞれ配管接続され、これら室内熱交換器22に室外ユニットA1のガス側パックドバルブ5bと室外ユニットA2のガス側パックドバルブ15bとを接続する渡り配管52の他端側が配管接続されている。各室内熱交換器22の近傍にはそれぞれ室内ファン23が配置されている。
【0014】
以上の配管接続により、ヒートポンプ式の冷凍サイクルが構成されている。
【0015】
圧縮機1は、インバータ31の出力により動作するモータを密閉ケースに納めたもので、アキュームレータ6を経た冷媒を吸込み、その吸込み冷媒を圧縮して吐出口から吐出する。インバータ31は、商用交流電源32の交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を所定周波数F1(Hz)およびその所定周波数F1に応じたレベルの交流電圧に変換し出力する。圧縮機11は、インバータ41の出力により動作するモータを密閉ケースに納めたもので、アキュームレータ16を経た冷媒を吸込み、その吸込み冷媒を圧縮して吐出口から吐出する。インバータ41は、商用交流電源42の交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を所定周波数F2(Hz)およびその所定周波数F2に応じたレベルの交流電圧に変換し出力する。以下、所定周波数F1,F2のことを運転周波数F1,F2という。
【0016】
冷房時は、矢印で示すように、圧縮機1,11の吐出口から吐出される冷媒が四方弁2,12、室外熱交換器3,13、電動膨張弁4,14、液側パックドバルブ5a,15a、渡り配管51、各電動膨張弁21を経て各室内熱交換器22に流入する。各室内熱交換器22から流出する冷媒は、渡り配管52、ガス側パックドバルブ5b,15b、四方弁2,12、アキュームレータ6,16を通って圧縮機1,11の吸込口に吸込まれる。この冷媒の流れにより、室外熱交換器3,13が凝縮器として機能し、各室内熱交換器22が蒸発器として機能する。
【0017】
圧縮機1の吐出口と四方弁2との間の高圧側配管に、圧縮機1から吐出されるガス冷媒の温度Td1を検知する冷媒温度センサ33、および圧縮機1から吐出されるガス冷媒の圧力(高圧側圧力)Pd1を検知する冷媒圧力センサ34が取付けられている。室外ファン7の外気吸込み風路に外気温度To1を検知する外気温度センサ35が配置されている。電動膨張弁4と液側パックドバルブ5aとの間の液側配管に、室外熱交換器3から流出する液冷媒の温度Tx1を検知する冷媒温度センサ36が取付けられている。四方弁2とアキュームレータ6との間の低圧側配管に、圧縮機1に吸込まれるガス冷媒の温度Ts1を検知する温度センサ37、および圧縮機1に吸込まれるガス冷媒の圧力(低圧側圧力)Ps1を検知する圧力センサ38が取付けられている。
【0018】
圧縮機11の吐出口と四方弁12との間の高圧側配管に、圧縮機11から吐出されるガス冷媒の温度Td2を検知する冷媒温度センサ43、および圧縮機11から吐出されるガス冷媒の圧力(高圧側圧力)Pd2を検知する冷媒圧力センサ44が取付けられている。室外ファン17の外気吸込み風路に外気温度To2を検知する外気温度センサ45が配置されている。電動膨張弁14と液側パックドバルブ15aとの間の液側配管に、室外熱交換器13から流出する液冷媒の温度Tx2を検知する冷媒温度センサ46が取付けられている。四方弁12とアキュームレータ16との間の低圧側配管に、圧縮機11に吸込まれるガス冷媒の温度Ts2を検知する冷媒温度センサ47、および圧縮機11に吸込まれるガス冷媒の圧力(低圧側圧力)Ps2を検知する圧力センサ48が取付けられている。
【0019】
室外ユニットA1はメインコントローラ30を有し、このメインコントローラ30に上記冷媒温度センサ33,36,37、冷媒圧力センサ34,38、外気温度センサ35などの検知結果が通知される。メインコントローラ30は、室内ユニットB1,B2,…Bnの各コントローラ20と通信線接続され、各コントローラ20からの指令および当該室外ユニットA1内の上記各センサの検知結果に応じて四方弁2、電動膨張弁4、室外ファン7、インバータ31を制御する。
【0020】
室外ユニットA2はコントローラ40を有し、このコントローラ40に上記冷媒温度センサ43,46,47、冷媒圧力センサ44,48、外気温度センサ45などの検知結果が通知される。コントローラ40は、メインコントローラ30に通信線接続され、そのメインコントローラ30からの指令および当該室外ユニットA2内の上記各センサの検知結果に応じて四方弁12、電動膨張弁14、室外ファン17、インバータ41を制御する。
【0021】
メインコントローラ30は、第1制御セクション30aおよび第2制御セクション30bを有する。
第1制御セクション30aは、室内ユニットB1,B2,…Bnの各コントローラ20の要求能力の総和に応じて、室外ユニットA1,A2の運転台数および圧縮機1,11の運転周波数F1,F2を制御する。
【0022】
第2制御セクション30bは、制御セクション30aにより室外ユニットA1,A2の運転台数が減少する際に、停止対象の室外ユニットの室外ファンを高速度運転し、かつ停止対象の室外ユニットの圧縮機を低能力運転し、この高速度運転および低能力運転を所定時間tにわたり継続した後、停止対象の室外ユニットの室外ファンおよび圧縮機を停止する。所定時間tは、例えば1分間である。
【0023】
つぎに、メインコントローラ30が実行する制御を図2のフローチャートを参照しながら説明する。フローチャート中の符号S1〜S6は処理ステップを示す。
メインコントローラ30は、冷房運転時、室内ユニットB1,B2,…Bnにおける各コントローラ20の要求能力の総和に応じて、室外ユニットA1,A2の運転台数および圧縮機1,11の能力(運転周波数F1,F2)を制御する(S1)。
【0024】
そして、メインコントローラ30は、室外ユニットA1,A2の運転台数を減少する必要が生じた際に(S2のYES)、停止対象の室外ユニットA2の室外ファン17を高速度運転し(S3)、かつ同室外ユニットA2の圧縮機11を低能力運転する(S4)。
【0025】
この圧縮機11の低能力運転の実行に際し、メインコントローラ30は、圧縮機11の能力値として、運転を継続する側の室外ユニットA1の圧縮機1の現時点の能力(運転周波数F1)より低い値を設定する。
【0026】
室外ファン17が高速度運転すると、室外熱交換器13における冷媒の凝縮が促進されて、室外熱交換器13内に多くの液冷媒が溜まり込む。これに伴い圧縮機11が低能力運転するので、室外熱交換器13から電動膨張弁14側の液側配管および渡り配管51を通って室内ユニットB1,B2,…Bnに流れ出る冷媒が減少する。このとき、電動膨張弁14の開度を小さくまたは全閉としてもよい。電動膨張弁14の開度を小さくすることで室内ユニットB1,B2,…Bnに流れ出る冷媒をさらに減少させることができる。
【0027】
続いて、メインコントローラ30は、上記室外ファン17の高速度運転および上記圧縮機11の低能力運転を所定時間tにわたり継続した後(S5のYES)、室外ファン17および圧縮機11を停止する(S6)。この停止後、メインコントローラ30は、初めのS1の処理に戻り、室内ユニットB1,B2,…Bnにおける各コントローラ20の要求能力の総和に応じて、室外ユニットA1,A2の運転台数を制御するとともに運転する室外ユニットの圧縮機の能力を制御する。
【0028】
以上のように、停止対象の室外ユニットA2の室外ファン17および圧縮機11を予め高速度運転しかつ低能力運転することにより、室外ユニットA2の室外熱交換器13に液冷媒が溜まり込むとともに、室外熱交換器13から電動膨張弁14側の液側配管および渡り排気管51を通って室内ユニットB1,B2,…Bnに流れ出る冷媒が減少する。これにより、運転を継続する側の室外ユニットA1に過剰な量の冷媒が流れる不具合を解消できる。従来のような冷媒量消勢用のレシーバタンクが不要であり、その分、コストの低減が図れる。
【0029】
室外ユニットA1に過剰な量の冷媒が流れないので、室外熱交換器3内の液冷媒領域が不要に増えて二相冷媒領域が減少することはなく、よって室外熱交換器3の熱交換効率が低下しない。室外熱交換器3の熱交換効率が低下しないので、室内ユニットB1,B2,…Bnの要求能力の総和に見合う冷房能力を得ることができる。
【0030】
仮に、室外ユニットA1に過剰な量の冷媒が流れた場合の冷凍サイクル状態を図3のp−h線図(破線)で示す。運転を継続する側の室外ユニットA1に過剰な量の冷媒が流れると、室外ユニットA1における高圧側冷媒圧力Pd1が上昇する。高圧側冷媒圧力Pd1が所定値を超えて上昇すると、機器保護のために圧縮機の運転周波数を低下させる制御が行われて冷房能力が低下してしまう。
【0031】
一方で、停止対象の室外ユニットA2に液冷媒が溜まり過ぎてしまうと、運転を継続する側の室外ユニットA1に十分な量の冷媒が流れなくなり、室内ユニットB1,B2,…Bnの要求能力の総和に見合う冷房能力を確保できない状態となる。この場合、S1の処理において、室外ユニットA2の室外ファン17および圧縮機11の運転が再開される。この運転再開により、運転を継続する側の室外ユニットA1に十分な量の冷媒が流れるようになる。
【0032】
[2]第2実施形態
冷凍サイクル装置の第2実施形態について説明する。
メインコントローラ30の第2制御セクション30bは、制御セクション30aにより室外ユニットA1,A2の運転台数が減少する際に、外気温度センサ35の検知温度(外気温度)To1が閾値Tos以上であることを条件に、停止対象の室外ユニットの室外ファンを高速度運転しかつ同室外ユニットの圧縮機を低能力運転する。そして、第2制御セクション30bは、この高速度運転および低能力運転を所定時間tにわたり継続した後、停止対象の室外ユニットの室外ファンおよび圧縮機を停止する。
【0033】
外気温度センサ35の検知温度To1は、室外ユニットA2側の外気温度センサ45により検知される外気温度To2とほぼ同じである。閾値Tosは、外気温度To1が中・高温度領域にあるか低温度領域にあるかの判定用である。
【0034】
メインコントローラ30が実行する制御を図4のフローチャートを参照しながら説明する。S11〜S17は処理ステップを示す。
メインコントローラ30は、冷房運転時、室内ユニットB1,B2,…Bnにおける各コントローラ20の要求能力の総和に応じて、室外ユニットA1,A2の運転台数および圧縮機1,11の能力(運転周波数F1,F2)を制御する(S11)。
【0035】
そして、メインコントローラ30は、室外ユニットA1,A2の運転台数を減少する必要が生じた際に(S12のYES)、外気温度センサ35の検知温度To1が閾値Tos以上の中・高温度領域にあるかを判定する(S13)。
【0036】
外気温度To1が閾値Tos以上の中・高温度領域にある場合(S13のYES)、メインコントローラ30は、運転を継続する側の室外ユニットA1に過剰な量の冷媒が流れる可能性があるとの判断の下に、停止対象の室外ユニットA2の室外ファン17を高速度運転し(S14)、かつ同室外ユニットA2の圧縮機11を低能力運転する(S15)。
【0037】
この圧縮機11の低能力運転の実行に際し、メインコントローラ30は、圧縮機11の能力値として、運転を継続する側の室外ユニットA1の圧縮機1の現時点の能力(運転周波数F1)より低い値を設定する。
【0038】
室外ファン17が高速度運転すると、室外熱交換器13における冷媒の凝縮が促進されて、室外熱交換器13内に多くの液冷媒が溜まり込む。これに伴い圧縮機11が低能力運転するので、室外熱交換器13から電動膨張弁14側の液側配管および渡り排気管51を通って室内ユニットB1,B2,…Bnに流れ出る冷媒が減少する。ひいては、室内ユニットB1,B2,…Bnから室外ユニットA1に流れる冷媒の量も減少する。
【0039】
続いて、メインコントローラ30は、上記室外ファン17の高速度運転および上記圧縮機11の低能力運転を所定時間tにわたり継続した後(S16のYES)、室外ファン17および圧縮機11を停止する(S17)。この停止後、メインコントローラ30は、初めのS1の処理に戻り、室内ユニットB1,B2,…Bnにおける各コントローラ20の要求能力の総和に応じて、室外ユニットA1,A2の運転台数を制御するとともに運転する室外ユニットの圧縮機の能力を制御する。
【0040】
上記S13の判定において、外気温度To1が閾値Tos未満の低温度領域にある場合(S13のNO)、メインコントローラ30は、上記S14〜S16の処理を実行することなく、室外ファン17および圧縮機11を停止する(S17)。
【0041】
すなわち、外気温度To1が閾値Tos未満の低温度領域にある状態でS14〜S16の処理を実行すると、室外ユニットA2の室外熱交換器13に溜まり込む冷媒の量が増え過ぎて、運転を継続する側の室外ユニットA1に十分な量の冷媒が流れない可能性がある。この冷媒量の偏りを防ぐため、外気温度To1が閾値Tos未満の低温度領域にある場合はS14〜S16の処理を実行しないようにしている。
【0042】
他の構成および効果は、第1実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
【0043】
[3]変形例
上記各実施形態では、室外ユニットが2台の場合を例に説明したが、3台以上であっても同様に実施できる。
【0044】
上記各実施形態では、停止対象が室外ユニットA2で、運転を継続する側が室外ユニットA1である場合を例に説明したが、停止対象を室外ユニットA1とし、運転を継続する側を室外ユニットA2とすることも、もちろん可能である。上記第2実施形態では、運転を継続する側の室外ユニットA1に十分な量の冷媒が流れなくなる可能性の有無を外気温度To1と閾値Tosとの比較により判断したが、室外ユニットA1側の過冷却度SC1と、室外ユニットA2側の過冷却度SC2とを比較し、この比較結果から上記可能性の有無を判断してもよい。
【0045】
図3において、運転を継続する側の室外ユニットA1の状態を破線で示し、停止対象の室外ユニットA2の状態を実線で示す。このとき、運転を継続する側の室外ユニットA1の冷媒量が多く、停止対象の室外ユニットA2の冷媒量が少ないとすると、室外ユニットA1の高圧側冷媒圧力Pd1、凝縮温度Tc1および過冷却度SC1は、停止対象の室外ユニットA2の高圧側冷媒圧力Pd2、凝縮温度Tc2および過冷却度SC2よりも大きくなる。
【0046】
ここで室外ユニットA1の過冷却度SC1は、凝縮温度Tc1と室外熱交換器3から流出する液冷媒の温度(冷媒温度センサ36の検知温度)Tx1との差(=Tc1−Tx1)で求めることができる。同様に室外ユニットA2の過冷却度SC2は、凝縮温度Tc2と室外熱交換器13から流出する液冷媒の温度(冷媒温度センサ46の検知温度)Tx2との差(=Tc2−Tx2)で求めることができる。また、凝縮温度Tc1、Tc2は、冷媒圧力センサ34、44の検知圧力(高圧側冷媒圧力)Pd1、Pd2を用いて演算により求めることができる。
【0047】
以上のように、運転を継続する側の室外ユニットA1の過冷却度SC1よりも停止対象の室外ユニットA2の過冷却度SC2が小さい場合は、停止対象の室外ユニットA2の冷媒量が少なく、運転を継続する側の室外ユニットA1に十分な量の冷媒が流れなくなる可能性がないと判断できる。
【0048】
上記各実施形態では、空気調和機に搭載される冷凍サイクル装置を例に説明したが、給湯機等の他の機器に搭載される冷凍サイクル装置においても同様に実施可能である。
【0049】
その他、上記各実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
A1,A2…室外ユニット、B1,B2,…Bn…室内ユニット、1,11…圧縮機、2,12…四方弁、3,13…室外熱交換器、4,14…電動膨張弁、6,16…アキュームレータ、7,17…室外ファン、30…メインコントローラ、40…コントローラ、21…電動膨張弁、22…室内熱交換器、23…室内ファン、20…コントローラ、31,41…インバータ
図1
図2
図3
図4