(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遠位先端部は、近位方向に延びるネジ式要素を備え、前記外方シースの遠位端は、遠位方向に延びるネジ式要素を備え、前記ステントシースは、遠位端と近位端とにネジ切りされたキャビティを備え、前記ネジ切りされたキャビティは、前記近位方向に延びるネジ式要素と前記遠位方向に延びるネジ式要素とを受承する、請求項1に記載のステント搬送システム。
第1のステント拡張要素は、前記遠位先端部に配置され、前記ステント搬送システムは、前記外方シースの遠位端に配置された第2のステント拡張要素をさらに備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載のステント搬送システム。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、搬送システムを含む医療装置のデザイン、材料、及び、代替的用途を提供する。
第1の例は、ステント搬送システムを含む。このシステムは、遠位先端部から近位端の間に延びる長尺状の内方部材と、長尺状の内方部材のステント受承部を包囲するステントとを備え、ステントは、収縮時形態と拡張時形態とを有する。システムは、内方部材を覆って摺動可能に配置され、且つ、遠位端と近位端の間で延びる外方シースと、ステントを収縮時形態に保持する為にステントを包囲するステントシースと、ステントシースの近位端に外方シースの遠位端を離脱可能に連結して外方シースの遠位端をステントシースの近位端から選択的に離脱するように駆動できる近位連結部と、ステントシースの遠位端を内方部材の遠位先端部に離脱可能に連結して遠位先端部からステントシースを選択的に離脱するように駆動できる遠位連結部とを備える。近位連結部は、内方部材を外方シースに対して第1の方向に回転することにより駆動でき、遠位連結体は、内方部材を外方シースに対して第1の方向とは反対の第2の方向に回転することにより駆動でき、少なくとも第1の拡張要素が、遠位先端部又は外方シースの遠位端に配置され、第1のステント拡張要素は、径方向に後退した形態と径方向に上昇した形態とを有する。
【0004】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、遠位先端部は、近位方向に延びるネジ式要素を備え、外方シースの遠位端は、遠位方向に延びるネジ式要素を備え、ステントシースは、遠位端と近位端にネジ切りされたキャビティを備え、前記ネジ切りされたキャビティは、近位方向と遠位方向に延びるネジ式要素を受承するように構成されている。
【0005】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、遠位方向と近位方向に延びるネジ式要素は、テーパ状をなす。
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、遠位側と近位側のネジ式の連結は、360度以下の回転で完全に着脱される。
【0006】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、第1のステント拡張要素は、遠位先端部で近位方向に延びるネジ式要素、又は、外方シースの遠位端で遠位方向に延びるネジ式要素、に結合された第1の端部を有する第1の長尺状部材を含み、第1のステント拡張要素は、第1の端部とは反対側に第2の自由端を有する。
【0007】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、ステント搬送システムは、第1のステント拡張要素を上昇時形態に付勢する第1のバネをさらに備える。
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、第1のバネは、第1の長尺状部材が固定されるネジ式要素のネジ部を貫通して長
手軸方向に延びる第1の溝に配置され、第1の長尺状部材は、第1のステント拡張要素が後退時形態にある時には、第1の溝の内方に配置される。
【0008】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、ステント搬送システムは、外方シースの近位部から第1の長尺状部材の第1の端部に隣接して配置された遠位端まで延びる第1のスライダー要素をさらに備え、第1のスライダー要素は、第1の長尺状部材の一部の上を摺動するように構成され、第1のステント拡張要素を上昇時形態から後退時形態に移動する。
【0009】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、第1のステント拡張要素は、遠位先端部に配置され、システムは、外方シースの遠位端に配置された第2のステント拡張要素をさらに備える。
【0010】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、第1のステント拡張要素は、近位方向に延びる自由端を備え、第2のステント拡張要素は、遠位方向に延びる自由端を備える。
【0011】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、第1のステント拡張要素は、遠位先端部に配置され、システムは、外方シースの遠位端に配置された第2のステント拡張要素をさらに備え、第2のステント拡張要素は、外方シースの遠位端で遠位方向に延びるネジ式要素に固定された第1の端部と第1端部の反対側に第2の自由端とを備える第2の長尺状部材を含み、第2のステント拡張要素は、径方向に後退した形態と径方向に上昇した形態とを有し、第2のスライダー要素は、外方シースの近位部から第2の長尺状部材の第1の端部に隣接して配置された遠位端まで延び、第2のスライダー要素は、第2の長尺状部材の一部の上を摺動するように構成されて、第2のステント拡張要素を上昇時形態から後退時形態に移行する。
【0012】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、第1及び第2のスライダーは、別々に移動できる。
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、ステントは、近位連結部の連結を解除して遠位先端部とステントシースとを共にステントに対して遠位方向に移動することにより、近位側から遠位側に展開できる。
【0013】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、ステントは、遠位連結部の連結を解除してステントシースと外方シースとを共にステントに対して近位方向に移動することにより遠位側から近位側に展開できる。
【0014】
別例は、ステントを近位側から遠位側に、又は遠位側から近位側に選択的に展開する方法であり、同方法は、ステント搬送システムを標的部位まで前進する工程を備え、ステント搬送システムは、遠位先端部と近位端の間に延びる長尺状の内方部材と、長尺状の内方部材のステント受承部を包囲して収縮時形態と拡張時形態とを備えるステントと、内方部材の上に摺動可能に配置されて遠位端と近位端との間で延びる長尺状の外方シースと、ステントを包囲して内方部材の遠位先端部と外方シースの遠位端とに対して離脱可能に連結されるステントシースと、遠位先端部に配置された第1のステント拡張要素と、外方シースの遠位端に配置された第2のステント拡張要素と、を備え、第1のステント拡張要素と第2のステント拡張要素とは、後退時形態と上昇時形態とを備え、第1のステント拡張要素と第2のステント拡張要素とは、上昇時形態に付勢されている。同方法は、遠位先端部からステントシースの遠位端を選択的に離脱する為に内方部材を外方シースに対して第1の回転方向に回転すること、及び、ステントを露出する為に外方シースに連結されたステントシースをステントに対して近位方向に移動することによって、遠位から近位方向にステントを展開する工程を含み、ステントシースを遠位先端部から近位方向に移動することにより、第1のステント拡張要素は付勢された上昇時形態に復帰して、ステントシースがステントから近位方向に移動される間、ステントを固定する。代替的には、同方法は、外方シースの遠位端をステントシースの近位端から選択的に離脱する為に第1の回転方向とは逆向きの第2の回転方向に内方部材を外方シースに対して回転すること、及び、ステントを露出する為に遠位先端部に連結された状態のステントシースをステントに対して遠位方向に移動することによって、近位から遠位方向にステントを展開する工程を含み、ステントシースを外部シースの遠位端から遠位方向に移動することにより、第2のステント拡張要素は付勢された上昇時形態に復帰して、ステントシースがステントから遠位方向に移動される間、ステントを固定する。
【0015】
別例は、遠位先端部と近位端の間で延びる長尺状の内方部材と、長尺状の内方部材のステント受承部を包囲して収縮時形態と拡張時形態とを有するステントと、内方部材上に摺動可能に配置されて遠位端と近位端の間で延びる外方シースと、ステントを収縮時形態に保持する為にステントを包囲するステントシースとを備える。システムは、外方シースの遠位端をステントシースの近位端に離脱可能に連結してステントシースの近位端から外方シースの遠位端を選択的に離脱するように駆動可能な近位連結部と、ステントシースの遠位端を内方部材の遠位先端部に離脱可能に連結して遠位先端部からステントシースを選択的に離脱するように駆動可能な遠位連結部とをさらに備える。近位連結部は、内方部材を外方シースに対して第1の方向に回転することにより駆動され、遠位連結部は、内方部材を外方シースに対して第1の方向とは反対の第2の方向に回転することにより駆動され、第1のステント拡張要素は、遠位先端部に配置され、第2のステント拡張要素は、外方シースの遠位端に配置され、第1のステント拡張要素と第2のステント拡張要素とはそれぞれ、径方向に後退した形態と径方向に上昇した形態とを備え、第1のステント拡張要素は、遠位先端部に固定された第1の端部と第2の自由端とを有する第1の長尺状部材を備え、第2のステント拡張要素は、外方シースの遠位端に固定された第1の端部と第2の自由端とを有する第2の長尺状部材を備え、第1のステント拡張要素と第2のステント拡張要素はそれぞれ、上昇時形態に付勢されている。
【0016】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、ステント搬送システムは、遠位先端部から近位方向に延びるネジ式要素のネジ部を貫通して長
手軸方向に延びる第1の溝に配置された第1のバネであって、第1の長尺状部材の第1の端部の下に配置されて第1の長尺状部材を上昇時形態に付勢する第1のバネと、第1の長尺状部材は、第1のステント拡張要素が後退時形態にある時には、第1の溝の内方に配置され、外方シースの遠位端から遠位方向に延びるネジ式要素のネジ部を貫通して長
手軸方向に延びる第2の溝に配置された第2のバネであって、第2の長尺状部材の第1の端部の下に配置されて第2の長尺状部材を上昇時形態に付勢する第2のバネとを備え、第2の長尺状部材は、第2のステント拡張要素が後退時形態にある時には、第2の溝の内方に配置される。
【0017】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、ステント搬送システムは、外方シースの近位部から第1の長尺状部材の第1の端部に隣接して配置された遠位端まで延びて、第1の長尺状部材の一部に沿って摺動するように構成され、第1のステント拡張要素を上昇時形態から後退時形態に移動する、第1のスライダー要素と、外方シースの近位部から第2の長尺状部材の第1の端部に隣接して配置された遠位端まで延びて、第2の長尺状部材の一部に沿って摺動するように構成され、第2のステント拡張要素を上昇時形態から後退時形態に移動する、第2のスライダー要素と、を備える。
【0018】
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、第1のスライダー要素と第2のスライダー要素とは、個別に移動できる。
上記実施例のいずれか1つに代替的に又は追加的に、遠位先端部は、近位方向に延びるネジ式要素を備え、外方シースの遠位端は、遠位方向に延びるネジ式要素を備え、ステントシースは、遠位端と近位端にネジ切りされたキャビティを備え、前記ネジ切りされたキャビティは、近位方向と遠位方向に延びるネジ式要素を受承し、近位方向と遠位方向に延びるネジ式要素はそれぞれテーパ状をなす。
【0019】
実施形態に係る上記の概要は、本発明の開示する実施形態のそれぞれ、又は全ての実施態様を示すことを意図したものではない。以下の図面と詳細な説明が、上記実施形態をより具体的な例示する。
【0020】
以下の図面は、必ずしも縮尺通りではなく、異なる図面の類似する構成要素には、同じ符号が付されている。図面は、一般に例示することを目的として本明細書で説明する複数の実施形態を示したものであり、限定することを意図したものではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、様々な変更形態と代替形態とが可能であるが、それらのうちの特別なものが例示することを目的として図面に示され、且つ詳細に説明されている。しかしながら、これは、本発明を説明する具体的な実施形態に限定することを意図したものではない。逆に、これは、本発明の主旨および範囲内に入る全ての変更形態と、均等形態と、代替形態とをカバーすることを意図したものである。
【0023】
以下に定義する用語については、請求項又はこの明細書のいずれかにおいて異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。一定の用語の定義は、異なる定義が請求項又は本明細書のいずれかで与えられない限り、以下に与えられ、且つ、適用されるものとする。
【0024】
本明細書では、明示の記載の有無に関わらず、全ての数値範囲は「約」という用語で修飾されると想定されている。「約」という用語は、一般に当業者が記載されている値に均等であると考える数値範囲をいう(つまり同一の機能又は結果を有する)。多くの場合において、「約」の用語は、最も近い有効数字に四捨五入される複数の数字を含むことを示す。終点による数値範囲には、その範囲に入る全ての数字が含まれる(例えば1〜5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる)。
【0025】
様々な構成要素や、要素や、特徴に対して好適な大きさや範囲や値が記載されているが、当業者であれば、本願を引用して、明示の記載から所望する寸法や範囲や値を導き出せることが理解できる。
【0026】
本明細書や添付の請求項で使用されているように、「a(ひとつの)」、「an(ひとつの)」、「the(その)」の単数形には、反対のことが明記されていない限り、単数だけでなく複数の対象物も含まれる。本明細書や添付の請求項で使用されているように、「or(または)」の用語は、明示の記載に関わらず「and/or(及び/又は)」を含んで使用される。
【0027】
本明細書において「一実施形態」、「一実施例」、「いくつかの実施形態」、「いくつかの実施例」、「別の実施形態」、「別の実施例」などの記載は、説明する実施形態又は実施例が1つ以上の特定の要素や、構造や、特性を備え得ることを示す。しかしながら、そのような記載は、全ての実施形態又は実施例が、特定の要素や、構造や、特徴を備えることを必ずしも意味していない。また、特定の要素や、構造や、特徴が、一実施形態又は一実施例と関連付けて説明されている場合には、そのような要素や、構造や、特性は、明示の記載の有無に関わらず、反対のことが明記されていない限り、別の実施形態や実施例との関連で使用することができる。
【0028】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まなければならない。異なる図面の類似する要素には、同一の付号が付されている。詳細な説明、及び、必ずしも縮尺通りではない図面は、例示的な実施形態を示すものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。図に示す実施形態は、単なる例示である。任意の図に示す実施形態の選択した要素は、反対のことが明記されていな限り、別の実施形態に組み込むことができる。
【0029】
図1はステント搬送装置100を示し、同装置100は外方シース110と、ステントシース105と、ステントシース105と外方シース110の内方を貫通して長
手軸方向に摺動可能に延びる内方部材120とを含む。内方部材120は、遠位端に固定された遠位先端部122を備える。外方シース110は、ステントシース105と遠位先端部122とを含む遠位端の一部を除いて装置100の大部分を覆っている。外方シース110は、内方を貫通して延びる1つ以上のルーメン114を備える可撓性チューブであることを特徴とする。外方シース110と内方部材120の近位端は、ハンドルアセンブリ150の構成要素に固定、又は連結される。
【0030】
内方部材120は、外方シース110のルーメン114の内方と中空状の管状のステントシース105の内方を貫通して延びる可撓性チューブである。ルーメン114、又は1つ以上の追加的なルーメンには、搬送装置100をナビゲートしたり搬送装置100の1つ以上の構成要素を駆動することを補助する為にプルワイヤ(図示せず)等の案内要素が配置され得る。装置100は、限定ではないが、血管用途、又は胆道、食道、又は結腸用途などの胃腸管での使用を含む様々な医療用途に使用する為の寸法で形成され、且つ、構成される。
【0031】
内方部材120の近位端は、ハンドルアセンブリ150のハンドル130に固定、又は連結される。内方部材120は、近位ノブ152と遠位先端部122の間に延びる管状部を備え、この管状部は、外方シース110のルーメン114の内方と、ステントシース105の内方を貫通して延びる。内方部材120は、内方を貫通して延びるガイドワイヤルーメンなどの、少なくとも1つのルーメン124を備える。例えば、ルーメン124は、内方部材120と先端部122の全長に沿って延びる。いくつかの場合には、ステント搬送装置100は、ガイドワイヤ(図示せず)上を移動され、ガイドワイヤはルーメン124の中に受承される。
【0032】
ステントシース105は、外方シース110と遠位先端部122との間に長
手軸方向に沿って配置される。例えば、ステントシース105は、
図1に示すように、近位連結部145で外方シース110の遠位端112に対して離脱可能に連結され、且つ、遠位連結部140で遠位先端部122の近位端123に対して離脱可能に連結される。ステントシース105と、外方シース110と、遠位先端部122との間における離脱可能な連結として、螺合方式が一例として挙げられる。近位連結部145と遠位連結部140を別個に、且つ、独立して離脱可能にする為に、連結部は逆向きにネジ切りがなされている。例えば、遠位連結部140は、右ねじ128であり、近位連結部145は左ねじ118である。このような構成により、遠位連結部140は、ハンドルを用いて、外方シース110とステントシース105に対して右、即ち時計回りに内方部材120(と遠位先端部122)を回転することによって離脱される。近位連結部145は、内方部材ハンドル130、ステントシース105、内方部材120、及び遠位先端部122に対して外方シース110を右、即ち時計回りに回転することにより離脱される。外方シース110は、近位端で直接把持することができ、内方部材120は、ノブ152又はハンドル130を把持して回転することにより回転できる。代替的には、遠位連結部140が左ねじ128を有し、近位連結部が右ねじ118を有してもよい。そのような構成では、構成要素間の相対的な回転の方向は逆転する。遠位連結部145と近位連結部140とのねじ切りを逆向きにすることにより、一度にステントシース105の一端だけ(連結部の一方のみ)を取り外すことができる為、ステントの遠位から先に展開すること(遠位側から近位側に)と近位から先に展開すること(近位側から遠位側に)のいずれか一方が可能になる。言い換えると、ステントシース105は、分離される連結部に依って、内方部材120(遠位先端部122を介して)、又は外方シース110のいずれかに連結されたままで維持される。
【0033】
いくつかの例では、ハンドルアセンブリ150は、
図2に示すように、内方部材120の近位端に配置されたノブ152を備える。ノブ152を回転すると、内方部材120は、外方シース110に対して回転する。
図3に示し、以下に説明するように、この回転は、外方シース110の周方向に延びるスロット115によって提供される。
【0034】
図3は、ハンドルアセンブリ150の例に係る要素を示す。要素には、外方シース110の内方に配置された連結体154と外方シース110の外周に沿って配置されたハンドル130とが含まれる。ハンドル130は、内方に延びるピン132を備える(
図4参照)。ピン132は、外方シース110のスロット115と連結体154の壁の開口部156の中を貫通して延びて、内方部材120に固定される。内方部材120と連結体154とハンドル130とは、周方向及び軸方向の双方に共に移動できる。装置使用者は、内方部材120の近位端のハンドル130又はノブ152のいずれか一方を回転することにより外方シース110に対して内方部材120を回転し得る。ハンドル130を回転すると、ピン132は、スロット115に沿って移動する。スロット115は、長尺状チャンネル111に連結されて連通している。内方部材120は、ハンドル130又はノブ152のいずれか一方を移動することにより外方シース110内で軸方向に摺動可能である。ピン132は、ハンドル130が外方シース110に対して軸方向に移動すると、長尺状チャンネル111に沿って移動する。
【0035】
連結体154は、外面から外方に延びる複数の指状の突起158を備える。いくつかの例では、
図3,4に示すように、連結体154の外周の第1の半分の外周面に配置された突起158は、第1の方向に湾曲され、外周の第2の半分の外周面に配置された突起158は、第1の方向とは反対の第2の方向に湾曲されている。連結体154は、少なくとも1セットの対向する突起158を備える。
図3に示す例では、連結部154は、連結体154の長
手軸に沿って間隔をあけて配置された2つのセットの対向する突起158を備える。突起158は、連結体154が外方シース110に対して回転されると、外方シース110の内周面に沿って摺動する。突起158は、外方シース110の内方で内方部材120と連結体154の径方向の位置を保持しつつ、連結体154と固定された内方部材120とを外方シース110に対して回転可能にする。
【0036】
図4,5に示すように、突起158は、外方シース110の内周面から突出するバンプ113であって間隔をあけて配置されたバンプ113の2つのリングの間に適合する寸法にされる。
図4に示すように、バンプ113は、外方シース110の内面に沿って周方向に延びる。バンプ113は、連結体154がバンプ113間に突起158を配置するように回転された際に、突起158が隣接するバンプ113間を通過するのに十分な距離だけ周方向に互いに間隔をあけて配置され、
図5,6に差で示すように、連結体154に固定された内方部材120は、遠位方向に移動される。いくつかの例では、点や、円や、矢印などのマーク134がハンドル130の外面に形成され、マークは、ハンドル130や固定された内方部材120を遠位方向に前進させる回転方向の位置を示す。マークされた位置は、連結体154の突起158が隣接するバンプ113の間に配置される位置である。異なるマーク136は、360度の回転の開始点を表示する為に設けられる。
【0037】
図5は、最も近位の位置における内方部材120と固定された連結体154とハンドル130を示し、突起158は、バンプ113からなる周方向のリングの間であって軸方向にバンプ113に隣接して配置されることを示す。この位置では、ハンドル130と、連結体154と、内方部材120とは、外方シース110に対して回転可能であるが、突起158がバンプ113に軸方向に隣接して配置されている為、ハンドル130と、連結体154と、内方部材120とが外方シース110に対して軸方向に移動することは、防止されている。ハンドル130は、突起158が周方向に隣接するバンプ113の間に配置される位置に回転されると、ハンドル130は、次に、
図6に示す位置に遠位方向に移動される。
【0038】
図7は、代替的なハンドル部材を示す。チャンネル1111は、内方部材1120に沿って長
手軸方向に配置され、外方シース1110は、周方向に延びるスロット1115のみを備える。ハンドルアセンブリは、外方シース1110内のスロット1115と連結体1154の開口部1156の中を貫通して延びるピン(図示せず)を備えるハンドル1130を含む。ピンは、内方部材1120内の長
手軸方向のチャンネル1111に沿って摺動して、外方シース1110に対して内方部材1120の軸方向の移動を可能にする。外方シース1110は、近位ノブ1152を備え、連結体1154は、外方シース1110の内面に沿って摺動する突起1158を備える。内方部材1120の外方シース1110に対する回転移動は、ハンドル1130に結合されたピンがスロット1115の中を移動することにより形成される。この実施例では、ハンドル1130と連結体1154とは、回転移動するが、外方シース1110に対して軸方向には移動しない。軸方向の移動は、内方部材1120を移動することにより、ハンドル1130に結合されているピンがチャンネル1111に沿って摺動して、形成される。
【0039】
遠位先端部122のネジ式の近位端123と外方シース110のネジ式の遠位端112とは、
図1に示すようにほぼ円筒状にされる。代替的には、内方部材2120の遠位先端部2122のネジ式の近位端2123と、外方シース2110のネジ式の遠位端2112とは、
図8に示すようにステントシース2105の各端部のテーパ状をなすねじ式の端部2103に対応し、共にテーパ状をなす。遠位先端部2122のネジ式の近位端2123と外方シース2110のネジ式の遠位端2112とは、オス型のネジ部(外方ネジ)として図示され、ステントシース2105のテーパ状をなすネジ式の端部2103のメス型のネジ部(内方ネジ)に係合する。しかしながら、別の実施形態では、連結部の一方又は双方のオス型のネジ部とメス型のネジ部とは所望する場合には逆にしてもよい。テーパ状をなすネジ式の端部は、連結部において、ねじ式の遠位先端部2112又は外方シース2110と、ステントシース2105との間の迅速な着脱を可能にする。迅速な離脱を可能にする為にネジ山の数を少なくしてもよい。例えば、テーパ状のネジにしたりネジ山の数を少なくしたりすることにより、一回転(360度)以下の回転で内方部材2120、又は外方シース2110のネジ式の連結を完全に係合又は離脱し得る装置を形成することが可能である。いくつかの実施形態では、一回転の4分の3(270度)以下、一回転の2分の1(180度)以下、一回転の4分の1(90度)以下、又はそれ以下の回転でネジ式連結を完全に係合又は離脱し得る。
【0040】
内方部材120は、内方部材120の遠位部に沿って遠位先端部122の近位に配置された少なくとも1つのステント受承部126を備える。ステント200は、ステント受承部126で内方部材120上に配置されて内方部材120を包囲するため、内方部材120は、ステント200の中を貫通して延び、ステントシース105は、ステント200を包囲する。ステント200は、自己拡張型ステントであり、ステントシース105がステントから除去されると、収縮時形態から拡張時形態に自動的に拡張するように構成される。ステント200は、ニチノール(登録商標)などの金属合金や、スプリングスチール、弾性ポリマー、又は自己拡張型ステントを製造する為に当該技術分野で周知なその他の材料で形成され得る。ステントシース105は、ステントシース105が移動されてステント200を露出するまで、ステント受承部126に収縮時直径の搬送時形態で自己拡張型ステント200を保持する。別の実施例では、ステント200は、手動で拡張され得る。
【0041】
ステント200は、遠位端210、近位端220、又はその双方に配置された放射線不透過性マーカーなどの1つ以上のマーカー(図示せず)を有し得る。マーカーが、ステント200の近位端と遠位端220,210の双方に存在する場合には、マーカーは、同一であってもよいし異なっていてもよい。加えて、アライメントマーカー(図示せず)が、要素間の相対的な回転方向やトルク方向を示す為に外方シース110や内方部材120に配置されてもよい。アライメントマーカーは、放射線不透過性であり、所望に従って装置の長さに沿って任意の部位に配置されてもよい。
【0042】
遠位連結部140、又は近位連結部145のいずれか一方の連結が解除(例えばネジを外す、ネジを抜く)されると、ステント200は、遠位先端部122と外方シース110とを互いに長
手軸方向に離間する方向に移動することにより、ステントシース105から露出、又は展開される。この長
手軸方向の移動は、外方シース110を動かないように保持して遠位方向に内方部材120を前進したり、内方部材120を動かないように保持して近位方向に外方シース110を後退することにより、実現することができる。
【0043】
ステント200は、遠位連結部140でステントシース105から遠位先端部122を離脱(例えばネジを外す、ネジを抜く)した後、
図9に示すように外方シース110を近位方向に後退する(ステントシース105に沿って)ことにより、遠位から近位方向に展開される。代替的には、内方部材120を遠位方向に前進することにより、ステントシース105の遠位端からステント200を露出し得る。ハンドル130は、遠位先端部122を時計回りに回転して遠位連結部140を離脱する(例えばネジを外す、ネジを抜く)為に、矢印135で示すように、時計回りに回転される。遠位先端部122がステントシース105の遠位端107から離脱されると、外方シース110とステントシース105とは、ハンドル130を動かないように保持した状態で、近位方向に後退される。ハンドル130は、位置130’まで長尺状チャンネル111に沿って摺動される。ステントシース105が遠位先端部122から近位方向に移動されると、ステント200の遠位端210が最初に露出され、ステント200は遠位から近位方向に拡張する。ステント200が完全に露出されて完全に拡張すると、内方部材120と遠位先端部122とは、拡張したステント200の中を近位方向に後退されてステントシース105に連結され(例えばネジを止める、又はネジをしめる)、装置100は、ステント200を体内に留置して患者の体内から除去される。
【0044】
ハンドル130は、内方部材120と遠位先端部122とに対して回転運動を与える為に、外方シースに対して回転できる。内方部材120は、外方シース110やハンドルアセンブリ150内で長尺状チャンネル111に沿ってハンドル130を移動することにより外方シース110に対して長
手軸方向に前進、後退される。ハンドル130の一部は長尺状チャンネル111の中を貫通して延びて内方部材120に固定される。長尺状チャンネル111の長さは、遠位先端部122がステントシース105の遠位端107から分離される位置であって、ステント200の長さよりも長い距離を、長
手軸方向にハンドル130を移動させるのに十分なものである。
【0045】
ステント200は、近位連結部145でステントシース105から外方シース110を離脱(例えばネジを外す、又はネジを抜く)して、
図10に示すように内方部材120を外方シース110に対して遠位方向に前進することにより、近位側から遠位側に展開できる。代替的には、外方シース110を近位方向に後退することにより、ステント200をステントシース105の近位端から露出し得る。ハンドル130は、ステントシース105を反時計回りに回転して近位連結部145の連結を解除する(例えばネジを外す、又はネジを抜く)為に、矢印137で示すように、反時計回りに回転される。外方シース110がステントシース105の近位端109から離脱されると、内方部材120と連結されたステントシース105とは、ハンドル130を長尺状チャンネル111に沿って移動することにより、遠位方向に移動され、外方シース110は動かない状態で保持できる。代替的には、外方シース110が近位方向に移動される。ステントシース105が外方シース110から遠位方向に移動されると、ステント200の近位端220が最初に露出されて、ステント200は、近位から遠位方向に拡張する。ステント200が完全に露出されて完全に拡張されると、内方部材120と遠位先端部122とステントシース105とは、拡張したステント200の中を近位方向に後退されて、外方シース100に係合されて(例えばネジをしめる、またはネジをする)、装置100は、ステント200を体内に留置して患者の体内から除去される。
【0046】
ステント200は、自己拡張型であってもよいし、又はバルーン(図示せず)のように装置と共に手動で拡張されてもよい。いくつかの場合には、ステント拡張器160a(
図14に示す)が遠位先端部122の近位端123に設けられたり、ステント拡張器160b(
図12に示す)が外方シース110の遠位端112に設けられる。
図11は、ステント拡張器160a/160bの要素を示す。ステント拡張器160a/160bは、チャンネル、又は外方シース110のネジ式の遠位端112に形成された溝166aや遠位先端部122の近位端123に形成された溝166bにその一端が固定された長尺状部材を備え得る。ステント拡張器160a/160bの第2の自由端は、拡張時にステント200の位置を調節する為に使用される拡大先端部162a/162bを備え得る。溝166b内のステント拡張器160bの下には、バネ164bが配置され、
図13に示すように、ステント拡張器160bを上昇した位置であって径方向外方の位置に付勢する。別の実施形態では、ステント拡張器160bは、弾性材料で形成され、ステント拡張器160bを上昇した位置であって径方向外方の位置に付勢する。
図12,13は、外方シース110の遠位端112に固定されたステント拡張器160bの駆動の様子を示す。遠位先端部122の近位端123に固定されたステント拡張器160aも同様に構成され得ることに留意されたい。ステントシース105は、
図12に示すようにステント200を覆って配置されると、ステントシース105は、ステント拡張器160bを下方に溝166bの中に押してバネ164bを圧縮する為、ステント拡張器160bは、ステントシース105と外方シース110の遠位端112との間のネジ式の連結に干渉しなくなる。ステントシース105がステント200から遠位方向に前進されると、バネ164bが伸張して、ステント拡張器160bは、付勢された形態に復帰して、先端部162bは、ステント200の近位端部の内面に接触してステント200に対して径方向外方に力を及ぼして、
図13に示すようにステント200が近位方向から拡張し始めることを補助し得る。別例では、ステント拡張器160bの弾性により、ステント拡張器160bがステントシース105により非拘束状態にされると上昇した形態に復帰する。ステント拡張器160bは、ステント200が自己拡張型であるか手動で拡張されるかに関わらず、ステント200の拡張を補助し得る。更には、ステント拡張器160bの先端部162bは、ステント200の最終的な位置を調整することが望まれる場合には、完全に拡張されたステント200を移動する為に使用することもできる。いくつかの例では、ステント拡張器160bの先端部162bは、ステントシース105がステントシース105からステント200の展開を容易にする為にステント200に対して長
手軸方向に移動された際に、ステント200の内面に接触し得る。
【0047】
ステント200が完全に拡張されると、ステント拡張器160bを、溝166b内に収縮時形態に戻さなければならない。外方シース110の遠位端112に固定されたステント拡張器160bについては、これは、外方シーススライダー170をステント拡張器160b上で遠位方向に移動することによって(例えばステント拡張器160bの径方向の外面に沿って)、達成することができ、そのような移動により、ステント拡張器160bを径方向内方に下方に溝166bの中に押すことができる。
図13では、外方シーススライダー170は後退位置にあり、外方シーススライダー170の遠位端は、ステント拡張器160bの直ぐ近位に位置している。外方シース110の中を貫通して延びるハンドル174又はその他の駆動体は、外方シーススライダー170の近位端に連結され、ステント拡張器160bに沿って遠位方向に外方シーススライダー170を移動する為に遠位方向に前進されるように構成される。外方シーススライダー170は、ステント拡張器160bを溝166bの中に下方に押すのに十分な硬さを有する、ほぼ平坦で薄い要素である。外方シーススライダー170は、外方シース110のルーメン内で移動し得る。外方シース110やハンドルアセンブリ150の壁を貫通するチャンネル176は、ハンドル174が前後方向に移動して外方シーススライダー170を駆動可能にする。
【0048】
図14は、遠位先端部122の近位端123に固定されたステント拡張器160aを示す。内方部材120は、ステントシース105から遠位方向に離間して示されている。ステント200は、明確性の為に除去されている。外方シース110の遠位端112にある為、ステント拡張器160aは、ステント拡張器160aの下のバネ164aと共に、チャンネル又は遠位先端部122のネジ式近位端123に形成された溝166aにその一端で固定され得る。バネ164aは、
図14に示すように、上昇した位置、つまり径方向外方の位置にステント拡張器160aを付勢し得る。別の実施形態では、ステント拡張器160aは、弾性材料で形成され、ステント拡張器160aは、上昇した位置、つまり径方向外方の位置に付勢される。拡大先端部162aは、ステント拡張器160aの自由端に結合、又は設置される。
図14に遠位先端部122の拡大断面図に示すように、内方部材スライダー180が遠位先端部122に配置される。内方部材スライダー180は、内方部材120の第2のルーメン125内であってガイドワイヤルーメン124に隣接して配置されたスライダー延伸部182に固定される。代替的には、スライダー延伸部182は、ガイドワイヤルーメン124内に配置される。スライダー延伸部182の近位端は、ハンドル184(
図15に示す)、又は外方シース110やハンドルアセンブリ150のチャンネル186の中を貫通して延びる別の駆動体に固定される。ハンドル184が最も遠位の位置にある時には、内方部材スライダー180は、
図14に示すようにステント拡張器160aの遠位にあり、ステント拡張器160aは、上昇時形態をとる。ハンドル184が近位方向に移動されると、内方部材スライダー180は、ステント拡張器160aの上を近位方向に移動され(例えば、ステント拡張器160aの径方向に外面に沿って)、ステント拡張器160aを下方に溝166aの中に押す。外方シース110上の外方シーススライダー170と同様に、遠位先端部122の内方部材スライダー180とスライダー延伸部182とは、ステント拡張器160aを下方に遠位先端部122の近位端123の溝166aの中に押すのに十分な硬さを有する、ほぼ平坦で薄い要素である。
【0049】
図9に示すように、ステント200が遠位側から拡張する間には、ステント105がステント200から近位方向に後退されると、バネ164aが延びて、ステント拡張器160aは付勢された位置に復帰し、先端部162aは、ステント200の遠位端領域の内面に接触してステント200に径方向外方の力を及ぼして、遠位方向から拡張するステント200を支援する。別例では、ステント拡張器160aの弾性により、ステント拡張器160aは、ステントシース105に非拘束にされると、上昇位置の方に向かって復帰される。ステント拡張器160aは、ステント200が自己拡張型であるか手動で拡張されるかに関わらず、ステント200を拡張するのを補助し得る。更に、ステント拡張器160aの先端部162aは、ステント200の最終の位置を調節することが望まれる場合には、完全に拡張されたステント200を移動することに使用することもできる。
【0050】
図9に示すように、外方シーススライダー170に連結されたハンドル174がチャンネル176の遠位端の近くに配置されると、外方シーススライダー170は、ステント拡張器160bを覆って遠位方向に配置され、且つ、ステント拡張器160bを溝166bの中に押すことにより、ステントシース105がステント200の近位端から外れることを可能にする。内方部材スライダー180に連結されたハンドル184は、チャンネル186の遠位端の近くに配置され、これは、内方部材スライダー180がステント拡張器160aの遠位方向に後退されたことを示し、
図14に示すように、ステント拡張器160aは、上昇した位置に位置可能にする。ステント拡張器160aは、遠位から近位方向に拡張するステント200を補助する位置にある。ステント200が完全に拡張されると、ハンドル184は、チャンネル186に沿って近位方向に移動されて内方部材スライダー180を近位方向に移動して、ステント拡張器160aを溝166aの中に押す。ステント拡張器160aが押された位置にある時には、遠位先端部122は、拡張されたステント200の中を貫通して近位方向に後退される。遠位先端部122は、次にステントシース105の遠位端に連結されて(例えばネジを締める又はネジをする)、装置全体は後退される。
【0051】
ステント200が近位から遠位方向に拡張する間には、
図10に示すように、遠位先端部122と連結されたステントシース105とは外方シース110から遠位方向に前進されると、バネ164aが延びて、ステント拡張器160bを付勢された上昇時形態に復帰させて、遠位先端部162bは、ステント200の近位端領域の内面に接触してステント200に径方向外方に力を及ぼし、ステント200が近位側から拡張することを支援する。別例では、ステント拡張器160bの弾性により、ステント拡張器160bは、ステントシース105によって非拘束時にされると上昇時形態に復帰される。ステント拡張器160bは、ステント200が自己拡張型であるか手動で拡張されるかに関わらず、ステント200の拡張を補助する。加えて、ステント拡張器160bの先端部162bは、ステント200の最終的な位置の調節が望ましい場合には、完全に拡張したステント200を動かす為にも使用し得る。
【0052】
図10に示すように、外方シーススライダー170に連結されたハンドル174がチャンネル176の近位端の近くに配置されると、外方シーススライダー170はステント拡張器160bの近位に後退されて、ステント拡張器160bが
図13に示すように上昇時形態を取ることが可能になる。ステント拡張器160bは、ステント200が近位から遠位方向に拡張するのを支援する位置にある。内方部材スライダー180に連結されたハンドル184もチャンネル186の近位端の近くに配置され、内方部材スライダー180がステント拡張器160aを覆って近位方向に配置されると、ステント拡張器160aを溝166aの中に押して、ステントシース105がステント200の遠位端から外れることを可能にする。
【0053】
ステント200が完全に拡張されると、ハンドル174は、チャンネル176に沿って遠位方向に移動され、外方シーススライダー170を遠位方向に移動して、ステント拡張器160bを下方に溝166bの中に押す。ステント拡張器160bが押し下げた位置にある時には、遠位先端部122と結合されたステントシース105とは、拡張されたステント200の中を通って後退される。遠位先端部122は、次にステントシース105の遠位端に係合されて(例えば、ネジを示す、又はネジをする)、装置全体が除去される。
【0054】
図15は、明確性の為にステントシース105とステント200とを除去して外方シース110と内方部材120を示す上面図である。外方シーススライダー170と内方部材スライダー180の双方は、各ステント拡張器160a/160bの上に延ばされて、ステント拡張器160b/160aを溝166b/166aの中に押す。これは、ハンドル174,184の位置により示されている。外方シーススライダー170に連結されたハンドル174がチャンネル176の遠位端の近くに配置されると、外方シーススライダー170は、外方シース110の遠位端112のステント拡張器160bの上を覆って遠位方向に延びる。ハンドル184は、内方部材スライダー延伸部182に連結されてチャンネル186の近位端の近くにあり、内方部材スライダー180は、遠位先端部122の近位端123上のステント拡張部160aの上を覆って近位方向に延びることを示す。装置は、内方に搭載されたステント200と共に、そのような構成で患者の体内の標的部位まで前進される。別例では、装置は、内方に搭載されたステント200と共に、患者の体内の標的部位まで前進され、ステント拡張器160a,160bがステント200の内面を径方向外方に押すように対向する位置にハンドルを備える。装置が所望する部位にある時には、装置使用者は、ステント200を近位から遠位方向、又は遠位から近位方向のいずれの方向で展開するかを決定し、その後、ステント200を展開し易くする為に、ハンドル174,184のいずれかを駆動する。
【0055】
本明細書で説明した搬送装置100の多様な構成要素や多様な管状部材に使用できる材料は、医療装置に一般に対応するものを含む。簡潔にすることを目的として、以下の説明は、外方シース110と内方部材120と装置100のその他の構成要素について行う。しかしながら、これは、本明細書に開示する装置や方法を限定することを意図したものではなく、説明は、別の類似する装置や本明細書に開示する装置の構成要素、又は装置に適用できる。
【0056】
本明細書で開示する装置/システムの多様な構成要素には、金属、金属合金、ポリマー(そのうちのいくつかの例を以下で説明する)、金属−ポリマー複合材料、セラミック、それらの組み合わせなど、又は別の好適な材料等が含まれる。好適な金属及び金属合金の例には、304V,304L,316LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性や超弾性ニチノールなどのニッケル−チタン合金;その他のニッケル合金、例えばニッケル−クロム−モリブデン合金(INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C−22(登録商標)などのUNS:N06022,HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276,その他のHASTELLOY(登録商標)合金)、ニッケル−銅合金(MONEL(登録商標)400,NICKELVAC(登録商標)400,NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(MP35−N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニッケル−モリブデン合金(HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665)、その他のニッケル−クロム合金、その他のニッケル−モリブデン合金、その他のニッケル−コバルト合金、その他のニッケル−鉄合金、その他のニッケル−銅合金、その他のニッケル−タングステン又はタングステン合金など;その他のコバルト−クロム合金;コバルト−クロム−モリブデン合金(ELGILOY(登録商標)PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003);プラチナ強化ステンレス鋼;チタン;それらの組み合わせ;等;又は任意の好適な物質が挙げられる。
【0057】
好適なポリマーの例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM,例えばDupont社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えばPolyurethane85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエール−エステル(例えばDSM Engineering Plastics社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルをベースとするコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートやDupont社から入手可能なHYTREL(登録商標)などのその他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(Bayer社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、又はElf Atochem社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(例えばPEBAX(登録商標)で入手可能なPEBA)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えばREXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PP)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えばKEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン−12(例えばEMS American Grilon社から入手可能なGRILAMID(登録商標))、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリビニリデンクロライド(PVdC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)(例えばSIBSやSIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、その他の好適な材料、又は混合物、組み合わせ、それらのコポリマー、ポリマー/金属複合材料、等が挙げられる。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)を含有可能である。例えば、混合物は、最大約6%のLCPを含有し得る。
【0058】
少なくともいくつかの実施形態では、搬送装置100や搬送システムの一部又は全部のその他の構成要素は、放射線不透過性物質でドープされ、形成され、又は含有し得る。放射線不透過性材料とは、医療処置中において蛍光透視法スクリーン又は別の画像化技術に比較的明るい画像を形成することができる物質であると理解できる。この比較的明るい画像は、搬送装置100の使用者が装置の位置を特定することを補助する。放射線不透過性物質の例には、限定ではないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤などを添加したポリマー材料などが含まれる。加えて、別の放射性不透過性マーカーバンドやコイルが、同一の結果を達成する為に搬送装置100の設計の中に組み込まれてもよい。
【0059】
本開示は、多くの点において単なる例示であることに留意されたい。詳細において、特に形状、寸法、及び工程の構成は、本発明の範囲を逸脱することなく、変更することができる。これは、適当な範囲内内で、ある実施形態の任意の要素を別の実施形態に使用することを含みうる。言うまでもないが、本発明の範囲は、添付の請求項において表現された文言で定義される。