特許第6840905号(P6840905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6840905
(24)【登録日】2021年2月19日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】使用電力量監視システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20210301BHJP
   G01R 11/00 20060101ALI20210301BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   G01R11/00 H
   G01R22/06 130E
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-542466(P2020-542466)
(86)(22)【出願日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】JP2020001155
【審査請求日】2020年8月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田根 昌弘
【審査官】 上田 威
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−021729(JP,A)
【文献】 特開2010−004265(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/079832(WO,A1)
【文献】 特開2004−286687(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/109972(WO,A1)
【文献】 特開平10−206199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G01R 11/00
G01R 22/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能を有する電力量計と、
施設に設置されている電気設備の制御を行うコントローラと、
を有し、
前記電力量計は、
電源投入時に、内部に保持している当該電力量計の識別情報を前記コントローラへ自動的に送信し、
計測した前記電気設備の使用電力量の積算値を示す検針値を定周期的に前記コントローラへ送信し、
前記コントローラは、
前記電力量計から前記検針値を取得する検針値取得手段と、
前記電力量計の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段が取得した最新の前記電力量計の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記検針値取得手段が取得した検針値を参照して前記電気設備の使用電力量を算出する使用電力量算出手段と、
を有し、
前記使用電力量算出手段は、
前記電力量計から取得した当該電力量計の識別情報が前記識別情報記憶手段に記憶されている前記電力量計の識別情報と一致しないことによって前記電力量計が交換されたことを検出し、
前記電力量計の交換を検出した場合、前記電力量計の交換の前と後に分けて使用電力量を算出し、算出した使用電力量を合算することで前記電気設備の使用電力量を算出する、
ことを特徴とする使用電力量監視システム。
【請求項2】
前記使用電力量算出手段は、
前記電力量計から取得した当該電力量計の識別情報が前記識別情報記憶手段に記憶されている前記電力量計の識別情報と一致することによって前記電力量計が交換されていないことを検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の使用電力量監視システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
記電力量計から取得した当該電力量計の識別情報を前記識別情報記憶手段に記憶すると、前記識別情報を記憶した旨を当該電力量計へ送信し、
前記電力量計は、
前記識別情報を記憶した旨を受けてから前記検針値を定周期的に前記コントローラへ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の使用電力量監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー使用量算出装置、使用電力量監視システム及びプログラム、特に電力量計等の計量メーターが交換されたときのエネルギー使用量の算出に関する。
【背景技術】
【0002】
施設に設置されている計量メーター、例えば電力量計の検針値によりその電力量計に紐付けられた電気設備の使用電力量を得ることができる。検針値は、電力量計が設置されてからの使用電力量の積算値を示すので、電力量計の検針値を取得するコントローラは、所定期間の始期の検針値と所定期間の終期の検針値との差分により所定期間における電気設備の使用電力量を得る。
【0003】
ところで、電気、ガス等のエネルギーの使用量を計測する計量メーターにおいて検針値を表すメーターの桁数は、予め決められている。例えば、桁数が5桁だとすると、計量メーターのメーターは、エネルギーの使用積算量を“00000”から“99999”までの値で示す。メーター値(つまり、検針値)は、“99999”まで達すると“00000”に戻る。計量メーターは、その後もエネルギー使用量の計測を続ける。例えば、所定期間の始期の検針値が“99990”、所定期間の終期の検針値が“00015”の場合、所定期間におけるエネルギー使用量は、25と求めることができる。
【0004】
ところで、計量メーターは、有効期限などの関係から新しい計量メーターへの交換が必要となる。新しい計量メーターの検針値は、通常“00000”である。新しい計量メーターの設置後に動作確認テストを実施した場合、交換後の計量メーターの検針値は、そのテスト時に使用した分のエネルギー使用量を示すことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−106645号公報
【特許文献2】特開2005−147766号公報
【特許文献3】国際公開2013/118282号
【特許文献4】実開平02−039175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、計量メーターが交換されたことを認識できないと、エネルギー使用量を正しく算出できない可能性が生じてくる。例えば、施設から撤去される古い計量メーターの検針値が“99990”であって、新しい計量メーターで計測を開始するときの検針値が“00015”の場合、設備の利用者は、エネルギーを全く使用していなくても検針値の差分から得られる25に相当するエネルギーを使用したと誤認されてしまう。
【0007】
本発明は、計量メーターが交換されたときでも計量メーターの検針値からエネルギーの使用量を正しく算出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る使用電力量監視システムは、通信機能を有する電力量計と、施設に設置されている電気設備の制御を行うコントローラと、を有し、前記電力量計は、電源投入時に、内部に保持している当該電力量計の識別情報を前記コントローラへ自動的に送信し、計測した前記電気設備の使用電力量の積算値を示す検針値を定周期的に前記コントローラへ送信し、前記コントローラは、前記電力量計から前記検針値を取得する検針値取得手段と、前記電力量計の識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記識別情報取得手段が取得した最新の前記電力量計の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記検針値取得手段が取得した検針値を参照して前記電気設備の使用電力量を算出する使用電力量算出手段と、を有し、前記使用電力量算出手段は、前記電力量計から取得した当該電力量計の識別情報が前記識別情報記憶手段に記憶されている前記電力量計の識別情報と一致しないことによって前記電力量計が交換されたことを検出し、前記電力量計の交換を検出した場合、前記電力量計の交換の前と後に分けて使用電力量を算出し、算出した使用電力量を合算することで前記電気設備の使用電力量を算出することを特徴とする。
【0010】
また、前記使用電力量算出手段は、前記電力量計から取得した当該電力量計の識別情報が前記識別情報記憶手段に記憶されている前記電力量計の識別情報と一致することによって前記電力量計が交換されていないことを検出することを特徴とする。
【0011】
また、前記コントローラは、前記電力量計から取得した当該電力量計の識別情報を前記識別情報記憶手段に記憶すると、前記識別情報を記憶した旨を当該電力量計へ送信し、前記電力量計は、前記識別情報を記憶した旨を受けてから前記検針値を定周期的に前記コントローラへ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、計量メーターが交換されたときでも計量メーターの検針値からエネルギーの使用量を正しく算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態における使用電力量監視システムを示す概略構成図である。
図2】本実施の形態におけるコントローラを示すブロック構成図である。
図3】本実施の形態におけるデータ記憶部に記憶されるデータの構成例を示す図である。
図4】本実施の形態において電力量計とコントローラとの間で実施されるデータ通信を示すシーケンス図である。
図5】本実施の形態において電力量計からデータが送られてきたときにコントローラが実施する処理を示すフローチャートである。
図6】本実施の形態における使用電力量算出処理を示すフローチャートである。
図7図3に示す検針値をグラフ形式にて示す図である。
図8】本実施の形態におけるデータ記憶部に記憶されるデータの構成の他の例を示す図である。
図9図8に示す検針値をグラフ形式にて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。本実施の形態では、電気、ガス、水道等のエネルギーの使用量を計測する計量メーターとして、電気設備の使用電力量を計測する電力量計を例にして説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態における使用電力量監視システムを示す概略構成図である。図1には、施設に設置されている電気設備における使用電力量を計測する電力量計1と、外部からの電力線と電力量計1との間に設置される主幹ブレーカー2と、負荷3とコントローラ10との間に設置される分岐ブレーカー4と、が示されている。主幹ブレーカー2は、配電盤内に設けられる。分岐ブレーカー4は、分電盤内に設けられる。負荷3は、外部からの電力が供給されて動作する上記電気設備に相当し、例えば、空調設備、照明設備等である。
【0017】
本実施の形態における電力量計1は、自計器の識別情報を内部に保持している。識別情報は、自計器固有の情報であり、例えば製造番号でもよい。また、電力量計1は、通信機能を有している。電力量計1は、電力線5を介してコントローラ10へデータを送信する。送信するデータは、自計器の識別情報及び検針値である。検針値は、電力量計1のメーターが示すメーター値であり、使用電力量の積算値を示す。検針値は、一般的には検針員が電力量計1のメーターが示すメーター値を読み取ることで得られる値である。本実施の形態では、電力量計1がスマートメーターである場合を想定しているので、検針員が検針を行う必要はない。本実施の形態では、「メーター値」と「検針値」を同義で用いる。
【0018】
本実施の形態におけるコントローラ10は、コンピュータにより形成される。すなわち、コントローラ10は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶手段、ネットワークインタフェース(IF)等の通信手段を有する。
【0019】
コントローラ10は、負荷3の動作を制御する制御装置である。図1では、便宜的に負荷3と分けて図示しているが、コントローラ10は、負荷3と同様に外部からの電力が供給されて動作する電気設備の1つである。コントローラ10に搭載される機能の1つに、使用電力量の算出機能がある。すなわち、本実施の形態におけるコントローラ10は、エネルギー使用量算出装置として設けられている。
【0020】
図2は、本実施の形態におけるコントローラ10を示すブロック構成図である。本実施の形態におけるコントローラ10は、データ受信部11、使用電力量算出部12、制御部13及びデータ記憶部14を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図示していない。
【0021】
データ受信部11は、電力線5を介して電力量計1から送られてくるデータを受信する。受信するデータは、前述したように電力量計1の識別情報及び検針値である。すなわち、本実施の形態におけるデータ受信部11は、検針値取得手段及び識別情報取得手段として設けられている。使用電力量算出部12は、データ受信部11が取得した検針値を参照して負荷3の使用電力量を算出する。図1に示すように、厳密には、電力量計1が計測する使用電力量には、コントローラ10における使用電力量も含まれるが、ここでは、含まれないものとして説明する。制御部13は、コントローラ10における制御全般を行う。
【0022】
図3は、本実施の形態におけるデータ記憶部14に記憶されるデータの構成例を示す図である。データ記憶部14には、データ受信部11が受信したデータに、受信日時が対応付けされ記憶される。前述したように、データ受信部11は、電力量計1の識別情報又は検針値を受信するので、図3に例示するように、データの受信日時には、識別情報(ID)又は検針値が対応付けして記憶される。なお、電力量計1は、検針値に識別情報を付加して送信してもよく、この場合、データ記憶部14には、受信日時に識別情報及び検針値の双方が対応付けして記憶される。また、図3において、「(電力量計の交換)」は、電力量計1が交換されたタイミングを示すものであってデータとしてデータ記憶部14に登録されない。
【0023】
コントローラ10における構成要素11〜13は、コントローラ10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、データ記憶部14は、コントローラ10に搭載された記憶手段にて実現される。あるいは、RAM又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0024】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0025】
次に、本実施の形態における動作について説明する。
【0026】
まず、システムの運用時には、電力量計1とコントローラ10との間でデータ通信が行われる。このデータ通信について図4に示すシーケンス図を用いて説明する。
【0027】
まず、電力量計1は、電源が投入されると、内部に保持している自計器の識別情報を、電力線5を介してコントローラ10へ自動的に送信する(ステップ11−1)。コントローラ10は、電力量計1から送信されてきた識別情報を受信すると、受信した識別情報に受信日時を付加してデータ記憶部14に保存する(ステップ12−1)。図3に示すように、データ記憶部14には、このシーケンスによりレコード31が登録される。そして、コントローラ10は、識別情報を保存した旨の通知を、電力線5を介して識別情報送信元の電力量計1へ返信する(ステップ13−1)。
【0028】
コントローラ10から上記通知を受けると、電力量計1は、自計器が示すメーター値、すなわち検針値を、電力線5を介してコントローラ10へ定周期的に送信する(ステップ14−1)。電力量計1は、例えば30分毎に検針値を送信する。
【0029】
コントローラ10は、電力量計1から送信されてきた検針値を受信すると、受信した検針値に受信日時を付加してデータ記憶部14に保存する(ステップ15−1)。
【0030】
前述した検針値の授受(ステップ14−1,15−1)は、電力量計1が施設から撤去されるまで繰り返し実施される。図3に示すように、データ記憶部14には、このシーケンスによりレコード群32が登録される。
【0031】
ここで、既設の電力量計1が有効期限などの関係から交換されたとする。つまり、既設の古い電力量計1が撤去され、新しい電力量計1が設置されることになる。そして、新しい電力量計1は、電源が投入されると、内部に保持している自計器の識別情報を、電力線5を介してコントローラ10へ自動的に送信する(ステップ11−2)。これに続く通信シーケンス(ステップ12−2〜15−2)は、既設の古い電力量計1の場合に説明したシーケンス(ステップ12−1〜15−1)と同じなので、説明を省略する。図3に示すように、データ記憶部14には、シーケンス(ステップ11−2〜12−2)によりレコード33が登録され、シーケンス(ステップ14−2〜15−2)によりレコード群34が登録される。
【0032】
次に、コントローラ10において電力量計1からデータが送られてきたときに実施する処理の詳細について図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0033】
コントローラ10は、電力量計1からデータが送られてくる前に起動され、起動時には初期化処理を実施する(ステップ111)。初期化処理としては、交換フラグをクリアすることを行う。交換フラグは、電力量計1の交換の有無を示すフラグ情報である。交換フラグがクリアの場合は、電力量計1が交換されていないことを意味する。
【0034】
データ受信部11が電力量計1から送信されてきたデータを受信すると(ステップ112)、そのデータが識別情報の場合(ステップ113でY)、データ受信部11は、受信日時に、受信した識別情報を対応付けてデータ記憶部14に保存する(ステップ114)。続いて、コントローラ10は、識別情報を保存した旨を電力量計1に通知する(ステップ115)。そして、制御部13は、交換フラグをセットする(ステップ116)。
【0035】
一方、受信したデータが検針値の場合(ステップ113でN)、データ受信部11は、受信日時に、受信した検針値を対応付けてデータ記憶部14に保存する(ステップ117)。
【0036】
コントローラ10は、電力量計1に電源が投入されることで自動送信される識別情報を受信することによって、電力量計1が交換されたと判断している。ただ、何らかの障害等の発生に応じて電力量計1に電源が再投入されることで、電力量計1が交換されなくてもコントローラ10が識別情報を受信する場合も考えられる。この場合、受信した識別情報とデータ記憶部14に記憶されている最新の識別情報とを比較し、一致していれば、電力量計1は交換されていないと判断し、交換フラグをセットしないように処理してもよい。
【0037】
以上のようにして、電力量計1から送信されてきた検針値がデータ記憶部14に保存されると、使用電力量算出部12は、データ記憶部14に保存されている検針値を参照して使用電力量を算出する。使用電力量は、一般に課金の際、例えば1月毎に算出される。以下、本実施の形態における使用電力量算出処理について図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0038】
まず、使用電力量算出部12は、起動されると交換フラグを参照する。交換フラグがセットされていない場合(ステップ121でN)、使用電力量算出部12は、従来と同様に通常の使用電力量算出処理を実施する(ステップ124)。すなわち、使用電力量算出部12は、所定期間(例えば、1月間)の始期の検針値と所定期間の終期の検針値との差分により所定期間における使用電力量を得る。
【0039】
交換フラグがセットされている場合(ステップ121でY)、使用電力量算出部12は、本実施の形態において特徴的な交換検出時使用電力量算出処理を実施する(ステップ122)。この処理について具体例を挙げて説明する。
【0040】
図7は、データ記憶部14に保存されている検針値をグラフ形式にて示す図である。図7では、横軸を時間、縦軸を検針値としている。そして、図7に示すグラフは、図3に示す検針値に対応したデータであり、T1を所定期間の始期、T4を所定期間の終期とする。T1における検針値は100、T4における検針値は120である。そして、既設の電力量計1が撤去される時点(T2)における検針値は150である。そして、新しい電力量計1が設置され、動作確認が終了し、使用電力量の計測が開始される時点(T3)における検針値は10である。ここでは、説明の便宜上、電力量計1のメーターが示しうる値は、“000”から“200”までの値とする。また、各時点T1〜T4以外の検針値は、所定期間における使用電力量の計算に必要でないため、図7では、便宜的にグラフを直線で示している。
【0041】
ところで、従来からの使用電力量算出処理に従うと、検針値は、所定期間の始期(T1)における100から最大値の200に達したことで0に戻り、そして所定期間の終期(T4)で120に達したと判断する。このため、使用電力量は、(200−100)+(120−0)=220[kWh]と算出する。
【0042】
これに対し、交換検出時使用電力量算出処理では、電力量計1の交換の前と後に分けて使用電力量を算出する。すなわち、電力量計1の交換の直前(T2)の検針値150から所定期間の始期(T1)の検針値100を差し引いて差分50、すなわち既設の古い電力量計1での計測に基づき使用電力量50[kWh]を算出する。続いて、電力量計1の交換の直後(T3)の検針値10と所定期間の終期(T4)の検針値120の差分110、すなわち新しい電力量計1での計測に基づき使用電力量110[kWh]を算出する。そして、交換前後の使用電力量を合算することで所定期間における負荷3の使用電力量を算出する。すなわち、使用電力量は、50+110=160[kWh]と算出する。
【0043】
従来からの使用電力量算出処理では、電力量計1が交換されていることを考慮していない。このため、検針値が電力量計1のメーター値の最大値まで達して0に戻ったとして使用電力量を算出する。また、新しい電力量計1の動作確認テストに使用した電力量も負荷3の使用電力量に加えている。このため、従来では、220−160=60[kWh]も余計に負荷3が電力を使用したものとして課金することになっていた。
【0044】
本実施の形態においては、電力量計1が交換されていることを考慮するようにし、電力量計1の交換の前と後に分けて使用電力量を算出するようにした。これにより、既設の電力量計1の撤去時点(T2)における検針値から新しい電力量計1の設置時点(T3)における検針値までの間における検針値の変動を除外することができ、使用電力量を正しく算出することができる。これにより、正しい課金を行わせることが可能となる。
【0045】
図8は、本実施の形態におけるデータ記憶部14に記憶されるデータの構成の他の例を示す図である。データ構成自体は、図3に示すデータと同じでよい。図9は、図8に示す検針値をグラフ形式にて示す図である。図9に示すグラフは、T5を所定期間の始期、T9を所定期間の終期とする。T5における検針値は170、T9における検針値は100である。そして、既設の電力量計1が撤去される時点(T7)における検針値は10である。そして、新しい電力量計1が設置され、動作確認が終了し、使用電力量の計測が開始される時点(T8)における検針値は30である。ここでは、上記と同様に電力量計1のメーターが示しうる値は、“000”から“200”までの値とする。また、各時点T5〜T9以外の検針値は、使用電力量の計算に必要でないため、図9では、便宜的にグラフを直線で示している。
【0046】
従来からの使用電力量算出処理に従うと、検針値は、所定期間の始期(T5)における170から時点T6において最大値の200に達したことで0に戻り、そして所定期間の終期(T9)で100に達したと判断する。このため、使用電力量は、(200−170)+(100−0)=130[kWh]と算出する。
【0047】
これに対し、交換検出時使用電力量算出処理では、電力量計1の交換の前と後に分けて使用電力量を算出する。まず、電力量計1の交換の前では、検針値は、所定期間の始期(T5)における170から時点T6において最大値の200に達したことで0に戻り、そして電力量計1の交換の直前(T7)の検針値10に達している。このため、電力量計1の交換の前の使用電力量は、(200−170)+(10−0)=40[kWh]と算出する。続いて、電力量計1の交換の直後(T8)の検針値30と所定期間の終期(T9)の検針値100の差分70、すなわち新しい電力量計1での計測に基づき使用電力量70[kWh]を算出する。そして、交換前後の使用電力量を合算することで所定期間における負荷3の使用電力量を算出する。すなわち、使用電力量は、40+70=110[kWh]と算出する。
【0048】
以上のようにして所定期間における負荷3の使用電力量を算出すると、制御部13は、交換フラグをクリアする(ステップ123)。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力量計1の交換の直後(T8)の検針値が電力量計1の交換の直前(T7)の検針値より大きい場合でも、また、検針値が電力量計1のメーターの最大値に達した場合でも、使用電力量を正しく算出することができる。
【0050】
上記説明では、所定期間として課金を行う1月を想定して説明したが、本実施の形態における交換検出時使用電力量算出処理は、任意の期間においても適用可能である。
【0051】
また、本実施の形態では、電力量計1としてスマートメーターを想定し、コントローラ10におけるデータ受信部11は、電力線5を介して電力量計1の識別情報及び検針値を電力量計1から取得するようにしたが、これに限る必要はない。例えば、データ受信部11は、他のコンピュータを経由してデータを取得するようにしてもよいし、検針員による入力データを取得するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施の形態においては、エネルギーの使用量を計測する計量メーターとして、電力量計を例にして説明したが、前述した交換検出時使用電力量算出処理は、計量メーターがガス、等他のエネルギーの使用量を計測する計量メーターであっても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 電力量計、2 主幹ブレーカー、3 負荷、4 分岐ブレーカー、5 電力線、10 コントローラ、11 データ受信部、12 使用電力量算出部、13 制御部、14 データ記憶部。
【要約】
計量メーターが交換されたときでも計量メーターの検針値からエネルギーの使用量を正しく算出できるようにする。コントローラ(10)は、電力量計(1)に電源が投入された時点で送信されてくる自計器の識別情報と定周期的に送られてくる検針値を受信すると受信日時を付加してデータ記憶部(14)に保存するデータ受信部(11)と、所定期間における負荷の使用電力量を算出する際に、所定期間内において電力量計(1)の交換が検出される場合、交換前後に分けて使用電力量を算出し、交換前後の使用電力量を合算することで負荷の使用電力量を算出する使用電力量算出部(12)と、を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9