【実施例】
【0131】
(実施例1)
作製の方法
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(CYT−0387)は、米国特許第8,486,941号およびPCT出願WO2012/071612に記載の通り合成することができる。
【0132】
CYT−0387二塩酸塩無水形態IからのCYT−0387二塩酸塩一水和物形態II
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(CYT−0387)二塩酸塩無水形態Iのメタノール中懸濁液に、モル過剰の水中塩酸を添加した。生じた固体を単離し、メタノールおよび水性の塩酸で洗浄して、CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIを生成した。
【0133】
CYT−0387遊離塩基からのCYT−0387二塩酸塩一水和物形態II
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(CYT−0387)遊離塩基のメタノール中懸濁液に、モル過剰の濃塩酸を添加した。得られた懸濁液に、N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(CYT−0387)二塩酸塩一水和物形態IIを任意選択で播種し、水を添加した。任意選択で播種したN−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(CYT−0387)二塩酸塩一水和物形態IIは、上に記載されている通り調製し得る。生じた固体を単離し、メタノールおよび水性の塩酸で洗浄して、CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIを生成した。
【0134】
CYT−0387遊離塩基からのCYT−0387一塩酸塩無水形態I
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(CYT−0387)遊離塩基のメタノール中懸濁液に、1.0モル当量の濃塩酸を添加した。生じた固体を単離し、メタノールで洗浄して、CYT−0387一塩酸塩無水形態Iを生成した。
【0135】
CYT−0387一塩酸塩無水形態IからのCYT−0387一塩酸塩無水形態III
CYT−0387一塩酸塩無水形態Iの懸濁液を、水/THF(30%水;v/v)中で撹拌する。生じた固体を単離し、水/THF混合物で洗浄して、CYT−0387一塩酸塩無水形態IIIを生成した。
【0136】
CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIからのCYT−0387一塩酸塩無水形態III
CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIの懸濁液をメタノール/水(30%水;v/v)中で撹拌する。生じた固体を単離し、メタノール/水混合物で洗浄して、CYT−0387一塩酸塩無水形態IIIを生成した。
【0137】
上記形態を、以下に記載されている手順を使用して、粉末X線回折パターン(XPPD)、示差走査熱量測定(DSC)、サーモグラフィー解析(TGA)、および動的蒸気吸着(DVS)を含めた、様々な分析技術により特徴付けた。
【0138】
粉末X線回折:XRPD分析は、銅放射線(CuKα、λ=1.5418Å)使用して回折計(PANanalytical XPERT−PRO、PANanalytical B.V.、Almelo、Netherlands)で行った。ゼロバックグランドプレートを備えたアルミニウムホルダーの中心に粉末状試料を堆積させることによって、分析用の試料を調製した。発電機を45kVの電圧および40mAのアンペア数で作動させた。使用したスリットは、Soller 0.02rad、抗分散1.0°、および発散であった。試料の回転速度は2secであった。スキャンを、2〜40°2θで15minの間、0.0167°2θのステップサイズで実施した。データ分析は、X’Pert Highscoreバージョン2.2c(PANalytical B.V.、Almelo、Netherlands)およびX’Pertデータビューアーバージョン1.2d(PANalytical B.V.、Almelo、Netherlands)により実施した。
【0139】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIについてのXRPDパターンが、
図5に表されている。
【0140】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IについてのXRPDパターンが、
図6に表されている。
【0141】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIについてのXRPDパターンが、
図7に表されている。
【0142】
様々なCYT−0387形態のXRPDピークは、上記表1に見出される。
【0143】
示差走査熱量測定:N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIの熱特性を、示差走査熱量測定(DSC)装置(TA Q1000、TA Instruments、New
Castle、DE、USA)を使用して評価した。約5〜10mgの固体試料を、各実験用のピンホールを開けた標準アルミニウム皿の中に配置し、50mL/minの窒素パージ下、10℃/minの速度で加熱した。データ分析を、Universal Analysis 2000バージョン4.7A(TA Instruments、New Castle、DE、USA)を使用して行った。融解熱分析を吸熱性融解ピークのシグモイド積分により行った。
【0144】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIについてのDSCが、
図8に表されている。
【0145】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IについてのDSCが、
図9に表されている。
【0146】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIについてのDSCが、
図10に表されている。
【0147】
熱重量分析:N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIの熱重量分析(TGA)を、TGA装置(TAQ500、TA Instruments、New Castle、DE、USA)で実施した。約5〜10mgの固体試料を各実験用に、開口したアルミニウム皿の中に配置し、60mL/minの窒素パージ下、10℃/minの速度で加熱した。データ分析を、Universal Analysis 2000バージョン4.7A(TA Instruments、New Castle、DE、USA)を使用して行った。
【0148】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIについてのTGAが、
図11に表されている。
【0149】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IについてのTGAが、
図12に表されている。
【0150】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIについてのTGAが、
図13に表されている。
【0151】
動的蒸気吸着:N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIの吸湿性を、動的蒸気吸着(DVS)装置(TGA Q5000 TA Instruments、New Castle、DE)を使用して室温で評価した。水の吸着および脱離を、室温で、0〜90%の範囲にわたる相対湿度(RH)の関数として検討した。チャンバー内の湿気を、初期レベルの50%RHから60%RHまで増加させ、固体と雰囲気が平衡に到達するまで保持した。平衡試験を、合格するまで継続し、さもなければ10時間後に終了した。この時点で、RHは、10%高く上昇し、このプロセスを、90%RHに到達して平衡化されるまで、繰り返した。この期間中、水の吸着をモニタリングした。脱離のために、相対湿度を類似の方式で低下させて、完全な吸着/脱離サイクルを測定した。すべての実験を、dm/dtモード(時間の経過による質量の変動)で作動させ、平衡化エンドポイントを決定した。約4mgの固体CYT−0387を使用した。データ分析を、Universal Analysis 2000バージョン4.7A(TA Instruments、New Castle、DE、USA)を使用して行った。
【0152】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIに対するDVSが、
図14に表されている。
【0153】
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(CYT−0387)二塩酸塩一水和物形態IIおよびN−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドCYT−0387)一塩酸塩無水形態Iについての単結晶X線結晶構造解析データが、以下の表2に要約されている。結晶のさらなる特徴付けからのデータが、以下の表3に要約されている。
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
本発明の様々な形態の顕微鏡画像を、Olympus偏光顕微鏡(BX−51、Olympus、Center Valley、PA、USA)を使用して取得した。試料を鉱油中に分散させ、530nm波長板を使用して交差偏光下で試験した(結果は示されていない)。
【0156】
(実施例2)
CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIを、100mg、150mg、および200mgのCYT−0387遊離塩基に相当する量で含む錠剤は、本明細書に記載される方法により調製することができる。CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIを、100mg、150mg、200mg、250mg、および300mgのCYT−0387遊離塩基に相当する量で含む錠剤を調製した。以下の表4は、このような錠剤の製剤化を要約している。
【表4】
*0.75%粒内、0.75%粒外ステアリン酸Mg
【0157】
表4の錠剤製剤は、没食子酸プロピルを含み、この没食子酸プロピルは、CYT−0387形態IIの酸化的分解の程度またはレベルを低下させ、CYT−0387形態IIの安定性の増加をもたらした。これは、CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIの分解の阻害または防止における異なる酸化防止剤の有望な効果を調査した研究から判定された。初期の研究において、3つの異なる作用機序の5種の酸化防止剤を試験した:フリーラジカルスカベンジャー酸化防止剤(没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT))、犠牲還元剤(アスコルビン酸)、および酸素捕捉剤(メタ重亜硫酸ナトリウム)。
【0158】
70%(v/v)50mM酢酸塩緩衝液(pH4.0)および30%(v/v)メタノール中に20μg/mLのCYT−0387二塩酸塩(dihydrochlorid)一水和物形態IIを含有する水溶液を、60℃で7日までの間、0.1%(w/v)酸化防止剤の不在下(対照として使用)および存在下でインキュベートした。0日目、5日目および7日目に、Zorbax SB−C8カラム(Phenomenex、Torrance、CA)を用いた逆相HPLCを使用して溶液を分析した。表7に示されているように、0.1%(w/v)のレベルでの没食子酸プロピル、BHA、またはアスコルビン酸の存在は、同じレベルでのBHTおよびメタ重亜硫酸ナトリウムと比べて、CYT−0387形態IIの分解を阻害または防止した。1パーセント未満のCYT−0387形態IIは、没食子酸プロピルまたはBHAの存在下で劣化した。0.1%アスコルビン酸については、干渉
により全部の分解生成物を判定することができなかったが、主要酸化分解生成物は観察されなかった(データは示されていない)。
【0159】
追加の研究では、より低い濃度である0.01%および0.001%(w/v)の没食子酸プロピル、BHA、およびアスコルビン酸のCYT−0387の安定性に対する効果を同じ条件下で試験した。これらの研究の結果が、表7に要約されている。結果は、0.01%(w/v)の酸化防止剤レベルにおいて、CYT−0387形態IIの増加した安定性が、没食子酸プロピルまたはアスコルビン酸の存在下で、60℃で7日まで観察されたことを示した。さらに、0.001%(w/v)酸化防止剤レベルにおいて、没食子酸プロピルの存在は、BHAおよびアスコルビン酸に比べて、CYT−0387の分解を低下させるか、または阻害した(表7)。これらの結果は、試験した酸化防止剤の中で、没食子酸プロピルが、CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIの分解を阻害または防止するのに最も有効であることを示した。
【0160】
【表7】
a 製剤中に存在した不純物を含む
b N/A:入手不能
【0161】
次に、0%、0.2%、0.5%、または1.0%の没食子酸プロピルの存在下、25℃/60%RH(相対湿度)または40℃/75%RHで、6カ月までの間、CYT−0387形態IIを含む100mg錠剤製剤の安定性を試験した。分解プロファイルを0カ月目、1カ月目、3カ月目、および6カ月目で判定した。40℃/75%RHで、6カ月までの間の研究の結果を表8に要約した。結果は、40℃/75%RHで、0.2%の没食子酸プロピルを有する、CYT−0387形態IIの100mgの錠剤製剤は、0%、
0.5%または1.0%の没食子酸プロピルを有するCYT−0387形態IIの100mgの錠剤製剤と比較して、増加した安定性を呈したことを示した。25℃/60%RHでの研究の結果は、CYT−0387形態IIの分解がまた、0.2%、0.5%、および1.0%での没食子酸プロピルで減少したことを示した(データは示されていない)。25℃/60%RHでの分解プロファイルに対して観察された傾向は、40℃/75%RHで観察されたものと類似していた。すなわち、0%、0.5%、および1%没食子酸プロピルと比較して、錠剤製剤中のCYT−0387形態IIの増加した安定性が0.2%没食子酸プロピルにおいて観察された(データは示されていない)。これらを一緒に考えると、これらの結果は、これらの研究で試験した酸化防止剤およびそのパーセンテージの中で、0.2%での没食子酸プロピルが、CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIの安定性の最適な(optional)レベルを提供したことを示している。
【0162】
【表8】
【0163】
(実施例3)
CYT−0387二塩酸塩一水和物形態II(100、150、200、および300mgの遊離塩基に相当する用量)を含む錠剤、ならびにCYT−0387二塩酸塩無水形態I(300mgの遊離塩基に相当する用量)を含むカプセル剤を、健康な対象の第1相単回用量研究において評価した。
【0164】
集中型PKおよびPDサンプリングを、投与後0.5時間から36時間まで行った。安全性を研究全体にわたりモニタリングした。混合効果モデルを使用したパラメトリック差異分析(ANOVA)を使用して、PKパラメータ(AUCおよびC
max)の自然対数変換にフィットさせた。AUCおよびC
maxに対して70%〜143%の等価境界を使用して、100mg、150mg、200mgおよび300mgのCYT−0387二塩酸塩一水和物形態II錠剤と、300mgのCYT−0387二塩酸塩無水形態Iカプセル剤との幾何平均の比に対して90%信頼区間を構築した。薬物動態データが表5に表されている。
【表5】
【0165】
(実施例4)
CYT−0387は、骨髄線維症を処置するための、現在調査中のヤヌスキナーゼ1および2(JAK1/JAK2)の選択的小分子阻害剤である。この研究は、ヒトにおける放射標識したCYT−0387の質量バランス/回復、代謝物プロファイル、薬物動態、および安全性を評価した。
【0166】
6人の健康な個人(対象)に、約100μCiの[
14C]−CYT−0387を含有する200mgのCYT−0387の単回経口投与を行った。最長21日まで、または2つの連続した試料の血漿放射能が検出境界を下回るまで、もしくは尿および糞便サンプリングを中断するまで、血液試料を収集した。尿/糞便試料は、21日まで、または≧90%の投与された用量が糞便および尿の中で回収されるまで、および2つの連続したサンプリング間隔における放射能が投与された用量の≦1%となるまで収集した。LC−MS/MSを使用して、CYT−0387および代謝物の血漿中濃度を測定し、全放射能を液体シンチレーションカウンティングで評価した。選択された尿試料、糞便試料、および血漿試料で代謝物プロファイリングを実施した。安全性評価を研究全体にわたり実施した。
【0167】
結果:CYT−0387は十分に許容された。研究の中断につながる等級3または4のAE、SAE、またはAEは報告されなかった。最も頻繁に報告されたAEはめまい、頭痛、および悪心であった。血漿中の最大濃度の薬物由来放射能が投与後2.5時間に観察された。血液中と血漿中との濃度比の平均値は、投与後24時間全体にわたり0.7〜0.9の範囲であり、放射能の血液細胞との低い関連を示している。放射能の全回収率は96.7%であった(糞便:69.3%;尿:27.5%)。循環している放射能は、主に代謝物M21(64.2%)、CYT−0387(17.3%)、および代謝物(M8:
5.8%;代謝物M19:5.2%;M5:2.7%;M28:2.5%;およびM20:2.3%)からなった。糞便に排泄された主構成成分は、CYT−0387(用量の12.6%)および他の代謝物(M21:用量の12.7%;共溶出するM19/M33:用量の7.1%)と共にM14(用量の21.4%)であった。糞便の中の残りの特定された10種の代謝物は、それぞれ用量の5%未満を占めた。尿の中で、代謝物M21は、主要の種(用量の11.5%)であり、低レベルの微量な代謝物が観察された。
【0168】
健康な対象における経口投与後、[
14C]−CYT−0387は、代謝物と変化していない親薬物の組合せとして、糞便の中に主に排除された。
【0169】
(実施例5)
CYT−0387は、ヤヌスキナーゼ1および2(JAK1/JAK2)の選択的小分子阻害剤であり、骨髄線維症を処置するために現在調査中である。骨髄線維症患者の第1/2相の研究において、300mgのCYT−0387カプセル剤1日1回が、好ましい利益:リスクプロファイルに基づく第3相用量として選択された。即時放出性錠剤製剤(CYT−0387錠剤)をさらなる臨床評価のために開発した。CYT−0387錠剤とカプセル剤との相対的バイオアベイラビリティーをこの研究で評価して、CYT−0387錠剤の第3相の用量を特定した。
【0170】
単回用量後のCYT−0387錠剤(100〜300mg)対カプセル剤(300mg)の薬物動態(PK)を健康な対象において評価した。治療用量を超える用量(400および800mg)でのCYT−0387錠剤PKもまた、摂食状態および絶食状態下で、および酸抑制剤(すなわち、オメプラゾール)を用いて評価した。集中的なPKサンプリングを、投与後36時間まで行った。安全性を研究全体にわたりモニタリングした。混合効果モデルを使用するパラメトリック差異分析(ANOVA)を使用して、PKパラメータ(AUCおよびC
max)の自然対数変換にフィットさせた。AUCおよびC
maxに対して70%〜143%の等価境界を使用して、100mg、150mg、200mgおよび300mgのCYT−0387錠剤PKと、300mgのCYT−0387カプセル剤との幾何平均の比に対して90%信頼区間を構築した。類似の手法を使用して、食物およびオメプラゾールの効果を評価した。
【0171】
200mgのCYT−0387錠剤は、300mgのCYT−0387カプセル剤に相当する血漿曝露を提供した(表6)。CYT−0387血漿曝露は、用量比例的より低く100から800mgへと増加した。低脂肪および高脂肪の食事を摂取すると、CYT−0387錠剤についてC
max(低脂肪および高脂肪の食事に対してそれぞれ38%および28%増加)およびAUC
inf(低脂肪および高脂肪の食事に対してそれぞれ16%および28%増加)が穏やかに増加した。オメプラゾールは、CYT−0387錠剤の曝露を、C
maxについて36%およびAUC
infについて33%減少させた。これらの差異は、臨床的に関連するとは考えられなかった。
【0172】
200mgのCYT−0387錠剤は、300mgのCYT−0387カプセル剤に相当する曝露を提供する。CYT−0387錠剤の血漿曝露は、用量比例的な方式より低く増加した。食物または酸抑制剤の臨床的に関連する効果はCYT−0387錠剤PKについては観察されなかった。
【表6】
%CV=変動係数(%);CI=信頼区間;データは必要に応じて丸め、有効数字3桁として示されている
【0173】
(実施例6)
本実施例は、M14(化合物3)、M8(化合物4)、M20(化合物12)、M21(化合物13)、化合物8および化合物10の調製について記載した。
【0174】
フラスコに4−(2−クロロピリミジン−4−イル)安息香酸(3.0g、12.8mmol)、4−モルホリノアニリン(morpholonoaniline)(2.7g、14.0mmo
l、1.1当量)、およびNMP(30mL)を充填した。得られた溶液を120℃で撹拌した。完了したら、反応物を冷却し、30mLの水性NaHCO
3を添加した。得られたスラリーを濾過し、水ですすぎ、真空下、45℃で乾燥させて、以下の構造を有する4−(2−((4−(3−オキソモルホリノ)フェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)安息香酸(化合物3)を得た:
【化6】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 13.21 (s, 1H), 9.85 (s, 1H), 8.62 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.28 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.10 (d, J = 8.2
Hz, 2H), 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 4.19 (s, 2H), 3.98 (m, 2H), 3.71 (m, 2H)
【0175】
フラスコに、化合物3(1.0g、2.43mmol)、TBTU(1.0g、3.15mmol、1.3当量)、グリシンアミド塩酸塩(0.32g、1.2当量)、DMSO(9mL)およびi−Pr
2NEt(0.65g、2.92mmol、1.2当量)を充填した。反応が完了したら、水(7.7mL)を添加し、得られたスラリーを濾過し、DMSO/水(2:1)および水ですすいだ。単離した固体を10mLのMeOH中で再スラリー化し、濾過し、MeOHで洗浄し、真空オーブン内、45℃で乾燥させて、以下の構造を有するN−(2−アミノ−2−オキソエチル)−4−(2−((4−(3−オキソモルホリノ)フェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(化合物4)を得た:
【化7】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 9.83 (s, 1H), 8.81 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.60 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.27 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.05
(d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.85 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.51 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.41 (bs, 1H), 7.32 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.06 (bs, 1H), 4.19 (s, 2H), 3.98 (m, 2H), 3.85 (d, J = 5.8 Hz, 2H), 3.72 (m,
2H);HRMS(ESI+):C
23H
23N
6O
4[M+H]
+の計算値:447.
18、実測値:447.19。
【0176】
{4−[(シアノメチル)カルバモイル]フェニル}ボロン酸(4.2g、20.6mmol)、2,4−ジクロロピリミジン(4.3g、28.8mmol)、炭酸カリウム(2.8kg、20.6mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとの錯体(1:1)(84mg、0.10mmol)の、アセトニトリル(21mL)および水(11mL)中の懸濁液に、N
2を30分間スパージした。反応が完了するまで、混合物を75℃に加熱した。混合物を60℃に冷却し、層を分離した。N−アセチルシステイン水溶液(6mL)を添加し、これに続いて水(15mL)を添加した。混合物を20℃に冷却した。固体を濾過し、H
2O/CH
3CN(3:1)で洗浄し、50℃で乾燥させることによって、以下の構造を有する4−(2−クロロピリミジン−4−イル)−N−(シアノメチル)ベンズアミドを得た:
【化8】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ 4.36 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 8.05 (m, J = 8.5 Hz, 2H), 8.24 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 8.32 (m, J = 8.5 Hz,
2H), 8.89 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 9.39 (t, J = 5.5 Hz, 1H).
HRMS(ESI+):C
13H
10ClN
4O[M+1]の計算値:273.15、実測値273.25。
【0177】
フラスコに、4−(2−クロロピリミジン−4−イル)−N−(シアノメチル)ベンズアミド(6.7g、24.6mmol)、2−((4−アミノフェニル)アミノ)エタノール(7.5g、49.3mmol、2.0当量)、i−Pr
2NEt(4.8g、36.9mmol、1.5当量)、およびDMSO(20mL)を充填した。得られた溶液を100℃で撹拌した。反応が完了したら、溶液を20℃に冷却し、次いで135mLの水に添加した。得られたスラリーを濾過し、70mLの水ですすいだ。固体をi−PrOH(70mL)中で再スラリー化した。得られたスラリーを濾過し、i−PrOHですすいだ。固体を真空下で乾燥させ、30mLのTHFに溶解し、50℃に加熱した。水(85mL)をゆっくりと充填し、スラリーを20℃に冷却した。生じた固体を濾過で単離し、THF/水(1:3)および水ですすぎ、40℃で乾燥させて、以下の構造を有するN−(シアノメチル)−4−(2−((4−((2−ヒドロキシエチル)アミノ)フェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(化合物8)を得た:
【化9】
1H NMR (DMSO-d
6): 9.33 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 9.24 (s, 1H), 8.48 (d,
J = 5.1 Hz, 1H), 8.24 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.01 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 6.58
(d, J = 8.9 Hz, 2H), 5.20 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 4.66 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 4.35 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 3.57 (q, J = 5.8 Hz, 2H),
3.08 (q, J = 5.8 Hz, 2H);HRMS(ESI+):C
21H
21N
6O
2[M+1]の計算値:389.17、実測値:389.27。
【0178】
フラスコに、4−(2−クロロピリミジン−4−イル)−N−(シアノメチル)ベンズアミド(4.0g、14.7mmol)、フェニレンジアミン(3.2g、29.3mmol、2.0当量)、i−Pr
2NEt(2.9g、22.1mmol、1.5当量)、およびDMSO(12mL)を充填した。得られた溶液を60℃で撹拌した。反応が完了したら、混合物を20℃に冷却し、次いで50mLの水に添加した。生成したスラリーを濾過し、水ですすぎ、これに続いてi−PrOHですすいだ。固体をi−PrOH(50mL)中で再スラリー化し、濾過し、i−PrOHですすぎ、40℃で乾燥させて、以下の構造を有する4−(2−((4−アミノフェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)−N−(シアノメチル)ベンズアミド(化合物10)を得た:
【化10】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 9.33 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 9.21 (s, 1H), 8.47 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.24 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.01
(d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 6.56 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.78 (bs, 2H), 4.36 (d, J = 6.4 Hz, 2H);HRMS(ESI+):C
19H
17N
6Oの計算値[M+H]:345.15、実測値345.28。
【0179】
フラスコに、4−(2−クロロピリミジン−4−イル)−N−(シアノメチル)ベンズアミド(4.0g、14.7mmol)、4’−アミノアセトアニリド(2.6g、17.6mmol、1.2当量)、i−Pr
2NEt(2.9g、22.1mmol、1.5当量)、およびDMSO(12mL)を充填した。得られた溶液を120℃で撹拌した。反応が完了したら、混合物を20℃に冷却し、MeOH(30mL)をゆっくりと添加した。得られたスラリーを濾過し、MeOHですすいだ。固体を40mLのMeOH中で再スラリー化し、濾過し、MeOHですすぎ、40℃で乾燥させて、以下の構造を有する4−(2−((4−アセトアミドフェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)−N−(シアノメチル)ベンズアミド(化合物12)を得た:
【化11】
1H NMR (DMSO-d
6): 9.82 (s, 1H), 9.64 (s, 1H), 9.33 (t, J = 5.5 Hz,
1H), 8.57 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.28 (d, J = 8.1 Hz, 2H), (8.04,
J = 8.5 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.45 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.36 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 2.03
(s, 3H);HRMS(ESI+):C
21H
19N
6O
2[M+1]の計算値:387.16、実測値:387.28。
【0180】
4−(2−クロロピリミジン−4−イル)−N−(シアノメチル)ベンズアミド(2.0g、7.2mmol)、4−(4−アミノフェニル)モルホリン−3−オン(1.4g、7.2mmol)および二塩化亜鉛(98mg、0.72mmol)のN−メチルピロリジノン(10mL)中の混合物を、N
2で10分間スパージし、次いで、反応が完了したとみなされるまで90℃に加熱した。混合物を50℃に冷却し、次いで、この反応混合物に水(15mL)をゆっくりと添加した。得られたスラリーを20℃に冷却し、固体を濾過し、水ですすぎ、乾燥させた。固体を15mLのDMSOに溶解し、50℃に加熱した。メタノール(25mL)を混合物に添加し、次いで20℃に冷却した。生じた固体を濾過し、MeOHですすぎ、真空下、60℃で乾燥させて、以下の構造を有するN−(シアノメチル)−4−(2−{[4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]アミノ}ピリミジン−4−イル)ベンズアミド(化合物13)を得た:
【化12】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ 9.83 (s, 1H), 9.34 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 8.62 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.30 (m, J = 8.6 Hz, 2H), 8.04 (m, J = 8.6 Hz, 2H), 7.85 (m, J = 8.9 Hz, 2H), 7.51 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.33 (m, J = 8.9 Hz, 2H), 4.36 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 4.20 (s, 2H), 3.98 (dd, J = 5.9, 4.19 Hz, 2H), 3.62 - 3.79 (m, 2H).
HRMS(ESI+):C
23H
21N
6O
3[M+1]の計算値:429.17、実測値:429.0。
【0181】
(実施例7)
この研究は、HepG2細胞、肝細胞癌細胞株中のヘプシジン産生に対するCYT−0387の効果を特徴付けた。骨形態形成タンパク質(BMP)は、構成的に活性のあるII型BMP受容体キナーゼ(BMPR−キナーゼ)とI型BMPR−キナーゼとの連結を促進することによって、肝細胞中のヘプシジンの転写誘導に関与していることが示されている(Andriopoulosら、Nat Genet、2009年、41巻(4号):482〜7頁;Zhaoら、J Clin Invest、2013年、123巻(6号):2337〜43頁)。これは、
結果としてI型BMPR−キナーゼのリン酸化および活性化を生じ、それに続くイフェクターSMADタンパク質(SMAD1/5/8)のダウンストリーム活性化、それに続くSMAD4と共同での核転送を生じる(Wrana、Cold Spring Harb Perspect Biol、
2013年、5:a011197)。
【0182】
1%FBSの存在下で、HepG2細胞をCYT−0387(0μM〜10μMの範囲)と共に2時間プレインキュベートし、次いで10ng/mLのBMP6で6時間刺激した。全RNAを細胞から単離し、qRT−PCRによりヘプシジンのレベルについて分析した。GUSB(グルクロニダーゼ、ベータ)をハウスキーピング対照として使用して、qRT−PCRで測定したレベルを正規化した。ヘプシジン倍数変化誘導のパーセンテージを計算し(100%は、ビヒクル処理された細胞中のヘプシジン誘導と等しい)、表9に要約した。結果は、CYT−0387がBMP6媒介性ヘプシジン誘導の用量依存性阻害をもたらすことを示した。
【0183】
HepG2細胞を、1%FBSの存在下、濃度を次第に上げたCYT−0387(0.02から10μMのCYT387)と共に2時間プレインキュベートし、次いで10ng/mLのBMP6で30分間刺激した。溶解した細胞からタンパク質を抽出し、ホスホ−SMAD1(Ser463/465)、ホスホ−SMAD5(Ser463/465)およびホスホ−SMAD8(Ser465/467)およびβ−アクチンに対して特異的な抗体を用いて、免疫ブロット分析を使用して分析した。デンシトメトリーソフトウエア(Image Studio)を使用して生のホスホ−SMAD1/5/8レベルを定量化し、β−アクチンレベルに対して正規化した。ホスホ−SMAD1/5/8レベルのパーセンテージを計算し(100%は、10ng/mLのBMP6で刺激した、ビヒクル処理した細胞のホスホ−SMAD1/5/8レベルと等しい)、表9に要約した。結果は、CYT−0387がBMP6媒介性ホスホ−SMAD1/5/8レベルの用量依存性阻害をもたらすことを示した。
【0184】
【表9】
a n=2の平均誘導。
b SD:標準偏差。
c n=6の平均誘導。
【0185】
加えて、生化学的結合アッセイ(DiscoveRx)およびin vitro酵素阻害アッセイ(LanthaScreen、Life Technologies)を行って、CYT−0387のI型BMPR−キナーゼ(ALK2、ALK3、およびALK6)に対する結合親和性および阻害活性を判定した。トランスフォーミング成長因子ベータ受容体1(TGFBR1、ALK5)を対照として使用して、I型BMPR−キナーゼに
対する選択性を判定した。結果は表10に要約されており、CYT−0387は、ALK3と比較して、ALK2およびALK6に対してより高い親和性および阻害性活性を有することを示した。
【0186】
【表10】
a AVG:n=3の平均値。
b SD:標準偏差。
【0187】
(実施例8)
転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性の膵臓の管腺癌(PDA)の処置に対するCYT−0387製剤の効果を調べるために研究を行う。1つの研究では、白金ベースの化学療法に失敗した、転移性のカーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)変異したNSCLCを有する患者に、28日間の少なくとも1回の処置サイクルの間、CYT−0387製剤を単独で、トラメチニブを単独で、またはCYT−0387とトラメチニブの組合せを投与する。CYT−0387製剤(CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIを錠剤フォーマットで含み得る)は、1日1回または2回、00mg、150mg、200mg、250mg、または300mgの用量で経口投与することができ、トラメチニブ(N−(3−{3−シクロプロピル−5−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル}フェニル)アセトアミドという化学名で言及することもできる)は、1日1回、0.5mg、1mg、または2mgの用量で経口投与することができる。研究には、KRAS−変異した転移性または再発性の非小細胞肺がんを有する患者が加わり、これらの患者は、RECIST v1.1、およびEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Statusの0または1として測定可能病変を有し、白金ベースの化学療法での以前の処置、または2つのラインまでの以前の化学療法を受けたことがある。
【0188】
別の研究では、上皮成長因子受容体(EGFR)変異した、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)未処置の転移性NSCLCを有する患者に、28日間の少なくとも1回の処置サイクルの間、エルロチニブを単独でまたはCYT−0387とエルロチニブの組合せを投与する。CYT−0387製剤(CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIを錠剤フォーマットで含み得る)は、1日1回または2回、100mg、150mg、200mg、250mg、または300mgの用量で経口投与することができ、そしてエルロチニブ(N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)4−キナゾリンアミンという化学名で言及することもできる)は、1日1回、25mg、100mg、または150mgの用量で経口投与することができる。この研究には、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Statusの0、1、または2を有する、以前の処置も白金ベースの化学療法も受けたことがない、EGFRエクソン19欠失またはエクソン21(L858R)置換突然変異を有する転移性NSCLCを有する患者が加わる。
【0189】
追加の研究では、再発性または不応性の転移性の膵臓の腺癌を有する患者に、21日間の少なくとも1回の処置サイクルの間、カペシタビンとCYT−0387(CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIを錠剤フォーマットで有する)の組合せ、またはオキサリプラチン、カペシタビン、およびCYT−0387の組合せを投与する。CYT−0387製剤(CYT−0387二塩酸塩一水和物形態IIを錠剤フォーマットで含み得る)は、1日1回または2回、100mg、150mg、200mg、250mg、または300mgの用量で経口投与することができる。カペシタビン(ペンチル[1−(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)−5−フルオロ−2−オキソ−1H−ピリミジン−4−イル]カルバメートの化学名で言及することもできる)は、1日2回14日間、これに続き7日間の休みを入れて、処置終了まで経口投与することができる。オキサリプラチン([(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン](エタンジオアト−O,O’)白金(II)の化学名で言及することもできる)は、21日間の処置サイクルのそれぞれの1日目に120分間にわたり静脈内に投与することができる。患者は、再発性または不応性の転移性の膵臓の腺癌を有し、RECISTv1.1およびEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Statusに従って0または1の測定可能病変を有し、ゲムシタビン含有レジメンを用いた以前の処置を受けたことがある。
【0190】
研究は、様々な処置時点において、Response Evaluation Criteria In Solid Tumor(固形がんの治療効果判定のためのガイドライン)(RECIST)v1.1により評価される、安全性、毒性、耐性、完全奏効(CR)もしくは部分奏効(PR)もしくは不変(SD)、全生存期間(すなわち、処置から何らかの原因による死亡までの間)、無増悪生存期間(すなわち、研究の最初の投与日からRECIST基準v1.1に基づく死亡または明確な疾患進行の最初の考証までの間)、および/または全応答率(すなわち、完全奏効または部分奏効を達成している患者の割合)を含むが、これらに限定されないいくつかの因子をモニタリングする。
【0191】
本出願に引用されたすべての特許、特許出願および刊行物を含む参考文献のそれぞれは、これらのそれぞれが個々に組み込まれているかのように、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。さらに、発明の上記教示において、当業者であれば、本発明に対して特定の変更または変化形を行うことができ、これらの均等物は、依然として本出願添付の特許請求の範囲で規定された本発明の範囲内にあることが理解されるであろう。本出願に引用されたすべての特許、特許出願および刊行物を含む参考文献のそれぞれは、これらのそれぞれが個々に組み込まれているかのように、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。さらに、発明の上記教示において、当業者であれば、本発明に対して特定の変更または変化形を行うことができ、これらの均等物は、依然として本出願添付の特許請求の範囲で規定された本発明の範囲内にあることが理解されるであろう。
【0192】
本発明の好ましい実施形態においては、例えば、以下が提供される。
(項1)
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態II;
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態I;および
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態III
からなる群から選択される化合物。
(項2)
結晶形態である、上記項1に記載の化合物。
(項3)
前記結晶形態は、N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIである、上記項1から2に記載の結晶形態。
(項4)
結晶が、T=100°Kにおいて、a=10.2837(6)Å、b=10.4981(6)Å、c=11.5143(7)Å、α=83.297(2)°、β=87.649(2)°、γ=67.445(2)°の単位格子パラメータ、および三斜晶P−1空間群を有する、上記項3に記載の結晶形態。
(項5)
図5に実質的に示されている粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、上記項3に記載の結晶形態。
(項6)
約7.7°、19.3°、24.0°、25.7°、および29.6°2−θ±0.2°2−θにおいてピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、上記項3に記載の結晶形態。
(項7)
図8に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンによって特徴付けられる、上記項3に記載の結晶形態。
(項8)
図14に実質的に示されている動的蒸気吸着(DVS)パターンによって特徴付けられる、上記項3に記載の結晶形態。
(項9)
前記結晶形態は、結晶性のN−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態Iである、上記項2に記載の結晶形態。
(項10)
図6に実質的に示されている粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、上記項9に記載の結晶形態。
(項11)
約13.5°、20.9°、26.1°、26.6°、および28.3°2−θ±0.2°2−θにおいてピークを有する粉末X線回折(「XRPD」)パターンによって特徴付けられる、上記項9に記載の結晶形態。
(項12)
図9に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンによって特徴付けられる、上記項9に記載の結晶形態。
(項13)
前記結晶形態は、結晶性のN−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIである、上記項2に記載の結晶形態。
(項14)
図7に実質的に示されている粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、上記項13に記載の結晶形態。
(項15)
約12.7°、14.6°、17.8°、19.7°、および23.3°2−θ±0.2°2−θにおいてピークを有する粉末X線回折(「PXRD」)パターンによって特徴付けられる、上記項13に記載の結晶形態。
(項16)
図10に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンによって特徴付けられる、上記項13に記載の結晶形態。
(項17)
上記項1から16のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
(項18)
上記項1に記載の化合物が、N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIである、上記項17に記載の医薬組成物。
(項19)
N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIが、50mg、100mg、150mg、または200mgの遊離塩基N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドに相当する量で存在する、上記項17から18に記載の医薬組成物。
(項20)
錠剤の形態である、上記項17から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項21)
単回経口投与後、
260〜405ng/mLのN−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドの範囲のC
max、
2,057〜3,214ng・hr/mLのN−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドの範囲のAUC
inf、または
260〜405ng/mLのN−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドの範囲のC
maxと、2,057〜3,214ng・hr/mLのN−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドの範囲のAUC
infの両方
を提供する、上記項17から20のいずれかに記載の医薬組成物。
(項22)
単回経口投与後、300mgの遊離塩基N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドに相当する量でN−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミド二塩酸塩無水形態Iを含む剤形と実質的に類似の薬物動態プロファイルを提供する、上記項21に記載の医薬組成物。
(項23)
必要とする対象に、有効量の上記項18に記載の医薬組成物を投与することを含む、ヤヌスキナーゼ(JAK)に関連する疾患の処置のための方法であって、前記疾患が、骨髄増殖性疾患が真性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、全身性肥満細胞症(SM)、慢性好中球性白血病(CNL)、骨髄異形成症候群(MDS)および全身性肥満細胞疾患(SMCD)からなる群から選択される上記項31の方法からなる群から選択される骨髄増殖性疾患である、方法。