特許第6840910号(P6840910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840910
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】エアロゾル供給装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20210301BHJP
   A24F 42/60 20200101ALI20210301BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A24F42/60
【請求項の数】24
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-67607(P2019-67607)
(22)【出願日】2019年3月29日
(62)【分割の表示】特願2017-530762(P2017-530762)の分割
【原出願日】2015年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-129839(P2019-129839A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年4月9日
(31)【優先権主張番号】1422018.0
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ブッフベルガー、ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】リードリー、デヴィッド
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−501107(JP,A)
【文献】 特表2014−524313(JP,A)
【文献】 特表2014−511175(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0255702(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0319407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24F 42/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子式エアロゾル供給装置のための器具であって、この器具は、
原液容器と、
担体モジュールと
を含み、担体モジュールは容器内に空気流経路を画定し、かつ容器内の空気流経路中に保持され原液からエアロゾルを発生させる加熱エレメントを含み、担体モジュールは協働的に係合して加熱エレメントを保持する第1の部分および第2の部分を含み、担体モジュールの第1の部分および第2の部分は、器具の通常の使用時に空気流経路内を流れる空気に沿った方向とほぼ平行な方向に延びる接合部で協働的に係合し、加熱エレメントの周辺部が第1の部分と第2の部分間の隙間に保持されており、それによって加熱エレメントを空気流経路内に保持し、第1の部分と第2の部分間の隙間は、容器から加熱エレメントまで原液を引き出すように構成された毛細管路を供している電子式エアロゾル供給装置のための器具。
【請求項2】
担体モジュールの第1の部分と第2の部分間の隙間の幅は、空気流経路から遠ざかるにつれて広がることを特徴とする請求項記載の器具。
【請求項3】
担体モジュールの第1の部分および第2の部分の少なくとも一方は1つ以上の位置決め杭を含み、この杭は担体モジュールの第1の部分および第2の部分の他方の対応する位置決め孔に収容されて第1および第2の部分の相対的整列を維持していることを特徴とする請求項1または2記載の器具。
【請求項4】
前記1つ以上の位置決め杭は加熱エレメントの対応する開口部を貫通し、加熱エレメントを担体モジュールの第1および第2の部分に対して相対的な位置に維持するのを補助することを特徴とする請求項記載の器具。
【請求項5】
加熱エレメントは、第1の部分と第2の部分間の前記接合部にほぼ平行な平面内を延びるシート材料を含むことを特徴とする請求項1または2記載の器具。
【請求項6】
加熱エレメントは焼結金属繊維材料を含むことを特徴とする請求項1または2記載の器具。
【請求項7】
加熱エレメントは担体モジュールの第1および第2の部分に対して緩く保持されていることを特徴とする請求項1または2記載の器具。
【請求項8】
担体モジュールが収容される外側ハウジングをさらに含み、担体モジュールとこの外側ハウジングの間の空間によって、空気流経路の周囲の容器が少なくとも部分的に画定されるようになっていることを特徴とする請求項1または2記載の器具。
【請求項9】
外側ハウジング内の規定の位置に担体モジュールを保持するように構成された1つ以上の間隔部材をさらに含むことを特徴とする請求項記載の器具。
【請求項10】
前記1つ以上の間隔部材は、担体モジュールの第1の部分および/または第2の部分の外面に形成された1つ以上の突起を含むことを特徴とする請求項記載の器具。
【請求項11】
前記1つ以上の間隔部材は、外側ハウジングの内面に形成された1つ以上の突起を含むことを特徴とする請求項記載の器具。
【請求項12】
担体モジュールの一端に担体モジュールと外側ハウジングの間を封止する第1の封止部材を、および担体モジュールの他端に担体モジュールと外側ハウジングの間を封止する第2の封止部材をさらに含むことを特徴とする請求項記載の器具。
【請求項13】
第2の封止部材は空気流経路を延長する保持チューブを含み、担体モジュールに結合された第1の端部と、外側ハウジングのエアロゾルの出口に結合された第2の端部とを有することを特徴とする請求項1記載の器具。
【請求項14】
第1の封止部材は、担体モジュールと外側ハウジングの間に配置された封止リングを含むことを特徴とする請求項12記載の器具。
【請求項15】
担体モジュールの第1の部分に沿った担体モジュールと外側ハウジングの間の空間は、担体モジュールの第2の部分に沿った担体モジュールと外側ハウジングの間の空間より大きいことを特徴とする請求項記載の器具。
【請求項16】
担体モジュールの第1の部分に沿った担体モジュールと外側ハウジングの間の空間は、空気流経路の周囲にあり原液の大部分を貯める容器の本体を画定することを特徴とする請求項1記載の器具。
【請求項17】
担体モジュールの第2の部分に沿った担体モジュールと外側ハウジングの間の空間は、担体モジュールの第2の部分に沿って担体モジュールの周囲に延びる毛細管空間を画定することを特徴とする請求項1記載の器具。
【請求項18】
本器具のエアロゾルの出口端で外側ハウジングに取り付けられたマウスピースをさらに含むことを特徴とする請求項記載の器具。
【請求項19】
担体モジュールの第1の部分および第2の部分の少なくとも一方には、流路と容器間を空気が通過可能な通路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至18いずれか1項記載の器具。
【請求項20】
通路は、この通路が設けられている第1および第2の部分の前記少なくとも一方の外面に形成された溝に繋がっていることを特徴とする請求項19記載の器具。
【請求項21】
溝は非直線の経路を辿ることを特徴とする請求項2記載の器具。
【請求項22】
通路は容器のチェンバーに繋がっており、このチェンバーは容器の他の部分から追加の毛細管隙間で分離されていることを特徴とする請求項19記載の器具。
【請求項23】
本器具を電子式エアロゾル供給装置の本体部に着脱式に係合する係合機構をさらに含み、通常の使用時に本器具はこの機構によって接続されることを特徴とする請求項1または2記載の器具。
【請求項24】
請求項1または2記載の器具と、加熱エレメントに電力を供給して原液からエアロゾルを発生させるように構成された電源とを含む電子式エアロゾル供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定はされないがニコチン供給装置(例えば、電子タバコ)などのエアロゾル供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子タバコなどのエアロゾル供給装置は、通常ニコチンを含有する製剤を含む原液の容器を含み、この原液から気化または他の手段などによりエアロゾルを発生する。従ってエアロゾル供給装置のためのエアロゾル源は、この容器の原液の一部と結合した加熱エレメントを含む場合がある。使用者が装置を吸引すると加熱エレメントが起動して、少量の原液が気化し、これが次にエアロゾルに変換されて使用者に吸入される。より具体的には、このような装置には通常1つ以上の空気取り入れ孔が装置のマウスピースから離れた位置に設けられている。使用者がマウスピースを介して吸引するとこの取り入れ孔から空気が引き込まれエアロゾル源を通過する。エアロゾル源とマウスピースの開口部間を接続している流路があり、引き込まれてエアロゾル源を通過した空気はエアロゾル源のエアロゾルの一部を担持しながらこの流路に沿ってマウスピースの開口部まで進む。エアロゾルを担持する空気はマウスピースの開口部からエアロゾル供給装置を出て、これを使用者が吸入する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エアロゾル供給装置の重要な検討事項の1つは、液体を加熱エレメントに供給する方法である。一方では、使用中に気化された原液の代わりに原液を供給してエアロゾルを連続的に発生させ、かつ加熱エレメントの乾燥による過熱を避ける必要がある。しかし他方では、原液がエアロゾル供給装置から漏れないように加熱エレメントへの原液の供給を制限する必要がある。そのような漏れは、例えば、加熱エレメントから過剰な液が空気流経路を通ってエアロゾル供給装置のエアロゾルの出口(マウスピース)まで流れることによる。また、装置の考えられる保持方向の範囲に合わせて液を加熱エレメントに適切に供給することも重要である。エアロゾル供給装置の別の重要な検討事項は、比較的壊れ易い加熱エレメントを適切な方法で保持しなければならないことである。
【0004】
このような点を鑑み、原液の供給と関連する加熱エレメントをエアロゾル供給装置内に取り付ける種々の方法がこれまでに提案されてきた。例えば、特許文献1および特許文献2には、離れて取り付けられた容器によって複合材料芯が供給される方法が、特許文献3には、空気路内を横断して取り付けられた導管内に芯および加熱エレメントが配置され、芯は周囲の容器内に延びている方法が、および特許文献4には、加熱エレメントが多孔質の容器壁の傍に取り付けられている装置が、それぞれ説明されている。しかし本発明者等には、これまでに提案された上記の方法は必ずしも適切に原液を供給せず、製造するには比較的複雑になることが分かっている。
【0005】
従って、エアロゾル供給装置内に加熱エレメントを取り付け、原液を加熱エレメントに供給する既存の方法に関連する上記欠点のいくつかを改善する方法の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の実施態様の第1の態様では、原液容器および担体モジュールを含む電子式エアロゾル供給装置のための器具が提供され、担体モジュールは容器内に空気流経路を画定し、この容器内の空気流経路内に保持され原液からエアロゾルを発生させる加熱エレメントを含み、担体モジュールは協働的に係合して加熱エレメントを保持する第1の部分および第2の部分を含み、担体モジュールの第1の部分および第2の部分は、本器具の通常の使用時に空気流経路内を流れる空気に沿った方向にほぼ平行な方向に延びる接合部で協働的に係合する。
【0007】
特定の実施態様の第2の態様では、上記第1の態様による器具および原液からエアロゾルを発生させる加熱エレメントに電力を供給する電源を含む電子式エアロゾル供給装置が提供される。
【0008】
特定の実施態様のこれらの態様および別の態様は、添付の特許請求の範囲の独立項および従属項に提示されている。当然のことながら従属請求項の特徴事項を互いに組み合わせてもよく、独立請求項の特徴事項を請求項に明示的に提示された以外の組み合わせで組み合わせてもよい。さらに、本明細書に記載の方法は、後述の特定の実施態様に限定されず、本明細書に提示された特徴事項の任意の適切な組み合わせを含み、かつそれらも考慮している。例えば、電子式エアロゾル供給装置が本明細書に記載の方法に従って提供され、後述の種々の特徴事項の任意の1つ以上を適切に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
種々の実施態様が以下の添付図を参照して単に例示的に詳細に説明される。
図1】一部の実施態様による電子タバコなどのエアロゾル供給装置の概略図である。
図2】一部の実施態様による図1のエアロゾル供給装置のカートリッジ組立体に使用する加熱エレメント担体モジュールの構成部材を示す略図である。
図3】一部の実施態様によるカートリッジ組立体に使用する加熱エレメント担体モジュールの組立体の別の段階にある図2に示された構成部材を示す略図である。
図4】一部の実施態様によるカートリッジ組立体に使用する加熱エレメント担体モジュールの組立体の別の段階にある図2に示された構成部材を示す略図である。
図5】一部の実施態様によるカートリッジ組立体に使用する加熱エレメント担体モジュールの組立体の別の段階にある図2に示された構成部材を示す略図である。
図6】一部の実施態様によるカートリッジ組立体に使用する加熱エレメント担体モジュールの組立体の別の段階にある図2に示された構成部材を示す略図である。
図7】一部の実施態様によるカートリッジ組立体の別のいくつかの構成部材を示す略図である。
図8】一部の実施態様による組立体の別の段階の図6の加熱エレメント担体モジュールおよび図7の別の構成部材を含むカートリッジ組立体を示す略図である。
図9】一部の実施態様による組立体の別の段階の図6の加熱エレメント担体モジュールおよび図7の別の構成部材を含むカートリッジ組立体を示す略図である。
図10】一部の実施態様による組立体の別の段階の図6の加熱エレメント担体モジュールおよび図7の別の構成部材を含むカートリッジ組立体を示す略図である。
図11】一実施態様によるカートリッジ組立体の断面を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特定の実施例および実施態様の態様および特徴事項が本明細書で考察/説明される。特定の実施例および実施態様のいくつかの態様および特徴事項は従来通りに実施されてもよく、簡略化のためこれらの詳細な考察/説明はしない。従って当然のことながら詳細に説明されない本明細書で考察される器具および方法の態様および特徴事項は、そのような態様および特徴事項を実行する任意の従来技術によって実行されてもよい。
【0011】
上記のように、本発明は電子タバコなどのエアロゾル供給装置に関する。以下の説明の中で、「電子タバコ」の用語が使用される場合があるが、当然だがこの用語はエアロゾル(蒸気)供給装置と同義で用いられる場合がある。
【0012】
図1は一部の(原寸に比例しない)実施態様による電子タバコ10などのエアロゾル/蒸気供給装置を高度に簡略化した図である。電子タバコは全体に円筒形状を有し、点線LAで示した長手方向軸に沿って延びており、2つの主要な構成部材、即ち本体20およびカートリッジ組立体(カトマイザー)30を含む。
【0013】
カートリッジ組立体30は、例えばニコチンを含むエアロゾルが発生する液体製剤を含む原液を収容している容器(チェンバー)38、および原液を加熱してエアロゾルを発生させる加熱エレメント(蒸留器)103を含む。原液および加熱エレメントは集合的にエアロゾル源と呼んでもよい。カートリッジ組立体30は開口部を有するマウスピース35をさらに含み、加熱エレメント103によって発生したエアロゾルを使用者がこのマウスピースから吸入してもよい。原液は電子タバコに使用される従来の種類のものでよく、例えば、およそ約1〜3%のニコチンおよび50%のグリセリンを含み、残りは水およびプロピレングリコールをほぼ同等含み、場合により風味料などの他の成分も含む。本体20は充電式電池を含んで電子タバコ10および一般に電子タバコを制御する回路基板に電力を供給する。使用時に加熱エレメントが回路基板で制御されて電池から電力を受け取ると、加熱場所の原液を気化させてエアロゾルを発生させ、次にこれがマウスピースの開口部から使用者に吸入される。使用者がマウスピースで吸引すると、エアロゾルはエアロゾル源からマウスピースまで、エアロゾル源とマウスピースの開口部を接続している空気路に沿って運ばれる。
【0014】
電子タバコの主本体20は充電式電池またはバッテリー(以下バッテリーと言う)54を含んで、電子タバコ10および一般に電子タバコを制御するプリント回路基板(PCB)28および/または他の電子回路に電力を供給する。
【0015】
この具体的な例では本体20とカートリッジ組立体30は、図1に示すように長手方向軸LAに平行な方向に分離することによって互いに取り外すことができるが、装置10を使用する場合には、係合部品21、31を協働させて(例えば、ねじ装着または差し込み式装着を形成して)互いに連結して、本体20とカートリッジ組立体30を機械的および電気的に接続する。カートリッジ組立体30に接続するために使用される本体20の電気的接続部は、本体20がカートリッジ組立体30から外れているときに本体20を充電装置(図示せず)に接続する接合部の役目をしてもよい。充電装置の他端をUSBソケットなどの外部電源に差し込んで、電子タバコの本体内のバッテリーを充電即ち再充電することができる。ほかの実施例によれば、充電接合部を別に設けてもよく、そのようにすれば、例えばバッテリーがカートリッジ組立体30に接続されているときにもバッテリーを容易に充電することができる。
【0016】
電子タバコ10には、空気取り入れのための1つ以上の孔(図1には図示せず)が設けられている。これらの孔は空気流経路から電子タバコ10内を通ってマウスピース35まで繋がっている。空気流経路は加熱エレメント103の周囲の領域を含んでいるため、使用者がマウスピース35を介して吸うと、電子タバコの外側に適切に配置された1つ以上の空気取り入れ孔から空気流経路に空気が引き込まれる。この空気流(即ち、結果的には圧力変化)が圧力感知器によって検知され、次に加熱エレメントが起動して原液の一部を気化してエアロゾルを発生させる。空気流は空気流経路内を通過し、加熱エレメント103の周囲の領域の蒸気と結合し、得られたエアロゾル(空気流と濃縮蒸気の組み合わせ)が、加熱エレメント103の上記領域からマウスピース35まで繋がる空気流経路に沿って移動し、使用者によって吸引される。原液の供給が終了したら、カートリッジ組立体30を本体20から取り外して廃棄してもよい(そして必要なら、別のカートリッジ組立体と交換してもよい)。これとは別にカートリッジ組立体30は再充填が可能でもよい。
【0017】
一部の実施態様においては、エアロゾル供給装置内に適切に取り付けられた、例えば電子タバコの交換式カートリッジ組立体の形態の加熱エレメントに原液を供給する態様に注目する。この点に関し、本発明の特定の実施態様によるエアロゾル供給装置の本体要素は、一般的な従来技術に従って設けられてもよい。
【0018】
図2は、一部の実施態様による図1のエアロゾル供給装置10のカートリッジ組立体30に使用する加熱エレメント担体モジュール160の構成部材を略式に示している。図3〜6は加熱エレメント担体モジュール160組立体の異なる段階の図2に示した構成部材を略式に示している。
【0019】
担体モジュール160は、第1の担体部材(第1の部分)101および第2の担体部材(第2の部分)102を含む。さらに後述するように、これらの2つの構成部材101、102は加熱エレメント103を保持する役目をし、この点に関し、加熱エレメントクレードルを提供していると言われる場合がある。即ち、図2に示した第1の部材101および第2の部材102は便宜上、および図に示した方向を考慮して、上側クレードル101および下側クレードル102と称してもよい。しかしながら、当然のことながら「上側」「下側」および同様の方向関連用語は、本明細書では添付図面に示された要素を参照する際の単なる簡便さのために使用されており、これらの部材の何らかの具体的な方向が本明細書に記載の種々の実施態様の実施に必要であることを表す意図はない。担体モジュール160はさらに、加熱エレメント103、および加熱エレメント103の第1の端部に接続する第1の電気的接点部材104、および加熱エレメント103の第2の端部に接続する第2の電気的接点部材105を含む。
【0020】
この例の上側クレードル101および下側クレードル102はガラス繊維含有率が高い(例えば50%の)プラスチック材料で成型されていて剛性に優れ、例えば約230℃の高温耐熱性がある。上側クレードル部材および下側クレードル部材はそれぞれ大まかに言えば全体に半円断面である(ただし、後述するように寸法や形状はその長さに沿って変わる)。各クレードル部材には、最も平坦であろう部分にその長さに沿って延びる凹部120が設けられており(図2では下側クレードル部材102だけ見える)、そのため後述するように加熱エレメント103を挟むように2つのクレードル部材を一つにすると、全体に管状の構成を有するクレードルが形成され、この管の中を延びる(各凹部120で画定された)空気流経路が設けられ、この中に加熱エレメント103が配置される。
【0021】
第1の電気的接点部材104および第2の電気的接点部材105はシート状の金属材で形成されてもよく、例えば、本器具の従来の製造技術による他の要素の形状および構成を考慮して、適切な形状に形成された銅片を含む。他の事例によれば、第1の電気的接点部材104および第2の電気的接点部材105は従来の柔軟な線材を含んでもよい。一部の実施例によれば、第1の電気的接点部材および/または第2の電気的接点部材には、接触抵抗を減らすおよび/または何らかの腐食の危険性を低減するために、金メッキなどのメッキを施してもよい。
【0022】
加熱エレメント103は焼結金属繊維材料で形成され、全体にシートの形体である。ただし当然のことながら他の多孔質の導電材料を同様に使用してもよい。この具体的な実施例によれば、加熱エレメント103は主要部103Aを含み、その両端に、電気的接点部材104、105のそれぞれと接続するための電機的接点延長部103Bを有する。この実施例の加熱エレメントの電機的接点延長部103B間の総抵抗値は約1オームである。当然のことながら例えば利用可能な電池電圧および加熱エレメントの望ましい温度/電力損失特性を考慮して、他の抵抗値を選択してもよい。この点に関し、関連する特徴事項は、対象となる原液のエアロゾルを発生させるために確立された原理による器具の望ましいエアロゾル発生特性に従って選択してもよい。加熱エレメントの主要部103Aは全体に四角形で、約20mmの長さ(即ち、電機的接点延長部103B間を延びる方向)および約8mmの幅を有する。この実施例の加熱エレメント103を構成するシートの厚さは約0.15mmである。図2から分かるように、加熱エレメント103のほぼ四角形の主要部103Aは、各長手方向側部から内側に延びる細い溝を有する。この溝は内側に約4.8mm延び、約0.6mmの幅を有する。内側に延びるこれらの溝は、加熱エレメントの各側部にて互いに約5.4mm離れ、対向した両側部からこの隙間の約半分だけ互いにずれて内側に延びている。加熱エレメントの溝のこの配列の結果、加熱エレメントに沿った電流が実質的に蛇行経路に沿うことを余儀なくされ、その結果、電流即ち電力が溝の端部周囲に集中することになる。加熱エレメントの位置が異なると電流/電力密度が異なるのは、電流密度の比較的高い領域があり、そこでは電流密度が相対的に低い領域よりも高温になるからである。これにより、実質的に異なる温度範囲を有する加熱エレメントが得られ、温度勾配が大きくなり、エアロゾル供給装置の観点で望ましい。なぜなら、原液の種々の成分は異なる温度でエアロゾル化/気化する場合があり、温度に幅がある加熱エレメントを設けることにより、原液内の一連の種々の成分を容易に同時にエアロゾルにすることができるからである。
【0023】
図2に示した構成部材を組み立てて、特定の実施態様による電子タバコ10のカートリッジ組立体30に使用する加熱エレメント担体モジュール160を提供する過程が、ここで図3〜6を参照して説明される。
【0024】
図3から分かるように、第1の電気的接点部材104および第2の電気的接点部材105は下側クレードル部材102に取り付けられており、加熱エレメント103は下側クレードル部材102の上方に、所定位置に入れる準備ができた状態で示されている。第2の電気的接点部材105は下側クレードル部材102の第2の端部(図3の向きの場合の左端)に取り付けられている。下側クレードル部材102は、第2の電気的接点部材105の第1の部分の形状を収容する適切な形状であり、これはプラスチック製の本体部品に導電体を取り付ける従来の製造技術による。第2の電気的接点部材105の一端は、加熱エレメント103の電機的接点延長部103Bの一方を収容する第2の電気的接点部材固定部105Aを供し、第2の電気的接点部材105の他端は、図に概略を示すように下側クレードル部材102から離れるように延びる。第1の電気的接点部材104は、下側クレードル部材102の長さに沿って延びるように凹部120の壁に隣接して取り付けられている。第2の電気的接点部材105と同様に、第1の電気的接点部材104の一端は、図に概略を示すように下側クレードル部材102の第2の端部から離れるように延びる。第1の電気的接点部材104の他端は、加熱エレメント103の電機的接点延長部103Bの他方を収容するために、下側クレードル部材102の第1の端部(図3では右端)に配置された第1の電気的接点部材固定部105Aを提供する。
【0025】
図3から分かるように、下側クレードル部材102の最上面は複数の位置決め杭110を含み、この杭は先に述べた加熱エレメントの溝と位置合わせされ、上側クレードル101(図示せず)の位置決め孔に対応している。これらの位置決め杭は、組み立て時の上側クレードル101と下側クレードル102の位置合わせ、ならびに加熱エレメント103と上側および下側クレードル102の相対的な位置合わせを容易にするためのものである。
【0026】
図4は、第1の電気的接点部材104および第2の電気的接点部材105を含む下側クレードル102に取り付けられた加熱エレメント103を略式に示している。加熱エレメント103は、位置決め杭110を加熱エレメント103の溝と位置合わせした状態で下側クレードルの上面に単に置かれることによって取り付けられている。下側クレードル部材102の上面のわずかに盛り上がった部分が、加熱エレメント103の両端の電機的接点延長部103Bの近くに位置決め壁111を提供して、加熱エレメントの位置合わせをさらに容易にしている。この例ではこれらの位置決め壁は加熱エレメントの寸法よりもわずかに大きく離れており、位置決め杭は溝の寸法よりもわずかに小さいため、加熱エレメントは全体にわずかに、例えば約0.1mmだけ、水平面内を自由に動くことができる。これは加熱エレメントを使用時の熱膨張と収縮を許容して、座屈しないようにしている。第1の電気的接点部材固定部104Aおよび第2の電気的接点部材固定部105Aは、加熱エレメント103の両端の電機的接点延長部103Bのそれぞれ一方の周囲を固定するように下方に曲げられており、そのようにして、下側クレードル部材102から遠ざかるように延びる電気的接点部材104、105の両部分と加熱エレメント103の両端間の電気的接続を提供している。この例では電気的接点部材104、105と加熱エレメント103間の電気的接続は、単に物理的接触に依存しているが、他の実施態様では他の技術、例えば溶接または半田付けを用いてもよい。
【0027】
図5は、図4に示した結合後の下側クレードル部材102、第1の電気的接点部材104および第2の電気的接点部材105、ならびに加熱エレメント103を略式に示しているが、別のクレードル部材101が下側クレードル部材に取り付け準備完了状態で示されている。
【0028】
図6には、下側クレードル部材102に取り付けられた上側クレードル部材101(および図4に示した他の部材)が略式に示されていて、組み立て後の担体モジュール160が供されている。上側クレードル部材101は、下側クレードル部材の位置決め杭110と上側クレードル部材101の対応する位置決め孔(図示せず)とを位置合わせさせた状態で造作なく置かれて、下側クレードル部材102に取り付けられている。図4および5から分かるように、各位置決め杭110には肩部110Aが設けられている。肩部110Aは、約0.18mmの下側クレードル部材102を超える高さを有し(即ち、加熱エレメントの厚さより0.03ミリメートル大きい高さを有し)、この高さは位置決め壁111の高さとも一致している。肩部110Aは、加熱エレメントの溝内に収まるように寸法が決められ、配置されている。しかしながら、上側クレードルの対応する位置決め孔は、位置決め杭だけを収容し肩部は収容しないように寸法が決定されている。従って、上側クレードル部材101が下側クレードル部材102に取り付けられたとき、この2部品は、肩部110Aと位置決め壁111の高さに相当する隙間だけ離れている。この上側クレードル部材と下側クレードル部材の間隔は0.18mmであり、加熱エレメントは0.15mmの厚さを有するため、加熱エレメントは上側クレードル部材と下側クレードル部材の間の所定位置に固定されず、緩く挟まれる。上記のように、加熱エレメントをこのように緩く取り付けることにより、使用中の加熱エレメントの熱膨張と収縮を許容することができる。
【0029】
このように組み立てられた担体モジュール160は全体に管状で、中央に通路を有し、この通路は上部担体部材および下部担体部材のそれぞれの凹部120で画定されており、担体モジュール内に空気流経路が設けられている。この例では上部担体部材および下部担体部材で画定された空気流経路は全体に四角形断面であり、約4mmの幅および約2.2mmの高さを有し、この空気流経路の中央付近の平面内に加熱エレメント103が配置されている。担体モジュール160は全体に約2.5cmの長さ、および最大幅の部分で約1cmの直径を有する。担体モジュールの最外周面(第1のクレードル部材および第2のクレードル部材の各最外周面で提供される面)は、種々の表面形状の特徴事項を含む。中でも、担体モジュール160は、その一端(図6の右端)側に配置された第1の部分107を含み、この部分は他端(図6の左端)側に配置された第2の部分108よりも小さな断面積を有する。担体モジュール160の第1の部分107および第2の部分108は、加熱エレメント103の平面(即ち、上側クレードル部材と下側クレードル部材間の接合部)内ではほぼ同じ幅を有するが、加熱エレメント103のこの平面に垂直な方向では異なる厚さを有する。即ち、大きい第2の部分108は全体に円形断面を有し、小さい第1の部分101は全体に細長い断面を有する(後述の図11を参照)。即ち、担体モジュールの断面積は、その長さの中間付近に不連続な変化が存在する。担体モジュールの最外周表面はさらに、複数の突起140、担体モジュールの大きい第2の部分108に凹部で画定されたチェンバー130、および担体モジュールの大きい第2の部分108の外表面にチェンバー130から延び、担体モジュールの大きな第2の部分108が担体モジュール160の小さい第1の部分107と出会う平坦領域131を含む。図6では分からないが、上側クレードル部材は、担体モジュール内を延びる流路120とチェンバー130を接続する通路も含む。これらの特徴事項は、各クレードル部材に製造中に成型されてもよく、これらの種々の要素の各機能を以下に詳述する。
【0030】
図7は、特定の実施態様による図6の担体モジュール160を含むカートリッジ組立体30のいくつかの追加の構成部材を略式に示している。より具体的には、図7は、第1の封止部材(封止リング)171、保持チューブ172の形態の第2の封止部材、およびカートリッジ組立体のための外側ハウジング180を示す。これらの構成部材はプラスチック材料、例えばポリプロピレンで成型されてもよい。
【0031】
図8は、第1の封止部材171および第2の封止部材172がどのように担体モジュール160に取り付けられるかを概略的に示している。
【0032】
第1の封止部材171は、担体モジュールの第2の端部(図8では左端)を収容する凹部を含む。第1の封止部材のこの凹部は、担体モジュール160の図6では一番左の突起140の左側かつこの突起に接して上までの部分を収容するように寸法が決定されている。第1の封止部材171は、担体モジュール160に摩擦装着および/またはスナップ装着する方式で固定されてもよい。第1の封止リング171はさらに開口部を含み、この中を第1の電気的接点部材104および第2の電気的接点部材105の担体モジュール160から離れる方向に延びる各部品が通過し、第1の封止リング171を通って、各電気的接点部材104、105による加熱器との電気的接触が可能になる。第1の封止部材はさらに、担体モジュール内の空気流経路と位置合わせされた中央開口部を含む。この中央開口部に空気流偏向部材を設けて、担体モジュールに引き込まれている空気を加熱エレメント103の片側に向ける補助をするように構成してもよい。
【0033】
第2の封止部材(保持チューブ)172は、担体モジュール160の第1の端部(図8では右端)を収容する凹部を含む。第2の封止部材のこの凹部は、担体モジュール160の図6では一番右端の突起140の右側かつこの突起に突き当たるまでの部分を収容するように寸法が決定されている。第2の封止部材172も、担体モジュール160に摩擦装着および/またはスナップ装着する方式で固定されてよい。第2の封止部材172は中央開口部を有する中空で、担体モジュール160内の空気流経路を延長している。
【0034】
図9は、封止リング171、担体モジュール160、および保持チューブ172が組み合わせられて外側ハウジング180への挿入の準備が整った状態を略式に示している。組み合わせ後の担体モジュールと封止部材は、このように造作なく外側ハウジング180に挿入して、図10に概略を示したカートリッジ組立体30を提供してもよい。また図10に示しているのは、外側ハウジング180の一部に被せてもよいマウスピースカバー190である。外側ハウジングは隆起部分182を有し、これがマウスピースカバー190の対応する寸法の開口部191に適合して、マウスピースカバーを外側ハウジングに位置決めするためのスナップ装着する係合部を提供し、マウスピースカバーの外側ハウジング180への位置決めを容易にしている。マウスピースカバーは美的理由および/または衛生的理由で設けてもよく、さらにその表面にゴムのような質感を持たせて、プラスチックの地肌よりも心地よい触感を使用者に与えるようにしてもよい。隆起部分182は透明で外側ハウジングの内部が見えるようにして、例えばカートリッジ組立体30の内容量を確認できるようにしてもよい。
【0035】
保持チューブ172の右端は、外側ハウジング180の右端の対応寸法の凹部に収容される。封止リング171は外側ハウジング180の左端に収容される。封止リング171の周囲に適合した封止により、外側ハウジング180の内面との封止が形成される。封止部材と担体モジュールの組み合わせは、外側ハウジング180にスナップ装着する方式および/または摩擦による装着方式で差し込まれてもよい。例えばこの例ではスナップ嵌めできるように封止リング171に突起220が設けられ、この突起が外側ハウジング180の内壁の開口に収容される。上記の担体モジュール160の突起140は外側ハウジング180の内壁に当接する寸法が決められており、担体モジュールは、外側ハウジング180に挿入されると外側ハウジングに対して相対的な所定位置に保持されるようになっている。外側ハウジング180は、担体モジュール160を取り囲む全体に円筒形の部分、および保持チューブ172を取り囲む全体に先細りした部分を有する。外側ハウジング180は全体に均一な壁厚を有するため、担体モジュール160の大きい第2の部分108と外側ハウジング180の内壁間には例えば約0.5mm以下の比較的小さな隙間があり、かつ担体モジュールの小さい第1の部分107と外側ハウジング180の内壁間には比較的大きな隙間がある。保持チューブ172と外側ハウジング180の先細り部分の内壁の間には先細りした隙間があり、この隙間は保持チューブ172の端部が外側ハウジング180の端部に収容される部分に向かって縮小する。
【0036】
担体モジュール160の外壁と外側ハウジング180の内壁間の空間により、カートリッジ組立体30のための原液容器38の少なくとも一部が画定される。この例では原液の容器38はさらに、保持チューブ172と外側ハウジング180の先細りした部分の内壁間の隙間を含む。この容器には外側ハウジング(図示せず)の開口部から原液を充填してもよく、充填後に例えば栓をして封止される。
【0037】
カートリッジ組立体30の左端は、カートリッジを電子式エアロゾル供給装置の本体部に着脱自在に係合する係合機構を含み、通常の使用中はこの機構によってカートリッジ組立体が接続されている。この例では係合機構は不完全雌ねじ(例えば1回転未満の雌ねじ)を含み、カートリッジ組立体が共に使用される電子式エアロゾル供給装置の本体部の対応する雄ねじと協働する。差し込み式装着、摩擦装着またはスナップ嵌め装着などの他の係合機構を他の例に使用することができる。それによりカートリッジ組立体30が共に使用される電子式エアロゾル供給装置の本体部20には、加熱器103と本体部20間の電気的接続を実現するために、封止部材171を貫通して延びる第1の電気的接点部材104および第2の電気的接点部材105の両部分と協働する電気的コネクターが設けられている。これは、着脱式要素間の標準的な電気的接続のための従来技術、例えばばねが装着されたコネクターピンを用いる従来技術で実施してもよい。
【0038】
図11は、図10に示したカートリッジ組立体30の一部の態様の断面を略式に示している。この断面は、担体モジュール160の第1の部分107(即ち、小さい/薄い部分)を通る、空気流経路120に垂直(即ち器具が通常使用状態にあるときの空気流経路内の空気流に沿った方向に垂直)な平面内の断面である。図11に示した断面は厳密な断面ではなく、この断面の平面内にはないカートリッジ組立体の別の態様も概略的に示している。具体的には、本図は、担体モジュール160の第2の(大きな/肉厚の)部分の外側周囲ならびに担体モジュールのこの部分のチェンバー130、およびこのチェンバーと空気流経路120間を接続している通路132も示している(チェンバー130および通路132は点線で示してある)。上記のように、上側クレードル部材および下側クレードル部材は、係合すると加熱器103が配置される隙間(好ましくは加熱器103の厚さよりもわずかに厚い隙間)を画定するように構成されている。この隙間は、担体モジュール160の外壁と外側ハウジング180の内壁間の空間と液体連通状態にあり、この2つの部分で原液の容器(の一部)が画定されている。
【0039】
即ち、上側クレードル部材と下側クレードル部材間の隙間によって加熱エレメント103の両側に沿って延びる毛細管路200が設けられ、この中を原液が容器から気化用加熱エレメントまで引き出されて、使用中に空気流経路120内でエアロゾルを発生してもよい。カートリッジ組立体30を含む電子タバコ10を使用者が吸入すると、加熱器で発生したエアロゾルは空気流経路120に沿って引かれ、保持チューブ172内を通って外側ハウジング180のマウスピース端(即ちマウスピースカバー190で覆われた部分)からカートリッジ組立体30を出てもよい。
【0040】
空気流経路120と担体モジュールと外側ハウジングの間の空間によって画定された容器との間の液体連通を提供する通路132により、空気流経路120から空気が容器に入り、毛細管隙間200内に引き出されて気化された原液を置換することができる(即ち通路132により、空気流経路120と原液の容器間の圧力の釣り合い調整/換気ができる)。チェンバー130は、容器の吸引中にこの領域に原液を一時的に貯めておくためである。本発明者等は、この構成により原液が通路132から空気流経路120に漏れる可能性が減ることを発見した。チェンバー130と担体モジュールの薄い部分107の傍の容器の部分とを接続している平坦領域131(図6参照)により、空気は、チェンバー130から担体モジュール160の第1の部分107の傍の容器の本体内に確実に通過し、担体モジュール160の大きい部分108と外側ハウジング180間の容器の薄い部分に滞留しないことが分かっている。
【0041】
このように、特定の実施態様により電子式エアロゾル供給装置(例えば、電子タバコ)のための器具(例えば、カートリッジ組立体)が提供される。このカートリッジ組立体は、原液容器、および容器内に空気流経路120を画定する担体モジュールを含み、空気流経路内に保持された加熱エレメント103を含む。担体モジュールは、第1の部分(上側クレードル部材)および第2の部分(下側クレードル部材)を含み、これらが協働的に係合して第1の部分と第2の部分間の隙間で加熱エレメントを保持し、原液を容器から加熱エレメントまで引き出すように構成された毛細管路200を提供している。
【0042】
本発明者等は、これが原液を加熱エレメントに効果的に提供し、漏れによる問題を起こさない構成になることを発見した。
【0043】
上記のように、上側クレードル部材および下側クレードル部材は、器具の通常使用時に空気流経路内を流れる空気の方向とほぼ平行な方向に延びる接合部で協働的に係合する。保持部(クレードル)を実質的に分離し、この保持部の2つの部分の間の接合部の平面内に加熱エレメントを配置することによって、加熱エレメントをその周囲の比較的広い部分で保持することができ、これは加熱エレメントが比較的壊れやすいため有用である。さらに2部品による構成は製造および組み立てが容易でありながら、原液を加熱エレメントにその周囲の容器から引き出すのに適した寸法の毛細管隙間を画定する準備が整った機構を提供することも分かっている。
【0044】
図11から分かるように、上側クレードル部および下側クレードル部は角が丸められているため、毛細管隙間を画定しているそれらの間の隙間は空気流経路120から離れるほど大きくなる。発明者等は、これが使用中に原液を加熱器103に継続的に適切に供給するのにさらに有用であることを発見した。しかしながら、他の例示的実施態様では毛細管隙間の幅は増えず、上側クレードル部および下側クレードル部の端全体に一定の幅が維持される。
【0045】
上記のように、担体モジュールの第1の(薄い)部分107に沿った担体モジュールと外側ハウジングの間の空間は、担体モジュールの第2の部分(厚い)部分に沿った担体モジュールと外側ハウジングの間の空間よりも大きい。この方法は、妥当な容器容量を確保しながら種々の向きのカートリッジ組立体30の加熱エレメントに原液を継続的に適切に供給するのに有用であることが分かっている。これは、担体モジュールの第1の部分に沿った担体モジュールと外側ハウジングの間の空間によって、空気流経路周囲に原液の多くを保存する容器本体が画定されて、妥当な容量が提供されているからである。しかしながら、担体モジュールの第2の(厚い)部分に沿った担体モジュールと外側ハウジングの間の空間は、担体モジュールの第2の部分に沿った担体モジュールの周囲に延びる管状の毛細管空間210を画定するように寸法が決定されている。この管状の毛細管空間210は、カートリッジ組立体30の向きに関わらず、実質的に加熱エレメントに引き出される原液を貯めることができる。
【0046】
当然のことながら上記の構成には他の実施態様に従って適用してもよい種々の変更形態がある。
【0047】
例えば、上記実行例では隙間は加熱エレメント103の両側に設けられているが、いくつかの構成によれば、加熱エレメントの片側を塞ぎ、原液を加熱エレメントに供給する毛細管路を1つだけ設けてもよい。
【0048】
さらに、図11に示した例示的実行例では加熱エレメント103は毛細管隙間200の中に含まれているが、いくつかの他の例示的実施態様によれば、加熱エレメント103は毛細管隙間200を越えて容器内まで延びてもよい。
【0049】
さらに、上記の例示的実行例では担体モジュール140には突起140が設けられていて、外側ハウジング180内での担体モジュールの位置決めが容易になっているが、他の実施態様によれば、その代わりに、あるいはそれに加えて、外側ハウジングの内壁にこの目的のための突起が設けられていてもよい。
【0050】
一部の実行例ではチェンバー130は設けずに、図11の空気通路132がクレードル部材(即ち、図11に示した実施例の上側クレードル部材)の外周まで実質的に延びて、クレードル部材内に通路132を設けてもよい。
【0051】
さらに上記の例では平坦領域131は、チェンバー130から第1の部分107の傍の容器の本体まで直接直線で延びているが、別の実行例では代わりに、平坦領域131はチェンバー130(あるいはチェンバーがない場合は通路132の端部)から容器の本体まで、非直線を辿ってもよい。このようにして平坦領域の全長を増やして、液流に対する効果的な抵抗を増やしてもよい。さらに他の例では平坦領域131は、クレードル部材の外表面に形成した溝で置き換えてもよく、これは直線でもよく、あるいは蛇行経路を辿って流れ抵抗を増やしてもよい。
【0052】
さらに他の例示的実行例では通路132(およびチェンバー130、および溝または平坦領域131)はなくてもよい。その代わりに、空気流経路120と容器38間の圧力の釣り合いを、加熱エレメント103で占有されていないまさに隙間の部分に流れる空気によって調節してもよい(この隙間は加熱エレメントの厚さより広くてもよいからである)。
【0053】
従って、電子式エアロゾル供給装置のための器具をここまで説明してきた。この器具は、電子式エアロゾル供給装置のための交換式カートリッジを含んでもよく、あるいは充填可能または使い捨ての電子式エアロゾル供給装置の固定部材を含んでもよい。本器具は、原液容器、および容器内に保持された担体モジュールを含む。担体モジュールは容器内に空気流経路を画定し、空気流経路内に保持され原液からエアロゾルを発生させる加熱エレメント、および協働的に係合して加熱エレメントを保持する第1および第2の取り付け部品を含む。担体モジュールの第1および第2の取り付け部品は、器具の通常使用時に空気流経路内を流れる空気の方向とほぼ平行な方向に延びる接合面で協働的に係合する。第1の取り付け部品と第2の取り付け部品間の隙間で、使用中に、原液を容器から加熱エレメントに引き出す毛細管路を提供してもよい。
【0054】
種々の事項に対処し本技術を進化させるため、本開示は、特許請求の範囲に記載の本発明を実践することができる種々の実施態様を例示的に示している。本開示の利点および特徴事項は実施態様の単なる代表例であって包括的なものでも排他的なものでもない。これらは特許請求された本発明の理解を助け、教示するためだけに提供されている。当然のことながら本発明の利点、実施態様、実施例、機能、特徴事項、構造、および/または他の態様は、本発明を特許請求の範囲で画定されたようにまたは特許請求の範囲の均等物に制限するものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施態様を利用し改良を加えてもよいと考えるべきである。種々の実施態様は、開示された要素、構成部材、特徴事項、部品、工程、手段、本明細書に具体的に説明された以外のものを適切に含んでも、それらのみで構成されても、実質的にそれらのみで構成されても、それらを種々に組み合わせてもよく、さらに当然のことながら従属請求項の特徴事項を独立請求項の特徴事項とこれらの請求項に明示された以外の組み合せで組み合わせてもよい。本発明には、現在特許請求されてはいないが将来請求される可能性がある他の発明も含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/333700号
【特許文献2】国際公開第2013/057185号
【特許文献3】韓国公開特許第20130004985号
【特許文献4】国際公開第2013/083631号
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