(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0010】
[ハンディプリンタの構成]
図1は本発明の実施形態に係るハンディプリンタ(印刷装置)1の平面図である。
図2は本発明の実施形態に係るハンディプリンタ1の底面図である。
図3は本発明の実施形態に係るハンディプリンタ1の機能構成を示すブロック図である。
【0011】
ハンディプリンタ1は、ユーザが手動で印刷媒体上を走査方向に走査(移動)させることで、印刷媒体に所望の印刷画像を印刷する印刷装置である。
なお、走査方向とは、印刷開始位置から印刷終了位置に向けたハンディプリンタ1の移動操作方向であり、本実施形態では
図1の右方向を走査方向とする。また、ハンディプリンタ1は印刷媒体に対して相対的に移動すればよく、例えば、ハンディプリンタ1の位置を固定して印刷媒体を移動させる態様であってもよい。
【0012】
ハンディプリンタ1は、
図1及び
図2に示すように、ケース11、基板12、プリンタヘッド14を備えるインクカートリッジ13、光学センサ15、印刷開始位置マーカ16、液晶パネル17、キーボード18、印刷指示ボタン19、電源ボタン20、内蔵電源21等を含んで構成される。
【0013】
ケース11は、基板12、インクカートリッジ13、光学センサ15、内蔵電源21等を収納するための筐体であり、
図1に示すように、ユーザが掴んで手動で走査しやすい形状を有する。
【0014】
基板12には、
図3に示す制御部30、バッファメモリ41、通信部42、音出力部43、印刷データ登録部44等を構成する電子部品(CPU、RAM、ROM、IC等)が実装されている。
なお、制御部30、バッファメモリ41、通信部42、音出力部43及び印刷データ登録部44の各機能については、追って述べる。
【0015】
インクカートリッジ13は、インクを内蔵するとともに、印刷を行うために印刷媒体にインクを吐出するプリンタヘッド14が一体に設けられたものになっている。
そして、インクカートリッジ13は、プリンタヘッド14が印刷媒体に対向する面(ここでは底面)に位置するようにハンディプリンタ1に設けられ、印刷媒体に対して相対的に移動しているときに印刷媒体に印刷を行う印刷部45(
図3参照)を構成している。
【0016】
プリンタヘッド14には、走査方向と直交する方向に1列に並ぶ多数のノズルを備え、これらのノズルからインクが吐出される。
なお、カラー印刷を行う場合は、複数色分(例えば、シアン、マゼンダ、イエロー)のノズル列が走査方向に並べて配置される。
【0017】
なお、ハンディプリンタ1は、プリンタヘッド14に付着したインクの乾燥を防止するための着脱式のキャップを有していてもよい。
また、ハンディプリンタ1は、ハンディプリンタ1に付属するものとして、プリンタヘッド14に付着したインクの乾燥を防止するために、不使用時にハンディプリンタ1を載置するクレードル等を、更に備えるものとしてもよい。
【0018】
光学センサ15は、印刷媒体に対するハンディプリンタ1の移動方向及び移動量を所定のサンプリング周期毎に取得する移動量取得部46(
図3参照)であり、レーザやLEDを備えた一般的にPC用のマウス等に用いられているような移動方向及び移動量を取得できる光学式のセンサでよい。
本実施形態では、光学センサ15の取得部がハンディプリンタ1の底面に位置するように設けられている。
なお、移動量取得部46は、光学式のセンサに限定される必要はなく、ロータリエンコーダ式のものであってもよい。
【0019】
印刷開始位置マーカ16は、印刷媒体に印刷を行う際に、ユーザがハンディプリンタ1を印刷開始位置に位置合わせするときの目印となる。
本実施形態の印刷開始位置マーカ16は、走査方向においてプリンタヘッド14よりも前方側となるケース11の右端位置に配置されている。
【0020】
なお、印刷開始位置マーカ16は、例えばLEDのような光源からなる発光部を有し、発光部の点灯や消灯によってハンディプリンタ1の操作をガイドする機能も合わせ持つことが望ましい。
また、印刷開始位置マーカ16の走査方向と直交する方向の幅は、ユーザが印刷画像の印刷幅を的確に把握しやすいように、プリンタヘッド14の印刷幅と等しいことが望ましい。
【0021】
液晶パネル17、キーボード18及び印刷指示ボタン19は、ユーザインターフェイスである表示部47及び操作部48(
図3参照)を構成しており、制御部30からの指示に応じて操作ガイド動作やエラー報知動作を行うとともに、ユーザの操作を検出して制御部30に入力する。
【0022】
電源ボタン20は、ユーザがハンディプリンタ1の電源を投入及び切断するための操作ボタンである。
内蔵電源21は、ハンディプリンタ1の電源となる、例えば、乾電池又は二次電池等である。
【0023】
[ハンディプリンタの機能構成]
次に、
図3及び
図4を参照しながらハンディプリンタ1の機能構成等について説明する。
【0024】
図3は本発明の実施形態に係るハンディプリンタ1の機能構成を示すブロック図、
図4は印刷データ登録部44に登録されるデータの例を示す表図であり、(a)は印刷項目毎に印刷データが登録されていることを示す表図、(b)は印刷項目毎に相対座標が関連付けされることを示す表図である。
図3に示すように、ハンディプリンタ1は、制御部30、バッファメモリ41、通信部42、音出力部43、印刷データ登録部44、印刷部45、移動量取得部46、表示部47、操作部48等の機能部を有している。
なお、印刷部45、移動量取得部46、表示部47及び操作部48については、先の説明を援用する。
【0025】
制御部30は、ハンディプリンタ1の全体的な動作を制御する機能部であり、CPU、ROM、RAM等を含む。
制御部30の詳細な動作については、追って述べる。
【0026】
バッファメモリ41は、印刷画像(印刷データ)を印刷するための印刷実行データを記憶している。
印刷実行データは、ハンディプリンタ1の移動量に対応してドット単位で配列されたプリンタヘッド14のインク吐出データである。
印刷画像を印刷する際には、制御部30が、移動量取得部46によって取得されたハンディプリンタ1の移動方向及び移動量に応じて、バッファメモリ41内の印刷実行データを印刷部45(プリンタヘッド14)に順次転送して印刷を実行させる。
【0027】
通信部42は、例えばWi−Fiのように、外部端末と通信可能な無線通信ユニットを含む。
したがって、ハンディプリンタ1で印刷するための印刷データをハンディプリンタ1で作成するのではなく、作成環境のよいPC、スマートフォン等の外部端末で作成しておいて、その外部端末で作成した印刷データをハンディプリンタ1に読み込ませることが可能である。
【0028】
音出力部43は、液晶パネル17、キーボード18及び印刷指示ボタン19とともにユーザインターフェイスを構成しており、制御部30からの指示に応じて操作ガイド動作やエラー報知動作を行う。
【0029】
印刷データ登録部44は、印刷データ等が登録される内部メモリ(フラッシュメモリ等)であり、ここに登録された印刷データを読み出して印刷を行うことができる。
図4の(a)に示すように、印刷データ登録部44は、複数の印刷項目を設定可能であり、印刷項目毎に対応して印刷データを登録できるようになっている。
例えば「氏名」、「住所」、「電話番号」の3つの印刷項目I、II、IIIを設定し、各印刷項目に対応して印刷データとなる「氏名データ」、「住所データ」、「電話番号データ」を登録することができる。
また、
図4の(b)に示すように、印刷データ登録部44は、印刷項目毎に各印刷項目の印刷登録位置の相対座標(X座標及びY座標)を関連付けて記憶することができる。
なお、相対座標の詳細については、追って述べる。
【0030】
[ハンディプリンタの動作]
次に、ハンディプリンタ1の動作について、
図4及び
図5を参照して説明する。
【0031】
図4の(a)に示すように、ハンディプリンタ1の印刷データ登録部44には、「氏名」、「住所」、「電話番号」の3つの印刷項目I、II、IIIに対応する印刷データが登録されているものとし、複数枚綴りの伝票のような定型フォーマットの用紙の「氏名入力欄C1」、「住所入力欄C2」、「電話番号入力欄C3」のそれぞれに対して、対応する印刷データによる印刷を行う場合について説明する。
【0032】
図5に示すように、ユーザは、用紙の1枚目に印刷を行う際、最初に、用紙上の左上隅などの判りやすい場所を基準位置P0とし、この基準位置P0にハンディプリンタ1をセットして印刷指示ボタン19を操作する。
【0033】
その後、ユーザは、基準位置P0から印刷を開始したい場所、例えば「氏名入力欄C1」の印刷登録位置P1までハンディプリンタ1を用紙から浮かすことなく移動させる。
この際に、ハンディプリンタ1は、基準位置P0から印刷登録位置P1までの移動方向及び移動量を光学センサ15によって取得する。
【0034】
ユーザは、「氏名入力欄C1」の印刷登録位置P1に対する位置合わせが完了したら、印刷指示ボタン19を操作した後、キーボード18などの操作によって印刷データ登録部44に登録されている印刷データの中から「氏名データ」を呼び出す。
【0035】
その後、ユーザがハンディプリンタ1を、
図5において矢印で示す走査方向に手動走査することによって「氏名入力欄C1」に「氏名データ」の内容が印刷される。
この際に、ハンディプリンタ1は、光学センサ15で取得した基準位置P0から印刷登録位置P1までの移動方向及び移動量に基づいて、基準位置P0に対する印刷登録位置P1の「相対座標」を特定するとともに、特定した「相対画像」を印刷項目I「氏名」に関連付けて、印刷データ登録部44に登録する。
つまり、制御部30は、印刷部45が印刷媒体の基準位置P0から印刷登録位置まで移動されたときに移動量取得部46により取得される移動方向及び移動量に基づいて、印刷登録位置の基準位置P0に対する相対座標を取得し、印刷項目と、印刷項目の印刷登録位置の取得した相対座標と、を関連付けて印刷データ登録部44に記憶させる。
【0036】
ユーザは、「氏名入力欄C1」に印刷を行った後、「住所入力欄C2」及び「電話番号入力欄C3」についても、引き続きハンディプリンタ1を用紙から浮かすことなく移動させ、同様の手順で印刷を行う。
この際に、ハンディプリンタ1は、基準位置P0に対する「住所入力欄C2」の印刷登録位置P2及び「電話番号入力欄C3」の印刷登録位置P3の、それぞれの「相対座標」を特定し、特定した「相対座標」をそれぞれの印刷項目II「住所」、印刷項目III「電話番号」に関連付けて、印刷データ登録部44に登録する。
【0037】
次いで、ユーザは、1枚目と同じ定型フォーマットの用紙の2枚目以降の印刷時において、まずは、基準位置P0とした用紙左上隅にハンディプリンタ1をセットして印刷指示ボタン19を操作する。
【0038】
ユーザは、そこから、ハンディプリンタ1をいずれかの入力欄の印刷登録位置P1〜P3の何れかまで、用紙から浮かすことなく移動させる。
【0039】
その後、ユーザが印刷指示ボタン19を操作すると、ハンディプリンタ1は、光学センサ15で取得した基準位置P0から、ハンディプリンタ1の現在の位置(以下、現在位置とも記す)までの移動方向及び移動量に基づいて、現在位置の基準位置P0に対する「相対座標」を特定する。そして、現在位置の「相対座標」と1枚目の印刷時に登録された各印刷項目に関連付けられた印刷登録位置の「相対座標」とを比較し、現在位置の「相対座標」に最も近い「相対座標」に関連付けられている印刷項目の印刷データを自動的に呼び出す。
【0040】
このように、制御部30は、印刷部45が印刷媒体の基準位置P0から現在位置に移動されたときに、移動量取得部46における取得結果と印刷登録位置の相対座標とに基づいて、現在位置から印刷する印刷項目の印刷データを印刷データ登録部44から読み出し、印刷部45により、印刷媒体の印刷登録位置から印刷項目の印刷を行わせるので、ユーザは、印刷データの読み出し操作を行うことなく、各入力欄に対応する印刷データの印刷を行うことが可能になるとともに、ユーザによる間違った印刷データの読み出しに起因する印刷ミスが発生することも防止できる。よって、複数の印刷媒体に複数の印刷項目を繰り返して印刷する際の操作を簡略化できる。
【0041】
また、2枚目以降への印刷では、必ずしも1枚目の印刷時と同じ順番で各入力欄に印刷を行う必要はなく、ハンディプリンタ1を用紙から浮かさない限り、各入力欄に対して任意の順番で印刷を行うことができる。
つまり、印刷データ登録部44に、複数の印刷項目に対応する複数の印刷データが登録されているとともに、複数の印刷項目の各々と、印刷媒体における各印刷項目の印刷登録位置の印刷媒体の基準位置P0に対する相対座標と、が関連付けて登録され、制御部30は、印刷部45が印刷媒体の基準位置P0からの現在位置に移動されたときに、現在位置から印刷する、複数の印刷項目のうちの特定の印刷項目の印刷データを印刷データ登録部44から読み出し、印刷媒体の現在位置から特定の印刷項目の印刷を行わせる。
この際、制御部30は、印刷部45の印刷媒体における現在位置の基準位置P0に対する相対座標を、移動量取得部46により取得される移動方向及び移動量に基づいて取得し、複数の印刷項目における、現在位置の相対座標に最も近い印刷登録位置の相対座標が関連付けられている印刷項目を特定の印刷項目としてもよい。
【0042】
[制御部の処理手順]
次に、上述したようなハンディプリンタ1の動作を実現する制御部30の処理手順について、
図6を参照して説明する。
なお、
図6は、ハンディプリンタ1の電源ボタン20がON操作され、複数の用紙の各々に同様の複数の印刷項目を繰り返して印刷する印刷モードが選択された状態における制御部30の処理手順を示している。
【0043】
図6はハンディプリンタ1の処理手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、ハンディプリンタ1の制御部30は、まず、ユーザによる基準位置P0への位置合わせを待つ(S1)。
この状態は、ユーザによる基準位置P0の確定操作(印刷指示ボタン19の操作)が行われるまで繰り返される(S2)。
【0044】
制御部30は、ユーザによる基準位置P0の確定操作が行われたことを判定したら(S2:YES)、光学センサ15による移動方向及び移動量の読取りを開始するとともに(S3)、ユーザによるいずれかの入力欄の印刷登録位置P1〜P3への位置合わせを待つ(S4)。
この状態は、ユーザによる印刷登録位置P1〜P3の確定操作(印刷指示ボタン19の操作)が行われるまで繰り返される(S5)。
【0045】
制御部30は、ユーザによる印刷登録位置P1〜P3の確定操作が行われたことを判定したら(S5:YES)、1枚目の用紙の印刷か否かを判定する(S6)。
この判定は、例えば、印刷データ登録部44に各印刷項目に関連付けられた「相対座標」が登録されているか否かに基づいて判定することができる。
【0046】
制御部30は、1枚目の用紙の印刷であると判定したら(S6:YES)、ユーザによる印刷データの選択操作を待つ(S7)。
この状態は、ユーザがキーボード18等の操作に基づいて印刷データ登録部44に登録されている印刷データを選択後、ユーザによるデータ確定操作(キーボード18に設けられる確定キーの操作)が行われるまで繰り返される(S8)。
【0047】
制御部30は、ユーザによるデータ確定操作が行われたことを判定したら(S8:YES)、選択された印刷データを印刷データ登録部44から呼び出すとともに(S9)、基準位置P0に対する現在位置(印刷登録位置P1〜P3)の「相対座標」を特定するとともに、特定した「相対座標」を選択された印刷データの印刷項目に関連付けて、印刷データ登録部44に登録する(S10)。
【0048】
その後、制御部30は、ユーザによるハンディプリンタ1の走査方向への手動走査に応じて、選択された印刷データの内容の印刷を実行した後(S11)、同じ用紙に別の印刷データを印刷するか否かを判定する(S12)。
この判定は、例えば、印刷データ登録部44に登録されている印刷データの項目数に基づいて判定することができる。
【0049】
制御部30は、ステップS12の判定結果がNOの場合は、1枚目の用紙の印刷を終了する。一方、ステップS12の判定結果がYESの場合は、ステップS4に戻り、ステップS4〜S12の処理を繰り返す。
これにより、各印刷項目に対応する印刷登録位置P1〜P3を特定する「相対座標」が各印刷項目に関連付けて印刷データ登録部44に登録される。
【0050】
次いで、制御部30は、2枚目以降の用紙の印刷においても、1枚目の用紙の印刷時と同様にステップS1〜S6を実行する。
制御部30は、ステップS6において、2枚目以降の用紙の印刷であると判定したら(S6:NO)、印刷データ登録部44に登録されている「相対座標」の中から現在位置の相対座標に最も近い「相対座標」を選出する(S13)。そして、選出された「相対座標」に関連付けられている印刷項目の印刷データを自動的に呼び出す(S14)。
【0051】
その後、制御部30は、ユーザによる走査方向の手動走査に応じて、自動的に呼び出された印刷データの印刷を実行した後(S11)、同じ用紙に別の印刷データを印刷するか否かを判定する(S12)。
そして、制御部30は、ステップS12の判定結果がNOになるまで、ステップS4、S5、S6、S13、S14、S11、S12の処理を繰り返す。
これにより、ユーザは、2枚目以降の用紙への印刷に際しては、印刷データの読み出し操作を行うことなく、各入力欄に対応する印刷項目の印刷データを印刷することが可能になるとともに、ユーザによる間違った印刷データの読み出しに起因する印刷ミスが発生することも防止できる。よって、複数の用紙に複数の印刷項目を繰り返して印刷する際の操作を簡略化できる。
【0052】
[他の実施形態]
次に、本発明の他の実施形態について、
図7〜
図9を参照して説明する。
【0053】
図7は第2実施形態に係る印刷データ登録部44に登録されるデータの例を示す表図であり、(a)は印刷項目毎に複数の印刷データが登録されていることを示す表図、(b)は印刷項目毎に相対座標が関連付けされることを示す表図である。
図7の(a)に示すように、第2実施形態の印刷データ登録部44には、印刷項目毎に複数の印刷データが登録されている。
そして、第2実施形態の制御部30は、相対座標が関連付けられている印刷項目に対応する印刷データを、印刷データ登録部44から読み出すとき、印刷項目に対応する複数の印刷データの中から一の印刷データを所定の順番(例えば、登録順)で読み出す。
【0054】
このような第2実施形態によれば、1枚目の用紙には一人目の氏名、住所、電話番号を印刷し、2枚目の用紙には二人目の氏名、住所、電話番号を印刷する、というように、用紙毎に印刷データを変えるような印刷を行うことが可能になる。
【0055】
図8は第3実施形態に係る印刷データ登録部44に登録されるデータの例を示す表図であり、(a)は印刷項目毎に印刷データが登録されていることを示す表図、(b)は用紙の種類及び印刷項目毎に相対座標が関連付けされていることを示す表図である。
図8の(b)に示すように、第3実施形態の印刷データ登録部44には、複数の種類の印刷媒体(例えば、用紙の種類)が登録可能であり、複数の種類の印刷媒体の各々に対して、印刷項目と印刷項目の印刷登録位置の相対座標と、が関連付けて登録される。
第3実施形態の制御部30は、ユーザによる印刷媒体の種類の選択後、1枚目の用紙の印刷に際して取得した印刷項目及び相対座標を印刷媒体の種類に関連付けて登録する。
また、第3実施形態の制御部30は、2枚目以降の印刷媒体への印刷に際しては、ユーザによる印刷媒体の種類の選択に基づいて、選択された印刷媒体の種類に関連付けられた印刷項目及び相対座標に基づいて印刷データの読み出しを行う。
つまり、制御部30は、複数の種類の印刷媒体における特定の印刷媒体に対する、印刷登録位置に応じた印刷項目に対応する印刷データを印刷データ登録部44から読み出して、印刷部45により特定の印刷媒体に印刷項目の印刷を行わせる。
【0056】
このような第3実施形態によれば、各印刷項目の印刷位置が異なる複数種類の用紙に対応し、印刷する用紙の種類を指定するだけで、各用紙の印刷位置に応じた印刷データを自動的に読み出して印刷を行うことが可能になる。
【0057】
図9は第4実施形態に係る印刷データ登録部44に登録されるデータの例を示す表図であり、(a)は印刷項目毎に用紙の種類に応じた印刷データが登録されていることを示す表図、(b)は用紙の種類及び印刷項目毎に相対座標が関連付けされていることを示す表図である。
図9の(a)に示すように、第4実施形態の印刷データ登録部44には、印刷項目毎に用紙の種類に応じた複数の印刷データが登録されている。
第4実施形態の制御部30は、ユーザによる用紙の種類の選択後、用紙の種類に応じた印刷データの印刷を行うとともに、1枚目の用紙の印刷に際して取得した印刷項目及び相対座標を用紙の種類に関連付けて登録する。
また、第4実施形態の制御部30は、2枚目以降の用紙の印刷に際しては、ユーザによる用紙の種類の選択に基づいて、選択された用紙の種類に関連付けられた印刷項目及び相対座標に基づいて、用紙の種類毎に登録されている印刷データの読み出しを行う。
【0058】
このような第4実施形態によれば、各印刷項目の印刷位置が異なるとともに、印刷する項目も用紙によって異なる複数種類の用紙に対応し、印刷する用紙の種類を指定するだけで、各用紙の印刷位置に応じた印刷データを自動的に読み出して印刷を行うことが可能になる。
【0059】
以上、具体的な実施形態に基づいて本発明のハンディプリンタ1について説明してきたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されるものではなく、様々な変形や改良を加えたものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
例えば、上記各実施形態では、印刷項目は複数であるとしたが、印刷項目は一つであってもよい。
また、上記実施形態では、2枚目以降の印刷に際して、印刷登録位置P1〜P3に位置合わせした後、印刷指示ボタン19の操作に応じて印刷データ登録部44から印刷データを自動的に呼び出すようにしたが、印刷登録位置P1〜P3に対する位置合わせを判定して印刷データ登録部44から印刷データを自動的に呼び出すようにしてもよい。
このようにすると、印刷指示ボタン19の操作も省略することができる。
【0061】
また、印刷項目としては、ユーザによって印刷データが登録されるものに限らず、ハンディプリンタ1側で自動的に印刷データを生成するものであってもよい。
例えば、用紙の管理番号のように用紙毎に数値を変えていく必要があるような場合に対応し、自動的に用紙毎に連続した番号に順次変えたり、所定の数値に順次変えたりすることが可能な印刷項目を設定できるようにしてもよい。
また、日付、時刻のように内部カレンダや内部時計から取得可能な数値を自動的に印刷可能な印刷項目を設定できるようにしてもよい。
【0062】
また、現在位置から印刷を開始した後、どこで印刷が終わるか不明である場合、その印刷が終わる前に次の印刷位置に移動させてしまうことが起こり得る。
このような印刷ミスを防止するために、一つの現在位置から印刷を開始した後、その印刷が終了したことを表示や音で知らせるようにしてもよい。
また、一つの現在位置から印刷を開始した後、その印刷が終了する前に、走査方向とは異なる方向にハンディプリンタ1が移動したと検出された場合に、その印刷を中断させるようにしてもよい。
【0063】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲のとおりである。
<請求項1>
印刷媒体に対して相対的に移動しているときに、前記印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記印刷媒体に対する前記印刷部の移動方向及び移動量を取得する移動量取得部と、
少なくとも一つの印刷項目に対応する印刷データが登録されているとともに、前記印刷項目と、前記印刷媒体における前記印刷項目の印刷登録位置の前記印刷媒体の基準位置に対する相対座標と、が関連付けて登録されている印刷データ登録部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記印刷部が前記印刷媒体の前記基準位置から現在位置に移動されたときに、前記移動量取得部における取得結果と前記印刷登録位置の前記相対座標とに基づいて、前記現在位置から印刷する前記印刷項目の前記印刷データを前記印刷データ登録部から読み出し、
前記印刷部により、前記印刷媒体の前記印刷登録位置から前記印刷項目の印刷を行わせることを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記制御部は、
前記印刷部が前記印刷媒体の前記基準位置から前記印刷登録位置まで移動されたときに前記移動量取得部により取得される前記移動方向及び前記移動量に基づいて、前記印刷登録位置の前記基準位置に対する前記相対座標を取得し、
前記印刷項目と、前記印刷項目の前記印刷登録位置の前記取得した前記相対座標と、を関連付けて、前記印刷データ登録部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記印刷データ登録部に、複数の前記印刷項目に対応する複数の前記印刷データが登録されているとともに、前記複数の印刷項目の各々と、前記印刷媒体における前記各印刷項目の印刷登録位置の前記印刷媒体の前記基準位置に対する相対座標と、が関連付けて登録され、
前記制御部は、
前記印刷部が前記印刷媒体の前記基準位置から前記現在位置に移動されたときに、前記現在位置から印刷する、前記複数の印刷項目のうちの特定の印刷項目の前記印刷データを前記印刷データ登録部から読み出し、
前記印刷媒体の前記現在位置から前記特定の印刷項目の印刷を行わせることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記制御部は、
前記印刷部の前記印刷媒体における前記現在位置の基準位置に対する相対座標を、前記移動量取得部により取得される前記移動方向及び前記移動量に基づいて取得し、
前記複数の印刷項目における、前記現在位置の相対座標に最も近い前記印刷登録位置の相対座標が関連付けられている前記印刷項目を前記特定の印刷項目とすることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記印刷データ登録部に、前記印刷項目に対して複数の印刷データが登録され、
前記制御部は、前記印刷項目に対応する前記印刷データを前記印刷データ登録部から読み出すとき、前記印刷項目に対応する前記複数の印刷データの中から一の印刷データを所定の順番で呼び出すことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記印刷データ登録部に、複数の種類の前記印刷媒体の各々に対して、前記印刷項目と前記印刷項目の前記印刷登録位置の前記相対座標と、が関連付けて登録され、
前記制御部は、前記複数の種類の印刷媒体における特定の印刷媒体に対する、前記印刷登録位置に応じた前記印刷項目に対応する前記印刷データを前記印刷データ登録部から読み出して、前記印刷部により前記特定の印刷媒体に前記印刷項目の印刷を行わせることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の印刷装置。