特許第6841134号(P6841134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841134
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/3725 20200101AFI20210301BHJP
【FI】
   H05B45/3725
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-76731(P2017-76731)
(22)【出願日】2017年4月7日
(65)【公開番号】特開2018-181512(P2018-181512A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
(72)【発明者】
【氏名】船山 信介
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−155746(JP,A)
【文献】 特開2014−225360(JP,A)
【文献】 特開2017−046448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00 − 45/58
H05B 47/00 − 47/29
H02M 3/00 − 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から電圧の供給を受け、第1スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させる点灯回路と、
前記直流電源の電源電圧が低いほど、前記第1スイッチング素子のオフ時間を短くするように前記点灯回路を制御する制御部と、
前記第1スイッチング素子を駆動させる電源となる駆動用コンデンサと、
前記光源が点灯状態のときに、前記オフ時間の間に前記駆動用コンデンサを充電する第1充電回路と、
第2充電回路と、
を備え、
前記制御部は、前記電源電圧の低下により前記光源が消灯すると、前記第2充電回路によって前記駆動用コンデンサを充電することを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記点灯回路は、前記点灯回路の出力電流を検出する電流検出部を備え、
前記制御部は、前記電流検出部の検出電圧が閾値よりも小さくなると、前記第2充電回路によって前記駆動用コンデンサを充電することを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記点灯回路の起動時に、前記第2充電回路によって前記駆動用コンデンサを充電してから前記第1スイッチング素子のオンオフを開始することを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記電源電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記制御部は、前記電源電圧に応じて前記第2充電回路によって前記駆動用コンデンサを充電することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電源電圧が閾値よりも低下すると前記第2充電回路によって前記駆動用コンデンサを充電することを特徴とする請求項4に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電源電圧が閾値よりも低下した後に前記閾値以上に上昇すると、前記第2充電回路によって前記駆動用コンデンサを充電することを特徴とする請求項4に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記第2充電回路は、前記駆動用コンデンサの正極と前記直流電源との間に接続された第2スイッチング素子を備え、
前記制御部は、前記第2スイッチング素子をオンすることで前記直流電源から前記駆動用コンデンサを充電することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項8】
前記第2充電回路は、前記点灯回路の出力端と並列に接続された出力電圧検出抵抗を備え、
前記駆動用コンデンサの負極は、前記出力電圧検出抵抗と接続されることを特徴とする請求項7に記載の点灯装置。
【請求項9】
前記第2充電回路は、前記駆動用コンデンサの負極と接地用端子との間に接続された第3スイッチング素子を備え、
前記駆動用コンデンサの正極は、前記制御部の制御電源と接続され、
前記制御部は、前記第3スイッチング素子をオンすることで前記制御電源から前記駆動用コンデンサを充電することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項10】
前記駆動用コンデンサの正極は、前記制御部の制御電源と接続され、
前記第1充電回路は、カソードが前記駆動用コンデンサの負極と接続されアノードが接地用端子と接続され、前記点灯回路の回生電流が流れるダイオードを備え、
前記第1スイッチング素子がオフすると、前記駆動用コンデンサの負極が負の電位となることで、前記制御電源から前記駆動用コンデンサが充電されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネを目的とする照明装置のLED化が進んでいる。また、太陽光電池およびバッテリーなどによる直流給電の実用化に伴い、例えば特許文献1および特許文献2に示されるように、直流給電を考慮した点灯装置の技術が見出されている。また、照明装置が備える半導体光源を点灯させる場合、一般に定電流を出力するスイッチング電源が使用されることが多い。スイッチング電源には、特許文献3に示されるように、省エネ効果を期待して点灯回路における損失が少ないバックコンバータ回路が採用されることが多い。
【0003】
一般に、バックコンバータ回路を用いて半導体光源を点灯させる場合、ブートストラップコンデンサを電源としてバックコンバータ回路のスイッチング素子を駆動させることがある。直流給電の正電極側にスイッチング素子が接続されるバックコンバータ回路では、起動時のブートストラップコンデンサの充電が課題になる場合がある。特許文献3には、ブートストラップコンデンサを充電する技術が開示されている。特許文献3では、起動時と定常スイッチング時の充電経路を変えることで、ブートストラップコンデンサを充電している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−70583号公報
【特許文献2】特許第5058778号公報
【特許文献3】特許第5563838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
直流給電を受け、定電流制御される点灯回路において、バックコンバータ回路の定常動作中に、なんらかの事情により直流給電電圧が低下した場合を考える。つまり、電源供給がサグ状態になった場合を考える。このとき、直流給電電圧と半導体光源の点灯電圧との差分が小さくなる。この結果、バックコンバータ回路の出力電流を一定に維持するために、バックコンバータ回路が備えるスイッチング素子のオフ時間が短くなるように制御される。スイッチング素子のオフ時間が短くなると、ブートストラップコンデンサの充電が十分ではなくなり、スイッチングが停止する場合がある。さらに、直流給電電圧が半導体光源の点灯電圧よりも小さくなると、一般にバックコンバータ回路はスイッチングできなくなる。
【0006】
ブートストラップコンデンサの充電が無くなり、スイッチングが停止すると、照明器具は消灯する。その後、直流給電電圧が定常電圧に戻っても、ブートストラップコンデンサの充電がないため、照明器具は不点灯状態を継続する。以上から、直流給電電圧が定常電圧に戻っても、点灯回路が機能しない可能性があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、直流給電電圧が低下してから定常電圧に復帰したときに、光源を点灯状態に戻すことができる点灯装置および照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る点灯装置は、直流電源から電圧の供給を受け、第1スイッチング素子のオンオフにより光源を点灯させる点灯回路と、該直流電源の電源電圧が低いほど、該第1スイッチング素子のオフ時間を短くするように該点灯回路を制御する制御部と、該第1スイッチング素子を駆動させる電源となる駆動用コンデンサと、該光源が点灯状態のときに、該オフ時間の間に該駆動用コンデンサを充電する第1充電回路と、第2充電回路と、を備え、該制御部は、該電源電圧の低下により該光源が消灯すると、該第2充電回路によって該駆動用コンデンサを充電する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る点灯装置では、制御部は、直流電源の電源電圧の低下により光源が消灯すると、第2充電回路によって駆動用コンデンサを充電する。このため、直流給電電圧が低下してから定常電圧に復帰したときに、駆動用コンデンサを充電された状態にすることができる。従って、光源を点灯状態に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
図2】実施の形態2に係る照明器具の回路ブロック図である。
図3】実施の形態3に係る照明器具の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る点灯装置および照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100は点灯装置10とLED光源部80を備える。点灯装置10は直流電源DCに接続される。点灯装置10の出力にはLED光源部80が接続される。直流電源DCは、太陽光電池、バッテリーまたは直流給電システムである。
【0013】
LED光源部80は、直列に接続された複数の光源81を備える。光源81は半導体光源である。本実施の形態では、光源81はLEDである。LED光源部80が備える光源81の数は1つ以上であれば良い。また、LED光源部80において、複数の光源81は、並列または直並列に接続されても良い。
【0014】
点灯装置10は、第1スイッチング素子Q1を備える。第1スイッチング素子Q1はMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)である。第1スイッチング素子Q1のドレインは、直流電源DCの正電極に接続される。第1スイッチング素子Q1のソースには、ダイオードD1のカソードとコイルL1の一端に接続される。第1スイッチング素子Q1のゲートは、制御IC40と接続される。
【0015】
ダイオードD1のアノードは接地用端子に接続される。コイルL1の他端は、コンデンサC1の正極に接続される。コンデンサC1の負極は、抵抗R1の一端と接続される。コンデンサC1と並列にLED光源部80が接続されている。コンデンサC1は、点灯装置10の出力端と並列に接続されている。抵抗R1の他端は、接地用端子と接続される。また、コンデンサC1と並列に抵抗R2が接続されている。抵抗R2の一端はコイルL1の他端と、コンデンサC1の正極との間に接続される。また、抵抗R2の他端は、抵抗R1の他端とダイオードD1のアノードとの間において、接地用端子と接続される。ここで、接地用端子は回路グランドと接続される端子である。また、直流電源DCの負電極も接地用端子に接続されている。
【0016】
第1スイッチング素子Q1、ダイオードD1、コイルL1、抵抗R1、R2およびコンデンサC1は、点灯回路50を構成する。直流電源DCとLED光源部80との間には、点灯回路50が接続されている。また、第1スイッチング素子Q1、ダイオードD1およびコイルL1は、バックコンバータ回路を構成する。点灯回路50は、直流電源DCから電圧の供給を受け、第1スイッチング素子Q1のオンオフにより光源81を点灯させる。
【0017】
制御IC40のVg端子は、第1スイッチング素子Q1のゲートに繋がる。Vg端子は、第1スイッチング素子Q1を駆動させる信号を出力する。制御IC40のVs端子は、第1スイッチング素子Q1のソースに接続される。Vs端子は、第1スイッチング素子Q1を駆動させる基準電圧を出力する。制御IC40のVb端子は、Vg端子から電圧を出力するための電源となる。制御IC40のVcc端子には、制御IC40が動作するための制御電源Vcc1が入力される。制御電源Vcc1と接地用端子との間には、コンデンサC3が接続されている。コンデンサC3は、制御IC40の電源となる。
【0018】
また、制御IC40の端子42は、第1スイッチング素子Q1のオン時間を検出するオン時間検出端子である。端子42と接地用端子との間には、コンデンサC4が接続されている。コンデンサC4は、端子42の端子電圧を安定化させる。また、コイルL1は2次巻き線を有する。制御IC40のzcd端子は、抵抗R3を介してコイルL1の2次巻き線に接続される。zcd端子は、コイルL1の2次巻き線に発生する電圧を検出している。抵抗R3は、2次巻き線に流れる電流を限流させる。
【0019】
制御IC40のVs端子とVb端子との間には、駆動用コンデンサC2が接続されている。駆動用コンデンサC2は、ブートストラップコンデンサである。駆動用コンデンサC2はチャージポンプコンデンサとも呼ばれる。駆動用コンデンサC2の負極は、第1スイッチング素子Q1のソースと接続される。駆動用コンデンサC2の正極は、第1スイッチング素子Q1のゲートに駆動信号を出力するための電源となるVb端子と接続される。このため、駆動用コンデンサC2は、第1スイッチング素子Q1を駆動させる電源となる。
【0020】
駆動用コンデンサC2の電荷は、Vb端子からVg端子を介して第1スイッチング素子Q1に出力される。第1スイッチング素子Q1がオンすると、ソースが直流電源DCの正電極と同電位になる。ここで、ソースは駆動用コンデンサC2の負極と接続されている。このため、第1スイッチング素子Q1がオンしても、駆動用コンデンサC2に印加されている電圧により、第1スイッチング素子Q1のゲート−ソース間電圧を維持できる。従って、駆動用コンデンサC2により、第1スイッチング素子Q1をオンさせる電流を継続して供給できる。
【0021】
駆動用コンデンサC2と並列にツェナーダイオードDZ1が接続されている。ツェナーダイオードDZ1は、Vb端子とVs端子との間に過電圧が発生した場合に、Vb端子とVs端子とを保護するために設けられている。駆動用コンデンサC2の正極には、さらにダイオードD2のカソードと第2スイッチング素子Q11のドレインが接続される。第2スイッチング素子Q11はMOSFETである。ダイオードD2のアノードは、抵抗R4を介して制御電源Vcc1と接続される。第2スイッチング素子Q11のソースは直流電源DCに接続される。また、第2スイッチング素子Q11のゲートとソースとの間には抵抗R11が接続される。抵抗R11は、プルアップ抵抗である。
【0022】
第2スイッチング素子Q11のゲートはトランジスタQ10のコレクタに接続される。トランジスタQ10のエミッタは、接地用端子に接続される。トランジスタQ10のベースには限流抵抗であるR10を介して、Vtrigger信号が入力される。Vtrigger信号は、制御ICが出力する信号である。
【0023】
また、点灯装置10は、比較器OP1を備える。抵抗R1の一端は比較器OP1の−端子に接続される。比較器OP1の+端子は定電圧のVrefが印加される。比較器OP1の出力端子は、制御ICのオン時間検出端子に接続される。
【0024】
次に、LED光源部80に流れる電流を定電流制御する動作について説明する。第1スイッチング素子Q1がオンすると直流電源DCからコイルL1を介して、コンデンサC1に高周波電流が供給される。コンデンサC1は、コイルL1から得られる高周波電流を平滑して、LED光源部80に電流を供給する。
【0025】
第1スイッチング素子Q1がオフすると、第1スイッチング素子Q1がオンしているときに蓄えられたコイルL1のエネルギーが放出される。これにより、コイルL1と、コンデンサC1とLED光源部80との並列接続と、ダイオードD1とを介して電流が流れる。ダイオードD1には、点灯回路50の回生電流が流れる。
【0026】
第1スイッチング素子Q1がスイッチングすると、コンデンサC1およびLED光源に流れる電流が抵抗R1に流れる。抵抗R1は、点灯回路50の出力電流を検出する電流検出部となる。抵抗R1により、LED光源部80に流れる平均電流を電圧に変換し、検出できる。
【0027】
抵抗R1に発生した電圧は、比較器OP1において、−端子で検出されVrefと比較される。比較結果は、制御IC40の端子42で検出される。比較器OP1は、抵抗R1で検出された検出電圧が、Vrefと一致するように出力電圧を変更する。
【0028】
制御IC40において、比較器OP1の出力電圧に応じて、Vg端子から出力される信号のオン時間が制御される。以上から、LED光源部80を流れる電流を一定にする定電流制御ができる。本実施の形態において、制御IC40と比較器OP1は、点灯回路50の出力電流が目標電流値と一致するように点灯回路50を制御する制御部である。ここで、目標電流値は、Vrefに対応する電流値である。Vrefは、外部から入力されるものとしても良い。
【0029】
また、制御IC40は、zcd端子によりコイルL1を流れる電流がゼロとなったことを検出すると、第1スイッチング素子Q1をオンする。つまり、制御IC40は、第1スイッチング素子Q1がオフしてコイルL1からエネルギーが放出されたことを検出すると、再び第1スイッチング素子Q1をオンさせる臨界動作をしている。以上から、本実施の形態に係る点灯装置10は、臨界動作する定電流型バックコンバータ回路を備える。
【0030】
また、抵抗R2は、点灯回路50の出力端と並列に接続されている。抵抗R2は、点灯回路50の出力電圧を検出する出力電圧検出抵抗である。制御IC40には、抵抗R2で検出した電圧が入力される。制御IC40は、LED光源部80に印加される電圧をモニタする。これにより、制御IC40は光源81を過電圧などから保護する。
【0031】
また、第1スイッチング素子Q1がオフすると、ダイオードD1のカソードの電位は、回路グランドからダイオードD1の順電圧Vfを低下させた電位になる。ここで、ダイオードD1のカソードは駆動用コンデンサC2の負極と接続され、アノードは接地用端子と接続されている。つまり、第1スイッチング素子Q1がオフすると、駆動用コンデンサC2の負極が負の電位となる。
【0032】
また、駆動用コンデンサC2の正極は、制御電源Vcc1と接続されている。このため、第1スイッチング素子Q1がオフすると、図1に示されるループ12により制御電源Vcc1から駆動用コンデンサC2が充電される。ループ12は、制御電源Vcc1から、抵抗R4、ダイオードD2、駆動用コンデンサC2、コイルL1、コンデンサC1および抵抗R1を通り、接地用端子に至る経路である。
【0033】
本実施の形態では、点灯装置10は、光源81が点灯状態であり第1スイッチング素子Q1がオフ時間の間に駆動用コンデンサC2を充電する第1充電回路を備える。第1充電回路は、抵抗R4、ダイオードD2、コイルL1、コンデンサC1、抵抗R1およびダイオードD1を備える。
【0034】
なお、ダイオードD2は、第1スイッチング素子Q1がオンして、駆動用コンデンサC2の負極の電位が直流電源DCの正電極の電位まで持ち上がった場合に、制御電源Vcc1に電流が逆流することを防止している。
【0035】
次に照明器具100の起動時の動作について説明する。起動時には、駆動用コンデンサC2に電荷がない。このため、第1スイッチング素子Q1をオンオフ動作させるためには、駆動用コンデンサC2を充電する必要がある。制御IC40は、図示しないVtrigger端子を備える。制御IC40は、点灯装置10を起動させる信号を受信すると、Vg端子から駆動信号を出力するのに先んじて、Vtrigger端子からVtrigger信号を出力する。
【0036】
Vtrigger信号は、トランジスタQ10のベースに入力される。これにより、トランジスタQ10がオンする。このとき、第2スイッチング素子Q11のゲート電圧がソース電圧に比べて高くなり、第2スイッチング素子Q11がオンする。第2スイッチング素子Q11は、駆動用コンデンサC2の正極と直流電源DCとの間に接続されている。また、駆動用コンデンサC2の負極は、コイルL1を介して出力電圧検出抵抗である抵抗R2と接続されている。このため、第2スイッチング素子Q11がオンすると、ループ14により直流電源DCから駆動用コンデンサC2が充電される。ループ14は、直流電源DCから第2スイッチング素子Q11、駆動用コンデンサC2、コイルL1および抵抗R2を通り接地用端子に至る経路である。
【0037】
コンデンサC2が充電されると、制御IC40は、Vtrigger信号の出力を停止する。この結果、第2スイッチング素子Q11がオフする。Vtrigger信号を出力する時間は、駆動用コンデンサC2に十分電荷が充電される時間であればよい。Vtrigger信号の出力を停止すると、制御IC40は、第1スイッチング素子Q1のスイッチング動作を開始する。以降は、LED光源部80に流れる電流が定電流となるように、制御部は点灯回路50を制御する。光源81の点灯中は、第2スイッチング素子Q11がオフしている。これにより、ループ14に電流が流れることによる電力損失を抑制できる。
【0038】
本実施の形態では、点灯装置10は、第2充電回路を備える。第2充電回路は、第2スイッチング素子Q11、抵抗R2、R10、R11、コイルL1およびトランジスタQ10を備える。制御IC40は、点灯回路50の起動時に、第2充電回路によって駆動用コンデンサC2を充電してから第1スイッチング素子Q1のオンオフを開始する。
【0039】
次に、直流電源DCの電源電圧が低下したときの照明器具100の動作について説明する。なんらかの事情により直流電源DCの電源電圧が低下すると、LED光源部80の点灯電圧と、電源電圧との差分が小さくなる。このとき、制御部は第1スイッチング素子Q1のオフ時間を短くして、光源81側に多くの電流を取り込むことで、定電流制御を継続しようとする。つまり、制御部は、直流電源DCの電源電圧が低いほど、第1スイッチング素子Q1のオフ時間を短くするように点灯回路50を制御する。
【0040】
この結果、第1スイッチング素子Q1がオフしている間に、第1充電回路により駆動用コンデンサC2に充電できる電荷が少なくなる。従って、電源電圧の低下に伴い、駆動用コンデンサC2を十分に充電できなくなる。この結果、直流電源DCの電源電圧が一定値よりも低下すると、スイッチングが停止し、光源81は消灯する。
【0041】
この時、光源81に電流が流れないため、抵抗R1に印加される電圧がゼロになる。このため、比較器OP1は高い電圧を出力し、端子42は高い電圧を検出する。この高い電圧により、制御IC40は、LED光源部80が消灯したことを検出する。制御IC40は、電源電圧の低下により光源81が消灯したことを検出すると、Vtrigger信号を出力する。これにより、起動時と同様に、第2充電回路によって駆動用コンデンサC2が充電される。
【0042】
その後、直流電源DCが復帰した場合、駆動用コンデンサC2は充電されている。このため、直流電源DCが復帰したときに、第1スイッチング素子Q1をオンオフさせて、LED光源部80を点灯させることができる。
【0043】
次に、直流電源DCの電源電圧がLED光源部80の点灯電圧よりも低い電圧まで低下した場合の動作について説明する。この場合、バックコンバータ回路は動作できず、光源81は消灯する。従って、点灯装置10の動作は、上述の駆動用コンデンサC2の電荷がなくなることで光源81が消灯する場合の動作と同様である。
【0044】
本実施の形態に係る照明器具100では、電源電圧の低下により光源81が消灯すると、第2充電回路によって駆動用コンデンサC2が充電される。従って、直流給電電圧が低下してから定常電圧に復帰したときに、光源81を点灯状態に戻すことができる。このため、直流電源DCが復帰したにも係らず消灯状態が継続されることを防止でき、使用者にとって不便がない照明器具100を提供できる。
【0045】
本実施の形態では、抵抗R1に印加される電圧がゼロになると制御部は駆動用コンデンサC2を充電した。この変形例として、制御部は、抵抗R11の検出電圧が閾値よりも小さくなると、Vtrigger信号を出力し、第2充電回路によって駆動用コンデンサC2を充電するものとしても良い。
【0046】
また、本実施の形態では制御IC40がVtrigger信号を出力する。この変形例として、別の制御回路が光源81の消灯を検出し、Vtrigger信号を出力するものとしても良い。
【0047】
また、本実施の形態ではVtrigger信号によりトランジスタQ10を介して第2スイッチング素子Q11をオンさせた。これに対し、第2充電回路は、Vtrigger信号により直流電源DCから駆動用コンデンサC2を充電できれば、別の構成でも良い。例えば、第2充電回路は、抵抗R2の代わりにコンデンサC1と抵抗R1を備えても良い。この場合、ループ14は、直流電源DCから第2スイッチング素子Q11、駆動用コンデンサC2、コイルL1、コンデンサC1および抵抗R1を通り接地用端子に至る経路となる。また、第1充電回路は第1スイッチング素子Q1のオフ時間に駆動用コンデンサC2を充電できれば、別の構成でも良い。
【0048】
また、本実施の形態では、バックコンバータ回路を臨界モードで動作させた。これに対し、バックコンバータ回路においてスイッチング周波数を固定し、オンデューティーを制御しても良い。電源電圧の低下に伴い、スイッチング回路のオフ時間が短くなる制御方法であれば、本実施の形態を適用できる。
【0049】
これらの変形は以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0050】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係る照明器具200の回路ブロック図である。本実施の形態では、第2充電回路の構成が実施の形態1と異なる。本実施の形態に係る点灯装置210は制御IC240を備える。制御IC240はVg2端子を備える。Vg2端子は、第3スイッチング素子Q20のゲートに接続される。
【0051】
第3スイッチング素子Q20はMOSFETである。第3スイッチング素子Q20のドレインは、ダイオードD1のカソードと、第1スイッチング素子Q1のソースとの間に接続される。このため、第3スイッチング素子Q20のドレインは、第1スイッチング素子Q1のソースと同電位となる。また、第3スイッチング素子Q20のドレインは、駆動用コンデンサC2の負極と接続されている。第3スイッチング素子Q20のソースは接地用端子に接続される。
【0052】
次に、本実施の形態に係る照明器具200の起動時の動作について説明する。起動時に、制御IC240は、Vg端子から第1スイッチング素子Q1の駆動信号を出力するのに先んじて、Vg2端子から第3スイッチング素子Q20の駆動信号を出力する。これにより、第3スイッチング素子Q20がオンする。従って、第3スイッチング素子Q20のドレインが回路グランドと同電位になる。
【0053】
ここで、駆動用コンデンサC2の正極は、制御電源Vcc1と接続されている。また、第3スイッチング素子Q20は、駆動用コンデンサC2の負極と接地用端子との間に接続されている。このため、第3スイッチング素子Q20がオンすることで、ループ214により制御電源Vcc1から駆動用コンデンサC2が充電される。ループ214は、制御電源Vcc1から抵抗R4、ダイオードD2、駆動用コンデンサC2および第3スイッチング素子を通り、接地用端子に至る経路である。駆動用コンデンサC2が十分充電されると、制御IC240はVg2端子からの信号の出力を停止し、第3スイッチング素子をオフする。以降の動作は、実施の形態1と同様である。
【0054】
電源電圧が低下した場合、制御部は光源81の消灯を検知して、第3スイッチング素子Q20をオンする。この結果、起動時と同様に制御電源Vcc1から駆動用コンデンサC2が充電される。このため、実施の形態1と同様に、直流給電電圧が低下してから定常電圧に復帰したときに、駆動用コンデンサC2を充電された状態とすることができる。従って、電源電圧の復帰時に、光源81を点灯状態に戻すことができる。本実施の形態に係る第2充電回路は、抵抗R4、ダイオードD2および第3スイッチング素子Q20を備える。
【0055】
本実施の形態では、直流電源DCの電源電圧が低下した場合に制御電源Vcc1から駆動用コンデンサC2を充電する。このため、駆動用コンデンサC2を充電するために、直流電源DCから給電する必要がない。従って、直流電源DCの電源電圧の低下を抑制できる。また、本実施の形態に係る第1充電回路と第2充電回路は、制御電源Vcc1から駆動用コンデンサC2までの回路が共通であるため、実施の形態1と比較して回路構成を簡単化できる。
【0056】
実施の形態3.
図3は、実施の形態3に係る照明器具300の回路ブロック図である。本実施の形態に係る点灯装置310は、点灯装置210と比較して、抵抗R20、R21から構成される電圧検出部をさらに備える。電圧検出部は、抵抗分圧回路である。電圧検出部は、直流電源DCの両端間に接続されている。抵抗R20の一端は、直流電源DCの正電極に接続される。抵抗R20の他端は、抵抗R21の一端と、制御IC340のVin端子に接続される。抵抗R21の他端は、直流電源DCの負電極に接続される。
【0057】
電圧検出部の両端には、直流電源DCの電源電圧が印加される。従って、電圧検出部によって電源電圧を検出できる。電圧検出部において、抵抗R20、R21の中点は、制御ICのVin端子に接続される。これにより、直流電源DCの電源電圧を抵抗R20、R21によって分圧した電圧が、制御IC340に入力される。従って、制御IC340は、電源電圧をモニタできる。本実施の形態では、電圧検出部によって直流電源DCの電源電圧の低下を検出する。
【0058】
電源電圧が低下し、光源81が消灯した場合の動作は、実施の形態2と同様である。さらに、制御IC340は、電圧検出部によって検出した電源電圧に応じて、第2充電回路によって駆動用コンデンサC2を充電する。制御IC340は、電源電圧が閾値よりも低下すると、第3スイッチング素子Q20をオンして、第2充電回路によって駆動用コンデンサC2を充電する。
【0059】
また、制御IC340は、電源電圧が閾値よりも低下した後に閾値以上に上昇すると、第3スイッチング素子Q20をオンして、第2充電回路によって駆動用コンデンサC2を充電するものとしても良い。以上から、電源電圧が閾値よりも低下した後に閾値以上に上昇した場合、LED光源部80を再び点灯させることができる。つまり、直流電源DCが復帰したときに、LED光源部80を点灯させることができる。
【0060】
本実施の形態では、実施の形態2の点灯装置210に電圧検出部を追加して点灯装置310を構成した。この変形例として、実施の形態1の点灯装置10に電圧検出部を追加してもよい。この場合、制御IC340は、電圧検出部によって検出した電源電圧に応じて、Vtrigger信号を出力して、第2充電回路によって駆動用コンデンサC2を充電する。なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0061】
100、200、300 照明器具、10、210、310 点灯装置、40、240、340 制御IC、50 点灯回路、80 LED光源部、81 光源、DC 直流電源、Q1 第1スイッチング素子、Q11 第2スイッチング素子、Q20 第3スイッチング素子、OP1 比較器、C1、C3、C4 コンデンサ、C2 駆動用コンデンサ、R1、R2、R3、R4、R10、R11、R20、R21 抵抗、Vcc1 制御電源、D1、D2 ダイオード、L1 コイル、DZ1 ツェナーダイオード、Q10 トランジスタ
図1
図2
図3