特許第6841171号(P6841171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841171
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】機器制御システム及び遠隔調整システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20210301BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   H04M11/00 301
   G05B23/02 302Z
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-125284(P2017-125284)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-9685(P2019-9685A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】渡部 芳幸
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 創
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 智樹
【審査官】 松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−287816(JP,A)
【文献】 特開平06−182681(JP,A)
【文献】 特開平11−282507(JP,A)
【文献】 特開2006−019978(JP,A)
【文献】 特開2003−225491(JP,A)
【文献】 特開2014−042313(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204442544(CN,U)
【文献】 国際公開第2011/036750(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J1/00−21/02
B60W10/00−10/30
30/00−50/16
B62D6/00−6/10
B66B1/00−1/52
21/00−31/02
D06F33/00−33/10
58/28
F24F11/00−11/89
110/00
120/00
130/00
140/00
G05B23/00−23/02
G06F13/00
G08C13/00−25/04
H02P4/00
21/00−25/03
25/04
25/08−31/00
H03J9/00−9/06
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器の状態量の目標値と実際値との差である目標偏差に基づき前記制御対象機器を制御する制御装置と、
インターネットを介して前記制御装置と接続される端末装置とを備え、
前記端末装置は、前記制御装置の動作モードが前記制御対象機器の遠隔操作を行うための遠隔操作モードであると判定すると、遠隔操作の指令を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記遠隔操作モードであると判定すると、前記目標偏差に加え、前記端末装置から送信される前記遠隔操作の指令に従って前記制御対象機器を制御し、
前記目標偏差の絶対値が予め定められた異常判定閾値以上であると判定した場合に、前記制御対象機器が異常状態にあると判定する異常状態判定部を更に備え、
前記異常状態判定部は、前記制御装置の動作モードが前記遠隔操作モードであると判定した場合には、該動作モードが前記遠隔操作モードではないと判定した場合に比べ、前記異常判定閾値の大きさを小さくすることを特徴とする機器制御システム。
【請求項2】
オペレータが操作する入力装置を備え、
前記端末装置は、前記動作モードが前記遠隔操作モードであると判定した場合、前記入力装置から前記遠隔操作の指令と制御パラメータとが入力されると、前記遠隔操作の指令と前記制御パラメータを前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記端末装置から送信された前記制御パラメータと前記目標偏差とに基づき、前記端末装置から送信される前記遠隔操作の指令に従って前記制御対象機器を制御することを特徴とする請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記制御対象機器が異常状態にあると判定された場合、前記制御対象機器の制御を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記制御対象機器の動作状況を表す動画を撮影し、撮影した動画をインターネットを介して前記端末装置に送信する撮影装置を更に備え、
前記端末装置は、前記撮影装置から送信される動画を表示する動画表示部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項5】
ダイレクトドライブモータの状態量の目標値と実際値との差である目標偏差と制御パラメータに基づき前記ダイレクトドライブモータを制御する制御装置と、
前記制御装置をインターネットを介して他の装置に接続する通信モジュールと、
インターネットを介して前記制御装置と接続され、オペレータが操作する端末装置と、
前記ダイレクトドライブモータの動作状況を表す動画を撮影し、撮影した動画をインターネットを介して前記端末装置に送信する撮影装置と、を備え、
前記端末装置は、前記制御装置の動作モードが前記ダイレクトドライブモータの遠隔操作を行うための遠隔操作モードであると判定すると、遠隔操作の指令を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記遠隔操作モードであると判定すると、前記目標偏差と前記制御パラメータとに加え、前記端末装置から送信される前記遠隔操作の指令に従って前記ダイレクトドライブモータを制御し、
前記目標偏差の絶対値が予め定められた異常判定閾値以上であると判定した場合に、前記ダイレクトドライブモータが異常状態にあると判定する異常状態判定部を更に備え、
前記異常状態判定部は、前記制御装置の動作モードが前記遠隔操作モードであると判定した場合には、該動作モードが前記遠隔操作モードではないと判定した場合に比べ、前記異常判定閾値の大きさを小さくし、
更に、前記端末装置は、前記撮影装置から送信される動画を表示すると共に、インターネットを介して前記制御パラメータを前記制御装置に送信することを特徴とする遠隔調整システム。
【請求項6】
前記端末装置は、前記制御パラメータと共に、該制御パラメータを用いて前記ダイレクトドライブモータを制御させる制御コマンドを前記制御装置に送信することを特徴とする請求項5に記載の遠隔調整システム。
【請求項7】
前記制御装置は、インターネットを介して、動画の撮影時に使用された前記制御パラメータと前記ダイレクトドライブモータが有するセンサから出力されるセンサデータとを前記端末装置に送信することを特徴とする請求項5または6に記載の遠隔調整システム。
【請求項8】
前記端末装置は、携帯電話通信網を介してインターネットに接続されていることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の遠隔調整システム。
【請求項9】
前記撮影装置は、携帯電話通信網を介してインターネットに接続される移動通信端末であることを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の遠隔調整システム。
【請求項10】
前記移動通信端末は、テザリング機能を更に有し、
前記通信モジュールは、前記移動通信端末のテザリング機能によってインターネットに接続することを特徴とする請求項9に記載の遠隔調整システム。
【請求項11】
前記制御装置と前記通信モジュールとは、一体であることを特徴とする請求項5から10のいずれか1項に記載の遠隔調整システム。
【請求項12】
前記制御装置と前記通信モジュールとは、別体であることを特徴とする請求項5から10のいずれか1項に記載の遠隔調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器制御システム及び遠隔調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器制御システムとしては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。この特許文献1に記載の技術では、制御対象機器の状態量のシミュレーション結果と実際値との差の絶対値の差が予め定めた所定値以上であると判定した場合に、制御対象機器が異常状態にあると判定するようになっている。そして、制御対象機器が異常状態にあると判定した場合に、制御対象機器を停止させることで、故障の発生を未然に防ぐようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−287816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、例えば、遠隔操作時に、制御対象機器の制御パラメータの調整が行われると、調整の仕方によっては制御対象機器が発振するため、停止される前に制御対象機器が故障し、安全性や信頼性が低下する可能性がある。
本発明は、上記のような点に着目し、制御パラメータの調整等が行われる、遠隔操作時に、安全性や信頼性をより向上可能な機器制御システム及び遠隔調整システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、(a)制御対象機器の状態量の目標値と実際値との差である目標偏差に基づき制御対象機器を制御する制御装置と、インターネットを介して制御装置と接続される端末装置とを備え、(b)端末装置は、制御装置の動作モードが制御対象機器の遠隔操作を行うための遠隔操作モードであると判定すると、遠隔操作の指令を制御装置に送信し、(c)制御装置は、遠隔操作モードであると判定すると、目標偏差に加え、端末装置から送信される遠隔操作の指令に従って制御対象機器を制御し、(d)目標偏差の絶対値が予め定められた異常判定閾値以上であると判定した場合に、制御対象機器が異常状態にあると判定する異常状態判定部を更に備え、(e)異常状態判定部は、制御装置の動作モードが遠隔操作モードであると判定した場合には、動作モードが遠隔操作モードではないと判定した場合に比べ、異常判定閾値の大きさを小さくする機器制御システムであることを要旨とする。
【0006】
また、本発明の他の態様は、(a)ダイレクトドライブモータの状態量の目標値と実際値との差である目標偏差と制御パラメータに基づきダイレクトドライブモータを制御する制御装置と、(b)制御装置をインターネットを介して他の装置に接続する通信モジュールと、(c)インターネットを介して制御装置と接続され、オペレータが操作する端末装置と、(d)ダイレクトドライブモータの動作状況を表す動画を撮影し、撮影した動画をインターネットを介して端末装置に送信する撮影装置と、を備え、(e)端末装置は、制御装置の動作モードがダイレクトドライブモータの遠隔操作を行うための遠隔操作モードであると判定すると、遠隔操作の指令を制御装置に送信し、(f)制御装置は、遠隔操作モードであると判定すると、目標偏差と制御パラメータとに加え、端末装置から送信される遠隔操作の指令に従ってダイレクトドライブモータを制御し、(g)目標偏差の絶対値が予め定められた異常判定閾値以上であると判定した場合に、ダイレクトドライブモータが異常状態にあると判定する異常状態判定部を更に備え、(h)異常状態判定部は、制御装置の動作モードが遠隔操作モードであると判定した場合には、動作モードが遠隔操作モードではないと判定した場合に比べ、異常判定閾値の大きさを小さくし、更に、(i)端末装置は、撮影装置から送信される動画を表示すると共に、インターネットを介して制御パラメータを制御装置に送信する遠隔調整システムであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遠隔操作時には、異常状態判定閾値が小さくなるため、異常状態であると判定されやすくなる。それゆえ、故障の発生をより確実に防止でき、遠隔操作時に、安全性や信頼性をより向上可能な機器制御システム及び遠隔調整システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の機器制御システムの構成を表す構成図である。
図2】変形例の機器制御システムの構成を表す構成図である。
図3】変形例の機器制御システムの構成を表す構成図である。
図4】変形例の機器制御システムの構成を表す構成図である。
図5】第2実施形態の機器制御システムの構成を表す構成図である。
図6】変形例の機器制御システムの構成を表す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明を、DDモータ1(広義には「制御対象機器」)の制御等を行う機器制御システム2(以下、「遠隔調整システム」とも呼ぶ)に適用する。DDモータ1は、出力軸に回転トルクを与える駆動部(不図示)と、位置情報や速度情報等、駆動部の回転状態を検出する回転検出器(広義には、「センサ」。不図示)とを備えている。
なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
(第1実施形態)
(構成)
図1に示すように、第1実施形態の機器制御システム2は、撮影装置3と、ドライブユニット4と、端末装置5と、を備えている。撮影装置3と、ドライブユニット4とは、DDモータ1の設置現場に配置されている。また、端末装置5は、DDモータ1の設置現場から遠距離にある、DDモータ1のメーカーの作業室に配置されている。
【0011】
撮影装置3は、DDモータ1の動作状況を表す動画(例えば、DDモータ1の制御対象の動作を表す動画)を撮影する。そして、撮影した動画を端末装置5に送信する。端末装置5への送信は、通信モジュール4cを使用して、インターネット6を介して行われる。
ドライブユニット4(広義には、「制御装置」)は、ドライブユニット本体4a(広義には「制御実行部」)と、異常状態判定部4bと、通信モジュール4cとを備えている。すなわち、第1実施形態では、通信モジュール4cは、ドライブユニット4に内蔵され、ドライブユニット本体4aや異常状態判定部4bと一体に形成されている。
【0012】
ドライブユニット本体4aは、メモリ(不図示)に格納されている制御パラメータ(例えば、サーボゲイン)に基づいてDDモータ1の制御を行う通常モードと、DDモータ1の遠隔操作を行うための遠隔操作モードとを有している。ここで、遠隔操作としては、例えば、インターネット介して行われる操作を想定している。通常モードと遠隔操作モードとの切り替えは、端末装置5から送信される動作モードの切替指令に従って行われる。
【0013】
そして、ドライブユニット本体4aは、通常モードであると判定した場合には、メモリに格納されている制御コマンド(例えば、所定角度の回転、所定速度での回転を行うコマンド)に基づき、DDモータ1の状態量(例えば、位置情報、速度情報)の目標値を算出する。そして、算出した目標値と、DDモータ1の回転検出器から出力されるセンサデータ、つまり、状態量の実際値との差(以下、「目標偏差」とも呼ぶ)を算出し、その目標偏差と、メモリに格納されている予め定められた制御パラメータとに基づきDDモータ1を制御する。具体的には、目標偏差に制御パラメータを乗算し、その乗算結果を基にDDモータ1の位置や速度の制御を行い、所定の角度の回転や所定の角速度での回転を行う。
【0014】
また、ドライブユニット本体4aは、遠隔操作モードであると判定した場合には、端末装置5から遠隔操作の指令が送信されると、目標偏差に加え、送信された遠隔操作の指令に従ってDDモータ1を制御する。具体的には、遠隔操作の指令としての試運転指令に加え、制御パラメータと制御コマンドが送信され、送信された制御パラメータと制御コマンドとをメモリに書き込む(上書きする)。試運転指令、制御パラメータ及び制御コマンドの取得はインターネット6を介して行われる。そして、その試運転指令に従い、上書きした制御パラメータと制御コマンドとに基づいて、DDモータ1の制御(試運転)を行う。
【0015】
これにより、メモリに上書きした制御パラメータ及び制御コマンドとが適切であるか否か判断される。そして、適切であると判断された場合には、通常モードに切り替えられ、上書きした制御パラメータと制御コマンドとに基づき、以後のDDモータ1の制御が行われるようになる。一方、適切でないと判断された場合には、遠隔操作モードが維持され、制御パラメータと制御コマンドとの送信や、DDモータ1の試運転が再度実行される。
【0016】
また、ドライブユニット本体4aは、通常モード、遠隔操作モードのいずれの場合も、異常状態判定部4bから制御停止指令が送信されると、DDモータ1の制御を停止する。
さらに、ドライブユニット本体4aは、撮影装置3による動画の撮影時に使用された制御パラメータとDDモータ1の状態量(位置情報等)とを端末装置5に送信する。端末装置5への送信は、通信モジュール4cを使用して、インターネット6を介して行われる。
【0017】
異常状態判定部4bは、ドライブユニット本体4aによるDDモータ1の制御中、目標偏差の絶対値が異常判定閾値以上であるか否かを判定する。そして、異常判定閾値以上であると判定した場合には、DDモータ1が異常状態にあると判定し、DDモータ1の制御を停止させる制御停止指令をドライブユニット本体4aに送信する。一方、異常判定閾値未満であると判定した場合には、DDモータ1が異常状態にない(正常)と判定する。
【0018】
DDモータ1が異常状態にあるかの判定を行う際には、異常状態判定部4bは、現在の動作モードが遠隔操作モードであるか否かを判定する。そして、遠隔操作モードであると判定した場合には、遠隔操作モードではないと判定した場合に比べ、異常判定閾値の大きさを小さくする。遠隔操作モードであると判定した場合の異常判定閾値と、遠隔操作モードではないと判定した場合の異常判定閾値との比率は、例えば、50:100とする。
【0019】
なお、本実施形態では、異常状態判定部4bをドライブユニット4に設ける例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、端末装置5に設ける構成としてもよく、また、DDモータ1の設置現場またはメーカーの作業場に別途設ける構成としてもよい。
通信モジュール4cは、LANケーブル8を介してDDモータ1の設置現場のネットワークとインターネット6とを接続するゲートウェイ7に接続されている。そして、撮影装置3及びドライブユニット本体4aをインターネット6を介して端末装置5(広義には「他の装置」)に接続している。これにより、撮影装置3及び端末装置5、ドライブユニット本体4a及び端末装置5は、インターネット6を介して互いに通信可能となっている。
【0020】
端末装置5は、LANケーブル10を介して、DDモータ1のメーカーのネットワークとインターネット6とを接続するゲートウェイ9に接続されている。そして、インターネット6を介して撮影装置3及びドライブユニット本体4aと接続されている。例えば、端末装置5として機能させる制御プログラムがインストールされたパソコンを採用できる。
また、端末装置5は、オペレータが操作する入力装置5aと、オペレータに各種情報を提示するディスプレイ5bとを備えている。また、端末装置5は、制御プログラムによって動作し、端末装置5を、動画表示部5c、パラメータ送信部5dとして機能させる。
【0021】
動画表示部5cは、撮影装置3から送信される動画と、ドライブユニット4から送信される制御パラメータ及びDDモータ1の状態量とをインターネット6を介して取得し、取得した動画と制御パラメータとDDモータ1の状態量とをディスプレイ5bに表示する。これにより、オペレータに、DDモータ1の動作状況を確認させることができ、入力装置5aを操作させて、制御パラメータや制御コマンドの入力を行わせることができる。
【0022】
パラメータ送信部5dは、現在の動作モードが遠隔操作モードであるか否かを判定する。そして、遠隔操作モードであると判定した場合には、入力装置5aから制御パラメータや制御コマンド、試運転指令が入力されると、これらをインターネット6を介してドライブユニット本体4aに送信する。これにより、ドライブユニット4のメモリに制御パラメータや制御コマンドを上書きさせ、上書きさせた制御パラメータ等で試運転を行わせる。
なお、第1実施形態では、端末装置5として、パソコンを用いる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、スマートフォンを用いる構成としてもよい。この場合、図2に示すように、ゲートウェイ9に代えて、無線ルータ11を用いる。
【0023】
(動作その他)
次に、第1実施形態の機器制御システム2の動作を説明する。
制御パラメータ(サーボゲイン)の設定を行う場合には、オペレータが、端末装置5を操作し、動作モードの切替指令をドライブユニット本体4aに送信する。すると、ドライブユニット本体4aが、動作モードを遠隔操作モードに切り替える。続いて、端末装置5が、現在の動作モードが遠隔操作モードであると判定し、オペレータが入力装置5aから制御パラメータや制御コマンド、遠隔操作の指令(試運転指令)を入力すると、これらをインターネット6を介してドライブユニット4に送信する。続いて、ドライブユニット本体4aが、遠隔操作モードであると判定し、送信された制御パラメータと制御コマンドとをメモリに上書きする。そして、その試運転指令に従い、目標偏差に加え、上書きした制御パラメータと制御コマンドとに基づいて、DDモータ1の制御(試運転)が行われる。
【0024】
また、DDモータ1の制御(試運転)中、異常状態判定部4bが、目標偏差の絶対値が異常判定閾値以上であるか否かを判定し、DDモータ1が異常状態にあるか否かを判定する。その際、現在の動作モードが遠隔操作モードであると判定するため、遠隔操作モードではないと判定した場合に比べ、異常判定閾値の大きさを小さくする(例えば50%)。
ここで、調整した制御パラメータが適切ではなく、試運転中に制御対象機器が発振を開始したとする。すると、異常判定閾値が小さいため、目標偏差の絶対値が異常判定閾値以上であると早いタイミングで判定し、DDモータ1が異常状態にあると判定する。そして、DDモータ1の制御を停止させる制御停止指令をドライブユニット本体4aに送信する。これにより、DDモータ1の発振が増大する前に、DDモータ1が停止される。そのため、DDモータ1の故障が確実に防止され、遠隔操作時の安全性や信頼性が向上される。
【0025】
(本実施形態の効果)
(1)このように、本施形態の機器制御システム2は、遠隔操作モードであると判定した場合には、遠隔操作モードではないと判定した場合に比べ、異常状態判定閾値の大きさを小さくするようにした。そのため、遠隔操作時には、異常状態判定閾値が小さくなるので、異常状態であると判定されやすくなる。それゆえ、故障の発生をより確実に防止でき、遠隔操作時の安全性や信頼性をより向上可能な機器制御システム2を提供できる。
【0026】
(2)さらに、ドライブユニット本体4aは、端末装置5から送信された制御パラメータと目標偏差とに基づき、端末装置5から送信された遠隔操作の指令(試運転指令)に従ってDDモータ1を制御するため、制御パラメータの調整をより適切に行うことができる。
(3)また、ドライブユニット本体4aは、異常状態にあると判定すれた場合に、DDモータ1の制御を停止するため、DDモータ1の故障をより確実に防止することができる。
【0027】
(4)従来、DDモータ1を含む制御対象の立ち上げ時や故障診断時には、DDモータ1のメーカーから技術者を設置現場に派遣していた。そして、派遣した技術者に、DDモータ1や制御対象の動作状況を確認させ、DDモータ1のドライブユニット4の制御パラメータの調整を行わせていた。しかしながら、例えば、メーカーから設置現場までが遠距離である場合には、技術者の移動に時間を要し、対応スピードが遅くなる可能性があった。
【0028】
これに対し、第1実施形態の機器制御システム2(遠隔調整システム)では、端末装置5は、撮影装置3から送信される動画を表示すると共に、インターネット6を介して制御パラメータをドライブユニット本体4aに送信するようにした。これにより、端末装置5のオペレータに、DDモータ1の動作状況を表す動画を見せることができ、DDモータ1の動作状況を確認させ、制御パラメータの設定を行わせることができる。それゆえ、オペレータの移動に要する時間をなくすことができ、オペレータの所在地からDDモータ1の設置現場が遠距離でも、対応スピードを向上可能な機器制御システム2を提供できる。
【0029】
(5)また、端末装置5は、制御パラメータと共に、その制御パラメータを用いてDDモータ1を制御させる制御コマンドをドライブユニット本体4aに送信するようにした。これにより、端末装置5のオペレータに、制御パラメータの設定に加え、制御コマンドの入力を行わせることができる。それゆえ、調整した制御パラメータによる動作確認をオペレータの操作で行うことができ、制御パラメータの調整結果の適否を容易に把握できる。
【0030】
(6)さらに、ドライブユニット本体4aは、インターネット6を介して、動画の撮影時に使用された制御パラメータとDDモータ1が有する回転検出器から出力される位置情報とを前記端末装置に送信するようにした。これにより、端末装置5のオペレータに、動画撮影時の制御パラメータと位置情報とを見せることができ、DDモータ1の動作状況をより詳細に確認させることができる。それゆえ、より適切な制御パラメータを設定できる。
【0031】
(7)また、ドライブユニット本体4aと通信モジュール4cとは、一体とした。これにより、これらを別体とする方法に比べ、設置スペースを小さくすることができる。
(8)さらに、第1実施形態の通信モジュール4cは、ドライブユニット本体4a及び撮影装置3をインターネット6に接続するため、インターネット6を介してドライブユニット本体4a及び撮影装置3のそれぞれを端末装置5に容易に接続することができる。
【0032】
(9)また、第1実施形態の端末装置5及び制御プログラムは、DDモータ1の動作状況を表す動画を撮影する撮影装置3から送信される動画をインターネット6を介して取得し、取得した動画を表示するようにした。そして、DDモータ1を制御するドライブユニット本体4aにインターネット6を介して制御パラメータを送信するようにした。これにより、端末装置5のオペレータに、DDモータ1の動作状況を表す動画を見せることができ、DDモータ1の動作状況を確認させ、制御パラメータを設定させることができる。
(10)さらに、第1実施形態の撮影装置3は、DDモータ1用のドライブユニット本体4aをインターネット6に接続するための通信モジュール4cを介して、インターネット6に接続されている。これにより、撮影装置3をインターネット6に容易に接続できる。
【0033】
(変形例)
(1)なお、第1実施形態では、撮影装置3が動画を撮影する例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、動画に加え、DDモータ1の動作状況を表す静止画も撮影し、端末装置5に送信してもよい。そして、端末装置5に、静止画も表示させてもよい。
(2)また、第1実施形態では、端末装置5がゲートウェイ9や無線ルータ11を介してインターネット6に接続されている例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図3に示すように、端末装置5が市販キャリア信号(携帯電話通信網)を介してインターネット6に接続されている構成としてもよい。これにより、オペレータの所在位置の自由度をより向上でき、対応スピードをより向上できる。端末装置5としては、例えば、携帯電話通信網による通信機能を有するパソコンやスマートフォンを採用できる。
【0034】
(3)また、図4に示すように、撮影装置3を、動画撮影機能を有すると共に、市販キャリア(携帯電話通信網)を介してインターネット6に接続される移動通信端末(例えば、スマートフォン、パソコン)としてもよい。この場合、移動通信端末として、テザリング機能を有するものを用い、通信モジュール4cを、移動通信端末のテザリング機能(例えば、Bluetooth(登録商標)テザリング)によってインターネット6に接続する構成としてもよい。これにより、作業環境のケーブル(LANケーブル8)を低減でき、作業性を改善できる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るDDモータ1の機器制御システム2について説明する。なお、第1実施形態と同様な構成等については同一の符号を使用して、その詳細は省略する。
第2実施形態は、図5に示すように、ドライブユニット本体4a(ドライブユニット4)と通信モジュール4cとを、別体として設けた点が、第1実施形態と異なる。ドライブユニット本体4aと通信モジュール4cとの接続は、485系通信や、Ethernet系通信により行う。これにより、従来のドライブユニット4に後付することで構成できる。
【0036】
また、図6に示すように、撮影装置3を、動画撮影機能を有すると共に、市販キャリア(携帯電話通信網)を介してインターネット6に接続される移動通信端末(例えば、スマートフォン、パソコン)としてもよい。この場合、移動通信端末として、テザリング機能を有するものを用い、通信モジュール4cを、移動通信端末のテザリング機能(例えば、Bluetooth(登録商標)テザリング)によってインターネット6に接続する構成としてもよい。これにより、作業環境のケーブル(LANケーブル8)を低減でき、作業性を改善できる。
【符号の説明】
【0037】
1 DDモータ
2 機器制御システム
3 撮影装置
4 ドライブユニット
4a ドライブユニット本体
4b 異常状態判定部
4c 通信モジュール
5 端末装置
5a 入力装置
5b ディスプレイ
5c 動画表示部
5d パラメータ送信部
6 インターネット
7 ゲートウェイ
8 LANケーブル
9 ゲートウェイ
10 LANケーブル
11 無線ルータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6