(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機酸コバルト塩の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、コバルト量として0.1〜3質量部である、請求項1に記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
前記有機酸コバルト塩が、ナフテン酸コバルト、オレイン酸コバルト、リノール酸コバルト、ステアリン酸コバルト、リノレン酸コバルト、パルチミン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、トール油酸コバルト及びホウ酸三ネオデカン酸コバルトからなる群より選択される化合物である、請求項1又は2に記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、タイヤに対する耐久性の要求水準が高まるなか、スチールコード被覆用ゴム組成物に対しても耐久性のさらなる向上が求められている。特に、ゴムの劣化は湿熱(高温高湿)環境下に曝した場合に進み易いため、このような環境下に曝されてもスチールコードに対して優れた接着性を示すスチールコード被覆用ゴム組成物が求められている。以下、湿熱環境下に曝した後の接着性を「湿熱接着性」とも言う。
このようななか、本発明者が特許文献1に記載のスチールコード被覆用ゴム組成物について検討したところ、その湿熱接着性は、昨今要求される水準を必ずしも満たすものではないことが明らかになった。
【0006】
そこで、上記実情を鑑みて、本発明は、湿熱接着性に優れたスチールコード被覆用ゴム組成物、及び、上記スチールコード被覆用ゴム組成物をスチールコードの被覆に用いたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定の量の、ニトロン基を有する化合物を配合することで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0008】
(1) 天然ゴムを含むジエン系ゴムと、ニトロン基を有する化合物と、有機酸コバルト塩とを含有し、
上記ジエン系ゴム中の上記天然ゴムの含有量が、95質量%以上であり、
上記ニトロン基を有する化合物の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.9〜15質量部である、スチールコード被覆用ゴム組成物。
(2) 上記有機酸コバルト塩の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、コバルト量として0.1〜3質量部である、上記(1)に記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
(3) 上記ニトロン基を有する化合物が、N−フェニル−α−(4−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(3−カルボキシフェニル)ニトロン、N−フェニル−α−(2−カルボキシフェニル)ニトロン、N−(4−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン、N−(3−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン及びN−(2−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロンからなる群より選択される化合物である、上記(1)又は(2)に記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
(4) 上記有機酸コバルト塩が、ナフテン酸コバルト、オレイン酸コバルト、リノール酸コバルト、ステアリン酸コバルト、リノレン酸コバルト、パルチミン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、トール油酸コバルト及びホウ酸三ネオデカン酸コバルトからなる群より選択される化合物である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のスチールコード被覆用ゴム組成物を、スチールコードの被覆に用いた、タイヤ。
【発明の効果】
【0009】
以下に示すように、本発明によれば、湿熱接着性に優れたスチールコード被覆用ゴム組成物、及び、上記スチールコード被覆用ゴム組成物をスチールコードの被覆に用いたタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物、および、本発明のタイヤについて説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0012】
[スチールコード被覆用ゴム組成物]
本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、天然ゴムを含むジエン系ゴムと、ニトロン基を有する化合物(以下、「ニトロン化合物」とも言う)と、有機酸コバルト塩とを含有する。ここで、上記ジエン系ゴム中の上記天然ゴムの含有量は95質量%以上である。また、上記ニトロン基を有する化合物の含有量は上記ジエン系ゴム100質量部に対して0.9〜15質量部である。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと考えらえる。その理由は明らかではないが、湿熱環境下に曝された場合にニトロン化合物が加水分解することでゴム中の水分を取り込み、水分によるゴムの劣化が抑制されることが考えられる。なお、後述する実施例と比較例との対比が示すように、このようなニトロン化合物による効果は、ニトロン化合物の含有量に大きく影響を受け、臨界性が存在することが分かっている。もっとも、上記メカニズムは推定であり、当該メカニズム以外であっても、本発明の範囲である。
【0013】
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
<ジエン系ゴム>
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは天然ゴムを含む。ここで、ジエン系ゴム中の天然ゴムの含有量は95質量%以上である。なお、上限は特に制限されず100質量%である。
上記ジエン系ゴムは、天然ゴム以外のゴム成分を含んでいてもよい。そのようなゴム成分としては特に制限されないが、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。
【0014】
<ニトロン基を有する化合物>
本発明の組成物に含有されるニトロン基を有する化合物(ニトロン化合物)は、下記式(1)で表されるニトロン基を有する化合物であれば特に制限されないが、カルボキシ基を有するニトロン化合物(以下、「カルボキシニトロン」とも言う)であることが好ましい。
【0016】
上記式(1)中、*は結合位置を表す。
【0017】
ニトロン化合物の好適な態様としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0019】
上記式(2)中、XおよびYは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は、芳香族複素環基を表す。
【0020】
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられ、なかでも、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、なかでも、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキル基がより好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基などが挙げられ、なかでも、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基などが挙げられ、なかでも、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基などが挙げられ、なかでも、炭素数7〜13のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜11のアラルキル基がより好ましく、ベンジル基がさらに好ましい。
上記芳香族複素環基としては、例えば、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基(イミダゾール基)、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基(ピリジン基)、フラン基、チオフェン基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等が挙げられる。
【0021】
XまたはYで表される基が有してもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。なかでも、カルボキシ基が好ましい。
なお、このような置換基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、トリル基、キシリル基などの置換基を有するアリール基;メチルベンジル基、エチルベンジル基、メチルフェネチル基などの置換基を有するアラルキル基;等が挙げられる。
【0022】
上記式(2)中、Zは、水素原子、又は、置換基を有してもよい、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、若しくは、芳香族複素環基を表す。脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基の具体例及び好適な態様は上述のとおりである。また、置換基の具体例及び好適な態様も上述のとおりである。
【0023】
カルボキシニトロンは、下記式(b)で表される化合物であることが好ましい。
【0025】
式(b)中、mおよびnは、それぞれ独立に、0〜5の整数を示し、mとnとの合計が1以上である。
mが示す整数としては、カルボキシニトロンを合成する際の溶媒への溶解度が良好になり合成が容易になるという理由から、0〜2の整数が好ましく、0〜1の整数がより好ましい。
nが示す整数としては、カルボキシニトロンを合成する際の溶媒への溶解度が良好になり合成が容易になるという理由から、0〜2の整数が好ましく、0〜1の整数がより好ましい。
また、mとnとの合計(m+n)は、1〜4の整数が好ましく、1〜2の整数がより好ましい。
【0026】
このような式(b)で表されるカルボキシニトロンとしては特に制限されないが、下記式(b1)で表されるN−フェニル−α−(4−カルボキシフェニル)ニトロン、下記式(b2)で表されるN−フェニル−α−(3−カルボキシフェニル)ニトロン、下記式(b3)で表されるN−フェニル−α−(2−カルボキシフェニル)ニトロン、下記式(b4)で表されるN−(4−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン、下記式(b5)で表されるN−(3−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロン、および、下記式(b6)で表されるN−(2−カルボキシフェニル)−α−フェニルニトロンからなる群より選択される化合物であることが好ましい。
【0028】
カルボキシニトロンの合成方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ヒドロキシアミノ基(−NHOH)を有する化合物と、アルデヒド基(−CHO)を有する化合物とを、ヒドロキシアミノ基とアルデヒド基とのモル比(−NHOH/−CHO)が1.0〜1.5となる量で、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等)下で、室温で1〜24時間撹拌することにより、両基が反応し、ニトロン化合物を与える。
【0029】
本発明の組成物において、ニトロン化合物の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.9〜15質量部である。なかでも、3〜10質量部であることが好ましい。
【0030】
<有機酸コバルト塩>
本発明の組成物に含有される有機酸コバルト塩は、有機酸とコバルトとの塩であれば特に制限されない。
有機酸コバルト塩の具体例としては、酢酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、マロン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、プロピオン酸コバルト、安息香酸コバルト、p−ヒドロキシ安息香酸コバルト、脂肪酸コバルト・ホウ素化合物〔例えば、マノボンド CCP420(マンケム社製)、マノボンド CC680(マンケム社製)の市販品など〕、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルトなどが挙げられる。
有機酸コバルト塩は、ナフテン酸コバルト、オレイン酸コバルト、リノール酸コバルト、ステアリン酸コバルト、リノレン酸コバルト、パルチミン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、トール油酸コバルト及びホウ酸三ネオデカン酸コバルトからなる群より選択される化合物であるのが好ましい。
【0031】
本発明の組成物において、有機酸コバルト塩の含有量は特に制限されないが、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜3質量部であることが好ましい。
【0032】
<任意成分>
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに添加剤を含有することができる。
上記添加剤としては、例えば、カーボンブラックやシリカなどの充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、接着用樹脂、粘着剤、素練り促進剤、老化防止剤、ワックス、加工助剤、アロマオイル、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤、加硫遅延剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤が挙げられる。
【0033】
本発明の組成物は、カーボンブラックを含有するのが好ましい。
本発明のゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、その含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、10〜150質量部であることが好ましい。
【0034】
<スチールコード被覆用ゴム組成物の製造方法>
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄、加硫促進剤、加硫遅延剤を含有する場合は、硫黄、加硫促進剤、加硫遅延剤以外の成分を先に高温(好ましくは130〜190℃)で混合し、冷却してから、硫黄、加硫促進剤、加硫遅延剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
【0035】
<用途>
本発明の組成物は、スチールコード(特にタイヤ用)の被覆に好適に用いられる。
【0036】
[タイヤ]
本発明のタイヤは、上述した本発明の組成物をスチールコードの被覆に用いたタイヤである。
図1に、本発明のタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明のタイヤは
図1に示す態様に限定されるものではない。
【0037】
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。ここで、ベルト層7はスチールコードからなるベルトを上述した本発明の組成物で被覆したものである。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
【0038】
本発明のタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
<カルボキシニトロンの合成>
2Lナスフラスコに、40℃に温めたメタノール(900mL)を入れ、ここに、下記式(b−1)で表されるテレフタルアルデヒド酸(30.0g)を加えて溶かした。この溶液に、下記式(a−1)で表されるフェニルヒドロキシアミン(21.8g)をメタノール(100mL)に溶かしたものを加え、室温で19時間撹拌した。撹拌終了後、メタノールからの再結晶により、下記式(c−1)で表されるカルボキシ基を有するニトロン化合物(カルボキシニトロン)を得た(41.7g)。収率は86%であった。
【0041】
【化5】
【0042】
<スチールコード被覆用ゴム組成物の調製>
下記表1に示す成分を、同表に示す割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記表1に示す成分のうち硫黄、加硫促進剤及び加硫遅延剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合して、160℃程度で放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキシングロールを用いて、得られたマスターバッチに硫黄、加硫促進剤及び加硫遅延剤を混合し、スチールコード被覆用ゴム組成物を得た。
【0043】
<接着試験>
得られたスチールコード被覆用ゴム組成物について、ASTM−D−2に準拠してコードのゴム付及び引抜力を測定した。なお、測定は、試験サンプルを湿熱環境(温度:130℃、湿度:96%RH)下に72時間放置した後に行った。結果を表1に示す。結果(ゴム付、引抜力)は比較例1の値を100とする指数で表した。ゴム付及び引抜力が大きい方が湿熱接着性に優れる。
【0044】
【表1】
【0045】
上記表1に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・天然ゴム:RSS#3
・カーボンブラック:シースト300(東海カーボン社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(NOF CORPORATION社製)
・老化防止剤:サントフレックス6PPD(フレキシス社製)
・カルボキシニトロン:上述のとおり合成したカルボキシニトロン
・コバルト塩1:ホウ酸三ネオデカン酸コバルト
・硫黄:クリステックスHS OT 20(アクゾノーベル社製)
・加硫促進剤(DZ):ノクセラーDZ(大内新興化学工業社製)
・加硫遅延剤:N−シクロヘキシルチオフタルイミド(FLEXSYS社製サントガード)
【0046】
表1から分かるように、ニトロン化合物を含有しない比較例1やニトロン化合物を含有するがその含有量が特定の範囲から外れる比較例2及び3と比較して、特定の量のニトロン化合物を含有する本願の実施例は、優れた湿熱接着性を示した。なかでも、ニトロン化合物の含有量がジエン系ゴム100質量部に対して3質量部以上である実施例2〜3はより優れた湿熱接着性を示した。そのなかでも、ニトロン化合物の含有量がジエン系ゴム100質量部に対して7質量部以上である実施例3は特に優れた湿熱接着性を示した。