特許第6841266号(P6841266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841266
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/12 20060101AFI20210301BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   B62D25/12 N
   B62D49/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-105847(P2018-105847)
(22)【出願日】2018年6月1日
(65)【公開番号】特開2019-209769(P2019-209769A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2020年9月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武井 祐
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−196987(JP,A)
【文献】 特開平8−26140(JP,A)
【文献】 特開2012−183956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/12
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームを覆う、開閉可能なボンネットと、
閉じられた前記ボンネットをロックする、前記エンジンルームに設けられたボンネット固定具と、
前記ボンネット固定具と係止する、前記ボンネットの内壁に設けられたロック部材と、
を備え、
前記ボンネット固定具は、第一の回動部材と、第二の回動部材と、前記第一の回動部材および前記第二の回動部材のそれぞれが独立して回動可能に取付けられているブラケット部と、を有し、
前記ボンネットが閉じられているとき、前記ロック部材は前記第一の回動部材と係止可能であり、
閉じられていた前記ボンネットが開けられるとき、前記第一の回動部材は治具を利用することにより前記第二の回動部材と連結され、前記第二の回動部材は前記治具を利用することにより回動させられることにより、前記ロック部材の前記第一の回動部材との係止は解除されることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記第一の回動部材は、第一の治具係止部を有し、
前記第二の回動部材は、第二の治具係止部を有し、
前記治具が前記第一の治具係止部および前記第二の治具係止部と係止させられることにより、前記第一の回動部材は前記第二の回動部材と連結されることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記ブラケット部は、基板部材と、左板部材と、右板部材と、下板部材と、を有し、
前記左板部材は、前記基板部材の左端縁部から後方へ向かって取付けられており、
前記右板部材は、前記基板部材の右端縁部から後方へ向かって取付けられており、
前記下板部材は、前記基板部材の下端縁部から後方へ向かって取付けられており、
前記第一の回動部材は、前記基板部材の後面へ取付けられており、
前記第二の回動部材は、前記基板部材の前面へ取付けられており、
前記左板部材の上端面、および前記右板部材の上端面は、前記エンジンルームの前部の下側に設けられたベースプレート部材へ取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
前記基板部材の上端面には、前記ボンネットが閉じられているとき、前記ロック部材を受ける切欠きが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記第一の回動部材は、前記ロック部材が係止可能であるフックを有し、
前記ロック部材は、前記フックからのピン軸方向における抜けを防止するための鍔が先端部に形成されているピン部材であることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用トラクターなどのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ボンネットのロックを解除する操作をレバーでたやすく行うことができる作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−139339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述された従来の作業車両においては、ボンネットの意図しない開放にともなう危険性が存在する。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、ボンネットの意図しない開放にともなう危険性を低減することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、エンジンルームを覆う、開閉可能なボンネットと、
閉じられた前記ボンネットをロックする、前記エンジンルームに設けられたボンネット固定具と、
前記ボンネット固定具と係止する、前記ボンネットの内壁に設けられたロック部材と、
を備え、
前記ボンネット固定具は、第一の回動部材と、第二の回動部材と、前記第一の回動部材および前記第二の回動部材のそれぞれが独立して回動可能に取付けられているブラケット部と、を有し、
前記ボンネットが閉じられているとき、前記ロック部材は前記第一の回動部材と係止可能であり、
閉じられていた前記ボンネットが開けられるとき、前記第一の回動部材は治具を利用することにより前記第二の回動部材と連結され、前記第二の回動部材は前記治具を利用することにより回動させられることにより、前記ロック部材の前記第一の回動部材との係止は解除されることを特徴とする作業車両である。
【0007】
これにより、閉じられていたボンネットが開けられるとき、第一の回動部材は治具を利用することにより第二の回動部材と連結され、第二の回動部材は治具を利用することにより回動させられることにより、ロック部材の第一の回動部材との係止は解除されるので、ボンネットの意図しない開放にともなう危険性を低減することができる。
【0008】
第2の本発明は、前記第一の回動部材は、第一の治具係止部を有し、
前記第二の回動部材は、第二の治具係止部を有し、
前記治具が前記第一の治具係止部および前記第二の治具係止部と係止させられることにより、前記第一の回動部材は前記第二の回動部材と連結されることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0009】
これにより、治具が第一の治具係止部および第二の治具係止部と係止させられることにより、第一の回動部材は第二の回動部材と連結されるので、ボンネット固定具の構成を簡素化することができる。
【0010】
第3の本発明は、前記ブラケット部は、基板部材と、左板部材と、右板部材と、下板部材と、を有し、
前記左板部材は、前記基板部材の左端縁部から後方へ向かって取付けられており、
前記右板部材は、前記基板部材の右端縁部から後方へ向かって取付けられており、
前記下板部材は、前記基板部材の下端縁部から後方へ向かって取付けられており、
前記第一の回動部材は、前記基板部材の後面へ取付けられており、
前記第二の回動部材は、前記基板部材の前面へ取付けられており、
前記左板部材の上端面、および前記右板部材の上端面は、前記エンジンルームの前部の下側に設けられたベースプレート部材へ取付けられていることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0011】
これにより、左板部材の上端面、および右板部材の上端面は、エンジンルームの前部の下側に設けられたベースプレート部材へ取付けられているので、ボンネット固定具の構成を簡素化することができる。
【0012】
第4の本発明は、前記基板部材の上端面には、前記ボンネットが閉じられているとき、前記ロック部材を受ける切欠きが形成されていることを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0013】
これにより、基板部材の上端面には、ボンネットが閉じられているとき、ロック部材を受ける切欠きが形成されているので、閉じられたボンネットをしっかりとロックすることができる。
【0014】
第5の本発明は、前記第一の回動部材は、前記ロック部材が係止可能であるフックを有し、
前記ロック部材は、前記フックからのピン軸方向における抜けを防止するための鍔が先端部に形成されているピン部材であることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0015】
これにより、ロック部材は、フックからのピン軸方向における抜けを防止するための鍔が先端部に形成されているピン部材であるので、閉じられたボンネットをしっかりとロックすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、ボンネットの意図しない開放にともなう危険性を低減することが可能な作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明における実施の形態の農業用トラクターの左側面図
図2】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット近傍の部分左側面図
図3】本発明における実施の形態の農業用トラクターのベースプレート部材近傍の部分斜視図
図4】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具近傍の部分斜視図(その一)
図5】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具近傍の部分斜視図(その二)
図6】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具近傍の部分斜視図(その三)
図7】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具近傍の部分斜視図(その四)
図8】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具近傍の部分正面図
図9】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具近傍の部分背面図
図10】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具近傍の部分斜視図(その五)
図11】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具近傍の分解部分斜視図
図12】本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具近傍の部分斜視図(その六)
図13】本発明における実施の形態の農業用トラクターのロック部材近傍の部分斜視図
図14】本発明における実施の形態の農業用トラクターの第一の回動部材の斜視図
図15】本発明における実施の形態の農業用トラクターの治具の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
はじめに、図1〜3を参照しながら、本発明における作業車両の一例である本実施の形態の農業用トラクターの構成および動作について具体的に説明する。
【0020】
ここに、図1は本発明における実施の形態の農業用トラクターの左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット70近傍の部分左側面図であり、図3は本発明における実施の形態の農業用トラクターのベースプレート部材700近傍の部分斜視図である。
【0021】
本実施の形態の農業用トラクターは、図3においては左上前側から見られている。
【0022】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし透視的にまたは省略的に示されていることもある。たとえば、図2においては、ボンネット固定具100などの構成がより理解しやすくなるように、フロントリンク機構11は示されておらず、車体フレーム部材710は透視的に示されている。
【0023】
まず説明されるのは、本実施の形態の農業用トラクターの基本的な構成および動作である。したがって、ボンネット固定具100に関連する構成および動作などについては、後に詳細に説明する。
【0024】
車体10の前部のボンネット70の内部であるエンジンルーム60には、エンジンキーを利用して起動させられるエンジン30とともに、燃料タンク、マフラー、およびラジエーターなどが設けられている。
【0025】
エンジン30の回転動力は、運転ユニット20のフロア22の下方に設けられたトランスミッションケースの内部の変速装置にHST(Hydro Static Transmission)を介して伝えられる。そして、変速装置で変速された回転動力は、左右一対の前輪40、および左右一対の後輪50などに伝えられる。
【0026】
エンジン30の後方の運転ユニット20には、操舵ハンドル23および前後進レバーなどが設けられている。操舵ハンドル23の後方には、運転席21が設けられている。ホースカバーは、操舵ハンドル23に接続されているホースを覆っている。操作コラムカバーの左側のフロア22には、クラッチペダルなどが配置されている。操作コラムカバーの右側のフロア22には、左ブレーキペダルおよび右ブレーキペダル、ならびにアクセルペダルなどが配置されている。
【0027】
車体10の前部には、フロントリンク機構11が設けられている。車体10の後部には、作業機が装着される三点リンク機構であるリアリンク機構12が設けられている。
【0028】
ボンネット70は、エンジンルーム60を覆う、開閉可能なボンネットである。
【0029】
ボンネット本体部70aは、フード前開き仕様に準拠するように、エンジンルーム60の後方の左右一対のボンネット取付け部70dで車体10へ回動可能に取付けられている。エンジン冷却通風用であるフロントグリルのためのフロントグリル部70cのみならず、照明用である左右一対のフロントライトのためのフロントライト部70bは、ボンネット本体部70aに一体化されている。
【0030】
ボンネット固定具100は、閉じられたボンネット70をロックする、エンジンルーム60に設けられた固定具である。
【0031】
ロック部材500は、ボンネット固定具100と係止する、ボンネット70の内壁に設けられた部材である。
【0032】
つぎに、図4〜10を主として参照しながら、本実施の形態の農業用トラクターの構成および動作についてより具体的に説明する。
【0033】
ここに、図4〜7は本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具100近傍の部分斜視図(その一から四)であり、図8は本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具100近傍の部分正面図であり、図9は本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具100近傍の部分背面図であり、図10は本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具100近傍の部分斜視図(その五)である。
【0034】
本実施の形態の農業用トラクターは、図4においては左下前側から見られており、図5においては右下前側から見られており、図6および7においては右下後側から見られている。
【0035】
図4においては、ボンネット70が閉じられていない状態が示されている。図5〜7においては、ボンネット70が閉じられている状態が示されている。
【0036】
開けられていたボンネット70が矢印AおよびBの向きに沿って閉じられるとき、ロック部材500はベースプレート部材700の前部に設けられた切欠き701を通過し、下方へ向かって移動する。
【0037】
ボンネット70が閉じられているとき、ボンネット70の下部に設けられたロック部材500はベースプレート部材700の下方に設けられたボンネット固定具100と係止し、ボンネット70の最前面は車体フレーム部材710の最前面とほぼ一致する。
【0038】
ボンネット固定具100は、第一の回動部材200と、第二の回動部材300と、第一の回動部材200および第二の回動部材300のそれぞれが独立して回動可能に取付けられているブラケット部400と、を有する。
【0039】
ボンネット70が閉じられているとき、ロック部材500は第一の回動部材200と係止可能である。
【0040】
閉じられていたボンネット70が開けられるとき、第一の回動部材200は治具600を利用することにより第二の回動部材300と連結され、第二の回動部材300は治具600を利用することにより回動させられることにより、ロック部材500の第一の回動部材200との係止は解除される。
【0041】
回動操作プレートとしての第二の回動部材300はロックプレートとしての第一の回動部材200と別の部材として構成されているので、事故につながるボンネットの意図しない開放にともなう危険性を低減するフードオープナーが実現される。
【0042】
なお、治具600は、本実施の形態においては、第一の回動部材200を第二の回動部材300と連結して第二の回動部材300を回動させるためのL字状治具であるが、変形例の実施の形態においては、第一の回動部材200を第二の回動部材300と連結するためのI字状治具部、およびI字状治具部と係止させられて第二の回動部材300を回動させるためのU字状治具部を有する治具であってもよい。
【0043】
第一の回動部材200は、第一の治具係止部201を有する。
【0044】
なお、第一の治具係止部201は、本実施の形態においては、貫通孔であるが、変形例の実施の形態においては、切欠きまたは凹みであってもよい。
【0045】
第二の回動部材300は、第二の治具係止部301を有する。
【0046】
なお、第二の治具係止部301は、本実施の形態においては、貫通孔であるが、変形例の実施の形態においては、切欠きであってもよい。
【0047】
治具600が第一の治具係止部201および第二の治具係止部301と係止させられることにより、第一の回動部材200は第二の回動部材300と連結される。
【0048】
第一の回動部材200をロック向きと反対のロック解除向きに回動させるフードオープニングツールとしての治具600の貫通孔挿入がなければ、第一の回動部材200は第二の回動部材300と連結されないので、前側の第二の回動部材300が回動されても後側の第一の回動部材200は回動されない。
【0049】
ブラケット部400は、基板部材410と、左板部材420と、右板部材430と、下板部材440と、を有する。
【0050】
左板部材420は、基板部材410の左端縁部から後方へ向かって取付けられている。
【0051】
右板部材430は、基板部材410の右端縁部から後方へ向かって取付けられている。
【0052】
下板部材440は、基板部材410の下端縁部から後方へ向かって取付けられている。
【0053】
第一の回動部材200は、基板部材410の後面へ取付けられている。
【0054】
第二の回動部材300は、基板部材410の前面へ取付けられている。
【0055】
左板部材420の上端面、および右板部材430の上端面は、エンジンルーム60の前部の下側に設けられたベースプレート部材700へ取付けられている。
【0056】
ブラケット部400はベースプレート部材700の下面へ溶接で取付けられており、治具600を操作するためのスペースはエンジンルーム60の下方に十分に確保される。
【0057】
なお、ブラケット部400は、本実施の形態においては、ベースプレート部材700と別の部材として構成されているが、変形例の実施の形態においては、ベースプレート部材700または車体フレーム部材710の一部として構成されていてもよい。
【0058】
前方へ向かって傾斜するようにベースプレート部材700の下面へ取付けられた基板部材410は、左板部材420、右板部材430および下板部材440、ならびにベースプレート部材700と協働して、第一の回動部材200を収納するためのガードされた空間を裏側に形成する。それゆえ、指などによる第一の回動部材200への直接的なアクセスは容易でないので、治具600なしにボンネット70を開けることは困難である。
【0059】
基板部材410の上端面には、ボンネット70が閉じられているとき、ロック部材500を受ける切欠き411が形成されている。
【0060】
第一の回動部材200は、ロック部材500が係止可能であるフック202を有する。
【0061】
開けられていたボンネット70が閉じられるとき、ロック部材500は第一の回動部材200の上端面に設けられたフック202と確実に係止する。そして、第一の回動部材200はブラケット部400の前面の上端面に設けられた切欠き411により受けられたロック部材500を上方からしっかりと押さえるので、ボンネット70が閉じられているとき、ロック部材500は第一の回動部材200に設けられたフック202と車体振動などに起因するガタつきなく係止する。
【0062】
なお、第二の回動部材300は、本実施の形態においては、フック202のようなフックを有しないが、変形例の実施の形態においては、フック202のようなフックを有してもよい。
【0063】
ロック部材500は、フック202からのピン軸方向における抜けを防止するための鍔501が先端部に形成されているピン部材である。
【0064】
ロック部材500の先端形状は、鍔501の外径が、第一の回動部材200に設けられたフック202のロック部材係止幅、およびブラケット部400の基板部材410に設けられた切欠き411のロック部材受け幅と比べて大きいフードピン抜け止めリベット形状である。それゆえ、閉じられているボンネット70が前方へ向かって意図せず引張られても、ロック部材500の第一の回動部材200との係止は解除されない。
【0065】
つぎに、図11〜15を主として参照しながら、本実施の形態の農業用トラクターの構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0066】
ここに、図11は本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具100近傍の分解部分斜視図であり、図12は本発明における実施の形態の農業用トラクターのボンネット固定具100近傍の部分斜視図(その六)であり、図13は本発明における実施の形態の農業用トラクターのロック部材500近傍の部分斜視図であり、図14は本発明における実施の形態の農業用トラクターの第一の回動部材200の斜視図であり、図15は本発明における実施の形態の農業用トラクターの治具600の斜視図である。
【0067】
図11においては、構成要素の組合せ関係が点線で示されている。
【0068】
第一の回動部材200および第二の回動部材300は、雄ねじ部材415、雌ねじ部材416、ならびに座金417および418を利用して、ブラケット部400へ取付けられている。
【0069】
雄ねじ部材415は、第一の回動部材200に設けられた丸孔203、ブラケット部400の基板部材410に設けられた丸孔414、および第二の回動部材300に設けられた丸孔302に前方へ向かって挿通され、雌ねじ部材416と螺合させられている。座金417は丸孔203と丸孔414との間に配置されており、座金418は丸孔414と丸孔302との間に配置されている。
【0070】
スプリング部材305の左端部305aはベースプレート部材700の丸孔702と係止させられ、スプリング部材305の右端部305bは第二の回動部材300の丸孔303と係止させられる。
【0071】
ブラケット部400の基板部材410に設けられた窓412に後方へ向かって挿通された第二の回動部材300は、スプリング部材305によりロック状態を保持するためのロック向きに付勢されるので、第一の回動部材200へ当接させられ、第二の回動部材300が当接させられる第一の回動部材200はブラケット部400の右板部材430へ当接させられる。
【0072】
後方へ向かって突出してスプリング部材305により付勢される第二の回動部材300はロックフック復帰部材としても機能し、第二の回動部材300が当接させられる第一の回動部材200はロックフック復帰受け部材としても機能し、第一の回動部材200が当接させられるブラケット部400はストッパー部材としても機能する。そして、第二の回動部材300は左後側へ向かって常に付勢されるので、ボンネット70が閉じられているとき、ロック部材500は第一の回動部材200に設けられたフック202と車体振動などに起因するガタつきなく係止する。それゆえ、ボンネット70が閉じられているときのしっかりとしたロック部材500の固定を実現するロックフック固定機能が、閉じられていたボンネット70が開けられるときのスムーズな第一の回動部材200の復帰を実現するロックフック復帰機能とともに実現される。
【0073】
閉じられていたボンネット70が開けられるとき、治具600は、第二の回動部材300に設けられた第二の治具係止部301、ブラケット部400の基板部材410に設けられた窓413、および第一の回動部材200に設けられた第一の治具係止部201に後方へ向かって挿通され、第二の回動部材300の前面から前方へ向かって取付けられた治具当接部304へ当接させられる。
【0074】
第二の回動部材300が挿通される窓412は十分なサイズを有しており、治具600が挿通される窓413も十分なサイズを有しているので、第一の治具係止部201および第二の回動部材300は治具600を利用することにより回動させられる。
【0075】
治具600は治具当接部304へ当接させられるので、閉じられていたボンネット70を困難なく開けることができる。
【0076】
第一の回動部材200に設けられたフック202と係止可能であり、ボンネット70が閉じられているとき、ブラケット部400の基板部材410に設けられた切欠き411により受けられるロック部材500は、ロック部材取付けプレート800に設けられた丸孔801に前方へ向かって挿通される。
【0077】
ロック部材取付けプレート800は、ねじ部材813および814を利用して、ボンネット70の内壁に設けられたロック部材取付けプレートステー810へ取付けられている。
【0078】
ねじ部材813は、ロック部材取付けプレート800に設けられた丸孔802、およびロック部材取付けプレートステー810に設けられた長孔811に後方へ向かって挿通される。ねじ部材814は、ロック部材取付けプレート800に設けられた丸孔803、およびロック部材取付けプレートステー810に設けられた長孔812に後方へ向かって挿通される。
【0079】
ねじ部材813が挿通される長孔811は上下方向における十分な長さを有しており、ねじ部材814が挿通される長孔812も上下方向における十分な長さを有しているので、ロック部材取付けプレート800の上下方向における位置は調整可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明における作業車両は、ボンネットの意図しない開放にともなう危険性を低減することができ、たとえば、農業用トラクターなどのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0081】
10 車体
11 フロントリンク機構
12 リアリンク機構
20 運転ユニット
21 運転席
22 フロア
23 操舵ハンドル
30 エンジン
40 前輪
50 後輪
60 エンジンルーム
70 ボンネット
70a ボンネット本体部
70b フロントライト部
70c フロントグリル部
70d ボンネット取付け部
100 ボンネット固定具
200 第一の回動部材
201 第一の治具係止部
202 フック
203 丸孔
300 第二の回動部材
301 第二の治具係止部
302 丸孔
303 丸孔
304 治具当接部
305 スプリング部材
305a 左端部
305b 右端部
400 ブラケット部
410 基板部材
411 切欠き
412 窓
413 窓
414 丸孔
415 雄ねじ部材
416 雌ねじ部材
417、418 座金
420 左板部材
430 右板部材
440 下板部材
500 ロック部材
501 鍔
600 治具
700 ベースプレート部材
701 切欠き
702 丸孔
710 車体フレーム部材
800 ロック部材取付けプレート
801 丸孔
802、803 丸孔
810 ロック部材取付けプレートステー
811、812 長孔
813、814 ねじ部材
図1
図2
図3
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