特許第6841268号(P6841268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6841268エレベータ用かごロック装置及びこれを使用する保守方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841268
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】エレベータ用かごロック装置及びこれを使用する保守方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
   B66B5/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-115046(P2018-115046)
(22)【出願日】2018年6月16日
(65)【公開番号】特開2019-218158(P2019-218158A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195431
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 史樹
(72)【発明者】
【氏名】礒井 敦
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−012573(JP,A)
【文献】 特開2003−104651(JP,A)
【文献】 特開2001−302139(JP,A)
【文献】 特開2018−020875(JP,A)
【文献】 特開2018−030687(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第107640676(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を上下動するエレベータの保守を行うためのかごロック装置であって、
前記エレベータが上下動するためのメインロープを把持する把持部と、
前記把持部を昇降路内に固定する固定部と、を含み、
前記固定部が、前記把持部に取り付けられるワイヤー部と、
前記ワイヤー部に取り付けられる取付部材と、を含み、
前記把持部が、前記メインロープを把持するための把持部本体及び把持部材と、
前記ワイヤー部が取付けられる可動部材と、を含み、
前記可動部材が前記ワイヤー部に引っ張られることにより、
前記把持部材が可動し、前記把持部本体と前記把持部材との間での前記メインロープを把持する把持力を大きくするエレベータ用かごロック装置。
【請求項2】
前記可動部材が、前記把持部材に取付けられ、前記把持部材を可動させる第1可動部材と、
前記第1可動部材及び前記ワイヤー部が取付けられ、前記第1可動部材を可動させる第2可動部材と、である請求項1記載のエレベータ用かごロック装置。
【請求項3】
前記取付部材が、前記ワイヤー部が取付けられる取付部材本体と、
前記取付部材本体に接続されるボルトと、を含み、
前記取付部材本体と前記ボルトとで形成されるリング内に前記ワイヤー部が挿入される請求項1又は2記載のエレベータ用かごロック装置。
【請求項4】
昇降路内を上下動するエレベータの保守を行うためのかごロック装置が、
前記エレベータが上下動するためのメインロープを把持する把持部と、
前記把持部を昇降路内に固定する固定部と、を含み
前記固定部が、前記把持部に取り付けられるワイヤー部と、
前記ワイヤー部に取り付けられる取付部材と、をみ、
前記把持部が、前記メインロープを把持するための把持部本体及び把持部材と、
前記ワイヤー部が取付けられる可動部材と、を含むかごロック装置を用いたエレベータの保守方法であって、
前記可動部材が前記ワイヤー部に引っ張られることにより、前記把持部材が可動し、前記把持部本体と前記把持部材との間での前記メインロープを把持する把持力を大きくする把持工程と、
前記固定部で昇降路内に前記把持部を固定する固定工程と、を含むエレベータ保守方法。
【請求項5】
前記取付部材が、前記ワイヤー部が取付けられる取付部材本体と、
前記取付部材本体に接続されるボルトと、を含み、
前記固定工程が、
前記ワイヤー部を昇降路内に巻き掛け、前記取付部材本体と前記ボルトとで形成されるリング内に前記ワイヤー部が挿入され前記取付部材を前記ワイヤー部に掛止する掛止工程を含む請求項4記載のエレベータ保守方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ用かごロック装置及びこれを使用する保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレベータを利用する利用者の安全が考慮されるだけでなく、エレベータの据え付け及び保守を行う作業者の安全も考慮されるエレベータが求められている。
【0003】
例えば、欧州のEN規格においてかご上で巻上機や制御盤等の保守を行う作業者が危険にさらされないように、かごのいかなる危険な動きも機械装置によって防止することが求められている。
【0004】
かごの危険な動きとしては、作業者がかごの上で作業中に何等かの故障、誤操作等によってかごが上昇し、昇降路頂部に達するというケースが考えられる。この場合、かご上の作業者が昇降路頂部に激突するおそれがある。
【0005】
特許文献1に係る発明は、保守作業員がかご上に搭乗する前に、かごの上昇を機械的に制限することができるエレベータのかご上保守作業用冶具についてである。
【0006】
具体的には、エレベータのかご上の保守作業を実施する際に、保守作業員がかご上に搭乗する前に、一端を搭乗側に設置し、他端をかごに当接させ、突っ張り棒のようにかごの位置を固定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−20800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、保守を行う対象物が必ずしも昇降路頂部や各階床付近とは限らず、作業者は、任意の高さ位置でかごを固定して作業することができず作業性が悪いという問題がある。
【0009】
そして、特許文献1ではこのような問題は解決することができない。
【0010】
本発明の目的は、任意の高さ位置でかごを固定して作業者が作業することができるかごロック装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、任意の高さ位置でかごを固定して作業者が作業することができる保守方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、エレベータの取付又は保守において、作業工数の低減を図ることである。
【0013】
本発明の他の目的は、保守等を行う作業者が安全に作業をすることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の局面に係るエレベータ用かごロック装置は、昇降路内を上下動するエレベータの保守を行うためのかごロック装置であって、
前記エレベータが上下動するためのメインロープを把持する把持部と、
前記把持部を昇降路内に固定する固定部と、を含むエレベータ用かごロック装置である。
【0015】
固定部は昇降路内のレールブラケット等に固定することができる。本発明に係るかごロック装置は、メインロープの任意の位置で固定することができる。
【0016】
エレベータの保守等を行う作業者は、複雑なことをせず容易にかごを固定することができ、作業工数を減らすことができる。
【0017】
本発明に係るかごロック装置によって、誤作動等によってかごが上下動した場合であってもかごを停止させることができ、保守等を行う作業者は、安全に作業することができる。
【0018】
また、本発明に係るかごロック装置は、メインロープを把持するものであるため、図1のように2:1のローピングの場合、かごを保持する保持力は通常の半分ですむ。
【0019】
つまり、メインロープの一端が昇降路内に固定されている場合、メインロープに加わる力はかごの重量の半分になるため、かごを保持する保持力が通常の半分になる。
【0020】
本発明の第2の局面に係るエレベータ用かごロック装置は、第1の局面に係るエレベータ用かごロック装置であって、前記固定部が、前記把持部に直接的又は間接的に取り付けられるワイヤー部と、
前記ワイヤー部に取り付けられる取付部材と、を含み、
前記取付部材は、昇降路内に設けられた部材に巻き掛けられた前記ワイヤー部に取り付けるものであるエレベータ用かごロック装置である。
【0021】
昇降路内に設けられるレールブラケット等の部材にワイヤー部が巻き掛けられ、取付部材がワイヤー部に取り付けられることにより、かごロック装置を昇降路内に固定することができる。
【0022】
本発明の第3の局面に係るエレベータ用かごロック装置は、第2の局面に係るエレベータ用かごロック装置であって、前記把持部が、前記メインロープを把持するための把持部本体及び把持部材を含み、
前記ワイヤー部が引っ張られることにより、前記把持部本体と前記把持部材との間での前記メインロープを把持する把持力が大きくなるエレベータ用かごロック装置である。
【0023】
具体的には、ワイヤー部が引っ張られることに連動して把持部材がメインロープ側に移動し、把持部本体と把持部材とによるメインロープを把持する把持力が大きくなる。
【0024】
このような構成により、誤作動によりかごが上下動しようとした場合であっても、かごが移動すればかごロック部材のメインロープに対する把持力が大きくなるため、かごの移動を防止することができる。
【0025】
本発明の第4の局面に係るエレベータ保守方法は、昇降路内を上下動するエレベータの保守を行うためのかごロック装置が、
前記エレベータが上下動するためのメインロープを把持する把持部と、
前記把持部を昇降路内に固定する固定部と、を含むかごロック装置を用いたエレベータの保守方法であって、
前記メインロープを前記把持部で把持する把持工程と、
前記固定部で昇降路内に前記把持部を固定する固定工程と、を含むエレベータ保守方法である。
【0026】
このようなエレベータ保守方法であれば、メインロープの任意の位置で固定することができる。
【0027】
エレベータの保守等を行う作業者は、複雑なことをせず容易にかごを固定することができ、作業工数を減らすことができる。
【0028】
また、上述したように、図1のように2:1のローピングの場合、かごを保持する保持力は通常の半分ですむ。
【0029】
本発明の第5の局面に係るエレベータ保守方法は、第4の局面に係るエレベータ保守方法であって、前記固定部が、前記把持部に直接的又は間接的に取り付けられるワイヤー部と、
前記ワイヤー部に取り付けられる取付部材と、を含み、
前記固定工程が、前記ワイヤー部を昇降路内に巻き掛け、前記取付部材を前記ワイヤー部に掛止する掛止工程を含むエレベータ保守方法である。
【0030】
昇降路内に設けられるレールブラケット等にワイヤー部が巻き掛けられ、取付部材がワイヤー部に取り付けられることにより、かごロック装置を昇降路内に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本実施形態に係る一般的なエレベータの斜視図。
図2】本実施形態に係るエレベータの側面視概略図。
図3】本実施形態に係るエレベータの部分斜視図。
図4】本実施形態に係るエレベータのかごロック装置の把持部の斜視図。
図5】本実施形態に係るエレベータのかごロック装置の斜視図。
図6】第2実施形態に係るエレベータのかごロック装置の把持部の斜視図。
図7】本実施形態に係るエレベータのかごロック装置を使用した保守方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係るエレベータ用かごロック装置800の実施形態に関して図面を参照しながら説明する。
【0033】
(エレベータ100)
図1及び図2に示すように、エレベータ100において、昇降路下部には巻上機200が設置されている。
【0034】
巻上機200の駆動シーブ210に巻き掛けられたメインロープ220の一端部は、かご230に取り付けられている第1かごシーブ232及び第2かごシーブ233を経由して昇降路内に固定されている。
【0035】
また、メインロープ220の他端部にはカウンターウエイト240に取り付けられているカウンターウエイトシーブ241を経由して昇降路内に固定されている。
【0036】
巻上機200のモータ(図示しない)によって駆動シーブ210が回転駆動すると、これに伴ってメインロープ220が走行する。そして、これに伴って第1かごシーブ232及び第2かごシーブ233が取り付けられているかご230が、かごガイドレール300に案内されて昇降路内を昇降する。
【0037】
同様に、メインロープ220の走行に伴って、カウンターウエイトシーブ241が取り付けられているカウンターウエイト240が、カウンターウエイトガイドレール242に案内されて昇降路内を昇降する。
【0038】
メインロープ220の走行の向きは、第1シーブ211及び第2シーブ212によって変化する。
【0039】
エレベータ100には、かご230の昇降速度が所定速度を超過したことを機械的に検知する調速機400が設けられている。調速機400のガバナシーブ410とガバナシーブ410の下方に位置するテンションシーブ500との間には、無端状のガバナロープ600が巻き掛けられている。
【0040】
ガバナロープ600は、テンションシーブ500によりメインロープ220と平行に緊張した状態で張架されている。このガバナロープ600の一部は、かご230側に備えた非常止め装置231を作動させる非常止めレバー250に固定されている。
【0041】
このため、ガバナロープ600は、かご230の昇降に同期してかご230と同速度で走行する。このとき、ガバナロープ600の走行速度と同速度で回転させられるガバナシーブ410の回転速度を調速機400が検出することで、昇降中のかご230の速度超過が検知される。
【0042】
かご230の昇降速度が定格速度(所定速度)の大きさを超える第1の速度になると、メインロープ220の巻上機200を構成するモータ(図示しない)にブレーキがかけられる。
【0043】
モータ(図示しない)にブレーキがかかってもかご230が停止しない場合、第1の速度を超える所定の第2の速度になると、ガバナシーブ410のトリップレバー(図示しない)による可動掴み(図示しない)の支持が解除され、可動掴みによってガバナロープ600の走行が停止する。
【0044】
そして、ガバナロープ600に固定されている非常止めレバー250がガバナロープ600に引っ張られる格好で、かご230に対して相対的に引き上げられる。その結果、非常止め装置231が作動し、かご230が停止する。
【0045】
非常止め装置231が作動することによっても、かご230が停止しない場合、かご230は、下方に配置されているオイルバッファ700である第1オイルバッファ700aに衝突する。第1オイルバッファ700aは、かご230の衝撃を吸収して、かご230を停止させる。
【0046】
カウンターウエイト240の下方にもオイルバッファ700である第2オイルバッファ700bが配置されている。第2オイルバッファ700bは、カウンターウエイト240が落下した場合、カウンターウエイト240の落下による衝撃を吸収して、カウンターウエイト240を停止させる。
【0047】
(かごロック装置800)
<第1実施形態>
図3に示すように、かごロック装置800は、メインロープ220を把持する把持部810と、
ガイドレール300が取り付けられるレールブラケット310に取り付けられ固定される固定部820と、を含む。
【0048】
図4に示すように、把持部810は、把持部本体811と、
把持部本体811とでメインロープ220を把持する把持部材812と、
把持部材812を可動させる第1可動部材813と、
第1可動部材813を可動させる第2可動部材814と、を含む。
【0049】
把持部本体811は、第1可動部材813が回動可能に取り付けられる第1端部811aと、
把持部材812とメインローブ220を把持する挟持部811bと、
貫通孔が設けられている第2端部811cと、を含む。
【0050】
把持部本体811は、挟持部811bがメインロープ220を把持するためにz軸正方向側に突起している。
【0051】
なお、第2端部811cには、第2可動部材814が通過する貫通孔が設けられているため、第2端部811cもz軸正方向側に突起している。
【0052】
第1端部811aは、z軸方向に貫通する貫通孔が設けられており、第1可動部材813が回動可能に第1ボルト815で取り付けられている。
【0053】
挟持部811bは、z軸正方向側に突起しており、把持部材812とでメインロープ220を挟持する。
【0054】
なお、把持部本体811は、メインロープ220が挟持される部分(メインロープ220が接触する部分)にx軸方向に延伸する溝が設けられる構成であってもよい。
【0055】
第2端部811cは、xy平面と平行な方向に貫通孔が設けられており、第2可動部材814が当該貫通孔内に挿入されている。
【0056】
把持部材812は、第1可動部材813の動きに連動してy軸方向に動く。把持部材812は、挟持部811bとメインロープ220を挟持する。
【0057】
具体的には、把持部材812は、y軸負方向側にz軸方向に貫通する貫通孔が設けられており、当該貫通孔に挿入される第2ボルト816によって、第1可動部材813に対して回動可能に取り付けられている。
【0058】
そして、第1可動部材813が第1ボルト815を中心にxy平面において、z軸正方向側から見て反時計回りに回動することにより、把持部材812が第2ボルト816を中心にxy平面において、z軸正方向側から見て時計回りに回動し、y軸正方向側に移動する。
【0059】
そして、把持部材812がy軸正方向側に移動することにより、挟持部811bとの間でメインロープ220を挟み込み、メインロープ220が挟持される。
【0060】
第1可動部材813は、本実施形態ではxy平面視において略三角形の部材である。
【0061】
第1可動部材813は、x軸負方向側の端部である第3端部813aと、
y軸正方向側の端部である第4端部813bと、
x軸正方向側の端部である第5端部813cと、を含む。
【0062】
x軸負方向側の第3端部813aは、z軸方向に貫通孔が設けられ、当該貫通孔に挿入される第1ボルト815によって回動可能に把持本体部811の第1端部811aに取り付けられている。
【0063】
y軸正方向側の第4端部813bは、z軸方向に貫通孔が設けられ、当該貫通孔に挿入される第2ボルト816によって回動可能に把持部材812に取り付けられている。
【0064】
x軸正方向側の第5端部813cは、z軸方向に貫通孔が設けられ、当該貫通孔に挿入される第3ボルト817によって回動可能に第2可動部材814に取り付けられている。
【0065】
第2可動部材814は、x軸負方向側の第6端部814aと、x軸正方向側の第7端部814bと、を含む。
【0066】
第2可動部材814は、把持部本体811の第2端部811cの貫通孔に挿入されている。
【0067】
x軸負方向側の第6端部814aは、z軸方向に貫通孔が設けられており、当該貫通孔に挿入される第3ボルト817によって、第1可動部材813に対して回動可能に取り付けられている。

【0068】
x軸正方向側の第7端部814cは、z軸方向に貫通孔が設けられており、当該貫通孔に固定部820が取り付けられる。
【0069】
第2可動部材814がx軸正方向側に引っ張られることにより、第1可動部材813が第1ボルト815を中心として、z軸正方向側から見て反時計回りに回転し、把持部材812がy軸正方向側に移動し、把持部材812と把持部本体811の挟持部811bとの間でメインロープ220が挟持される。
【0070】
固定部820は、第2可動部材814に取り付けられる接続部830と、
接続部830に取り付けられるワイヤー部840と、
ワイヤー部840に掛止する取付部材850と、を含む。
【0071】
接続部830は、本実施形態ではシャックルであり、把持部810とワイヤー部840とを接続するものである。
【0072】
本実施形態では、接続部830は、第4ボルト818によって、第2可動部材814の第7端部814cの貫通孔に回動可能に取り付けられている。
【0073】
接続部830には、先端がリング状になっているワイヤー部840が取り付けられている。
【0074】
ワイヤー部840は、先端がリング状である第8端部841と、
第8端部841とは反対側の端部であり、リング状である第9端部842と、を含む。
【0075】
なお、ワイヤー部840は、長さを調節できるものであってもよい。この場合、ワイヤーの長さを調節できる調節部(図示しない)を有する。
【0076】
第8端部841は、接続部830によって第2可動部材814に接続されている。第9端部842には、取付部材850が取り付けられている。
【0077】
取付部材850は、xy平面視でコの字状の取付部材本体851と、第5ボルト852と、第5ボルト852に螺合するナット853と、を含む。
【0078】
取付部材本体851の端部である第10端部851a及び第11端部851bには貫通孔が設けられており、第5ボルト852が挿入される。
【0079】
取付部材本体851の貫通孔に挿入された第5ボルト852の端部(第11端部851b側)には、ナット853が螺合される。
【0080】
ワイヤー部840の第9端部842は、取付部材本体851に取り付けられている。具体的には、第9端部842のリング部分に取付部材本体851が挿入されている。
【0081】
取付部材本体851と第5ボルト852との間には空間ができており、リング状となっている。
【0082】
ワイヤー部840をレールブラケット310等の昇降路内の一部に巻き掛け、ワイヤー部840を取付部材本体851と第5ボルト852で形成されるリング内に入れて第5ボルト852をナット853で固定する。
【0083】
これにより、例えば誤作動によりかご230が上昇又は下降しようとした場合であっても、ワイヤー部840が引っ張られることにより、第2可動部材814が引っ張られるため、把持部材812がメインロープ220を把持する方向に移動する。
【0084】
そのため、ワイヤー部840が引っ張られれば引っ張られるほど、メインロープ220を把持する把持力が大きくなり、かご230の誤作動等による移動を防止することができる。
【0085】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の把持部810とは別の形態の把持部910について説明する。第1実施形態と同様の内容については省略、又は簡略して説明する。
【0086】
把持部900は、第1把持部本体910と、第1把持部本体910よりz軸負方向側に配置される第2把持部本体920と、を含む。
【0087】
第1把持部本体910は、xy平面視略T字状であり、z軸負方向側にy軸方向に平行な第1溝部911と、
z軸方向に貫通する第1貫通孔912aを有する第8端部912と、
第4ボルト930を通すための複数の第2貫通孔(図示しない)と、を含む。
【0088】
第1溝部911は、メインロープ220を把持するための溝であり、z軸正方向側を頂点とするxz平面視略三角形状の溝である。
【0089】
本実施形態では、第1溝部911はメインロープ220の本数だけ溝が設けられている。
【0090】
第8端部912は、固定部820と接続するための部分である。第8端部912は、z軸方向に貫通する第1貫通孔912aを有する。
【0091】
本実施形態では、第8端部912はx軸負方向側に突起しているが、突起しない構成であってもよい。
【0092】
第2貫通孔(図示しない)は、第1把持部本体910に複数設けられている。本実施形態では、第2貫通孔(図示しない)は6箇所設けられている。
【0093】
第2把持部本体920は、xy平面視略T字状であり、z軸正方向側にy軸方向に平行な第2溝部921と、
z軸方向に貫通する第3貫通孔(図示しない)を有する第9端部922と、
第4ボルト930を通するための複数の第4貫通孔(図示しない)と、を含む。
【0094】
第2溝部921は、メインロープ220を把持するための溝であり、z軸負方向側を頂点とするxz平面視略三角形状の溝である。
【0095】
本実施形態では、第2溝部921はメインロープ220の本数だけ溝が設けられている。
【0096】
第9端部922は、固定部820と接続するための部分である。第9端部922は、z軸方向に貫通する第3貫通孔(図示しない)を有する。
【0097】
本実施形態では、第9端部922はx軸負方向側に突起しているが、突起しない構成であってもよい。
【0098】
第1把持部本体910と第2把持部本体920とを重ねることにより、第1貫通孔912aと第3貫通孔(図示しない)とは重なり合い、そこに接続部830が取り付けられる。
【0099】
第4貫通孔(図示しない)は、第2把持部本体920に複数設けられている。本実施形態では、第4貫通孔(図示しない)は6箇所設けられている。
【0100】
第1把持部本体910と第2把持部本体920とをメインロープ220を挟んだ状態で重ね合わせ、第2貫通孔(図示しない)と第4貫通孔(図示しない)とに第4ボルト930を通しナット(図示しない)で固定する。固定部820は第1実施形態と同様である。
【0101】
これにより、メインロープ220は、把持部900に把持され、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0102】
(かごロック装置800を使用した保守方法)
にかごロック装置800を使用した保守方法を図7のフローチャートで示す。
【0103】
エレベータ100の保守をする作業者は、かご230の上に乗ったとき、ワイヤー部840をレールブラケット310に巻き掛ける。
【0104】
つまり、作業者は、エレベータ100の保守を行うため、かご230の上に乗り、レールブラケット310等にかごロック装置800のワイヤー部840を一周させる(ステップS11)。
【0105】
次に、作業者は、かごロック装置800の取付部材850をワイヤー部840に掛止する(ステップS12、掛止工程、固定工程)。
【0106】
次に、作業者は、メインロープ220を把持部810で把持させる(ステップS13、把持工程)。
【0107】
作業者は、ワイヤー部840を引っ張り、しっかりと把持部810でメインロープ220を把持させる。
【0108】
作業者は、メインロープ220を把持部810で把持させる作業を最初に行ってもよい。
【0109】
エレベータ100が図1に示すように2:1のローピングの場合、直接かご230を保持する(支える)場合と比べ、本発明ではメインロープ220を保持するため、保持力は2分の1で済むという効果を有する。
【0110】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。
【符号の説明】
【0111】
100…エレベータ
200…巻上機
230…かご
240…カウンターウエイト
242…カウンターウエイトガイドレール
300…ガイドレール
400…調速機
500…テンションシーブ
600…ガバナロープ
700…オイルバッファ
800…かごロック装置
810…把持部
811…把持部本体
812…把持部材
813…第1可動部材
814…第2可動部材
815…第1ボルト
816…第2ボルト
817…第3ボルト
820…固定部
830…接続部
840…ワイヤー部
850…取付部材
900…把持部
910…第1把持部本体
920…第2把持部本体
930…第4ボルト

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7