特許第6841270号(P6841270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841270
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】物品搬送車
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
   B65G1/137 G
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-119080(P2018-119080)
(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-218209(P2019-218209A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉永 和治
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−142927(JP,A)
【文献】 特表2018−507830(JP,A)
【文献】 特開平7−309409(JP,A)
【文献】 特開2012−48531(JP,A)
【文献】 特開平8−244920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する複数の収納部の夫々に対応して設定された設定位置まで走行する走行部と、物品を支持する支持部と、光を照射する照射部と、前記走行部及び前記照射部を制御する制御部と、を備え、
前記支持部に支持させる物品が収納されている前記収納部を対象収納部として、
前記制御部は、前記対象収納部に対応して設定された前記設定位置まで前記走行部を走行させるように前記走行部を制御する走行制御と、前記走行部が前記設定位置にある状態で、複数の前記収納部より上方の位置で且つ自車に対応する位置である照射位置に光を照射するように前記照射部を制御する照射制御と、を実行する、物品搬送車。
【請求項2】
前記照射部は、作業者が自車に対して作業中か否かを示す情報である作業情報を前記照射位置に照射可能に構成され、
前記制御部は、前記作業者が自車に対して作業中か否かに応じて、前記照射制御において、前記照射位置に前記作業情報を表示するように前記照射部を制御する、請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
前記作業者が有する識別情報保持体に保持されている前記作業者の識別情報を読み取る識別情報読み取り部を備え、
前記制御部は、前記識別情報読み取り部の検出情報に基づいて、前記作業者が自車に対して作業中か否かを判別する、請求項2に記載の物品搬送車。
【請求項4】
前記照射部は、自車の優先度を示す情報である優先情報を前記照射位置に照射可能に構成され、
前記制御部は、予め定められた優先度判定条件に基づいて判定された優先度に応じて、前記照射制御において、前記照射位置に前記優先情報を表示するように前記照射部を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項5】
前記優先度判定条件は、前記支持部に支持させる物品の出荷期限、現在の前記設定位置における自車の待機時間、自車がその後に向かうことが決定している前記設定位置の数、及び、前記走行部と前記照射部と前記制御部との内の少なくとも一つに対して駆動電力を供給するバッテリが備えられている場合においてそのバッテリの充電残量、の少なくとも一つに基づいて、現在の前記設定位置における作業者の作業を急ぐ必要性の高い順に優先度を高く判定する条件である、請求項4に記載の物品搬送車。
【請求項6】
前記支持部に支持させる物品が収納されている出庫元の前記収納部に加えて、前記支持部に支持されている物品を収納する入庫先の前記収納部も前記対象収納部とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項7】
前記照射部は、前記対象収納部が前記出庫元の前記収納部か前記入庫先の前記収納部かを示す収納種別情報を前記照射位置に表示するように光を照射可能に構成され、
前記制御部は、前記照射制御において、前記対象収納部が前記出庫元の前記収納部か前記入庫先の前記収納部かに応じた前記収納種別情報を前記照射位置に表示するように前記照射部を制御する、請求項6に記載の物品搬送車。
【請求項8】
前記照射位置は、自車の真上の天井面に設定されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項9】
前記照射部は、自車に異常が生じたことを示す異常情報を前記照射位置に照射可能に構成され、
前記制御部は、前記走行制御中に前記設定位置以外の位置で前記走行部が停止した場合に、前記照射位置に前記異常情報を表示するように前記照射部を制御する第2照射制御を実行する、請求項1から8のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を支持する支持部を備えた物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、背景技術について説明する。以下の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。かかる物品搬送車の従来例が、特開2008−247546号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の物品搬送車(ピッキング作業用台車)は、ピッキング設備に備えられている。このピッキング設備では、物品搬送車を作業者の押し引き操作により移動させて、目的の収納棚(3)の収納部(物品収納部5)の近くまで移動させ、収納棚の収納部から物品を取り出して物品搬送車の支持部(コンテナ8)に支持させるピッキング作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−247546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者の作業量を抑えるために、物品搬送車を、目的の収納棚の収納部の近くの設定位置まで自動的に走行するように構成し、作業者は、設定位置に停止している物品搬送車に対してピッキング作業を行うようにすることが考えられる。しかし、このように物品搬送車を自動的に走行するように構成すると、物品搬送車が作業者から見えない位置又は見えにくい位置に停止している場合に、作業者が物品搬送車に対してピッキング作業を行う必要があることに気付き難く、ピッキング作業を円滑に行えない場合が考えられる。
【0005】
そこで、ピッキング作業を円滑に行い易い物品搬送車の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、物品搬送車の特徴構成は、物品を収納する複数の収納部の夫々に対応して設定された設定位置まで走行する走行部と、物品を支持する支持部と、光を照射する照射部と、前記走行部及び前記照射部を制御する制御部と、を備え、前記支持部に支持させる物品が収納されている前記収納部を対象収納部として、前記制御部は、前記対象収納部に対応して設定された前記設定位置まで前記走行部を走行させるように前記走行部を制御する走行制御と、前記走行部が前記設定位置にある状態で、複数の前記収納部より上方の位置で且つ自車に対応する位置である照射位置に光を照射するように前記照射部を制御する照射制御と、を実行する点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、制御部が走行制御を実行することで、走行部が設定位置まで走行し、制御部が照射制御を実行することで、照射部が照射位置に光を照射する。この照射位置は、複数の収納部より上方の位置で且つ自車に対応する位置であるため、物品搬送車から離れている作業者や収納部によって隔てられた場所にいる作業者等にも、ピッキング作業を行う必要がある物品搬送車が設定位置にあることを認識することができる。このため、作業者が物品搬送車に対してピッキング作業を行う必要があることに気付き易くでき、ピッキング作業を円滑に行い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ピッキング設備の平面図
図2】ピッキング設備の斜視図
図3】物品搬送車の背面図
図4】照射部が照射している状態を示す斜視図
図5】照射部が照射位置を照射している状態を示す正面図
図6】制御ブロック図
図7】制御部の制御フローチャート
図8】照射制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
物品搬送車を備えたピッキング設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、ピッキング設備には、物品Wを収納する収納部1を複数備えた物品収納棚2と、床面F上を走行する物品搬送車3と、物品収納棚2に収納されている物品Wを管理し且つ物品搬送車3を制御する制御装置H(図6参照)と、が備えられている。
【0010】
以下、物品収納棚2や物品搬送車3について説明するが、上下方向Zに見た上下方向Z視において、物品収納棚2の収納部1が並ぶ方向を第1方向Xと称し、第1方向Xに対して直交する方向を第2方向Yと称する。そして、図4に示すように、第1方向Xの一方側を第1方向第1側X1と称し、その反対側を第1方向第2側X2と称する。また、第2方向Yにおいて、作業通路Lの中央に対して収納部1が存在する方向を収納部側Y2と称し、その反対側(収納部1に対して作業通路Lが存在する側)を通路側Y1と称する。
【0011】
物品収納棚2は、上下方向Z及び第1方向Xに並ぶ状態で複数の収納部1を備えている。説明を加えると、物品収納棚2は、上下方向Zに間隔を隔てた状態で複数の棚板6を備えており、複数の棚板6上に、第1方向Xに並ぶ状態で複数の収納用容器7が載せられている。このように物品収納棚2に備えられている複数の収納用容器7のそれぞれにより収納部1が形成されている。収納用容器7(収納部1)には、複数種類の物品Wが種類別に収納されており、1つの収納用容器7には1種類の物品Wが収容されている。
【0012】
収納用容器7は、物品Wを出し入れする開口部8を有する開口面9を備えている。収納用容器7は、開口面9が通路側Y1に向くように物品収納棚2に設置されている。そのため、この収納用容器7により形成されている収納部1のそれぞれは、物品Wを出し入れする開口部8を有する開口面9を備えている。そして、1つの物品収納棚2に備えられている複数の収納部1は、開口面9を同じ方向に向けて配列されている。
【0013】
図1に示すように、物品収納棚2が設置されている領域は、複数のエリアEに区分けされている。そして、本実施形態では、その複数のエリアEの夫々に対して担当の作業者Mが配置されている。作業者Mは、自身が担当するエリアEにおいて、物品収納棚2から物品搬送車3に物品Wを移載するピッキング作業や、物品搬送車3から物品収納棚2に物品Wを移載する収納作業を行う。なお、エリアEの数と作業者Mの数との関係は任意に変更可能であり、例えば、1つのエリアEに複数人の作業者Mが配置されていてもよいし、複数のエリアEを1人の作業者Mが担当するようにしてもよい。作業者Mは、識別情報保持体10を有している。識別情報保持体10は、当該識別情報保持体10を有する作業者Mの識別情報を保持している。本実施形態では、識別情報保持体10を、RFIDタグを有する保持体(例えばIDカード等)としており、RFIDタグに作業者Mの識別情報が記憶されている。
【0014】
図6に示す制御装置Hは、収納部1に収納されている物品Wの個数や収納部1に収納されている物品Wの種類の情報である収納物品情報を記憶している。
制御装置Hは、上位のコントローラからピッキング指令が出力されると、ピッキング指令と収納物品情報とに基づいて、ピッキング情報を物品搬送車3の制御部15に送信するように構成されている。ピッキング情報は、ピッキング作業により物品Wを取り出す収納部1(対象収納部1A)の位置を示す情報や収納部1から取り出す物品Wの種類や個数の情報である。また、制御装置Hは、上位のコントローラから収納指令が出力されると、収納指令と収納物品情報とに基づいて、収納情報を物品搬送車3の制御部15に送信するように構成されている。収納情報は、収納作業により物品Wを収納する収納部1(対象収納部1A)の位置を示す情報や収納部1に収納する物品Wの種類や個数の情報である。
【0015】
図3に示すように、物品搬送車3は、床面F上を走行する走行部11と、物品Wを支持する支持部12と、光を照射する照射部13と、ピッキング情報や収納情報を表示する表示部14と、走行部11、照射部13及び表示部14を制御する制御部15と、を備えている。また、図6に示すように、物品搬送車3は、バッテリ16と、物品Wに表示されているバーコードを読み取るバーコードリーダ17と、支持部12が支持している物品Wの重量を計測する秤量部18と、作業者Mの識別情報を読み取る識別情報読み取り部19と、を備えている。バッテリ16は、走行部11、照射部13、表示部14、バーコードリーダ17、秤量部18、及び識別情報読み取り部19に駆動用電力を供給する。
【0016】
走行部11は、第2方向Yに並ぶ一対の走行輪26と、この一対の走行輪26に対して第1方向Xの両側に設置された従動輪27と、走行輪26を回転駆動させる走行用モータ28(図6参照)と、を備えている。走行用モータ28は、バッテリ16から供給される駆動用電力により駆動される。走行部11は、走行用モータ28によって一対の走行輪26の双方を正転方向に回転させることで前進走行し、走行用モータ28によって一対の走行輪26の双方を逆転方向に回転させることで後進走行する。また、走行部11は、走行用モータ28によって一対の走行輪26を異なる回転速度で回転させることで旋回走行する。
【0017】
走行部11には、支柱31が立設されている。図示の例では、この支柱31の上下方向Zの中間位置に2つの支持台32が上下方向Zに並ぶ状態で支持されている。また、支柱31の上端に表示部14が支持されている。走行部11及び2つの支持台32の夫々に搬送用容器33が支持されており、これらの搬送用容器33が、物品Wを支持する支持部12に相当する。
【0018】
表示部14は、ピッキング情報や収納情報を表示可能に構成されている。表示部14は、タッチパネルを有しており、作業者Mが操作可能に構成されている。図4に示すように、物品搬送車3の前側が第1方向第2側X2を向くように物品搬送車3が停止している状態において、表示部14は、各種情報を表示する表示画面が第1方向第1側X1で且つ上方側を向くように設置されている。
【0019】
照射部13は、走行部11が設定位置P1にある状態で、物品収納棚2(複数の収納部1)より上方の位置で且つ自車に対応する位置である照射位置P2に光を照射する。説明を加えると、図5に示すように、設定位置P1は作業通路Lに設定されており、作業通路Lの上方には、ピッキング設備が設置された施設の天井がある。そのため、走行部11が設定位置P1にある状態では、照射部13から真上に向けて照射された光は、当該天井における下方を向く天井面Cに照射される。そして、このように走行部11が設定位置P1にある状態で照射部13により照射された位置が照射位置P2に相当する、つまり、照射位置P2は、自車の真上の天井面Cに設定されている。本実施形態では、照射部13は、作業者Mが肉眼で感じることのできる可視光を照射する。また、本実施形態では、照射位置P2は、この照射位置P2の真下の作業通路Lとは別の作業通路Lで作業を行っている作業者Mが目視可能となっている。
【0020】
照射部13は、作業者Mが自車に対して作業中であるか否かを示す情報である作業情報と、自車の優先度を示す情報である優先情報と、対象収納部1Aが出庫元の収納部1(ピッキング作業において物品Wを取り出す収納部1)か入庫先の収納部1(収納作業において物品Wを取り出す収納部1)かを示す収納種別情報と、自車に異常が生じたことを示す異常情報と、を照射位置P2に照射可能に構成されている。本実施形態では、照射部13は、照射する光の色で収納種別情報を表示する。具体的には、照射部13は、複数色の光を照射可能に構成されており、対象収納部1Aが出庫元の収納部1である場合と対象収納部1Aが入庫元の収納部1である場合とで、照射位置P2に照射する光の色を異ならせるように構成されている。
【0021】
また、照射部13は、光を照射する範囲の大きさで作業者Mが自車に対して作業中か否かを示す作業情報を表示する。本例では、照射部13は、作業者Mが自車に対して作業中でない場合は、作業者Mが自車に対して作業中である場合に比べて、広い範囲を照射するように構成されている。本実施形態では、作業者Mが自車に対して作業中でない場合は、半径が第1長さの円形で形成された範囲(以下、大範囲と称する)を照射し、作業者Mが自車に対して作業中である場合は、半径が第1長さより短い第2長さの円形で形成された範囲(以下、小範囲と称する)を照射する。
【0022】
また、照射部13は、照射する光の点滅間隔で優先度を示す優先情報を表示するように構成されている。例えば、光の点滅間隔が短くなるに従って優先度が高いことを示すように構成することができる。ここで、優先度が2段階である場合には、光を連続的に照射することで優先度が低いことを示し、光を断続的に照射(点滅)させることで優先度が高いことを示すように構成することができる。本実施形態では、一例として、優先度を2段階で判定する構成を例として説明する。
【0023】
また、照射部13は、照射する光の形状で自車に異常が生じたことを示す異常情報を表示するように構成されている。本例では、上述した作業情報や優先情報や収納識別情報とは異なる形状及び色の光を照射する。具体的には、照射部13は、上述した作業情報や優先情報や収納識別情報を示す場合には、円形で形成された範囲を照射するのに対して、異常情報を示す場合には、矩形で形成された範囲を照射する。更に本例では、照射部13は、収納種別情報を示す場合に使用する色とは異なる色(例えば赤色)の光を照射することでも異常情報であることを示す。
【0024】
識別情報読み取り部19は、作業者Mが有する識別情報保持体10に保持されている作業者Mの識別情報を読み取り可能に構成されている。本実施形態では、識別情報保持体10との間で情報を無線通信可能に構成されている。具体的には、識別情報読み取り部19は、RFIDタグに記憶されている識別情報を読み取るリーダにより構成されている。そして、識別情報読み取り部19は、作業者Mが物品Wを支持部12に支持させる前にバーコードリーダ17に物品Wのバーコードを読み取らせる場合に、その作業者Mが存在すると想定される範囲が通信範囲となるように設定されている。つまり、作業者Mがバーコードリーダ17に物品Wのバーコードを読み取らせた場合に、その作業者Mが所持する識別情報保持体10の識別情報は読み取るが、自車から離れている作業者Mが所持する識別情報保持体10の識別情報は読み取らないように、通信範囲が設定されている。このような通信範囲の半径である通信距離は、例えば1mに設定されている。このように、識別情報読み取り部19は、予め設定された通信距離より近くに存在する識別情報保持体10の識別情報を読み取るように構成されている。
【0025】
制御部15は、制御装置Hから送信されたピッキング情報や収納情報に基づいて、走行部11を制御する第1走行制御(走行制御に相当)及び第2走行制御、表示部14を制御する表示制御、走行部11が設定位置P1にある状態で照射位置P2に光を照射するように照射部13を制御する第1照射制御(照射制御に相当)、第1走行制御中に設定位置P1以外の位置で走行部11が停止した場合に、照射位置P2に異常情報を表示するように照射部13を制御する第2照射制御、識別情報読み取り部19により作業者Mの識別情報を読み取る読み取り制御、並びに、作業が完了したことを検出する検出制御、を実行する。
【0026】
第1走行制御は、対象収納部1Aに対応して設定された設定位置P1まで走行部11を走行させるように走行部11を制御する。設定位置P1は、対象収納部1Aに対して通路側Y1であって、第1方向Xにおける第1方向第1側X1又は第1方向第2側X2に設定されている。図4に示す例では、対象収納部1Aに対して通路側Y1であって第1方向第1側X1に設定された設定位置P1に物品搬送車3が停止している。第2走行制御は、作業位置(図示せず)まで走行部11を走行させるように走行部11を制御する制御である。作業位置は、ピッキング作業により支持部12に支持された物品Wを物品搬送車3から降ろす作業や、収納作業により収納部1に収納する物品Wを支持部12に支持させる作業を行う箇所に対応して設定されている。制御部15は、第1走行制御の実行中に、バッテリ16の残量が設定値以下になった場合は、第1走行制御を中断して走行部11を停止させる。尚、第2走行制御の実行中に、バッテリ16の残量が設定値以下になった場合にも、第2走行制御を中断して走行部11を停止させるようにしてもよい。また、制御部15は、障害物の存在や、走行部11の故障等によって走行部11が正常な走行を継続できない事象が発生した場合にも、第1走行制御又は第2走行制御を中断して走行部11を停止させる。
【0027】
表示制御は、対象収納部1Aに対して出し入れする物品Wの数を示す数情報と、対象収納部1Aに対して出し入れする物品Wの種類を示す種類情報と、対象収納部1Aの位置を示す位置情報と、収納種別情報と、複数の搬送用容器33のうちの物品Wを出し入れする容器を示す容器情報と、を表示部14に表示させるように表示部14を制御する。制御部15は、ピッキング情報に基づいて表示制御を実行する場合は、対象収納部1Aの位置、並びに、対象収納部1Aから取り出す物品Wの数情報及び種類情報を表示部14に表示すると共に、収納種別情報としてピッキング作業であることを示す文字列やマークを表示部14に表示する。また、制御部15は、収納情報に基づいて表示制御を実行する場合は、対象収納部1Aの位置、並びに、対象収納部1Aに収納する物品Wの数情報及び種類情報を表示部14に表示すると共に、収納種別情報として収納作業であることを示す文字列やマークを表示部14に表示する。
【0028】
制御部15は、バーコードリーダ17によって物品Wのバーコードを読み取ることで、バーコードを読み取った物品Wの種類を判別可能に構成されている。制御部15は、バーコードリーダ17によって物品Wのバーコードを読み取ることで判別した種類の物品Wが、支持部12に対して載せ降しされる物品Wと判別し、この判別した物品Wの種類と種類情報が示す物品Wの種類とが異なる場合は、表示部14にエラーを示す情報を表示させる。
【0029】
また、制御部15には、物品Wの重量を示す重量情報が記憶されており、秤量部18は、複数の支持部12の重量を各別に計量可能、或いは複数の支持部12の全体の重量を計量可能に構成されている。制御装置Hは、秤量部18が計量した重量の変化と支持部12に支持させる物品Wの重量情報とに基づいて、種類情報が示す種類の物品Wが、数情報が示す個数だけ指定した支持部12に対して正しく載せ降しされたか否かを判別する。異なる種類の物品Wが支持部12に対して載せ降しされたと判断した場合や、数情報が示す個数とは異なる個数の物品Wが支持部12に対して載せ降しされたと判断した場合や、指定した支持部12とは異なる支持部12に対して物品Wが載せ降しされたと判断した場合は、表示部14にエラーを示す情報を表示させる。
【0030】
そして、制御部15は、検出制御において、バーコードリーダ17により読み取った情報に基づいて判別した物品Wの種類と種類情報が示す物品Wの種類とが一致すると共に、種類情報が示す種類の物品Wが、数情報が示す個数だけ指定した支持部12に対して載せ降しされたと判断した場合は、支持部12に対して物品Wが正しく載せ降しされたと判別する。より詳しくは、制御部15は、ピッキング情報に基づく検出制御では、支持部12に対して物品Wが正しく支持されたと判別し、収納情報に基づく検出制御では、支持部12から物品Wが正しく降ろされたと判別する。以上のように、制御部15とバーコードリーダ17と秤量部18とにより、対象収納部1Aから取り出された物品Wが正しく支持部12に支持されたことを検出する検出部35が構成されている。
【0031】
制御部15は、バーコードリーダ17がバーコードを読み取るのに伴って、識別情報読み取り部19により、通信範囲内に存在する作業者Mの識別情報保持体10の識別情報を読み取る。そして、制御部15は、第1走行制御によって設定位置P1まで走行部11を走行させた後、読み取り制御によって識別情報読み取り部19が作業者Mの識別情報を読み取る迄は、作業者Mが自車に対して作業をしていない(作業中ではない)と判断し、読み取り制御によって識別情報読み取り部19が作業者Mの識別情報を読み取った後、検出制御によって正しく載せ降しされたと判断するまでは、作業者Mが自車に対して作業をしている(作業中である)と判断する。このように、制御部15は、識別情報読み取り部19の検出情報に基づいて、作業者Mが自車に対して作業中か否かを判別する。
【0032】
また、本実施形態では、制御部15は、第1走行制御によって設定位置P1まで走行部11を走行させた後、第1走行制御が終了してからの経過時間を計測し、当該経過時間が設定値以下の場合は、自車の優先度は低いと判断し、当該経過時間が設定値を超えた場合は、自車の優先度は高いと判定する。つまり、本実施形態では、優先度を判定する優先度判定条件は、現在の設定位置P1における自車の待機時間に基づいて、当該待機時間が長くなるに従って作業者Mの作業を急ぐ必要性の高いものとして優先度を高く判定する条件となっている。本例では、2段階で優先度を判定するため、待機時間が設定値を超えたか否かにより優先度が「高い」か「低い」かを判定している。
【0033】
第1照射制御は、照射位置P2に光を照射するように照射部13を制御する。制御部15は、作業者Mが自車に対して作業中か否かに応じて、第1照射制御において、照射位置P2に作業情報を表示するように照射部13を制御する。本実施形態では、制御部15は、識別情報読み取り部19の検出情報に基づいて、作業者Mが自車に対して作業中ではないと判断している状態では、大範囲を照射するように照射部13から光を照射し、作業者Mが自車に対して作業中であると判断している状態では、小範囲を照射するように照射部13からの光の照射するように、照射部13を制御する。
【0034】
また、制御部15は、上記のような優先度判定条件に基づいて判定された優先度に応じて、第1照射制御において、照射位置P2に優先情報を表示するように照射部13を制御する。本実施形態では、制御部15は、現在の設定位置P1における自車の待機時間に応じて、優先度が低いと判断している状態では、現在の設定位置P1における作業者Mの作業を急ぐ必要性は低いと判断して照射部13から連続的に光を照射し、優先度が高いと判断している状態では、現在の設定位置P1における作業者Mの作業を急ぐ必要性は高いと判断して照射部13から断続的に光を照射するように、照射部13を制御する。
【0035】
また、制御部15は、第1照射制御において、対象収納部1Aが出庫元の収納部1か入庫先の収納部1かに応じた収納種別情報を照射位置P2に表示するように照射部13を制御する。本例では、制御部15は、ピッキング情報に基づいて第1照射制御を実行する場合と、収納情報に基づいて第1照射制御を実行する場合とで、照射部13が照射する光の色を異ならせることで、収納種別情報を照射位置P2に表示するように照射部13を制御する。
【0036】
第2照射制御は、第1照射制御と同様に、照射位置P2に光を照射するように照射部13を制御する。但し、第1照射制御は、対象収納部1Aに対して設定された設定位置P1に走行部11がある状態で実行するのに対して、第2照射制御は、対象収納部1Aに対して設定された設定位置P1以外の位置に走行部11がある状態で実行する。つまり、第2照射制御は、第1走行制御の実行中に、対象収納部1Aに対して設定された設定位置P1に到達する前に走行部11が異常停止した場合に実行する。本実施形態では、制御部15は、第1走行制御の実行中に、正常な走行を継続できない事象が発生した場合に、走行部11は異常停止する。このような事象としては、例えば、何らかの障害物によって進路を阻まれたことにより走行部11による第1走行制御を継続不可能となった場合、走行部11に走行を継続することが困難となる故障が発生した場合、或いは、バッテリ16の充電残量が設定値以下になったために第1走行制御を中断して走行部11が停止した場合等がある。そして、制御部15は、設定位置P1以外の位置で走行部11が異常停止したと判定した場合には、第2照射制御を実行する。
【0037】
次に、図7に示すフローチャートに基づいて、制御部15の制御について説明する。制御部15は、上位のコントローラからピッキング情報又は収納情報を受信すると、第1走行制御を開始(S1)し、ピッキング情報又は収納情報により指定されている対象収納部1A(複数の対象収納部1Aが指定されている場合はそのうちの1つ)に対応する設定位置P1に走行部11が到着するに伴って第1走行制御を終了する(S2、S3)。制御部15は、走行部11が設定位置P1に位置する状態で、表示制御及び第1照射制御を開始する(S4)。そして、制御部15は、バーコードリーダ17によって物品Wのバーコードを読み取るに伴って、読み取り制御を実行(S5)した後、検出制御により、1つの設定位置P1における作業が完了した(支持部12に対して物品Wが正しく載せ降しされた)か否かを判別する(S6、S7)。1つの設定位置P1における作業が完了した場合は(S7:Yes)、表示制御及び第1照射制御を終了(S8)する。そして、ピッキング情報や収納情報により指定されている複数の対象収納部1Aの全てに対する作業が完了している場合は(S9:Yes)、第2走行制御を実行する(S10)。一方、1つの設定位置P1における作業が完了した場合において、ピッキング情報や収納情報により指定されている複数の対象収納部1Aの中に、作業が完了していない対象収納部1Aがある場合は(S9:No)、作業が完了していない対象収納部1Aに対応する設定位置P1に走行部11を走行させるように、次の第1走行制御を開始する(S1)。
【0038】
また、制御部15は、第1走行制御の実行中において、走行部11が正常に走行を継続している場合(S11:No)は、第1走行制御を継続するが、第1走行制御の実行中に、上記のような事象が発生して走行部11が異常停止した場合(S11:Yes)には、第2照射制御を実行する(S12)。その後、制御部15は、走行部11が異常停止状態から復旧するまでは(S13:No)、第2照射制御を継続し(S12)、走行部11が異常停止状態から復旧した場合には(S13:Yes)、第1走行制御を再開する(S1)。
【0039】
制御部15は、上述の如く第1走行制御の実行が終了するに伴って第1照射制御を開始し、検出制御により1つの設定位置P1における作業が完了したと判断した後で且つ第2走行制御を実行する前に第1照射制御を終了させる。第1照射制御では、図8のフローチャートに示すように、まず、収納種別に応じた色の光を大範囲に対して連続的に照射する(S21)。そして、光の照射範囲が大範囲である状態で読み取り制御の実行により識別情報読み取り部19が識別情報を読み取った場合(S22:No、S24:Yes)は、作業者Mが自車に対して作業中であると判断し、光の照射範囲を大範囲から小範囲に変更(S25)する。また、光を連続的に照射している状態で第1走行制御の実行が終了してから設定時間が経過した場合(S23:No、S26:Yes)は、自車の優先度が高いと判定し、光の照射間隔を連続的に照射する状態から断続的に照射する状態に変更する(S27)。
【0040】
2.その他の実施形態
次に、物品搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0041】
(1)上記実施形態では、照射位置P2を、天井面Cに設定したが、照射位置P2は、適宜変更してもよい。例えば、複数の収納部1(物品収納棚2)より上方に照射対象物を設置し、この照射対象物に照射位置P2を設定してもよい。また、ピッキング設備に設置されている梁等の設置物に照射位置P2を設定してもよい。
【0042】
(2)上記実施形態では、照射位置P2に、作業情報と優先情報と収納種別情報と異常情報とを表示したが、照射位置P2に、作業情報と優先情報と収納種別情報と異常情報とのうちの一部のみを表示する構成としてもよい。また、作業情報、優先情報、収納種別情報、及び異常情報以外の情報を表示する構成としてもよい。
【0043】
(3)上記実施形態では、作業情報を照射位置P2における光の照射範囲の大きさで表示し、優先情報を光の点滅間隔で表示し、収納種別情報を光の色で表示し、異常情報を照射位置P2における光の形状及び色で表示する構成を例として説明した。しかし各情報の表示方法はこれには限定されない。すなわち、作業情報を光の点滅間隔や光の色や光の形状で表示する構成としてもよいし、優先情報を光の照射範囲の大きさや光の色や光の形状で表示する構成としてもよいし、収納種別情報を光の照射範囲の大きさや光の点滅間隔や光の形状で表示する構成としてもよいし、異常情報を、光の点滅間隔や光の照射範囲の大きさや光の形状及び色の何れか一方で表示する構成としてもよい。或いはこれらの情報を、文字列やマーク等で表示する構成としたり、光の強度(明度)で表示する構成としたり、光の照射の有無で表示する構成としてもよい。また、以上で説明した各種の表示方法を複数組み合わせて、各情報を表示する構成としてもよい。
【0044】
(4)上記実施形態では、現在の設定位置P1における自車の待機時間に基づいて優先度を判定したが、優先度判定条件は適宜変更してもよい。具体的には、支持部12に支持させる物品Wの出荷期限までの時間が短くなるに従って優先度が高くなるように、優先度を判定してもよい。また、自車がその後に向かうことが決定している設定位置P1の数(ピッキング情報や収納情報により指定されている複数の対象収納部1Aのうちの作業が完了していない対象収納部1Aの数)が多くなるに従って優先度が高くなるように、優先度を判定してもよい。また、バッテリ16の充電残量が少なくなるに従って優先度が高くなるように、優先度を判定してもよい。また、自車の待機時間、物品Wの出荷期限、その後に向かう設定位置P1の数、及びバッテリ16の充電残量の内の2つ以上の組み合わせに基づいて、優先度を判定してもよい。或いは、これら以外の条件を用いて優先度を判定してもよい。
【0045】
(5)上記実施形態では、識別情報読み取り部19の識別情報に基づいて、作業者Mが自車に対して作業中か否かを判別したが、作業者Mが自車に対して作業中か否かを判別する情報源は適宜変更してよい。具体的には、バーコードリーダ17の読取情報や秤量部18の秤量情報に基づいて、作業者Mが自車に対して作業中か否かを判別してもよい。この場合、物品搬送車3が設定位置P1にある状態で、バーコードリーダ17が物品Wのバーコードを読み取るか否かや、秤量部18により計量した重量に変動あるか否かに基づいて、作業者Mが自車に対して作業中か否かを判別するとよい。
【0046】
(6)上記実施形態では、照射部13は、真上に向けて光を照射したが、照射部13が、斜め上方に向けて光を照射するようにしてもよい。
【0047】
(7)上記実施形態では、出庫元の収納部1に加えて、入庫先の収納部1も対象収納部1Aとしたが、出庫元の収納部1のみを対象収納部1Aとしてもよい。
【0048】
(8)上記実施形態では、走行制御が終了するに伴って照射制御及び表示制御を開始したが、照射制御と表示制御とのうちの一方又は双方を、走行制御が終了する前に開始してもよい。つまり、例えば、表示制御を、走行制御が開始すると同時又は走行制御の実行中に開始してもよく、また、照射制御を、走行制御の実行中に開始してもよい。尚、照射制御を、走行制御の実行中に開始する場合、照射部13を、走行制御を実行中(走行部11が走行中)か走行制御が終了した(走行部11が設定位置P1に停止)かを示す情報を含む光を照射するように構成してもよい。この情報の表示に際しても、上記(3)で説明したように、各種の表示方法を用いることができる。
【0049】
(9)上記実施形態では、照射部13が、可視光を照射したが、照射部13が、不可視光(紫外線や赤外線等)を照射するようにしてもよい。尚、この場合、照射位置P2には、不可視光によって発光する蛍光体を含む部材を設置したり、蛍光体を含む塗料を塗布したりするとよい。
【0050】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0051】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送車の概要について説明する。
【0052】
物品搬送車は、物品を収納する複数の収納部の夫々に対応して設定された設定位置まで走行する走行部と、物品を支持する支持部と、光を照射する照射部と、前記走行部及び前記照射部を制御する制御部と、を備え、前記支持部に支持させる物品が収納されている前記収納部を対象収納部として、前記制御部は、前記対象収納部に対応して設定された前記設定位置まで前記走行部を走行させるように前記走行部を制御する走行制御と、前記走行部が前記設定位置にある状態で、複数の前記収納部より上方の位置で且つ自車に対応する位置である照射位置に光を照射するように前記照射部を制御する照射制御と、を実行する。
【0053】
この構成によれば、制御部が走行制御を実行することで、走行部が設定位置まで走行し、制御部が照射制御を実行することで、照射部が照射位置に光を照射する。この照射位置は、複数の収納部より上方の位置で且つ自車に対応する位置であるため、物品搬送車から離れている作業者や収納部によって隔てられた場所にいる作業者等にも、ピッキング作業を行う必要がある物品搬送車が設定位置にあることを認識することができる。このため、作業者が物品搬送車に対してピッキング作業を行う必要があることに気付き易くでき、ピッキング作業を円滑に行い易くすることができる。
【0054】
ここで、前記照射部は、作業者が自車に対して作業中か否かを示す情報である作業情報を前記照射位置に照射可能に構成され、前記制御部は、前記作業者が自車に対して作業中か否かに応じて、前記照射制御において、前記照射位置に前記作業情報を表示するように前記照射部を制御すると好適である。
【0055】
この構成によれば、制御部が照射制御を実行することで、照射位置に作業情報が表示される。このため、照射位置に光を照射している物品搬送車に対して作業を行っていない作業者は、照射位置に照射された光を確認することで、光を照射している物品搬送車に対して他の作業者が作業中か否かを判断できる。よって、作業者は、物品搬送車から離れている場合でも当該物品搬送車に対して自身が作業を行う必要があるか否かを判断できるため、ピッキング作業を円滑に行い易くすることができる。
【0056】
また、上記のように前記照射位置に前記作業情報を表示する構成において、前記作業者が有する識別情報保持体に保持されている前記作業者の識別情報を読み取る識別情報読み取り部を備え、前記制御部は、前記識別情報読み取り部の検出情報に基づいて、前記作業者が自車に対して作業中か否かを判別すると好適である。
【0057】
この構成によれば、識別情報読み取り部により作業者の識別情報が読み取れるか否かに基づいて、当該作業者が自車の周辺にいて作業中であるか否かを適切に判別することができる。
【0058】
また、前記照射部は、自車の優先度を示す情報である優先情報を前記照射位置に照射可能に構成され、前記制御部は、予め定められた優先度判定条件に基づいて判定された優先度に応じて、前記照射制御において、前記照射位置に前記優先情報を表示するように前記照射部を制御すると好適である。
【0059】
この構成によれば、作業者は、照射位置に照射されている光を確認することで、それに対応する物品搬送車に対する作業の優先度を認識できる。そのため、作業者に、優先度の高い物品搬送車に対して優先して作業を行わせることが可能となる。これにより、優先度が高い物品搬送車に対する作業が遅れることを回避し、ピッキング作業の円滑化を図ることができる。
【0060】
また、前記優先度判定条件は、前記支持部に支持させる物品の出荷期限、現在の前記設定位置における自車の待機時間、自車がその後に向かうことが決定している前記設定位置の数、及び、前記走行部と前記照射部と前記制御部との内の少なくとも一つに対して駆動電力を供給するバッテリが備えられている場合においてそのバッテリの充電残量、の少なくとも一つに基づいて、現在の前記設定位置における作業者の作業を急ぐ必要性の高い順に優先度を高く判定する条件であると好適である。
【0061】
この構成によれば、出荷期限が迫っている物品を搬送する物品搬送車や、現在の設定位置における待機時間が長い物品搬送車や、その後に向かう設定位置の数が多い物品搬送車や、バッテリの充電残量が少ない物品搬送車を、優先度の高い物品搬送車とすることができる。従って、作業者に、これらの物品搬送車に対する作業を優先的に行わせることが可能となる。
【0062】
また、前記支持部に支持させる物品が収納されている出庫元の前記収納部に加えて、前記支持部に支持されている物品を収納する入庫先の前記収納部も前記対象収納部とすると好適である。
【0063】
この構成によれば、出庫元の収納部から物品を取り出す場合に加えて、入庫先の収納部に物品を収納する場合にも、対象位置に光を照射することができる。そのため、作業者が物品の補充等のために物品を対象収納部に収納する収納作業を行う場合にも、収納作業を円滑に行い易くすることができる。
【0064】
また、上記のように物品を収納する入庫先の前記収納部も前記対象収納部とする構成において、前記照射部は、前記対象収納部が前記出庫元の前記収納部か前記入庫先の前記収納部かを示す収納種別情報を前記照射位置に表示するように光を照射可能に構成され、前記制御部は、前記照射制御において、前記対象収納部が前記出庫元の前記収納部か前記入庫先の前記収納部かに応じた前記収納種別情報を前記照射位置に表示するように前記照射部を制御すると好適である。
【0065】
この構成によれば、収納種別情報を表示する光が照射位置に照射されるため、対象収納部に対して行う作業が、対象収納部から物品を取り出す作業か対象収納部に物品を収納する作業かを、作業者に対して事前に認識させることができる。従って、対象収納部から物品を取り出す作業と対象収納部に物品を収納する作業との双方の作業が有り得る場合であっても、これらの作業の円滑化を図ることができる。
【0066】
また、前記照射位置は、自車の真上の天井面に設定されていると好適である。
【0067】
この構成によれば、照射部は、真上に向けて光を投光するだけでよいので、照射部の構成を簡素にできると共に照射制御における照射部の制御を簡素にできる。また、照射部からの光が天井面に照射されるため、当該光を作業者が視認することも容易となっている。
【0068】
また、前記照射部は、自車に異常が生じたことを示す異常情報を前記照射位置に照射可能に構成され、前記制御部は、前記走行制御中に前記設定位置以外の位置で前記走行部が停止した場合に、前記照射位置に前記異常情報を表示するように前記照射部を制御する第2照射制御を実行すると好適である。
【0069】
この構成によれば、作業者は、照射位置に照射されている光を確認することで、物品搬送車が設定位置以外の位置に異常停止していることを認識することができる。そのため、作業者は、異常が生じた物品搬送車を早期に発見することができる。これにより、異常が生じた物品搬送車を迅速に復旧させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示に係る技術は、物品を支持する支持部を備えた物品搬送車に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1:収納部
1A:対象収納部
10:識別情報保持体
11:走行部
12:支持部
13:照射部
15:制御部
16:バッテリ
19:識別情報読み取り部
C:天井面
M:作業者
P1:設定位置
P2:照射位置
W:物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8