【実施例】
【0059】
試験例1 身体清拭シートの製造
実施例1
(1)表面層の製造
繊維成分がレーヨン繊維80%及びポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの芯鞘型複合繊維20%からなる坪量40g/m
2 のスパンレース不織布を製造し、これを2枚の表面層として用いた。表面層の大きさは、長さ300mm×幅200〜400mm とした。
(2) 吸水性ポリマー層の製造
吸水性ポリマー含有シートを吸水性ポリマー層として用いた。このシートはエアレイド法によって製造されたものであり、シートに含まれる吸水性ポリマーは架橋されたポリアクリル酸ナトリウム塩であり、実施例1のシートではその坪量を230g /m
2とした。このシートの繊維組成は、木材パルプからなる天然セルロース繊維であった。
(3)身体清拭シートの製造
2枚の表面層間には、吸水性ポリマー層と、さらに別途ポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘型繊維100%から構成された熱融着層とを配置し、熱融着で4層を接合し、清拭シートを製造した。
【0060】
実施例2の身体清拭シートは、吸水性ポリマー層の吸水性ポリマーの坪量を138g /m
2として製造した。
【0061】
実施例3の身体清拭シートは、吸水性ポリマー層の吸水性ポリマーの坪量を50g /m
2として製造した。
【0062】
実施例4の身体清拭シートは、吸水性ポリマー層の吸水性ポリマーを繊維状態に加工した上で、吸水性ポリマー層の坪量を68g /m
2として製造した。
【0063】
比較例1には布タオルを用いた。
比較例2には市販の不織布からなる単層のシートを用いた。
【0064】
試験例2 保温性試験
試験例1で製造した実施例1〜4及び比較例1,2の身体清拭シートを約10cm ×約30cmに折りたたみ、吸水性ポリマーが十分膨潤する時間、水を含水させ、電子レンジを用いて加熱した。次いで放射温度計(タスコ製TA−410NH)を用いて、折りたたんだ状態の清拭シート表面の中央部温度が60℃まで下がった後、2分毎に20分間、清拭シート表面の中央部温度を測定した。
【0065】
結果を表1及び
図12に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
試験例3 身体清拭シートの製造
実施例5
(1)表面層の製造
AL045TCDP−H(金星製紙株式会社製)(繊維成分がパルプ及びポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの芯鞘型複合繊維からなる坪量45g/m
2 のエアレイド不織布)を表面層とした。
(2)吸水性ポリマー層の製造
吸水性ポリマー9g/m
2を含有し、パルプおよびバインダーからなる総坪量89g/m
2の不織布をエアレイド法により製造し、吸水性ポリマー層を得た。
(3)身体清拭シートの製造
幅20cmの表面層不織布ロールの上に、幅18.2cmの吸水性ポリマー層を長さ27cmに断裁しながら該吸水性ポリマー層の長さ方向に約3cm間隔で配置し、吸水性ポリマー層の上から幅20cmの表面層不織布ロールを挟み合わせて3層とした。3層からなるシートの各々を移動装置により移動させ、シートの幅方向の両端の各々から1.5cmまでの幅1.5cmの領域をシートの移動方向に沿って、シートの上方に配置した加熱ローラーによって溶着した。シートの移動方向はシートの長さ方向と一致する。続いて、シートにおける幅方向に吸水性ポリマー層が挟まっていない箇所を幅2.5cmの加熱ローラーにより溶着し、隣り合う3層からなるシートの間の2つの表面層の接合部の中央を幅方向に切断して、実施例5の身体清拭シートを得た(
図13)。
以下、
図13〜22において、符号1は身体清拭シート、符号2は表面層、符号4は吸水性ポリマー層、符号22は溶着部を示す。
図16,18において、符号24は身体清拭シート1の下方の加熱ローラーによる溶着部を示す。
【0068】
実施例6
シートの幅方向中央部の上方に幅1cmの加熱ローラーを追加して、身体清拭シートの幅方向の中心を通りシートの長手方向に沿ってシートがさらに溶着されるようにした以外は実施例5と同様にして実施例6の身体清拭シートを得た(
図14)。
【0069】
実施例7
実施例5においてシートの幅方向の両端の各々から1.5cmまでの幅1.5cmの領域をシートの移動方向に沿って加熱ローラーによって溶着する代わりに、シートの幅方向の両端の各々から8mmまでの幅8mmの領域をシートの移動方向に沿って加熱ローラーによって溶着した。また、シートの幅方向中央部の上方に幅1cmの加熱ローラーを配置し、シートの幅方向の中心を通りシートの移動方向に沿ってシートを溶着し、実施例7の身体清拭シートを得た(
図15)。
【0070】
実施例8
シートの幅方向中央部の下方に幅2cmの加熱ローラーを追加して、身体清拭シートの長手方向の中心を通りシートの幅方向に沿って幅方向における一端から他端までシートがさらに溶着されるようにした以外は実施例7と同様にして実施例8の身体清拭シートを得た(
図16)。
【0071】
実施例9
実施例5においてシートの幅方向の両端の各々から1.5cmまでの幅1.5cmの領域をシートの移動方向に沿って加熱ローラーによって溶着する代わりに、シートの幅方向の両端の各々から8mmまでの幅8mmの領域をシートの移動方向に沿って加熱ローラーによって溶着した。また、シートの幅方向の両端の各々から5cm離れた位置の上方に幅2cmの加熱ローラーを配置しシートの移動方向に沿ってシートを溶着し、身体清拭シートの長手方向に沿った端部の接合部以外に、当該端部の接合部から離れて長手方向に延びる追加の二本の接合部を形成し、実施例9の身体清拭シートを得た(
図17)。
【0072】
実施例10
実施例9における、シートの幅方向の両端の各々から5cm離れた位置に幅2cmでシートの移動方向に沿って設けた接合部を、シートの下方に配置した加熱ローラーにより形成した以外は、実施例9と同様にして実施例10の身体清拭シートを得た(
図18)。
【0073】
実施例11
実施例5においてシートの幅方向の両端の各々から1.5cmまでの幅1.5cmの領域をシートの移動方向に沿って加熱ローラーによって溶着する代わりに、シートの幅方向の両端の各々から8mmまでの幅8mmの領域をシートの移動方向に沿って加熱ローラーによって溶着した。また、シートの長手方向中央部の上方に幅1cmの加熱ローラーを配置し、シートの長手方向の中心を通りシートの幅方向に沿ってシートを溶着し、実施例11の身体清拭シートを得た(
図19)。
【0074】
実施例12
実施例5においてシートの幅方向の両端の各々から1.5cmまでの幅1.5cmの領域をシートの移動方向に沿って加熱ローラーによって溶着する代わりに、シートの幅方向の両端の各々から8mmまでの幅8mmの領域をシートの移動方向に沿って加熱ローラーによって溶着し、実施例12の身体清拭シートを得た(
図20)。
【0075】
試験例4
ヨレの評価 実施例5〜12の身体清拭シートを2分間60℃のお湯に浸けたあと、広げた状態で一辺を持ち上げ、中身がよれるか否かを評価した。結果、実施例5〜11の身体清拭シートでは実施例12と比べてヨレが解消あるいは改善されており、実施例12の身体清拭シートではヨレが発生した。
【0076】
実施例13
実施例5において、吸水性ポリマー層の断裁長さ12cmとし、シートにおける幅方向の溶着部分の切断を2回に1回として、実施例13の身体清拭シートを得た(
図21)。
【0077】
実施例14
幅30cmの表面層不織布ロールに、幅方向に1cm離して2個配置した幅13.8cmの吸水性ポリマー層を長さ17cmに断裁しながら該吸水性ポリマー層の長さ方向に約3cm間隔で配置し、吸水性ポリマー層の上から幅30cmの表面層不織布ロールを挟み合わせて3層とした。3層からなるシートの各々を移動装置により移動させ、シートの幅方向の両端の各々から1.5cmまでの幅1.5cmの領域をシートの移動方向に沿って、シートの上方に配置した加熱ローラーによって溶着した。続いて、シートの幅方向の中央部の幅1cmの領域をシート上方に配置した加熱ローラーによって溶着した。シートの移動方向はシートの長さ方向と直交である。続いて、シートにおける幅方向に吸水性ポリマー層が挟まっていない箇所を幅2.5cmの加熱ローラーにより溶着し、隣り合う3層からなるシートの間の2つの表面層の接合部の中央を幅方向に切断して、実施例14の身体清拭シートを得た(
図22)。
【0078】
実施例15
表面層をAL060UTHP−H−S(金星製紙株式会社製)(繊維成分がパルプ及びポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの芯鞘型複合繊維からなる坪量60g/m
2 のエアレイド不織布)とした以外は実施例5と同様にして実施例15の身体清拭シートを得た。
【0079】
実施例16
表面層をAL070UTHP−H−S(金星製紙株式会社製)(繊維成分がパルプ及びポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの芯鞘型複合繊維からなる坪量70g/m
2 のエアレイド不織布)とした以外は実施例5と同様にして実施例16の身体清拭シートを得た。
【0080】
実施例17
表面層を9570−O(シンワ株式会社製)(繊維成分がポリエチレン及びポリプロピレンからなる坪量70g/m
2 の不織布)とした以外は実施例5と同様にして実施例17の身体清拭シートを得た。
【0081】
実施例18
表面層を7840Z+6515−1A(シンワ株式会社製)(繊維成分がポリエチレンテレフタレートからなる坪量40g/m
2の不織布と、繊維成分がポリプロピレン/ポリエチレンの芯鞘型複合繊維からなる坪量15g/m
2 の不織布とを交錯させた不織布)とした以外は実施例5と同様にして実施例18の身体清拭シートを得た。
【0082】
実施例19
表面層を2ATEP2060(日清紡テキスタイル株式会社製)(繊維成分がコットン及びポリエチレンテレフタレートからなる坪量60g/m
2 のスパンレース不織布)とした以外は実施例5と同様にして実施例19の身体清拭シートを得た。
【0083】
実施例20
表面層を3RTEP0080(日清紡テキスタイル株式会社製)(繊維成分がレーヨン及びポリエチレンテレフタレートからなる坪量80g/m
2 のスパンレース不織布)とした以外は実施例5と同様にして実施例20の身体清拭シートを得た。
【0084】
実施例21
表面層をAL045TCDP−Hと6525−1A(シンワ株式会社)(繊維成分がポリプロピレン/ポリエチレンの芯鞘複合繊維からなる坪量25g/m
2の不織布)の2層とし、6525−1Aを吸水性ポリマー層側に配置した以外は、実施例5と同様にして実施例21の身体清拭シートを得た。
【0085】
実施例22
表面層を2ATEP2060と6525−1A(シンワ株式会社製)(繊維成分がポリプロピレン/ポリエチレンの芯鞘複合繊維からなる坪量25g/m
2の不織布)の2層とし、6525−1Aを吸水性ポリマー層側に配置した以外は、実施例5と同様にして実施例22の身体清拭シートを得た。
【0086】
実施例23
表面層を2ATEP2040(日清紡テキスタイル株式会社製)(繊維成分がコットン及びポリエチレンテレフタレートからなる坪量40g/m
2 のスパンレース不織布)と6525−1Aの2層とし、6525−1Aを吸水性ポリマー層側に配置した以外は、実施例5と同様にして実施例23の身体清拭シートを得た。
【0087】
実施例24
表面層の一方を6525−1Aと2ATEP2040の2層とし、6525−1Aを吸水性ポリマー層側に配置し、表面層のもう一方を2ATEP2060とした以外は、実施例5と同様にして実施例24の身体清拭シートを得た。
【0088】
実施例25
表面層を、繊維成分がコットン16%、ポリエチレンテレフタレート47%、及びポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘繊維37%からなる坪量60g/m
2のスパンレース不織布とし、22.5cmの表面層不織布ロールに、幅17.7cmの吸水性ポリマー層を長さ27cmに断裁しながら該吸水性ポリマー層の長さ方向に約3cm間隔で配置し、吸水性ポリマー層の上下から幅22.5cmの2つの表面層不織布ロールを挟み合わせて3層とした。3層からなるシートの各々を移動装置により移動させ、シートの幅方向の両端の各々から1.5cmまでの幅1.5cmの領域をシートの移動方向に沿って、シートの上方に配置した加熱ローラーによって溶着した。シートの移動方向はシートの長さ方向と一致する。続いて、シートにおける幅方向に吸水性ポリマー層が挟まっていない箇所を幅2.5cmの加熱ローラーにより溶着し、隣り合う3層からなるシートの間の2つの表面層の接合部の中央を幅方向に切断して、実施例25の身体清拭シートを得た。本実施形態の溶着部の配置は
図20に示した実施例12と同様である。
【0089】
実施例26
表面層を、繊維成分がコットン17%、ポリエチレンテレフタレート41%、及びポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘繊維42%からなる坪量60g/m
2のスパンレース不織布とした以外は実施例25と同様にして実施例26の身体清拭シートを得た。
【0090】
実施例27
実施例26において、さらに、シートの幅方向の両端の各々から5cmの位置に内側へ幅5mmの領域をシートの移動方向に沿って、シートの上下に配置した超音波ミシン・ロータリーユニット(精電舎電子工業株式会社製)により溶着した以外は実施例26と同様にして実施例27の身体清拭シートを得た(
図23)。
図23において、符号1は身体清拭シート、符号2は表面層、符号4は吸水性ポリマー層、符号22は加熱ローラによる溶着部、符号26は超音波ミシン・ロータリーユニットによる溶着部を示す。
【0091】
実施例28
超音波溶着部を48mmとした以外は実施例27と同様にして実施例28の身体清拭シートを得た。
【0092】
以上、本発明の実施形態及び実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0093】
上述の実施形態及び実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などを用いてもよい。例えば以下の通りである。
第1〜4実施形態において、吸水性ポリマー層4が2つの表面層2,3により囲繞されていなくてもよく、吸水性ポリマー層4中の吸水性ポリマーが身体清拭シート1の外に漏出するのを防止する程度に、吸水性ポリマー層4の周端部が表面層2、表面層3と一体化されていればよい。一体化は、表面層2,3及び吸水性ポリマー層4の3層の超音波融着並びに熱融着等の溶着、接着剤による接着、糸による縫い合わせ、エンボス加工による接合、溶断機による溶断、溶接機による溶接等により行うことができる。
第12実施形態において、ガイド線7a,7bを省略し、ガイド線7c,7dのみとしてもよい。
【0094】
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料及び数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、本発明は以下の構成を採用することもできる。
[1]不織布から構成された2つの表面層と、2つの表面層の間に配置され、吸水性ポリマーを含有する吸水性ポリマー層とが積層された身体清拭シート。
[2]水を含ませて使用される乾式シートである[1]に記載の身体清拭シート。
[3]上記吸水性ポリマー層は繊維材料中に吸水性ポリマーを含有させたシート、繊維材料の上に吸水性ポリマーを分散して固めたシート、又は繊維状に加工された吸水性ポリマーを含むシートである[1]又は[2]に記載の身体清拭シート。
[4]上記吸水性ポリマー層中の吸水性ポリマーの量が、ポリマーが十分膨潤する時間水に浸した身体清拭シートを60℃に加熱した後、20〜25℃、湿度40〜80%の環境下で10分保存した後の身体清拭シートの温度を30℃以上に保持し得る量である[1]〜[3]のいずれかに記載の身体清拭シート。
[5]水性洗浄剤を含有しない[1]〜[4]のいずれかに記載の身体清拭シート。
[6]上記表面層と吸水性ポリマー層が、少なくとも1点で固定されている[1]〜[5]のいずれかに記載の身体清拭シート。
[7]上記固定部が略直線状である[6]に記載の身体清拭シート。
[8]上記略直線状の固定部が上記身体清拭シートの端から端に跨る[7]に記載の身体清拭シート。
[9]上記身体清拭シートが略矩形であり、上記略直線状の固定部が、少なくとも一方向に2本設けられている[6]又は[7]に記載の身体清拭シート。
【0095】
[10]上記固定部が、身体清拭シートの両端に設けられており、上記2つの表面層を接合する際に同時に設けられた略直線状の2本の固定部である[6]〜[9]のいずれかに記載の身体清拭シート。
[11]上記固定部が熱溶着による接合部である請求項[6]〜[10]のいずれかに記載の身体清拭シート。
[12]上記吸水性ポリマー層が、身体清拭シートの幅方向の中心位置を長手方向に沿って略直線状に延びる凹部により2つの部分に分離されている[1]〜[11]のいずれかに記載の身体清拭シート。
[13]上記身体清拭シートは略矩形であり、上記身体清拭シートの幅方向の中心を通って上記身体清拭シートの長手方向に延びる線における上記身体清拭シートの長手方向の中心位置から等距離の位置から、上記身体清拭シートの長辺までの間を、上記身体清拭シートの長手方向に沿って互いに離れるように延びる仮想線に沿って延びる2つのガイド線をさらに備える[1]〜[12]のいずれかに記載の身体清拭シート。
[14]上記2つの表面層のうちの一方の角部に取り付けられ、該2つの表面層のうちの一つとの間に上記身体清拭シートを収容するためのポケットを画成する小片をさらに備える請求項[1]〜[13]のいずれかに記載の身体清拭シート。