特許第6841289号(P6841289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841289
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】物流システム及びサーバ
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20210301BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20210301BHJP
   G06Q 50/28 20120101ALI20210301BHJP
【FI】
   B65G61/00 550
   B65G61/00 500
   G06Q10/08 300
   G06Q50/28
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-19430(P2019-19430)
(22)【出願日】2019年2月6日
(65)【公開番号】特開2020-125193(P2020-125193A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】瀧 小緒里
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−084134(JP,A)
【文献】 特開2003−160231(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1929491(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 10/00−10/10,30/00−30/08,
50/00−50/20,50/26−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油所への燃料油の配送管理を行う燃料油出荷システムと、
顧客への品物の配送管理を行う宅配システムと、
前記燃料油出荷システム及び前記宅配システムに通信可能に接続され、
所定の要件を満たす場合に、前記燃料油出荷システムからの指示により前記給油所に燃料油を配送するタンクローリに、前記宅配システムが配送する品物を混載するように、前記燃料油出荷システム及び前記宅配システムに指示するサーバとを備えることを特徴とする物流システム。
【請求項2】
給油所への燃料油の配送管理を行う燃料油出荷システムと、顧客への品物の配送管理を行う宅配システムとに通信可能に接続され、
所定の要件を満たす場合に、前記燃料油出荷システムからの指示により前記給油所に燃料油を配送するタンクローリに、前記宅配システムが配送する品物を混載するように、前記燃料油出荷システム及び前記宅配システムに指示することを特徴とするサーバ。
【請求項3】
該サーバは、前記顧客が有する端末に通信可能であって、該顧客が有する端末に、該顧客への品物の配送情報を送信することを特徴とする請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
該サーバは、前記タンクローリと通信可能であって、該タンクローリから前記顧客への品物の配送情報を受信することを特徴とする請求項2又は3に記載のサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流システム及びサーバに関し、特に燃料油と燃料油以外の品物の両方を効率よく配送するシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
危険物を運ぶタンクローリは、システムのバックアップによる効率化(合理化)が進められており、運転者自身による単独荷卸しによる夜間配送等が可能である。また、タンクローリの運転者は、専用教育を受け使命感を持って給油所へ燃料油(ガソリン、ハイオク、軽油等)を配送しており、そのためへき地であっても給油所から燃料油が枯渇することなく周辺住民の生活を支えている。
【0003】
燃料油の配送にあたっては、図3(a)に示すように、給油所12から注文があると、ローリ管理会社13は、油槽所14へタンクローリ15を向かわせる。油槽所14で燃料油を搭載したタンクローリ15は、給油所12に到着し、地下タンク等に燃料油を荷卸しする。
【0004】
また、燃料油の注文を容易かつ忘れずに行うため、特許文献1には、燃料タンク内の液量が一定値以下になると、電話により販売店に自動でダイヤルすることで、販売店の制御装置に注文を行うことのできる燃料油自動発注システムが提案されている。
【0005】
一方、近年インターネット等を用いた通信販売の市場規模が急速に成長している。図3(b)に示すように、顧客22がPCや携帯電話等の各種端末で店舗(ECサイト)23に品物を注文すると、店舗23から宅配会社24に注文した品物が送られると共に、出荷日、購入品、購入者情報等の注文情報が宅配会社24に送られる。各顧客22からの注文品は、宅配会社24の集配所に集められた後、車両25等で各顧客22に配送される。
【0006】
また、最近では、人手不足による宅配物流体制の見直しや過疎地(高齢化)問題に鑑み、特許文献2には、複数の配送先に対して最短ルートで配送することができる品物配送管理システムが提案されている。また、公共交通機関(バス、列車、船)に品物を混載して運ぶ取り組みも始まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−125560号公報
【特許文献2】特開平9−167299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3に示されるように、燃料油と品物の物流システムに接点がないため、燃料油と品物は個別に配送せざるを得ない。同一地域に同じタイミングで燃料油と品物の配送要求があったとしても、最低2台の配送車と2名の人員が必要となり、人手不足を助長していると言わざるを得ない。特に過疎地への配送は限られた人員、資源を効率よく合理的に活用する必要があるが、燃料油と品物の配送物流システムに接点がないため非効率的である。
【0009】
また、上記特許文献1及び2に記載の発明は有効であるが、各々品物のみの配送に関しての発明と燃料油のみの配送に関しての発明であり、各々の物流は独立しており、同一地域に同じタイミングで燃料油と品物の配送要求があったとしても各々の配送が別々になされるだけで非効率的である。
【0010】
そこで、本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、燃料油と、燃料油以外の品物の両方を効率よく配送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、物流システムであって、給油所への燃料油の配送管理を行う燃料油出荷システムと、顧客への品物の配送管理を行う宅配システムと、前記燃料油出荷システム及び前記宅配システムに通信可能に接続され、所定の要件を満たす場合に、前記燃料油出荷システムからの指示により前記給油所に燃料油を配送するタンクローリに、前記宅配システムが配送する品物を混載するように、前記燃料油出荷システム及び前記宅配システムに指示するサーバとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、所定の要件を満たす場合、例えば、同一地域に同じタイミングで品物と燃料油の配送要求があり、顧客が指定した場合に、品物を燃料油を積載するタンクローリに混載して給油所へ配送し、顧客は給油所にて品物を受け取ることができ、品物と燃料油を効率よく配送することができる。
【0013】
また、本発明は、サーバであって、給油所への燃料油の配送管理を行う燃料油出荷システムと、顧客への品物の配送管理を行う宅配システムとに通信可能に接続され、所定の要件を満たす場合に、前記燃料油出荷システムからの指示により前記給油所に燃料油を配送するタンクローリに、前記宅配システムが配送する品物を混載するように、前記燃料油出荷システム及び前記宅配システムに指示することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、上記発明と同様に、品物と燃料油の両方を効率よく配送することができる。
【0015】
上記サーバは、前記顧客が有する端末に通信可能であって、該顧客端末に、該顧客への品物の配送情報を送信することができ、例えば、顧客が注文した品物が所定の給油所に届いたことを顧客に知らせることができ、品物をさらに効率よく配送することができる。
【0016】
上記サーバは、前記タンクローリと通信可能であって、該タンクローリから前記顧客への品物の配送情報を受信することができ、例えば、顧客が注文した品物を混載したタンクローリが所定の給油所に到着する時刻等を顧客に報知することで品物をさらに効率よく配送することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、燃料油及び燃料油以外の品物の両方を効率よく配送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る物流システムの一実施の形態を示す全体構成図である。
図2図1に示す物流システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図3】従来の配送に関するシステムを示す全体構成図であって、(a)は燃料油の配送システム、(b)は通信販売システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る物流システムを示し、この物流システム1は、POS端末(給油所システム、不図示)を介して燃料油の注文を行う給油所2と、給油所2からの注文を受けるとローリ15を用いて燃料油の配送を行う燃料油出荷システムとしてのローリ管理会社3と、スマートフォンや、タブレット端末等であって、インターネットを介して商品の注文を行う顧客端末4と、商品管理と顧客情報管理を行うECサイトとしての店舗5と、店舗5からの情報に基づいて顧客の購入品をトラック25で宅配する宅配システムとしての宅配会社6と、ローリ管理会社3や宅配会社6等から受信した情報の管理等を行うサーバ7等で構成される。
【0021】
次に、上記構成を有する本発明に係る物流システム1の動作について図1及び図2を参照しながら説明する。尚、図2のルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0022】
まず、顧客端末4において、顧客は顧客情報(氏名、住所、電話番号、メールアドレス、受取可能給油所、受取優先事項(時間/場所)等)をサーバ7に事前に登録する(ステップS1)。顧客が顧客端末4を用いて商品を注文し(ステップS2)、ステップS11において、店舗5が商品の注文を確認すると(ステップS11;Yes)、店舗5は宅配会社6に対し、注文情報として出荷日、購入品名、顧客情報等を伝達すると共に(ステップS12)、購入品を集配所9に出荷して店舗5の動作を終了する(ステップS13)。
【0023】
宅配会社6のステップS21において、店舗5から注文情報が伝達されると(ステップS21;Yes)、注文情報から導出した配送情報をサーバ7に伝達する(ステップS22)。
【0024】
一方、給油所2のステップS31にて、燃料油を発注する必要があるときは(ステップS31;Yes)、POS端末を介して燃料油をローリ管理会社3に注文する(ステップS32)。ローリ管理会社3は、ステップS41において燃料油の注文を確認し(ステップS41;Yes)、注文を受けた給油所2に基づいて導出した配送情報をサーバ7に伝達する(ステップS42)。
【0025】
サーバ7のステップS51において、宅配会社6からの配送情報又は/及びローリ管理会社3から配送情報が伝達されたかを確認し、いずれか一方の会社から情報が伝達されると(ステップS51;Yes)、ステップS52において、燃料油の通常配送のみであるか否かを確認し、燃料油の通常配送のみである、すなわち顧客の購入品の配送がない場合には(ステップS52;Yes)、配送方法としての燃料油の通常配送を、給油所2及びローリ管理会社3に伝達してサーバ7の動作を終了する(ステップS53)。
【0026】
次に、ローリ管理会社3において、サーバ7から伝達された通常の配送方法に従い(ステップS43;Yes、ステップS44;No)、ローリ15を介して通常配送を行ってローリ管理会社の動作を終了する(ステップS45)。そして、サーバ7から通常配送であることが伝達された給油所2は(ステップS33;Yes、ステップS34;No)、ローリ15から荷卸しされた燃料油を保管して給油所2の動作を終了し(ステップS36)、物流システム1の動作を終了する。
【0027】
一方、サーバ7のステップS52において、燃料油の通常配送のみでなく(ステップS52;No)、ステップS54において、購入品の配送があるかを確認し、購入品の宅配のみである、すなわち燃料油の注文がないことを確認した場合には(ステップS54;Yes)、配送方法としての購入品の宅配を顧客端末4及び宅配会社6に伝達してサーバ7の動作が終了する(ステップS55)。
【0028】
次に、宅配会社6において、サーバ7から伝達された配送方法に従い(ステップS23;Yes、ステップS24;Yes)、トラック25によって購入品の宅配を行う(ステップS25)。そして、サーバ7から配送方法が伝達された顧客端末4は(ステップS3;Yes、ステップS4;No)、宅配日時等の宅配受取に関する情報を顧客に報知して動作を終了し(ステップS9)、物流システム1の動作が終了する。
【0029】
さらに、サーバ7のステップS54において、購入品の宅配のみでなく、燃料油の配送も行うことが確認された場合には(ステップS54;No)、ステップS56において、顧客情報を参照して購入品の受取について場所を優先しているか否かを判定し、場所優先の場合には(ステップS56;Yes)、ステップS57において、さらに顧客が購入品の宅配を希望しているか否かを判定し、購入品の宅配を希望している場合には(ステップS57;Yes)、上記燃料油の通常配送と上記購入品の宅配を別々に行うことをローリ管理会社3と宅配会社6に伝達してサーバ7の動作を終了し(ステップS58)、上述の通り、燃料油の通常配送と購入品の宅配が別々に行われて物流システム1の動作が終了する。
【0030】
一方、サーバ7のステップS57において、顧客が購入品の宅配を希望していない場合には(ステップS57;No)、ステップS59において、顧客が購入品の給油所受取を希望しているか否かを判定し、給油所受取を希望している場合には(ステップS59;Yes)、給油所2、ローリ管理会社3、顧客端末4及び宅配会社6に、配送方法としての混載配送を伝達する(ステップS60)。そして、宅配会社6は、ステップS24;Yes、ステップS25;No、ステップS27を経て混載配送であるために宅配を行わず、ローリ管理会社3が、ステップS43;Yes、ステップS44;Yes、ステップS46を経て燃料油と購入品の両方をローリ15に混載して給油所2に配送する。
【0031】
ここで、ローリに搭載されたGPSとVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System、道路交通情報通信システム)を利用すれば、給油所2に到着する1時間前にサーバ7から顧客端末4に電子メール等で報知することができるため(顧客端末4のステップS5;Yes、サーバ7のステップS61;Yes、)、顧客は確実に給油所2で購入品を受け取ることができる(ステップS6)。また、顧客がクーポンを使用したり(ステップS7;Yes)、購入品の受取と同時に給油所2で給油を行う場合には、給油所2が割引情報をサーバ7に報知することで(ステップS35)、サーバ7が顧客の支払に割引を適用し(ステップS62;Yes)、この割引情報も購入品到着情報と合わせて報知することができ(ステップS63)、顧客端末4は割引情報を顧客に報知することができる(ステップS8)。
【0032】
尚、サーバ7のステップS56において、顧客が購入品の受取について場所ではなく時間を優先している場合には(ステップS56;No)、最も早く顧客が購入品を受け取ることができる方法を選択し(ステップS65)、宅配が最速である場合には(ステップS66;Yes)、ステップS58と同様に燃料油の通常配送と購入品の宅配を別々に手配して物流システム1の動作を終了する(ステップS67)。一方、宅配が最速でない場合には(ステップS66;No)、ステップS60と同様に混載配送を手配して物流システム1の動作を終了する(ステップS68)。
【0033】
以上のように、本実施の形態における物流システム1によれば、同一地域に同一のタイミングで燃料油と購入品とを配送する際に、1台のローリと1名の人員で賄うことができ、人手不足の解消に貢献することができる。また、燃料油と購入品の一括配送を行うことは排気ガスを減らし、結果として地球環境問題にも貢献することとなる。
【0034】
また、顧客は、購入品の受取のみならず同時に給油をすることが可能なため、用事を1度に済ませることができる。さらに、購入品を受け取る際、在宅している必要がなく時間を有効に使うことができる。また、給油所2への購入品到着時刻が分かるため、予定を立て易い。
【0035】
さらに、宅配会社6にとっては、ローリ15が配送してくれるため、運輸費や人件費を削減することができ、経済的効果が大きい。また、顧客が購入品を給油所2で受け取るため、顧客不在等による再配達の必要がなくなり、他の配送に人員を充てることができる。
【0036】
また、給油所2にとっては、給油以外の来店理由ができるため、給油所2のビジネスチャンスが生まれる。特に過疎地の給油所2においては住民が顔を合わせる場を提供することができるため、地域社会に貢献することができる。
【0037】
尚、上記実施の形態においては、店舗5からの購入品の出荷先を集配所9としたが、燃料油と購入品を混載配送する場合には、店舗5から油槽所8に購入品を出荷し、ローリ15が燃料油の荷積みを行うときに同時に購入品を荷積みしてもよい。
【0038】
また、給油所2として、ローリ15が過疎地等を巡回する簡易給油所を採用した場合でも、上記実施形態と同様に、燃料油と購入品の両方を配送することができるため、大規模な投資が不要で、過疎地で暮らす人々の生活を支えることとなる。また、顧客は、巡回日と場所があらかじめ決まっているため、商品の購入や給油の計画が立て易く、宅配会社6にとっては運輸費や人件費の削減に繋がる。
【0039】
尚、上記サーバ7の運用は、給油所2、宅配会社6、ローリ管理会社3のいずれで行ってもよく、新たな新規参入者が運用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 物流システム
2 給油所
3 ローリ管理会社
4 顧客端末
5 店舗
6 宅配会社
7 サーバ
8 油槽所
9 集配所
15 ローリ
25 トラック
図1
図2
図3