(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
苗を植え付け可能な多数の苗床片が列方向及び行方向に複数個ずつ並び且つ隣接する苗床片同士が一方の苗床片を下方へ移動させたときに他方の苗床片から分離可能とされる切れ目を介して連結された苗床における前記切れ目に上方から挿入される複数の保持ピンを有する苗床保持部材であって、
前記保持ピンとして、前記苗床の前記切れ目に対して前記苗床片の天面と底面との中間位置よりも前記天面側となる第1位置まで上方から挿入される第1保持ピンと、前記苗床の前記切れ目に対して前記苗床片の前記天面と前記底面との前記中間位置よりも前記底面側となる第2位置まで上方から挿入される第2保持ピンとを有し、
前記第2保持ピンは、前記苗床から移植対象の前記苗床片として下方への移動を伴って分離される1つの分離苗床片に隣接する1つの隣接苗床片が前記分離苗床片以外には当該隣接苗床片に隣接する他の前記苗床片が1つとなる場合の前記分離苗床片と前記隣接苗床片との境界に位置する前記切れ目に対して上方から挿入されることを特徴とする苗床保持部材。
前記第2保持ピンは、前記苗床の上方に配置されるセット部材から下方に延びるように設けられ、その長さが前記第2位置から前記苗床片の前記天面上に植え付けられている前記苗の移植時点での上端までの距離よりも長く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の苗床保持部材。
前記第1保持ピンは、前記苗床の上方に配置されるセット部材の前記第2保持ピンが設けられた位置とは異なる位置から下方に延びるように設けられ、その長さが前記苗床片の前記天面上に植え付けられている前記苗の移植時点での想定高さよりも長く設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の苗床保持部材。
前記苗床は、前記列方向及び前記行方向で第1列の第1行に位置する1つの前記苗床片を最初に前記苗床から移植対象として分離した後、奇数列に並ぶ複数の前記苗床片は前記列方向の第1方向へ順次に1つずつ移植対象として分離される一方、偶数列に並ぶ複数の前記苗床片は前記列方向で前記第1方向とは逆の第2方向へ順次に1つずつ移植対象として分離される構成とされ、
前記苗床の上方に配置されるセット部材には、前記苗床の最終列に並ぶ複数の前記苗床片と最終列の1つ前である最終直前列に並ぶ複数の前記苗床片との境界となる箇所に前記苗床片の前記第2位置まで挿入される第3保持ピンが前記セット部材から下方に延びるように設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の苗床保持部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の植物移植装置では、苗床の下方から引き下げ部材が上昇して苗床片の下面に把持部材が当接したときに、引き下げ部材と共に上昇する把持部材によって移植対象の苗床片が上方へ押し上げられて変位するのを、植物ホルダの保持ピンが抑制している。しかし、その直後に移植対象の苗床片を把持した把持部材が引き下げ部材と共に下降するときに、その移植対象の苗床片と切れ目を介して連結された複数の苗床片のうち一部の苗床片は、下降する移植対象の苗床片により下方に引っ張られて姿勢が傾いてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の苗床片が切れ目を介して連結された苗床から移植対象の苗床片を下方に移動させたときに移植対象の苗床片に隣接する苗床片の姿勢が傾くのを抑制できる苗床保持部材及び移植装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する苗床保持部材は、苗を植え付け可能な多数の苗床片が列方向及び行方向に複数個ずつ並び且つ隣接する苗床片同士が一方の苗床片を下方へ移動させたときに他方の苗床片から分離可能とされる切れ目を介して連結された苗床における前記切れ目に上方から挿入される複数の保持ピンを有する苗床保持部材であって、前記保持ピンとして、前記苗床の前記切れ目に対して前記苗床片の天面と底面との中間位置よりも前記天面側となる第1位置まで上方から挿入される第1保持ピンと、前記苗床の前記切れ目に対して前記苗床片の前記天面と前記底面との前記中間位置よりも前記底面側となる第2位置まで上方から挿入される第2保持ピンとを有し、前記第2保持ピンは、前記苗床から移植対象の前記苗床片として下方への移動を伴って分離される1つの分離苗床片に隣接する1つの隣接苗床片が前記分離苗床片以外には当該隣接苗床片に隣接する他の前記苗床片が1つとなる場合の前記分離苗床片と前記隣接苗床片との境界に位置する前記切れ目に対して上方から挿入される。
【0007】
複数の苗床片がマトリックス状に切れ目を介して連結された苗床から移植対象の苗床片が1つずつ順番に分離苗床片として下方に移動させられた場合に、その分離苗床片に隣接する隣接苗床片において当該隣接苗床片に隣接する苗床片が分離苗床片以外には1つしか存在しない場合があり得る。こうした場合に、その隣接苗床片は、分離苗床片が下方への移動を伴って隣接苗床片から分離される際に、下方へ移動する分離苗床片により斜め下方へ引っ張られて姿勢が傾いてしまう虞がある。
【0008】
この点、上記構成によれば、苗床の分離苗床片と隣接苗床片との境界に位置する切れ目に苗床片の天面と底面との中間位置よりも底面側の第2位置まで上方から挿入された第2保持ピンが、隣接苗床片における分離苗床片との境界の側面を側方から支えるため、隣接苗床片は、分離苗床片により斜め下方に引っ張られても、その姿勢の傾きが抑制される。
【0009】
上記苗床保持部材において、前記第2保持ピンは、前記苗床の上方に配置されるセット部材から下方に延びるように設けられ、その長さが前記第2位置から前記苗床片の前記天面上に植え付けられている前記苗の移植時点での上端までの距離よりも長く設定されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第2保持ピンが苗床の切れ目に対して第2位置まで挿入された状態において、苗床片の天面上に植え付けられた苗が成長する過程で苗床の上方のセット部材に干渉して成長が妨げられる虞を低減できる。
【0011】
上記苗床保持部材において、前記第1保持ピンは、前記苗床の上方に配置されるセット部材の前記第2保持ピンが設けられた位置とは異なる位置から下方に延びるように設けられ、その長さが前記苗床片の前記天面上に植え付けられている前記苗の移植時点での想定高さよりも長く設定されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1保持ピンが苗床の切れ目に対して第1位置まで挿入された状態において、苗床片の天面上に植え付けられた苗が成長する過程で苗床の上方のセット部材に干渉して成長が妨げられる虞を低減できる。
【0013】
上記苗床保持部材において、前記苗床は、前記列方向及び前記行方向で第1列の第1行に位置する1つの前記苗床片を最初に前記苗床から移植対象として分離した後、奇数列に並ぶ複数の前記苗床片は前記列方向の第1方向へ順次に1つずつ移植対象として分離される一方、偶数列に並ぶ複数の前記苗床片は前記列方向で前記第1方向とは逆の第2方向へ順次に1つずつ移植対象として分離される構成とされ、前記苗床の上方に配置されるセット部材には、前記苗床の最終列に並ぶ複数の前記苗床片と最終列の1つ前である最終直前列に並ぶ複数の前記苗床片との境界となる箇所に前記苗床片の前記第2位置まで挿入される第3保持ピンが前記セット部材から下方に延びるように設けられていることが好ましい。
【0014】
複数の苗床片がマトリックス状に配置された苗床からの苗床片の分離作業が順次に進行し、最終列に並ぶ苗床片を分離苗床片として隣接苗床片から分離する際には、その最終列に並ぶ複数の苗床片は列方向で隣接する1つの隣接苗床片としか連結されていない。そのため、その最終列で分離苗床片を下方へ移動させたときには隣接苗床片が他の列での分離時よりも姿勢を変化させやすい。この点、上記構成によれば、最終列に並ぶ複数の苗床片は、第2保持ピンに加えて第3保持ピンによっても、分離苗床片に隣接する隣接苗床片の側面が支えられることになるため、隣接苗床片の姿勢の傾きが抑制される。
【0015】
上記課題を解決する移植装置は、前記苗床保持部材の前記保持ピンが前記切れ目に対して上方から挿入された前記苗床を支持する苗床支持部と、前記苗床からの前記苗床片の移植先となる複数の穴が貫通形成された定植パネルを前記苗床支持部に支持された前記苗床よりも下方の位置で支持する定植パネル支持部と、前記定植パネル支持部が支持する前記定植パネルに形成されている複数の前記穴のうち前記苗床支持部に支持されている前記苗床における複数の前記苗床片のうちで移植対象とされる前記分離苗床片と上下方向で対応する前記穴を上下方向に移動して当該穴に前記分離苗床片を前記苗床から分離して移植する移植機構と、を備える。
【0016】
この構成によれば、上下移動する移植機構により上方に位置する苗床から1つの苗床片を分離して下方に位置する定植パネルの穴に移植する際に、苗床から分離される分離苗床片に隣接する隣接苗床片の姿勢が傾くのを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の苗床片が切れ目を介して連結された苗床から移植対象の苗床片を下方に移動させたときに移植対象の苗床片に隣接する苗床片の姿勢が傾くのを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、苗床保持部材を有する移植装置の一実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すように、移植装置11は、複数本の上下方向Zに沿う柱と複数本の前後方向X及び左右方向Yに沿う梁とで直方体形状の骨組構造をなすフレーム12を備えている。フレーム12の内部には、植物の苗が移植される定植パネル13を所定高さで水平状態にして支持する定植パネル支持部14と、定植パネル支持部14よりも上方で苗床支持部15を水平方向に移動させる上部移動機構16と、定植パネル支持部14よりも下方で移植機構17を水平方向に移動させる下部移動機構18とが設けられている。また、フレーム12の左側の外側面には、移植装置11の上部移動機構16、下部移動機構18及び移植機構17の駆動を制御するための制御部19が、
図1に示すように、制御ボックスに収納された状態で設けられている。
【0020】
図2に示すように、定植パネル13は、平面視矩形状をなす所定厚さの板部材であり、その上面から下面に亘って上下方向Zに貫通する複数の穴20を有している。定植パネル支持部14は、フレーム12内の所定高さ位置で前後方向Xに沿う右側梁及び左側梁からフレーム12の内側へ向けて各々水平に延びる左右一対の支持ブラケット21により構成されている。なお、本実施形態では、一例として、定植パネル13には、左右の支持ブラケット21上に定植パネル13の左端部及び右端部が載置された状態において複数の円形の穴20が前後方向Xである列方向及び左右方向Yである行方向に複数個ずつ並ぶように貫通形成されている。
【0021】
苗床支持部15は、左右方向Yに長い矩形の皿形状をなしており、その底壁22には、複数の貫通孔23が前後方向Xと左右方向Yに各々等間隔で並ぶように形成されている。
図2に示すように、苗床支持部15の底壁22に形成される貫通孔23は、定植パネル13に貫通形成される穴20よりも、その直径が若干小径の円形となるように形成される。苗床支持部15を水平方向に移動させる上部移動機構16は、苗床支持部15を支持して左右方向Yに移動させる左右方向ガイド24と、左右方向ガイド24を支持して苗床支持部15を左右方向ガイド24と共に前後方向Xに移動させる前後方向ガイド25と、を備えている。そして、苗床支持部15上には、植物の発育及び育苗に用いられる苗床27が載置される。
【0022】
図2及び
図3に示すように、苗床27は、例えばウレタン等の発泡樹脂からなる弾性変形可能な平面視矩形状のマット体であり、前後方向X及び左右方向Yに沿って延びる多数の切れ目28が平面視で格子状をなすように形成されている。そして、苗床27は、格子状をなす切れ目28により、略立方体形状をなす多数の苗床片Nに区切られている。因みに、苗床片Nの一辺の長さは、苗床支持部15の底壁22に形成された貫通孔23の直径に略等しい。そして、本実施形態では、このような苗床片Nが前後方向Xである列方向に12個並び且つ左右方向Yである行方向に25個並ぶマトリックス状の配置となるように、格子状の切れ目28が苗床27に形成されている。
【0023】
切れ目28によりマトリックス状に区切られた苗床片Nは、平面視において隣接する他の苗床片Nとの境界となる辺の略中央部が当該他の苗床片Nと部分的に連なる連結部29とされている。すなわち、苗床27を構成する多数の苗床片Nは、前後方向X及び左右方向Yにおいて切れ目28と連結部29が交互に連続することにより、前後方向X及び左右方向Yにおいて隣接する他の苗床片Nと断続的に連結されている。したがって、隣接する苗床片N同士は、移植機構17により一方の苗床片Nが他方の苗床片Nに対して上下方向Zで相対移動するように例えば下方へ移動させられたときには、その苗床片N同士の境界に位置する切れ目28と切れ目28との間の連結部29が破断して、他方の苗床片Nから分離可能とされる。
【0024】
苗床片Nの上面における略中央部には、平面視円形の凹部30が形成され、凹部30内には植物の苗31が植え付けられる。なお、
図2では、苗床27を構成する多数の苗床片Nのうちの一部である2つの苗床片Nについてだけ、その苗床片Nの天面から生育した苗31が上方に延びている状態を図示している。また、
図3では、図面の簡略化のため、苗31の図示を省略している。以下同様に、各図において苗床片Nを図示する場合に苗31の図示は図面の簡略化のため省略することもある。また、図示はしないが、苗床片Nの凹部30の底部には、苗床片Nの底面まで延びる切り込みが入れられており、凹部30内に植え付けられた苗31の根が伸びた場合には、その伸びた根の先端が切り込みを通じて苗床片Nの底面側から下方へ出られるようになっている。
【0025】
図2に示すように、苗床27の上側には苗床支持部15と共に苗床支持機構32を構成する苗床保持部材33が配置される。すなわち、苗床支持機構32は、複数の苗床片Nが前後方向Xである列方向及び左右方向Yである行方向に並んでマトリックス状をなす苗床27が載置される苗床支持部15と、その苗床支持部15上に載置された苗床27を上方から覆うように苗床支持部15上に支持される苗床保持部材33と、で構成される。苗床保持部材33は、移植機構17が
図2に示すように定植パネル13の穴20及び苗床支持部15の貫通孔23を下方から上方に通過して苗床支持部15上の苗床27における1つの苗床片Nの底面に当接した際に、その苗床片Nの姿勢が不意に変化しないように苗床27を保持する。この苗床保持部材33の詳細については後述する。
【0026】
図4及び
図5に示すように、移植機構17は、筒状をなす基体部34と、基体部34内から上下方向に進退移動する直棒状の昇降部35と、その昇降部35の上端部に左右一対の可動部36及び着脱部37を介して開閉動作可能に設けられた左右一対の把持部材38と、を有している。すなわち、移植機構17において、左右一対の把持部材38は、制御部19の制御に基づき、昇降部35と共に上下移動し、また、左右一対の可動部36と共に
図4に示す閉じ状態と
図5に示す開き状態との間で動作態様を変化させる。
図1に示すように、移植機構17を水平方向に移動させる下部移動機構18は、基体部34を支持する移動部39と、移動部39を前後方向Xに移動させる前後方向ガイド40と、前後方向ガイド40を支持して移植機構17を前後方向ガイド40と共に左右方向Yに移動させる左右方向ガイド41と、を備えている。
【0027】
図2及び
図6〜
図10に示すように、苗床保持部材33は、平面視で苗床支持部15と対応した矩形板状をなす金属材料製のセット部材42を備えている。セット部材42は、苗床支持部15との間に苗床27を挟んだ状態にセットされたときに苗床支持部15側の複数の貫通孔23と上下方向で対向する複数箇所に、苗床支持部15上の苗床27の凹部30に植え付けられている苗31の発育状況を上方から視認可能とする窓孔43を有している。セット部材42において、苗床支持部15上にセットされたときに苗床支持部15の底壁22と対向する下面とは反対側の上面の左右両端部には、苗床保持部材33を持ち運び可能とする左右一対の取手44が設けられている。
【0028】
苗床保持部材33のセット部材42には、複数の窓孔43ごとに平面視で当該窓孔43をセット部材42の短手方向となる前後方向X及び長手方向となる左右方向Yで取り囲む四隅の箇所から、複数の保持ピン45,46が苗床支持部15との間に苗床27を挟んだ状態となったときには苗床支持部15側となる下方に延びるように設けられている。これら複数の保持ピン45,46は、軸部の直径は互いに同じであるが軸部の長さが互いに異なるボルト又はねじからなる第1保持ピン45と第2保持ピン46とを含んで構成される。本実施形態では、第1保持ピン45よりも第2保持ピン46の方がセット部材42の下面からの突出長である軸部の長さが長い。
【0029】
図11に示すように、苗床保持部材33は、セット部材42が苗床支持部15との間に苗床27を挟んだ状態となるようにセットされたとき、第1保持ピン45と第2保持ピン46が苗床27において複数の苗床片N同士を区切る境界の切れ目28内に上方から挿入される。具体的には、各苗床片Nの四隅となる箇所で前後方向Xに沿う切れ目28と左右方向Yに沿う切れ目28とが直交する交点の箇所に第1保持ピン45と第2保持ピン46は挿入される。そのため、苗床27を構成する各苗床片Nは、各々の四隅が第1保持ピン45又は第2保持ピン46により取り囲まれた状態となり、その姿勢が保持される。
【0030】
このとき、第1保持ピン45は、苗床27の切れ目28に対して苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも天面側となる第1位置P1まで上方から挿入される。この場合、第1保持ピン45の長さL1は、所望どおりに苗31が生育した苗床片Nを定植パネル13の穴20に移植する移植時点での苗31の想定高さHよりも長く、より詳しくは、第1位置P1から苗床片Nの天面上に植え付けられている苗31の移植時点での上端までの距離D1よりも長く設定されている。一方、第2保持ピン46は、苗床27の切れ目28に対して苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも底面側となる第2位置P2まで上方から挿入される。また、この場合、第2保持ピン46の長さL2は、第2位置でもある苗床片Nの底面から当該苗床片Nの天面上に植え付けられている苗31の定植パネル13への移植時点での上端までの距離D2よりも長く設定されている。
【0031】
図12に示すように、苗床27において列方向である前後方向X及び行方向である左右方向Yに並んでマトリックス状をなす複数の苗床片Nは、
図12においてジグザグの太い矢印で示すように最初の苗床片N1から最後の苗床片N300まで順番に移植対象として苗床27から分離されて定植パネル13の穴20に移植される。すなわち、苗床27は、列方向である前後方向X及び行方向である左右方向Yで第1列の第1行に位置する1つの苗床片N1を最初に苗床27から移植対象として分離される。その後、第1列など奇数列に並ぶ複数の苗床片Nは、前後方向Xで第1方向となる後方側へ順次に1つずつ移植対象として分離される。その一方、第2列など偶数列に並ぶ複数の苗床片Nは、前後方向Xで第1方向とは逆の第2方向となる前方側へ順次に1つずつ移植対象として分離される。
【0032】
図6には、セット部材42における複数の窓孔43の各々を前後方向X及び左右方向Yにおいて取り囲む四隅に第1保持ピン45の頭部と第2保持ピン46の頭部が図示されている。そして、同図においては、第1保持ピン45が設けられた位置と第2保持ピン46が設けられた位置との識別を容易ならしめるため、第2保持ピン46の頭部にハッチング表示を施している。この
図6の図示内容からも理解されるように、第2保持ピン46は、セット部材42の一方の短辺である右辺の縁と、他方の短辺である左辺を除く他の三辺の各縁から各々1つの窓孔43の分だけ内側となる各箇所とに、複数の第2保持ピン46が各々並ぶように設けられている。
【0033】
すなわち、第2保持ピン46は、セット部材42の行方向である左右方向Yに沿う両長辺のうちの一方の長辺である上辺の縁から1つの窓孔43の分だけ内側となる箇所では、行方向の全体に亘って複数の第2保持ピン46が設けられている。但し、他方の長辺である下辺の縁から1つの窓孔43の分だけ内側となる箇所のうちで他方の短辺である左辺の縁となる端部の位置には、第2保持ピン46ではなく、第1保持ピン45が設けられている。また、セット部材42の一方の短辺である右辺の縁、及び、当該縁から1つの窓孔43の分だけ内側となる箇所でも、両長辺である上辺と下辺の縁となる各端部の位置には、第2保持ピン46ではなく、第1保持ピン45が設けられている。
【0034】
さらに、
図6〜
図10に示すように、セット部材42の一方の短辺である右辺の縁から1つの窓孔43の分だけ内側となる箇所には、列方向である前後方向Xに細長い帯板状の支持板47が取り付けられている。すなわち、支持板47は、セット部材42の一方の短辺である右辺の縁から1つの窓孔43の分だけ内側となる箇所に列方向である前後方向Xに並ぶように設けられた第1保持ピン45及び第2保持ピン46の上下方向Zである長さ方向の中途位置に、水平状態となるように架設されている。具体的には、セット部材42の下面から見て第1保持ピン45の下端よりも上側となる位置に支持板47は架設されている。そして、この支持板47から第2保持ピン46と平行な複数の第3保持ピン48が下方へ延びるように設けられている。
【0035】
第3保持ピン48は、第2保持ピン46よりも軸部が小径のピン部材であり、列方向である前後方向Xで隣り合う第1保持ピン45と第2保持ピン46との間、又は、前後方向Xで隣り合う第2保持ピン46同士の間に、それら第3保持ピン48の下端が、第2保持ピン46の下端と上下方向Zで略同じ位置となるように設けられる。そして、これら第3保持ピン48は、苗床27を載置した苗床支持部15上に苗床27を覆うように苗床保持部材33がセットされたときには、苗床27の最終列である第25列に並ぶ複数の苗床片Nと最終直前列である第24列に並ぶ複数の苗床片Nとの境界となる箇所に上方から挿入される。なお、その際において、第3保持ピン48は、苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも底面側となる第2位置P2まで挿入される、この点で、第3保持ピン48は第2保持ピン46が有する苗床片Nの支持機能と共通した支持機能を有するといえる。
【0036】
次に、本実施形態の作用について説明する。
さて、苗床支持部15上に載置された苗床27から下方に位置する定植パネル13に苗31を移植するときには、まず、その苗31が植え付けられた移植対象の苗床片Nが定植パネル13での移植先となる1つの穴20と上下方向で対応した位置となるように、上部移動機構16が駆動される。本実施形態では、
図12に示す苗床27で左下隅角の第1列第1行に位置する苗床片N1が最初の移植対象とされる。また同様に、移植機構17が定植パネル13での移植先の穴20と上下方向で対応した位置となるように、下部移動機構18が駆動される。
【0037】
そして、苗床27における今回の移植対象である苗床片N1と、その下方の定植パネル13における今回の移植先である1つの穴20と、その下方の移植機構17とが上下方向Zで対応した位置になると、移植機構17の昇降部35が把持部材38を閉じ状態に維持したままで上昇する。すると、移植機構17は昇降部35及び把持部材38が定植パネル13の穴20を上方に通過し、苗床支持部15における最初の苗床片N1の直下の貫通孔23を介して把持部材38が苗床支持部15内に下方から進入する。
【0038】
このとき、移植対象の苗床片N1は、貫通孔23を介して苗床支持部15内に下方から進入した把持部材38により上方へと押し上げられそうになる。しかし、その苗床片N1の四隅の切れ目28に上方から挿入されている3本の第1保持ピン45と1本の第2保持ピン46とが苗床片N1の側面に接触しているため、苗床片N1は、上方への変位が抑制される。その後、貫通孔23を介して苗床支持部15内に進入した把持部材38が開閉動作して苗床片N1の下部を把持すると、移植機構17は、苗床片N1を下方の定植パネル13の穴20に対して移植するべく、昇降部35を下降させる。
【0039】
すると、
図13に示すように、最初の移植対象の苗床片N1は、昇降部35と共に下降する把持部材38により当該苗床片N1の下端部を把持された状態で、苗床支持部15の底壁22に形成された貫通孔23を圧縮変形しながら下方に通過する。このとき、苗床片N1は、前後方向Xで隣接する苗床片N2との間の連結部29及び左右方向Yで隣接する苗床片N24との間の連結部29が各々破断することで、苗床27から分離される。すなわち、この時点における最初の苗床片N1は、苗床27から移植対象として下方への移動を伴って分離される1つの分離苗床片に相当する。また、この時点における苗床片N2と苗床片N24は、このとき苗床27から分離される1つの分離苗床片である苗床片N1に隣接する1つの隣接苗床片にそれぞれ相当する。
【0040】
そして、このときの隣接苗床片に相当する第1列第2行の苗床片N2及び第2列第1行の苗床片N24は、分離苗床片に相当する第1列第1行の苗床片N1以外で各々に隣接する他の苗床片Nを、それぞれ2つずつ有している。すなわち、苗床片N1以外で、苗床片N2には苗床片N3と苗床片N23とが隣接し、苗床片N24には苗床片N23と苗床片N25とが隣接している。そのため、分離苗床片として下方へ移動する苗床片N1の隣接苗床片である苗床片N2及び苗床片N24は、下方へ移動する苗床片N1により斜め下方へと引っ張られるが、各々が苗床片N1以外で隣接する複数の他の苗床片N3,N23,N25により複数方向から支えられるため、その姿勢が傾くことが抑制される。
【0041】
その後、移植機構17の下降する把持部材38に把持された苗床片N1は、定植パネル13における移植先の穴20内まで下降したとき、把持部材38による把持状態を解除されて当該穴20に移植される。そして次には、
図12にジグザグの太い矢印で示す順番に従い、第1列第2行の苗床片N2から第1列第12行の苗床片N12までの第1列に並ぶ複数の苗床片Nの移植作業が順次に行われる。そして、これら第1列の第1行から第12行まで並んだ複数の苗床片N1〜苗床片N12の移植作業が終了すると、次には第2列の第12行から第1行まで並んだ複数の苗床片N13〜苗床片N24の移植作業が、同様の手順で順次に行われる。
【0042】
ここで、
図14に示す変形例の苗床保持部材33のように、セット部材42の下面から下方へ延びる保持ピンの全てが苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも天面側の第1位置P1までしか挿入されない第1保持ピン45である場合には、例えば第1列第11行の苗床片N11の移植作業を行うときに、次のような好ましくない状況が生じやすい。すなわち、第1列第11行の苗床片N11が苗床27から分離苗床片として分離されるとき、その苗床片N11に列方向で隣接する第1列第12行の苗床片N12は、分離苗床片である苗床片N11以外には第2列第12行の苗床片N13という1つの苗床片しか当該苗床片N12に隣接する他の苗床片を有しない。すなわち、この第1列第12行の苗床片N12は、行方向である左右方向Yで隣接する1つの苗床片N13以外には当該苗床片N12に側面同士を接触させて支え合う他の苗床片を有しない。
【0043】
そのため、
図14に示すように、移植機構17の把持部材38により下端部を把持された苗床片N11が把持部材38と共に下方へ移動するとき、苗床片N11に隣接する苗床片N12は、分離苗床片として下方へ移動する苗床片N11により斜め下方へと引っ張られて姿勢が傾いてしまうことがあった。そして、このように苗床片N12の姿勢が傾いた場合には、その苗床片N12に植え付けられている苗31が側方位置で垂れ下がる第1保持ピン45などに接触して傷が付いたりする虞があり、好ましいことではなかった。
【0044】
この点、
図15に示すように、本実施形態では、分離苗床片として下方へ移動する第1列第11行の苗床片N11と隣接苗床片である第1列第12行の苗床片N12との境界面には、第1保持ピン45よりも長い長さL2の2本の第2保持ピン46が苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも底面側の第2位置P2まで挿入されている。そのため、隣接苗床片である苗床片N12は、分離苗床片として下方へ移動する苗床片N11によって斜め下方に引っ張られても、複数本の第2保持ピン46により苗床片N11側の側面が支えられるため、姿勢の傾きが抑制される。
【0045】
同様に、
図16に示すように、第24列第12行の苗床片N277を分離苗床片として苗床27から分離するとき、その苗床片N277に行方向で隣接する第25列第12行の苗床片N300は、分離苗床片である苗床片N277以外には第25列第11行の苗床片N299という1つの苗床片しか当該苗床片N300に隣接する他の苗床片を有しない。すなわち、この第25列第12行の苗床片N300は、列方向である前後方向Xで隣接する1つの苗床片N299以外には当該苗床片N300に側面同士を接触させて支え合う他の苗床片を有しない。そのため、分離苗床片である苗床片N277が把持部材38と共に下方へ移動するとき、その苗床片N277に引っ張られて隣接苗床片である苗床片N300が傾くことが懸念される。
【0046】
しかし、
図16に示すように、本実施形態では、分離苗床片として下方へ移動する第24列第12行の苗床片N277と隣接苗床片である第25列第12行の苗床片N300との境界面には、第2保持ピン46と第3保持ピン48とが苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも底面側の第2位置P2まで各々挿入されている。そのため、隣接苗床片である苗床片N300は、分離苗床片として下方へ移動する苗床片N277によって斜め下方に引っ張られても、それぞれ下端部が第2位置P2まで挿入される第2保持ピン46と第3保持ピン48によって苗床片N277側の側面が支えられるため、姿勢の傾きが抑制される。
【0047】
また、
図17に示すように、第24列第2行の苗床片N287を分離苗床片として苗床27から分離するとき、その苗床片N287に列方向で隣接する第24列第1行の苗床片N288は、分離苗床片である苗床片N287以外には第25列第1行の苗床片N289という1つの苗床片しか当該苗床片N288に隣接する他の苗床片を有しない。すなわち、この第24列第1行の苗床片N288は、行方向である左右方向Yで隣接する1つの苗床片N289以外には当該苗床片N288に側面同士を接触させて支え合う他の苗床片を有しない。そのため、分離苗床片である苗床片N287が把持部材38と共に下方へ移動するとき、その苗床片N287に引っ張られて隣接苗床片である苗床片N288が傾くことが懸念される。
【0048】
しかし、
図17に示すように、本実施形態では、分離苗床片として下方へ移動する第24列第2行の苗床片N287と隣接苗床片である第24列第1行の苗床片N288との境界面には、第1保持ピン45よりも長い長さL2の2本の第2保持ピン46が苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも底面側の第2位置P2まで挿入されている。そのため、隣接苗床片である苗床片N288は、分離苗床片として下方へ移動する苗床片N287によって斜め下方に引っ張られても、複数本の第2保持ピン46により苗床片N287側の側面が支えられるため、姿勢の傾きが抑制される。
【0049】
また、
図12に示す苗床27での最終列である第25列に並んだ複数の苗床片Nを第1行の苗床片N289から第12行の苗床片N300まで1つずつ順番に、移植対象の分離苗床片として苗床27から分離するとき、その分離苗床片に列方向の後側で隣接する隣接苗床片は、その分離苗床片以外には当該隣接苗床片に隣接する他の苗床片を有しない。すなわち、最終列の第25列に並んだ複数の苗床片Nは、列方向である前後方向Xの後側で隣接する1つの苗床片N以外には当該苗床片Nに側面同士を接触させて支え合う他の苗床片Nを有しない。そのため、分離苗床片である苗床片Nが把持部材38と共に下方へ移動するとき、その苗床片Nに引っ張られて隣接苗床片である苗床片Nが傾くことが懸念される。
【0050】
しかし、
図18に示すように、最終列である第25列に並んだ複数の苗床片Nを1つずつ移植対象の分離苗床片として苗床27から分離するときには、苗床保持部材33における第2保持ピン46及び第3保持ピン48の支持機能により、その分離苗床片に隣接する隣接苗床片の傾きが抑制される。因みに、
図18では、例えば第25列第11行の苗床片N299が分離苗床片とされる場合を一例として説明するが、第1行の苗床片N289から第10行の苗床片N298までの他の第25列の苗床片Nを苗床27から分離する場合も同様である。
【0051】
さて、この
図18に示すように、分離苗床片として下方へ移動する第25列第11行の苗床片N299と隣接苗床片である第25列第12行の苗床片N300との境界面には、第1保持ピン45よりも長い長さL2の2本の第2保持ピン46が苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも底面側の第2位置P2まで挿入されている。また、隣接苗床片である第25列第12行の苗床片N300は、2本の第1保持ピン45及び2本の第2保持ピン46が挿入された四隅以外の一側面の一箇所が第2位置P2まで挿入された第3保持ピン48により保持されている。そのため、隣接苗床片である苗床片N300は、分離苗床片として下方へ移動する苗床片N299によって斜め下方に引っ張られても、複数本の第2保持ピン46により苗床片N299側の側面が支えられると共に、その側面以外の一側面が第3保持ピン48により支えられるため、姿勢の傾きが抑制される。
【0052】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)苗床27の分離苗床片と隣接苗床片との境界に位置する切れ目28に苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも底面側の第2位置P2まで上方から挿入された第2保持ピン46が、隣接苗床片における分離苗床片との境界の側面を側方から支えるため、隣接苗床片は、分離苗床片により斜め下方に引っ張られても、その姿勢の傾きが抑制される。
【0053】
(2)セット部材42の下面から下方に延びる第2保持ピン46の長さL2は、第2位置P2から苗床片Nの天面上に植え付けられている苗31の移植時点での上端までの距離D2よりも長く設定されている。そのため、第2保持ピン46が苗床27の切れ目28に対して第2位置P2まで挿入された状態において、苗床片Nの天面上に植え付けられた苗31が成長する過程で苗床27の上方のセット部材42に干渉して成長が妨げられる虞を低減できる。
【0054】
(3)セット部材42の下面から下方に延びる第1保持ピン45の長さL1は、苗床片Nの天面上に植え付けられている苗31の移植時点での想定高さHよりも長く、より詳しくは、第1位置P1から苗床片Nの天面上に植え付けられている苗31の移植時点での上端までの距離D1よりも長く設定されている。そのため、第1保持ピン45が苗床27の切れ目28に対して第1位置P1まで挿入された状態において、苗床片Nの天面上に植え付けられた苗31が成長する過程で苗床27の上方のセット部材42に干渉して成長が妨げられる虞を低減できる。
【0055】
(4)苗床27の最終列である第25列に並ぶ苗床片Nを分離苗床片として隣接苗床片から分離する際には、その最終列に並ぶ複数の苗床片Nは列方向で隣接する1つの隣接苗床片としか連結されていない。そのため、その最終列で分離苗床片を下方へ移動させたときには隣接苗床片が他の列での分離時よりも姿勢を変化させやすい。しかし、本実施形態では、最終列に並ぶ複数の苗床片Nは、第2保持ピン46に加えて第3保持ピン48によっても、分離苗床片に隣接する隣接苗床片の側面が支えられることになるため、隣接苗床片の姿勢の傾きが抑制される。
【0056】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・
図19に示す変形例の苗床保持部材33のように、第3保持ピン48及びそれら第3保持ピン48が設けられる支持板47を省略してもよい。但し、この場合には、
図19に示すように、セット部材42の一方の短辺である右辺の縁と当該右辺の縁から1つの窓孔43の分だけ内側となる箇所とにおいて、両長辺である上辺及び下辺の各縁となる端部の位置には、第1保持ピン45ではなく、第2保持ピン46が設けられる。この構成の場合にも、最終列である第25列の各苗床片Nを苗床27から分離させるときに分離苗床片に隣接する隣接苗床片が傾くのが抑制される。
【0057】
・苗床27において列方向及び行方向に並んでマトリックス状をなす複数の苗床片Nのうち何れの苗床片Nを最初の移植対象とし、その最初の苗床片Nから何れの方向へ順次に1つずつ苗床片Nを順番に移植するかは任意である。
【0058】
・苗床保持部材33から下方へ延びるように設けられる複数本の第2保持ピン46は、苗床27においてマトリックス状に配置された複数の苗床片Nの列方向又は行方向に沿う直線上に必ずしも並んでいなくてもよい。すなわち、苗床27から下方への移動を伴って分離される1つの分離苗床片に隣接する1つの隣接苗床片が分離苗床片以外には当該隣接苗床片に隣接する他の苗床片が1つとなる場合の分離苗床片と隣接苗床片との境界に位置する切れ目28に対して上方から挿入される構成であるならば、例えば2本ずつが並んで点在する構成でもよい。
【0059】
・苗床保持部材33から下方へ延びる第1保持ピン45は、上下方向Zにおいて苗床片Nの天面の位置を第1位置P1として苗床27の切れ目28に僅かに挿入される構成でもよい。
【0060】
・苗床保持部材33から下方へ延びる第2保持ピン46は、上下方向Zにおいて苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも底面側になる位置ならば、底面よりも上方となる位置を第2位置P2として苗床27の切れ目28に挿入される構成でもよい。
【0061】
・苗床保持部材33から下方へ延びる第3保持ピン48は、第1保持ピン45及び第2保持ピン46よりも細いピン形状をしているため、苗床27の切れ目28に挿入されるのではなく、切れ目28と切れ目28との間の連結部29の部分に対して上方から差し込まれるように挿入される構成でもよい。
【0062】
・苗床27を構成する複数の苗床片Nの個数並びに列数及び行数は、
図12に示す実施形態の事例に限定されない。
・移植装置11において、苗床支持部15と定植パネル13と移植機構17とは、それら3つのうち何れか1つが固定配置で他の2つが水平方向で移動させられる構成ならば、
図1に示すような定植パネル13が固定配置で苗床支持部15と移植機構17が上部移動機構16と下部移動機構18とにより移動される構成に限らない。
【課題】複数の苗床片が切れ目を介して連結された苗床から移植対象の苗床片を下方に移動させたときに移植対象の苗床片に隣接する苗床片の姿勢が傾くのを抑制できる苗床保持部材及び移植装置を提供する。
【解決手段】苗床保持部材33は、苗床27の切れ目に対して苗床片Nの天面と底面との中間位置よりも天面側となる第1位置P1まで上方から挿入される第1保持ピン45と、苗床の切れ目に対して苗床片の天面と底面との中間位置よりも底面側となる第2位置P2まで上方から挿入される第2保持ピン46とを有し、第2保持ピンは、苗床から移植対象の苗床片として下方への移動を伴って分離される1つの分離苗床片に隣接する1つの隣接苗床片が分離苗床片以外には当該隣接苗床片に隣接する他の苗床片が1つとなる場合の分離苗床片と隣接苗床片との境界に位置する切れ目に対して上方から挿入される。