(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係数補正部は、さらに、前記インバータの出力電圧の制御値の決定に使用する係数として、初期設定された微分係数に前記補正係数を乗算して、補正後の微分係数を出力し、
前記出力電圧決定部は、前記比例項、前記積分項及び前記差の微分値に前記補正後の微分係数を乗算した微分項の少なくとも2項を算出し、算出した2項以上の和を、前記出力電圧の制御値として決定する、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のモータの制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータの制御装置及び記憶媒体について、説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるモータ20の制御装置110の構成を示す。
図1に示すように、モータ20の制御装置110は、モータ20の駆動装置100の構成の一部として使用される。駆動装置100は、制御装置110の他に、回転位置検出部101、インバータ102及びインバータ駆動部103を備える。
【0011】
<モータ>
本実施形態では、モータ20は3相ブラシレスモータである。
図1に示すモータ20は、コイルがデルタ結線されるが、スター結線であってもよい。
図1に示すように、モータ20の3相を、それぞれU相、V相及びW相と表す。
【0012】
回転位置検出部101は、モータ20の回転位置を検出する。回転位置検出部101としては、例えばホール素子、磁気抵抗素子等の磁気式センサ、光学式エンコーダ、レゾルバ等を使用することができる。
本実施形態では、回転位置検出部101としてモータ20の各コイル間に配置された3つのホール素子を用いる。各ホール素子は、磁界を検出し、その大きさに比例した検出信号を出力する。各ホール素子から出力された3つで1組の検出信号から、例えば60°の電気角ごとに回転位置を検出できる。なお、3つのホール素子の検出信号を1組とする例を説明したが、1組とするホール素子の数はこれに限定されず、モータ20の構成に応じた数のホール素子を使用できる。
【0013】
<インバータ>
インバータ102は、
図1に示すように、モータ20のU相、V相及びW相の3相にそれぞれ対応する3組のアームQを備える。各アームQは、ブリッジ接続される。各アームQは、直列接続された上側のスイッチング素子Q1と下側のスイッチング素子Q2を備える。スイッチング素子Q1及びQ2としては、FET(Field Effect Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor FET)等の半導体素子を用いることでき、本実施形態ではMOSFETを用いる。
【0014】
各アームQの上側のスイッチング素子Q1及び下側のスイッチング素子Q2には、電源200が接続される。インバータ102は、制御装置110により生成され、インバータ駆動部103から出力された制御信号を入力する。インバータ102は、入力した制御信号にしたがって、各相のアームQの上側及び下側の各スイッチング素子Q1及びQ2のオンとオフを切り替えて、例えばデューティ比のようにオンとオフの時間によってモータ20の各相に交流電圧波形の駆動電流を供給する。
【0015】
<インバータ駆動部>
インバータ駆動部103は、制御装置110において生成した制御信号から、インバータ102の各アームQの上側のスイッチング素子Q1及び下側のスイッチング素子Q2に対する制御信号をそれぞれ生成して、出力する。
【0016】
<モータの制御装置>
制御装置110は、
図1に示すように、通電パターン決定部111、回転数算出部112、差算出部113、出力電圧決定部114、信号生成部115、A/D変換部116及び係数補正部117を備える。制御装置110の各構成部の処理内容は、各部の処理手順を記述したプログラムを、当該プログラムを記憶する記憶媒体からコンピュータが読み取って実行するソフトウェア処理により、実現することができる。コンピュータとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサー、マイクロコンピュータ等を使用することができる。記憶媒体としては、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等を使用することができる。なお、各構成部の処理内容を、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)等のハードウェアにより実現してもよい。
【0017】
通電パターン決定部111は、回転位置検出部101から出力された3つで1組の検出信号が示す回転位置に基づき、モータ20の各相の通電パターンを決定する。通電パターンは、例えば120°通電の場合、60°ごとに切り替わり、各通電パターンで電流方向が異なる。
【0018】
回転数算出部112は、回転位置検出部101から出力された1組の検出信号から、回転位置の単位時間あたりの変化量を求め、当該変化量からモータ20の現在の回転数を算出する。
【0019】
差算出部113は、目標回転数と、回転数算出部112において算出した現在の回転数との差を算出する。差算出部113は、モータ20が搭載された車両等の外部の制御装置からその都度指示された目標回転数を入力することもできるし、記憶媒体に保存された一定の目標回転数を記憶媒体から読み取って入力することもできる。
【0020】
出力電圧決定部114は、差算出部113において算出した回転数の差により、電源200からインバータ102を介してモータ20へ供給する駆動電流の出力電圧の制御値を決定する。本実施形態では、インバータ102に出力する制御信号として、信号生成部115においてPWM(Pulse Width Modulation)方式のパルス信号を出力する。出力電圧決定部114は、パルス信号のデューティ比を出力電圧の制御値として決定する。
【0021】
本実施形態において、出力電圧決定部114は、PI制御によってデューティ比を決定する。出力電圧決定部114は、差算出部113により算出した回転数の差に、係数補正部117から出力される補正後の比例係数を乗算した比例項を算出する。また、出力電圧決定部114は、回転数の差に補正後の積分係数を乗算して積分した積分項を算出する。出力電圧決定部114は、算出した比例項及び積分項の和を、デューティ比として決定する。
【0022】
信号生成部115は、通電パターン決定部111により決定した通電パターンと、出力電圧決定部114により決定したデューティ比に基づいて、インバータ102の各スイッチング素子Q1及びQ2に出力する制御信号であるパルス信号を生成する。
【0023】
A/D変換部116は、電源200から供給される駆動電流の入力電圧をA/D変換し、デジタル値として出力する。
【0024】
係数補正部117は、出力電圧決定部114がデューティ比の決定に使用する係数として、初期設定された比例係数及び積分係数にそれぞれ補正係数を乗算して、補正後の比例係数及び積分係数を出力する。
【0025】
補正係数は、インバータ102の現在の入力電圧に対する基準電圧の比の値である。インバータ102の現在の入力電圧は、A/D変換部116においてA/D変換して得られる入力電圧である。基準電圧は、初期設定の比例係数及び積分係数の決定時に使用又は想定していたインバータ102の入力電圧である。初期設定の比例係数及び積分係数は、モータ20に要求される応答性を満足する値に調整され、決定された係数である。例えば、モータ20を電動オイルポンプに使用する場合、比例係数及び積分係数は、インバータ102の入力電圧がx1(V)の時の油の吐出圧及び吐出量が目的値に到達する時間がx2(ミリ秒)内という要求を満足する値に決定される。この例において、基準電圧はx1(V)である。係数補正部117は、初期設定された比例係数及び積分係数と基準電圧とを、例えばレジスタ等の記憶媒体に保持し、補正係数の算出時に当該記憶媒体から取得する。
【0026】
<出力電圧の制御値の決定手順>
以下、制御装置110において出力電圧の制御値であるデューティ比を決定する流れを説明する。
【0027】
まず、差算出部113が、目標回転数と現在の回転数の差を、下記式(1)により算出する。
(1) d
n=C−A
n
d
nは、目標回転数と現在の回転数の差(rpm)を表す。Cは目標回転数(rpm)、A
nは現在の回転数(rpm)を表す。
【0028】
係数補正部117は、インバータ102の現在の入力電圧に対する基準電圧の比の値を、補正係数として決定する。インバータ102の現在の入力電圧をE
n、基準電圧をE
refと表すと、補正係数は、E
ref/E
nである。
【0029】
係数補正部117は、初期設定の比例係数及び積分係数の各係数に補正係数を乗算して、補正後の比例係数及び積分係数を出力する。初期設定の比例係数をK
p、初期設定の積分係数をK
iと表すと、補正後の比例係数はK
p×E
ref/E
n、補正後の積分係数はK
i×E
ref/E
nである。
【0030】
出力電圧決定部114は、係数補正部117から出力される補正後の比例係数及び積分係数を使用して、回転数の差d
nから、下記式(2)によりデューティ比を算出する。
(2) Wf
n=K
p×E
ref/E
n×d
n+Σ(K
i×E
ref/E
n×d
n)
Wf
nは、補正後の比例係数及び積分係数により算出したデューティ比(%)を表す。K
pは比例係数(%/rpm)、K
iは積分係数(%/rpm)を表す。K
p×E
ref/E
n×d
nは回転数の差d
nに補正後の比例係数を乗算した比例項である。Σ(K
i×E
ref/E
n×d
n)は回転数の差d
nに補正後の積分係数を乗算して積分した積分項である。
【0031】
デューティ比は、インバータ102における入力電圧と出力電圧の比である。よって、上記式(2)により算出したデューティ比Wf
nでモータ20を制御した後の回転数A
n+1(rpm)は、下記式(3)に示すようにデューティ比Wf
nとインバータ102の現在の入力電圧E
nの乗算値に比例する。
(3) A
n+1∝Wf
n×E
n
【0032】
従来の一般的なPI制御では、デューティ比の算出に初期設定の比例係数K
p及び積分係数K
iがそのまま用いられる。下記式(4)は、従来のデューティ比の算出式である。
(4) W
n=K
p×d
n+Σ(K
i×d
n)
W
nは、初期設定の比例係数及び積分係数により算出したデューティ比(%)を表す。
【0033】
上記式(2)及び(4)から、Wf
n=W
n×E
ref/E
nであるので、上記式(3)は、下記式(3a)で表すことができる。
(3a) A
n+1∝Wf
n×E
n=W
n×E
ref
すなわち、デューティ比Wf
nで制御した後の回転数A
n+1は、初期設定の比例係数及び積分係数を使用して算出したデューティ比W
nと基準電圧E
refの乗算値に比例する。
【0034】
一方、デューティ比W
nでモータ20を制御した後の回転数A
n+1(rpm)は、下記式(5)に示すようにデューティ比W
nとインバータ102の現在の入力電圧E
nの乗算値に比例する。
(5) A
n+1∝W
n×E
n
【0035】
デューティ比は、インバータ102における入力電圧と出力電圧の比である。同じデューティ比でも、インバータ102の現在の入力電圧E
nが低ければ出力電圧は低く、出力電圧の変化速度が遅いため、回転数の変化が小さい。一方、現在の入力電圧E
nが高いと出力電圧も高く、出力電圧の変化速度が速いため、回転数の変化が大きい。したがって、従来のように、固定値の比例係数K
p及び積分係数K
iでデューティ比W
nを算出すると、上記式(5)に示すように、モータ20の回転数の変化がインバータ102の現在の入力電圧E
nの影響を受ける。デューティ比の制御によって出力電圧が安定化するまでの出力電圧の変化速度が入力電圧によって変動するため、モータ20の応答時間がばらつく。
【0036】
これに対し、本実施形態では、初期設定の比例係数K
p及び積分係数K
iに、補正係数E
ref/E
nを乗算する補正を導入する。これにより、インバータ102の現在の入力電圧E
nが低ければ、比例係数K
p及び積分係数K
iを大きい値に補正して、出力電圧を上昇させるデューティ比Wf
nに調整できる。また、本実施形態によれば、現在の入力電圧が高ければ、比例係数K
p及び積分係数K
iを小さい値に補正して、出力電圧を低下させるデューティ比Wf
nに調整できる。したがって、入力電圧による出力電圧の変化速度の変動が減り、上記式(3a)に示すようにモータ20の回転数が、基準電圧下で初期設定した係数を使用してPI制御したときの回転数となる。入力電圧E
nが異なる電圧値でも、モータ20の応答時間を一定時間、すなわち基準電圧下で想定した目的の応答時間に制御することが容易となり、モータ20の応答性を安定化させることができる。
【0037】
補正後の比例係数K
p及び積分係数K
iにより算出したデューティ比Wf
nに対するモータ20の応答時間は、インバータ102の入力電圧が変化する前後において、一定時間であるか、又は一定時間に近づく。
なお、入力電圧が変化する前後とは、時間的な変化ではなく、モータ20を使用する環境下での変化をいう。すなわち、現在の入力電圧E
nが異なる電圧値であっても、応答時間がほぼ一定時間となり、モータ20の応答性が安定化する。
【0038】
ある実験結果では、インバータへの入力電圧が10Vの条件下で、デューティ比Wf
nで試験用のモータを制御したときの10%−90%の応答時間は、279msであった。インバータへの入力電圧を16Vに変更して、デューティ比Wf
nで試験用のモータを制御したときの10%−90%の応答時間は、287msであった。誤差は8msと少なく、応答時間が一定時間に近かった。
一方、デューティ比W
nにより、入力電圧が10V及び16Vの条件下で同じ試験用のモータを駆動したときの10%−90%の応答時間の誤差は150msであった。デューティ比Wf
nのときの応答時間と比べて誤差が大きく、応答時間が入力電圧によってばらつくことが分かる。
【0039】
図2A及び
図2Bは、補正後の比例係数及び積分係数を用いて算出したデューティ比Wf
nと、当該デューティ比Wf
nにより駆動した試験用のモータの実回転数を示すグラフである。
図2Aは、試験用のモータを駆動するインバータの入力電圧を10Vとしたときのグラフである。
図2Bは、試験用のモータを駆動するインバータの入力電圧を16Vとしたときのグラフである。
図2A及び
図2Bにおいて、横軸の離散時間(N)は、制御をインターバルで実施した時間を、制御の実施回数N(N=0〜n)で表す。
【0040】
図2A及び
図2Bに示すように、補正後の比例係数及び積分係数を用いて算出したデューティ比Wf
nの変化の速度は、インバータの現在の入力電圧によって変化する。デューティ比Wf
nの変化の速度は、現在の入力電圧が低いほど速く、現在の入力電圧が高いほど遅い。例えば、
図2A及び
図2B中の離散時間がN=40のときのデューティ比Wf
nの変化の速度を比較すると、入力電圧が10Vのときの方が、16Vのときよりも速い。すなわち、デューティ比Wf
nは、入力電圧が低いときは早く変化し、入力電圧が高いときは遅く変化するため、モータの応答時間を一定時間とするか、又は一定時間に近づけることができる。
【0041】
また、補正後の比例係数及び積分係数を用いて算出したデューティ比Wf
nの変化量の傾きは、インバータの現在の入力電圧が低いほど大きく、現在の入力電圧が高いほど小さい。例えば、
図2A及び
図2B中のデューティ比Wf
nの曲線の傾きが、デューティ比Wf
nの変化量の傾きであるが、N=40の離散時間における傾きを比較すると、入力電圧が10Vのときの方が、16Vのときよりも大きい。上記変化量の傾きを有するデューティ比Wf
nは、入力電圧が低いときは早く変化し、入力電圧が高いときは遅く変化するため、モータの応答時間を一定時間とするか、又は一定時間に近づけることができる。
【0042】
同様に、補正後の比例係数及び積分係数を用いて算出した最初のデューティ比Wf
nも、インバータの現在の入力電圧が低いほど大きく、現在の入力電圧が高いほど小さい。最初のデューティ比Wf
nとは、制御を開始した実施回数N=0の時に算出されたデューティ比である。
制御開始時、現在回転数A
0=0rpmであり、0rpmより大きい目標回転数Cが与えられるため、回転数の差d
0は、d
0=C−A
0=Cである。最初のデューティ比Wf
0は、Wf
0=K
p×E
ref/E
0×C+K
i×E
ref/E
0×Cであることから、現在の入力電圧E
0が小さいほど大きくなる。したがって、
図2A及び
図2Bに示すように、N=0の離散時間における最初のデューティ比Wf
0は、入力電圧が低い10Vのときの方が16Vのときよりも大きい。
【0043】
図3A及び
図3Bは、初期設定の比例係数及び積分係数を用いて算出したデューティ比W
nと、当該デューティ比W
nにより試験用のモータを駆動したときの実際の回転数を示すグラフである。
図3Aは、試験用のモータを駆動するインバータの入力電圧を10Vとしたときのグラフである。
図3Bは、試験用のモータを駆動するインバータの入力電圧を16Vとしたときのグラフである。
図3A及び
図3Bにおいて、横軸の離散時間(N)は、制御をインターバルで実施した時間を、制御の実施回数N(N=0〜n)で表す。
【0044】
図3A及び
図3Bに示すように、デューティ比W
nの場合も、入力電圧が低い方が、変化速度が速く、変化量の傾きも大きい。しかし、デューティ比W
nの速度変化は、ある時間において入力電圧が低いほど回転数が低いことで、回転数の差d
nが大きくなることによる現象である。この現象による速度変化を考慮しても、応答時間にはばらつきが生じる。
また、デューティ比W
nの場合、最初のデューティW
0は、入力電圧によらず一定である。制御開始時の最初のデューティW
0は、W
0=K
p×C+K
i×Cであるためである。
【0045】
以上のように、本実施形態の制御装置110によれば、インバータ102の現在の入力電圧によらず、インバータ102の出力電圧の制御に対するモータ20の応答時間を一定時間に近付けることができる。したがって、インバータ102の入力電圧が変動する環境下又は想定した基準電圧と異なる環境下でモータ20を使用する場合も、回転制御に対するモータ20の応答性を安定化することができる。
【0046】
特に、電源200が、モータ20へ供給する駆動電流の電圧が変動する電源であり、インバータ102の入力電圧が変動する場合、入力電圧によらず、安定した応答性を得ることができ、有効である。
バッテリーは、充電量によって入力電圧が変動しやすいため、電源200がバッテリーである場合には、安定した応答性を得ることができ、同様に有効である。
【0047】
また、初期設定の比例係数K
p及び積分係数K
iは、インバータ102の入力電圧を変化させて、入力電圧が変動しても目的の応答時間が得られるときの適切な値に調整する必要がある。しかしながら、比例係数K
p及び積分係数K
iを補正する本実施形態によれば、基準電圧E
ref下で目的の応答時間が得られる値に決定すればよいため、比例係数K
p及び積分係数K
iの設定作業が容易となる。
【0048】
〔変形例1〕
上記実施形態において、出力電圧決定部114は、現在の回転数と目標回転数の差ではなく、今回算出した差と前回算出した差の変化量から、デューティ比を決定することもできる。モータ20の応答時間は、回転数の加速の大きさに影響することから、差の変化量によって出力電圧を制御することにより、モータ20の回転制御を精度良く行うことができる。
【0049】
変形例1において、差算出部113は、下記式(1a)により今回算出した差と前回算出した差の変化量を算出する。
(1a) d
in=d
n−d
n−1
d
inは、差の変化量を表す。d
nは、今回算出した差を表す。d
n−1は、前回算出した差を表す。
【0050】
d
inは、下記式(1b)で表すこともできる。
(1b) d
in=A
n−1−A
n
A
nは、今回算出した回転数を表す。A
n−1は、前回算出した回転数を表す。
【0051】
変形例1において、出力電圧決定部114は、差の変化量d
inを用いて、下記式(2a)により、デューティ比Wf
inを算出する。
(2a) Wf
in=K
p×E
ref/E
n×d
in+K
i×E
ref/E
n×d
n
Wf
inは、補正後の比例係数及び積分係数により算出したデューティ比を表す。
【0052】
上記デューティ比Wf
inは、下記式で表すこともできる。
Wf
in=W
in×E
ref/E
n
W
inは、初期設定の比例係数及び積分係数を用いて下記式(4a)で算出したデューティ比である。
(4a) W
in=K
p×d
in+K
i×d
n
【0053】
デューティ比Wf
inによって制御した後の回転数Af
in+1(rpm)は、下記式(3b)に示すようにインバータ102への入力電圧E
nに比例する。Wf
in×E
nは、W
in×E
refに等しいため、回転数Af
in+1(rpm)は、デューティ比W
inと基準電圧E
refの乗算値にも比例する。
(3b) Af
in+1∝Wf
in×E
n=W
in×E
ref
【0054】
〔変形例2〕
上記実施形態において、出力電圧決定部114は、さらに微分項を算出して、比例項、積分項及び微分項のうちの少なくとも2項を算出し、2項以上の和をデューティ比として決定することができる。また、出力電圧決定部114は、比例項、積分項及び微分項のうちのいずれか1項をデューティ比として決定することもできる。
【0055】
例えば、PID制御の場合、係数補正部117は、さらに、インバータ102の出力電圧の制御値の決定に使用する係数として、初期設定された微分係数に上述した補正係数を乗算して、補正後の微分係数を出力する。出力電圧決定部114は、上述した比例項及び積分項に加え、差算出部113により算出した差の微分値に補正後の微分係数を乗算した微分項を算出する。出力電圧決定部114は、算出した比例項、積分項及び微分項の和を、出力電圧の制御値、すなわちデューティ比として決定する。
【0056】
下記式は、PID制御の場合のデューティ比の算出式である。
(2d) Wf
n=K
p×E
ref/E
n×d
n+Σ(K
i×E
ref/E
n×d
n)
+K
d×E
ref/E
n×d/dt(d
n)
d/dt(d
n)は、差の微分値であり、K
d×E
ref/E
n×d/dt(d
n)は積分項である。
【0057】
出力電圧決定部114は、比例項、積分項及び微分項のうち、PD制御の場合は比例項と微分項の和を、ID制御の場合は積分項と微分項の和を、それぞれデューティ比として決定する。
出力電圧決定部114は、比例項、積分項及び微分項のうち、P制御の場合は比例項を、I制御の場合は積分項を、D制御の場合は微分項を、それぞれデューティ比として決定する。
なお、変形例1において微分項も算出し、比例項、積分項及び微分項のうちの少なくとも2項以上の和をデューティ比とする場合は、差の変化量d
inに補正後の微分係数を乗算して微分項を算出すればよい。
【0058】
本発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されない。
例えば、モータは、PID制御によって回転数を制御できるモータであれば、上述した3相ブラシレスモータに限らない。
また、信号生成部115においてPAM(Pulse Amplitude Modulation)方式のパルス信号を生成し、出力電圧決定部114において、当該パルス信号の振幅を出力電圧の制御値として決定してもよい。PAM方式のパルス信号の振幅をPID制御によって決定する場合にも、本発明を適用することができる。
【0059】
本出願は、2017年8月31日に出願された日本特許出願である特願2017−166566号に基づく優先権を主張し、当該日本特許出願のすべての記載内容を援用する。