(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
  以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
 
【0010】
(実施形態1)
  理解を容易にするため、以下、本発明の実施形態1に係るスマートフォン100を
図1に示す情報通知システム1000に適用した場合を例にして説明する。情報通知システム1000は、
図1に示すように、スマートフォン100と、電子時計200と、を備える。そして、スマートフォン100と電子時計200とは、Bluetooth(登録商標)  Low  Energy(以下、BLEと言う。)によって、近距離無線通信を行う。BLEとは、近距離無線通信規格であるBluetooth(登録商標)において、低消費電力及び低コストを目的として策定された規格(モード)のことである。また、スマートフォン100は、ネットワーク400を介してサーバ300と通信可能である。ネットワーク400は、インターネット、LTE(登録商標)(Long  Term  Evolution)等、任意のネットワークを使用することができる。
 
【0011】
  スマートフォン100は、電子時計200から電子時計200の各種状態及び動作履歴を示すログデータを取得し、該ログデータから電子時計200の電池状況、発電状況及び針位置補正状況を判定する。そして、スマートフォン100は、該ログデータから判定したこれら各種の状況に基づき、ユーザに必要な情報通知を行う。また、スマートフォン100は、該ログデータを、ネットワーク400を介して、サーバ300にアップロードすることができる。このため、サーバ300は、複数のスマートフォン100を介して、多数の電子時計200からのログデータを収集することができる。
 
【0012】
  以下、本実施形態に係るスマートフォン100の機能構成について説明する。スマートフォン100は、電子時計200に関する情報を通知する情報通知装置である。
図2に示すように、スマートフォン100は、制御部110と、記憶部120と、表示部131と、操作部132と、第1通信部133と、第2通信部134と、を備え、これらがバスラインBLを介して相互に電気的に接続されている。
 
【0013】
  制御部110は、CPU(Central  Processing  Unit)等のプロセッサを備え、記憶部120に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、スマートフォン100の動作を制御する。
 
【0014】
  記憶部120は、ROM(Read  Only  Memory)及びRAM(Random  Access  Memory)を備え、制御部110が実行するプログラム及び必要なデータを記憶する。また、記憶部120は、機能的には、ログ記憶部121を備える。
 
【0015】
  ログ記憶部121は、
図3に示すように、電子時計200から取得したログデータを記憶する。
図3では、ログ記憶部121が記憶するログデータの種類として、「電池の出力電圧」、「ソーラーセルからの発電電流」、「針位置自動補正」、「時刻修正処理」があることが示されているが、このログデータの種類は一例である。ログデータの種類が「電池の出力電圧」であるログデータは、電子時計200の電池の出力電圧を過去1年分記憶したログデータである。直近のログデータは10分毎に記憶され、過去に遡るにつれてログデータは間引かれていき、1年前のログデータは1日毎のログデータが記憶されている。そして、1年以上前のログデータはログ記憶部121から消去される。
 
【0016】
  なお、「電池の出力電圧」は、電圧値そのものではなくても良い。例えば、フル充電時の電池の出力電圧をバッテリレベル1、より小さい電圧値に対してはバッテリレベルの値を1つずつ増やし、もうすぐ空(エンプティ)になる電池の出力電圧をバッテリレベル7と定義して、このバッテリレベルの値を「電池の出力電圧」に相当するログデータとしても良い。
 
【0017】
  ログデータの種類が「ソーラーセルからの発電電流」であるログデータは、電子時計200に搭載されているソーラーセル(太陽電池)からの出力電流を過去1年分記憶したログデータである。上述した「電池の出力電圧」と同様に、直近のログデータは10分毎に記憶され、過去に遡るにつれてログデータは間引かれていき、1年前のログデータは1日毎のログデータが記憶されている。そして、1年以上前のログデータはログ記憶部121から消去される。
 
【0018】
  なお、「ソーラーセルからの発電電流」は、「電池の出力電圧」と同様、電流値そのものではなくても良い。例えば、ソーラーセルにおける最大出力電流を発電レベル10、より小さい電流値に対しては発電レベルの値を1つずつ減らし、0mAを発電レベル0と定義して、この発電レベルの値を「ソーラーセルからの発電電流」に相当するログデータとしても良い。
 
【0019】
  ログデータの種類が「針位置自動補正」であるログデータは、電子時計200が備えている針位置自動補正機能が実行された日時と、その時に補正された針及び補正量を記憶したログデータである。針位置補正保存回数(例えば20回)分を超えると、古いログデータはログ記憶部121から消去される。
 
【0020】
  ログデータの種類が「時刻修正処理」であるログデータは、電子時計200の過去1年間分の時刻修正処理の内容を記憶したログデータである。時刻修正処理は、成功する(正しい時刻を取得し、その時刻に補正する)場合と、失敗する(正しい時刻を取得できず、時刻の補正ができない)場合がある。1日の間に1回以上時刻修正処理が成功した場合、最初に成功した時刻修正処理時刻が記憶される。1日の間に行われた時刻修正が全て失敗に終わった場合には、最後の時刻修正失敗時刻が記憶される。時刻修正処理が行われていない日は、このログデータは記憶されない。そして、1年以上前のログデータはログ記憶部121から消去される。また、このログデータには、時刻修正処理の成功又は失敗だけでなく、時刻修正処理のためにどの手段(GPS(Global  Positioning  System)、標準電波、BLEによるスマートフォンとの接続)が使われたのかも記憶されている。複数の手段が使われた際には、使われた全ての手段が記憶される。
 
【0021】
  表示部131は、LCD(Liquid  Crystal  Display)、EL(Electoro−Luminescence)ディスプレイ等を備え、ユーザに通知する情報を表示する。
 
【0022】
  操作部132は、タッチパネル、操作ボタン等を備え、ユーザからの操作入力を受け付ける入力インタフェースである。
 
【0023】
  第1通信部133は、電子時計200と通信するための、アンテナを含むBLEの無線モジュールである。第1通信部133は、制御部110の制御に従って、電子時計200と情報の送受信を行う。
 
【0024】
  第2通信部134は、サーバ300と通信するためのアンテナを含む無線モジュールである。第2通信部134は、例えば、LTE(登録商標)又は無線LAN(Local  Area  Network)に基づく無線通信を行うための無線モジュールであり、制御部110の制御に従って、サーバ300と情報の送受信を行う。
 
【0025】
  次に、スマートフォン100の制御部110の機能的構成について説明する。制御部110は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、ログ取得部111、判定部112、情報通知部113、ログ送信部114、日時計時部115、日時送信部116として動作する。
 
【0026】
  ログ取得部111は、電子時計200からログデータを取得して、ログ記憶部121に記憶させる。ログ取得部111が電子時計200からログデータを取得するのは、スマートフォン100が電子時計200と第1通信部133を介してBLEで接続した時である。これは、ユーザが電子時計200とスマートフォン100に手動で接続した時と、電子時計200が自動時刻修正のためにスマートフォン100に自動で接続した時の2種類がある。
 
【0027】
  判定部112は、ログ記憶部121に記憶されているログデータに基づき、電子時計200の電池、ソーラーセル、針位置補正等の状況を判定する。判定部112がこれらの状況を判定する処理の詳細については後述する。
 
【0028】
  情報通知部113は、判定部112が判定した電子時計200の状況に基づいて、ユーザに通知すべき情報を表示部131に表示する。
 
【0029】
  ログ送信部114は、ログ記憶部121に記憶されているログデータをサーバ300に第2通信部134を介して送信する。
 
【0030】
  日時計時部115は、現在の日付及び時刻を計時する。図示しないが、スマートフォン100は、LTE(登録商標)基地局との通信機能、GPS電波の受信機能、標準電波の受信機能のうちのいずれか1つ以上の機能を備え、これらの機能により現在の正確な日時を定期的に取得している。そして、日時計時部115は、これらの機能によって取得した正確な日時を利用することによって、誤差の少ない現在の日時を計時している。
 
【0031】
  日時送信部116は、電子時計200が時刻修正のためにスマートフォン100に接続した際に、日時計時部115が計時している日付及び時刻を電子時計200に第1通信部133を介して送信する。
 
【0032】
  以上、実施形態1に係るスマートフォン100の構成について説明した。
 
【0033】
  続いて、実施形態1に係る電子時計200の機能構成について説明する。電子時計200は、電池駆動式の腕時計であり、BLEによって、スマートフォン100と通信可能である。ただし、電子時計200は腕時計に限定されるものではなく、時刻を表示する機能を有する装置であって電池駆動式の装置(時刻表示装置)であれば、任意の装置でよい。
図4に示すように、電子時計200は、制御部210と、記憶部220と、時刻表示部231と、時計操作部232と、近距離通信部233と、GPS受信部234と、標準電波受信部235と、計時部241と、針位置監視部242と、電池243と、電圧計測部244と、ソーラーセル245と、発電量計測部246と、を備え、これらがバスラインBLを介して電気的に接続されている。
 
【0034】
  制御部210は、CPU等のプロセッサを備え、記憶部220に記憶されたプログラムを実行することにより、電子時計200の動作を制御する。
 
【0035】
  記憶部220は、ROM及びRAMを備え、制御部210が実行するプログラム及び必要なデータを記憶する。また、記憶部220は、機能的には、時計ログ記憶部221を備える。
 
【0036】
  時計ログ記憶部221は、
図5に示すように、後述する時計ログ記録部211により、電子時計200のログデータを記憶する。ログデータは、具体的には、電池243の出力電圧、ソーラーセル245からの発電電流、針位置自動補正処理の有無、時刻修正処理の有無等である。このうち、電池243の出力電圧及びソーラーセル245からの発電電流のログデータについては、直近のログデータは10分毎に記憶され、1日以上前のログデータは8時間毎のログデータに間引かれて記憶される。これらのログデータが間引かれる際は、その8時間で最大値を記録したログデータが残るように間引かれる。
 
【0037】
  そして、1週間以上前のログデータは時計ログ記憶部221から消去される。これらのログデータは、ログ記憶部121のところで上述したように、電圧値及び電流値そのものでなくても良い。例えば、電圧値の代わりにバッテリレベルの値を、電流値の代わりに発電レベルの値を、それぞれログデータとしても良い。
 
【0038】
  また、針位置自動補正処理の有無のログデータは、後述する針位置補正部214による針位置補正処理が行われた日時と、その時に補正された針及び補正量を、針位置補正保存個数(例えば5個)分記憶したログデータである。針位置補正保存個数分を超えると、古いログデータは時計ログ記憶部221から消去される。
 
【0039】
  また、時刻修正処理のログデータは、電子時計200の過去1週間における時刻修正処理の内容を記憶したログデータである。時刻修正処理は、成功する(正しい時刻を取得し、その時刻に補正する)場合と、失敗する(正しい時刻を取得できず、時刻の補正ができない)場合がある。1日の間に1回以上時刻修正処理が成功した場合、最初に成功した時刻修正処理時刻が記憶される。1日の間に行われた時刻修正が全て失敗に終わった場合には、最後の時刻修正失敗時刻が記憶される。時刻修正処理が行われていない日は、このログデータは記憶されない。そして、1週間以上前のログデータは時計ログ記憶部221から消去される。また、ログデータには、成功又は失敗だけでなく、時刻修正処理のためにどの手段(GPS、標準電波、BLEによるスマートフォンとの接続)が使われたのかも記憶される。複数の手段が使われた際には、使われた全ての手段が記憶される。
 
【0040】
  時刻表示部231は、モータドライバ、モータ、輪列機構、針(秒針、分針、時針)、日車並びにディスプレイドライバ及びディスプレイ(LCD又は有機ELディスプレイ)を備え、現在時刻及び日付を表示する。
 
【0041】
  時計操作部232は、りゅうず、押しボタンスイッチ等を備える。ユーザがこれらを操作することによって、電子時計200は、時刻修正、スマートフォン100との接続等を行う。
 
【0042】
  近距離通信部233は、スマートフォン100と通信するための、アンテナを含むBLEの無線モジュールである。近距離通信部233は、制御部210の制御に従って、スマートフォン100と情報の送受信を行う。電子時計200は、近距離通信部233を介して、スマートフォン100にログデータを送信する他、スマートフォン100が計時している日時情報を受信して、時刻修正を行うことができる。
 
【0043】
  GPS受信部234は、GPS衛星から送信されている電波を受信する。電子時計200は、GPS受信部234で該電波を受信することによって、現在地の位置及び時刻の情報を取得することができる。
 
【0044】
  標準電波受信部235は、標準電波を受信する。電子時計200は、標準電波受信部235で標準電波を受信することによって、現在時刻を取得することができる。
 
【0045】
  計時部241は、計時回路を備え、現在の日時を計時し、計時した結果を制御部210に出力する。制御部210は計時部241から入力された計時結果に基づき、記憶部220に記憶されている現在時刻の情報を更新する計時処理を行い、時刻表示部231に現在時刻を表示させる。なお、計時部241の機能は、制御部210により実現されても良い。
 
【0046】
  針位置監視部242は、時刻表示部231の備える各針(秒針、分針、時針)によって示される時刻と、計時部241によって計時されている現在時刻との間にずれがないかを監視し、ずれが生じていたら、後述する針位置補正部214に知らせる。この監視は継続して常に行っている必要はなく、定期的に行えば良い。例えば、秒針は1分に1回、分針は1時間に1回、時針は1日に1回のような定期的な間隔で、時刻表示部231の備える針の指している時分秒と現在時刻の時分秒のそれぞれのずれを監視する。
 
【0047】
  電池243は、電子時計200に電力を供給する充電可能な二次電池である。
 
【0048】
  電圧計測部244は、電池243の出力電圧を計測する。電圧計測部244が計測した電圧値は、後述する時計ログ記録部211に出力される。
 
【0049】
  ソーラーセル245は、光を当てることによって、電池243を充電するための電力を供給する太陽電池である。
 
【0050】
  発電量計測部246は、ソーラーセル245が発電する発電量(発電電流)を計測する。ソーラーセル245が発電した電流は電池243を充電するために使用されるため、該発電量は、電池243を充電する際の充電電流の値と同じである。発電量計測部246が計測した電流値は、後述する時計ログ記録部211に出力される。
 
【0051】
  次に、電子時計200の制御部210の機能的構成について説明する。制御部210は、機能的には、時計ログ記録部211、時計ログ送信部212、時刻修正部213及び針位置補正部214を備える。
 
【0052】
  時計ログ記録部211は、電圧計測部244が計測した電池243の出力電圧の値、発電量計測部246が計測したソーラーセル245からの発電電流の値、時刻修正部213による時刻修正結果、針位置補正部214による針位置補正結果等を、時計ログ記憶部221に記憶させる。
 
【0053】
  時計ログ送信部212は、時計ログ記憶部221に記憶されているログデータをスマートフォン100に近距離通信部233を介して送信する。
 
【0054】
  時刻修正部213は、時計操作部232からのユーザの指示による手動時刻修正処理と、定期的な(例えば毎日決まった時刻に時刻修正処理を起動することによる)自動時刻修正処理とを行う。時刻修正処理は、手動か自動かによらず、GPS電波の受信、標準電波の受信、スマートフォン100との接続のいずれかを行って、現在の正確な日時を取得することによって行う。
 
【0055】
  針位置補正部214は、針位置監視部242から針の位置がずれていることの知らせを受けると、針の位置を、現在時刻を表示する正しい位置に補正する。
 
【0056】
  以上、実施形態1に係る電子時計200の構成について説明した。
 
【0057】
  続いて、実施形態1に係るサーバ300の機能構成について説明する。サーバ300は、ネットワーク400を介してスマートフォン100と接続して、スマートフォン100からログデータを受信及び記憶できるコンピュータである。
図6に示すように、サーバ300は、制御部310と、記憶部320と、出力部331と、入力部332と、通信部333と、を備え、これらがバスラインBLを介して電気的に接続されている。
 
【0058】
  制御部310は、CPU等のプロセッサを備え、記憶部320に記憶されたプログラムを実行することにより、サーバ300の動作を制御する。
 
【0059】
  記憶部320は、ROM及びRAMを備え、制御部310が実行するプログラム及び必要なデータを記憶する。また、記憶部320は、機能的には、時計毎ログ記憶部321を備える。
 
【0060】
  時計毎ログ記憶部321は、後述する時計毎ログ取得部311により取得した電子時計200のログデータを記憶する。サーバ300は、複数のスマートフォン100と通信することが可能なため、複数の電子時計200のログデータを受信することができる。このため、時計毎ログ記憶部321は、
図7に示すように、電子時計200のID(Identifier)毎に、ログデータを記憶している。電子時計200のID毎に記憶していることを除けば、ログデータの中身は、スマートフォン100のログ記憶部121と同様である。ただし、サーバ300の記憶部320の記憶容量は、通常、スマートフォン100の記憶部120の記憶容量よりも大きいため、ログ記憶部121よりも保存期間を長くしてログデータを記憶しても良い。例えば、「電池の出力電圧」及び「ソーラーセルからの発電電流」を過去数年分記憶するようにしても良い。
 
【0061】
  出力部331は、LCD、ELディスプレイ等の出力デバイスである。入力部332は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイスである。通信部333は、スマートフォン100と通信するための通信デバイスである。通信部333は、スマートフォン100と通信可能であるなら、任意の通信デバイスを用いることができる。
 
【0062】
  次に、サーバ300の制御部310の機能構成について説明する。制御部310は、記憶部320に記憶されているプログラムを実行することにより、時計毎ログ取得部311及び時計毎判定部312として動作する。
 
【0063】
  時計毎ログ取得部311は、スマートフォン100から電子時計200のID及びログデータを取得して、時計毎ログ記憶部321に記憶させる。
 
【0064】
  時計毎判定部312は、時計毎ログ記憶部321に記憶されているログデータに基づき、電子時計200毎に、該電子時計200の電池、ソーラーセル、針位置補正等の状況を判定する。時計毎判定部312がこれらの状況を判定する処理は、スマートフォン100の判定部112による処理と同様のため、その詳細の説明は省略する。
 
【0065】
  以上、実施形態1に係るサーバ300の構成について説明した。次に、スマートフォン100が、電子時計200の状況を判定して、必要に応じてユーザに情報を通知する処理について、順を追って説明する。
 
【0066】
(初期化処理)
  まず、スマートフォン100と電子時計200とがBLEで接続し、スマートフォン100が電子時計200の状況を把握できるようにするための初期化処理について、
図8を参照して説明する。この処理は、ユーザが電子時計200を購入した際に、スマートフォン100に電子時計200を登録する作業として、1度だけ行う。この初期化処理は、例えば、スマートフォンのアプリケーションソフトとして提供されており、ユーザがこのアプリケーションソフトを起動することによって、初期化処理が開始される。
 
【0067】
  まず、制御部110は、スマートフォン100と電子時計200とがペアリング済みであるか否かを判定する(ステップS101)。ペアリングとは、Bluetooth(登録商標)で通信を行う機器同士を接続することである。スマートフォン100と電子時計200とが過去にペアリング済みであれば、その過去にペアリングした時の情報に基づいて自動的に接続することが可能なので、このことに基づいて、ペアリング済みであるか否かを判定することができる。ペアリング済みであるなら(ステップS101;Yes)、ステップS103に進む。
 
【0068】
  スマートフォン100と電子時計200とがペアリング済みでないなら(ステップS101;No)、制御部110は電子時計200とペアリングを行う(ステップS102)。
 
【0069】
  ペアリングが完了したら、制御部110は電子時計200のIDを取得して、記憶部120に記憶する(ステップS103)。
 
【0070】
  次に制御部110は、記憶部120に記憶している変数である「電池フラグ」を0にクリアする(ステップS104)。そして、制御部110は、記憶部120に記憶している変数である「発電フラグ」も0にクリアする(ステップS105)。さらに、制御部110は、ログ記憶部121の全体も0にクリアし(ステップS106)、初期化処理を終了する。なお、変数「電池フラグ」は、電子時計200の電池が劣化している可能性があるか否かを示すフラグである。判定部112が、電子時計200の電池が劣化している可能性はないと判定したら変数「電池フラグ」は0にクリアされ、劣化している可能性があると判定したら変数「電池フラグ」に1がセットされる。また、変数「発電フラグ」は、電子時計200のソーラーセルが劣化している可能性があるか否かを示すフラグである。判定部112が、電子時計200のソーラーセルが劣化している可能性はないと判定したら変数「発電フラグ」は0にクリアされ、劣化している可能性があると判定したら変数「発電フラグ」に1がセットされる。なお、上記ステップS104では、変数「電池フラグ」を0にクリアしているが、ステップS104で変数「電池フラグ」に1をセットしてもよい。変数「電池フラグ」に最初から1にセットしておくことによって、スマートフォン100は、後述する充電に関する情報を通知しやすくなる。変数「発電フラグ」についても同様に、ステップS105で1をセットするようにしてもよい。
 
【0071】
  以上の初期化処理によって、電子時計200の今後の使用傾向に基づいて、スマートフォン100が電子時計200の各種状況の判定を行うための準備が整う。
 
【0072】
(ログ取得処理)
  上述の初期化処理はスマートフォン100が電子時計200の各種状況の判定を行うための準備を整えるだけであり、該判定を行うためには、スマートフォン100は電子時計200からログデータを取得する必要がある。そこで、次にこのログデータ取得処理について、
図9を参照して説明する。このログデータ取得処理は、電子時計200がスマートフォン100に接続すると、実行が開始される。例えば、ユーザが電子時計200の時刻修正を行うために、電子時計200をスマートフォン100に接続すると、時刻修正処理とともに、ログデータ取得処理も行われる。この時、スマートフォン100は、時刻修正処理とログデータ取得処理とを別スレッドで同時に実行しても良いし、どちらかを先に実行し、その後もう一方の処理を実行しても良い。
 
【0073】
  まず、スマートフォン100のログ取得部111は、第1通信部133を介して、電子時計200からログデータを取得する(ステップS111)。ステップS111は、ログ取得ステップとも呼ばれる。なお、スマートフォン100がステップS111を実行している時、電子時計200の時計ログ送信部212は、時計ログ記憶部221に記憶されているログデータをスマートフォン100に近距離通信部233を介して送信している。
 
【0074】
  次に、スマートフォン100のログ取得部111は、取得したログデータをログ記憶部121に記憶し(ステップS112)、ログデータ取得処理を終了する。なお、ステップS112において、ログ取得部111は、ログ記憶部121に記憶されている古いログデータ(例えば1年以上前の「電池の出力電圧」)や、間引くべきログデータを削除する。例えば、7日前から1日前までの「電池の出力電圧」は8時間毎のログデータが電子時計200から送信されるが、これを1日毎のログデータに間引く。ログ取得部111が「電池の出力電圧」及び「ソーラーセルからの発電電流」のログデータを間引く際は、その1日の最大値を記録したログデータが残るように間引く。
 
【0075】
  以上のログデータ取得処理によって、ログ記憶部121に、電子時計200から取得したログデータが蓄積され、スマートフォン100は、電子時計200の各種状況を判定できるようになる。
 
【0076】
(情報通知処理)
  次に、スマートフォン100が電子時計200の各種状況の判定を行って、ユーザに必要な情報の通知を行う情報通知処理について、
図10を参照して説明する。
 
【0077】
  この情報通知処理は、上述したログデータ取得処理が終了すると、実行が開始される。また、この情報通知処理を開始するためのアプリケーションソフトをユーザが起動した時にも実行が開始される。
 
【0078】
  情報通知処理が開始されると、スマートフォン100は、電池状況判定処理(ステップS201)、発電状況判定処理(ステップS202)及び針位置状況判定処理(ステップS203)を順次行ってから、情報通知処理を終了する。これらの各判定処理において、ユーザへの通知が必要と判定された場合に、スマートフォン100はユーザに情報を通知する。そこで、これらの各処理の詳細について、順に説明する。
 
【0079】
  なお、理解を容易にするため、以下の各処理の説明中では、「電池の出力電圧」のログデータはバッテリレベル1〜7として扱い、「ソーラーセルからの発電電流」のログデータは発電レベル10〜0として扱うこととする。ここで、バッテリレベル1は電池243がフル充電されている時の出力電圧に対応し、バッテリレベル7は電池243がもうすぐ空(エンプティ)になる時の出力電圧に対応することとする。また、発電レベル10は晴れた日の屋外で日光をソーラーセル245に当てた時の発電電流に対応し、発電レベル0は光が全く当たっていない時の発電電流に対応することとする。また、発電レベル5は電子時計200が通常動作している時における消費電流と大体同じ発電電流に対応し、発電レベル7は蛍光灯直下の環境における発電電流に対応することとする。また、以下の説明中では、バッテリレベル5となる最低電圧を電圧基準値とし、発電レベル5となる最低電流を平衡発電基準値とし、発電レベル7となる最低電流を正常発電基準値とする。ただし、以上のレベル値及び基準値は一例であるので、より適切な値に適宜変更して良い。
 
【0080】
  また、理解を容易にするため、以下の各処理の説明中では、状況を判定する期間を「1ヶ月」として、説明しているが、この期間(状況判定基準期間)は1ヶ月に限定されるわけではない。
 
【0081】
  まず、
図10のステップS201で実行される電池状況判定処理について、
図11を参照して説明する。
 
【0082】
  電池状況判定処理では、まず、スマートフォン100の判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「電池の出力電圧」の最新(直近)のログデータの値が電圧基準値未満であるか否かを判定する(ステップS301)。ステップS301は、判定ステップとも呼ばれる。「電池の出力電圧」のログデータの値が電圧基準値未満とは、ここでは、ログデータとして記録されているバッテリレベルが6又は7であることを意味する。
 
【0083】
  「電池の出力電圧」の最新のログデータの値が電圧基準値以上であるなら(ステップS301;No)、制御部110は変数「電池フラグ」を0にクリアして(ステップS302)、電池状況判定処理を終了する。「電池の出力電圧」の最新のログデータの値が電圧基準値未満であるなら(ステップS301;Yes)、判定部112は変数「電池フラグ」の値が1か否かを判定する(ステップS303)。
 
【0084】
  変数「電池フラグ」の値が1でなければ(ステップS303;No)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「電池の出力電圧」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値未満であるか否かを判定する(ステップS304)。ステップS304は、判定ステップとも呼ばれる。
 
【0085】
  「電池の出力電圧」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値未満であるなら(ステップS304;Yes)、情報通知部113は、表示部131に充電ガイダンスを表示する(ステップS305)。ステップS305は、通知ステップとも呼ばれる。充電ガイダンスとは、
図12に示すように、充電量が不足していることと、良好な充電をするためのアドバイス(第1の通知)を通知する画面である。そして、制御部110は、変数「電池フラグ」に1をセットし、変数「電池判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS306)、電池状況判定処理を終了する。
 
【0086】
  一方、ステップS304において、「電池の出力電圧」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値以上であるなら(ステップS304;No)、情報通知部113は、「電池の出力電圧」の最新のログデータの値に応じた通知センター表示を行い(ステップS307)、電池状況判定処理を終了する。通知センター表示とは、
図13に示すように、スマートフォン100の画面上部にメッセージを表示するものである。なお、
図13は、バッテリレベル7に対応したメッセージである「充電してください」を表示している例を示している。「電池の出力電圧」の最新のログデータの値がバッテリレベル6の場合は、通知センター表示におけるメッセージの内容は「そろそろ充電してください」になる。
 
【0087】
  一方、ステップS303において、変数「電池フラグ」の値が1ならば(ステップS303;Yes)、判定部112は、変数「電池判定日」にセットされている日付から本日までに1ヶ月以上経過しているか否かを判定する(ステップS308)。ステップS308は、判定ステップとも呼ばれる。1ヶ月以上経過していなければ(ステップS308;No)、情報通知部113は、「電池の出力電圧」の最新のログデータの値に応じた通知センター表示を行い(ステップS307)、制御部110は電池状況判定処理を終了する。
 
【0088】
  変数「電池判定日」にセットされている日付から本日までに1ヶ月以上経過しているなら(ステップS308;Yes)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「電池の出力電圧」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値未満であるか否かを判定する(ステップS309)。ステップS309は、判定ステップとも呼ばれる。過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値以上であるなら(ステップS309;No)、制御部110が変数「電池フラグ」を0にクリアし(ステップS310)、情報通知部113が「電池の出力電圧」の最新のログデータの値に応じた通知センター表示を行い(ステップS307)、電池状況判定処理を終了する。
 
【0089】
  過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が電圧基準値未満であるなら(ステップS309;Yes)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が平衡発電基準値以上であるか否かを判定する(ステップS311)。ステップS311は、判定ステップとも呼ばれる。「ソーラーセルからの発電電流」のログデータの値が平衡発電基準値以上とは、ここでは、ログデータとして記憶されている発電レベルが5以上であることを意味する。つまり、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が平衡発電基準値未満ということは、電子時計200の通常の消費電力分をソーラーセルが発電できていないということを意味する。
 
【0090】
  「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が平衡発電基準値未満であるなら(ステップS311;No)、情報通知部113は、表示部131に充電ガイダンスを表示する(ステップS313)。ステップS313は、通知ステップとも呼ばれる。そして、制御部110は、変数「電池判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS314)、電池状況判定処理を終了する。
 
【0091】
  一方、ステップS311で、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が平衡発電基準値以上であるなら(ステップS311;Yes)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、過去1ヶ月間の時刻修正処理で用いられたGPS及び標準電波の受信並びにBLEによるスマートフォン100との通信の回数の平均が使用基準値以上か否かを判定する(ステップS312)。ステップS312は、判定ステップとも呼ばれる。GPS及び標準電波の受信並びにBLEによるスマートフォン100との通信の回数の平均が使用基準値以上とは、ここでは、GPS及び標準電波の受信並びにBLEによるスマートフォン100との通信の回数の過去1ヶ月の平均値が2日に1回以上であることを意味する。
 
【0092】
  過去1ヶ月間の時刻修正処理で用いられたGPS及び標準電波の受信並びにBLEによるスマートフォン100との通信の回数の平均が使用基準値以上なら(ステップS312;Yes)、情報通知部113は、表示部131に充電ガイダンスを表示する(ステップS313)。そして、制御部110は、変数「電池判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS314)、電池状況判定処理を終了する。
 
【0093】
  過去1ヶ月間の時刻修正処理で用いられたGPS及び標準電波の受信並びにBLEによるスマートフォン100との通信の回数の平均が使用基準値未満なら(ステップS312;No)、情報通知部113は、表示部131に改善確認有りの充電ガイダンスを表示し(ステップS315)、改善の有無に関するユーザからの入力(「こちら」又は「OK」のタッチ)を待つ。ステップS315は、通知ステップとも呼ばれる。該入力は、操作部132の備えるタッチパネルによって取得することができる。なお、改善確認有りの充電ガイダンスとは、
図14に示すように、良好な充電をするためのアドバイスを通知するとともに、充電量不足が改善されたか否かを確認する画面である。
 
【0094】
  そして、制御部110は、ユーザからの入力が「改善しない」(「こちら」のタッチ)であるか否かを判定する(ステップS316)。ユーザからの入力が「改善しない」ではない(つまり「OK」)なら(ステップS316;No)、制御部110は、電池状況判定処理を終了する。
 
【0095】
  ユーザからの入力が「改善しない」(つまり「こちら」)なら(ステップS316;Yes)、制御部110は、変数「電池フラグ」を0にクリアし(ステップS317)、情報通知部113は、表示部131に
図15に示すような、バッテリー劣化の可能性を示すサポートセンター表示(第2の通知)を行い(ステップS318)、電池状況判定処理を終了する。
 
【0096】
  以上で、電池状況判定処理についての説明を終了する。この電池状況判定処理によって、スマートフォン100は、電子時計200の充電量が長期間不足している場合には、良好な充電をするためのアドバイス情報を通知することができる。また、該アドバイス情報を通知した後もまだ電子時計200の充電量が長期間不足しているなら、スマートフォン100は、充電量不足が改善されたか否かを確認するメッセージを出力し、改善されない旨の回答を取得した場合には、バッテリー劣化の可能性があることを通知することができる。
 
【0097】
  なお、スマートフォン100が電子時計200のログデータを1ヶ月(状況判定基準期間)以上取得できていない場合(前回のログ取得日が、1ヶ月(状況判定基準期間)以上前だった場合)は、電子時計200の電池の状況を正しく判定できない可能性が高い。したがって、この場合は、電池状況判定処理全体をスキップ(何も処理せずに電池状況判定処理を終了)しても良い。次に、
図10のステップS202で実行される発電状況判定処理について、
図16を参照して説明する。
 
【0098】
  発電状況判定処理では、まず、スマートフォン100の判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「電池の出力電圧」の最新(直近)のログデータの値が電圧基準値未満であるか否かを判定する(ステップS401)。ステップS401は、判定ステップとも呼ばれる。「電池の出力電圧」のログデータの値が電圧基準値未満とは、ここでは、ログデータとして記録されているバッテリレベルが6又は7であることを意味する。
 
【0099】
  「電池の出力電圧」の最新のログデータの値が電圧基準値以上であるなら(ステップS401;No)、制御部110は変数「発電フラグ」を0にクリアして(ステップS402)、発電状況判定処理を終了する。「電池の出力電圧」の最新のログデータの値が電圧基準値未満であるなら(ステップS401;Yes)、判定部112は変数「発電フラグ」の値が1か否かを判定する(ステップS403)。
 
【0100】
  変数「発電フラグ」の値が1でなければ(ステップS403;No)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満であるか否かを判定する(ステップS404)。ステップS404は、判定ステップとも呼ばれる。「ソーラーセルからの発電電流」のログデータの値が正常発電基準値未満とは、ここでは、ログデータとして記憶されている発電レベルが7未満であることを意味する。つまり、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満ということは、ソーラーセル245が過去1ヶ月間、常に蛍光灯直下の環境における発電電流すら発電できていないことを意味する。
 
【0101】
  「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値以上であるなら(ステップS404;No)、制御部110は、発電状況判定処理を終了する。
 
【0102】
  「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満であるなら(ステップS404;Yes)、情報通知部113は、表示部131に
図12に示すような充電ガイダンスを表示する(ステップS405)。ステップS405は、通知ステップとも呼ばれる。そして、制御部110は、変数「発電フラグ」に1をセットし、変数「発電判定日」に本日(電子時計200をスマートフォン100に接続した日)をセットし(ステップS406)、発電状況判定処理を終了する。
 
【0103】
  一方、ステップS403において、変数「発電フラグ」の値が1ならば(ステップS403;Yes)、判定部112は、変数「発電判定日」にセットされている日付から本日までに1ヶ月以上経過しているか否かを判定する(ステップS407)。ステップS407は、判定ステップとも呼ばれる。1ヶ月以上経過していなければ(ステップS407;No)、制御部110は発電状況判定処理を終了する。
 
【0104】
  変数「発電判定日」にセットされている日付から本日までに1ヶ月以上経過しているなら(ステップS407;Yes)、判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満であるか否かを判定する(ステップS408)。ステップS408は、判定ステップとも呼ばれる。「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値以上であるなら(ステップS408;No)、制御部110は変数「発電フラグ」を0にクリアし(ステップS409)、発電状況判定処理を終了する。
 
【0105】
  「ソーラーセルからの発電電流」の過去1ヶ月間におけるログデータの最高値が正常発電基準値未満であるなら(ステップS408;Yes)、情報通知部113は、表示部131に
図14に示すような改善確認有りの充電ガイダンスを表示し(ステップS410)、改善の有無に関するユーザからの入力(「こちら」又は「OK」のタッチ)を待つ。ステップS410は、通知ステップとも呼ばれる。該入力は、操作部132の備えるタッチパネルによって取得することができる。
 
【0106】
  そして、制御部110は、ユーザからの入力が「改善しない」(「こちら」のタッチ)であるか否かを判定する(ステップS411)。ユーザからの入力が「改善しない」ではない(つまり「OK」)なら(ステップS411;No)、制御部110は、発電状況判定処理を終了する。
 
【0107】
  ユーザからの入力が「改善しない」(つまり「こちら」)なら(ステップS411;Yes)、制御部110は、変数「発電フラグ」を0にクリアし(ステップS412)、情報通知部113は、表示部131に
図17に示すような、ソーラーセル劣化の可能性を示すサポートセンター表示(第3の通知)を行い(ステップS413)、発電状況判定処理を終了する。
 
【0108】
  以上で、発電状況判定処理についての説明を終了する。この発電状況判定処理によって、スマートフォン100は、電子時計200の充電量が長期間不足している場合には、良好な充電をするためのアドバイス情報を通知することができる。また、該アドバイス情報を通知した後もまだ電子時計200の充電量が長期間不足しているなら、スマートフォン100は、充電量不足が改善されたか否かを確認するメッセージを出力し、改善されない旨の回答を取得した場合には、ソーラーセル劣化の可能性があることを通知することができる。
 
【0109】
  なお、スマートフォン100が電子時計200のログデータを1ヶ月(状況判定基準期間)以上取得できていない場合(前回のログ取得日が、1ヶ月(状況判定基準期間)以上前だった場合)は、電子時計200のソーラーセルの状況を正しく判定できない可能性が高い。したがって、この場合は、発電状況判定処理全体をスキップ(何も処理せずに発電状況判定処理を終了)しても良い。次に、
図10のステップS203で実行される針位置状況判定処理について、
図18を参照して説明する。
 
【0110】
  針位置状況判定処理では、まず、スマートフォン100の判定部112は、ログ記憶部121を参照し、「針位置自動補正」の過去の針補正判定期間(例えば、1週間)のログデータにおいて、特定の針(秒針、分針、時針)で針補正基準日(例えば、5日)以上、針位置の自動補正が行われたか否かを判定する(ステップS501)。ステップS501は、判定ステップとも呼ばれる。特定の針での針補正基準日以上の針位置自動補正が行われていないなら(ステップS501;No)、制御部110は、針位置状況判定処理を終了する。
 
【0111】
  特定の針で針補正基準日以上、針位置の自動補正が行われているなら(ステップS501;Yes)、情報通知部113は、ログ記憶部121に記憶されている「針位置自動補正」の過去の針補正判定期間のログデータに基づき、針位置自動補正の発生日時の情報を取得する(ステップS502)。その際、該発生日時に特徴(午前中に発生している、平日に発生している等)がある場合には、該特徴も取得するのが望ましい。
 
【0112】
  そして、情報通知部113は、表示部131に針位置補正ガイダンスを表示する(ステップS503)。ステップS503は、通知ステップとも呼ばれる。針位置補正ガイダンスとは、
図19に示すように、針がずれたことと、針がずれないようにするためのアドバイス(第4の通知)を通知する画面である。そして、制御部110は、針位置状況判定処理を終了する。ステップS503での針位置補正ガイダンスの表示においては、ステップS502で取得した針位置自動補正の発生日時の情報又は該発生日時の特徴の情報も表示することが望ましい。
図19は、針位置自動補正の発生日時が午前中に集中していた場合の表示例である。
 
【0113】
  以上で、針位置状況判定処理についての説明を終了する。この針位置状況判定処理によって、スマートフォン100は、電子時計200の針位置が頻繁にずれている場合には、針がずれないようにするためのアドバイス情報を通知することができる。
 
【0114】
  以上で、
図10に示す情報通知処理の各ステップで実行される各状況判定処理についての説明をすべて終了した。以上で説明したように、情報通知処理によって、スマートフォン100は、電子時計200の使用状況を判定し、使用状況に応じた適切な情報をユーザに通知することができる。
 
【0115】
(実施形態1の変形例)
  
図10に示す情報通知処理では、ユーザに、充電に関するガイダンス及び磁気に関するガイダンスを通知している。しかし、通知するガイダンスをこれらの限定する必要はない。そこで、時刻修正に関するガイダンスも通知する実施形態1の変形例について説明する。
 
【0116】
  実施形態1の変形例に係る情報通知処理は、
図20に示すように、実施形態1の情報通知処理(
図10)に、時刻修正状況判定処理(ステップS204)を追加した処理内容になっており、これ以外には異なる点はない。
 
【0117】
  そこで、時刻修正状況判定処理について、
図21を参照して説明する。まず、スマートフォン100の判定部112は、ログ記憶部121を参照して、「時刻修正処理」のログデータから、時刻修正を失敗している日が時刻修正基準日数(例えば1週間)以上続いているか否かを判定する(ステップS601)。ステップS601は、判定ステップとも呼ばれる。過去の時刻修正基準日数未満の間に時刻修正が成功しているなら(ステップS601;No)、制御部110は、時刻修正状況判定処理を終了する。
 
【0118】
  時刻修正を失敗している日が時刻修正基準日数以上続いているなら(ステップS601;Yes)、情報通知部113は、表示部131に時刻修正ガイダンスを表示する(ステップS602)。ステップS602は、通知ステップとも呼ばれる。時刻修正ガイダンスとは、
図22に示すように、時刻修正が正しく行われるためのアドバイス(第5の通知)を通知する画面である。そして、制御部110は、時刻修正状況判定処理を終了する。
 
【0119】
  以上説明した時刻修正状況判定処理により、スマートフォン100は、電子時計200の時刻修正処理が頻繁に失敗している場合には、時刻修正が正しく行われるためのアドバイス情報を通知することができる。
 
【0120】
(実施形態2)
  以上説明した実施形態1に係るスマートフォン100は、情報通知処理により、ユーザに、必要な情報を通知することができる。次に、ユーザだけでなく、電子時計200にも、必要な情報を通知することができる実施形態2について説明する。実施形態2に係る情報通知システム1001は、実施形態1に係る情報通知システム1000において、スマートフォン100をスマートフォン101に置き換えたものであり、
図1に示すように、スマートフォン101と、電子時計200と、を備える。
 
【0121】
  実施形態2に係るスマートフォン101は、
図23に示すように、実施形態1に係るスマートフォン100(
図2)に、時計通知部117が追加された構成になっている。時計通知部117は、判定部112が判定した電子時計200の状況に基づいて、電子時計200に通知すべき情報を電子時計200に第1通信部133を介して送信する。
 
【0122】
  また、スマートフォン101もスマートフォン100と同様に、初期化処理(
図8)、ログデータ取得処理(
図9)、情報通知処理(
図10)を行うが、これらに加えて、電子時計200に必要な情報を通知する時計通知処理を行う。この時計通知処理について、
図24を参照して説明する。この時計通知処理は、情報通知処理と同様に、上述したログデータ取得処理が終了すると、実行が開始される。実際には、上述した情報通知処理の各判定処理における表示部131へのガイダンス表示時に、電子時計200への通知も行う処理が行われると考えれば良い。
 
【0123】
  時計通知処理では、まず、スマートフォン101の制御部110は、ログ記憶部121を参照し、電子時計200の使用状況を分析する(ステップS701)。この分析の処理は、上述した情報通知処理の各判定処理における各種判定処理と同様の処理である。
 
【0124】
  そして、判定部112は、ステップS701での制御部110による分析結果が「電子時計に異常あり」であるか否かを判定する(ステップS702)。ステップS702は、判定ステップとも呼ばれる。例えば、上述した電池状況判定処理(
図11)、発電状況判定処理(
図16)、針位置状況判定処理(
図18)及び時刻修正状況判定処理(
図21)において、判定部112の判定によって、情報通知部113が各種ガイダンスを表示する処理を行う場合は、判定部112が「電子時計に異常あり」であると判定したことを意味する。
 
【0125】
  分析結果が「電子時計に異常あり」でないなら(ステップS702;No)、制御部110は、時計通知処理を終了する。分析結果が「電子時計に異常あり」であるなら(ステップS702;Yes)、時計通知部117は、電子時計200に第1通信部133を介して、当該異常を通知する(ステップS703)。ステップS703は、時刻表示装置通知ステップとも呼ばれる。そして、制御部110は時計通知処理を終了する。当該異常の通知は、例えば、「充電量が慢性的に不足していること」、「針のずれが多く発生したこと」、「1週間以上時刻修正が成功していないこと」等の通知である。電子時計200は、当該異常の通知をスマートフォン101から近距離通信部233を介して受信し、時刻表示部231の備えるディスプレイに表示する。これにより、ユーザはスマートフォン101を見なくても、電子時計200を見るだけで、電子時計200に発生している問題を知ることができる。
 
【0126】
  また、ステップS703では、時計通知部117は、異常の通知だけでなく、異常を検出するために電子時計200が記憶している各種基準値を修正するための修正データを送信しても良い。該各種基準値とは、例えば、バッテリレベルの値の基準値、発電レベルの基準値、針ずれを検知するセンサの基準値等である。例えば、現在の該各種基準値では、異常通知が頻繁に行われる場合には、ステップS703で該各種基準値を修正する修正データを送信することにより、異常通知の頻度を下げることができる。
 
【0127】
  以上で、実施形態の説明を終了するが、上記実施形態は一例に過ぎないので、情報通知システム1000,1001の構成及び処理の内容等は上記実施形態で説明したものに限られない。例えば、ガイダンス表示で表示されるメッセージは適宜変更しても良い。また、ログ記憶部121、時計ログ記憶部221及び時計毎ログ記憶部321に記憶されるログデータの記憶時間間隔については、上述した値並びに
図3、
図5及び
図7に記載された値はあくまでも例示であり、適宜変更可能である。また、ログデータとして、電子時計200の時報機能の使用有無、アラーム機能の使用有無、アラーム使用時のアラーム音の出力時間、ライト点灯の時刻及び点灯時間、ストップウォッチ機能の使用有無、等を記録しても良い。そして、これらのログデータを使用して、ユーザの使用傾向をさらに細かく分析する処理を、情報通知処理の各種判定処理に反映させてもよい。このようにすることによって、ユーザに情報を通知する際のガイダンス表示の情報をさらに詳しくしたり、わかりやすくしたりすることができる。また、情報通知システム1000,1001は、電子時計200の代わりに、電池駆動式の任意の装置を備えてもよい。この場合も、スマートフォン100,101が当該装置に関する充電ガイダンス等を表示することができる他、当該装置の機能に応じてログデータ及びガイダンス表示を変更することができる。
 
【0128】
  また、上記の実施形態では、制御部110,210,310が、CPUによって制御動作を行う例を説明した。しかし、制御動作は、CPUによるソフトウェア制御に限られるものではない。制御動作の一部又は全部が専用のワイヤードロジック等のハードウェア構成を用いてなされても良い。また、制御部110,210,310は、それぞれ単一のCPUにより、上述した機能的構成の各部として動作しても良いし、複数のCPUによって機能的構成の各部の動作が行われても良い。
 
【0129】
  また、上記の実施形態では、制御部110,210,310が実行するプログラムが、記憶部120,220,320のROMに予め記憶されているものとして説明した。しかし、プログラムを、USB(Universal  Serial  Bus)メモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact  Disc  Read  Only  Memory)、HDD(Hard  Disk  Drive)、DVD(Digital  Versatile  Disc)及びMO(Magneto−Optical  Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、上述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。そして、各機能をOS(Operating  System)とアプリケーションとの分担、又はOSとアプリケーションとの協同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを記録媒体に格納してもよい。
 
【0130】
  さらに、搬送波に各プログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS,Bulletin  Board  System)等に当該プログラムをアップロードし、ネットワークを介して当該プログラムをダウンロード可能にしてもよい。そして、スマートフォン100,101、電子時計200及びサーバ300は、これらのプログラムをダウンロードして起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
 
【0131】
  本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
 
【0132】
(付記1)
  時刻表示装置と無線通信する通信部と、表示部と、を備える情報通知装置の情報通知方法であって、
  前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得するログ取得ステップと、
  前記ログ取得ステップで取得したログデータに基づいて前記時刻表示装置の使用状況を判定する判定ステップと、
  前記判定ステップで判定した前記時刻表示装置の使用状況に応じた情報を前記表示部から通知する通知ステップと、
  を含むことを特徴とする情報通知方法。
 
【0133】
(付記2)
  前記判定ステップで、状況判定基準期間中継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が電圧基準値未満であるか否かを判定し、
  前記状況判定基準期間中継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満である場合に、前記通知ステップで、第1の通知を前記表示部から通知する、
  ことを特徴とする付記1に記載の情報通知方法。
 
【0134】
(付記3)
  前記判定ステップで、前記通知ステップで前記第1の通知を前記表示部から通知した後、さらに状況判定基準期間中継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が前記電圧基準値未満であるか否かを判定し、
  前記通知ステップで前記第1の通知を前記表示部から通知した後さらに状況判定基準期間中継続して前記時刻表示装置の電池の電圧が電圧基準値未満である場合に、前記通知ステップで、第2の通知を前記表示部から通知する、
  ことを特徴とする付記2に記載の情報通知方法。
 
【0135】
(付記4)
  前記判定ステップで、状況判定基準期間中継続して前記時刻表示装置のソーラーセルの発電量が正常発電基準値未満であるか否かを判定し、
  前記状況判定基準期間中継続して前記時刻表示装置のソーラーセルの発電量が前記正常発電基準値未満である場合に、前記通知ステップで、第1の通知を前記表示部から通知する、
  ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の情報通知方法。
 
【0136】
(付記5)
  前記判定ステップで、前記通知ステップで前記第1の通知を前記表示部から通知した後、さらに前記状況判定基準期間中継続して前記時刻表示装置のソーラーセルの発電量が前記正常発電基準値未満であるか否かを判定し、
  前記通知ステップで前記第1の通知を前記表示部から通知した後さらに前記状況判定基準期間中継続して前記時刻表示装置のソーラーセルの発電量が前記正常発電基準値未満である場合に、前記通知ステップで、第3の通知を前記表示部から通知する、
  ことを特徴とする付記4に記載の情報通知方法。
 
【0137】
(付記6)
  前記判定ステップで、針補正判定期間のうち針補正基準日以上、前記時刻表示装置で針位置の自動補正が行われたか否かを判定し、
  前記針補正判定期間のうち前記針補正基準日以上、前記時刻表示装置で針位置の前記自動補正が行われた場合に、前記通知ステップで、第4の通知を前記表示部から通知する、
  ことを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の情報通知方法。
 
【0138】
(付記7)
  前記判定ステップで、前記時刻表示装置の時刻修正処理において時刻修正に成功していない日が時刻修正基準日数以上続いているか否かを判定し、
  前記時刻修正に成功していない日が前記時刻修正基準日数以上続いている場合に、前記通知ステップで、第5の通知を前記表示部から通知する、
  ことを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の情報通知方法。
 
【0139】
(付記8)
  前記判定ステップで判定した前記時刻表示装置の使用状況に応じた情報を前記時刻表示装置に通知する時刻表示装置通知ステップを含む、
  ことを特徴とする付記1から7のいずれか1つに記載の情報通知方法。
 
【0140】
(付記9)
  時刻表示装置と無線通信する通信部と、
  制御部と、
  表示部と、
  を備え、
  前記制御部は、
  前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得し、
  前記取得したログデータに基づいて前記時刻表示装置の使用状況を判定し、
  前記判定した前記時刻表示装置の使用状況に応じた情報を前記表示部から通知する、
  情報通知装置。
 
【0141】
(付記10)
  時刻表示装置と無線通信する通信部と、表示部と、を備える情報通知装置のコンピュータに、
  前記通信部により前記時刻表示装置から前記時刻表示装置のログデータを取得するログ取得ステップ、
  前記ログ取得ステップで取得したログデータに基づいて前記時刻表示装置の使用状況を判定する判定ステップ、及び、
  前記判定ステップで判定した前記時刻表示装置の使用状況に応じた情報を前記表示部から通知する通知ステップ、
  を実行させるためのプログラム。