(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6841396
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】デッキプレート
(51)【国際特許分類】
E04B 5/40 20060101AFI20210301BHJP
E04B 9/18 20060101ALI20210301BHJP
F16B 1/00 20060101ALI20210301BHJP
F16B 9/02 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
E04B5/40 J
E04B9/18 D
F16B1/00 A
F16B9/02 G
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-128926(P2020-128926)
(22)【出願日】2020年7月30日
【審査請求日】2020年9月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591225394
【氏名又は名称】株式会社新富士空調
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】梶野 勇
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】野口 智嗣
【審査官】
桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−072904(JP,A)
【文献】
実開昭61−161315(JP,U)
【文献】
実開平05−087111(JP,U)
【文献】
特開平03−096551(JP,A)
【文献】
特開平03−096552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/00−5/48
E04B 7/00−7/24
E04B 9/00−9/36
F16B 1/00
F16B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材が折り曲げられて、平坦部から突出し断面が略三角形状で筒状の谷部が形成された波形のデッキプレートであって、
吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部であって前記吊りボルトが挿入されるボルト挿入孔が、前記谷部の底辺部に前記谷部の長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられ、
前記谷部の少なくとも一方の斜辺部に、前記ボルト挿入孔に対向し前記吊りボルトにナットを締付可能な開口が複数設けられている、
ことを特徴とするデッキプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形に形成された鋼板で、床材や屋根材などとして使用されるデッキプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デッキプレートに空調ダクトを吊るして配設する場合、予めデッキプレートにインサートナットを取り付けてコンクリートを打設した後に、インサートナットに吊りボルトを取り付け(例えば、特許文献1参照。)、この吊りボルトで空調ダクトを吊るして配設していた。この際、設計上の空調ダクトの配設位置に合わせて、必要な箇所のみにインサートナットをデッキプレートに取り付けていた。また、インサートナットは、空調ダクトのみではなく、配線や配管などを配設する場合にも使用され、空調ダクトと同様に、設計上の配設位置に合わせて、必要な箇所のみにインサートナットをデッキプレートに取り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−16013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際の施工現場においては、施工図の精度の悪さや、仕様の変更、空調ダクトなどの配設位置の変更などによって、予め取り付けられたインサートナットを使用できないケースが多く発生していた。例えば、その使用率は、50%にも満たない場合があった。このため、空調ダクトなどの配設に際して、正しい配設位置に合わせて、現場で各業者が後打ちアンカーをデッキプレートに打設しなければならず、多大な時間と労力、費用を要していた。
【0005】
しかも、デッキプレートにはコンクリートが既に打設されているため、後打ちアンカーの打設には多大な労力を要し、作業者の大きな負担となっていた。さらには、上方に向けて後打ちアンカーを打設しなければならないため、ローリングタワーなどを使用して安全性を確保する必要があり、多大な手間と費用を要していた。加えて、後打ちアンカーの打設によってコンクリートからの粉塵が飛散し、作業環境が悪化する、という問題があった。
【0006】
そこでこの発明は、任意の位置に空調ダクトなどを配設可能なデッキプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、板材が折り曲げられて、平坦部から突出し断面が略三角形状で筒状の谷部が形成された波形のデッキプレートであって、吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部
であって前記吊りボルトが挿入されるボルト挿入孔が、前記谷部の底辺部に前記谷部の長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられ
、前記谷部の少なくとも一方の斜辺部に、前記ボルト挿入孔に対向し前記吊りボルトにナットを締付可能な開口が複数設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、波形のデッキプレートの谷部に、ボルト取付部が所定の間隔で複数設けられている。つまり、空調ダクトなどの配設位置に関わらず予め、縦横に所定の間隔で複数のボルト取付部がデッキプレートの全面・四方にわたって設けられている。このため、任意・所望のボルト取付部に吊りボルトを取り付けることで、任意・所望の位置に容易に空調ダクトなどを配設することが可能となる。この結果、現場で後打ちアンカーを打設する必要がなくなり、作業者の負担を軽減して時間と労力、費用を削減することができるばかりでなく、安全性が向上するとともに、作業環境を改善することが可能となる。しかも、ボルト取付部を谷部に備えるだけであるため、簡易に低コストで構成することが可能となる。
【0011】
また、請求項1に記載の発明によれば、ボルト取付部がボルト挿入孔で構成されているだけであるため、ボルト取付部を簡易に低コストで構成することが可能となる。従って、最終的に使用されないボルト取付部が生じたとしても、無駄な費用を抑制することが可能となる。
【0012】
さらに、請求項1に記載の発明によれば、谷部の斜辺部に開口が設けられ、この開口を介して吊りボルトにナットを締め付けることができるようになっている。このため、ボルト挿入孔に吊りボルトを容易、迅速かつ適切に取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の実施の形態に係るデッキプレートを示す斜視図である。
【
図2】
図1のデッキプレートの正面図(a)と底面図(b)である。
【
図4】
図1のデッキプレートに吊りボルトを配設した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説端明する。
【0015】
図1〜
図4は、この発明の実施の形態を示し、
図1は、この実施の形態に係るデッキプレート1を示す斜視図である。このデッキプレート1は、波形に形成された鋼板で、コンクリートスラグの型枠、床材や屋根材などとして使用されるプレートであり、任意の位置に空調ダクトや配線、配管などを吊って配設可能な点で、従来のデッキプレートと異なる。
【0016】
このデッキプレート1は、従来のデッキプレートと同様に、鋼板(板材)が折り曲げられて、平坦部2から突出し断面が略三角形状で、筒状の谷部3が形成された波形のプレートである。すなわち、
図2に示すように、鋼板が2つ折りされ、その先端側(折り目側)の断面が略三角形状に形成されて、筒状の谷部3が設けられている。この谷部3の三角形の頂部は、平坦部2側に位置し、底辺部31が平坦部2と略平行になっている。ここで、図中符号3aは、鋼板が2つ折りされて形成された隙間部である。
【0017】
このような平坦部2と谷部3が、この実施の形態では、2つずつ形成され、一端側(図中左端)から順に、谷部3、平坦部2、谷部3、平坦部2が形成されている。また、一端側の谷部3に連接して、平坦部2と面一の接続面部21が形成されている。一方、他端側(図中右端)の平坦部2の自由端部は、平坦部2に対して略垂直に谷部3側に曲げられて接続部22が形成されている。そして、接続面部21に隣接する隙間部3aに、別のデッキプレート1の接続部22を挿入することで、複数のデッキプレート1が接続・連結されるようになっている。
【0018】
このようなデッキプレート1の板厚や平坦部2と谷部3の大きさ、高さ、および、谷部3と谷部3との間隔(第1の間隔)d1は、デッキプレート1の上方(反谷部3側)に打設されるコンクリートの厚み・重量などに応じて、所定の強度、剛性が得られるように設定されている。また、この実施の形態では、それぞれ2つの平坦部2と谷部3を有する場合を例示しているが、打設されるコンクリートの厚みなどに応じて、異なる数の平坦部2と谷部3を有してもよい。
【0019】
このような谷部3の底辺部31には、吊りボルト101を取り付けるためのボルト挿入孔(ボルト取付部)33が、谷部3の長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。すなわち、各谷部3の底辺部31の幅方向の中央部に、底辺部31を貫通するボルト挿入孔33が、谷部3の長手方向に沿って第2の間隔(所定の間隔)d2で複数形成されている。このボルト挿入孔33の径は、吊りボルト101を挿入可能に設定されている。
【0020】
ここで、第1の間隔d1と第2の間隔d2は、ボルト挿入孔33がデッキプレート1の全面・四方にわたって略均等に配設され、任意・所望のボルト挿入孔33に吊りボルト101を取り付けることで、任意・所望の位置に空調ダクトなどを吊って配設できるように設定されている。例えば、第1の間隔d1は、200〜300mm程度に設定され、第2の間隔d2は、200mm程度に設定されている。このような間隔d1、d2は、同寸法にしてもよいし異なる寸法にしてもよい。なお、第1の間隔d1は、上記のように、デッキプレート1に所定の強度、剛性が得られることも考慮して設定されている。
【0021】
さらに、このような谷部3の両方の斜辺部32には、ボルト挿入孔33に対向し吊りボルト101に吊りナット(ナット)102を締付可能な開口34が複数設けられている。すなわち、
図3に示すように、谷部3の両方の斜辺部32に、略四角形で窓状の開口34が、谷部3の長手方向においてボルト挿入孔33と同位置に(ボルト挿入孔33を臨むように)、第2の間隔d2で複数形成されている。この開口34の形状、大きさは、この開口34から谷部3内に指やレンチを入れて、吊りナット102を締め付けられるように設定されている。ここで、この実施の形態では、谷部3の両方の斜辺部32に開口34が形成されているが、谷部3の大きさやデッキプレート1が設置される周囲環境などによっては、谷部3の一方の斜辺部32のみに形成するようにしてもよい。
【0022】
このような構成のデッキプレート1は、例えば、床材や屋根材として使用する場合、水平面状に延びるようにして隙間なく複数配置された状態で、上方に鉄筋が配設されてコンクリートが打設される。この状態では、複数のデッキプレート1で構成される床や屋根の全面にわたって、所定の間隔d1、d2で多数のボルト挿入孔33が配設され(散りばめられ)ている。
【0023】
そして、床や屋根(デッキプレート1)に空調ダクトなどを吊って配設する場合には、
図4に示すように、まず、上端部側に吊りナット102を取り付けた吊りボルト101を、下方から所望のボルト挿入孔33に挿入する。次に、このボルト挿入孔33に対向する開口34から谷部3内に指やレンチを入れて、吊りボルト101の上端から別の吊りナット102を螺合させ、2つの吊りナット102を締め付ける。これにより、2つの吊りナット102で谷部3の底辺部31が挟持され、吊りボルト101が谷部3つまりデッキプレート1に取り付けられる。このようにして必要な数の吊りボルト101を必要な位置に取り付けて、空調ダクトなどを吊るものである。
【0024】
以上のように、このデッキプレート1によれば、波形のデッキプレート1の各谷部3に、ボルト挿入孔33が第2の間隔d2で複数設けられている。つまり、空調ダクトなどの配設位置に関わらず予め、縦横に所定の間隔d1、d2で複数のボルト挿入孔33がデッキプレート1の全面・四方にわたって設けられている。このため、任意・所望のボルト挿入孔33に吊りボルト101を取り付けることで、任意・所望の位置に容易に空調ダクトなどを配設することが可能となる。この結果、現場で後打ちアンカーを打設する必要がなくなり、作業者の負担を軽減して時間と労力、費用を削減することができるばかりでなく、安全性が向上するとともに、作業環境を改善することが可能となる。しかも、従来のデッキプレートに対して、ボルト挿入孔33を谷部3に備えるだけであるため、簡易に低コストで構成することが可能となる。
【0025】
また、ボルト取付部がボルト挿入孔33で構成されているだけであるため、ボルト取付部を簡易に低コストで構成することが可能となる。従って、最終的に使用されないボルト取付部が生じたとしても、無駄な費用を抑制することが可能となる。
【0026】
さらに、谷部3の斜辺部32に開口34が設けられ、この開口34を介して吊りボルト101に吊りナット102を締め付けることができるようになっている。このため、ボルト挿入孔33に吊りボルト101を容易、迅速かつ適切に取り付けることが可能となる。
【0027】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、谷部3に吊りボルト101を取り付ける構造、方法(ボルト取付部)は、上記のものに限らない。例えば、谷部3の底辺部31にボルト挿入孔33に代ってネジ孔(雌ネジ)を形成し、このネジ孔に吊りボルト101を螺合させて取り付けてもよい。あるいは、谷部3の底辺部31に吊り金具を取り付けて、この吊り金具に吊りボルト101を取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 デッキプレート
2 平坦部
3 谷部
31 底辺部
32 斜辺部
33 ボルト挿入孔(ボルト取付部)
34 開口
101 吊りボルト
102 吊りナット(ナット)
d1 第1の間隔
d2 第2の間隔(所定の間隔)
【要約】
【課題】任意の位置に空調ダクトなどを配設可能なデッキプレートを提供する。
【解決手段】板材が折り曲げられて、平坦部2から突出し断面が略三角形状で筒状の谷部3が形成された波形のデッキプレート1であって、吊りボルトを取り付けるためのボルト挿入孔33が、谷部3の底辺部31に谷部3の長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。
【選択図】
図1