(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に、特許文献2では、型締め時に共通金型及び回転金型部間に射出成形を行うキャビティと、回転金型部及びダミープレート間に加熱手段によりキャビティ面を加熱する密閉空間とを同時に形成させ、金型の加熱と冷却とを重複させることができ、加熱及び冷却工程や各工程切り替え時間の短縮を行うことにより、成形サイクルをより短縮することができる。
ここでは射出成形を行うキャビティと、キャビティ面を加熱する加熱時間とを同時とし、金型の加熱と冷却とを重複させている。このように金型の加熱と冷却とを重複させても、成形サイクルを短縮することができるものの、熱エネルギ的には損失が発生し、効率を良くすることができない。
一方、原理的には射出成形機においては、型締め、射出、冷却、脱型工程の全工程を順次経なければ成形できないから、例えば、射出と冷却のように熱エネルギからすれば逆動作が必要となり、キャビティに熔融樹脂が射出され、直後に冷却に転じることになり、熱エネルギの無駄使いがある。また、型締め、射出、冷却、脱型工程はバッジシステムで行うことが必要であり、何れかを重複処理して処理時間を短くするということは、特許文献2では限られていた。
【0008】
特許文献3では、複数対の成形型を保持し鉛直な軸線周りで回転可能なリボルバーを備え、鉛直方向に成形型を型締めし、セットされたワークを加圧加工するプレス機が開示されている。このプレス機によれば、リボルバーを回転させ、任意の成形型で加圧加工し、加圧加工されたワークを保持する成形型が別の垂直位置に移動するものである。しかし、特許文献3の技術は、リボルバーが回転することにより順次ワークを加工し、下から上にワークが上昇している。この特許文献3では、ワークの加工を下から上に順次加工しているにすぎない、また、金属加工の場合には加圧加工を行い得るものの、合成樹脂の場合にはそれが適用できない。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点を解消すべく、樹脂成形品を得る熱エネルギの無駄使いを少なくし、樹脂射出、冷却、成形が同時に処理可能で、前記樹脂成形品を得るまでの成形サイクルを短縮することができる射出成形回転金型の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明にかかる射出成形回転金型は、中心線を同心円とする半径で軌跡を描き、前記中心線からの距離を均一として樹脂成形品の一部を成形するコアと、前記コアと同様に、前記中心線からの距離を均一とし、前記樹脂成形品の残部を形成するキャビティとを具備し、型締めされた前記コアと前記キャビティ間で形成された空洞に樹脂を充填する第1射出成形部と、前記第1射出成形部に樹脂を充填した状態で形成された新たな空洞に対し、前記樹脂を充填する第2射出成形部と、前記コア及び前記キャビティから前記樹脂成形品を離型して取出す取出部と、前記コア及び前記キャビティの金型温度及び前記樹脂成形品の樹脂温度を降下させる熱媒体を有し、前記第1射出成形部と前記第2射出成形部の相互間、前記第2射出成形部と前記取出部の相互間に1個乃至3個の範囲で配設した冷却部とを具備する。
【0011】
ここで、中心線を同心円とする半径を描いた軌跡は、前記中心線からの距離を均一として樹脂成形品の一部を成形するコアは、前記中心線を軸に回転するコアの軌跡までの距離を均一とするものである。
上記第1射出成形部は、型締めされた前記コアと前記キャビティ間で形成された空洞に樹脂を充填するもので、前記キャビティ側から射出成形機(例えば、2個のバルブゲート及び分岐するホットランナー等)によって樹脂を射出するものである。
また、上記冷却部は、前記第1射出成形部と前記第2射出成形部の相互間、前記第2射出成形部と前記取出部の相互間に1個乃至3個の範囲で配設し、前記金型温度及び前記樹脂温度を降下させるもので、必要に応じて前記冷却部は1個乃至4個からなる。
そして、上記第2射出成形部は、前記第1射出成形部によって樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞に対し、再度、前記空洞に樹脂を充填するものである。
更に、上記取出部は、前記冷却部で冷却した前記樹脂成形品を離型し、前記樹脂成形品を取出す。
【0012】
請求項2の発明にかかる射出成形回転金型の前記中心線を同心円とする半径の軌跡を描くコアは、前記中心線を水平方向に合致させ、かつ、前記取出部を最下部とし、前記樹脂成形品を落下させて取出すものである。
ここで、前記取出部からは、前記樹脂成形品を落下させて取出すことができ、また、ロボットのハンドでも取出すことができる。特に、前記取出部は回動しないで、最下位地の前記コアと前記キャビティから決定しているので、取出機構としても簡易なものが使用できる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の射出成形回転金型は、中心線を同心円とする半径の軌跡を描き、前記中心線からの距離を均一として樹脂成形品の一部を成形するコアと、前記コアと同様に、前記中心線からの距離を均一とし、前記樹脂成形品の残部を形成するキャビティとを具備し、前記コアと前記キャビティには、前記コアと前記キャビティ間で形成された型締めされた空洞に樹脂を充填自在な第1射出成形部、前記第1射出成形部に樹脂を充填した状態で形成された新たな空洞に対し、前記同一樹脂または他の樹脂を充填自在な第2射出成形部、前記コア及び前記キャビティから前記樹脂成形品を離型して取出す取出部、前記コア及び前記キャビティの金型温度及び前記樹脂成形品の樹脂温度を降下させる熱媒体を有し、前記第1射出成形部と前記第2射出成形部の相互間、前記第2射出成形部と前記取出部の相互間に1個乃至3個の範囲で配設した冷却部を具備する。
【0014】
したがって、樹脂温度が射出される高い温度にあるとき、型締めされた前記コアと前記キャビティ間で形成された空洞に第1射出成形部は樹脂を充填する。充填された樹脂は、その容積に応じて、1個所以上からなる第1冷却部(冷却部)により前記金型温度及び前記樹脂温度を降下させる。前記第1射出成形部に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞に対し、再度、第2射出成形部は樹脂を充填する。次に、充填された樹脂は、その容積に応じて、1個所以上からなる第2冷却部(冷却部)で冷却し、前記第2冷却部(冷却部)で冷却した前記成形樹脂を離型し、取出部で前記樹脂成形品を取出すものであるから、第1射出成形部、(第1冷却部)、第2射出成形部、(第2冷却部)、取出部の各工程は、各工程時間は均一であるが、全体の処理時間を短くすることができる。
【0015】
特に、本発明を実施する場合、例えば、前記コアと前記キャビティの対向する金型を2個以上配設し、その複数配設した金型の間で個々に前記第1射出成形部、第1冷却部(冷却部)、第2射出成形部、第2冷却部(冷却部)、取出部の各工程の処理時間を1回転で同一化(各工程の開始から終了時間は同一)し、樹脂成形品に製品化するものであるから、リアルタイム処理による高速処理が可能となる。
【0016】
特に、前記第1射出成形部に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞に対し、第2射出成形部は再度、前記新たな空洞に樹脂を充填するものであるから、その樹脂成形品の表面樹脂の厚みを薄くすることにより、ヒケの少ない積層成形が可能となる。
また、第1射出成形部、第1冷却部(冷却部)、第2射出成形部、第2冷却部(冷却部)、取出部の各工程は、前記コアと前記キャビティのキャビティ面相互が最小に設定できるから小型化が可能である。そして、高速成形が可能になる。更に、多色印刷、加えて、多色成形が可能である。
更に、前記第1射出成形部に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞に対し、再度、前記新たな空洞に第2射出成形部をタンポ印刷等の樹脂とすれば、印刷樹脂を充填することができ、タンポ印刷の後工程を含めることができる。
加えて、金型内で第1射出成形部、第1冷却部(冷却部)、第2射出成形部、第2冷却部(冷却部)、取出部の各工程サイクル毎に移動し、同時に第1射出成形部、第1冷却部(冷却部)、第2射出成形部、第2冷却部(冷却部)、取出部の工程を行うものであるから、金型全体の構成がコンパクトになる。
【0017】
よって、本発明の射出成形回転金型は、樹脂成形品を得る熱エネルギの無駄使いを少なくし、樹脂射出、冷却、成形が同時に処理可能で、前記樹脂成形品を得るまでの成形サイクルを短縮することができる。
【0018】
請求項2の射出成形回転金型における前記中心線を同心円とする半径の軌跡を描き、前記中心線からの距離を均一として樹脂成形品を成形するコアは、前記中心線を水平方向に合致させ、かつ、前記樹脂成形品を取出す取出部を最下位置とし、前記取出部から前記樹脂成形品を落下させて取出すものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、前記中心線を中心に回動自在としたコアは水平軸に基づいて回転するから、取出部の最下位置で自由落下できるようにすれば、前記樹脂成形品を取出すのに省エネ的に対応が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0021】
[実施の形態]
まず、
図1乃至
図5に示すように、本実施の形態の射出成形回転金型のタイミングロッド11は、両端をボールベアリング12で保持したシリンダ13に挿通配設され、シリンダ13の周囲はラチェット歯車14、そのラチェット歯車14の周囲で歯止め刃15が噛み合っており、タイミングロッド11はその周方向に回動自在になっている。また、シリンダ13もその周方向に回動自在になっている。タイミングロッド11とシリンダ13は一体となって回転する。即ち、ボールベアリング12及びボールベアリング17は、枠体68に取付けられている。
タイミングロッド11は
図2の左右方向に移動するもので、特に、右端を4方から拘束する2個または4個のローラユニット16によって、その長さ方向のみ回動自在になっている。
【0022】
即ち、タイミングロッド11の右側はローラ及びメタル等からなるローラユニット16が転動しながら60度回転する捻り(螺旋)を入れる移動路20となっており、ローラユニット16が移動路20を転動するように構成されている。また、シリンダ13はローラユニット16によってタイミングロッド11との回転が拘束されているから、ローラユニット16がタイミングロッド11を転動しながらも、コア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6(以下、特定のコアを指さないときには、単に『コア40』という)が配設されている周方向に60度回動する力(
図2の紙面に垂直な方向)となって、ラチェット歯車14と歯止め刃15との間の力となる。
【0023】
各コア40は、
図1及び
図2に示すように、4個のボルトで回動金型30に固着されている。また、コア40
-6には操作杆67の先端が案内部材78に取付けられ、リターンスプリング77の先端が案内部材78まで導かれている。各コア40は中心部材32の中心の中心線L−Lを同心円とする半径Rの軌跡を描く線上に中心位置がある。したがって、コア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6は、半径Rの軌跡を描く線上に中心位置がある。
【0024】
これに対して、キャビティ60
-1,60
-2,60
-3,60
-4,60
-5,60
-6(以下、特定のキャビティを指さないときには、単に『キャビティ60』という)は、型開き及び型締め毎に左右方向に往復道を行い、その間にラチェット機構10が60度の移動を行うものであるが、各キャビティ60の回動は無関係である。しかし、コア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6には、固定部材61に形成したキャビティ60
-1,60
-2,60
-3,60
-4,60
-5,60
-6が対応して、同一位置で射出または冷却される。
【0025】
なお、本実施の形態ではキャビティ60は一体に構成されているが、本発明の理解が容易であることから、キャビティ60
-1,60
-2,60
-3,60
-4,60
-5,60
-6と分離されているかの如く説明する。基本的には、一体であっても、分離されていてもよいし、また、リボルバー金型等に限定されるものでもない。
【0026】
図2に示すタイミングロッド11の左端は、固定金型41及び固定部材42で一体に固着している。また、固定フレーム43と金型枠44は、何れも公知の2か所に射出するバルブゲート80及び射出量を分岐するホットランナー90を配設している。なお、本発明を実施する場合には、任意のバルブゲート80とホットランナー90の任意の組み合わせをしてもよい。
また、接続固定材22は固定材21に接続されており、金型枠23までが一体に固定されており、樹脂成形品Xを突き出すレバーを操作する突き出し操作部65及び端部保持部66を有している。
【0027】
また、歯止め刃15は両端をボールベアリング17で保持した平歯車状の歯車18が配設され、歯車18に歯止め刃15の支軸15aを取付けている。したがって、一方の側が鋸歯状に傾いたラチェット歯車14は歯止め刃15によって噛み合うことなく回転するから、右回転方向には回転自在となる。しかし、左回転はラチェット歯車14が歯止め刃15によって噛み合うから回動が規制され、タイミングロッド11側の回転となる。
【0028】
このタイミングロッド11の1回の左右方向の往復道に伴って、ラチェット歯車14と歯止め刃15が噛み合うことなく、タイミングロッド11が60度回動する。これによりラチェット歯車14と歯止め刃15の噛み合い角度の変位が60度となる。
なお、ラチェット機構10は、単一のラチェット歯車14と支軸15aに取付けられた複数の歯止め刃15の噛み合い、平歯車状の歯車19で構成されている。
【0029】
即ち、各コア40とキャビティ60
-1,60
-2,60
-3,60
-4,60
-5,60
-6を区別するパーティングライン75が形成するパーティング面70は、中心線L−Lを同心円とする半径Rの円が軌跡となるコア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6が配設されている。このコア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6は、60度(360°/6分割)毎に設けられている。
本実施の形態では、コア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6は、60度間隔の角度位置に設定しているが、発明者らの実験によれば、金型全体の大きさ、半径Rをコンパクトにするには、360を整数で割れる数の個数で、45〜60度間隔に配置するのが好ましいことが分かった。
【0030】
本実施の形態の各コア40は、
図3に示すように、各コア40の中心軸(L
2−L
2)には熱媒体を流す隔壁48が挿入され、中心軸(L
2−L
2)の両側を折り返して流れるようになっている。これによって、各コア40の冷却が行われる。
【0031】
各キャビティ60は各コア40から樹脂成形品Xの長さ以上に離れ、その状態で各キャビティ60が隣接する各特定のコア40に型締めされる。このとき、コア40
-1の周囲とキャビティ60
-1の内側の間には、空洞71が形成され、公知のバルブゲート80によって樹脂が当該空洞71に射出される。
【0032】
本実施の形態では、コア40
-1に対応する第1射出成形部51は、コア40
-1の周囲とキャビティ60
-1の内側の空洞71に公知のバルブゲート80により、空洞71に対し樹脂を射出する。各コア40及び各キャビティ60の周囲は、常に熱媒体通路W1,W2で熱媒体を流し、冷却されており、型開きしても、射出した形状の樹脂が軟化状態にならないようにしている。
【0033】
そして、冷却部を構成する第1冷却部52と第2冷却部53は、
図3に示すコア40の中心軸(L
2−L
2)で隔壁48によって熱媒体を折り返し流し、中心軸(L
2−L
2)の両側で冷却が行われる。第2射出成形部54では、コア40
-4の周囲とキャビティ60
-4の内側の空洞72(例えば、キャビティ60
-4を大きくた空洞72)に公知のバルブゲート80を介して樹脂が充填される。更に、コア40
-4の周囲とキャビティ60
-4の空洞72に充填された樹脂が冷却される。第3冷却部55では、キャビティ60
-4と空洞72に充填した樹脂とが冷却される。
【0034】
第2射出成形部54は、コア40
-4の周囲とキャビティ60
-4の内側の空洞72に樹脂が射出され、冷却部を構成する第3冷却部55は、
図3に示すコア40
-5の中心軸(L
2−L
2)で隔壁48によって折り返し熱媒体を流し、中心軸(L
2−L
2)の両側で冷却が行われる。そして、取出部56に送られる。取出部56は各キャビティ60側が略U字状に切り欠かれており、更に型開きすると、各キャビティ60側が空間となり、コア40
-6の周囲に形成された樹脂成形品Xは、突き出し操作部65及び端部保持部66に加えられる外力で、操作杆67によって案内部材78を押し出すと、コア40
-6から剥離され、落下させることができる。ここで、リターンスプリング77は操作杆67によってパーティングライン75を押したとき、その外力を解くと、元の位置に戻るように形成されたものである。
なお、各コア40の操作杆67の端部及びリターンスプリング77の端部は、各コア40の案内部材78まで導かれているが、図示には各コア40の構造を簡略化している。
【0035】
したがって、コア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6は、60度毎の回動変位が行われるが、各キャビティ60は、各コア40が変化しても、各キャビティ60の位置は回動変化しない。勿論、各キャビティ60の形状変化は、樹脂成形品Xが順次拡大されても、それを規制するものではない。
【0036】
但し、キャビティ60
-1,60
-2,60
-3,60
-4,60
-5,60
-6相互間の形状は、必ずしも一定ではない。例えば、キャビティ60
-1,60
-2,60
-3,60
-4,60
-5,60
-6は、キャビティ60
-1側がキャビティ60
-6側よりもスリムであればよく、前に形成した樹脂が型締したときに各キャビティ60の内側に入るものであればよい。
【0037】
パーティング面70が開くことで型開きが行われ、閉じることで型締めが行われ、型開き毎にタイミングロッド11が左右方向に追随し、往復動する。タイミングロッド11が左に移動すると、ローラユニット16が移動路20を左移動しながら60度捻じれて回転する。ラチェット歯車14は歯止め刃15によって噛み合うことなく60度捻じれて回転するから、右回転方向には回転自在となる。
【0038】
しかし、ローラユニット16が移動路20を右移動しながら回動すると、ラチェット歯車14と歯止め刃15とが噛み合っているから、タイミングロッド11のみの回動となる。よって、ラチェット歯車14は歯止め刃15によって噛み合うことなく60度回転するが、ローラユニット16が移動路20を右移動しながら戻るときには、ラチェット歯車14は歯止め刃15と噛み合い、相対移動は不可能であるから、ラチェット歯車14は歯止め刃15と噛み合った状態でシリンダ13とタイミングロッド11との間が回動する。
【0039】
平歯車状の歯車18は、回動金型30の周囲に配設されたボールベアリング33が配設されており、ボールベアリング33を介して本枠体69に取り付けられている。即ち、中心部材32の中心を中心線L−Lとし、中心部材32の外周にボールベアリング33が配設されて回動金型30を保持している。中心部材32は本枠体69に固着されていて、回動金型30の回転軸と同一になっている。また、回動金型30は中心部材32の反対側には、ボールベアリング34が配設され、回動金型30の回転が滑らかに行われるようになっている。そして、ボールベアリング34は本枠体69の内部を回動する。
【0040】
回動金型30には、コア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6が配設されている。また、固定部材61にはキャビティ60
-1,60
-2,60
-3,60
-4,60
-5,60
-6が配設されている。そこで、ラチェット機構10の歯止め刃15が歯車19を右方向に回転すると、
図1に示すように、歯車31の回転は左回転となる。
平歯車状の歯車19の回転は、回動金型30の歯車31と噛み合い、回動金型30の回転となる。即ち、平歯車状の歯車19の回転は、ラチェット機構10の歯止め刃15の回動方向となり、ラチェット歯車14は歯止め刃15の鋸歯状角度によって回転方向が決定されている。
【0041】
回動金型30の固定部材61側には、第1射出成形部51、2個からなる第1冷却部52及び第2冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55、取出部56が各コア40の位置付けで配設されている。
まず、第1射出成形部51は、型締めされたコア40
-1とキャビティ60
-1間で形成された空洞71にバルブゲート80で樹脂を充填する射出成形を行う部位である。第1射出成形部51及び第2射出成形部54においては、第1冷却部52及び第2冷却部53、第3冷却部55、取出部56と同様、常に熱媒体通路W1,W2で熱媒体を流し、冷却している。熱媒体の通路は各コア40の内部の隔壁48によって熱媒体を折り返し流す構造が同一となっている。
また、第1冷却部52及び第2冷却部53は、前記第1射出成形部51の空洞71に樹脂を充填した状態でできる空洞72に充填した樹脂を充填して冷却する。具体的には、熱媒体を熱媒体通路W1,W2に供給し、金型温度及び樹脂温度を降下させるもので、使用する樹脂の量によって1段、2段、3段と第1冷却部52及び第2冷却部53と同じものを1個または複数使用することもできる。
【0042】
そして、第2射出成形部54は、第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞72に対し、再度、樹脂を充填するものである。例えば、第1射出成形部51で空洞71に樹脂を充填し、その周囲に皮膜を形成する場合、或いは、意匠性を問題とする2色成形する場合、クリアの樹脂を外面に形成する場合、ヒケのない意匠性を出したい場合等に空洞72に樹脂を充填することになる。このとき、空洞71に充填した樹脂が存在するから第1射出成形部51に比較して硬化速度は遅くなる。
更に、第3冷却部55は、第2射出成形部54で充填した樹脂を冷却するもので、熱媒体を熱媒体通路W1,W2を介して固定部材61、各キャビティ60に供給し、金型温度及び樹脂温度を降下させるものである。熱媒体通路W1,W2で熱媒体を供給するのは、固定部材61及び各キャビティ60、または各キャビティ60のみとすることができ、金型温度及び樹脂温度を降下させるものである。
【0043】
取出部56は、第3冷却部55で冷却した樹脂成形品Xを離型し、樹脂成形品Xを取出すもので、通常、省エネの観点から、落下路35を自然落下させ、取出口46から樹脂成形品Xから取り出すのが望ましい。各キャビティ60と固定金型41には、成形樹脂の製品が落下する空間が形成されている。本実施の形態では、操作杆67を移動させる突き出し操作部65及び端部保持部66は、外部からの操作により、コア40
-6側から樹脂成形品Xを離型させるものである。
取出部56には、樹脂成形品Xが落下するように、キャビティ60
-6が配設されている固定部材61に落下路35が形成されている。
【0044】
詳しくは、型締めしたとき、取出部56はキャビティ60
-6側が略U字状に切り欠かれておりコア40
-6との間の隙間は僅かである。しかし、型開きしたとき、キャビティ60
-6側が空間となり、コア40
-6の周囲に形成された樹脂成形品Xは、型開きしたときに、突き出し操作部65及び端部保持部66で操作される操作杆67によって、パーティングライン75を押し、各コア40から樹脂成形品Xを剥離し、落下させる。
なお、リターンスプリング77によって、操作杆67によって樹脂成形品Xのパーティングライン75を押したとき、外力を解くと、元の位置に戻るようにスプリングとピストン及びシリンダで形成されたものである。
【0045】
水等の熱媒体の熱媒体通路W1は、全体を熱媒体が潜るように、略井桁状とし、入力W1
INから熱媒体通路W
01を介して金型の中心部材32の中心まで供給する。更に、第1射出成形部51と第1冷却部52との間の熱媒体通路W
02、熱媒体通路W
03、熱媒体通路W
04、熱媒体通路W
05、熱媒体通路W
06を介して、第1射出成形部51に戻り、更に、熱媒体通路W
07、熱媒体通路W
08、熱媒体通路W
09を介して出力W1
OUTから排出している。
これにより、第1冷却部52から第1冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55を通り、更に、取出部56、第1射出成形部51を通り、出力W1
OUTから排出している。この熱媒体通路W1は、各コア40の反キャビティ60側(
図3参照)に配設される。
【0046】
また、水等の熱媒体の熱媒体通路W2は、キャビティ60
-1,60
-2,60
-3,60
-4,60
-5,60
-6が配設されている固定部材61または各キャビティ60に形成されている。まず、熱媒体通路W
20は取出部56に位置する取出口46の樹脂成形品Xの落下に影響のないように配設し、熱媒体通路W
21は取出部56から第1射出成形部51、熱媒体通路W
22は第1冷却部52、熱媒体通路W
23は第2冷却部53を通り、熱媒体通路W
24は第2射出成形部54を通過し、次いで、熱媒体通路W
25及び熱媒体通路W
26は第3冷却部55と第2射出成形部54の中心側を通り、熱媒体通路W
27は第2冷却部53の第2射出成形部54側から第1冷却部52に移動させ、熱媒体通路W
28は第1冷却部52及び第1射出成形部51の中心側を通過し、第1射出成形部51の中心側を通過したところで、熱媒体通路W
29から熱媒体通路W
30、熱媒体通路W31は左回りして出力W2
OUTから排出している。
【0047】
なお、熱媒体通路W1及び熱媒体通路W2は、常時、熱媒体を金型に循環させており、金型全体が冷却されている。しかし、射出成形で射出される樹脂の流動性には影響がない。また、熱媒体通路W1及び熱媒体通路W2は回転部分についても供給しているが、基本的には、中心部材32に潤滑Oリング38によって熱媒体の移動を拘束し、かつ、熱媒体通路W1,W2の移動を自在にしている。
また、無油材取付板36は回動金型30と本枠体69との間をシール材37で封止し、熱媒体の漏れを防止している。勿論、単にオイルを使用しないでシールをするものも含まれる。
【0048】
コア40
-1が対応するキャビティ60
-1には、第1射出成形部51で形成され樹脂加工品Xの空洞71が設けられる。空洞71はバルブゲート80を介して射出成形される。第1射出成形部51で形成される樹脂成形品Xは、常に冷却されているから、熱媒体の冷却によって形状が維持される。パーティング面70で型開き、型締めしたとき、タイミングロッド11が左右に往復し、ラチェット機構10が動作し、回動金型30を60度回動し、各コア40の軌跡も同様に回動する。
即ち、型開きにより各キャビティ60が各コア40との間を開き、ラチェット機構10が回動金型30を60度螺旋状に回動するように動作する。この間、型開きした各キャビティ60は各コア40の回動を許すように左方向に回避している。そして、ラチェット機構10が回動金型30を60度回動すると、型開きした各キャビティ60は各コア40を収容するように元に戻り、対応する各コア40を収容する。
しかし、本実施の形態では、第1射出成形部51及び第2射出成形部54、第1冷却部52及び第2冷却部53、第3冷却部55は同一の冷却構造を有するものであるから、各コア40及び各キャビティ60の形状は同じである。
【0049】
例えば、パーティング面70で各コア40と各キャビティ60の型開きを行い、タイミングロッド11が
図2の左右方向に1往復すると、その間にラチェット機構10が動作し、所定の位置に定まる。
各コア40と各キャビティ60の空洞71は、キャビティ60
-1からキャビティ60
-3まで、コア40
-1からコア40
-3までは、キャビティ60
-1からキャビティ60
-3、コア40
-1からコア40
-3に形状の変化がない。
キャビティ60
-4では、空洞72の厚みが変化する。この空洞72は単純に[空洞72>空洞71]を意味するものではなく、樹脂としての成形結果から、[空洞(71+72)>空洞71]を意味する。
【0050】
回動金型30の、例えば、コア40
-4とキャビティ60
-4の空洞72は、それまで空洞71が樹脂加工品Xとして形成されているから、その差を空洞72としてキャビティ60
-4に変更され、本実施の形態では、第2射出成形部54はホットランナー90を介してバルブゲート80から射出成形する。更に、第2射出成形部54の空洞72として2色成形した樹脂加工品Xは、水等の熱媒体の熱媒体通路W1及び熱媒体通路W2によって冷却される。
したがって、空洞72によって樹脂加工品Xを2色成形として形成したが、更に、その外周に空洞を設け3色成形として形成することができる。
【0051】
そして、第2射出成形部54では、パーティング面70でコア40
-4とキャビティ60
-4を型開きと同時に、タイミングロッド11が
図2の左右に往復移動し、ラチェット機構10が右方向に回転され、次いで、ラチェット機構10が左方向に回転されたように、ラチェット歯車14と歯止め刃15とが噛み合った状態でシリンダ13とタイミングロッド11との間が回動する。
ここでは、コア40
-4が空洞72だけ大きくなり、キャビティ60
-4が空洞72を加算したキャビティ60
-4に変更され、熱媒体による冷却によって形状が維持される。
コア40
-4に対応するキャビティ60
-4は、第1射出成形部51で形成され樹脂加工品Xの空洞71に加えて空洞72が設定される。空洞(71+72)には、バルブゲート80を介して空洞72を充填されるまで射出される。第1射出成形部51で形成され樹脂加工品Xは、熱媒体による冷却によって形状が維持される。この状態で型開きし、パーティング面70で離し、タイミングロッド11が
図2の左方向に移動し、ラチェット機構10が動作し、回動金型30を60度回動させ、コア40
-4が同じで、キャビティ60
-4がキャビティ60
-5に変更される。本実施の形態では、第3冷却部55は第1冷却部52及び第2冷却部53と同一の冷却を行うものであるが、第2射出成形部54でキャビティ60
-4のサイズの変更があり、第3冷却部55も第1冷却部52及び第2冷却部53のキャビティ60
-2と同一ではない。
【0052】
即ち、第3冷却部55で樹脂加工品Xの空洞(71+72)が冷却され、パーティング面70でコア40
-5とキャビティ60
-5を型開きし、タイミングロッド11が
図2の左右方向に移動し、ラチェット機構10が動作して、回動金型30を回動させ、各コア40が同じで、キャビティ60
-5が空洞72を加算したキャビティ60
-5に変更され、熱媒体による冷却によって形状が維持される。
【0053】
そして、取出部56では、キャビティ60
-6は垂直に開口しており、型開きにより、タイミングロッド11が
図2の左方向に移動し、第2射出成形部54で形成された樹脂加工品Xは、第3冷却部55で更に冷却し、コア40
-6から押し出され、自由落下する。
【0054】
本実施の形態の射出成形回転金型は、半径Rのパーティング面70にコア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6の軌跡の中心が設定されており、1回毎の型開き、型締めにより、コア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6が回転しない特定の各キャビティ60と型締めされる。
なお、本実施の形態では、1/6の確率でコア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6と型締めされる。即ち、例えば、キャビティ60
-1からみれば、コア40
-1,40
-2,40
-3,40
-4,40
-5,40
-6の順序で型締めされ、取出部56から樹脂加工品Xが押し出され、自由落下する。
【0055】
上記実施の形態は、第1冷却部52(冷却部)、第2冷却部53(冷却部)、第3冷却部55(冷却部)を第1射出成形部51と第2射出成形部54の後に設けているが、樹脂成形品Xの種類によっては、射出成形部の後に1個所の冷却部を設けるだけでも良い。また、複数個所設けてもよい。
また、本発明を実施する場合には、第1射出成形部51で射出成形する空洞71と第2射出成形部54で射出成形する空洞72では、何れが厚く形成されてもよい。
【0056】
図6は他の実施の形態の射出成形回転金型である。なお、本実施の形態において、前記実施の形態と同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
本実施の形態では、ラチェット機構10に替えて、外的制御可能なサーボモータ100としたものである。サーボモータ100はエンコーダ110と連結されていて、正確に回転角度、例えば、60度等を出力できる構造となっている。サーボモータ100の出力は、歯車120を介して歯車31と噛み合い、回動金型30の回転となる。
このサーボモータ100を使用した場合には、ローラユニット16が転動しながら60度回転する捻りを入れる移動路20を形成する機械的精度の高いタイミングロッド11を省略できるから、経済的な運用が可能である。
また、回転数出力または回動角度出力をエンコーダ110で測定しながら出力するものであり、正確な出力が出せる。また、各コア40と各キャビティ60の変更に対してもソフトウエアで対応できる。
【0057】
即ち、この実施の形態の射出成形回転金型を装置として捉えると、中心線L−Lを同心円とする半径Rの軌跡を描き、中心線L−Lからの距離を均一として樹脂成形品Xの一部を成形するコア40と、コア40と同様に、中心線L−Lからの距離を均一とし、樹脂成形品Xの残部を形成する各キャビティ60とを具備し、各コア40と各キャビティ60には、各コア40と各キャビティ60間で形成された型締めされた空洞71に樹脂を充填自在な第1射出成形部51と、第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成された新たな空洞72に対し、前記同一樹脂または他の樹脂を充填自在な第2射出成形部54と、各コア40及び各キャビティ60から樹脂成形品Xを離型して取出す取出部56と、各コア40及び各キャビティ60の金型温度及び樹脂成形品Xの樹脂温度を降下させる熱媒体を有し、第1射出成形部51と第2射出成形部54の相互間、第2射出成形部54と取出部56の相互間に1個乃至3個の範囲で配設した冷却部(第1冷却部52,第2冷却部53,第3冷却部55)とを具備する。
【0058】
この実施の形態の射出成形回転金型の製造方法として捉えると、中心線L−Lを同心円とする半径Rの軌跡を描き、中心線L−Lからの距離を均一として樹脂成形品Xの一部を成形する各コア40と、各コア40と同様に、中心線L−Lからの距離を均一とし、樹脂成形品Xの残部を形成する各キャビティ60とを具備し、各コア40と各キャビティ60には、各コア40と各キャビティ60間で形成された型締めされた空洞71に樹脂を充填自在な第1射出成形部51からなる第1射出成形工程と、第1射出成形部51からなる第1射出成形工程に樹脂を充填した状態で形成された新たな空洞72に対し、前記同一樹脂または他の樹脂を充填自在な第2射出成形部54からなる第2射出成形工程と、各コア40及び各キャビティ60から樹脂成形品Xを離型して取出す取出部56からなる取出工程と、各コア40及び各キャビティ60の金型温度及び樹脂成形品Xの樹脂温度を降下させる熱媒体を有し、第1射出成形部51からなる第1射出成形工程と第2射出成形部54からなる第2射出成形工程相互間、第2射出成形部54と取出部56の第2射出成形工程と取出工程の相互間に1個乃至3個の範囲で配設した冷却部(第1冷却部52,第2冷却部53,第3冷却部55)からなる冷却工程とを具備する発明とすることもできる。
【0059】
したがって、樹脂温度が射出される高い温度にあるとき、型締めされた前記コア40と前記キャビティ60間で形成された空洞71に第1射出成形部51は樹脂を充填する。充填された樹脂は、その容積に応じて、1個以上からなる冷却部(第1冷却部52及び第2冷却部53)により前記金型温度及び前記樹脂温度を冷やす。前記第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞71に対し、再度、第2射出成形部54は樹脂を充填する。次に、充填された樹脂は、その容積に応じて、1個以上からなる冷却部(第3冷却部55)で冷却し、冷却部(第3冷却部)で冷却した成形樹脂Xを離型し、取出部56で樹脂成形品を取出すものであるから、第1射出成形部51、第2射出成形部54、取出部56は、各処理時間は均一であるが、全体の処理時間を短くすることができる。
特に、本発明を実施する場合、例えば、各コア40と各キャビティ60の対向する金型を2個以上配設し、その複数配設した金型の間で個々に第1射出成形部51、第1冷却部52(冷却部)、第2冷却部53(冷却部)、第2射出成形部54、第3冷却部55(冷却部)、取出部56の各処理時間を1回転で同一化(各工程の開始から終了時間は同一)し、樹脂成形品Xに製品化するものであるから、リアルタイム処理による高速処理が可能となる。
【0060】
更に、第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞72に対し、第2射出成形部54は再度、樹脂を充填するものであるから、その樹脂成形品Xの表面樹脂の厚みを薄くすることにより、ヒケの少ない積層成形が可能となる。
また、第1射出成形部51、第1冷却部52(冷却部)、第2冷却部53(冷却部)、第2射出成形部54、第3冷却部55(冷却部)、取出部56の各工程は、各コア40と各キャビティ60の各キャビティ面相互が最小に設定できるから小型化が可能である。そして、高速成形が可能になる。更に、多色印刷、加えて、多色成形が可能である。
更に、第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞72に対し、再度、新たな空洞72に第2射出成形部54をタンポ印刷等の樹脂とすれば、印刷樹脂を充填することができ、タンポ印刷の後工程を含めることができる。
加えて、金型内で第1射出成形部51、第1冷却部52(冷却部)、第2冷却部53(冷却部)、第2射出成形部54、第3冷却部55(冷却部)、取出部56の各工程サイクル毎に移動し、同時に第1射出成形部51、第1冷却部52(冷却部)、第2冷却部53(冷却部)、第2射出成形部54、第3冷却部55(冷却部)、取出部56の工程を行うものであるから、金型全体の構成がコンパクトになる。
【0061】
よって、本発明の実施の形態の射出成形回転金型は、樹脂成形品Xを得る熱エネルギの無駄使いを少なくし、樹脂射出、冷却、成形が同時に処理可能で、樹脂成形品Xを得るまでの成形サイクルを短縮することができる。
【0062】
また、本実施の形態の射出成形回転金型は、複数の各コア40の回転中心となる中心部材32の中心線L−Lを設定し、中心線L−Lを中心に特定方向に回動自在とし、パーティング面70の中心線L−Lからの距離Rを均一として複数の樹脂成形品Xを成形自在とした各コア40と、各コア40と同様に、中心線L−Lからのパーティング面70の距離Rを等しくし、複数の樹脂成形品Xを形成する各キャビティ60とを具備し、型締めされた各コア40と各キャビティ60間で形成された空洞71に樹脂を充填する第1射出成形部51と、第1射出成形部51の空洞71に樹脂を充填した状態で、空洞71に充填した樹脂を冷却する熱媒体を熱媒体通路W1,W2に供給し、金型温度及び樹脂温度を降下させる1個以上からなる第1冷却部52及び第2冷却部53と、第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞72に対し、再度、前記新たな空洞72に樹脂を充填する第2射出成形部54と、第2射出成形部54で前記充填した樹脂を冷却する熱媒体を熱媒体通路W1,W2に供給し、前記金型温度及び前記樹脂温度を降下させる1個以上からなる第3冷却部55と、第3冷却部55で冷却した樹脂成形品Xを離型し、前記樹脂成形品Xを取出す取出部56を具備する。
【0063】
したがって、樹脂温度が射出される高い温度にあるとき、型締めされた各コア40と各キャビティ60間で形成された空洞71に第1射出成形部51は樹脂を充填する。充填された樹脂は、その容積に応じて、1個以上からなる第1冷却部52、第2冷却部53により金型温度及び前記樹脂温度を降下させる。前記第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞71に対し、再度、前記新たな空洞72に第2射出成形部54は樹脂を充填する。次に、充填された樹脂は、その容積に応じて、1個以上からなる第3冷却部55で冷却し、前記第3冷却部55で冷却した前記成形樹脂を離型し、取出部56で前記樹脂成形品Xを取出すものであるから、第1射出成形部51、第1冷却部52、第2冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55、取出部56の各工程は、各工程時間は均一であるが、全体の処理時間を短くすることができる。
特に、本発明を実施する場合、例えば、各コア40と各キャビティ60の対向する金型を2個以上配設し、その複数配設した金型の間で個々に前記第1射出成形部51、第1冷却部52、第2冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55、取出部56の各工程の処理時間を同一(各工程の開始から終了時間は同一)とし、同時に処理できるようにしたので、リアルタイム処理による高速処理が可能となる。
【0064】
特に、第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞71に対し、再度、前記新たな空洞72に第2射出成形部54は樹脂を充填することができ、その厚みを薄くすることにより、ヒケの少ない積層成形が可能となる。
また、第1射出成形部51、第1冷却部52、第2冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55、取出部56の各工程は、各コア40と前記各キャビティ60のキャビティ面70相互が最小に設定でき、また、高速成形が可能になる。更に、多色印刷、加えて、多色成形が可能である。
【0065】
そして、前記第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成される空洞71に対し、再度、第2射出成形部54をタンポ印刷等の樹脂とすれば、樹脂を充填することができ、タンポ印刷の後工程を含めることができる。
加えて、金型内で第1射出成形部51、第1冷却部52、第2冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55、取出部56の各工程サイクル毎に移動するから全体の構成がコンパクトになる。
よって、上記実施の形態の射出成形回転金型は、樹脂成形品Xを得る熱エネルギの無駄使いを少なくし、樹脂射出、冷却、成形が同時に処理可能で、樹脂成形品Xを得るまでの成形サイクルを短縮することができる。
【0066】
上記実施の形態の射出成形回転金型は、中心部材32の中心線L−Lを中心に回動自在とした各コア40は、中心線L−Lを水平方向に合致させ、かつ、前記樹脂成形品Xを取出す取出部56を最下部とし、取出部56から樹脂成形品Xを落下させて取出すものである。
上記実施の形態の射出成形回転金型における中心部材32の中心線L−Lを中心に回動自在とした各コア40は、中心部材32の中心線L−Lを水平方向に合致させ、かつ、樹脂記成形品Xを取出す取出部56を最下部とし、取出部56から樹脂成形品Xを落下させて取出すものであるから、中心線L−Lを中心に回動自在とした各コア40は水平軸に基づいて回転するから、取出部56の最下部で自由落下できるようにすれば、樹脂成形品Xを取出すのに省エネ的製造が可能である。
【0067】
上記実施の形態の射出成形回転金型は、前記中心線L−Lを中心に回動自在とした各コア40は、ラチェット機構10と噛み合う各コア40によって、特定回転方向に歩進させることにより、第1射出成形部51、第1冷却部52、第2冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55、取出部56の方向に回転するものである。
上記実施の形態の射出成形回転金型における中心線L−Lを中心に回動自在とした各コア40は、ラチェット機構10と噛み合う各コア40によって、特定回転方向に歩進させることにより、第1射出成形部51、第1冷却部52、第2冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55、取出部56の方向に回転するものであるから、機械的回転力で特定方向に回転できる。
【0068】
上記実施の形態の射出成形回転金型における中心線L−Lを中心に回動自在とした各コア40は、サーボモータ100の回転によって特定回転方向、第1射出成形部51、第1冷却部52、第2冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55、取出部56の順序で歩進させることもできる。
【0069】
前記中心線L−Lを中心に回動自在とした各コア40は、サーボモータ100の回転によって特定回転方向、第1射出成形部51、第1冷却部52、第2冷却部53、第2射出成形部54、第3冷却部55、取出部56の順序で歩進させるものであるから、機械的回転力で特定方向に回転できる。
【0070】
上記実施の形態の射出成形回転金型における中心線L−Lを中心に回動自在とした各コア40は、特定回転方向に歩進させることにより、計2個所乃至4個所の第1射出成形部51等の射出成形部、並びに計2個所乃至4個所の第1冷却部52、第2冷却部53等の冷却部、及び1個所の取出部56の配設により成形するものである。
ここで、第1射出成形部51は、型締めされた各コア40と各キャビティ60間で形成された空洞71に樹脂を充填するものであるから、樹脂の厚み、総量によって2個所乃至4個所に分けることができる。特に、少なくとも2個所は維持されるので、2色成形や、多色成形を行うことができる。
また、計2個所の第1冷却部52、第2冷却部53等としたのは、少なくとも2色以上の樹脂成形品Xを得る工程であり、その樹脂成形品Xの厚みにより、2個所以上の冷却が必要な樹脂の容積であることを前提とすると、計2個所乃至4個所の冷却部として処理するのが好適である。
【0071】
上記実施の形態の射出成形回転金型は、複数のコア40の回転中心となる中心部材32の中心線L−Lを設定し、中心線L−Lを中心に特定方向に回動自在とし、パーティング面70の中心線L−Lからの距離Rを均一として複数の樹脂成形品Xを成形自在とした各コア40と、各コア40と同様に、中心線L−Lからのパーティング面70の距離Rを等しくし、複数の樹脂成形品Xを形成する各キャビティ60とを具備する射出成形回転金型において、型締めされた各コア40と各キャビティ60間で形成された空洞71に樹脂を充填する第1射出成形部51と、第1射出成形部51の空洞71に樹脂を充填した状態で、空洞71に充填した樹脂を冷却する熱媒体を熱媒体通路W1,W2に供給し、金型温度及び樹脂温度を降下させる1個以上からなる第1冷却部52、第2冷却部53と、第1射出成形部51に樹脂を充填した状態で形成される新たな空洞72に対し、再度、前記新たな空洞72に樹脂を充填する第2射出成形部54と、第2射出成形部54で前記充填した樹脂を冷却する熱媒体を熱媒体通路W1,W2に供給し、前記金型温度及び前記樹脂温度を降下させる1個以上からなる第3冷却部55と、第3冷却部55で冷却した樹脂成形品Xを離型し、前記樹脂成形品Xを取出す取出部56を具備する射出成形方法とすることができる。
【0072】
本実施例の射出成形方法においても、上記実施の形態の射出成形回転金型を使用するものであるから、樹脂成形品Xを得る熱エネルギの無駄使いを少なくし、樹脂射出、冷却、成形が同時に処理可能で、樹脂成形品Xを得るまでの成形サイクルを短縮することができる。