【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
坂本 高秀、他,"マハツェンダ型光変調器の非対称プッシュプル駆動による超平坦光コム発生",第68回応用物理学会学術講演会講演予稿集,2007年 9月,Vol.3,p.1210
【文献】
WANG, Q., et al.,"Ultra-flat optical frequency comb generator using a single-driven dual-parallel Mach-Zehnder modulator",OPTICS LETTERS,2014年 5月15日,Vol.39, No.10,pp.3050-3053
【文献】
YAN, J., et al.,"A tunable optical frequency comb generator using a single dual parallel Mach-Zehnder modulator",OPTICS & LASER TECHNOLOGY,2015年 4月17日,Vol.72,pp. 74-78
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の光コム発生装置であって,n個(nは1以上の整数)の光変調器群,もしくは,n個の光変調器群を2群以上複数有し,これにより光変調器の変調周波数をfとした場合にNf(Nは1以上n以下の数)の周波数間隔を有する光コムを発生する,光コム発生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光コム発生装置は,コムの周波数間隔を制御することと安定なコム信号を得ることの両立が難しいという問題があった。
そこで本発明は,変調器の駆動電気信号帯域を超えた光周波数間隔を持つ光コム信号を安定して発生できる光コム発生装置及び光コム信号の発生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は,基本的には,少なくともn(nは1以上の整数)個の並列した光変調器を含み,n個のペアにより光変調器の駆動信号の周波数間隔を有する光コム信号を発生するように光変調器を調整する。そのうえで,所望の周波数間隔の光コム信号を得ることができるように,打ち消し合う周波数を有する信号の位相もしくは振幅と位相を調整する。すると,光コム信号のうち,所望の周波数間隔を有する成分は強めあい,打ち消し合う周波数を有する成分は打ち消し合う。このようにすると,変調器の駆動電気信号帯域を超えた光周波数間隔を持つ光コム信号を安定して発生できることとなる。
また,2n個以上の並列した光変調器により,その中に含まられる複数の光変調器ペアにより,生成される光コム信号の持つ各周波数成分の振幅,位相を制御する機構を拡張するものであり,上記の生成光コム信号の周波数間隔制御等を可能とした上で,加えて,強度の周波数成分を持つ光コム発生を可能とする。
【0006】
本発明の第1の側面は,光コム発生装置に関する。この光コム発生装置1は,
入力光を分波する分波部3と,
分波部3が分波した第1の光が入力し,第1の変調を行う第1の光変調器5と,
分波部3が分波した第2の光が入力し,第2の変調を行う第2の光変調器7と,
分波部3が分波した第3の光が入力し,第3の変調を行う第3の光変調器9と,
分波部3が分波した第4の光が入力し,第4の変調を行う第4の光変調器11と,
第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11からの出力光が合波される合波部13と,
第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11に印加される駆動信号を制御する制御部15を有し,
制御部15は,
第1の光変調器5及び第2の光変調器7は,第1の光変調器5及び第2の光変調器7からの出力光が合波部13で合波された際に,第1の光変調器5及び第2の光変調器7からの出力光に含まれる偶数次成分又は奇数次成分が打ち消され,
第3の光変調器9,及び第4の光変調器11は,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11からの出力光が合波部13で合波された際に,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11からの出力光に含まれる偶数次成分又は奇数次成分であって,第1の光変調器5及び第2の光変調器7からの出力光のうち打ち消されるものと同じものが打ち消され,
これにより,第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11の変調信号の周波数の2倍の周波数間隔を有する光コム信号を発生する。
【0007】
この光コム発生装置の好ましい制御部は,
さらに,第1の光変調器5及び第3の光変調器9は,第1の光変調器5及び第3の光変調器9からの出力光が合波部13で合波された際に,第1の光変調器5及び第3の光変調器9からの出力光に含まれる成分のうち少なくとも1つ以上の成分が平坦化され,
第2の光変調器7及び第4の光変調器11は,第2の光変調器7及び第4の光変調器11からの出力光が合波部13で合波された際に,第2の光変調器7及び第4の光変調器11からの出力光に含まれる成分のうち少なくとも1つ以上の成分が平坦化されるように,駆動信号を制御する。
【0008】
この光コム発生装置の好ましいものは,第1の光,第2の光,第3の光及び第4の光の強度は等しく,
第1の変調器,第2の変調器,第3の変調器,及び第4の変調器の変調信号a
0(t
),a
1(t
),a
2(t
)及びa
3(t
)を,それぞれ,下記式のように定義した場合,
a
0(t
)=A
0sin
(2πf
0+θ
0),
a
1(t
)=A
1sin
(2πf
1+θ
1),
a
2(t
)=A
2sin
(2πf
2+θ
2),
a
3(t
)=A
3sin
(2πf
3+θ
3),
(ここで,A
0〜A
3は変調信号の振幅であり,f
0〜f
3は駆動信号の駆動周波数であり,θ
0〜θ
3は駆動信号の位相成分である
)
f
0=f
1=f
2=f
3=fであり,
以下の式を満たす,
|θ
b,0−θ
b,1|=π/2,
|θ
b,2−θ
b,3|=π/2,
(ここで,θ
b,0,θ
b,1,θ
b,2及びθ
b,3は,それぞれ,第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11に印加されるバイアス信号である。
)
【0009】
この光コム発生装置はさらに,第1の変調器,第2の変調器,第3の変調器,及び第4の変調器の変調信号は,
(A
0−A
2)/2±
(θ
b,0−θ
b,2)/2=2
(k+1/2
)π,
(A
1−A
3)/2±
(θ
b,1−θ
b,3)/2=2
(m+1/2
)π,
k及びmは,整数
を満たすものが好ましい。
【0010】
この光コム発生装置はさらに,n個(nは1以上の整数)の第1の光変調器,第2の光変調器の群を有し,これにより光変調器の変調周波数をfとした場合に,(n+2)fの周波数間隔を有する光コムを発生するものであってもよい。
また,光コム発生装置の分岐数,変調器数の並列数を拡張した光コム発生装置であって,n個(nは1以上の整数)の光変調器群,もしくは,n個の光変調器群を2群以上複数有し,これにより光変調器の変調周波数をfとした場合にNf(Nは1以上n以下の数)の周波数間隔を有する光コムを発生するものであってもよい。この場合,1つの分岐部が,n個又はn個の整数倍の導波路に分岐し,それぞれの導波路に光変調器が存在してもよい。そして,それぞれの導波路が,上記とは別の1つの分岐部に集合するものであってもよい。この場合も2つのペアとなる光変調器により光コム信号を発生し,光コム信号と光コム信号のうち弱めたい成分については逆位相などで打消し,強めたい信号については同位相とすることで,光コム信号の周波数間隔を広げることができる。この概念を拡張すれば,Nfの周波数間隔を有する光コム信号を発生できる。
【0011】
本発明の第2の側面は,光コム発生方法に関する。
この方法は,
分波部3が,入力光を分波する工程と,
分波部3が分波した第1の光が第1の光変調器5に入力し,第1の変調を受ける工程と,
分波部3が分波した第2の光が第2の光変調器7に入力し,第2の変調を受ける工程と,
分波部3が分波した第3の光が第3の光変調器9に入力し,第3の変調を受ける工程と,
分波部3が分波した第4の光が第4の光変調器11に入力し,第4の変調を受ける工程と,
第1の変調を受けた光,第2の変調を受けた光,第3の変調を受けた光,及び第4の変調を受けた光が合波部13で合波される工程とを有し,
第1の変調及び第2の変調は,第1の変調を受けた光,第2の変調を受けた光が合波部13で合波された際に,第1の変調を受けた光及び第2の変調を受けた光に含まれる偶数次成分又は奇数次成分が打ち消されるものであり,
第3の変及び第4の変調は,第3の変調を受けた光,及び第4の変調を受けた光が合波部13で合波された際に,第3の変調を受けた光,及び第4の変調を受けた光に含まれる偶数次成分又は奇数次成分であって,第1の変調を受けた光及び第2の変調を受けた光のうち打ち消されるものと同じものが打ち消されるものであり,
第1の変調及び第3の変調は,第1の変調を受けた光及び第3の変調を受けた光が合波部13で合波された際に,第1の変調を受けた光及び第3の変調を受けた光に含まれる成分のうち少なくとも1つ以上の成分が平坦化されるものであり,
第2の変調及び第4の変調は,第2の変調を受けた光及び第4の変調を受けた光が合波部13で合波された際に,第2の変調を受けた光及び第4の変調を受けた光に含まれる成分のうち少なくとも1つ以上の成分が平坦化されるものであり,
これにより,第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11の変調信号の周波数の2倍の周波数を有する光コム信号を発生する,光コム発生方法である。
この方法は,上記したコム発生装置を用い,Nfの周波数間隔の光コムを発生する,光コム発生方法であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は,変調器の駆動電気信号帯域を超えた光周波数間隔を持つ光コム信号を安定して発生できる光コム発生装置及び光コム信号の発生方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0015】
本発明の第1の側面は,光コム発生装置に関する。光コム発生装置は,所定の周波数ごとに,強度が比較的そろった光信号を発生することができる装置である。例えば,光コム信号は,強度が比較的そろった領域における光信号の強度の分散が0.3以下であり,0.2以下でもよく,0.1以下でもよい。光コム発生装置(発生器)は,例えば,特許第5665038号公報に記載される通りすでに知られている。この光コム発生装置は,2つの光変調器を両方のアームに有するマッハツェンダー型の変調器によって実現される。特許第5665038号公報に記載される光コム発生器は,光の入力部と,入力部に入力した光が分岐する分岐部と,分岐部から分岐した光が伝播する第1の導波路と,分岐部(33)から分岐した上記とは別の光が伝播する第2の導波路と,第1の導波路と第2の導波路から出力される光信号が合波される合波部と,合波部で合波された光信号が出力される光信号の出力部とを含む導波路部分とを有する。さらにこの光コム発生装置は,第1の導波路を駆動する第1の駆動信号と第2の導波路を駆動する第2の駆動信号を得るための駆動信号系と;第1の導波路及び第2の導波路に印加するバイアス信号を得るためのバイアス信号系とを具備する。
【0016】
そして,駆動信号系及びバイアス信号系は,第1の駆動信号,第2の駆動信号及びバイアス信号を,ΔA±Δθ=π/2を満たすように駆動する。(ここで,ΔA及びΔθは,それぞれΔA≡(A
0−A
1)/2,及びΔθ≡(θ
0−θ
1)/2と定義され,A
0及びA
1はそれぞれ第1の駆動信号及び第2の駆動信号の電極への入力時における第1の駆動信号及び第2の駆動信号に誘導される光位相シフト振幅を示し,θ
0及びθ
1はそれぞれ第1の導波路及び第2の導波路内で光路長差及びバイアス信号などにより誘導される光位相シフト量を示す)。
【0017】
特許第5665038号公報に記載された光コム発生装置は,上記のように制御することで,周波数間隔がfの光コム信号を発生する。
【0018】
図1は,本発明の光コム発生装置1を説明するためのブロック図である。
図1に示されるように,この光コム発生装置1は,
入力光を分波する分波部3と,
分波部3が分波した第1の光が入力し,第1の変調を行う第1の光変調器5と,
分波部3が分波した第2の光が入力し,第2の変調を行う第2の光変調器7と,
分波部3が分波した第3の光が入力し,第3の変調を行う第3の光変調器9と,
分波部3が分波した第4の光が入力し,第4の変調を行う第4の光変調器11と,
第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11からの出力光が合波される合波部13と,
第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11に印加される駆動信号を制御する制御部15を有する。光変調器は,それぞれ,変調器本体の他位相シフタを有するものであってもよい。
【0019】
上記した各要素は,導波路(光ファイバを含む)や導線で接続され,光信号や電気信号を各要素に伝えることができるようにされている。分波部(分岐部)3及び合波部13の例は,フォトカプラである。光変調器の例は,周波数変調器,位相変調器,及び強度変調器である。光変調器は,LN基板上に設けられたものであってもよいし,シリコン上に設けられたものであってもよい。なお,第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11は,この順番に並べられている必要はない。
【0020】
そして,制御部15は,
第1の光変調器5及び第2の光変調器7は,第1の光変調器5及び第2の光変調器7からの出力光が合波部13で合波された際に,第1の光変調器5及び第2の光変調器7からの出力光に含まれる偶数次成分又は奇数次成分が打ち消され,
第3の光変調器9,及び第4の光変調器11は,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11からの出力光が合波部13で合波された際に,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11からの出力光に含まれる偶数次成分又は奇数次成分であって,第1の光変調器5及び第2の光変調器7からの出力光のうち打ち消されるものと同じものが打ち消され,
これにより,第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11の変調信号の周波数の2倍の周波数間隔を有する光コム信号を発生する。
【0021】
以下,駆動信号及びバイアス信号の制御例を具体的に説明する。第1の変調器,第2の変調器,第3の変調器,及び第4の変調器の変調信号a
0(t),a
1(t)a
2(t)及びa
3(t)を,それぞれ,以下のように定義する。
a
0(t)=A
0sin(2πf
0+θ
0),
a
1(t)=A
1sin(2πf
1+θ
1),
a
2(t)=A
2sin(2πf
2+θ
2),
a
3(t)=A
3sin(2πf
3+θ
3),
(ここで,A
0〜A
3は変調信号の振幅(駆動信号を光変調器の電極へ入力した際に駆動信号により誘導される光位相シフト振幅)であり,f
0〜f
3は駆動信号の駆動周波数であり,θ
0〜θ
3は駆動信号の位相成分である)
【0022】
各光変調器に印可される駆動信号の駆動周波数は等しいので,f
0=f
1=f
2=f
3=fである。
【0023】
この場合,θ
0〜θ
3は,第1の光変調器5及び第2の光変調器7からの光を合波した際に周波数fの間隔を有する光コム信号(第1のコム信号)が発生し,第3の光変調器9及び第4の光変調器11からの光を合波した際に周波数fの間隔を有する光コム信号(第2のコム信号)が発生するように調整される。その具体的な例は,θ
0=0,θ
1=π,θ
2=0,θ
3=πである。駆動信号系の位相を,光コム信号が発生するように調整する方法は,特許文献1及び特許文献2に記載されたように公知である。
【0024】
θ
0,θ
1,θ
2,θ
3の例は,θ
i=2πil/n(i=
0,
1,
2又は
3)としたときに,lを0又は1,n=2と設定し,θ
0=0,θ
1=π,θ
2=0,θ
3=πとすればよい。なお,nは,生成される光コムの周波数間隔の制御に用いられる変調器の分岐数である。ここでは,光コムのスペクトル平坦化を行うためにn本の分岐路を追加している。そのため,変調器の並列数は2nであり,この場合は,4本である。
【0025】
次に,バイアス信号系のバイアスは,以下の式を満たす。
|θ
b,0−θ
b,1|=π/2,
|θ
b,2−θ
b,3|=π/2,
(ここで,θ
b,0,θ
b,1,θ
b,2及びθ
b,3は,それぞれ,第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11に印加されるバイアス信号である。)なお,θ
b,0,θ
b,1,θ
b,2及びθ
b,3のいずれかは常に0であってもよいので,バイアス信号がすべての光変調器に印可される必要はない。
【0026】
θ
b,0,θ
b,1,θ
b,2,θ
b,3の関係については,例えば,後述の式Aにおいて,Lを0又は1,n=2と設定し,
【数1】
とすれば良い。ただし,この場合,x
2をx
0,x
3をx
1で置き換えてもよいし,x
2とx
0,x
3とx
1を置き換えてもよい。
【0027】
nは,生成される光コムの周波数間隔の制御に用いられる変調器の分岐数である。ここでは,光コムのスペクトル平坦化を行うためにn本の分岐路を追加している。そのため,変調器の並列数は2nであり,この場合は,4本である。本明細書では,ギリシャ文字のクサイをx又はXと表現することがある。
【0028】
このバイアス信号系を制御することにより,強めあう(又は打ち消し合う)成分の偶奇性を調整できる。偶数次成分及び奇数次成分とは,ある基準となる周波数位置から,2fの整数倍ずれている成分が偶数次成分,ある基準となる周波数位置から2fの整数倍にf加えた周波数ずれている成分が奇数次成分である。
【0029】
なお,後述する式(A)において,n=2と設定し,Lを0又は1に切り替えることで,偶数次又は奇数次を選択的に切り替えて出力できる。
【0030】
このようにバイアス信号を制御することで,第1のコム信号と第2のコム信号に含まれる信号のうち,残留させたい成分は位相がそろっているので強めあい,打ち消し合いたい成分は位相がπずれているので,打ち消し合うこととなる。その結果,2f[Hz]の間隔を有する光コム信号を得ることができることとなる。なお,第1のコム信号と第2のコム信号とが別々に得られて,それらが合波され,不要成分が打ち消されてもよい。一方,
図1に示した例では,合波部で合波が同時に行われるので,第1のコム信号と第2のコム信号とは存在しない。
【0031】
図2は,2f[Hz]間隔の光コム信号が得られることを示す概念図である。
図2(a)は,第1の光変調器及び第2の光変調器からの光を合波した際に得られる周波数fの間隔を有する光コム信号(第1のコム信号)を示す。
図2(b)は,第3の光変調器及び第4の光変調器からの光を合波した際に得られる周波数fの間隔を有する光コム信号(第2のコム信号)を示す。
図2(c)は,第1のコム信号と第2のコム信号を合波した際に得られる周波数間隔が2fの光コム信号を示す。
【0032】
この原理は,2つの位相変調器のペアが順次増えた場合でも同様である。例えば,光変調器が2n個存在する場合,i番目と(i+n)番目の駆動信号位相差をθ
i=2πil/nと設定すればよい。ここで,lはゼロでない任意の整数とする。このようにすることで,各光コムにおける取消したい成分の位相を所定量ずらすことができ,それらを合波した際には,打ち消すことができることとなる。バイアス信号系の制御も合わせて考えると,例えば,3f[Hz]間隔の光コム信号を得たい場合において,取り消したい成分の位相は,0,2π/3,4π/3となるので,その成分を合波した際に,取り消されることとなる。このようにして,3f[Hz]間隔を有する光コム信号を得ることができる。
【0033】
この概念を延長すると,上記した4個の光変調器に加えて,さらに,合計n個(nは1以上の整数)の変調器群,もしくは合計n個の第1の光変調器,及び,合計n個の第2の光変調器の群を有し,
これにより光変調器の変調周波数をfとした場合に,Nfの周波数間隔を有する光コムを発生することができる。ただし,Nは整数であり,1<=N<=nである。
【0034】
また,制御部15は,さらに,第1の光変調器5及び第3の光変調器9は,第1の光変調器5及び第3の光変調器9からの出力光が合波部13で合波された際に,第1の光変調器5及び第3の光変調器9からの出力光に含まれる成分のうち少なくとも1つ以上の成分が平坦化され,
第2の光変調器7及び第4の光変調器11は,第2の光変調器7及び第4の光変調器11からの出力光が合波部13で合波された際に,第2の光変調器7及び第4の光変調器11からの出力光に含まれる成分のうち少なくとも1つ以上の成分が平坦化されるように,駆動信号を制御する,
【0035】
この場合,制御部15は,第1の変調器,第2の変調器,第3の変調器,及び第4の変調器の変調信号を,
(A
0−A
2)/2±(θ
b,0−θ
b,2)/2=(2k+1/2)π,
(A
1−A
3)/2±(θ
b,1−θ
b,3)/2=(2m+1/2)π,
(k及びmは,整数)
を満たすように制御すればよい。このようにすることで,第1の光変調器5及び第2の光変調器7からの光を合波した際に周波数fの間隔を有する光コム信号(第1のコム信号)が発生し,第3の光変調器9及び第4の光変調器11からの光を合波した際に周波数fの間隔を有する光コム信号(第2のコム信号)の強度がそろうので,打ち消したい成分の強度もそろい,その結果,打ち消したい成分が理論的には完全に打ち消し合うこととなる。また,強めあいたい成分の強度もそろうので,得られる光コム信号の周波数間隔が広くなり,打ち消し合う成分も効果的に消滅する。
【0036】
上記は,光コムの周波数間隔を制御し,なおかつ光スペクトルの平坦化(各周波数成分の等強度化)を行ったが,これを両方適用する必要はない。
【0037】
コムの平坦化を行わない場合の一般化について説明する。
変調器は,n本の分岐パスを持つ並列構造を持ち,各分岐路においては,周波数fでの駆動電気信号光変調を行うことができる変調器(位相変調器,振幅変調器,周波数変調器)構造が設けられ,駆動信号に対して整数倍の高調波成分を生成し,光コム信号としてとり出せる機構を持つ。また,各分岐路には,光位相調整器が設けられる(
図3)。もしくは,光位相変調器及び振幅調整器が設けられる(
図4)。
図3は,各分岐路に光位相調整器が設けられた光コム発生器を示す概念図である。
図4は,各分岐路に光位相調整器及び振幅調整器が設けられた光コム発生器を示す概念図である。あるいは,変調器は,2n本の分岐パスを持つ並列構造を持ち,各分岐路においては,周波数fでの駆動電気信号光変調を行うことができる変調器(位相変調器,振幅変調器,周波数変調器)構造が設けられ,駆動信号に対して整数倍の高調波成分を生成し,光コム信号としてとり出せる機構を持ち,各分岐路には,光位相調整器が設けられる構造でも構わない(
図5)。
図5は,2n本の分岐パスを持つ並列構造を持つ光コム発生器を示す概念図である。
【0038】
各変調器は周波数fの駆動信号で駆動する。
f
0=f
1=f
2=…f
n-1=f
駆動信号は,正弦波駆動が望ましいが,周期信号(周期1/f)であれば良い。
【0039】
各分岐路内の変調器を駆動する信号が正弦波の場合,正弦波に対しθ
i=2πil/nの位相差を与え,a
i(t)=A
isin(2πf+θ
i)を駆動信号とすればよい。ただし,lは,0を除く任意の整数である。またiは,i番目分岐路を指し示すインデックスとし,順不同である。駆動信号が,正弦波でない場合,各分岐路内の変調器は同時間波形に対し,t(タウ)
i=i/nfの時間遅延を与えればよい。
【0040】
各分岐部路内の変調器構造で生成されるコムの各光周波数成分の次数をkとする。生成されるコムの各周波数成分は,入力光波長(f
in)に対し,f
k=f
in+kfとなる(
図6)。生成されるコムの中心成分次数をL,生成されるコム成分の次数間隔をNとし,変調器の並列数をnとする。
【0041】
バイアス条件の一般化
この時,以下の式(A)で示されるバイアスを各分岐路上の光位相調整器(
図3),もしくは光位相調整器,振幅調整器(
図4)又は
図5を用いて与えれば,上記の光周波数間隔の調整された光コムを生成することができる。
【0042】
【数2】
式(A)
ただし,
【数3】
は,複素数であり,0,1,..n−1番目の分岐路に与えるバイアス値(位相,振幅調整値)とする。ただし以下,|x
i|は,簡単のため,0以上1以下の値とする。|x
i|は,各分岐路に与える損失を表し,0の場合は,この分岐路の光の伝搬が完全にブロックされることを示す。1の場合は,この分岐路の損失が無いことを示す。各分岐路に増幅器を設け|x
i|>=1の状況を作ることができる。また,x
iに,分岐路製作時の不完全性に起因する損失,位相シフトを含めることができる。これらの場合には,|x
i|の最大値を1に規格化するなどして,以下を読み替えればよい。
【0043】
図4の場合は|x
i|, arg(x
i)の値をそれぞれの分岐路内の光位相調整器,光振幅調整器を用いて与えれば良い。
【0044】
第1の駆動方法
|x
0|=|x
1|=…=|x
n-1|
を満たす場合には,各分岐路内に光位相調整器のみを設ければ良い。これは,例えば,n=Nが満たされるときには,常に成り立つ。例えばn=N=8の場合,8並列変調器構成で,各分岐路に光位相調整器を設ければ,光振幅調整器を設けなくてもよい。この時,中心周波数Lfの値にかかわらず8f間隔の光コムが生成される。
【0045】
第2の駆動方法
図5の場合は,2n並列変調器構成により,任意のx
iを設定することが可能となる。i番目の分岐路とi+n番目をペアとし,協調駆動すればよい。各分岐路に光位相調整器を設ければ,光振幅調整器を設けなくても任意のバイアス値を達成できる。協調駆動のための条件は以下のとおりである。
1.i番目の分岐路とi+n番目の変調器の駆動信号は同じ時間波形を持つこと
2.i番目の分岐路とi+n番目の変調器の駆動信号は位相差を持たないこと
3.与えるべきx
iに対し,i番目の分岐路とi+n番目の分岐路における光位相調整器(光位相シフタ)に与える値を以下とすること
【0047】
ただし,|x
i|は,簡単のため,0以上1以下の値とする。
【0048】
第3の駆動方法
図4および
図5の場合には,光コムの角周波数成分の値を(周波数軸上での周期nfにより)任意の振幅,位相値に調整することが可能となる。k次の周波数成分をハットつき
ξ
kの値(複素数)に調整したい場合,
【0050】
に対するフーリエ級数値もしくは,その比例値を
【0051】
【数6】
として与えればよい。周波数軸上での周期nfを拡張し,より広帯域な範囲での光コム信号の振幅,位相の制御を行う場合には,並列数nを拡大すればよい。ハットつきXからXへの変換への変換は,離散フーリエ変換により得られ,高速フーリエ変換等の数値計算アルゴリズムを用いて求めてもよい。
【0052】
図3の場合は,nがNより小であり,Nがnで割り切れる場合に適用できる。
この場合,並列数nの変調器構成により,各分岐路に光位相調整器を設ければ,光振幅調整器を設けなくても,Nf間隔の光コムを生成することができる。
【0053】
この場合,式(A)において,|x
i|は0もしくは1の値しか取りえない。
|x
i|=1に相当する分岐路に対しては,arg(x
i)の光位相シフトを与えればよい。|x
i|=0の分岐路数はn(1−N
−1)であり,常に2以上であるから,これらの分岐路からの光を干渉させ打ち消すことができる。そのための条件は以下のとおりである。
【0054】
1.|x
i|=0に相当する分岐路に対する駆動信号を同じ時間波形,同位相とし,同変調度とする。
2.1の代替手段として,|x
i|=0に相当する分岐路に対する駆動信号をオフとし,光変調を施さない。
3.1もしくは2の条件に加え,|x
i|=0に相当する分岐路のバイアス値として以下の位相調整量(位相シフト量)を与える。
【数7】
【0055】
第4の駆動方法
次に,生成される光コムの平坦化を行う場合について述べる。
図3もしくは
図4もしくは
図5の構成により,各分岐路に与えるバイアスを先に説明した方法に従って調整することにより,光コムの周波数成分をキャンセルし,スペクトルの平坦化が図れる(駆動方法C)。一方,異なる光スペクトルを持つ光コムを組み合わせ,平坦な光コムを得ることもできる.
図5のように,変調器分岐数を2nとし,2つの分岐路から出力される光コムの組み合わせにより,出力光コムのスペクトル平坦化を行ってもよい。(平坦化の定義)例えば,i番目と(i+n)番目の光変調器を組み合わせ,これらを以下の条件で駆動すればよい。
【0057】
ただし,mは任意の整数値とする。(駆動方法D)
【0058】
より一般的には,3つ以上の分岐路から出力される異なる光スペクトル形状を持つ光コムの組み合わせにより,平坦な光スペクトルを持った平坦光コムを合成することも可能である。
【0059】
光周波数間隔の調整,及びスペクトル平坦化を両立することができる。例えば
図3の方法と駆動方法Cの方法を組み合わせる場合には,2n分岐路の変調器構造を用い,これを上記の駆動方法Cで駆動すれば良い。あるいは,
図5の方法と(駆動方法D)の方法を組み合わせる場合には,4n分岐路の変調器構造を用い,これを上記の条件駆動方法Dで駆動すれば良い。
図6は,変調器分岐数を2nとし,2つの分岐路から出力される光コムの組み合わせにより,出力光コムのスペクトル平坦化を行った場合の入力光(上図)と出力光コム(下図)を示す。
【0060】
また,上記バイアスでLの値(整数値)を制御することにより,複数の周波数シフト値を動的に選択できる,光周波数シフタや,複数の周波数間に信号を載せられる多値光FSKとしても活用できる(
図7)。また,上記バイアス制御に関する条件や駆動信号に関する条件は,理想値であり,誤差があったとしても(例えば10%程度),その値周辺で所望の動作が得られる(その場合不要な光成分が放射される)。
【0061】
制御部15の例は,電源と接続されたコンピュータである。コンピュータは,入出力部,制御部,演算部及び記憶部を有し,各要素はバスなどで情報を授受できるように接続されている。そして,制御部は,記憶部に記憶された制御プログラムの指令を受けて適宜,入力された情報や,記憶部に記憶された情報を読み出して,演算を行い,演算結果を記憶部に記憶するとともに,出力部から出力する。本発明においては,制御部は,電源に対して所定の駆動信号やバイアス信号を出力するための制御信号を出力する。
【0062】
本発明の光周波数コム発生装置は,光コム信号の発生位置の変化を情報として印可できる光コムFSK(周波数シフト変調)器をも提供する。印加する情報が2値の場合,
図1に示される光コム発生装置において,強めあう又は弱めあう光信号の偶奇性を変化させることを0又は1の2値データとして制御することで光コムを用いた光FSK変調器として機能させることができる。先に説明したとおり,光コム信号の偶奇性は,制御部15において駆動信号やバイアス信号を制御することで容易に得ることができる。すると,光コム信号という複数周波数を同時に有する信号を用いて周波数変調を行うことができるので,傍受された際に解読されにくい通信技術を提供できることとなる。
【0063】
例えば,4f[Hz]間隔の光コム信号の場合,ある基準周波数点から,(4m+1)f[Hz],(4m+2)f[Hz],(4m+3)f[Hz],(4m+4)f[Hz](m=0,1,2,3,・・・・)ずれた光コム群のいずれかを出力するように制御することにより,光コム信号に対し4値の情報を載せることができることとなる。
【0064】
図8は,4f[Hz]間隔の光コム信号を,FSK信号として用いたものの例を示す。この光コム信号は,8個の光変調器が並列に並んだ系を用いて実現できる。
図8(a)は,基準値4mf{hz]の他に(4m+4)f[Hz](m=0,1,2,3,・・・・)の位置に信号がある光コム信号の例を示す。
図8(b)は,ある基準周波数点から,(4m+1)f[Hz]ずれた光コム信号の例を示す。
図8(c)は,ある基準周波数点から,(4m+2)f[Hz]ずれた光コム信号の例を示す。
図8(d)は,ある基準周波数点から,(4m+3)f[Hz]ずれた光コム信号の例を示す。この例では,
図8(a),
図8(b),
図8(c),及び
図8(d)を選択的に切り替えることで,光コム信号にコム信号の周波数の変化による4値の情報を載せることができる。
【0065】
本発明の光周波数コム発生装置に用いられる光源として,連続光(CW)を出力できる光源があげられ,分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)があげられる。定光出力動作タイプのDFBレーザが,高い単一波長選択性を有するので好ましい。光の帯域として,C−bandのみならず,その長波側のL−band 又はその短波側のS−bandであってもよい。光強度として,1mW〜50mWがあげられる。
【0066】
本発明の光周波数コム発生装置に用いられる導波路として,光変調器に用いられる公知の導波路を適宜用いることができる。本発明の光変調器の好ましい態様は,マハツェンダ型光変調器であるから,以下マハツェンダ型光変調器を中心に説明する。通常,マハツェンダ導波路や電極は基板上に設けられる。基板及び各導波路は,光を伝播することができるものであれば,特に限定されない。例えば,LN基板上に,Ti拡散のニオブ酸リチウム導波路を形成しても良いし,シリコン(Si)基板上に二酸化シリコン(SiO
2)導波路を形成しても良い。また,InPやGaAs基板上にInGaAsP,GaAlAs導波路を形成した光半導体導波路を用いても良い。基板として,XカットZ軸伝搬となるように切り出されたニオブ酸リチウム (LiNbO
3:LN)が好ましい。これは大きな電気光学効果を利用できるため低電力駆動が可能であり,かつ優れた応答速度が得られるためである。この基板のXカット面(YZ面)の表面に光導波路が形成され,導波光はZ軸(光学軸)に沿って伝搬することとなる。Xカット以外のニオブ酸リチウム基板を用いても良い。また,基板として,電気光学効果を有する三方晶系,六方晶系といった一軸性結晶,又は結晶の点群がC
3V,C
3,D
3,C
3h,D
3hである材料を用いることができる。これらの材料は,電界の印加によって屈折率変化が伝搬光のモードによって異符号となるような屈折率調整機能を有する。具体例としては,ニオブ酸リチウムの他に,タンタル酸リチウム (LiTO
3:LT),β−BaB
2O
4(略称BBO),LiIO
3等を用いることができる。
【0067】
本発明の光周波数コム発生装置は,変調電極を有する。この変調電極は,各アームに別々に設けられてもよいし,ひとつの電極に2種類の駆動信号が印加されるものであってもよい。変調電極として,進行波型電極または共振型電極があげられ,生成する光周波数間隔を特定の値にする場合には共振型電極の使用が可能であるが,光周波数間隔を自由に設計するためには,変調電極として進行波型電極を使用することが好ましい。2つのアームに印加される変調信号として,例えば繰返し周波数が一定の周期信号があげられ,具体的には正弦波信号があげられる。正弦波信号などの周期信号の周波数をωとすると,周波数ωの変調信号を印加した場合,本発明の光周波数コム発生装置から周波数ωの間隔を持った光周波数コムが生成される。ただし,本発明の光周波数コム発生装置から出力される光周波数コムを構成するスペクトルの間隔が一定でなくてもよい場合は,駆動信号として繰返し周波数が一定ではなくてもよく,例えば時間とともに駆動信号の周波数が変化する信号を用いてもよい。
【0068】
変調電極は,好ましくは高周波電気信号源と接続される。高周波電気信号源は,変調電極へ伝達される信号を発生するためのデバイスであり,公知の高周波電気信号源を採用できる。変調電極に入力される高周波信号の周波数(f
m)として,例えば1GHz〜100GHzがあげられる。高周波電気信号源の出力としては,一定の周波数を有する正弦波があげられる。なお,この高周波電気信号源の出力には位相変調器が設けられ,出力信号の位相を制御できるようにされていることが好ましい。なお,高周波電気信号源から出力された電気信号は,分岐され,分岐された一方の電気信号は変調器(遅延器)などで位相などが調整されて変調電極へ印加されるものがあげられる。
【0069】
変調電極は,たとえば金,白金などによって構成される。変調電極の幅としては,1μm〜10μmがあげられ,具体的には5μmがあげられる。変調電極の長さとしては,変調信号の波長の(f
m)の0.1倍〜0.9倍があげられ,0.18〜0.22倍,又は0.67倍〜0.70倍があげられ,より好ましくは,変調信号の共振点より20〜25%短いものがあげられる。このような長さとすることで,スタブ電極との合成インピーダンスが適度な領域に留まるからである。より具体的な変調電極の長さとしては,3250μmがあげられる。以下では,共振型電極と,進行波型電極について説明する。
【0070】
進行波型電極として,好ましくは,いわゆる対称型の接地電極配置(進行波型の信号電極の両側に,少なくとも一対の接地電極が設けられているもの)を採用するものがあげられる。このように,信号電極を挟んで接地電極を対称に配置することによって,信号電極から出力される高周波は,信号電極の左右に配置された接地電極に印加されやすくなるので,高周波の基板側への放射を,抑圧できる。
【0071】
バイアス信号系は,印加されるバイアス電圧を制御するための信号系である。バイアス信号系は,具体的には,バイアス電源系とバイアス調整電極を含む。バイアス調整電極は,バイアス電源系に接続され2つのアーム間のバイアス電圧を制御することにより,2つのアームを伝播する光の位相を制御するための電極である。バイアス調整電極へは,好ましくは通常直流または低周波信号が印加される。ここで低周波信号における「低周波」とは,例えば,0Hz〜500MHzの周波数を意味する。なお,この低周波信号の信号源の出力には電気信号の位相を調整する位相変調器が設けられ,出力信号の位相を制御できるようにされていることが好ましい。
【0072】
変調電極とバイアス調整電極とは,別々に構成されてもよいし,ひとつの電極がそれらを兼ねたものでもよい。すなわち,変調電極は,DC信号とRF信号とを混合して供給する給電回路(バイアス回路)と連結されていてもよい。
【0073】
なお,本発明の光周波数コム発生装置においては,各電極に印加される信号のタイミングや位相を適切に制御するため,各電極の信号源と電気的に(又は光信号により)接続された制御部が設けられることが好ましい。そのような制御部は,変調電極及びバイアス調整電極に印加される信号の変調時間を調整するように機能する。すなわち,各電極による変調が,ある特定の信号に対して行われるように,光の伝播時間を考慮して調整する。この調整時間は,各電極間の距離などによって適切な値とすればよい。
【0074】
本発明の光周波数コム発生装置は,基板,基板上に設けられた導波路,電極,信号源,などからなるものであってもよい。そして,導波路の形成方法としては,チタン拡散法等の内拡散法やプロトン交換法など公知の形成方法を利用できる。すなわち,本発明の光周波数コム発生装置は,例えば以下のようにして製造できる。まず,ニオブ酸リチウムのウエハー上に,フォトリソグラフィー法によって,チタンをパターニングし,熱拡散法によってチタンを拡散させ,光導波路を形成する。この際の条件は,チタンの厚さを100〜2000オングストロームとし,拡散温度を500〜2000℃とし,拡散時間を10〜40時間とすればよい。基板の主面に,二酸化珪素の絶縁バッファ層(厚さ0.5〜2μm)を形成する。次いで,これらの上に厚さ15〜30μmの金属メッキからなる電極を形成する。次いでウエハーを切断する。このようして,チタン拡散導波路が形成された光変調器が形成される。
【0075】
光周波数コム発生装置は,また,たとえば以下のようにしても製造できる。まず基板上に導波路を形成する。導波路は,ニオブ酸リチウム基板表面に,プロトン交換法やチタン熱拡散法を施すことにより設けることができる。例えば,フォトリソグラフィー技術によってLN基板上に数マイクロメートル程度のTi金属のストライプを,LN基板上に列をなした状態で作製する。その後,LN基板を1000℃近辺の高温にさらしてTi金属を当該基板内部に拡散させる。このようにすれば,LN基板上に導波路を形成できる。
【0076】
また,電極は上記と同様にして製造できる。例えば,電極を形成するため,光導波路 の形成と同様にフォトリソグラフィー技術によって,同一幅で形成した多数の導波路の両脇に対して電極間ギャップが1マイクロメートル〜50マイクロメートル程度になるように形成することができる。
【0077】
なお,シリコン基板を用いる場合は,たとえば以下のようにして製造できる。シリコン(Si)基板上に火炎堆積法によって二酸化シリコン(SiO
2)を主成分とする下部クラッド層を堆積し,次に,二酸化ゲルマニウム(GeO
2)をドーパントとして添加した二酸化シリコン(SiO
2)を主成分とするコア層を堆積する。その後,電気炉で透明ガラス化する。次に,エッチングして光導波路部分を作製し,再び二酸化シリコン(SiO
2)を主成分とする上部クラッド層を堆積する。そして,薄膜ヒータ型熱光学強度変調器及び薄膜ヒータ型熱光学位相変調器を上部クラッド層に形成する。
【0078】
本発明の光コム発生方法の工程例は以下のとおりである。
分波部3が,入力光を分波する。
分波部3が分波した第1の光が第1の光変調器5に入力し,第1の変調を受ける。
分波部3が分波した第2の光が第2の光変調器7に入力し,第2の変調を受ける。
分波部3が分波した第3の光が第3の光変調器9に入力し,第3の変調を受ける。
分波部3が分波した第4の光が第4の光変調器11に入力し,第4の変調を受ける。
第1〜第4の変調は通常同時に行われる。
【0079】
第1の変調を受けた光,第2の変調を受けた光,第3の変調を受けた光,及び第4の変調を受けた光が合波部13で合波される。
【0080】
一方,制御部15は,第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11へ印加される駆動信号及びバイアス信号を調整する。
その結果,第1の変調を受けた光,第2の変調を受けた光,第3の変調を受けた光,及び第4の変調を受けた光が合波部13で合波される際に,
第1の変調及び第2の変調は,第1の変調を受けた光,第2の変調を受けた光が合波部13で合波された際に,第1の変調を受けた光及び第2の変調を受けた光に含まれる偶数次成分又は奇数次成分が打ち消されるものであり,
第3の変及び第4の変調は,第3の変調を受けた光,及び第4の変調を受けた光が合波部13で合波された際に,第3の変調を受けた光,及び第4の変調を受けた光に含まれる偶数次成分又は奇数次成分であって,第1の変調を受けた光及び第2の変調を受けた光のうち打ち消されるものと同じものが打ち消される。これにより,第1の光変調器5,第2の光変調器7,第3の光変調器9,及び第4の光変調器11の変調信号の周波数の2倍の周波数を有する光コム信号を発生する,光コム発生方法。
【0081】
さらに,好ましい態様では,
第1の変調及び第3の変調は,第1の変調を受けた光及び第3の変調を受けた光が合波部13で合波された際に,第1の変調を受けた光及び第3の変調を受けた光に含まれる成分のうち少なくとも1つ以上の成分が平坦化されるものであり,
第2の変調及び第4の変調は,第2の変調を受けた光及び第4の変調を受けた光が合波部13で合波された際に,第2の変調を受けた光及び第4の変調を受けた光に含まれる成分のうち少なくとも1つ以上の成分が平坦化されるものである。
これにより変調信号の周波数の2倍の周波数を有する平坦な光コム信号を発生することができる。
【実施例1】
【0082】
図9は,実施例1における光コム発生装置のブロック図である。本発明の原理を実証するため,
図9に示される4つの光変調器を並列に並べた系を想定した。各電極に印加される駆動信号及びバイアス信号は,以下を想定した。
【0083】
A
0=A
1=16.10 [rad],
A
2=A
3=15.31 [rad],
θ
0=θ
2=0,
θ
1=θ
3= 1.570 [rad],
θ
b,0=−0.785[rad],
θ
b,1=0.785[rad],
θ
b,2=0[rad],
θ
b,3=−1.570[rad],
f
0=f
1=f
2=f
3=25[GHz]。
【0084】
図10は,出力信号を示す図面に替るグラフである。
図10(a)は,第1の光変調器(#1)からの出力信号を示す。
図10(b)は,合波信号の出力を示す。
図10に示される通り,比較的強度のそろった周波数間隔が2f[Hz]の光コム信号を得ることができることが示された。
【実施例2】
【0085】
実施例1と同様にして,周波数間隔が2f[Hz],3f[Hz],4f[Hz]及び8f[Hz]の光コム信号を得る場合を想定し,その出力をシミュレートした。その結果を
図11に示す。
図11は,本発明に基づいて得られる多周波数間隔光コム信号を示す図面に替るグラフである。縦軸は光強度(任意単位)であり,横軸は周波数オフセットである。