特許第6841470号(P6841470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841470
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】すべり支持体
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/02 20060101AFI20210301BHJP
   F16C 33/10 20060101ALI20210301BHJP
   B66C 1/10 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   F16C29/02
   F16C33/10 Z
   B66C1/10 Q
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-228940(P2016-228940)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-84309(P2018-84309A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】518126144
【氏名又は名称】株式会社三井E&Sマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 誠也
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−203267(JP,A)
【文献】 特開2014−188546(JP,A)
【文献】 中国実用新案第205415129(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/00−31/06
F16C 17/00−17/26
F16C 33/00−33/28
B66C 1/00− 3/20
B23Q 1/00− 1/76
B23Q 9/00− 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの部材の間に配置されて、一方の前記部材に固定されるとともに他方の前記部材の当接面と当接して、二つの前記部材を一軸方向に摺動可能に支持するすべり支持体において、
前記当接面に当接するすべり面と、このすべり面に形成されて二つの前記部材の相対的な摺動方向に沿って延在して一本の連続する油溝とを備えていて、
前記油溝が、前記摺動方向の両端部にそれぞれ形成される開口部と、二つの前記開口部を連通して前記摺動方向を長手方向とする導入部と、この導入部の途中に形成され前記すべり面の面方向に沿って且つ前記摺動方向に略直交する方向を長手方向とする保持部とを有していて、
前記保持部の一端に前記導入部が連結されていて、前記保持部の他端に他の前記導入部が連結されるとともに、二つの前記開口部にはそれぞれ前記導入部が連結されていることを特徴とするすべり支持体。
【請求項2】
前記開口部に連結される前記導入部が、前記摺動方向に平行となる部分を有する請求項1に記載のすべり支持体。
【請求項3】
前記当接面に塗布されるグリースを前記油溝に導く構成を前記開口部が有する請求項1または2に記載のすべり支持体。
【請求項4】
二つの部材の間に配置されて、一方の前記部材に固定されるとともに他方の前記部材の当接面と当接して、二つの前記部材を一軸方向に摺動可能に支持するすべり支持体において、
前記当接面に当接するすべり面と、このすべり面に形成されて二つの前記部材の相対的な摺動方向に沿って延在して一本の連続する油溝とを備えていて、
前記油溝が、前記摺動方向の両端部にそれぞれ形成される開口部と、二つの前記開口部を連通して前記摺動方向を長手方向とする導入部と、この導入部の途中に形成され前記すべり面の面方向に沿って且つ前記摺動方向に略直交する方向を長手方向とする保持部とを有していて、
前記保持部の一端に前記導入部が連結されていて、前記保持部の他端に他の前記導入部が連結されるとともに、
摺動方向と平行な状態で軸方向が設定されている前記導入部と、この導入部の一端と他端とにそれぞれ連結される二つの前記保持部とを有していて、
一方の前記保持部と他方の前記保持部とで軸方向の傾きが逆方向となる構成を有することを特徴とするすべり支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの部材の間に配置されて二つの部材を一軸方向に摺動可能に支持するすべり支持体に関し、詳しくはすべり面の潤滑性を良好に維持できるすべり支持体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナを荷役する岸壁クレーンや門型クレーン(以下、クレーンと総称することがある)のスプレッダ(吊具)の構造が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のスプレッダは、クレーンのトロリからロープで吊り下げられる本体と、水平方向に摺動可能な状態で本体に支持されるアームとを備えていた。アームの摺動により、大きさの異なるコンテナを荷役することを可能としていた。
【0004】
アームにはすべり支持体が配置されていて、このすべり支持体のすべり面が本体の当接面と接触しつつ摺動する。
【0005】
アームの摺動は荷役対象のコンテナの大きさに合わせて比較的頻繁に行われる。そのためすべり面と当接面との間にグリースを塗布したとしても、アームの摺動にともないすべり面のグリースの量が減少して、すべり面が本体の当接面に固着する不具合があった。
【0006】
クレーンにおいては、スプレッダの重量が大きくなるほど吊り上げ可能なコンテナの重量が制限される。またスプレッダの平面外形寸法は決定されているので、スプレッダの高さを増加させるとコンテナを吊り上げ可能な揚程が制限される。そのため、すべり面と当接面との間にグリースを常時供給する供給装置を、スプレッダに設置することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−292456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的はすべり面の潤滑性を良好に維持できるすべり支持体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明のすべり支持体は、二つの部材の間に配置されて、一方の前記部材に固定されるとともに他方の前記部材の当接面と当接して、二つの前記部材を一軸方向に摺動可能に支持するすべり支持体において、前記当接面に当接するすべり面と、このすべり面に形成されて二つの前記部材の相対的な摺動方向に沿って延在して一本の連続する油溝とを備えていて、前記油溝が、前記摺動方向の両端部にそれぞれ形成される開口部と、二つの前記開口部を連通して前記摺動方向を長手方向とする導入部と、この導入部の途中に形成され前記すべり面の面方向に沿って且つ前記摺動方向に略直交する方向を長手方向とする保持部とを有していて、前記保持部の一端に前記導入部が連結されていて、前記保持部の他端に他の前記導入部が連結されるとともに、二つの前記開口部にはそれぞれ前記導入部が連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のすべり支持体によれば、二つの部材が摺動する際に保持部の中のグリースが保
持部の外に排出されることを抑制できる。グリースが保持部の中で保持され易くなるので、すべり面の潤滑性を良好に維持するには有利である。これによりすべり面と当接面とが固着する不具合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のすべり支持体が設置されるスプレッダを例示する説明図である。
図2】本発明のすべり支持体がスプレッダに設置される状態を例示する説明図である。
図3図2のすべり支持体を斜視で例示する説明図である。
図4図3のすべり支持体を平面視で例示する説明図である。
図5図4の油溝の比較例を例示する説明図である。
図6図4の油溝の変形例を例示する説明図である。
図7図4の油溝の変形例を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のすべり支持体を図に示した実施形態に基づいて説明する。なお、図中では二つの部材の摺動方向を矢印y、この摺動方向yを直角に横断する直交方向を矢印x、上下方向を矢印zで示している。
【0013】
図1および2に例示するように本発明のすべり支持体1は、クレーンのスプレッダ2に設置されている。このスプレッダ2は、岸壁クレーンや門型クレーンのトロリからワイヤロープにより吊下げられる本体3と、この本体3の両側から水平方向にそれぞれ延在する複数のアーム4とを備えている。アーム4は外側の端部に設置される吊り金物を有している。コンテナを荷役する際にはこの吊り金物によりスプレッダ2とコンテナとが連結される。
【0014】
それぞれのアーム4はコンテナの長手方向に沿って延在している。アーム4の延在方向に沿ってアーム4は摺動可能な状態で本体3に支持されている。つまりコンテナの長手方向とアーム4の摺動方向yとが平行となる。このアーム4の摺動によりスプレッダ2は異なる長さのコンテナを荷役することができる。
【0015】
図2に例示するようにすべり支持体1は、一方の部材である本体3と、他方の部材であり摺動方向yに摺動するアーム4との間に配置されている。すべり支持体1は本体3とそれぞれのアーム4との間にそれぞれ配置されている。
【0016】
この実施形態ではすべり支持体1は、本体3の内側の底面に固定されている。すべり支持体1の上面となるすべり面5が、アーム4の下面となる当接面4aに当接している。すべり支持体1は、アーム4の荷重を支持しつつ、アーム4を摺動方向yに摺動させることができる。
【0017】
すべり支持体1の配置位置は上記に限らず、一方の部材に固定され、他方の部材に摺動可能な状態で当接できればよい。例えばすべり支持体1をアーム4の下面に固定してもよい。このときすべり支持体1の下面となるすべり面5が本体3の内側の底面と当接する。
【0018】
また本体3の内側の上面とアーム4の上面となる当接面との間にすべり支持体1を配置する構成にしてもよい。本体3とアーム4との間であれば任意の場所にすべり支持体1を配置することができ、例えばアーム4の上面側と下面側など複数の場所にすべり支持体1を配置する構成にしてもよい。
【0019】
図3および図4に例示するように、すべり支持体1は、アーム4の当接面4aと当接するすべり面5と、すべり面5に形成され摺動方向yに沿って延在して一本の連続する油溝
6とを備えている。この油溝6は、すべり面5の一部を刳り貫いて形成される凹型の溝であり、油溝6の軸方向に直交する断面形状が長方形に形成されている。油溝6はエンドミル等を使用したフライス加工により形成することができる。
【0020】
本明細書において油溝6の軸方向とは、油溝6の延在する方向に沿った方向をいう。油溝6には、常温で半固体状または固体状のグリースがスプレッダ2の組立時に予め配置される。
【0021】
油溝6は、すべり面5において摺動方向yの両端部にそれぞれ形成される開口部7と、この二つの開口部7を連通する導入部8と、導入部8の途中に形成される保持部9とを有している。図4では説明のため開口部7と導入部8と保持部9の境界を破線で示している。
【0022】
この実施形態では複数の保持部9が間隔をあけて配置されている。隣接する保持部9の間はそれぞれ導入部8が配置されている。つまり二つの開口部7の間に、導入部8と保持部9とが交互に配置されている。
【0023】
図4に例示するように導入部8は摺動方向yに沿って延設されている。この実施形態では導入部8の軸方向と摺動方向yとのなす角θ1が例えば15度に設定されている。摺動方向yに対する導入部8の軸方向の傾きは、保持部9により複数に分割されている導入部8のすべてにおいて同一方向となっている。つまり複数に分割されている導入部8の軸方向の傾きは、摺動方向yから反時計回りに15度回転する傾きとなっている。
【0024】
保持部9は摺動方向yに略直交する直交方向xに沿って延設されている。この実施形態では保持部9の軸方向と摺動方向yとのなす角θ2が例えば90度に構成されている。摺動方向yに対して保持部9の軸方向が時計回りに90度回転する傾きとなっている。本明細書において略直交とは保持部9の軸方向と摺動方向yとのなす角θ2が例えば80度以上100度以下となる範囲をいう。
【0025】
摺動方向yにおいてすべり支持体1の両端部には、すべり支持体1を本体3にボルト等で固定するための固定部10を形成してもよい。固定部10はボルト穴などで構成することができる。本体3にすべり支持体1を固定する構成は上記に限らず、すべり支持体1のすべり面5と対向する背面にボルト穴を形成する構成にしてもよく、溶接等により固定してもよい。
【0026】
アーム4が摺動方向yに沿って摺動すると、すべり支持体1のすべり面5に対してアーム4の当接面4aが滑りながら相対的に移動する。アーム4に対してすべり支持体1が例えば図4の左方側に相対的に移動する場合、油溝6の中に配置されているグリースが、当接面4aとの間の摩擦力により図4の右方向きの力を受ける。図4において説明のためグリースが受ける力の方向を矢印で示す。
【0027】
保持部9の軸方向は摺動方向yと直交する方向であるため、保持部9の中に配置されているグリースは摺動方向yの摩擦力を受けたとしても保持部9の軸方向(直交方向x)にほとんど移動しない。アーム4が摺動を繰り返したとしても保持部9の中のグリースが移動して保持部9の外に排出されることがほとんどない。そのため、保持部9はグリースが充填された状態を維持し易くなる。すべり支持体1のすべり面5の潤滑性を良好に維持するには有利である。
【0028】
すべり面5と当接面4aとの間にグリースを常時供給する供給装置等を設置することが困難なスプレッダ2などの構造体においても、すべり支持体1はすべり面5の潤滑性を良
好に維持することができる。
【0029】
比較例として例えば油溝6が摺動方向yに平行な直線のみで構成される場合、アーム4等の部材との摩擦により油溝6の中のグリースは摺動方向yに移動して油溝6の外に排出されてしまう。アーム4等の部材の摺動にともない油溝6の中に配置されているグリースの量が減少するため、二つの部材の間のスムーズな摺動が阻害され、部材どうしが固着する不具合が生じる。
【0030】
本発明ではアーム4の下面となる当接面4aに比較的粘性の高いグリースを塗布しておくと、アーム4の摺動にともない当接面4aに塗布されたグリースが開口部7から油溝6の中に導かれる。図4に例示するように開口部7は外側となる開口端に向かって拡大する形状とすることが望ましい。開口部7において摺動方向yと直交する方向の断面積が開口端に向かって大きくなるため、当接面4aに塗布されたグリースを油溝6の内部に取り込み易くなる。
【0031】
図5に比較例として導入部8と保持部9とが交差する状態で配置され、油溝6が複数本の経路を組み合わせた構成を示す。この比較例では開口部7から取り込まれるグリースは、摺動方向yの力を受けた際に導入部8に沿って移動するのみであり、導入部8から保持部9にほとんど移動しない。保持部9にはグリースが補充されないため、アーム4の摺動を繰り返しているうちに保持部9の中のグリースの量が減少して、すべり面5の潤滑性を維持し難くなる。
【0032】
これに対して図4に例示するように本発明のすべり支持体1の油溝6は一本の連続する経路で構成されている。本明細書において一本の連続する経路とは、一方の開口部7から他方の開口部7に至る一つながりの経路であり、途中で分岐がない経路をいう。
【0033】
油溝6が一本の連続する経路で構成されているため、開口部7から取り込まれるグリースは導入部8から保持部9に向かって押込まれていく。導入部8から押込まれるグリースによって保持部9の中のグリースは保持部9の軸方向である直交方向xに押込まれる。そのためアーム4等の部材の摺動にともない保持部9はグリースを充填された状態となる。保持部9にグリースを供給することができるため、保持部9にグリースが充填された状態を維持し易くなる。
【0034】
アーム4等の摺動にともなう当接面4aとの摩擦では、保持部9に充填されたグリースはその軸方向に移動しない。つまり保持部9にグリースが十分に充填され、かつ新たなグリースが導入部8から供給されない限り、保持部9の中のグリースは保持部9の軸方向に移動しない。そのため保持部9の中に保持されるグリースが不足する可能性がほとんどない。
【0035】
すべり支持体1は、開口部7と一本の連続する油溝6とを備えているため、当接面4aへのグリースの塗布により、開口部7と導入部8とを経由させて保持部9にグリースを供給することができる。当接面4aへのグリースの塗布は、本体3からアーム4を突出させた状態で行えるので、スプレッダ2の分解等をすることなく保持部9へのグリースの供給が可能となる。
【0036】
すべり支持体1の摺動方向yにおける両端となる側面から開口部7を観察することができるため、すべり支持体1のすべり面5の摩耗量を確認することができる。すべり面5が摩耗するほど、すべり支持体1の側面から観察できる開口部7の開口面積が小さくなるからである。
【0037】
導入部8の軸方向と摺動方向yとのなす角θ1の角度は前述の実施形態に限定されない。アーム4等の部材の摺動にともないグリースが摺動方向yに移動可能な構成であればよい。つまりなす角θ1が90度でなければよい。
【0038】
なす角θ1が小さいほど、アーム4等の摺動にともない発生する摩擦力により導入部8の中のグリースが移動し易くなり、保持部9にグリースを供給し易くなる。そのため、なす角θ1は0度以上45度以下の範囲で設定することが望ましい。更に望ましくはなす角θ1は0度以上30度以下の範囲で設定する。なす角θ1の傾きの方向は摺動方向yから時計回りであってもよく、反時計回りであってもよい。
【0039】
保持部9の軸方向と摺動方向yとのなす角θ2の角度は前述の実施形態に限定されない。当接面4aとの摩擦によりグリースが保持部9の軸方向にほとんど移動しない構成であればよい。例えばなす角θ2を80度以上100度以下の範囲で設定することができる。なす角θ2の傾きの方向は摺動方向yから時計回りであってもよく、反時計回りであってもよい。
【0040】
油溝6において保持部9を配置する数は一つでもよく、図4に例示するように複数でもよい。
【0041】
図6に例示するように導入部8の軸方向と摺動方向yとのなす角θ1は30度、保持部9の軸方向と摺動方向yとのなす角θ2は80度に設定することができる。この実施形態では摺動方向yに対して導入部8の軸方向が反時計回りに30度回転する傾きになっている。また摺動方向yに対して保持部9の軸方向が時計回りに80度回転する傾きになっている。
【0042】
アーム4等の部材の摺動にともない保持部9の中のグリースがその軸方向に若干移動することはあるが、保持部9にグリースを保持することができる。
【0043】
図7に例示するように導入部8の軸方向と摺動方向yとのなす角θ1は0度、すなわち導入部8の軸方向を摺動方向yと平行な状態に設定することができる。保持部9の軸方向と摺動方向yとのなす角θ2は80度に設定することができる。この実施形態では摺動方向yに対する保持部9の軸方向の傾きが隣どうしで逆方向となっている。つまり摺動方向yから時計回りに80度回転する方向を軸方向とする保持部9と、摺動方向から反時計回りに80度回転する方向を軸方向とする保持部9とが交互に配置されている。
【0044】
油溝6の中のグリースが図7の例えば右向きに摩擦力を受けたとき、グリースが途中で停滞することなく油溝6に沿って右向きに移動していく。油溝6の途中でグリースが停滞することがないため、油溝6の全体にグリースを供給するには有利である。
【0045】
導入部8の軸方向が摺動方向yに平行となる構成により、開口部7から取り込んだグリースを迅速に保持部9に供給することができる。
【0046】
図4図6および図7のいずれの実施形態においても、油溝6を構成する導入部8の軸方向と保持部9の軸方向とが摺動方向yに対して90度以下の傾きとなる状態に設定することが望ましい。なす角θ1およびなす角θ2が90度以下であれば、油溝6の中のグリースが互いに逆方向となる状態で移動することがない。油溝6の軸方向の複数の箇所において、油溝6の中のグリースの量を互いに均一となる状態に維持するには有利である。
【0047】
本発明のすべり支持体1はスプレッダ2以外の構造体に設置してもよい。この場合、一軸方向に沿って摺動する構造体において、この一軸方向に対して油溝6の延設方向が平行
となる状態ですべり支持体1を設置すればよい。ここで油溝6の延設方向とは、例えば油溝6の二つの開口部7を結ぶ直線の方向をいう。
【符号の説明】
【0048】
1 すべり支持体
2 スプレッダ
3 本体
4 アーム
4a 当接面
5 すべり面
6 油溝
7 開口部
8 導入部
9 保持部
10 固定部
x 直交方向
y 摺動方向
z 上下方向
θ1 (導入部の)なす角
θ2 (保持部の)なす角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7