(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した容器では、その形状から、側壁部材の段付拡張部に上縁補強部材を挿入する際は上縁補強部材を真横から差し込む必要があり、側壁部材の突片固定部に突出片を取り付ける際は突出片を真下から差し込む必要があると考えられる。よって、上述した容器の組み立て時には、1対の側壁部材に上縁補強部材を先に差し込んで四角形状の枠体とした後、その枠体に溝形部材の溝側壁と突出片とを下から同時に差し込む必要があり、組立てに手間取る虞があると考えられる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、組立作業を容易にすることが可能な容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、溝底壁の両側に1対の溝側壁を備えた角溝形状の溝形部材における両端部に1対の側壁部材を取り付けてなる容器であって、各前記側壁部材に、前記1対の溝側壁の端部を受容する1対の縦溝と、各前記縦溝の上部の溝幅を段付き状に拡張してなり、前記溝側壁の上縁部を補強する上縁補強部を受容する段付拡張部と、前記溝底壁の両端部から起立した突出片が固定される突片固定部とを備える容器において、前記突出片は、下端にヒンジ部を有し、前記段付拡張部の下面は、前記側壁部材を前記突出片と共に前記ヒンジ部を中心に回動した場合の前記上縁補強部の進入軌跡に沿うように上下方向に対して傾斜してい
て、前記縦溝は、下方に向かって開口する下端開口を有し、前記側壁部材を前記突出片と共に前記ヒンジ部を中心に回動した場合に、溝開口と前記下端開口との交点部分から前記溝側壁が進入するように構成され、前記縦溝の対向面又はその延長面の下端角部が、奥側から前記溝開口側に向かうにつれて、かつ、上側から前記下端開口側へ向かうにつれて前記縦溝の側方へ傾斜してなる角ガイド部を備える容器である。
【0007】
請求項2の発明は、前記縦溝内で対向面の間を連絡する架橋リブと、前記溝側壁の端部に設けられ、前記架橋リブを受容するリブ受容凹部とを備える請求項1に記載の容器である。
【0008】
請求項3の発明は、前記架橋リブは、前記縦溝の溝開口より奥側に配置され、前記溝側壁の端部は、前記リブ受容凹部全体が前記縦溝内に隠れる位置まで受容される請求項2に記載の容器である。
【0009】
請求項4の発明は、溝底壁の両側に1対の溝側壁を備えた角溝形状の溝形部材における両端部に1対の側壁部材を取り付けてなる容器であって、各前記側壁部材に、前記1対の溝側壁の端部を受容する1対の縦溝と、各前記縦溝の上部の溝幅を段付き状に拡張してなり、前記溝側壁の上縁部を補強する上縁補強部を受容する段付拡張部と、前記溝底壁の両端部から起立した突出片が固定される突片固定部とを備える容器において、前記突出片は、下端にヒンジ部を有し、前記段付拡張部の下面は、前記側壁部材を前記突出片と共に前記ヒンジ部を中心に回動した場合の前記上縁補強部の進入軌跡に沿うように上下方向に対して傾斜していて、前記縦溝は、下方に向かって開口する下端開口を有し、前記側壁部材を前記突出片と共に前記ヒンジ部を中心に回動した場合に、溝開口と前記下端開口との交点部分から前記溝側壁が進入するように構成され、前記縦溝内で対向面の間を連絡する架橋リブを上下方向に複数備えると共に、前記溝側壁の端部に設けられ、各前記架橋リブを受容するリブ受容凹部を複数備え、全ての前記架橋リブは、前記縦溝の溝開口より奥側に配置され、前記溝側壁の端部は、前記リブ受容凹部全体が前記縦溝内に隠れる位置まで受容され、各前記側壁部材に、上下方向に延び、全ての前記架橋リブが連絡する縦リブを備える容器である。
【0010】
請求項5の発明は、複数の前記リブ受容凹部のうち下方に位置する前記リブ受容凹部が上方に位置する前記リブ受容凹部よりも上下方向の幅が大きい請求項4に記載の容器である。
【発明の効果】
【0011】
[請求項1の発明]
請求項1の容器は、以下のように組み立てることが可能である。即ち、側壁部材を横倒れ状態で溝形部材の突出片に固定し、突出片と共にヒンジ部を中心に起立状態に向けて回動していく。このとき、側壁部材の縦溝内に、溝形部材における1対の溝側壁の端部が下から受容されていく。そして、上縁補強部が縦溝の溝開口にさしかかると、上縁補強部が上下方向に対して傾斜した段付拡張部の下面に沿って進入し、段付拡張部内に受容される。
【0012】
このように、本発明によれば、段付拡張部の下面が、側壁部材を突出片と共にヒンジ部を中心に回動した場合の上縁補強部の進入軌跡に沿うように上下方向に対して傾斜しているので、溝側壁に上縁補強部を備えた状態で側壁部材を取り付けることができ、溝側壁と突出片とを同時に差し込むという手間がかかる作業が不要となり、組立作業を容易にすることが可能となる。
また、請求項1の発明では、縦溝のうち下端開口と溝開口との交点部分に、溝側壁が最初に入り込む。そして、本発明の容器には、縦溝の対向面又はその延長面の下端角部に角ガイド部が設けられているので、縦溝内に溝側壁が最初に入り込む導入過程をスムーズにすることができる。また、ガイド部をこの角ガイド部以外に設けない構成とすると、縦溝の対向面間に溝側壁がより広範囲で挟まれるので、溝側壁の保持を強固にすることができる。
【0013】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、縦溝内に対向面の間を連絡する架橋リブが設けられているので、成形時等に対向面同士が近づくように変形することが防がれ、溝側壁の縦溝への挿入がスムーズに行われる。また、側壁部材の架橋リブが溝側壁のリブ受容凹部に受容されることによって、上下方向のガタが防止される。なお、この架橋リブとリブ受容凹部とは、側壁部材に対して溝側壁を下から挿入する構成では設けることができず、請求項1の発明のように、側壁部材を回動により装着可能とすることにより設けることが可能となっている。
【0014】
[請求項3の発明]
請求項3の発明では、リブ受容凹部全体が縦溝内に隠れるので、容器の内容物がリブ受容凹部に入り込むことが防がれる。
【0015】
[請求項4の発明]
請求項4の容器は、以下のように組み立てることが可能である。即ち、側壁部材を横倒れ状態で溝形部材の突出片に固定し、突出片と共にヒンジ部を中心に起立状態に向けて回動していく。このとき、側壁部材の縦溝内に、溝形部材における1対の溝側壁の端部が下から受容されていく。そして、上縁補強部が縦溝の溝開口にさしかかると、上縁補強部が上下方向に対して傾斜した段付拡張部の下面に沿って進入し、段付拡張部内に受容される。
このように、本発明によれば、段付拡張部の下面が、側壁部材を突出片と共にヒンジ部を中心に回動した場合の上縁補強部の進入軌跡に沿うように上下方向に対して傾斜しているので、溝側壁に上縁補強部を備えた状態で側壁部材を取り付けることができ、溝側壁と突出片とを同時に差し込むという手間がかかる作業が不要となり、組立作業を容易にすることが可能となる。
請求項4の発明によれば、縦溝内に対向面の間を連絡する架橋リブが設けられているので、成形時等に対向面同士が近づくように変形することが防がれ、溝側壁の縦溝への挿入がスムーズに行われる。また、側壁部材の架橋リブが溝側壁のリブ受容凹部に受容されることによって、上下方向のガタが防止される。なお、この架橋リブとリブ受容凹部とは、側壁部材に対して溝側壁を下から挿入する構成では設けることができず、請求項1の発明のように、側壁部材を回動により装着可能とすることにより設けることが可能となっている。
請求項4の発明では、リブ受容凹部全体が縦溝内に隠れるので、容器の内容物がリブ受容凹部に入り込むことが防がれる。
請求項4の発明では、縦溝のうち下端開口と溝開口との交点部分に、溝側壁が最初に入り込む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を
図1〜17に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の容器10は、上方に開放した角溝形の溝形部材11の両端部に1対の側壁部材30,30を取り付けてなり、溝形部材が延びる方向が長手方向となった直方体状の箱体である。
【0019】
溝形部材11は、
図2に示される段ボールプラスチック(樹脂製発泡シートや樹脂製段ボール、樹脂製ハニカムボード等)からなる樹脂製シート12を折り曲げてなり、長方形状の溝底壁15と、溝底壁15の長辺から起立した横長長方形状の1対の溝側壁20,20と、溝底壁15の短辺から起立し、かつ、溝側壁20より低い1対の突出片22,22とを有している。これら溝側壁20及び突出片22は、溝底壁15に対して回動可能となっている。なお、溝底壁15と突出片22との間の折り曲げ部が本発明のヒンジ部22Aとなっている(
図2及び
図3参照)。
【0020】
図2及び
図3に示すように、溝底壁15の4隅には、長方形状の切り欠き部15Kが形成されている。この切り欠き部15Kにより、溝側壁20の端部よりも突出片22の下縁が外側に位置し、突出片22の側縁よりも溝側壁20の下縁が外側に位置している。また、1対の溝側壁20,20には、取っ手孔20A,20Aが1つずつ形成されていて、これら取っ手孔20A,20Aは、容器10の長手方向で互いにずれた位置に配されている。
図1及び
図3に示すように、取っ手孔20A,20Aには補強パーツ20B,20Bが備えられている。補強パーツ20Bは、溝側壁20における取っ手孔20Aの開口面を覆い、溝側壁20の内側で水平方向に張り出した水平張出片20Cと、溝側壁20の外側で上下方向に張り出した上下張出片20Dと、を有していて、これら水平張出片20C及び上下張出片20Dにより取っ手孔20Aの開口縁に固定されている。
【0021】
図1及び
図3に示すように、溝形部材11のうち溝側壁20,20の上縁には補強部材25,25が装着されている。補強部材25は、断面U字状の金属棒(例えばアルミ製等)からなり、溝側壁20の側壁本体20Hに対して上方からはめ込まれていて、2つの帯板部25A,25Aが側壁本体20Hの上縁部を板厚方向で挟み、帯板部25A,25Aの上端同士を連結する連結部25Bが側壁本体20Hの上端面に当接している(
図9参照)。この補強部材25により、溝側壁20の上縁部は、その下方部よりも板厚方向の幅が大きくなっている。また、補強部材25は、側壁本体20Hと略同じ長さをなし、端面同士が側壁本体20Hと略面一になっている。なお、補強部材25と、側壁本体20Hのうち補強部材25に挟まれた部分と、により、本発明の「上縁補強部」が構成されている。
【0022】
図4に示すように、側壁部材30は、溝側壁20,20(
図1参照)と直交する方向に延びた主板部35の両側縁部から溝側壁20,20側に側方突部50,50が突出した平面視「コ」の字状をなしている。この側壁部材30は、主板部35と側方突部50,50とに亘って延びた5本の横リブ31A〜31Eと、横リブ31A〜31Eと直交し、側壁部材30全体に散在する縦リブ32群と、を有している。縦リブ32群は、側壁部材30のうち主板部35に6本配された主板縦リブ32Aと、側方突部50,50に3本ずつ配された側方縦リブ32Bと、主板部35と側方突部50との間の角部に1本配されたコーナー縦リブ32Cと、から構成されている。なお、同図に示すように、コーナー縦リブ32Cは、中間部分の突出量がその上下部分の突出量よりも僅かに小さくなっている。これに対応して、5本の横リブ31A〜31Eのうち上から1本目の第1横リブ31A、2本目の第2横リブ31B、5本目の第5横リブ31Eは、主板部35と側方突部50との間の角部の外縁が外方に向けて膨出しているのに対し、上から3本目の第3横リブ31Cと4本目の第4横リブ31Dとは、その角部の外縁が直線状になっている。
【0023】
第1横リブ31Aは、側壁部材30の上縁部に位置し、この第1横リブ31Aのうち、主板部35の側縁部寄り位置から側方突部50に亘るコーナー部分には、外縁寄り位置に、上方に突出したコーナー突部30Kが設けられている。また、第5横リブ31Eは、側壁部材30の下縁部に位置し、かつ、溝形部材11の溝底壁15よりも上方に位置している(
図1及び
図6参照)。そして、容器10同士を上下に重ねると、上側の容器10の第5横リブ31Eの下面が下側の容器10のコーナー突部30Kの上面に当接し、上側の容器10のうち第5横リブ31Eよりも下方へ突出した部分が、下側の容器10の4隅のコーナー突部30K内に配され、上側の容器10が水平方向で位置決めされる。
【0024】
図4〜
図6に示すように、側壁部材30の主板部35には、第1横リブ31Aと第2横リブ31Bとの外側端部同士を連絡する上縁板35Jが備えられている。さらに、主板部35は、第2横リブ31Bの内側端部から、第4横リブ31Dと第5横リブ31Eとの間の中間位置まで垂下した第1主板35Aと、第1主板35Aよりも板厚2〜3枚分程外側に位置し、第4横リブ31Dと第5横リブ31Eとの間を連絡する第2主板35Bと、を有している。また、
図5及び
図6に示すように、第5横リブ31Eは、他の横リブ31A〜Dよりも板幅が狭くなっていて、第5横リブ31Eの内側端面と第2主板35Bの内側面とが面一になっている。
【0025】
図5に示すように、第1主板35Aの下縁は、両端部に配され、中央部側に向かうにつれて高くなるように傾斜した傾斜部35D,35Dと、傾斜部35D,35D間で水平に延びた水平部35Eとを有していて、第2主板35Bの下縁は、第5横リブ31Eに沿って全体に亘って水平に延びている。また、第1主板35Aの下縁部には、成形時のひけを防止するために、溝側壁20側の表面が第2主板35B側へ陥没した凹部35Kが複数形成されている(
図5及び
図7参照)。
【0026】
図5及び
図6に示すように、主板部35の内側下部は、溝形部材11の突出片22が固定される突片固定部36となっている。詳細には、突片固定部36は、第1主板35Aと第2主板35Bとからなる二重壁構造となっていて、突出片22が第1主板35Aと第2主板35Bとの間に挿入された状態で、突出片22と第2主板35Bとが例えば熱溶着により固定されることで、突片固定部36に突出片22が固定される。
【0027】
また、
図7に示すように、突片固定部36内には、第1主板35Aと第2主板35Bとの間を連結する補強リブ37が複数設けられている。これら補強リブ37により、成形時等に第1主板35Aの下端部が第2主板35B側へ寄ってしまい、突出片22を挿入しにくくなることが防がれる。また、突出片22の上縁部には、これら補強リブ37に対応する位置にリブ受容部22Uが形成されている(
図3参照)。
【0028】
なお、
図4に示すように、6本の主板縦リブ32Aのうち、中央の2本の間の間隔は、他の主板縦リブ32A間の間隔よりも大きくなっている。また、5本の横リブ31A〜31Eのうち第3横リブ31Cでは、中央の2本の主板縦リブ32A間が除去されている。そして、第1主板35Aのうち第2横リブ31B、第4横リブ31D及び中央の2本の主板縦リブ32Aに囲まれた部分には、取っ手33と札入れ34とが上下に並べて設けられている。
【0029】
次に、側壁部材30の側方突部50について説明する。
図7及び
図8に示すように、側方突部50には、3本の側方縦リブ32Bのうち主板部35側の2本の側方縦リブ32B,32Bの内側端部間を連絡する連絡壁50Rが配されている。この連絡壁50Rは、第1主板35Aの端部を溝側壁20側へ屈曲させた形状をなし、主板部35の端部に位置する主板縦リブ32Aの延長線上に位置している。
【0030】
また、
図4〜7に示すように、真ん中の側方縦リブ32Bのうち後述する外側壁55よりも内側部分と連絡壁50Rとは、第5横リブ31Eよりも下方へ突出していて、下方突部50Tを構成している。下方突部50Tには、下端に長方形状の下壁50Sが設けられ、主板部35側の端部に第2主板35Bと板厚1枚分ずれた外壁50Gが設けられている。この下方突部50Tは溝形部材11の切り欠き部15Kに受容され、下方突部50Tの下壁50Sと溝底壁15との下面同士が面一となる(
図17参照)。また、容器10同士を上下に重ねたときに、上側の容器10の下方突部50Tは、下側の容器10の4隅のコーナー突部30K内に受容される。
【0031】
さて、1対の側方突部50,50には、3本の側方縦リブ32Bのうち真ん中の側方縦リブ32Bから溝側壁20側へ向けて突出した二重壁60がそれぞれ設けられている。二重壁60のうち容器10の内側に位置する内側壁51は、真ん中の側方縦リブ32Bの内側端部から突出し、内側(二重壁60における内側)の面が真ん中の側方縦リブ32Bと略直交する一方、外側(二重壁60における外側)の面が先端に向かうにつれて内側へ傾斜するように先細りになっている。なお、外側(二重壁60における外側)の面には、厚みによる引けや変形を防止する陥没部51Kが上下方向に複数並べて形成されている。
【0032】
二重壁60のうち容器10の外側に位置する外側壁55は、真ん中の側方縦リブ32Bにおける水平方向の中間位置から略直角に突出している。外側壁55は水平方向において内側壁51よりも長くなっていて、内側壁51よりも溝側壁20側へ突出している。なお、3本の側方縦リブ32Bのうち溝側壁20側の側方縦リブ32Bは、外側壁55の溝側壁20側端部寄り位置に設けられている。また、この溝側壁20側の側方縦リブ32Bと、外側壁55の溝側壁20側端部との間には補強リブ55Lが複数設けられている(
図5参照)。
【0033】
図5及び
図9に示すように、二重壁60では、上端部は第1横リブ31Aにより閉塞されている一方、下端部は開放している(本発明の「下端開口」に相当する)。また、内側壁51が上下方向において外側壁55よりも長くなっていて、下方へ突出している(本発明の「延長面」に相当する)。
【0034】
このような二重壁60の内側壁51と外側壁55との間が、本発明の縦溝61となっている。溝側壁20は、この縦溝61に端部が受容された状態で、外側壁55と熱溶着により固定されている。なお、本実施形態では、
図4に示すように、側壁部材30のうち熱溶着される部分に目印として円形凹部30Yが形成されていて、側方突部50のうち外側壁55の先端側縁部及び主板部35のうち第2主板35Bの下縁部が溶着されるようになっている。また、真ん中の側方縦リブ32Bのうち縦溝61の奥側部分の内側壁51寄り位置には縦長に延びた凹部63が形成されていて、これにより側方縦リブ32Bに引けや変形が生じることが防がれる(
図8及び
図10参照)。
【0035】
図9に示すように、縦溝61内には、二重壁60の対向面を連絡する架橋リブ62が3本設けられている。3本の架橋リブ62は、第2横リブ31Bと第3横リブ31Cとの間と、第3横リブ31Cの延長線上と、第4横リブ31Dの延長線上と、にそれぞれ配されていて、それらの先端は、縦溝61の溝開口61A(
図8参照)より奥側に位置している(
図7参照)。また、
図3及び
図9に示すように、溝形部材11の溝側壁20の端部には、これら架橋リブ62に対応する位置に、リブ受容凹部20Uが形成されている。リブ受容凹部20Uの奥側端部は、架橋リブ62と内側壁51との中間に位置していて、リブ受容凹部20Uが縦溝61内に隠れる位置まで溝側壁20の端部が受容されている(
図1及び
図17参照)。なお、3つのリブ受容凹部20Uのうち一番下のリブ受容凹部20Uは、上方のリブ受容凹部20Uよりも上下方向の幅が大きくなっている(
図17参照)。
【0036】
ところで、
図9及び
図10に示すように、二重壁60の内側壁51と外側壁55との上部は、段付き状に外側にずれている。これにより、縦溝61の上部が、溝幅が段付き状に拡張された段付拡張部65となり、この段付拡張部65に溝側壁20の上縁部の補強部材25が受容される。
【0037】
なお、
図11及び
図12に示すように、内側壁51と外側壁55とのうち二重壁60の内側の面には、段付拡張部65を構成する部分に、水平方向に帯状に延びた突起部54,58が設けられている。これら突起部54,58は、両端から中央部に向けて徐々に内側にせり出していて、補強部材25を水平方向で位置決めする。
【0038】
ここで、
図10及び
図11に示すように、段付拡張部65の下面を構成する内側壁51の内側段差面53と外側壁55の外側段差面57とには、主板部35側端部から水平に延びた水平部53A,57Aと、水平部53A,57Aの端部から内側壁51及び外側壁55の先端まで下方へ傾斜するように延びた傾斜部53B,57Bと、が備えられている。これら内側段差面53と外側段差面57との傾斜部53B,57Bは、側壁部材30を突出片22と共にヒンジ部22Aを中心に回動した場合の補強部材25の下端部の軌跡に沿うように傾斜している。なお、
図4及び
図10に示すように、第2横リブ31Bは先端に向かうにつれて下方へ傾斜していて、外側段差面57は、この第2横リブ31Bの内側への延長部の上面に相当する。
【0039】
また、
図13に示すように、内側壁51の下端部と外側壁55の下端部とには、二重壁60の内側の面に、角部を三角形状に切り取った形状のコーナーガイド部52,56(本発明の「ガイド部」及び「角ガイド部」に相当する)が形成されている。詳細には、コーナーガイド部52,56は、主板部35側から溝側壁20側に向かうにつれて、かつ、下方へ向かうにつれて二重壁60の外側へ傾斜している。
【0040】
本実施形態の容器10は、以下のように組み立てられる。まず、樹脂製シート12を折り曲げ、側壁本体20Hの上縁に補強部材25を取り付けて溝形部材11とする。次に、一方の側壁部材30を外側に開くように傾斜させた状態として(
図3参照)、溝形部材11の突出片22を側壁部材30の突片固定部36に差し込む。そして、側壁部材30を突出片22の下縁のヒンジ部22Aを中心に内側へ向けて(溝側壁20側へ向けて)回動させる。すると、まず、溝側壁20の端部の下部が側壁部材30の二重壁60における外側壁55のコーナーガイド部56に案内され、溝側壁20が外側壁55よりも内側に入り込み、その後、溝側壁20の端部の下部が二重壁60における内側壁51のコーナーガイド部52に案内されて、溝側壁20の端部の下端部が縦溝61内にスムーズに入り込む。
【0041】
そのまま側壁部材30を回動させて、溝側壁20を縦溝61に受容させながら側壁部材30を起立させていく(
図14参照)。そして、補強部材25の下端部が二重壁60の外側壁55付近に到達すると(
図15参照)、外側段差面57の上方部分を通過したのち、段付拡張部65内に受容され始め、外側段差面57及び内側段差面53に沿って進入していく(
図16参照)。突出片22が溝底壁15に対して直交する位置まで側壁部材30を回動したところで、補強部材25を含めた溝側壁20が側壁部材30の縦溝61内に奥まで差し込まれる(
図17参照)。その後、他方の側壁部材30も同様に取り付けられ、溝形部材11と側壁部材30とが、熱溶着により固定され、容器10が完成する。
【0042】
なお、縦溝61内の架橋リブ62は、側壁部材30の回動に合わせて溝側壁20のリブ受容凹部20Uに順に受容されていく。このとき、下側の架橋リブ62から受容されるため、下側の架橋リブ62ほどリブ受容凹部20U内における上下方向の移動範囲が大きくなるが、本実施形態では、下方に位置するリブ受容凹部20Uの方が上方に位置するリブ受容凹部20Uよりも上下方向の幅が大きくなっているので、各架橋リブ62がリブ受容凹部20U内にスムーズに受容される。
【0043】
本実施形態の構成は以上である。本実施形態の容器10によれば、段付拡張部65の下面(内側段差面53と外側段差面57との傾斜部53B,57B)が、側壁部材30を突出片22と共にヒンジ部22Aを中心に回動した場合の補強部材25の下端部の軌跡に沿うように傾斜しているので、側壁部材30を回動させることにより、溝側壁20が補強部材25を備えた状態で側壁部材30を取り付けることができる。これにより、従来の容器において必要であった溝側壁20と突出片22とを同時に差し込むという手間がかかる作業が不要となり、組立作業を容易にすることが可能となる。
【0044】
また、縦溝61内には、二重壁60の対向面を連絡する架橋リブ62が設けられているので、成形時等に二重壁60の内側壁51と外側壁55とが近づくように変形することが防がれ、溝側壁20の縦溝61への挿入がスムーズに行われる。また、側壁部材30の架橋リブ62が溝側壁20のリブ受容凹部20Uに受容されることによって、上下方向のガタが防止される。なお、この架橋リブ62とリブ受容凹部20Uとは、従来のように側壁部材に対して溝側壁を下から挿入する構成では設けることができず、本実施形態のように、側壁部材30を回動により装着可能とすることにより設けることが可能となる。また、溝側壁20のリブ受容凹部20U全体が縦溝61内に隠れるように構成されているので、容器10の内容物がリブ受容凹部20Uに入り込むことが防がれる。
【0045】
また、本実施形態では、二重壁60の内側壁51と外側壁55とに、コーナーガイド部52,56が設けられているので、溝側壁20が縦溝61内にスムーズに入り込む。さらに、このガイドが、内側壁51と外側壁55との下端角部に配されているので、縦溝61の対向面間において溝側壁20を挟持する範囲が大きくなり、溝側壁20の保持を強固にすることができる。
【0046】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0047】
(1)上記実施形態では、容器10が直方体状であったが、立方体状であってもよい。
【0048】
(2)上記実施形態では、溝側壁20が容器10の長辺側の側壁を構成し、側壁部材30が容器10の短辺側の側壁を構成していたが、逆であってもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では、本発明の「上縁補強部」が、側壁本体20Hの上縁に補強部材25を取り付けることで構成されていたが、側壁本体20Hの上縁を折り返す等して厚くすることにより構成されていてもよい。
【0050】
(4)上記実施形態では、側壁部材30が、主板部35から側方突部50が突出した平面視「コ」の字状をなしていたが、側方突部50が突出していない平坦な構造であってもよい。この場合、主板部35の側縁部に縦溝61及び段付拡張部65が形成される構成となる。また、側壁部材30が、主板部35の中央部が除去された構成、つまり、1対のL字部材からなる構成であってもよい。
【0051】
(5)上記実施形態では、溝形部材11と側壁部材30とが熱溶着により固定されていたが、熱溶着以外の溶着(例えば、超音波溶着、振動溶着等)により固定されてもよい。また、ネジやリベット等により固定される構成としてもよい。
【0052】
(6)上記実施形態では、二重壁60の内側壁51と外側壁55との間に架橋リブ62が設けられていたが、架橋リブ62が設けられていない構成であってもよい。