(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ホース継手は、一端にホースを接続し、他端に別のホース、水道蛇口、散水ノズル、ホースリールなどの液体を供給しまたは液体の供給を受ける他の装置(以下、単に「他の装置」という)を接続して、ホースと他の装置との間で流体を通過させる中空の器具である。
これらの散水ノズル、ホースリール等のように散水に用いる装置を、以下では「散水装置」という。
また、ホース継手においてホースを接続する側を先端側といい、その逆方向を基端側という。
【0003】
図6に示すように、特許文献1には、基端側で他の装置に接続されるとともに先端側にホースHに内接しうる管状のホース接続管部24aを有する継手本体24と、ホース接続管部24aの外周側に配置され、内周に上記ホースHを径方向に押圧しうる抑止ツメ28aを設けたツメ部材25と、上記ホース接続管部24aおよび上記ツメ部材25の外周側に配置され、基端側で上記継手本体24に対し管方向に深浅の位置調整可能に外嵌し、先端側に上記ホースHより大径で上記ツメ部材25より小径な縮径口部30aを設けたロックナット26とを有するホース継手21が記載されている。
【0004】
このホース継手21では、ツメ部材25は、ロックナット26に対して管方向に固定されるツメ部材ストッパー29と、抑止ツメ28aを有するとともにツメ部材ストッパー29に対して管方向に移動自在に且つ離脱しないように取り付けられるツメ部材本体28とからなっていた。
また、抑止ツメ28aは、ツメ部材25の管方向先端側、すなわちホース継手21におけるホース取り付け側に形成されていた。
【0005】
特許文献1のホース継手21にホースHを接続するには、
図6(b)に示すように、ロックナット26を継手本体24の外周側に配置してから、ホースHをホース接続管部24aに被せて接続し、ロックナット26を継手本体24に嵌合させると、ロックナット26の縮径口部30aが抑止ツメ28aに先端側から当接し、抑止ツメ28aが縮径口部30aに沿って径方向内側に弾性変形してホースHをホース接続管部24aに強く密着させることができた。
【0006】
ホースHをホース継手21に接続した状態から取り外すときには、
図6(a)に示すように、ロックナット26を回転させて浅い嵌合状態にすることにより、抑止ツメ28aと縮径口部30aとの間に隙間を形成し、ホースHを引っ張ってホース接続管部24aから取り外す。
しかし、抑止ツメ28aがツメ部材本体28の先端側に形成されていること、ロックナット26の縮径口部30aが抑止ツメ28aより先端側に配置されること、および抑止ツメ28a(ツメ部材本体28)がロックナット26に対して管方向に移動自在であることから、ホースHを引き抜こうとすると、抑止ツメ28aが摩擦力によってホースHとともに先端側に移動して縮径口部30aに再び当接し、縮径口部30aの傾斜に沿ってホースHを径方向内側に押圧してしまい、ホースHを外しにくくなるおそれがあった。
【0007】
また、抑止ツメ28aによってホースHをホース接続管部24aに押圧すると、その位置より先端側でホースHが径方向外側に膨らんでしまうおそれがあるため、ホースHの膨れを抑えるために、ロックナット26の縮径口部30aよりも先端側に、長い筒状のホース抑え30bを設けることが好ましかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、容易にホースを着脱することができるホース継手を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において、上記課題が解決される手段は以下の通りである。
第1の発明は、ホースと他の装置とを接続して流体を通過させるホース継手において、先端側に上記ホースに内接しうる管状のホース接続管部を有する継手本体と、上記ホース接続管部の外周側に配置され、内周に上記ホースを径方向に押圧しうる抑止ツメを設けたツメ部材と、上記ホース接続管部および上記ツメ部材の外周先端側に配置され、上記継手本体に対し管方向に深浅の位置調整可能に嵌合するロックナットとを有し、上記ツメ部材が上記ロックナットに対して管方向に固定され、上記抑止ツメは上記ツメ部材の基端側に形成され、上記継手本体には上記ホースより大径で上記ツメ部材より小径な縮径口部を設け、上記継手本体と上記ロックナットとの浅い嵌合状態では、上記縮径口部が上記抑止ツメより基端側に位置し、上記継手本体と上記ロックナットとの深い嵌合状態では上記抑止ツメが上記縮径口部に沿って上記ホースを押圧することができることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、上記継手本体と上記ロックナットとの浅い嵌合状態で、上記抑止ツメが周方向に回転自在に保持されることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、上記ロックナットが2つのロックナット分割部材を組み合わせてなり、上記ツメ部材は、2つのロックナット分割部材の間に挟まれて管方向に固定されることを特徴とする。
【0013】
第4の発明に係る散水装置は、第1の発明から第3の発明までのいずれかのホース継手を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、上記ツメ部材が上記ロックナットに対して管方向に固定されることによりロックナットを浅い嵌合状態にすれば確実に抑止ツメが縮径口部から離れることに加え、上記抑止ツメは上記ツメ部材の基端側に形成され、上記継手本体には上記ホースより大径で上記ツメ部材より小径な縮径口部を設け、上記継手本体と上記ロックナットとの浅い嵌合状態では、上記縮径口部が上記抑止ツメより基端側に位置していることから、ホースを引っ張った際に摩擦力により抑止ツメが先端側に撓んだとしても、縮径口部からむしろ遠ざかることとなり、ホースを容易に取り外すことができる。また、上記継手本体と上記ロックナットとの深い嵌合状態では上記抑止ツメが上記縮径口部に沿って上記ホースを押圧することができることにより、継手本体とロックナットとの嵌合状態を操作するだけで、容易にホースを押圧することができる。
【0015】
第2の発明によれば、上記継手本体と上記ロックナットとの浅い嵌合状態で、上記抑止ツメが周方向に回転自在に保持されることにより、抑止ツメが径方向に弾性変形するための逃げ代ができやすくなり、少ない操作量で効果的にホースの押圧または取り外しをすることができる。
【0016】
第3の発明によれば、上記ロックナットが2つのロックナット分割部材を組み合わせてなり、上記ツメ部材は、2つのロックナット分割部材の間に挟まれて管方向に固定されることにより、ツメ部材をロックナットに強固に取り付けることができる。
また、継手本体からロックナットを取り外したときにも、ツメ部材がロックナットから外れないため、ロックナットを取り外す際のツメ部材の破損や紛失、再度の組み立ての際の逆組みのおそれを防止することができる。
【0017】
第4の発明によれば、散水装置に第1の発明から第3の発明までのいずれかのホース継手を備えたことにより、容易にホースの取り付けまたは取り外しをすることができ、散水装置の利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るホース継手について説明する。
ホース継手1は、ホースと他の装置とを接続して流体を通過させる器具であり、
図1(a)に示すようにホースと別のホースとを接続するもの、
図1(b)に示すようにホースと蛇口とを接続するもの、
図1(c)に示すように散水ノズル2に取り付けられてホースに接続するもの、
図1(d)に示すようにホースリール3のホースHと散水ノズル2とを接続するものなど、多種多様なものが含まれる。
【0020】
以下では、本発明の実施形態として、
図1(b)のようにホースと蛇口とを接続するホース継手1について説明する。
図2に示すように、このホース継手1は、継手本体4と、ツメ部材5と、ロックナット6とを有する。
ホース継手1の継手本体4は、先端にホースH(
図5(b)参照)を接続することができ、他端を他の装置(図示せず)に連結することができる中空の部材であって、ホースHと他の装置との間で流体を通過させることができる。
以下、ホース継手1においてホースHを取り付ける側を先端側といい、その逆方向を基端側という。
【0021】
図2、
図5に示すように、継手本体1の先端には、ホースHに内接しうる外径の管状のホース接続管部4aが形成されている。ホース接続管部4aの内周面には、適宜リブを設けて補強してもよい。
ホース接続管部4aの外側には、外側筒4bが周設されている。この外側筒4bの外周面には、ロックナット6にネジ結合するための雄ネジ部7aが形成されている。
【0022】
また、外側筒4bの先端には、基端側に向かって徐々に内径が小さくなる縮径口部4cが形成されている。縮径口部4cの先端は後述するツメ部材5の抑止ツメ8aよりも大径であり、縮径口部4cの基端は抑止ツメ8aよりも小径に形成されている。
【0023】
図2、
図5に示すように、ツメ部材5は、略環状のツメ部材本体8と、ツメ部材ストッパー9とを一体的に組み合わせてなる。
図3に示すようにツメ部材本体8は、上下に蛇行するとともに平面視で円環状に形成された部材である。ホース継手1の基端側に向けられる上端部分には、抑止ツメ8aが形成されている。
抑止ツメ8aは、ツメ部材本体8の内周面から径方向内側に上下2本の突条を突設してなる。抑止ツメ8aは周上等間隔に12個形成されている。
このような形状にしたことにより、ツメ部材本体8は径方向に弾性変形しやすくなっており、抑止ツメ8aも径方向に揺動しやすくなっている。
ホースを押さえる抑止ツメ8aの突条の数は、1本でも複数本でもよく限定されないが、抑止ツメ8aの成形では金型上アンダーカットになるため無理抜きによる脱型が必要であり、6本を超えると、成形上無理抜きができなくなる恐れがあるため、特に5本以下がよい。本発明の実施形態では2本の突条を設けた。
また、抑止ツメ8aの突条の径方向への突出長さは、0.2mm未満ではホースHを押圧する際のホース保持力が弱く、水圧が掛かった時にホースHが容易に抜けるおそれがあるため、0.2mm以上が好ましく、特に0.3mm以上が好ましい。また、1.8mmを超えるとそれだけ抑止ツメ8aの外径を大きくする必要があり装置が大型化するため、1.8mm以下が好ましく、特に1.2mm以下がよい。実施例では0.5mmとした。
ツメ部材本体8の管方向(軸方向)の長さは、3mm未満では径方向に弾性変形し難くなり、ホースHを押圧するときにそれだけロックナット6で押しつける力が必要になるため、3mm以上が好ましく、特に6mm以上が好ましい。また、20mmを超えると装置が大型化するとともにホースHの押圧を解除するときの逃げ代を設けるために必要なロックナット6の移動量(操作量)が大きくなり操作性が悪化するため、20mm以下が好ましく、特に15mm以下が好ましい。実施例では12.4mmとした。
ツメ部材本体8の材料には、弾性を有する樹脂が好適であり、ヒンジ特性が優れているという理由からPP(ポリプロピレン)樹脂が特に好ましい。本発明の実施形態ではPP樹脂を採用した。
【0024】
図4に示すように、ツメ部材ストッパー9はツメ部材本体8に内接する径の環状に形成された部品であり、径方向外側に突出する位置決め突設部9aを周上等間隔に12本設けている。
位置決め突設部9aは、ツメ部材本体8の各抑止ツメ8aの間に形成された溝を貫通し、外端で後述するロックナット6に固定される。
ツメ部材ストッパー9の材料には、樹脂、金属等を使用することができ、安価であるという理由から樹脂が好ましい。その中でも特に安価であるという理由から、PP樹脂が特に好ましい。本発明の実施形態ではPP樹脂を採用した。
【0025】
ツメ部材5を組み立てるには、ツメ部材ストッパー9の位置決め突設部9aをツメ部材本体8の各抑止ツメ8aの間に形成された溝に嵌入し、ツメ部材ストッパー9をツメ部材本体8に内接させる。このとき、ツメ部材5の周方向には、抑止ツメ8aと位置決め突設部9aとが交互に並ぶ。
ツメ部材5を組み立てた状態で、抑止ツメ8aは略全周に形成されるが、抑止ツメ8aの間に間隙が設けられることにより、ツメ部材本体8が径方向に弾性変形しやすく、各抑止ツメ8aが径方向に揺動しやすくなっている。
周方向上に並ぶ抑止ツメ8aの数は1個でも複数個でもよく限定されない。本発明の実施形態では12個とした。
抑止ツメ8aを複数個設ける場合の配置は、ホースの全周を均等に締め付けるために周上に均等な角度位置で配置するのがよい。
ツメ部材5は、ホース継手1においてホース接続管部4aの外周側に配置される。
【0026】
図2、
図5に示すように、ロックナット6は、ホース接続管部4aおよびツメ部材5の外周側を覆うことができる筒状のロックナット本体10と、継手本体4の雄ネジ部7aにネジ結合する雌ネジ部7bを内周面に形成したロックナットネジ部11とを超音波溶着で接合してなる。
ロックナットネジ部11は、ロックナット本体10の内周面に内接する外径に形成するとともに、基端部を径方向外側にせり出させて、基端部をロックナット本体10に挿入できないように形成することにより、ロックナット本体10に対する管方向の取り付け位置を位置決めすることができる。
【0027】
ロックナット本体10の周面に管方向に延びる溝10bを数本形成するとともに、ロックナットネジ部の外周面に管方向に延びる突条11aを形成し、突条11aを溝10bに差し込むことにより、ロックナット本体とロックナットネジ部とを周方向に位置決めすることができる。
また、突条11aは、ロックナットネジ部の周面から突出するため、操作時のすべり止めとなる。
また、ロックナット本体10の先端側は、内径が小さくなっており、ホース接続管部4aに接続されるべきホースよりも大径でツメ部材5の抑止ツメ8aよりも小径なつば部10aが形成されている。
【0028】
ロックナット本体10およびロックナットネジ部11の材料には、超音波溶着が可能な樹脂が好ましい。その中でも特に超音波溶着に適するという理由からABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成)樹脂が特に好ましい。本発明の実施形態ではABS樹脂を採用した。
【0029】
ロックナット本体10とロックナットネジ部11とを最初から一体に成形してもよいが、金型のアンダーカット処理が必要になる。
ロックナット6をロックナット本体10とロックナットネジ部11とから形成したことにより、容易に各部品を成形することができ、複雑な形状のロックナット6を形成することができる。
ロックナット本体10とロックナットネジ部11との固定方法は溶着、ネジ固定等のあらゆる固定方法を用いてよいが、生産性向上の観点からは特に超音波溶着による固定が好ましい。本発明の実施形態では、ロックナット本体10の内周面とロックナットネジ部11の外周面とを超音波溶着により固定している。
【0030】
継手本体4とロックナット6との取り付け手段はネジ結合には限られず、管方向に位置調整可能であり、少なくとも浅い嵌合状態と深い嵌合状態との2段階で位置止め可能である他の嵌合手段を採用してもよい。
浅い嵌合状態とは、ロックナット6の雌ネジ部7bと継手本体4の雄ネジ部7aとが嵌合し始めた状態から、抑止ツメ8aが縮径口部4cに接する直前の状態までの或る位置にロックナット6を締め付けた状態を示し、深い嵌合状態とは、さらにロックナット6を締め付け、抑止ツメ8aが縮径口部4cに当接し、縮径口部4cに沿って径方向内側に弾性変形し、ホースHを押圧してホース接続管部4aに強く密着させた状態を示す。
たとえば、ロックナット6の内周面から突起を突出させ、継手本体4の外側筒4bの外周面に管方向に延びる縦溝を刻設するとともに、この縦溝の浅い位置と深い位置とのそれぞれで周方向に延びる横溝を刻設して、突起を縦溝内で管方向にスライドさせるとともに、横溝の位置でロックナット6を回転させることにより、突起が横溝に進入して管方向に位置止めできるようにしてもよい。
【0031】
本発明の実施形態のホース継手1を組み立てるには、
図5(a)(b)に示すように、まずツメ部材5をロックナット本体10に入れ、次いでロックナットネジ部11をロックナット本体10に取り付け、超音波溶着によって固定する。このとき、ツメ部材ストッパー9の位置決め突設部はロックナットネジ部11とロックナット本体10との間に挟まれて管方向に固定されるが、周方向には自由に回転することができる。ツメ部材5は、抑止ツメ8aがホース接続管部4aの管方向基端側、ツメ部材ストッパー9がホース接続管部4aの管方向先端側に配置されるように向きを合わせておく。
このときツメ部材本体8は、管方向先端側のロックナット本体10のつば部10aと、管方向基端側のツメ部材ストッパー9の位置決め突設部9aとに挟まれることにより、ロックナット6に対して管方向に固定される。
【0032】
次に、ロックナット6をホース接続管部4aおよびツメ部材5の外周側に配置する。このとき、ロックナット6の雌ネジ部7bを継手本体4の雄ネジ部7aに浅く嵌合させてもよいし、嵌合させずロックナット6を単に配置するだけでもよい。
【0033】
次いで、ホースHをホース接続管部4aに被せて接続する。
この状態からロックナット6を回転操作し、雄ネジ部7aと雌ネジ部7bとを深い嵌合状態(
図5(b))まで嵌合させると、抑止ツメ8aが継手本体4の縮径口部4cに当接し、縮径口部4cに沿って径方向内側に弾性変形し、ホースHを押圧することでホース接続管部4aに強く密着させることができる。
このように、ロックナット6と継手本体4とを嵌合するだけで、容易にホースをホース継手1に接続することができる。
【0034】
深い嵌合状態からネジ結合を緩めて浅い嵌合状態(
図5(a))へ移行させると、縮径口部4cが抑止ツメ8aから基端側へ離れ、抑止ツメ8aが元の形状に復帰する。抑止ツメ8aのホースHへの押圧が解除された状態でホースHを引っ張ると、ホースHをホース接続管部4aから取り外すことができる。
従来のホース継手と異なり、抑止ツメ8aがツメ部材5の基端側に形成され、縮径口部4cが抑止ツメ8aより基端側に位置していることから、ホースHを引っ張った際に摩擦力により抑止ツメ8aが先端側に撓んだとしても、縮径口部4cからむしろ遠ざかることとなり、抑止ツメ8aが縮径口部4cに沿ってホースHを押圧することがないため、ホースHを容易に取り外すことができる。
【0035】
また、ホースHを取り外すために継手本体4からロックナット6を取り外す必要がないため、ロックナット6を取り外す際のツメ部材5の破損や紛失、再度の組み立ての際にツメ部材5の向きを逆さにしてしまう逆組みのおそれを防止することができる。
なお、このホース継手1では、内部の清掃が必要な場合などにはロックナット6を継手本体4から取り外すこともできる。
継手本体4からロックナット6を取り外したときにも、ツメ部材5がロックナット6から外れないため、ロックナット6を取り外す際のツメ部材5の破損や紛失、再度の組み立ての際の逆組みのおそれをより一層防止することができる。
【0036】
浅い嵌合状態から再度ホースHを取り付けたいときには、ロックナット6からホースHを差し込み、ホース接続管部4aに被せて接続し、ロックナット6を操作して深い嵌合状態に移行させるだけで、抑止ツメ8aによってホースHを押圧してホース接続管部4aに強く密着させることができる。
【0037】
なお、この本発明の実施形態において深い嵌合状態とは、概ね、雄ネジ部7aと雌ネジ部7bとを可能な限り根元まで締め、ホースHの装着が完了した状態であることが好ましい。また、浅い嵌合状態に移行するためには、深い嵌合状態から、継手本体4とロックナット6とを管方向(軸方向)に3mm以上離させるように寸法を設定することが好ましい。3mm未満では、深い嵌合状態と浅い嵌合状態とを使用者が視覚的に区別することが難しく、また、使用者の意に反して嵌合状態が変わってしまうおそれがあるためである。また、この寸法が20mmを超えると装置が大型化するとともに浅い嵌合状態に移行するためのロックナット6の移動量(操作量)が大きくなり操作性が悪化するため、20mm以下とするのが好ましく、特に12mm以下とするのが好ましい。本発明の実施形態では6mmとした。
【0038】
本発明の実施形態にかかるホース継手では、ツメ部材5がロックナット6に対して管方向に固定されることによりロックナット6を浅い嵌合状態にすれば確実に抑止ツメ8aが縮径口部4cから離れることに加え、抑止ツメ8aがツメ部材5の基端側に形成され、縮径口部4cが抑止ツメ8aより基端側に位置していることから、ホースHを引っ張った際に摩擦力により抑止ツメ8aが先端側に撓んだとしても、縮径口部4cからむしろ遠ざかることとなり、抑止ツメ8aが縮径口部4cに沿ってホースHを押圧することがないため、ホースHを容易に取り外すことができる。
【0039】
また、抑止ツメ8aをツメ部材5の基端側に形成したことにより、抑止ツメ8aによりホースHを押圧したときに、その位置より先端側でホースHが膨らんでも、ツメ部材5の他の部分によってホースHの膨れを抑えることができる。そのため、ロックナット6に長い筒状のホース抑えを設ける必要がなくなり、ホース継手1の全長を短くすることができ、材料コストを低減させることができる。
【0040】
さらに、抑止ツメ8aをツメ部材5の基端側に形成したことにより、抑止ツメ8aによってホースHを押圧する位置が従来よりも基端側になるため、ホース接続管部4aを従来よりも短くすることができ、材料コストを低減させることができる。また、ホース接続管部4aを従来よりも短くすることにより、ホース接続管部4aとホースHとの接触面積が小さくなるため、ホース接続管部4aとホースHとの摩擦力も小さくすることができ、容易にホースHを取り外すことができる。
【0041】
また、ツメ部材本体8をロックナット6に対して管方向に固定したことにより、ツメ部材本体8をロックナット6に対して管方向に移動自在にした場合に比べて、ツメ部材本体8が移動するためのスペースを省略することができるため、ホース継手1の管方向の全長を短くすることができ、材料コストを低減させることができる。
【0042】
本発明の実施形態では、ロックナット本体10とロックナットネジ部11との間にツメ部材ストッパー9を挟むことによってロックナット6にツメ部材5を固定したが、これに代えて、ロックナット10の雌ネジ部7bにネジ結合できる雄ネジ部をツメ部材ストッパー9の外周に形成し、ネジ結合によってロックナット6にツメ部材5を固定してもよい。