特許第6841487号(P6841487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ピカコーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許6841487-階段用手摺り取付装置 図000002
  • 特許6841487-階段用手摺り取付装置 図000003
  • 特許6841487-階段用手摺り取付装置 図000004
  • 特許6841487-階段用手摺り取付装置 図000005
  • 特許6841487-階段用手摺り取付装置 図000006
  • 特許6841487-階段用手摺り取付装置 図000007
  • 特許6841487-階段用手摺り取付装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841487
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】階段用手摺り取付装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/14 20060101AFI20210301BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   E04G5/14 302A
   E04G21/32 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-181836(P2016-181836)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-44408(P2018-44408A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 徹
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3869515(JP,B2)
【文献】 実開平01−165805(JP,U)
【文献】 特許第2704583(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0318891(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/14,7/14,7/26
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段側枠(2A)の外側面に沿わされる手摺り支柱(3A)と、
この手摺り支柱(3A)の下端に連結されかつ階段側枠(2A)を下側から挟む下クランプ部材(5)と、
この下クランプ部材(5)より上側で手摺り支柱(3A)に連結されかつ階段側枠(2A)を上側から挟み可能でありかつ挟んだときに階段側枠(2A)の内面に当接可能な下方突出状の位置決め凸部(6C)を有する上クランプ部材(6)と、
この上クランプ部材(6)に枢支されかつ下クランプ部材(5)と係合する連結ロッド(7)と、
この連結ロッド(7)に設けられて、階段側枠(2A)を挟んだ上下クランプ部材(5、6)を、前記連結ロッド(7)を介して締結する締結具(8)とを備えた階段用手摺り取付装置であって、
前記下クランプ部材(5)は、階段側枠(2A)を挟んだときに上下対称形状であり、かつ手摺り支柱(3A)に対して左右に位置変更可能にするべく手摺り支柱(3A)の下端に枢支軸(9)を介して下回り反転自在に枢支されており、
前記上クランプ部材(6)は、手摺り支柱(3A)に対して位置決め凸部(6C)を左右に位置変更可能にするべく手摺り支柱(3A)に周囲廻り反転自在に嵌合された嵌合部(6A)を有しており、
前記上クランプ部材(6)の嵌合部(6A)は手摺り支柱(3A)に対して回動可能にかつ上下移動可能に嵌合されており、この嵌合部(6A)の下縁に凹部(11)を形成し、手摺り支柱(3A)に上クランプ部材(6)を下方移動することにより凹部(11)が係合する位置設定突起(12)を設けており、前記上クランプ部材(6)の凹部(11)は手摺り支柱(3A)に対して上クランプ部材(6)を左右に位置変更したときに位置設定突起(12)と係合可能であることを特徴とする階段用手摺り取付装置。
【請求項2】
前記上クランプ部材(6)は嵌合部(6A)と手摺り支柱(3A)との間にカラー(13)を有し、手摺り支柱(3A)に嵌合部(6A)の上方移動を制限する規制突起(14)を設けており、前記規制突起(14)と位置設定突起(12)との間隔は上クランプ部材(6)の嵌合部(6A)の上下幅より広いことを特徴とする請求項1に記載の階段用手摺り取付装置。
【請求項3】
前記連結ロッド(7)には下クランプ部材(5)の上方移動を規制する止め部材(15)を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の階段用手摺り取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設階段に手摺りを取り付けるための階段用手摺り取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設作業現場等の仮設階段は、左右側枠間に複数段の踏み桟を架設して、左右各側枠の外面に取付装置を介して手摺りを取り付けており、左手摺りは左側枠の左側面に、右手摺りは右側枠の右側面にそれぞれ沿わされて取り付けられる。
このような仮設階段に手摺りを取り付ける従来技術として、特許文献1においては、階段用仮設手摺りの支柱下端部に、階段側の垂直側板の上端に嵌合するクランプを取付けた階段用仮設手摺りの取付け装置において、前記クランプの本体を、前記支柱下端部に対して着脱自在に取付けられた基部と、当該基部から横方向に連設された横向き延出部と、この横向き延出部から下向きに連設された脚部とから構成すると共に、当該本体の前記脚部に、前記本体基部との間ではなく前記支柱下端部との間で前記階段側の垂直側板を挟み付ける押しボルトを横向きに装着している取付け装置(請求項1)がある。
【0003】
また、特許文献2においては、仮設階段の側枠に仮設手摺りの支柱を取り付けるための取付装置であって、手摺り支柱の下端部に階段側枠の上面側を把持する上部クランプ部材を固定すると共に、その下方に階段側枠の下面側を把持する下部クランプ部材を上部クランプ部材に対し開閉可能に枢着し、上下両クランプ部材を互いに固定する固定手段を設けている取付け装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2704583号公報
【特許文献2】特許3869515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の技術は、クランプ本体の基部が支柱下端部に対して左向き姿勢と右向き姿勢とに変更自在でかつ着脱自在に取付けられているので、1種類の取付け装置を左右どちらの手摺りの取り付けにも適用できるが、脚部に設けた押しボルトを階段側の側板に押し付けて、クランプ本体を側板に固定する構造であるため、上下方向の取り付け強度を十分に高めることが困難になっている。
【0006】
前記特許文献2の技術は、手摺りの支柱に取り付けた上下クランプ部材で階段側枠を上下から挟みかつ左右から位置規制するので、上下クランプ部材の取り付け強度は十分に得られるが、手摺り支柱に対する上下クランプ部材の装着は1方向専用になっており、手摺りが上下対称形状であれば上下反転して取り付け可能であるが。手摺りが上下非対称形状であれば上下反転できないので、取付け装置を左手摺り用と右手摺り用の2種類製作しなくてはならない。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした階段用手摺り取付装置を提供することを目的とする。
本発明は、手摺り支柱を階段側枠に確実に取り付けることができかつ左右反対勝手に適用できる階段用手摺り取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、階段側枠2Aの外側面に沿わされる手摺り支柱3Aと、
この手摺り支柱3Aの下端に連結されかつ階段側枠2Aを下側から挟む下クランプ部材5と、
この下クランプ部材5より上側で手摺り支柱3Aに連結されかつ階段側枠2Aを上側から挟み可能でありかつ挟んだときに階段側枠2Aの内面に当接可能な下方突出状の位置決め凸部6Cを有する上クランプ部材6と、
この上クランプ部材6に枢支されかつ下クランプ部材5と係合する連結ロッド7と、
この連結ロッド7に設けられて、階段側枠2Aを挟んだ上下クランプ部材5、6を、前記連結ロッド7を介して締結する締結具8とを備えた階段用手摺り取付装置であって、
前記下クランプ部材5は、階段側枠2Aを挟んだときに上下対称形状であり、かつ手摺り支柱3Aに対して左右に位置変更可能にするべく手摺り支柱3Aの下端に枢支軸9を介して下回り反転自在に枢支されており、
前記上クランプ部材6は、手摺り支柱3Aに対して位置決め凸部6Cを左右に位置変更可能にするべく手摺り支柱3Aに周囲廻り反転自在に嵌合された嵌合部6Aを有しており、
前記上クランプ部材6の嵌合部6Aは手摺り支柱3Aに対して回動可能にかつ上下移動可能に嵌合されており、この嵌合部6Aの下縁に凹部11を形成し、手摺り支柱3Aに上クランプ部材6を下方移動することにより凹部11が係合する位置設定突起12を設けており、前記上クランプ部材6の凹部11は手摺り支柱3Aに対して上クランプ部材6を左右に位置変更したときに位置設定突起12と係合可能であることを特徴とする。
【0009】
第2に、前記上クランプ部材6は嵌合部6Aと手摺り支柱3Aとの間にカラー13を有し、手摺り支柱3Aに嵌合部6Aの上方移動を制限する規制突起14を設けており、前記規制突起14と位置設定突起12との間隔は上クランプ部材6の嵌合部6Aの上下幅より広いことを特徴とする。
第3に、前記連結ロッド7には下クランプ部材5の上方移動を規制する止め部材15を設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、手摺り支柱3Aを左右の階段側枠2Aの外側面に確実に取り付けることができかつ左右反対勝手に適用できる。
即ち、請求項1に係る発明は、連結ロッド7及び締結具8を介して上下クランプ部材5、6で手摺り支柱3Aを確実かつ強固に挟むことができ、しかも、上下対称形状の下クランプ部材5は手摺り支柱3Aの下端に枢支軸9を介して下回り反転自在に枢支され、下方突出状の位置決め凸部6Cを有する上クランプ部材6は手摺り支柱3Aに周囲廻り反転自在に嵌合された嵌合部6Aを有しているので、上下クランプ部材5、6を左勝手状態にも右勝手状態にもでき、手摺りが上下非対称形状であっても、1種類で左側手摺りの取り付けにも右側手摺りの取り付けにも適用できる。また、嵌合部6Aの下縁に凹部11を形成し、手摺り支柱3Aに下方移動することにより凹部11が係合する位置設定突起12を設けているので、上クランプ部材6の嵌合部6Aは手摺り支柱3Aに対して上方移動し、回動し、かつ下降すれば、凹部11と位置設定突起12とが係合して、回動した上クランプ部材6の方向を階段側枠2Aの外側面に対応するように設定することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、上クランプ部材6は嵌合部6Aと手摺り支柱3Aとの間にカラー13を有し、手摺り支柱3Aに嵌合部6Aの上方移動を制限する規制突起14を設けており、前記規制突起14と位置設定突起12との間隔は上クランプ部材6の嵌合部6Aの上下幅より広くしているので、上クランプ部材6の回動及び上下移動が容易になり、かつ上クランプ部材6の上方移動過多を防止できる。
【0012】
請求項3に係る発明は、連結ロッド7に止め部材15を設けているので、上下クランプ部材5を階段側枠2Aから離脱したときに、連結ロッド7の下部の締結具8によって下回り移動が規制された下クランプ部材5の上方移動を規制することができ、連結ロッド7及び締結具8を介して上下クランプ部材5、6を連結して、自由な動きのない拘束状態にし
ておける。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態を示す正面図である。
図2】同斜視図である。
図3】取り付け前の状態を示す説明図である。
図4】側面図である。
図5図1のX−X線断面図である。
図6図1のY−Y線断面図である。
図7】仮設階段に手摺りを取り付けた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図7において、建設作業現場で組立てられる仮設足場はパイプ材21、22を縦横に組付け、各階に足場板を設置し、下の階と上の階を繋ぐ仮設階段2が上下の横パイプ材22間に仮設され、この仮設階段2に手摺り取付装置1を介して手摺り3を取り付けている。
仮設階段2は、左右階段側枠2A間に上下複数段の踏み桟2Bを架設しており、左右各階段側枠2Aの外側面に手摺り3の支柱3Aを直角に宛がい、手摺り支柱3Aの下部に装着した手摺り取付装置1が階段側枠2Aを挟持することにより、階段側枠2Aに対して手摺り支柱3Aが固定される。
【0015】
手摺り3は前後2本の支柱3Aを手摺り棒3Bで連結しており、前支柱3Aから前上方へ延長部3Cが形成されている。この延長部3Cは上の階の横パイプ材22より上方へ突出しており、作業者が上の階に到達するまで手摺り3を利用できるようにしている。なお、手摺り3は延長部を下部にも形成することが考えられるが、手摺り3を利用するにあたっては、下部の延長部は手持ち利用されない無用のものとなる。
【0016】
前記手摺り3は、延長部3Cが上部にのみ設けられていて下部に存在しないので、上下非対称形状であり、上下反対勝手に使用することはできなく、仮設階段2の左右どちらの階段側枠2Aに取り付け場合にもその姿勢は同じであるが、支柱3Aを左階段側枠2Aの左側面に取り付ける手摺り取付装置1と、支柱3Aを右階段側枠2Aの右側面に取り付ける手摺り取付装置1とでは、組み付け勝手が左右反対になっている。
【0017】
図1において、符号1Lは左階段側枠2Aの左側面に取り付けた手摺り取付装置を示し、符号1Rは右階段側枠2Aの右側面に取り付けた手摺り取付装置を示しており、手摺り取付装置1L、1Rは組み付け勝手が反対であるだけで構造は同一である。
図1〜6において、前記手摺り取付装置1は、階段側枠2Aの外側面に沿わされる手摺り支柱3Aの下端に連結された下クランプ部材5と、この下クランプ部材5より上側で手摺り支柱3Aに連結された上クランプ部材6と、この上クランプ部材6に枢支されかつ下クランプ部材5と係合する連結ロッド7と、この連結ロッド7に設けられて上下クランプ部材5、6で手摺り支柱3Aを挟む締結具8とを備えている。
【0018】
下クランプ部材5は、図6に示すように、2つの二股部を背中合わせに一体形成しており、一端側は切欠5aにより平面視略コ字状の二股枢支部5Aを形成しており、この二股枢支部5Aは断面略四角形状の手摺り支柱3Aの下端を挿入して、両者を貫通する枢支軸9により枢支連結されている。
前記下クランプ部材5の切欠5aは、枢支軸9の中心から手摺り支柱3Aの下端までの寸法より深く形成されており、図3に示すように、下クランプ部材5は枢支軸9を中心に手摺り支柱3Aの下方を通って反対側まで、下回り反転自在になっている。
【0019】
下クランプ部材5の他端側は長溝5bにより平面視略U字状の二股係合部5Bを形成しており、この二股係合部5Bは長溝5bに連結ロッド7を挿入可能であり、その下面は締結具8の蝶ナット8Aが当接可能になっている。
上クランプ部材6は、図5に示すように、鍵穴のような円形孔と矩形孔とを連通した孔を有する形状であり、円形孔を形成する嵌合部6Aと、この嵌合部6Aから2本の腕を突出した支持部6Bとを有している。
【0020】
前記嵌合部6Aは、円筒状のカラー13を介して手摺り支柱3Aに嵌合しており、手摺
り支柱3Aに対して周囲廻り反転するために回動可能でありかつ上下移動自在になっている。
この嵌合部6Aは、下縁の180度変位した2箇所に半円状の凹部11が形成されている。手摺り支柱3Aには左右側面に2個のボタンが設けられていて、前記凹部11と係合する位置設定突起12が形成されている。手摺り支柱3Aに対して上クランプ部材6を上方移動させると、凹部11は位置設定突起12から上方へ退避し、上クランプ部材6の回動が許容される。
【0021】
前記左右の凹部11は位置設定突起12と係合することにより、上クランプ部材6の方向を階段側枠2Aの左右方向と合致させるように設定するものであり、上クランプ部材6が手摺り支柱3Aの周囲廻りに180度反転したときも、階段側枠2Aに対して左右方向が合致するように位置を設定する。
手摺り支柱3Aには嵌合部6Aより上方の左右側面に2個のボタンが設けられていて、嵌合部6Aの上方移動を制限する規制突起14が形成されている。この規制突起14は位置設定突起12を形成するものと同一のボタンで形成され、位置設定突起12の真上にあって、それらの上下間隔は嵌合部6Aの上下幅より広く、凹部11を位置設定突起12から上方へ退避できるまで、嵌合部6Aを上方移動できる寸法となっている。
【0022】
下クランプ部材5と上クランプ部材6とで挟持する階段側枠2Aには、機種によって上下幅が異なり、手摺り支柱3Aに対する前記位置設定突起12及び規制突起14の取り付け位置は、位置設定突起12は最小幅の階段側枠2Aを挟持する位置まで上クランプ部材6を下方移動できる位置であり、規制突起14は最大幅の階段側枠2Aを挟持する位置まで上クランプ部材6を上方移動できる位置である。
【0023】
前記上クランプ部材6の支持部6Bには、矩形空間に連結ロッド7の上部の平坦部7Aが挿入され、連結ボルト25によって回動可能に連結されている。支持部6Bは正面視略L字形状であり、連結ボルト25を貫通している部分から下方へ突出した位置決め凸部6Cが形成されている。この位置決め凸部6Cは階段側枠2Aの内面に当接可能である。
連結ボルト25は上部に2側面が平行な平坦部7Aが形成され、中途部から下部にかけて雄ネジ部7Bが形成されており、雄ネジ部7Bに蝶ナット8Aが螺合され、これらによって締結具8が構成されている。
【0024】
また、連結ボルト25は、中途部にピンを貫通して止め部材15が設けられ、下端にベータピン等のピンで蝶ナット8Aの抜け止めが施されている。前記止め部材15は、上下クランプ部材5を階段側枠2Aから離脱しているときに、連結ボルト25が挿入されている下クランプ部材5が止め部材15に当たってそれ以上上方へ移動するのを規制するためにある。
【0025】
次に、前記手摺り取付装置1による手摺り3の取り付け操作を説明する。
手摺り3の前後支柱3Aの下部に手摺り取付装置1を装着する。下クランプ部材5は手摺り支柱3Aの下端の枢支軸9から垂下状態にあり、上クランプ部材6は嵌合部6Aの凹部11が手摺り支柱3Aの下部の位置設定突起12に係合していることにより階段側枠2Aの左右方向に沿って位置している(図3の状態)。
【0026】
上クランプ部材6の向きが階段側枠2Aに対向していない場合は、嵌合部6Aを規制突起14に当たるまで上方移動させ、凹部11を位置設定突起12から離脱させてから、上クランプ部材6を手摺り支柱3Aの周囲廻りに180度反転させ、その後に嵌合部6Aを下降すると、階段側枠2Aに対向するように上クランプ部材6の向きが設定される。
上クランプ部材6の支持部6Bを階段側枠2Aの上面に載せ、位置決め凸部6Cを階段側枠2Aの内面に当接すると、手摺り支柱3Aは階段側枠2Aの外側面に沿うように当接し、その状態で下クランプ部材5を垂下状態から階段側枠2Aの下方に回動させて、階段側枠2Aの下面に宛がい、下クランプ部材5の二股係合部5Bの長溝5bに連結ロッド7を挿入する。
【0027】
連結ロッド7を下クランプ部材5に係合した後に締結具8の蝶ナット8Aを螺合していくと、下クランプ部材5は階段側枠2Aの下面に押し付けられ、上クランプ部材6とともに階段側枠2Aを挟持し、手摺り支柱3Aを階段側枠2Aに固定する。
左階段側枠2Aの左側面用の手摺り取付装置1Lを右階段側枠2Aの右側面に取り付けるには、締結具8を緩めて連結ロッド7を下クランプ部材5から離脱させ、下クランプ部材5を手摺り支柱3Aの下端を通過させて、枢支軸9を中心に下回り反転させ、上クランプ部材6は嵌合部6Aを手摺り支柱3Aに周囲廻り反転させ、手摺り取付装置1Rの組み付け勝手にする。
【0028】
また、手摺り3を階段側枠2Aから離して運搬、保管等をするときは、下クランプ部材5及び連結ロッド7がブラブラするのを防止するために、上下クランプ部材5、6間に階段側枠2Aがない状態で、下クランプ部材5の二股係合部5Bに連結ロッド7を挿入し、締結具8の蝶ナット8Aを螺合していき、下クランプ部材5を連結ロッド7の止め部材15に当接し、下クランプ部材5の上方移動を規制する。これにより、上下クランプ部材5、6及び連結ロッド7の3部材は手摺り支柱3Aに固定された状態になる。
【0029】
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜7に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、位置設定突起12及び規制突起14は手摺り支柱3Aの左右側面の一方のみでもよい。
【0030】
手摺り支柱3Aは断面円形のパイプ材で形成してもよく、手摺り支柱3Aの下端は枢支軸9を中心とする円弧面に形成してもよい。
手摺り支柱3Aを上下2分割構造にして、下部支柱に上部支柱を嵌合又は挿入してボルト等の連結具で着脱自在に連結し、その下部支柱に下クランプ部材5及び上クランプ部材6を有する手摺り取付装置1を装着してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 階段用手摺り取付装置
2 仮設階段
2A 階段側枠
2B 踏み桟
3 手摺り
3A 支柱
5 下クランプ部材
6 上クランプ部材
6A 嵌合部
6B 支持部
7 連結ロッド
8 締結具
11 凹部
12 位置設定突起
13 カラー
14 規制突起
15 止め部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7