(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高速液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するために用いられるカラム充填剤であって、粒度分布を測定した際に得られる度数分布のピークが2つ以上存在し、度数分布ピークのうち、最大粒径を示すピークの粒径が、最小粒径を示すピークの粒径の1.1〜3.0倍であり、度数分布における度数が最大であるピーク(最大ピーク)の粒径は、度数分布における度数が2番目に大きいピーク(第2ピーク)を示す粒径よりも小さく、下記式(1)で表される小粒径比率が0.91〜0.99であり、かつ該カラム充填剤の平均粒径が3.0〜6.5μmの範囲にある、ヘモグロビン類測定用カラム充填剤。
小粒径比率=(最大ピークのベースラインからの高さ)/(最大ピークのベースラインからの高さ+第2ピークのベースラインからの高さ)・・・(1)
高速液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定法であって、粒度分布を測定した際に得られる度数分布のピークが2つ以上存在し、度数分布ピークのうち、最大粒径を示すピークの粒径が、最小粒径を示すピークの粒径の1.1〜3.0倍であり、度数分布における度数が最大であるピーク(最大ピーク)の粒径は、度数分布における度数が2番目に大きいピーク(第2ピーク)を示す粒径よりも小さく、下記式(1)で表される小粒径比率が0.91〜0.99となり、かつ該カラム充填剤の平均粒径が3.0〜6.5μmを満たすことを特徴とするカラム充填剤を使用し、かつ流速を2.5〜3.7mL/minとすることを特徴とする、ヘモグロビン類の測定方法。
小粒径比率=(最大ピークのベースラインからの高さ)/(最大ピークのベースラインからの高さ+第2ピークのベースラインからの高さ)・・・(1)
【背景技術】
【0002】
ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、赤血球の寿命である約120日間血液中に存在し続ける。従って、ヘモグロビンA1cを測定することで、過去1〜2か月間の血糖の状態を推定することができる。そのため、グリコアルブミン等の他の糖尿病マーカーと異なり、ヘモグロビンA1cの測定によって、比較的長期にわたる血糖値の推移を確認できる。
【0003】
ヘモグロビンA1cの測定においては、測定値の精度が良好であるという理由から、高速液体クロマトグラフィーによる測定が広く行われている。高速液体クロマトグラフィーにおいて、測定値の精度と同様に重要な指標であるのが、測定時間である。検査技師の負担を軽減するため、また、効率的な検査体制の構築のため、測定時間の短縮は、測定値の精度向上と並ぶ大きな課題であった。
【0004】
下記の特許文献1には、粒度分布を測定した際に得られる度数分布のピークが2つ以上存在し、かつ前記度数分布のピークのうち、最大粒径を示すピークの粒径が、最小粒径を示すピークの粒径の1.1〜3.0倍である、ヘモグロビン類測定用カラム充填剤が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高速液体クロマトグラフィーの測定時間の短縮に大きく貢献するのが、流速の上昇である。ところで、高速液体クロマトグラフィーによりヘモグロビンA1cを測定する場合、ヘモグロビンA1c等のヘモグロビン類のピークに隣接して生じる他のピークが大きいと、ヘモグロビン類のピークの鋭さが損なわれる。そのため分離性能が低下するおそれがあった。
【0007】
高速液体クロマトグラフィーにおいて、ヘモグロビン類のピークを鋭敏にする事は、分離性能の向上において重要な課題である。ヘモグロビン類のピークの鋭敏さを判定する方法の一つとして、ヘモグロビン類のピークの底部に着目することができる。
図1に記載のクロマトグラム模式図が示す通り、ヘモグロビンA1cのピークの左側に発生する下向きの突出部分(以下「谷部分」と呼ぶ)と、そのさらに左側に発生する上向きの突出部分(以下「山部分」と呼ぶ)の双方が発生する。ヘモグロビンA1c測定のクロマトグラムにおいて、上記谷部分のベースラインからの高さと山部分のベースラインからの高さの比率(以下、本明細書では「A1cピーク左側の平坦さ」と呼ぶ)は、測定時の流速を上昇させると増大する傾向にある。そのため、ヘモグロビンA1cのピークの鋭敏さが失われ、ヘモグロビンA1cの分離性能が低下するおそれがある。
【0008】
特許文献1に記載のカラム充填剤を用いた場合、カラム寿命を延ばすことができる。しかしながら、特許文献1に記載のカラム充填剤において、測定の高速化を図るために、流速を高めると、ヘモグロビンA1c等のヘモグロビン類のピークにおいて、ピーク左側の平坦さが増大する傾向があった。そのため、ヘモグロビン類の分離性能が低下するおそれがあった。
【0009】
本発明の目的は、液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定に際し、ヘモグロビン類の分離性能に優れ、かつ測定時間の短縮を図り得る、ヘモグロビン類測定用カラム充填剤並びに該ヘモグロビン類の測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、高速液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するために用いられるカラム充填剤であって、粒度分布を測定した際に得られる度数分布のピークが2つ以上存在し、度数分布ピークのうち、最大粒径を示すピークの粒
径が、最小粒径を示すピークの粒径の1.1〜3.0倍であり、
度数分布における度数が最大であるピーク(最大ピーク
)の粒径は、
度数分布における度数が2番目に大きいピーク(第2ピーク)を示す粒径よりも小さく、下記式(1)で表される小粒径比率が0.91〜0.99であり、かつ該カラム充填剤の平均粒径が3.0〜6.5μmの範囲にある、ヘモグロビン類測定用カラム充填剤である。
【0011】
小粒径比率=(最大ピークのベースラインからの高さ)/(最大ピークのベースラインからの高さ+第2ピークのベースラインからの高さ)・・・(1)
【0012】
本発明に係るヘモグロビン類測定用カラム充填剤では、好ましくは、前記カラム充填剤は、アクリル系モノマーを主成分とする。
【0013】
本発明に係るヘモグロビン類測定用カラム充填剤では、好ましくは、粒度分布を測定した際に得られる度数分布のピークが2つである。
【0014】
本発明に係るヘモグロビン類測定用液体クロマトグラフィーカラムでは、カラムに、本発明に従って構成されている上記ヘモグロビン類測定用カラム充填剤が充填されている。
【0015】
本発明に係る液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法は、高速液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定法であって、粒度分布を測定した際に得られる度数分布のピークが2つ以上存在し、度数分布ピークのうち、最大粒径を示すピークの粒
径が、最小粒径を示すピークの粒径の1.1〜3.0倍であり、
度数分布における度数が最大であるピーク(最大ピーク
)の粒径は、
度数分布における度数が2番目に大きいピーク(第2ピーク)を示す粒径よりも小さく、下記式(1)で表される小粒径比率が0.91〜0.99であり、かつ該カラム充填剤の平均粒径が3.0〜6.5μmを満たすことを特徴とするカラム充填剤を使用し、かつ流速を2.5〜3.7mL/minとすることを特徴とする。
【0016】
小粒径比率=(最大ピークのベースラインからの高さ)/(最大ピークのベースラインからの高さ+第2ピークのベースラインからの高さ)・・・(1)
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るヘモグロビン類測定用カラム充填剤及びヘモグロビン類の測定方法によれば、流速を高めて高速化を図った場合においても、ヘモグロビン類のピークの鋭敏さを維持することができる。従って、測定時間の短縮と、ヘモグロビン類の分離性能の向上との両立が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(充填剤粒子の粒径)
本発明のヘモグロビン類測定用カラム充填剤(以下、単に充填剤ともいう)は、粒子状の充填剤からなる。
【0021】
本発明の充填剤の平均粒径の下限は3.0μm、上限は6.5μmである。充填剤の平均粒径が3.0μm未満であると、溶離液をカラムに流すために必要となる圧力が高くなり、液体クロマトグラフィーの装置に耐圧性付与のための特殊な部品等が必要となる。充填剤の平均粒径が6.5μmを超えると、カラム内の空隙率が増大し、流速を上昇させた際に分離性能に影響を与えるおそれがある。本発明の充填剤の平均粒径の好ましい下限は6.0μm、好ましい上限は6.4μmである。
【0022】
なお、本明細書において上記平均粒径、並びに粒度分布は、個数カウント法の原理に基づく粒度分布測定装置により得られた測定結果によるものである。ただし、他の測定原理に基づく測定装置であっても、測定結果について、個数カウント法の原理による測定結果との相関が既知であり、又はキャリブレーションが成されている装置であれば用いることができ、このような装置としては、例えば、遠心沈降法、動的光散乱法、レーザー回折光散乱法、超音波減衰法、キャピラリー法、コールター法等の公知の原理に基づく装置等が挙げられる。
【0023】
(度数分布のピーク)
本発明の充填剤では、粒度分布を測定した際に得られる度数分布のピーク(以下、単に粒度分布のピークともいう)が2つ以上存在する。本発明の充填剤は、上記粒度分布のピークを2つ〜4つ有することが好ましく、2つ有することがより好ましい。
【0024】
なお、本明細書において上記ピークとは、隣接する左右の測定点よりもベースラインからの高さの大きい測定点を意味する。即ち、上記粒度分布のピークとは、粒度分布を示すグラフにおける各山の頂点のことである。
【0025】
本発明の充填剤では、度数分布ピークのうち、最大粒径を示すピークの粒径が、最小粒径を示すピークの粒径の1.1〜3.0倍であり、ピークが最大を示す粒径は、2番目に大きいピークを示す粒径よりも小さく、下記式(1)で定義される小粒径比率が0.91〜0.99となっている。
【0026】
小粒径比率=(最大ピークのベースラインからの高さ)/(最大ピークのベースラインからの高さ+第2ピークのベースラインからの高さ)・・・(1)
【0027】
小粒径比率が前述の範囲となっていることによって、カラム内部に充填剤粒子を高密度に充填することと、充填剤粒子の最適な比表面積をコントロールすることとの両立が可能となる。そのため、耐圧性と高い分析能力とを両立したカラムを提供することが可能となる。小粒径比率の好ましい範囲は、0.94〜0.99である。
【0028】
(製造方法)
本発明の充填剤を製造する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、粒度分布が単一ピークを有する2種以上の充填剤を、上述した条件に適合するように混合する方法、複数のピークを有する充填剤を重合により得る方法等が挙げられる。
【0029】
(充填剤の素材)
本発明の充填剤の素材としては、シリカ系、セラミックス系、もしくはガラス系等の無機系素材、または、アクリル系ポリマー、もしくはスチレン系ポリマー等の有機合成系素材等の公知の素材を用いることができる。なかでも、有機合成系素材を用いることが好ましく、アクリル系ポリマーを主成分とすることがより好ましい。
【0030】
なお、本明細書において「アクリル系」とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有することを意味し、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0031】
上記アクリル系ポリマーを素材とした場合の充填剤の製造方法としては、アクリル系モノマーを公知の重合法により重合する方法を用いることができる。
【0032】
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類等の、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋性のアクリル系モノマー等が挙げられる。
【0033】
上記アクリル系ポリマーは、上記架橋性のアクリル系モノマーを重合する方法や、上記架橋性のアクリル系モノマーと、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の非架橋性のアクリル系モノマーとを共重合する方法等により調製することができる。
【0034】
(表面状態)
本発明の充填剤は、イオン交換基を有することが好ましい。
【0035】
上記イオン交換基としては、カチオン交換基であることが好ましく、スルホン酸基であることがより好ましい。上記イオン交換基を有する充填剤は、例えば、充填剤の主成分を上記アクリル系ポリマーとする場合、a)アクリル系モノマーとイオン交換基を有する単量体とを重合してアクリル系ポリマーを調製する方法、b)アクリル系ポリマーを調製した後にイオン交換基を導入する方法等の公知の方法により調製することができる。
【0036】
なお、本明細書においては充填剤、並びに充填剤粒子は、特に断らない限り同義の語として用いられる。
【0037】
(測定対象)
本発明の充填剤を用いれば、高速液体クロマトグラフィーによって種々のヘモグロビン類を測定することができる。具体的には、本発明のヘモグロビン類測定用カラム充填剤を用いれば、液体クロマトグラフィーにより、ヘモグロビンA0、ヘモグロビンA1c、ヘモグロビンF(胎児性ヘモグロビン)、ヘモグロビンA2やヘモグロビンS等を測定することができる。
【0038】
また、本発明の充填剤を用いることで、従来より流速を高めた条件での測定も可能となる。測定時間の短縮を図るために、流速を2.5〜3.7mL/minとした条件下で本発明のヘモグロビン類測定用カラム充填剤を用いた、高速液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法もまた、本発明の一つである。
【0039】
本発明のヘモグロビン類測定用カラム充填剤を用いて高速液体クロマトグラフィーによりヘモグロビンA1c等のヘモグロビン類の測定を行う場合には、溶離液送液用のポンプ、サンプラ、検出器等を備えた公知の高速液体クロマトグラフィーシステムに、本発明のヘモグロビン類測定用カラム充填剤を充填したカラムを接続し、血液試料中のヘモグロビン類の測定を行なうことができる。
【0040】
(溶離液)
本発明のヘモグロビン類測定用カラム充填剤を用いた液体クロマトグラフィーに用いられる溶離液としては、公知の塩化合物を含む緩衝液類や有機溶媒類を用いることが好ましい。具体的な緩衝液としては、例えば、有機酸、無機酸、及び、これらの塩類、アミノ酸類、グッドの緩衝液等が挙げられる。
【0041】
上記有機酸は特に限定されず、例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0042】
上記無機酸は特に限定されず、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等が挙げられる。
【0043】
上記アミノ酸類は特に限定されず、例えば、グリシン、タウリン、アルギニン等が挙げられる。
【0044】
塩類としては例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
【0045】
また、上記緩衝液には、他に一般に添加される物質、例えば、界面活性剤、各種ポリマー、親水性の低分子化合物等を適宜添加してもよい。
【0046】
ヘモグロビンA1cの測定を行う際の上記緩衝液の塩濃度の好ましい下限は10mmol/L、好ましい上限は1000mmol/Lである。緩衝液の塩濃度が10mmol/L未満であると、イオン交換反応が行なわれず、ヘモグロビン類を分離することができなくなることがある。緩衝液の塩濃度が1000mmol/Lを超えると、塩が析出してシステムに悪影響を及ぼすことがある。
【0047】
(ヘモグロビン類のピーク)
図1に示すように、ヘモグロビンA1cのクロマトグラムにおいては、ヘモグロビンA1cのピークの左側に発生する下向きの突出部分(「谷部分」)と、そのさらに左側に発生する上向きの突出部分(「山部分」)の双方が発生する。
【0048】
本発明の評価指標となる「ピーク左部の平坦さ」は、以下のように求められる。
【0049】
「ピーク左部の平坦さ」 =(谷部分の頂点となるベースラインからの高さ)/(山部分の頂点となるベースラインからの高さ)
【0050】
一般に、この値は測定の際に流速を上昇させると共に増大する傾向があり、増大を抑える事でヘモグロビンA1cのピークを鋭敏に保持でき、高い分離能力を維持できると判断される。
【0051】
(実施例)
以下に発明の効果を説明するための実施例を記載するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0052】
[製造例1]
2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(新中村化学工業社製)40g、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)140g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製)5g、及びペンタエリスリトールトリアクリレート(トリエステル37%)(新中村化学工業社製)15gを含有する単量体混合物に、過酸化ベンゾイル1.0gを溶解した。得られた混合物を、4重量%のポリビニルアルコール水溶液2Lに分散させ、羽根長60mmの撹拌羽根を用いて390rpmで撹拌しながら、窒素雰囲気下で80℃に加温して1時間重合反応を行った。1時間後に反応系にアクリルアミド−tert−ブチルスルホン酸80gを溶解した水溶液200mLを添加してさらに80℃で1時間重合反応を行った。
【0053】
得られた重合体粒子を洗浄して充填剤粒子を得た。粒度分布測定装置により、得られた充填剤粒子の平均粒径及び粒度分布を測定した。測定に際しては、光源としては半導体レーザーを、センサとしてはLE400−05を用い、120秒間測定を行って体積分布表示を行い、平均粒径を算出した。その結果、平均粒径は4.45μm、粒度分布は単一ピーク状であった。
【0054】
[製造例2]
製造例1における撹拌時の回転数を390rpmから300rpmに変更したこと以外は、製造例1と同様に操作して、充填剤粒子を得た。得られた充填剤粒子の平均粒径及び粒度分布を測定した。その結果、平均粒径は9.47μm、粒度分布は単一ピーク状であった。
【0055】
製造例1、2で得られた充填剤粒子の平均粒径及び粒度分布ピーク数を表1に示す。
【0057】
製造例1及び2で得られた充填剤粒子を、表2に示した混合比で混合して、実施例1、2、及び、比較例1〜3のカラム充填剤を得た。得られた、これらのカラム充填剤の各種パラメータを表2に示す。
【0059】
実施例1〜2、比較例1〜3で得られたカラム充填剤を内径4.6mm、長さ20mmのステンレス製カラムに充填し、ヘモグロビン類測定用カラムを得た。得られたカラムを汎用高速液体クロマトグラフィー測定装置にセットし、血液試料の測定を行った。
【0060】
(血液試料の測定)
精度管理用コントロール血液を試料とし、下記の条件で測定を行った。
【0061】
測定試料:精度管理用コントロール血液(シスメックス社製)
溶離液:溶離液Aとして200mmol/Lのリン酸緩衝液(pH5.3)、溶離液Bとして400mmol/Lのリン酸緩衝液(pH8.0)
吸光度:415nm
測定装置:LC20A(島津製作所社製)
【0062】
また、測定の際に、流速を11段階に渡って1.7〜3.7mL/minまで変化させた。
図2は、流速をこのように変化させた場合の、ヘモグロビンA1cのピークに隣接する他のピークの値の変化を示す。
【0063】
実施例1、2においては、流速を上昇させた測定条件下でもヘモグロビンA1cのピーク左部の平坦さの増大は見られず、分離能力が維持されることが分かる。
【0064】
一方、比較例1、2においては、流速の上昇に伴いヘモグロビンA1cのピーク左部の平坦さの増大が見られた。従って、測定時間を短縮する目的で流速を上昇させた測定条件においては、比較例1〜3のカラム充填剤はピークの鋭敏さが損なわれ、十分な分離能力を維持できない。