(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
会議システムは、例えば、議会など、多人数が出席する会議などで会議の参加者(以下「参加者」という。)に用いられる。会議システムは、例えば、1つのコントロールユニットと、コントロールユニットに接続される複数のディスカッションユニットとで構成される。コントロールユニットは、ディスカッションユニットの動作を制御・管理すると共に、会議システム全体の動作を制御する。
【0003】
ディスカッションユニットは、ディスカッションユニットの使用者(以下「使用者」という。)の音声をマイクロホンを介して収音して、その音声信号をコントロールユニットに送信する。ディスカッションユニットは、参加者ごとに割り当てて設置される。ディスカッションユニットは、筐体と表示部とを備える。表示部は、後述するステータス情報を使用者に報知する。表示部は、筐体上の使用者から視認可能な位置に配置される。マイクロホンは、ディスカッションユニットが備える場合と、ディスカッションユニットに着脱される場合と、がある。
【0004】
多人数が参加する会議では、会議の円滑な進行やシステムの負荷低減のため、同時に発話できる人の数は制限される。この制限は、通常、議長などの会議の進行役によって行われる。参加者は、議長に対して発話の許可を求める。ディスカッションユニットは、発話が許可されるまでリクエスト待ち状態である。リクエスト待ち状態のディスカッションユニットのマイクロホンは、動作せず(音声を収音しない)、発話が許可されたディスカッションユニットは、トーク状態となる。トーク状態のディスカッションユニットのマイクロホンは、動作する(音声を収音する)。
【0005】
ディスカッションユニットの状態や、マイクロホンの動作状態などの情報(以下「ステータス情報」という。)は、表示部によって使用者に報知される。表示部は、他の参加者には視認することができない。すなわち、参加者やシステム管理者(以下「第三者」という。)は、自らのディスカッションユニットのステータス情報を把握できるが、他の参加者のディスカッションユニットのステータス情報を把握できない。そのため、リクエスト待ち状態のディスカッションユニットが一時に集中するなどにより、円滑な会議の進行はしばしば妨げられる。
【0006】
これまでにも、ディスカッションユニットのステータス情報を第三者に報知するためのLED(Light-emitting diode)を備えたマイクロホンを有してなるディスカッションユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に開示されたディスカッションユニットは、筐体と、インジケータ(表示部)と、LEDを備えたマイクロホンと、を有してなる。インジケータは、ディスカッションユニットのステータス情報を使用者に報知する。マイクロホンのLEDは、LEDの発光状態によってディスカッションユニットのステータス情報を第三者に報知する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
●ディスカッションユニット●
以下、図面を参照しながら、本発明にかかるディスカッションユニットの実施の形態について説明する。
【0015】
●会議システムの構成
図1は、本発明にかかるディスカッションユニットを備える会議システムのネットワーク構成図である。
ディスカッションユニットDUは、例えば、議会などの会議の参加者ごとに割り当てられる。ディスカッションユニットDUには、マイクロホンMが取り付けられる。ディスカッションユニットDUは、ディスカッションユニットDUの動作を管理する外部機器であるコントロールユニットCUに、通信ケーブルCを介して接続される。コントロールユニットCUと、ディスカッションユニットDUと、マイクロホンMと、通信ケーブルCとは、会議システムSを構成する。
図1は、一例として、1つのコントロールユニットCUに、6つのディスカッションユニットDUがリング状に接続された状態を示す。
【0016】
●ディスカッションユニットの構成
図2は、ディスカッションユニットDUの斜視図である。
図3は、ディスカッションユニットDUのブロック図である。
【0017】
ディスカッションユニットDUは、マイクロホンMから入力された音声信号をコントロールユニットCUに送信すると共に、コントロールユニットCUから出力された音声信号(他のディスカッションユニットがコントロールユニットCUに送信した音声信号)などを受信して、音波を出力する。ディスカッションユニットDUは、筐体1と、コネクタ受部2と、操作部3と、表示部4と、制御部5と、スピーカ6と、発光部7と、を有してなる。
【0018】
筐体1は、制御部5とスピーカ6とを収納する。筐体1は、少なくとも第1面11と、第2面12と、を備える。
【0019】
第1面11は、筐体1の正面側に配置される。第1面11は、ディスカッションユニットDUの使用時に、ディスカッションユニット
DUの使用者(以下「使用者」という。)から視認可能な位置に配置される。第1面11は、複数の放出孔11hを備える。
【0020】
放出孔11hは、スピーカ6からの音波をディスカッションユニットDUの外部に放出する。放出孔11hは、第1面11に配置される。そのため、使用者は、スピーカ6からの音波を容易に聴取できる。
【0021】
図4は、ディスカッションユニットDUの背面図である。
第2面12は、筐体1の背面側に配置される。第2面12は、他のディスカッションユニットの使用者など(以下「第三者」という。)から視認可能な位置に配置される。
【0022】
図2と
図3とに戻る。
コネクタ受部2は、マイクロホンMをディスカッションユニットDUに取り付けるソケットである。コネクタ受部2は、例えば、JEITA RC−5236「音響機器用ラッチロック式丸型コネクタ」に規定される3ピンプラグ用のソケットである。コネクタ受部2は、筐体1の第1面11に配置される。
【0023】
操作部3は、使用者の操作に応じた検出信号を後述する操作入力部56へ出力する。操作部3は、操作ボタン31と、音量調節ボタン32と、チャンネル変更ボタン33と、を備える。操作部3は、筐体1の第1面11に配置される。操作ボタン31は、マイクロホンMのオン・オフの切り換えや、後述する発話要求を行う際に、使用者に押下される。音量調節ボタン32は、スピーカ6の音量を調節するチャンネル変更ボタン33は、例えば、通訳などの副音声が入力されるチャンネルを変更する。
【0024】
表示部4は、例えば、スピーカ6の音量や副音声のチャンネルを表示する。表示部4は、例えば、有機EL(Organic Electroluminescence)やLCD(Liquid Crystal Display)などである。表示部4は、筐体1の第1面11に配置される。
【0025】
なお、操作部3と表示部4とは、一体化されたタッチパネルディスプレイなどでもよい。
【0026】
制御部5は、マイクロホンMからの音声信号を処理すると共に、ディスカッションユニットDUの動作を制御する。制御部5は、筐体1に収納される。制御部5は、音声信号入力部51と、通信部52と、音声信号変換部53と、記憶部54と、報知部55と、操作入力部56と、バス57と、を備える。
【0027】
音声信号入力部51は、コネクタ受部2を介して、マイクロホンMからの音声信号を受信する。マイクロホンMからの音声信号は、通信部52に出力される。
【0028】
通信部52は、コントロールユニットCUとの間で情報と信号との送受信を行う。通信部52が送受信する情報と信号とは、例えば、音声信号入力部51からの音声信号、後述するユニット設定情報、他のディスカッションユニットからの音声信号などである。
【0029】
音声信号変換部53は、通信部52が受信した音声信号をA/D変換すると共に、増幅してスピーカ6に出力する。音声信号変換部53は、例えば、A/Dコンバータ(不図示)や増幅器(不図示)などを備える。
【0030】
記憶部54は、ディスカッションユニットDUが備える各手段の動作に必要な情報(例えば、通信部52がコントロールユニットCUと通信するために用いるコントロールユニットCUの通信アドレス)や、通信部52が受信したユニット設定情報などを記憶する。ユニット設定情報は、例えば、ディスカッションユニットDUのパラメータ情報や後述する発光部7の発光状態を決定する情報などである。
【0031】
報知部55は、ステータス情報に応じた報知信号を生成して、報知信号を発光部7に出力する。ステータス情報は、例えば、マイクロホンMのオン・オフなどのマイクロホンMの動作状態を示す情報、使用者から会議の議長などに対する発話要求が実行中か否かを示す情報、などである。発話要求とは、マイクロホンMをオンにして発話を可能とすることを求める要求である。
【0032】
操作入力部56は、操作部3から出力された検出信号を処理する。
【0033】
バス57は、例えば、データ信号や各種制御信号を伝達する経路である。
【0034】
スピーカ6は、音声信号変換部53からの音声信号を音波に変換して、音波を出力する。スピーカ6からの音波は、第1面11の放出孔11hからディスカッションユニットDUの外部に放出される。スピーカ6は、筐体1に収納される。
【0035】
発光部7は、報知部55からの報知信号に基づいて、光を用いてステータス情報を使用者や第三者に報知する。発光部7は、例えば、マルチカラーLEDである。すなわち、発光部7は、複数の色で発光可能である。発光部7は、第1発光部71と第2発光部72(
図4参照)とを備える。
【0036】
第1発光部71は、使用者にステータス情報を報知する。第1発光部71は、操作ボタン31に配置される。
【0037】
第2発光部72は、本発明にかかるディスカッションユニットの発光部の例である。第2発光部72は、第三者にステータス情報を報知する。第2発光部72は、
図4に示すとおり、筐体1の第2面12に配置される。すなわち、第2発光部72は、第三者から視認可能である。
【0038】
発光部7の発光状態は、ユニット設定情報に基づいて、制御部5により制御される。発光部7の発光状態は、発光パターンと発光色とを含む。発光パターンには、消灯状態と、点灯状態と、点滅状態と、ディマー(減光)点灯状態と、がある。発光色は、例えば、10色の色から選択される。発光部7の発光状態は、ユニット設定情報として記憶部54に記憶される。
【0039】
●マイクロホンの構成
次に、ディスカッションユニットDUに取り付けられるマイクロホンMについて説明する。
【0040】
図5は、マイクロホンMが取り付けられたディスカッションユニットDUの斜視図である。
マイクロホンMは、使用者の音声を収音する。マイクロホンMは、例えば、グースネック型のコンデンサマイクロホンである。マイクロホンMは、ディスカッションユニットDUのコネクタ受部2に取り付けられる。マイクロホンMの電源は、通信ケーブルCを介してコントロールユニットCUから供給される。
【0041】
●ディスカッションユニットの動作
次に、ディスカッションユニットDUの動作について、例を用いて説明する。
【0042】
ディスカッションユニットDUの起動時、ディスカッションユニットDUは、マイクロホンMがオフのアイドル状態である。ディスカッションユニットDUがアイドル状態のとき、発光部7の発光パターンは、消灯状態、もしくはディマー点灯状態となる。
【0043】
ディスカッションユニットDUがアイドル状態のときに、例えば、使用者により操作ボタン31が押下されると、ディスカッションユニットDUは、議長のディスカッションユニットに発話要求を送信する。発光部7の発光パターンは、ディスカッションユニットDUが発話要求を行っている間、点滅状態となる。
【0044】
議長が発話要求を許可すると、議長のディスカッションユニットから許可を示す情報を受信したディスカッションユニットDUは、マイクロホンMをオンにしてトーク状態になる。ディスカッションユニットDUがトーク状態のとき、発光部7の発光パターンは、点灯状態となる。
【0045】
ここで、発光部7の発光色は、例えば、所属政党、国、地域などの参加者の所属先や、ディスカッションユニットDUの選択言語など、により色分けされる。そのため、参加者は、発光部7の発光色を確認することで、各参加者の所属先を容易に知ることができる。
【0046】
なお、発光部7の発光状態は、例えば、ディスカッションユニットDUの発話の許可レベルを報知するものでもよい。すなわち、例えば、議長以外の参加者のうちで取締役などの特定の人物に割り当てられたディスカッションユニットDUの第2発光部72は、発話に制限が無いことを報知する発光パターン(例えば、点灯状態)で発光してもよく、それ以外の人物に割り当てられたディスカッションユニットDUの第2発光部72は、発話に制限があることを報知する発光パターン(例えば、ディマー点灯状態)で発光してもよい。
【0047】
このように、ディスカッションユニットDUやマイクロホンMの動作状態に応じて、第1発光部71と第2発光部72のそれぞれの発光状態は変化する。そのため、使用者は、第1発光部71の発光状態から、ディスカッションユニットDUのステータス情報を把握可能になる。一方、第三者は、第2発光部72の発光状態から、他の参加者のマイクロホンの動作状態や、発話要求の実行者や、各参加者の所属先など、を容易に把握可能になる。
【0048】
発光部7の発光状態は、予め記憶部54に記憶されたユニット設定情報に基づいて決定される。
【0049】
なお、発光部7の発光状態は、コントロールユニットCUからディスカッションユニットDUに送信されるユニット設定情報に基づいて決定されてもよい。すなわち、発光部7の発光状態は、コントロールユニットCUから遠隔操作されてもよい。
【0050】
また、前述した発光部7の発光状態は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、発光パターンは、明滅の間隔を変えた複数の点滅状態を含むものでもよい。
【0051】
さらに、第1発光部71の発光状態と、第2発光部72の発光状態とは、異なる発光状態でもよい。すなわち、例えば、発話要求が却下された場合には、その旨を、第1発光部71のみが使用者に報知してもよい。
【0052】
以上説明した実施の形態によれば、ディスカッションユニットDUは、ディスカッションユニットDUの筐体1の第2面12に、ディスカッションユニットDUのステータス情報を報知する第2発光部72を備える。そのため、第三者は、筐体1の第2発光部72の発光状態から、他の参加者のディスカッションユニットのステータス情報を容易に把握することができる。すなわち、ディスカッションユニットDUは、ディスカッションユニットDUに取り付けられるマイクロホン
Mが報知手段(LEDなど)を備えていなくても、ディスカッションユニットDUのステータス情報を第三者に報知可能である。
【0053】
なお、ディスカッションユニットDUに取り付けられるマイクロホンは、LEDを備えてもよい。この場合、LEDの電源は、コネクタ受部2を通して供給されてもよい。
【0054】
また、例えば、会議において政党、国、地域などによって話者をグループ化する場合がある。このとき、ディスカッションユニットDUは、第2発光部72の発光状態により、各ディスカッションユニットDUの話者がどのグループに所属しているかをシステム管理者に報知可能である。すなわち、システム管理者は、第2発光部72の発光状態で各ディスカッションユニットDUの話者の所属先を視覚的に把握できる。その結果、システム管理者は、ディスカッションユニットDUのグループ化の設定と変更とを容易かつ確実に実行することができる。
【0055】
さらに、例えば、設定された話者のグループに応じて発話の制御や許可レベルの設定や変更を実行する場合、システム管理者は、ディスカッションユニットDUの第2発光部72の発光状態を確認することで、ディスカッションユニットDUの発話の制御や、許可レベルの設定と変更とを容易に実行することができる。
【0056】
さらにまた、例えば、国際会議などにおいて通訳を行う場合、ディスカッションユニットDUは、第2発光部72の発光色と言語とをリンクさせることにより、各ディスカッションユニットDUがどの言語に対応しているかをシステム管理者や通訳者に瞬時に報知可能である。すなわち、ディスカッションユニットDUは、第2発光部72の発光状態により、言語ごとの通訳開始のタイミングを通訳者に報知可能である。