(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態のシステム、システム制御方法、システム制御プログラム及び記憶媒体について説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するためのシステム、システム制御方法、システム制御プログラム及び記憶媒体を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0011】
[実施形態1]
図1〜
図12を参照して、実施態様1に係るシステム、システム制御方法、システム制御プログラム及び記憶媒体について、車両制御システムを例に挙げて説明する。また、実施形態1は、キー式起動制御方法について説明するものである。
【0012】
実施形態1は、システムとしてガソリンエンジン等の内燃機関を用いて走行する内燃機関車両を例示したものである。本実施形態では、外部リレーにより内燃機関のエンジン起動制御線(ST線)を切断することにより起動不可状態へ切り替える車両遠隔制御システムの態様を説明する。
【0013】
図1は、本発明の内燃機関車両を含むブロック図である。このシステムにより、ユーザに車両を提供し、所定の期限内にユーザから利用料金(例えば月額料金)の支払いがない場合には、車両を遠隔で停止(起動不可状態)にすると共に、当該車両の位置を特定して回収するサービスを実現するものである。2はユーザに提供された車両、1は車両2に設置される車載器、3は車載器1と通信して各車両を管理するサーバである。すなわち、本実施形態のシステムは、車両2及び車載器1を含むと共に、外部のサーバ3と通信可能となっている。
【0014】
車載器1は、1台の車両に1個設置される。車載器1の車両への設置場所は、車両のどの場所でも構わない。車載器1が後付けの場合には、助手席のシートの下等の設置作業が容易な場所に配置することができる。また、盗難防止の観点から、車載器1を取り外しにくい場所、例えばエンジンルームの下部やインパネの内部に配置することもできる。さらには、車載器1を車両2の製造時に予め内蔵しておくこともできる。車載器1は、車両情報検出手段により収集した車両2の車両情報を、無線通信ネットワーク34を介してサーバに送信すると共に、サーバ3から無線通信ネットワーク34を介してリレー制御信号を受信して、後述する車両2の外部リレー20(
図2参照)を制御する。外部リレー20を制御することにより、車両の起動不可状態と起動可能状態とを切り替えることができる。内燃機関自動車の場合、起動不可状態ではエンジンを始動することができず(起動中のエンジンを切るものではなく、エンジンの再始動を禁じるものである。)、起動可能状態ではエンジンを始動することができる。ここで、無線通信ネットワークとしては任意のものでよく、例えば2G、3G、4G、5G、Wi−Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)、無線LAN、ビーコン、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。
【0015】
サーバ3は、車載器1に対してリレー制御指令を生成する遠隔制御指示部31、車載器1からの車両情報を収集する車両情報収集部32、及び、車載器との間でデータの送受信を行う送受信部33を備えている。また、サーバ3は管理者端末35、金融機関36及びユーザ端末と接続されている。ユーザ端末は例えばPCや携帯電話やスマートフォンからなる。サーバ3は外部の金融機関36と接続されることにより、各ユーザから所定の期間内に所定の料金の支払いがあったかどうかを判別することができるが、サーバ3に金融機関36の機能を設けてもよい。送受信部33は無線通信ネットワーク34を介して、複数の車載器1と無線通信を行う。管理者端末35は、管理者に情報を表示するためのディスプレーと、管理者からの情報を入力する情報入力手段を備えており、例えばPC、タブレット端末、携帯端末等からなる。情報入力手段としては、タッチパネル式ディスプレー、キーボード、マウス等を用いることができ、タッチパネル式ディスプレーの場合には別途のキーボード等を省略できる。
【0016】
サーバ3は、車載器1から定期的に受信する車両情報から車両の運行状況を把握することができる。車両情報としては、車両の動力のオン・オフ情報、電源入力検知情報、外部リレーの状態、及び、GPSによる車両の位置情報等を含むことが望ましい。サーバ3が車両の運行状況を把握することにより、必要に応じて、所定の駐車場に車両を駐車中であるか、所定の駐車場以外の場所に車両を駐車中であるか、ユーザが車両を利用して移動中であるか、あるいは、車両が盗難された可能性があるか等を判別することができる。各ユーザから所定の期間内に所定の料金の支払いがあったかどうかの判断、対応する車両を起動不可状態へ変更するか否かの判断、後述の車両の運行状態の判断、後述の盗難発生時や異常発生時のユーザへの問い合わせ及び警察への通報等は、サーバ3により自動的に行うようにしてもよいし、その一部又は全部を管理者がマニュアルで行うようにしてもよい。これらの判断の一部又は全部を管理者がマニュアルで行うようにした場合には、サーバ3において複雑な条件判断を行う必要がないため、サーバ3の構成を簡略化できる。
【0017】
次に、サーバ3により自動的に車両の運行状況を判別する方法について詳細に説明する。事前に登録された駐車場に相当する場所で、所定時間以上、車両の動力がオフ状態となっている場合には、所定の駐車場に車両を駐車中であると判断する。また、事前に登録された駐車場以外の場所で、所定時間以上、車両の動力がオフ状態となっている場合には、所定の駐車場以外の場所に車両を駐車中であると判別する。さらに、車両が事前に登録された駐車場以外の場所にあり、車両の動力が所定の時間以上オフ状態とはなっていない場合にはユーザが車両を利用して移動中であると判別する。
【0018】
また、車両がユーザの事前登録した範囲から所定期間以上外れていた場合には、車両が盗難された可能性があると判別する。車両が盗難された可能性があると判別された場合には、ユーザが事前に登録している連絡先にその車両運行状況を通知すると共に、盗難の有無の問い合わせを行う。所定の期間内にユーザからの回答がない場合、及び、ユーザから盗難である旨の回答があった場合には、管理者に盗難の発生を報知すると共に、車載器1に対して起動不可状態に対応するリレー制御指令を送信する。管理者は、サーバ3から盗難発生の報知があった場合には、ユーザに連絡を取って盗難の発生状況を確認した上で、必要に応じて警察に車両の盗難を通報する。
【0019】
さらに、車載器1には、車載器1を車両2から抜去、又は、車載器1に接続されている配線の切断若しくは引抜の異常を検出する手段が設けられており、これらの異常を検出すると車載器1はサーバ3にかかる異常の発生を報知する。この報知が発生するとサーバ3は速やかに管理者に報知を行う。管理者は、サーバ3からこの異常の報知があった場合には、ユーザに連絡を取って盗難の発生状況を確認した上で、必要に応じて警察に車両の盗難を通報する。
【0020】
車載器1を車両2から抜去する場合として、例えば、(1)窃盗犯による盗難の場合、(2)ユーザによる車両の悪用の場合、及び、(3)未払いユーザによるやむを得ない緊急時の車両利用の場合、が想定される。(1)及び(2)のような盗難や悪用の場合を想定した場合には、車両を起動不可状態にすることが望ましい。一方、(3)のような緊急時の場合、例えば急病人の搬送を想定した場合には、車両を起動可能状態とすることが望ましい。後述のように、外部リレー20は、その接続を切り替えることにより、配線の切断若しくは引抜時に、起動不能状態とするモードにするのか、それとも、起動可能状態とするモードにするのかを選択することができる。そこで、車載器1が前記異常の検出した場合、及び、外部リレー20の配線の切断若しくは引抜時に、管理者が(1)及び(2)のような盗難や悪用の場合を想定する場合には外部リレー20を起動不可状態になるように予め設定し、管理者が(3)のような緊急時の場合を想定する場合には外部リレー20を起動可能状態になるように予め設定しておけばよい。
【0021】
次に、ユーザの支払いの有無に応じた外部リレー20の制御について説明する。車両の出荷時には、車両の起動が可能となるように、車両の外部リレー20は起動可能状態に設定されている。サーバ3では金融機関からのデータにより、各車両のユーザから所定の期間内に利用料金の支払いがあったか否かを判断する。所定の期間内に利用料金の支払いがない際には、車両の運行状況を確認した上で、所定の条件を満たしている場合には、対応する車両2を起動不可状態とするために、サーバ3は遠隔制御指示部31から起動不可状態に対応するリレー制御指令を対応する車載器1へ送信する。車載器1は、起動不可状態に対応するリレー制御指令を受け取ると、外部リレー20を起動不可状態に切り替えるので、対応する車両2は起動不可状態、すなわち、内燃機関車両の場合にはエンジンの始動が不可能な状態となる。一方、サーバ3から車載器1へ起動不可状態に対応するリレー制御指令がない状態では、通常、外部リレー20は起動可能状態に設定されている。したがって、所定の期間内に利用料金の支払いがあった場合には、サーバ3から車載器1へ起動不可状態に対応するリレー制御指令がない状態であるから、外部リレー20は起動可能状態に設定されており、対応する車両2は起動可能状態、すなわち、内燃機関車両の場合にはエンジンの始動が可能な状態となる。また、一旦、料金未納のため上述のように車両が起動不可状態となった後に、管理者が指示した所定の条件に従って、ユーザが料金の支払いを行った場合には、サーバ3は対応する車両を再び起動可能状態とするために、遠隔制御指示部31から起動可能状態に対応するリレー制御指令を対応する車載器1へ送信する。車載器1が起動可能状態に対応するリレー制御指令を受信すると、外部リレー20は起動可能状態に切り替えられ、対応する車両は再び起動可能状態となる。
【0022】
利用料金が月額料金の場合には、例えば前月の25日までに所定の金額が支払われているか否かを確認する。所定の支払が行われていない際には、ユーザに対して滞納であること及び1週間以内に所定の料金の支払いがない場合には車両を起動不能状態にすることのメッセージを送信する。このメッセージの送信から1週間以内に所定の料金の支払いがない場合には、車両の運行状況を確認した上で、所定の条件を満たしていることを条件としてサーバ3は遠隔制御指示部31から起動不可状態に対応するリレー制御指令を対応する車載器1へ送信する。車両を起動不可能状態にした後、所定の期間例えば1か月が経過してもユーザから所定の料金の支払いがない場合には、当該車両を回収する手配を行う。一方、起動不可状態に対応するリレー制御指令を車載器1へ送信した後に、所定の期間内にユーザによる所定の金額の入金が確認された際には、サーバ3は遠隔制御指示部31から起動可能状態に対応するリレー制御指令を対応する車載器1へ送信し、再び、車両を起動可能状態とする。また、サーバ3から車載器1へ起動不可に対応するリレー制御指令がない状態では、通常、外部リレー20は起動可能状態に設定されているので、対応する車両は起動可能状態とされる。したがって、毎月25日までに所定の料金の支払いを済ませていれば、ユーザは車両を起動可能状態のまま利用することができる。
【0023】
車両2を起動不可状態とする際には、車両の運行状態を考慮する必要がある。すなわち、ユーザが車両で移動中に起動不可状態に切り替えた場合には、ユーザにとって過酷な状況が想定されるばかりではなく、他車両の交通を妨害する恐れがあるし、また、後述のように、車両の動力オン状態での外部リレーの起動不可状態への切り替えは車両の種類によっては不具合を生ずる恐れがあり、安全性の観点からも避けるべき条件が存在する。ここで、車両の運行状態をサーバ3が自動的に判断して、車両を起動不可状態に切り替える場合と、起動不可状態への切り替えを見送る場合について例を挙げて説明する。例えば、サーバ3は、車両から収集されたGPSによる位置情報や車両の動力のオン・オフ情報により車両の運行状況を確認し、車両の動力がオフであり、かつ、車両が所定の駐車場にあることを条件として、車両が所定の駐車場に駐車中であると判断し、対応する車両2の車載器1に対して外部リレー20を起動不可状態にするリレー制御指令を送信して、車両2を起動不可状態に切り替える。この場合には、車両2は所定の駐車場に駐車中であるので、他車両の交通を妨害する恐れがない。また、例えば、サーバ3は、車両の運行状況を確認し、車両の動力がオンであり、かつ、車両が所定の駐車場ではない場所にあるときには、ユーザが車両を利用中であると判断し、対応する車両の車載器1へ外部リレー20を起動不可状態に切り替えるリレー制御指令を送信することを見送る。このように本発明では、後述のように車載器1が安全性の判断を行うように構成されているため、サーバ3における判断を比較的単純化することができる。
【0024】
ここでは、各ユーザから所定の期間内に所定の料金の支払いがあったかどうかの判断、ユーザへのメッセージの送信、車両の運行状態の判断、起動不可状態及び起動可能状態に対応するリレー制御指令の送信の判断、並びに、盗難発生時や異常発生時のユーザへの問い合わせ及び警察への通報等を全てサーバで自動的に行う例を説明したが、この判断の中、一部又は全部を管理者が管理者端末35からマニュアルで行うようにしてもよい。
【0025】
次に
図2を参酌して車載器1の構成と車両2への接続を説明する。
図2は内燃機関車両に接続する場合の例である。なお、
図1と同一の部位については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。11は演算処理を行うCPU、12は無線通信ネットワークを介してサーバ3の送受信部と無線通信を行う無線通信モジュール、13はリレーの状態等を記憶するメモリであり、例えば不揮発性メモリとして構成されており、14は車載器の各種設定を行うコンソール、15は車両2の外部バッテリ21からの電力により充電される車載器内部のバッテリである内部バッテリ、16は車両2の外部バッテリ21からの電源入力を検知する電源入力検知部、17は車両2の走行状態識別線(ACC線、IG線)22に接続されてエンジンのオン・オフ状態を検知するIGN入力検知部、18は外部リレー20に接続されるリレー入出力部、19は車両2のGPS24に接続されて車両の位置情報を検出するGPS入出力部である。また、図示されていないが、車載器1は加速度センサを備えていてもよい。また、車載器1は車速パルスや燃料センサの情報を検出することができるようにしておいてもよい。ここで、外部バッテリ21とは、車載器1内部の内部バッテリ15と区別した用語であり、車載バッテリのことを意味する。外部リレー20は車両2のエンジン起動制御線(ST線)に接続されており、
図2では外部リレー20は車両2と車載器1との間に示されているが、実際には車両2のエンジンルームの内部に設けられており、外部リレーは外部から目視することはできない場所に配置されている。したがって、窃盗者あるいはユーザが故意に外部リレー20を取り外すことはできない構造となっている。リレー入出力部18は、外部リレー20が起動不可状態にあるか起動可能状態にあるかを検出すると共に、リレー制御指令に基づいて外部リレー20を起動不可状態又は起動可能状態に切り替える制御を行う。
【0026】
電源入力検知部16と外部バッテリ21、IGN入力検出部17と走行状態識別線22、リレー入出力部18と外部リレー20、GPS入出力部19とGPS24は、CAN等の車両LANを介することなく、それぞれ直接個別の配線で接続されている。これにより、CAN等の車両LANを用いることがないので、CAN等の車両LANによるセキュリティに対しては脆弱であるという問題が生じることはない。
【0027】
車載器1は内部バッテリ15の電力により駆動される。内部バッテリは常に車両2の外部バッテリ21の電力により充電されており、車載器1が抜去された場合、充電ラインが切断又は引抜された場合等の異常時であっても、所定の時間、車載器を駆動し続けることができ、このため、かかる異常の発生を現在地情報と共にサーバ3へ報知することができる。なお、直近の現在地情報その他の情報はメモリ13に格納されている。
【0028】
CPU11は、無線通信モジュール12、メモリ13、コンソール14、内部バッテリ15、電源入力検知部16、IGN入力検知部17、リレー入出力部18、GPS入出力部19、及び、図示されない加速度センサに接続されている。車両情報検出手段としては、電源入力検知部16、IGN入力検知部17、GPS入出力部19、及び、加速度センサを備えている。リレー入出力部18は、外部リレー20の状態を検出すると共に、外部リレー20を起動不可状態か起動可能状態かのいずれか一方に制御するものであり、外部リレー20の状態も車両情報として使用可能である。
【0029】
CPU11は、メモリ13に格納されたプログラムによって、外部リレー20の制御及び車両情報の収集を行う。以下、車載器1の動作について説明する。
<車両情報の収集について>
車載器1は所定の周期、例えば30秒おきに、又は、車両動力のオン等の特定のイベント発生時に、あるいは、その両方で車両情報の収集を行い、サーバ3へその車両情報を送信する。この時の車両情報としては、電源入力検出部16で検出される外部バッテリ21からの電源入力の情報、IGN入力検知部17で検出される走行状態識別線(ACC線、IG線)の情報、例えばエンジンのオン、オフの状態を示す情報、リレー入出力部18で検出される外部リレー20の状態、GPS入出力部19で検出されるGPSからの位置情報、図示しない加速度センサから検出される加速度の情報、車速パルスの情報、燃料センサの情報、及び、車両情報を取得した時刻の情報の中の少なくとも1つを含んでいる。なお、GPSの位置情報から速度を演算することも可能である。サーバ3では、これらの車両情報を基づいて、車両の運行状況を把握する。
【0030】
<外部リレーの制御について>
車載器1がサーバ3からリレー制御指令を受信すると、その制御値をメモリ13に記憶し、その値に対応する状態になるように外部リレー20を制御する。「車両情報連動制御手段」は、CPU11、メモリ13、IGN入力検知部17及びリレー入出力部18を含み、外部リレー20を切り替える際に、後述のように、車両の動力のオン、オフ切替タイミングを考慮して、リレー制御指令を採用する場合と、採用しない場合(リレー制御指令を無視する場合)とを判別する。内燃機関車両の場合には動力のオン、オフは、例えばIGN入力検知部17で検出される走行状態識別線(ACC線、IG線)の情報、例えばエンジンのオン、オフの状態を示す情報により検出する。
【0031】
次に
図3を参照して、内燃機関車両におけるエンジン起動制御線(ST線)を外部リレー20でカットする場合(
図2の場合)のリレーの制御値(ST線リレーの制御値)について説明する。
図3Aはエンジン起動制御線が1本の車種の場合を示し、
図3Bはエンジン起動制御線が2本の車種の場合を示している。初めに
図3Aのエンジン起動制御線が1本の車種の場合について説明する。リレーAのリレー値はオープンの時"0"であり、クローズのとき"1"である。外部リレー制御値は、"00"と"01"の2種類となる。外部リレー制御値が"00"の時は、ステータスは起動可能状態(通常)、車両状態は起動可となる。一方、外部リレー制御値が"01"の時は、ステータスは起動不可状態、車両状態は起動不可となる。
【0032】
次に
図3Bのエンジン起動制御線が2本の車種の場合について説明する。リレーA、リレーB共に、リレー値はオープンの時"0"であり、クローズのとき"1"である。外部リレー制御値は、"00" と"01"と"10" と"11"の4種類となる。外部リレー制御値が"00"の時は、ステータスは起動可能状態(通常)、車両状態は起動可となる。外部リレー制御値が"01"の時は、ステータスは意図しない値、車両状態は起動可となる。外部リレー制御値が"10"の時は、ステータスは意図しない値、車両状態は起動可となる。外部リレー制御値が"11"の時は、ステータスは起動不可状態、車両状態は起動不可となる。
【0033】
「リレー監視部」は、CPU11とメモリ13とリレー入出力部18とを含み、後述のように、ファームウエアの不具合により、外部リレー制御値が本来起動可能状態であるときにリレー状態を監視し、当該監視によりリレー状態が起動可能状態以外になっていた場合にはリレー状態を起動可能状態、すなわち、外部リレー制御値を"00"とし、外部リレー20を起動可能状態とする。
【0034】
さらに、
図4を参照して、外部リレー20の配線について説明する。外部リレー20は、接続状態を変更することにより、ノーマルオープンとノーマルクローズとを選択することができる。41は電磁石のコイル、42はスイッチ、43と44はリレー入出力部18側の端子、45はエンジン起動制御線(ST線)側の一方の端子、46はノーマルクローズ端子、47はノーマルオープン端子である。スイッチ42はノーマルクローズ端子46側にバネで付勢されているので、コイル41に通電していない時にはスイッチ42はノーマルクローズ端子46側に接触している。コイル41に通電した時には、スイッチ42は電磁石に吸い付けられ、ノーマルオープン端子47に接触する。したがって、外部リレー20をノーマルクローズ型として使用したい場合には、ST線の他方の端子をノーマルクローズ端子46に接続し、逆に、外部リレー20をノーマルオープン型として使用したい場合には、ST線の他方の端子をノーマルオープン端子47に接続する。
【0035】
図2を参酌して、外部リレー20をノーマルクローズ型として使用したい場合と、外部リレー20をノーマルオープン型として使用したい場合との違いを説明する。電源入力検出部16、IGN入力検知部17、リレー入出力部18、及び、GPS入出力部19のいずれか少なくとも1つには、配線の切断又は引抜を検出する手段(図示省略)が設けられている。配線の切断又は引抜を検出する手段としては、例えば特許文献2に開示されているような配線の切断又は引抜に伴う配線の電圧変化を利用するという公知の手段を用いることができる。また、電源入力検知部16が外部バッテリ21からの電源入力を検知しない場合には、電源入力検知部16と外部バッテリ21との間の配線に切断又は引抜が生じたと判断することもできる。車載器の抜去についても、これらの配線の切断又は引抜に基づいて検出することができる。配線の切断又は引抜を検出した場合には、後述のように、外部リレー20のオープンを起動不可状態にするか、あるいは、起動可能状態にするかのどちらかに制御するように決めておく。
【0036】
また、配線の切断又は引抜を検出した場合には、前述のとおり外部リレー20を制御すると共に、無線通信モジュール12を介してサーバ3にその異常を報知する。サーバ3がその異常の報知を受信すると、サーバ3は速やかに管理者に報知を行う。管理者は、サーバ3からこの異常の報知があった場合には、ユーザに連絡を取って盗難の発生状況を確認した上で、必要に応じて警察に車両の盗難を通報する。一方、車載器1は、前記異常を報知すると共に、車載器1に搭載された警報器(図示省略)により警報音を鳴らす。また、車載器1に警報器を搭載する代わりに、車両の警笛、ヘッドランプ、ウインカー、ハザードランプ等を利用して警報を行うことができるように、これらの制御回路の入力端子に車載器1の警報出力の出力信号を入力するように配線することもできる。
【0037】
ここでは、異常の報知として、配線の切断又は引抜を検出した場合を例にして説明したが、車載器1にさらに故障検出手段を設け、当該故障検出手段が車載器1の故障を検出した場合に、無線通信モジュール12を介してサーバに対して車載器1の故障を報知するようにしてもよい。サーバ3が車載器1の故障の報知を受信すると、サーバはかかる故障の発生を管理者に通報し、かかる通報を受けた管理者は該当する車両のユーザに連絡をとって、車載器1を修理又は交換するように手配する。
【0038】
リレー入出力部18と外部リレー20との間の配線の切断又は引抜が生じた場合には、外部リレー20のコイル41への電流供給が停止するため、ノーマルクローズ型の場合には外部リレー20はクローズとなり、ST線が接続された状態となり、ノーマルオープン型の場合には外部リレー20はオープンとなり、ST線は遮断(カット)された状態となる。
【0039】
前述のように、管理者が車載器1を車両2から抜去する場合としては、(1)窃盗犯による盗難の場合、(2)ユーザによる車両の悪用の場合、及び、(3)未払いユーザによるやむを得ない緊急時の車両利用の場合、が想定されるところ、(1)及び(2)のような盗難や悪用の場合を想定した場合には、車両を起動不可状態にすることが望ましいので、外部リレー20としてノーマルオープン型を採用し、配線の切断又は引抜を検出した場合にも外部リレー20を起動不可状態(オープン)に制御するように予め決めておくとよい。一方、(3)のような緊急時の場合、例えば急病人の搬送を想定した場合には、車両を起動可能状態とすることが望ましいので、外部リレー20としてノーマルクローズ型を採用し、配線の切断又は引抜を検出した場合にも外部リレー20を起動可能状態(クローズ)に制御するように予め決めておくとよい。
【0040】
また、車載器1は電波状況が悪い場合であって、サーバ3からのリレー制御指令がなくとも、スタンドアローンでフェイルセイフに動作をすることができる。例えば、電波状況が悪い場所で車両が起動不可状態となり、起動可能情報に対応するリレー制御指令を受け取ることができなくなる事態を回避することができる。車載器は、電波状況が悪い時には通信のリトライを繰り返して、通信を確立しようとする。所定回数、例えば20回以上、連続してリトライしても通信が確立できない場合には、通信不能と判断し、外部リレー20の状態が起動不可状態のときには、起動可能状態に切り替える。これにより、電波状況が悪い時に、サーバ3から起動可能状態へ変更するリレー制御信号を送信できないために、車両が起動不能状態のまま放置される事態を避けることができる。この通信不能のときに車両を起動可能状態に切り替える処理を採用するか否かについては、車両の出荷時等に切り替えることができる。
【0041】
<省電力モードについて>
内燃機関車両のエンジンがオフの時には、エンジンがオフしてから所定の時間、例えば10分が経過した後には、外部バッテリ21の電力の消耗を防ぐために、車載器は省電力モードに移行し、電源管理のような最低限の機能以外を停止する。省電力モードでは、電源入力検知部16とIGN入力検知部17とリレー入出力部18と計時回路(図示省略)は常に起動しているが、その他の回路は停止状態となっている。省電力モードの時には、車載器1はサーバ3とは通信を行っていない。省電力モードの時に、電源入力検出部が電源入力の喪失を検出した場合、IGN入力検知部17がエンジンのオン状態(ACCオンやIGオン)を検出した場合、及び、計時回路が所定の時間を計時した場合(例えば、1時間おきに)には、省電力モードのときでも常に起動している対応する回路がCPUに割り込みをかけて車載器1を省電力モードから通常モードに切り替える。また、省電力モードの時にもリレー入出力部には常に電力が供給されているため、外部リレー20の状態を常に保持することができる。
【0042】
<無線通信モジュールについて>
前述のように車載器1は通常モードにおいては所定の周期、例えば30秒おきに、又は、車両動力のオン等の特定のイベント発生時に、あるいは、その両方で車両情報の収集を行い、サーバ3へその車両情報を送信する。常に起動している対応する回路がCPUに割り込みをかけて車載器1を省電力モードから通常モードに切り替える際には、車載器1を起点としてサーバ3と通信を行い、リレー制御指令の受信や車両情報の送信を行う。通常モードにおいては、車載器1起点の通信に加え、サーバ3起点の通信が可能であり、車載器1はリレー制御指令等の情報を受信可能である。電波状況が悪い時には、通信を確立するまでに、複数回、例えば5回程度の通信を繰り返すことがある。電波状況が悪く通信が確立できない場合でも、車載器1は、直近の通信によりサーバ3から受信したリレー制御指令をメモリに記憶しているので、車載器1はスタンドアローンで動作することが可能である。また、車載器1は収集した車両情報をメモリに記憶しているので、通信回線が回復したときにそれらをまとめてサーバ3へ送信することができる。なお、電波状況が悪い場合には、起動不可状態に対応するリレー制御指令を送信又は受信しないようにしておくこともでき、この場合には、電波状況が悪いために、起動不可状態から起動可能状態への変更ができなくなる不都合を回避することができる。
【0043】
次に、
図5を参酌して、メモリ13内の構成を説明する。メモリ13は、通信部50、リレー制御部51、リレー監視部55及びエンジン連動制御部57からなる4つの処理部を含んでいる。また、リレー制御部51はリレー設定値52、車種毎起動不可リレー値53及び車種毎起動可能リレー値54を含み、リレー監視部55はリレー監視実行フラグ56を含み、エンジン連動制御部57はリレー変更禁止期間58、エンジン停止時刻59及びエンジン状態再評価期間を含んでいる。
【0044】
通信部50は、サーバ3との通信のためのデータ領域である。無線通信モジュール12を介して、車両情報のサーバ3への送信、サーバ3からのリレー制御指令の受信を行うために用いられる。リレー制御部は、サーバ3からのリレー制御指令により与えられたリレー値に対応する状態へ外部リレー20を変更するためのデータ領域である。リレー監視部55は、後述のように設定された起動不可状態・起動可能状態のリレー状態値に基づき、リレー状態が起動可能状態でなければならない状況、すなわち、初期状態又はサーバ3からの最後のリレー変更要求が起動可能状態への変更である場合には、外部リレー20の状態を定期的に監視し、この監視の結果、外部リレー20が起動可能状態以外のリレー状態になっている場合は、起動可能状態に変更する。エンジン連動制御部57は、サーバ3からリレー制御指令を受信した際、過去X分(例えば2分)の間にエンジンがオンになっていた場合は、リレー制御指令を無視し、起動不可状態へのリレー制御指令を実行してからY秒(例えば5秒)の間にエンジンのオンを検出した場合には、リレーを起動可能状態に変更する。
【0045】
ここで、X分を例えば2分としたことの根拠を説明する。エンジン停止後10分程度で車載器1は省電力モードに切り替えられ、電力の消費を抑える。省電力モードの状態でユーザが車両に乗り込みエンジンを始動すべくキーをシリンダーに差し込み、イグニッションオン状態にすると、ING入力検知部17は走行状態識別線(ACC線、IG線)22からエンジンがオン状態になったことを検出して、CPU11に対して割り込みをかけて、車載器1を通常モードに切り替える。車載器1が通常モードに切り替えられたことをサーバ3が認識するまでには、電波状況が良い時には1分程度、電波状況が悪く通信を5回程度繰り返す必要がある場合には1分30秒程度かかる。車両の動力がオフにされてからある程度の期間は起動不可状態への切り替えを指示するリレー制御指令を採用しない(無視する)ことにより、車両の動力をオフにした後すぐに再度車両の動力をオンにするような場合にも、不用意に車両が起動不可状態に切り替えられてしまうことを防止することができる。例えば、駐車場においてトランクや座席から荷物を積み下ろしするまでの間、車両を駐車スペースから少しずらした位置で一端停車させた状態で車両の動力をオフにし、荷物の積み下ろしの後、再び車両の動力をオンにして車両を駐車スペースに入れなおすような場合に、不用意に車両が起動不可状態に切り替えられてしまうことを防止することができる。逆にX分が長すぎる場合には、車両を起動不可状態に切り替えることができなくなってしまうケースが発生することから、過去2分間の間にエンジンがオンになっていた場合には、リレー制御指令を無視することとした。
【0046】
次に、Y秒を例えば5秒としたことの根拠を説明する。車載器1は、車両の動力がオンの間にリレー制御指令を受け取った場合には、安全を考慮してリレー制御指令を受け付けない(リレー制御指令を無視する)。車両の動力がオンである間は、ユーザが車両で移動中であるため、例えば電波状況が悪いために車両を起動不可状態へ変更するリレー制御指令の受信が遅延されてしまった場合等、不用意に車両が起動不可状態となることを防止している。一方、車載器1が車両の起動を認識するまでには、実際に車両が起動をしてから3秒程度かかる。車両を起動した直後に、車載器1がリレー制御指令を受信した場合、車載器1は車が起動していないと判断し、リレー制御指令を採用してしまい、車両が起動しているにも関わらず、車両が起動不可状態に切り替えられる状況が発生する。後述のように、イグニッションスイッチがプッシュ式の場合、起動不可状態にする方法として、プッシュボタンを無効にする方法と、イモビライザーを発動(認証用の線をカット)する方法とがあるが、この中、プッシュボタンを無効にするものの場合、前記3秒間の間に起動不可状態に切り替えられると、エンジンを切れなくなってしまう不具合が生じる。一方、イモビライザーを発動する方法の場合、前記3秒間の間に起動不可状態に切り替えられると、プッシュボタンは効くので、エンジンをオフすることはできる状態であるが、ギアがドライブDには入らなくなるという不具合が生じる。以上のことから、Y秒として、3秒よりも余裕を持たせた5秒を採用した。
【0047】
次に、
図5に示されているメモリ13の各変数について説明する。リレー設定値52は、現在の外部リレー20の状態に対応するリレー値である。車種毎起動不可リレー値53は、車両を起動不可状態にする外部リレー20の状態に対応する車種毎の設定値である。車種毎起動可能リレー値54は、車両を起動可能状態にする外部リレー20の状態に対応する車種毎の設定値である。リレー監視実行フラグ56は、外部リレー20の監視を実行させるか否かを決定するフラグであり、初期状態(車両の出荷時)、又は、サーバ3からの最後のリレー制御指令が起動可能状態への変更である場合にオンとなる。リレー変更禁止期間は、エンジンが停止された後、外部リレー20の変更を禁止する期間(X分、例えば2分)である。エンジン停止時刻は、前回エンジン停止を検出した時刻である。エンジン状態再評価期間は、起動不可状態への制御を行った後、エンジンのオンを再評価する期間(Y秒、例えば5秒)である。
【0048】
車種毎起動不可リレー値53及び車種毎起動可能リレー値54は、車両の車種に応じて1つだけ記憶しておいてもよいし、あるいは、複数車種の値を記憶しておき、車両の車種に応じて選択するようにしてもよい。また、車種毎起動不可リレー値53及び車種毎起動可能リレー値54は、コンソール14から設定するようにしてもよいし、サーバ3から設定するようにしてもよいが、ノイズによるファイルセーフの観点からはサーバ3から設定することが望ましい。
【0049】
次に、メモリ13の各処理部の動作について
図6〜
図8のフローチャートを参照して説明する。まず、
図6を参照してリレー制御部51の動作について説明する。S11でリレー制御部処理が開始されると、まずS12でリレー設定値52を与えられたリレー値で上書きする、次にS13でリレー状態をリレー設定値52の状態へ変更する。続いてS14でリレー制御指令のリレー値が車種毎起動可能リレー値54と同一か否か判断し、Yesの場合はS15に進み、リレー監視実行フラグ56をオンにし、S16に進む。S14の判断でNoの場合はS16に進み、通信部を呼び出し、サーバ3へリレー状態変更完了を通知し、続いて、S17でリレー制御部処理を終了する。リレー制御部51は、後述する
図7のリレー監視部55のS25、及び、後述する
図8のエンジン連動制御部57のS36により呼び出されて処理が開始される。
【0050】
次に、
図7を参照して、リレー監視部の動作を説明する。S21でリレー監視部処理が開始されると、まずS22でリレー監視実行フラグ56がオンであるか否かを判断する。上述のように、リレー監視実行フラグ56は、外部リレー20の監視を実行させるか否かを決定するフラグであり、初期状態(車両の出荷時)、又は、サーバ3からの最後のリレー制御指令が起動可能状態への変更である場合にオンとなる。S22の判断がYesの場合にはS23に進み、外部リレー20のリレー状態を取得した後、S24に進む。一方、S22の判断がNoの場合にはS26に進み、リレー監視部処理を終了する。S24では、S23で取得したリレー値が車種毎起動可能リレー値54以外の値であるか否かを判断し、Yesの場合にはS25に進み、リレー制御部51を呼び出し、リレー設定値52を起動可能状態に対応する車種毎起動可能リレー値54で上書きした上で、外部リレー20の状態を車種毎起動可能リレー値54に対応する状態へ変更した後、S26に進み、リレー監視処理を終了する。一方、S24の判断でNoの場合には、そのままS26に進み、リレー監視処理を終了する。
【0051】
リレー監視部の動作は、定期的に行われ、例えば通常モードでは30秒毎、省電力モードでは1時間毎に行われる。このリレー監視部の動作により、本来起動可能状態であるとき(リレー監視実行フラグがオンのとき)には、車載器のファームウェアの不具合によりメモリ13が本来の数値と異なる数値に書き換えられてしまった場合でも、常に車両が起動可能状態となるように外部リレー20を制御することにより、意図せずに車両が起動不可状態になってしまい、正当な車両の利用を妨げてしまうことを防止できる。例えば、車載器のファームウェアの不具合によりメモリ13のリレー設定値52の値が意図しない値に書き換えられてしまったような場合でも、リレー監視実行フラグがオンのときには、常に車両が起動可能状態となるように外部リレー20を制御することにより、車両を起動可能状態に維持することができる。
【0052】
続いて、
図8を参酌してエンジン連動制御部57の動作を説明する。S31でエンジン連動制御部処理が開始されると、S32に進み、通信部50を通してリレー制御指令を受け取り、次にS33に進み、現在のエンジン状態がオフか否かを判断する。S33の判断でYesの場合はS34に進み、S34では現在時刻とエンジン停止時刻の差分がリレー変更禁止期間58(X分)以上か否かを判断する。S33の判断でNoの場合及びS34の判断でNoの場合には、S35へ進み通信部50を呼び出してサーバ3へリレー制御指令無視を通知した後、S41へ進み、エンジン連動制御部の処理を終了する。S34の判断でYesの場合には、S36へ進み、リレー制御部51を呼び出し、外部リレー20の状態をリレー制御指令に対応する状態へ変更し、S37へ進む。S37ではエンジン状態再評価期間60(Y秒)だけ待機した後、S38へ進み、S38では実行したリレー制御指令は起動不可状態への変更であり、かつ、現在のエンジン状態はオンであるか否かを判断する。S38の判断でYesの場合には、S39へ進み、S39ではリレー制御部51を呼び出し、外部リレー20の状態を車種毎起動可能リレー値54に対応する状態へ変更した後、S40に進む。S40では、通信部50を呼び出し、サーバ3へリレー制御指令無視を通知した後、S41へ進み、エンジン連動制御部の処理を終了する。一方、S38の判断でNoの場合には、そのままS41へ進み、エンジン連動制御部の処理を終了する。
【0053】
エンジン連動制御部57の動作は、定期的に行われ、例えば通常モードでは30秒毎、省電力モードでは1時間毎に行われる。S35及びS40では、通信部50を呼び出してサーバ3へリレー制御指令無視を通知しているところ、サーバ3はこのリレー制御指令が無視されたことを受信すると、
図6のS16でリレー状態変更完了が通知されるまで、繰り返し、リレー制御指令を送信する。このエンジン連動制御部57の動作により、サーバからの指示により車両を起動不可状態に変更する際、車両の安全を考慮し、車両が危険な場所又は他人の迷惑になる場所におかれた状態で起動不可状態になってしまうことを防止できる。リレー変更禁止期間58(X分、例えば2分)を考慮することにより、車両の動力をオフにした後すぐに再度車両の動力をオンにするような場合にも、不用意に車両が起動不可状態に切り替えられてしまうことを防止することができる。また、エンジン状態再評価期間60(Y秒、例えば5秒)を考慮することにより、車両の動力がオンになった直後(Y秒以内)に車載器1が起動不可状態に対応するリレー制御指令を受け取った場合には、リレー制御指令を採用しない(リレー制御指令を無視する)ことにより、車両の動力がオン時に起動不可状態に切り替わるという不具合を防止することができる。
【0054】
図9〜12を参照して、実施形態1のキー式起動制御方法の配線図の動作を説明する。
図9〜12において、MCCSはリレー入出力手段として、内部リレー70を備えている。
図9は実施形態1の起動可能状態でイグニッションキーがオン(IGN=ON)のときの配線図である。車両2には、車載器1としてのMCCS、外部バッテリ21、イグニッションキースイッチ74、及び、外部リレー20等が設けられている。車載器1としてのMCCSは、内部リレー70を備えており、内部リレー70は、励磁コイル70a、励磁コイル端子70c、70d、接点70b、接点端子70e、70fを備えている。
図9では、内部リレー70はノーマリーオープンのリレーであり、起動不可状態のときはクローズとされ、起動可能状態のときはオープンとされる。内部リレー70は起動可能状態のときはオープンであるため、起動可能状態における内部リレー70における消費電力が抑えられる。MCCSは、リレースイッチ端子70e、70fの他に、電源端子であるPWR端子70g、IGN端子、及びGND端子を備えている。
【0055】
外部バッテリ21は、プラス端子21a及びマイナス端子21bを備えており、車両の電装品に電力を供給することができる。イグニッションキースイッチ74は、バッテリ端子74a、ACC端子74b、IGN端子74c、START端子74dを備えている。操作者はイグニッションキーをイグニッションキースイッチ74のイグニッションキー差し込み孔に差し込み、回転させることにより、車両の状態をOFF、ACCオン(ACC=ON)、IGNオン(IGN=ON)、STARTの4つの切り替えることができる。OFFは車両電源がオフの状態であり、ACC=ONはACC電源がオンの状態であり、IGN=ONはイグニッション電源がオンの状態であり、また、STARTはセルモータがオンの状態である。
【0056】
外部リレー20は、励磁コイル20a、励磁コイル端子20c、20d、接点20b、接点端子20e、20fを備えている。そして、外部リレー20の接点20bは、イグニッションキースイッチ74のSTART端子74dの配線の切断部76をバイパスするように結線されている。本実施形態の
図9では、外部リレー20はノーマリークローズのリレーである。なお、前述のとおり、外部リレー20はノーマリーオープンとノーマリークローズとを使い分けることによって緊急時の車両使用を想定するのか、不正操作の禁止を想定するのかを選択できるものとしている。例えば、盗難や違法使用のおそれが低い地域では、緊急時の車両使用を想定し、外部リレー20をノーマリークローズとすることができる。また、例えば盗難や違法使用のおそれが高い地域では、不正操作の禁止を想定して、外部リレー20をノーマリーオープンとすることができる。本実施形態では、外部リレー20はノーマリークローズのリレーであるものとして説明する。
【0057】
外部バッテリ21のマイナス端子21bはアース端子72aに接続されている。バッテリ21のプラス端子21aはイグニッションキースイッチ74のバッテリ端子74a、及び、MCCSのPWR端子に接続されている。イグニッションキースイッチ74のSATRT端子には、外部リレー20の接点20bが直列に接続されるように、一方の接点端子20fが接続されており、他方の接点端子はSTART配線に接続されている。
【0058】
イグニッションキースイッチ74のACC端子は、MCCSのIGN端子、及び、内部リレー70の一方の接点端子70eに接続されている。MCCSのGND端子70iはアース72Cに接続されている。MCCSの他方の接点端子70fは、外部リレー20の励磁コイル20aの一方の励磁コイル端子20cに接続されている。また、外部リレー20の他方の励磁コイル端子20はアース72bに接続されている。
【0059】
図9では起動可能状態であるためMCCSの内部リレー70の励磁コイル70aは通電されておらず、MCCS内部リレーはオープンを維持する。このためイグニッションキーがACCオンないしIGNオンになっても外部リレーの励磁コイルには通電されないので、外部リレーはクローズのままであり、車両の起動が可能となる。この間、外部リレーの励磁コイルに電流は流れないため、電力消費は少ない。
【0060】
図10は実施形態1の起動可能状態でイグニッションキースイッチがオフのときの配線図である。
図10の各部の構成や配線は
図9と同一であるため、同一の構成には同一の記号を用い、その説明を省略する。起動可能状態であるためMCCSの内部リレー70の励磁コイル70aは通電されておらず、MCCS内部リレー70の接点70bはオープンを維持する。このため、イグニッションキースイッチがオフの間、外部リレー20の励磁コイル20aには通電されることはない。この間、外部リレー20の励磁コイル20aに電流は流れないため、電力消費は少ない。なお、イグニッションキースイッチがオフの間は車両が起動されることはない。
【0061】
図11は実施形態1の起動不可状態でイグニッションキーがオン(IGN=ON)のときの配線図である。起動不可状態であるためMCCSの内部リレー70の励磁コイル70aは通電されており、内部コイル70の接点70bはクローズになっている。この時、イグニッションキースイッチがACCオンないしIGNオンになると、外部リレー20の励磁コイル20aに通電され、外部リレー20の接点20bがオープンとなり、車両の起動が禁止される。この間、外部リレー20の励磁コイル20aに電流が流れるため、電力消費が発生するが、外部リレー20の励磁コイル20aに通電されるのはACC=ONないしIGN=ONの時だけであり、イグニッションキーがオフの間は通電されない。外部リレー20の励磁コイル20aが通電されるのはACC=ONないしIGN=ONの時だけなので、電力消費を削減できる。
【0062】
図12は実施形態1の起動不可状態でイグニッションキースイッチがオフ(IGN=OFF)のときの配線図である。
図12の各部の構成や配線は
図9と同一であるため、同一の構成には同一の記号を用い、その説明を省略する。起動不可状態であるためMCCS内部リレー70の励磁コイル70aは通電されており、内部コイル70の接点70bはクローズになっている。外部リレー20の励磁コイル20aは通電されておらず、外部リレー20の接点20bはクローズとなっている。この間、外部リレー20の励磁コイル20aに電流は流れていないため、電力消費は少ない。なお、IGN=OFFであるから、車両が起動されることはない。
【0063】
[実施形態2]
図13〜16を参照して、実施形態2のシステム、システム制御方法、システム制御プログラム及び記憶媒体について説明する。本実施形態では、プッシュ式起動制御方法の配線図の動作を説明する。
図13〜16において、車載器1としてのMCCSはリレー入出力手段18として、内部リレー70を備えている。なお、
図1〜12と共通の構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0064】
図13は実施形態2の起動可能状態でブレーキスイッチオンのときの配線図である。車両2には、車載器1としてのMCCS、外部バッテリ21、プッシュスタートスイッチ82、ブレーキスイッチ86、スマートキーECU80、及び、外部リレー20等が設けられている。車載器1としてのMCCSは、内部リレー70を備えており、内部リレー70は、励磁コイル70a、励磁コイル端子70c、70d、接点70b、接点端子70e、70fを備えている。
図13では、内部リレー70はノーマリーオープンのリレーであり、起動不可状態のときに接点70bはクローズとなり、起動可能状態のときにオープンとなる。MCCSは、リレースイッチ端子70e、70fの他に、ADC端子70j、電源端子であるPWR端子70g、IGN端子70h、及びGND端子70iを備えている。
【0065】
外部バッテリ21は、プラス端子21a及びマイナス端子21bを備えており、車両2の電装品に電力を供給することができる。プッシュスタートスイッチ82は、入力端子82a及び出力端子82bを備えている。操作者はプッシュスタートスイッチ82を操作することによって、エンジンを始動させたり、エンジンを停止させたりすることができる。
【0066】
外部リレー20は、励磁コイル20a、励磁コイル端子20c、20d、接点20b、接点端子20e、20fを備えている。
図13では、外部リレー20はノーマリークローズのリレーである。そして、外部リレー20の接点20bは、プッシュスタートスイッチ82の出力端子82bの配線の切断部76をバイパスするように配線されている。
【0067】
スマートキーECUは、プッシュスタートスイッチ端子80a、Pポジション端子80b、ブレーキ端子80f、ACC端子80c、IGN端子80d、及び、START端子80eを備えている。スマートキーECU80は、操作者の操作に応じて車両電源オフ、ACC=ON、IGN=ON、セルモータONの4つの状態に切り替えることができる。また、ギア位置がPポジションにあり、かつ、ブレーキSW86がオン(ブレーキが踏まれている状態)である時だけ、スマートキーECUはプッシュスタートスイッチ82からのエンジンスタート指令、あるいは、スマートキー操作によるエンジンスタート指令を受け付け、セルモータON状態とすることができる。なお、ギア位置がPポジションにあることは、パーキングポジション検出センサ84により検出される。
【0068】
外部バッテリ21のマイナス端子21bはアース端子72aに接続されている。バッテリ21のプラス端子21aはプッシュスタートスイッチ82の入力端子82a、及び、MCCSのPWR端子に接続されていると共に、ブレーキSW86を介してスマートキーECUのブレーキ端子、ブレーキSW86を介してMCCSのADC端子、及び、ブレーキSW86を介してMCCSの内部リレー70の一方の接点端子70eに接続されている。
【0069】
プッシュスタートスイッチ82の出力端子82bとスマートキーECU80のプッシュスタートスイッチ端子80aとの間には、外部リレー20の接点20bが接点端子20e及び20fを介して直列に接続されている。スマートキーECU80のPポジション端子80bにはギアがPポジションに有るか否かの情報を含むPポジション位置信号線が接続されている。
【0070】
スマートキーECU80のACC端子はMCCSのIGN端子に接続されている。MCCSのGND端子70iはアース72Cに接続されている。MCCSの内部リレー70の他方の接点端子70fは、外部リレー20の励磁コイル20aの一方の励磁コイル端子20cに接続されている。また、外部リレー20の他方の励磁コイル端子20dハアース72bに接続されている。
【0071】
図13では起動可能状態であるためMCCSの内部リレー70の励磁コイル70aは通電されておらず、MCCS内部リレー70の接点70bはオープンを維持する。また、外部リレー20の励磁コイル20aには通電されていないので、外部リレー20はクローズを維持している。この間、外部リレー20の励磁コイルに電流は流れないため、電力消費は少ない。また、ギア位置がPポジションであり、かつ、ブレーキスイッチ=ONとし、プッシュスイッチを押すか、もしくはスマートキー=ONになると、車両の起動が可能となる。
【0072】
図14は実施形態2の起動可能状態でブレーキスイッチオフのときの配線図である。
図14の各部の構成や配線は
図13と同一であるため、同一の構成には同一の記号を用い、その説明を省略する。起動可能状態であるためMCCSの内部リレー70の励磁コイル70aは通電されておらず、MCCS内部リレー70の接点70bはオープンを維持する。また、外部リレー20の励磁コイル20aには通電されていないので、外部リレー20の接点20bはクローズを維持している。この間、外部リレー20の励磁コイル20aに電流は流れないため、電力消費は少ない。また、ブレーキスイッチがOFFのときにはスマートECUにより車両の起動は阻止される。なお、ギア位置がPポジショに無い時にもスマートECUにより車両の起動は阻止される。
【0073】
図15は実施形態2の起動不可状態でブレーキスイッチオンのときの配線図である。
図15の各部の構成や配線は
図13と同一であるため、同一の構成には同一の記号を用い、その説明を省略する。起動不可状態であるためMCCS内部リレー70の励磁コイル70aは通電されているので、接点70bはクローズになっている。ブレーキスイッチ=ONとなった時には、外部リレー20の励磁コイル20aに通電され、外部リレー20の接点20bがオープンとなり、車両の起動が禁止される。また、外部リレー20の励磁コイル20aに通電されるのはブレーキスイッチ=ONの時だけであり、ブレーキスイッチ=OFFの間は通電されない。外部リレー20の励磁コイル20aに通電されるのはブレーキスイッチ=ONの時だけなので、電力消費を削減できる。
【0074】
図16は実施形態2の起動不可状態でブレーキスイッチオフのときの配線図である。
図16の各部の構成や配線は
図13と同一であるため、同一の構成には同一の記号を用い、その説明を省略する。起動不可状態であるためMCCS内部リレー70の励磁コイル70aは通電されているため、接点70bはクローズになっている。ブレーキスイッチ=OFFの状態では、外部リレー20の励磁コイル20aには通電されないため、外部リレー20の接点20bはクローズとなる。しかし、ブレーキスイッチ86がOFFのときにはスマートECUにより車両の起動は阻止される。この間、外部リレー20の励磁コイル20aに電流は流れないため、電力消費を大幅に減少できる。
【0075】
[実施形態3]
図17を参照して、実施形態3のシステム、システム制御方法、システム制御プログラム及び記憶媒体について説明する。実施態様1、2では、内燃機関車両へ適用し、外部リレー20により内燃機関のエンジン起動制御線(ST線)を切断することにより起動不可状態へ切り替える車両遠隔制御システムの態様を説明したが、以下では、
図17を参照して、内燃機関車両以外の動力を用いた車両、例えば電気自動車(以下「EV車両」という。)やハイブリッド電気自動車(以下「HEV車両」という。)を含む車両に適用し、起動不可状態へ切り替えるためにST線制御以外の制御を含む車両遠隔制御システムの態様を説明する。
【0076】
図17は起動不可状態の制御方式を説明したものである。
図17は、車両の種類として、内燃機関車両、EV車両、パラレル方式HEV車両、シリーズ方式HEV車両及びシリーズ・パラレル方式HEV車両に分類すると共に、起動方式をキー式とプッシュ式に区分した上で、起動不可状態の制御方式としてA方式及びB方式の2つの方式の中からどちらの方式を採用可能かをまとめたものである。2つの制御方式としては、A方式はST線をカットするもの、B方式はプッシュボタンを無効化するものである。なお、車両には一般にイモビライザーが搭載されており、A方式及びB方式は、イモビライザーが搭載されている車両においても採用可能である。イモビライザーとは、キーに埋め込まれたトランスポンダーと呼ばれるICチップに固有のIDコードを記録させておき、トランスポンダーのIDコードを車両本体の電子制御装置に登録されているIDコードにより認証して、認証が成立した場合にのみエンジンを始動させることできる装置である。
【0077】
キー式及びプッシュ式は、動力を始動するための操作方法で分けたものである。キー式とは、動力を始動するためにキーシリンダにキーを差し込み、OFF、ACC、IGN及びSTARTを切り替える方式のものである。プッシュ式とは、スマートキー式の場合の方式であり、動力始動用プッシュボタンを押すことにより、動力をオンとする方式のものである。
【0078】
なお、HEV車両の定義は、次のとおりである。パラレル方式は、モータとエンジンで車輪を駆動する方式であり、モータを使ってバッテリを充電する方式である。シリーズ方式は、エンジンで発電機を駆動して充電し、モータで車輪を駆動する方式である。シリーズ・パラレル方式は、モータとエンジンで車輪を駆動すると共に、エンジンで発電機を駆動して充電してモータを駆動することができる方式である。
【0079】
ここで、車載器1の構成は、EV車両及びHEV車両に対しても
図2で示した内燃機関車両用のものと共通の部分が多いが、EV車両には内燃機関が無い点、及び、HEV車両ではモータだけで走行できるモードが存在する点で内燃機関車両の場合と相違する。EV車両の場合には、IGN入力検知部17に替えて、プッシュボタンが押されて動力がオンとなっていることを検知する手段を設けることが望ましく、また、外部リレー20については、後述のように、電子的な手段に置き換えてもかまわない。HEV車両の場合には、IGN入力検知部17に替えて、動力がオンとなっていることを検知する手段を設けることが望ましく、また、外部リレー20については、後述のように、電子的な手段に置き換えてもかまわない。
【0080】
以下、A方式及びB方式の2つの制御方式について詳細に説明する。各方式によって、外部リレー20を挿入する配線が異なるが、いずれの方式の場合にも、起動不可状態のときには動力を始動することが不可能であり、起動可能状態のときには動力を始動することが可能である。
【0081】
A方式は、実施形態1で説明した方式であり、外部リレー20によって内燃機関のエンジン起動制御線(ST線)を切断することにより起動不可状態へ切り替える方式であり、内燃機関車両に適用できる。A方式ではST線に外部リレー20が挿入されており、起動不可状態の時に、外部リレー20を開とすることにより、セルモータへの電力供給を遮断するため、エンジンの始動を阻止することができる。
【0082】
B方式は、実施形態2で説明した方式であり、スマートキー式の場合の動力始動用プッシュボタンを備えた車両に採用する方式である。スマートキー式の車両では、動力始動用のキーシリンダーは無く、プッシュボタンが押されたことを電子制御装置へ伝えることによって動力を始動する。例えば、EV車両にはキー式のものは存在せず、全てプッシュ式である。B方式は、外部リレー20をプッシュボタンの配線に挿入し、起動不可状態では外部リレー20を開とすることにより、起動不可状態ではプッシュボタンを操作しても動力がオンとならない。ここでは、外部リレー20を用いて起動不可状態とする例を説明したが、起動不可状態のときに、プッシュボタンが押されたことを電子制御装置へ伝えなくすれば、どのような手段を用いてもよく、例えば電子的な手段を用いてもよい。なお、電子的な手段を用いる場合にも、リレー入出力部18(
図2を参照。)で、起動不可状態であるか起動可能状態であるのかを検出できるようにしておくことが望ましい。
【0083】
図17に示すとおり、キー式の場合、内燃機関車両、パラレル方式HEV車両、シリーズ方式HEV車両及びシリーズ・パラレル方式ではいずれもA方式であり、EV車両では存在しない。
【0084】
また、プッシュ式の場合、内燃機関車両、EV車両、パラレル方式HEV車両、シリーズ方式HEV車両及びシリーズ・パラレル方式HEV車両のいずれに対してもB方式である。
【0085】
以上、本発明の実施形態のシステム及びシステム制御方法について説明したが、これらの実施形態は本発明の技術思想を具体化するためのシステム及びシステム制御方法を例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、各実施形態に変更を加えたもの、各実施形態を組み合わせたもの等、その他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。また、上述の実施形態においては、車両を含むシステムについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両、発電装置、又は、空調装置の少なくともいずれか1つを含むことをシステムに適用可能である。発電装置としては例えば建築現場や土木作業現場などの現場に設置され、システム搭載装置を搭載した発電装置が挙げられる。また、空調装置としては、例えば盗難防止機能を備えたシステム搭載装置を搭載した空調装置が挙げられる。
【解決手段】システムの起動不可状態と起動可能状態とを切り替える外部リレーと、前記外部リレーを制御するためのシステム搭載装置と、前記システムに搭載された電源装置と、を備え、前記システム搭載装置は前記外部リレーを制御する内部リレーを有し、前記内部リレーは前記外部リレーと直列に接続されて直列回路を構成すると共に、前記直列回路には前記電源装置から電力を供給可能であり、前記直列回路は、前記システムの起動操作が行われない場合には、前記電源装置からの電力が供給されないように配線されていることを特徴とする。