【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例を図に従って説明する。
図1に示すように、従来公知の樹脂成形機の固定側プラテン1上面には樹脂成形品取出し装置3における第1フレーム5の基端部が固定される。該第1フレーム5は樹脂成形機の中心軸線と直交する走行方向で、端部が樹脂成形機の操作側又は反操作側へ突出する長さで延出し、該第1フレーム5には第1走行体7がその長手方向へ移動可能に支持される。
【0018】
第1走行体7には上記中心軸線と一致する前後方向で、その端部が型開した可動金型の上方に至る長さで延出する第2フレーム9が固定され、該第2フレーム9には第2走行体11がその長手方向へ移動可能に支持される。
【0019】
第2走行体11には、下端部に成形された樹脂成形品を保持するチャック13が設けられた上下ユニット15が設けられ、該上下ユニット15の作動に伴ってチャック13を可動金型に相対する下方位置と金型間から離脱した上方位置の間で昇降させる。
【0020】
なお、第1及び第2走行体7,11及び上下ユニット15は、例えばサーボモータ等のような数値制御可能な電動モータ7a、11a、15aが連結された送りねじ機構、ベルト機構等の直線移動機構により所定の方向へ往復移動される。
【0021】
樹脂成形機の設置床面に配置される制御ボックス17にはチャック13が所定の位置へ移動するように各電動モータ7a、11a、15aを駆動制御する駆動制御ユニットやチャック13により樹脂成形品を保持及び保持解除するための保持制御ユニット等の制御手段19が収容される。該制御ボックス17の盤面には各種スイッチ(主電源スイッチ、非常停止スイッチ等)が設けられると共に電気ケーブル等で接続された可搬形操作手段としての可搬形操作ボックス21が着脱可能に取り付けられる。該可搬形操作ボックス21はチャック13の各移動位置データを数値入力したり、チャック13を実際に移動させて各移動位置データを教示入力したりする際に使用する。
【0022】
図2(
図2は電源投入時の初期画面を示す)に示すように、可搬形操作ボックス21には各種スイッチ(非常停止スイッチ等)や表示ランプ、LCD等の表示手段23等が配列されている。該表示手段23は表示された各種キーやボタン(データ設定キー、カーソルキー、テンキー等を含む)のタッチ操作により各種データを設定入力するタッチパネルにより構成される。
【0023】
可搬形操作ボックス21には可搬形操作ボックス21の操作モードを切り換えるメニューバー21a、各種操作を手動で行う際の各種シートキー21b、後述する表示画面の取込み動作(キャプチャー動作)を実行する際に後述するステータスボタン23dのタッチ操作状態でON操作されるホームボタン21cが表示手段21の周りに配列される。上記メニューバー21aには後述するキャプチャー画像記憶領域29eに記憶されたキャプチャー画像のファイルを読み出す読出しボタンを含む。
【0024】
次に、制御概略を説明すると、
図3に示すように制御手段19のCPU25にはプログラムメモリ27及び作業メモリ29がデータバスを介して接続される。上記プログラムメモリ27には樹脂成形品取出し装置3が樹脂成形品の取出し動作を実行するためのプログラムデータや表示手段23に表示された画像の切り出し動作を実行するためのプログラムデータ等が記憶される。
【0025】
なお、プログラムメモリ27にはチャック13の移動データを設定するためのデータ設定プログラムや取出す樹脂成形品を変更する際に段取り換えを実行するための段取り換えプログラムデータ等が記憶されているが、本願発明とは直接関係ないため、詳細な説明を省略する。
【0026】
作業メモリ29には可搬形操作ボックス21の操作により設定されたチャック13の各移動位置に関する作業データを記憶する作業データ記憶領域29a、各電動モータ7a、11a、15aに設けられたエンコーダ出力によりチャック13の現在位置(移動量)を記憶する移動量記憶領域29b、可搬形操作ボックス21により設定される各種データを記憶する設定データ記憶領域29c、各表示モードにおける表示手段23の画像データを記憶する画面データ記憶領域29d及び表示手段23に表示されている画面を取り込んだキャプチャー画像を記憶するキャプチャー画像記憶領域29e、キャプチャー画像記憶領域29eに記憶されているキャプチャー画像中から選択されて保守作業者に送信されるキャプチャー画像の送信ファイルを記憶する送信ファイル記憶領域29f等が設けられる。
【0027】
該キャプチャー画像記憶領域29eは、例えば100枚分のキャプチャー画像記憶容量で、後述するようにキャプチャー画像が取り込まれると、キャプチャー画像を、例えばcapture.png形式、.jpg(.jpeg)形式、.gif形式等で、000〜099のシリアル番号が自動的に付与されたファイル形式で順に記憶される。
【0028】
CPU25には各電動モータ7a、11a、15aの駆動制御手段31がデータバスを介して接続され、該駆動制御手段31は作業データ記憶領域29aに記憶された作業データ及び移動量記憶領域29bに記憶されたチャック13の移動量に基づいて各電動モータを駆動制御してチャック13を所定の移動位置へ移動させる。
【0029】
また、CPU25には表示手段23の表示制御手段33がデータバスを介して接続され、表示制御手段33は画面データ記憶領域29dに記憶された画像データ(各モードにおいて必要とするキー画像、ボタン画像、樹脂成形品取出し装置の動作概略を示すグラフィック画像等を含む)に基づいて表示手段23を表示制御して各モードの画面と共に該画面中のウィンドウに作業データ、チャック13の現在位置(移動量)に付いての移動データ等を表示させる。また、表示制御手段33は表示手段23に表示された各種のキーやボタンがタッチ操作された際に、タッチ操作されたキーやボタンの行位置及び列位置を検知してデータ入力やモード切換えを実行する。
【0030】
CPU25には通信制御手段35がデータバスを介して接続される。該通信制御手段35は受信部及び送信部を備え、既存のインターネット、イントラネット(
図3はインターネット37に接続した例を示す。)のいずれかに接続される。該インターネット37には、例えば成形機及び樹脂成形品取出し装置3の設置場所から離れた樹脂成形品取出し装置3の保守サービスセンターに設置された外部端末装置39が必要に応じてウェブ接続機関(所謂プロバイダー、図示せず)を介して接続される。
【0031】
該通信制御手段35は外部端末装置39からのアクセス指令に基づいてキャプチャー画像記憶領域29eに記憶された指定番地のキャプチャー画像を読み出して外部端末装置39へ送信制御するように遠隔操作可能にされる。
【0032】
なお、制御手段19にサーバー機能を持たせた場合にはウェブ接続機関は不要であり、外部端末装置39は、具体的にはパーソナルコンピュータにより実現される。
【0033】
CPU25には入出力手段41がデータバスを介して接続され、該入出力手段41は樹脂成形品取出し装置3に設けられた各種センサーや各電動モータ7a、11a、15aの回転角検知機(ロータリーエンコーダ)等からの信号をA/D変換したり、駆動制御手段31や表示制御手段33から出力されるデータをD/A変換したりする。
【0034】
次に、可搬形操作ボックス21の表示手段23に表示されている画像の取込み作用を説明する。
先ず、可搬形操作ボックス21の表示手段23に表示される画面に付いて説明すると、可搬形操作ボックス21の電源スイッチがON操作されると、
図2に示すように動作モード表示ウィンドウ23aに手動動作または自動動作を示す情報、サイクル表示ウィンドウ23bに樹脂成形機の成形サイクル、樹脂成形品取出し装置3の取出しサイクル及び全サイクルに付いての数値データ、チャック位置情報表示ウィンドウ23cに走行方向、前後方向及び上下方向に対するチャック13の現在位置情報及び移動可能距離の数値データ等が表示される。
【0035】
なお、表示手段23の画面左下には表示画面の取込み動作(キャプチャー動作)を実行する際にホームボタン21cのON操作に先立ってタッチ操作されるステータスボタン23dが常に表示される。
【0036】
そして上記状態にて樹脂成形品取出し装置3が駆動されて樹脂成形品の取出し動作が実行されると、チャック位置情報表示ウィンドウ23cにはチャック13の移動に伴って走行方向、前後方向及び上下方向におけるチャック13の現在位置情報が順にインクリメントまたはディクリメントされると共にサイクル表示ウィンドウ23bには樹脂成形機の成形サイクル、樹脂成形品取出し装置3の取出しサイクル及び全サイクルに関する情報が表示される。
【0037】
各移動軸方向に対するチャック13の移動位置データを設定する際にメニューバー21aの設定ボタンが操作されると、
図4に示すように表示手段23にチャック13の作業データの設定方法(数値入力または教示入力)を選択する入力選択ボタン、チャック13の移動軸選択ボタン及びチャック13の移動状態を示すグラフィック画像等が表示される。
【0038】
そして例えば入力選択ボタンにより数値入力モードが選択された状態で数値入力する軸選択ボタンがタッチ操作されると、
図5に示すように表示手段23には数値入力ウィンドウ、テンキー等がそれぞれ表示される。現場作業者は表示手段23に表示されたテンキー等をタッチ操作して選択されたチャック13の移動軸に付いての各移動位置(移動距離)を数値入力して設定する。
【0039】
一方、
図4に示す状態にて入力選択ボタンにより教示入力モードが選択されると、
図6に示すようにシートキー21bにおける所望の移動軸の移動ボタンが操作されると、選択された軸に対応する電動モータ7a、11a、15aを駆動してチャック13を所望の移動軸方向へ移動させる。その際、表示手段23における軸移動表示ウィンドウ23hにはチャック13(軸)の移動に伴って数値がインクリメントまたはディクリメントされて原点に対する移動数値(移動距離)が表示される。そして該チャック13が所望の移動位置に移動した際に移動ボタンの操作を解除してチャック13の移動を停止させた状態で位置記憶ボタンが操作されると、チャック13が停止している移動ポイントの位置データを作業データ記憶領域29aに記憶させて教示入力する。
【0040】
シートキー21bにおける所望の移動軸の移動ボタンを操作してチャック13を実際に所望の移動ポイントまで移動させた後に、該作業ポイントの位置データを作業データ記憶領域29aに記憶させる動作の繰り返しによりチャック13の移動位置を教示入力する。
【0041】
なお、上記説明は表示手段23に表示される主な画像に関するもので、実際には作業データの他にチャック13の移動速度設定画面や各移動位置間における移動加速度設定画面、チャック13が樹脂成形品を吸着保持する場合にあっては、吸着圧設定画面等の各種画面が表示される。
【0042】
樹脂成形品取出し装置3の設置場所から離れたサービスセンター等にいる保守作業者が樹脂成形品取出し装置3の稼働状況や取出し不良が発生した際の稼働状況及びその際の作業データの設定状態、作業データを数値入力または教示入力する際の移動データの設定状況等を確認するのに必要な画像データの取込み作用を説明する。
【0043】
保守作業者の要求に応じて選択された、例えば
図2に示す画面の画像を取り込むには、表示手段23に
図2に示す画像が表示されている状態で現場作業者がステータスボタン23dをON操作した状態でホームボタン21dをON操作すると、表示制御手段33はホームボタン21dがON操作されたタイミングで表示手段23に表示されている画面の画像をキャプチャー画像として取り込んでキャプチャー画像記憶領域29eに記憶させる。その際、キャプチャー画像記憶領域29eに記憶されるキャプチャー画像のファイルにはシリアル番号が自動付与される。
【0044】
現場作業者が表示手段23に表示された、例えば
図4、
図5、
図6に示す画面の画像を取り込むには、上記と同様に現場作業者が表示手段23の表示画面を所望の画面に切り換えた後にステータスボタン23dをON操作した状態でホームボタン21dをON操作すると、表示制御手段33はホームボタン21dがON操作されたタイミングで表示手段23に表示されている画面の画像を取り込み、ファイルにシリアル番号を自動付与してキャプチャー画像記憶領域29eに記憶させる。
【0045】
現場作業者が上記のように取り込まれたチャプチャー画像を保守作業者へ送信するには、先ず現場作業者がメニューバー21aの読出しボタンをON操作すると、表示手段23には
図7に示すようにキャプチャー画像記憶領域29eに記憶されたキャプチャー画像のファイルリストを表示するウィンドウ、ファイルリストの画像を縮小表示するサムネイルボタン23e、選択されたファイルを添付送信する際のメール設定ボタン23f、送信開始ボタン23g等が表示される。
【0046】
そして
図7に示す状態にてサムネイルボタンがタッチ操作されると、
図8に示すように表示手段23のウィンドウにキャプチャー画像記憶領域29eに記憶されたすべてのキャプチャー画像を縮小表示し、現場作業者において保守作業者が要求する画像を確認可能にさせる。
【0047】
現場作業者は保守作業者が要求するキャプチャー画像を確認した後に表示手段23の画面を
図8に示す画面に戻し、表示されたファイルリスト中から保守作業者が要求するキャプチャー画像のファイルをタッチ操作することにより送信ファイル記憶領域29fに記憶させる。
【0048】
次に、現場作業者が保守作業者に要求されたキャプチャー画像を送信するには、現場作業者は、先ずメール設定ボタンをタッチ操作して表示手段23にメール設定画面を表示し、保守作業者のメールアドレス等の送信情報を入力すると共に送信ファイル記憶領域29fに記憶されたキャプチャー画像のファイルを読み込んで添付ファイルに設定した後に送信開始ボタンをタッチ操作することによりインターネット37を介して保守作業者の外部端末装置39へ送信する。
【0049】
保守作業者は外部端末装置39に送信されたメールの添付ファイルを開いてキャプチャー画像を表示し、樹脂成形品取出し装置3の稼働状況や取出し不良が発生した際の稼働状況及びその際の作業データの設定状態、作業データを数値入力または教示入力する際の移動データ設定状況等を確認し、現場作業者へ必要な指示を行う。
【0050】
なお、
図2、
図4乃至
図8に示す実施例は一例にすぎず、これらにより本願発明が限定されるものではなく、樹脂成形品取出し装置3の稼働状況や取出し不良が発生した際の稼働状況及びその際の作業データの設定状態、作業データを数値入力または教示入力する際の
移動データ設定状況を把握するのに適した表示画面であればよい。
【0051】
本実施形態は、可搬形操作ボックス21の表示手段23に表示されている樹脂成形品取出し装置3の稼働状況や取出し不良が発生した際の稼働状況及びその際の作業データの設定状態、作業データを数値入力または教示入力する際の移動データ設定状況等を示す画面の画像を取り込み、樹脂成形品取出し装置3の設置現場から離れた場所にいる保守作業者へキャプチャー画像を送信して確認させることができ、保守作業を効率化することができる。
【0052】
また、表示手段23に表示されている画面の画像をそのまま取り込むことにより現場作業者の手間を省いて作業負担を軽減することができる。
【0053】
上記説明は、制御ボックス17内に収容された制御手段19と可搬形操作ボックス21を電気ケーブル等で電気的に接続する構成としたが、可搬形操作ボックス21内に制御手段19を直接収容する構成としてもよい。
【0054】
上記説明は、現場作業者が保守作業者の要求に基づいてキャプチャー画像記憶領域29eに記憶されたキャプチャー画像データ中から所定のキャプチャー画像のファイルを指定してインターネット37を介して外部端末装置39へ送信する構成としたが、外部端末装置39
からのアクセス指令に基づいてキャプチャー画像記憶領域29eに記憶されたキャプチャー画像のファイルを読み出して外部端末装置39へ送信し、その表示手段(図示せず)に表示させてキャプチャー画像を確認可能にしてもよい。
【0055】
上記説明は樹脂成形機の設置床面に配置された制御ボックス17内に制御手段19を収容し、該制御手段19と可搬形操作ボックス21を電気ケーブルで接続する構成としたが、制御ボックス17は樹脂成形品取出し装置3における第1フレーム5の端部(第1走行体7と干渉しない箇所)に取り付け、該制御手段19と可搬形操作ボックス21を電気ケーブルで接続する構成としてもよい。また、制御手段19の記憶手段、特に作業メモリ29は可搬形操作ボックス21内に収容した構成としてもよい。