(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プラント等の監視対象から取得する運転データは、プラントの運転状況に応じて大きく変動する場合がある。この場合、運転データは、正常域及び前置警報域に亘って変動する可能性があり、例えば、プラントが正常であっても、運転データが前置警報域で推移したり、プラントに異常予兆があっても、運転データが正常域で推移したりする可能性がある。このため、特許文献1の運転データ管理装置では、運転データが正常域において推移する場合、異常予兆を検知することは困難である。ここで、異常予兆の検知とは、プラント設備の経時的な劣化等により、プラント設備の異常には至らないものの、将来的に異常が発生する可能性の高い兆しを検知することである。
【0005】
ここで、異常予兆を検知する方法としては、プラントの運転データの相関関係に基づいて、異常予兆を検知するものがある。具体的に、プラントから取得可能な複数の運転データのそれぞれを組み合わせ、組み合わせたそれぞれの運転データの相関値が、正常時における相関値と比較して乱れた場合、異常予兆を検知する。しかしながら、上記の異常予兆を検知する方法では、相関関係が低い組み合わせがノイズの影響として発生する可能性があり、また、運転データの数が多ければ多いほど、組み合わせの数が多くなることから、異常予兆に関する計算負荷が増大する問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、原子力プラントがベースロード運転を行うことを考慮して、計算負荷の増大を抑制しつつ、異常予兆を好適に検知することができる異常予兆監視システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の異常予兆監視システムは、原子力プラントの異常予兆を検知可能に監視する異常予兆監視システムであって、前記原子力プラントにおいて計測される計測パラメータを含むプラント運転データを記憶する記憶部と、前記プラント運転データに基づいて、前記原子力プラントの異常予兆を検知する監視制御部と、を備え、前記原子力プラントは、前記計測パラメータが予め規定された目標値となるように、ベースロード運転を行っており、前記監視制御部は、過去の前記プラント運転データに基づいて、現在の前記計測パラメータの推移が正常となる範囲である正常範囲を設定し、現在の前記計測パラメータが、設定した前記正常範囲を超えた場合、異常予兆を検知することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、原子力プラントは、ベースロード運転を行っていることから、計測される計測パラメータは、目標値を目標として推移する。このため、過去及び現在のプラント運転データに含まれる計測パラメータは、原子力プラントの運転状況が同じであり、また、原子力プラントが正常である場合、ほぼ同じような推移となる。よって、監視制御部は、現在の計測パラメータが、過去のプラント運転データに基づいて設定された正常範囲を超えた場合、異常予兆を好適に検知することができる。このとき、監視制御部は、計測パラメータの相関関係を求める必要がなく、現在の計測パラメータが正常範囲を超えるか否かを判定すればよいことから、計算負荷の増大を抑制することができる。
【0009】
また、前記原子力プラントの異常を警告する警報値が、予め設定され、前記警報値は、前記計測パラメータが正常となる正常判定領域と、前記計測パラメータが異常となる異常判定領域とを分けるしきい値となっており、前記正常範囲は、前記正常判定領域に設定されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、正常判定領域に正常範囲を設定することで、計測パラメータが異常とならない正常判定領域において、原子力プラントの異常予兆を検知することが可能となる。
【0011】
また、前記原子力プラントの運転状況に応じた運転モードが、予め複数用意され、前記正常範囲は、複数の前記運転モードに対応する過去の運転状況の前記プラント運転データに基づいて、複数用意され、前記監視制御部は、現在の前記原子力プラントの運転状況に応じた前記運転モードが設定されると、前記運転モードに対応する前記正常範囲を設定することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、原子力プラントの運転状況に応じて、適切な正常範囲を設定することができる。このため、原子力プラントの運転状況に応じた異常予兆を検知することが可能となる。ここで、原子力プラントの運転状況、すなわち運転モードは、例えば、外的環境によって変化する原子力プラントの運転状況に応じて複数用意されたり、原子力プラントの起動運転、停止運転等の運転に応じて複数用意されたりする。
【0013】
また、前記監視制御部は、前記正常範囲の広さを、設定変更可能となっていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、正常範囲の広さを広くすることで、異常予兆の検知の感度を低くしたり、正常範囲の広さを狭くすることで、異常予兆の検知の感度を高くしたりすることができる。このため、例えば、原子力プラントの運転サイクルの後期になるにつれて、正常範囲を狭めるように設定変更することで、運転サイクルの後期における異常予兆の検知の感度を高めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0017】
[実施形態]
図1は、本実施形態に係る異常予兆監視システムを含む原子力プラント運転システムに関する概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る異常予兆監視システム102は、原子力プラントを運転する際に使用される原子力プラント運転システム100に組み込まれている。ここで、原子力プラントとしては、例えば、原子炉を有する原子力発電プラント110であり、原子力発電プラント110は、ベースロード運転を行うように制御され、サイト115内に設けられている。先ず、
図1を参照して、異常予兆監視システム102の説明に先立ち、原子力プラント運転システム100について説明する。
【0018】
図1に示すように、原子力プラント運転システム100は、運転監視システム101と、異常予兆監視システム102と、異常診断システム103と、保守システム104と、運転履歴データベース105とを備えている。そして、原子力プラント運転システム100は、ステーションバス107及び複数のユニットバス108a,108b,108cにより、各システム101,102,103,104及び運転履歴データベース105が通信可能に接続されている。
【0019】
運転監視システム101は、原子力発電プラント110の運転の監視及び制御を行っている。運転監視システム101は、分散制御システム(DCS:Distributed Control System)121と、プロセス制御システム(PCCS:Process Control Computer System)122と、ゲートウェイ123と、を備えている。
【0020】
分散制御システム121は、原子力発電プラント110を制御可能に接続され、複数の制御機能を分散させた複数の制御装置を含んで構成されている。分散制御システム121は、原子力発電プラント110に設けられた図示しないポンプ及びバルブ等の各機器の作動を制御するシステムである。この分散制御システム121は、プロセス制御システム122からの制御信号に基づいて、各機器の作動を制御することにより、原子力発電プラント110の運転を制御している。また、分散制御システム121は、原子力発電プラント110に設けられる複数の計測機器に接続されており、複数の計測機器からそれぞれ出力される複数の計測パラメータをプラント運転データとして取得し、取得したプラント運転データをプロセス制御システム122に向けて出力している。
【0021】
プロセス制御システム122は、ユニットバス108aを介して分散制御システム121と接続されており、原子力発電プラント110が設けられる建屋133から離れた中央制御室(MCR:Main Control Room)131に設けられている。プロセス制御システム122は、分散制御システム121から入力されるプラント運転データを取得すると共に、原子力発電プラント110の運転を制御するための制御信号を、分散制御システム121へ向けて出力している。また、プロセス制御システム122は、ゲートウェイ123及びステーションバス107を介して、分散制御システム121から取得したプラント運転データを、運転履歴データベース105へ向けて出力している。
【0022】
ゲートウェイ123は、プロセス制御システム122とステーションバス107との間に設けられ、プロセス制御システム122及びステーションバス107にそれぞれ接続されている。このゲートウェイ123は、プロセス制御システム122からのプラント運転データの出力を許容する一方で、他のシステムからのプロセス制御システム122へのデータの入力を規制する。
【0023】
このような運転監視システム101は、原子力発電プラント110からプラント運転データを取得し、取得したプラント運転データを監視する。また、運転監視システム101は、取得したプラント運転データに含まれる複数の計測パラメータが予め規定された目標値となるように、原子力発電プラント110にベースロード運転を行わせる。このように、原子力発電プラント110は、ベースロード運転を行うことから、目標値は、定常値となる。
【0024】
運転履歴データベース105は、ユニットバス108b及びゲートウェイ124を介して、ステーションバス107に接続されている。つまり、ゲートウェイ124は、ユニットバス108bとステーションバス107との間に設けられ、ユニットバス108b及びステーションバス107にそれぞれ接続され、運転履歴データベース105は、ユニットバス108bに接続されている。運転履歴データベース105は、原子力発電プラント110が設けられる建屋133から離れた事務所132に設けられている。運転履歴データベース105は、分散制御システム121から出力されたプラント運転データを蓄積することで、プラント運転データの履歴を保存する。この運転履歴データベース105は、異常診断システム103及び保守システム104からの要求に応じて、プラント運転データを出力可能となっている。
【0025】
異常予兆監視システム102は、ユニットバス108bに接続されており、運転履歴データベース105から出力されたプラント運転データを、ユニットバス108bを介して取得可能となっている。また、異常予兆監視システム102は、分散制御システム121から出力されたプラント運転データを、リアルタイムに取得可能となっている。異常予兆監視システム102は、詳細は後述するが、運転履歴データベース105に保存された過去のプラント運転データに基づいて設定される正常範囲と、リアルタイムに取得した現在のプラント運転データとを比較して、原子力発電プラント110の異常予兆を検知する。また、異常予兆監視システム102は、ユニットバス108bに接続されており、検知した異常予兆に関するデータである異常兆候データを、異常診断システム103へ向けて出力可能となっている。
【0026】
異常診断システム103は、ユニットバス108bに接続されており、異常予兆監視システム102から出力された異常兆候データを、ユニットバス108bを介して取得可能となっている。異常診断システム103は、異常兆候データに基づいて、原子力発電プラント110を構成する各種設備及び各種機器の中から、異常を引き起こす要因となる設備または機器を特定する。また、異常診断システム103は、ユニットバス108cに接続されており、特定した設備または機器に関する診断結果を保守データとして、保守システム104へ向けて出力可能となっている。
【0027】
保守システム104は、原子力発電プラント110を保守管理するためのシステムである。保守システム104は、異常診断システム103により診断した原子力発電プラント110の保守データを取得し、取得した保守データを保守作業員に提供したり、また、保守作業員による点検作業等によって得られる保守点検結果を保守データとして取得して蓄積したりする。この保守システム104は、保守データベース135と、保守端末136と、保守携帯端末137とを備えている。
【0028】
保守データベース135は、事務所132に設けられ、ユニットバス108cに接続されている。保守データベース135は、保守データを異常診断システム103に出力したり、保守端末136及び保守携帯端末137から入力される保守データを蓄積したり、異常診断システム103から取得した保守データを保守端末136に出力したりする。
【0029】
保守端末136は、原子力発電プラント110が設けられる非管理区域となる建屋133内に設けられ、ユニットバス108cに接続されている。保守端末136は、保守データベース135から取得した保守データを、保守作業員に提供したり、保守作業員により入力された保守データを、保守データベース135に出力したりする。なお、保守端末136は、事務所132内に設けてもよい。
【0030】
保守携帯端末137は、保守作業員に携帯されており、保守端末136と無線通信可能となっている。保守携帯端末137は、保守作業員の点検作業及び外観検査等によって得られる保守点検結果が、保守データとして保守作業員により入力される。また、保守携帯端末137は、入力された保守データを、無線通信により保守端末136へ向けて出力される。このとき、保守端末136及び保守携帯端末137は、建屋133内に設けられており、保守端末136及び保守携帯端末137間の無線通信は、建屋133内で行われる。
【0031】
このように、原子力プラント運転システム100は、各システム101,102,103,104及び運転履歴データベース105が、各バス107,108a,108b,108cによって接続されているため、各システム101,102,103,104で得た各種データを共有し、共有した各種データを処理することができる。
【0032】
また、原子力プラント運転システム100には、事務所132内の会議室134に大型情報端末141が設けられており、大型情報端末141は、ユニットバス108bに接続されている。この大型情報端末141には、保守システム104に蓄積された保守データの他、各システム101,102,103において取得したデータが表示可能となっている。
【0033】
次に、
図2及び
図3を参照して、異常予兆監視システム102について説明する。
図2は、本実施形態に係る異常予兆監視システムを模式的に表した概略構成図である。
図3は、計測パラメータを示す説明図である。
【0034】
異常予兆監視システム102は、記憶部10及び監視制御部11を有するコンピュータ等のハードウェア資源を用いて構成されている。この異常予兆監視システム102は、上記したように、運転履歴データベース105に保存された過去のプラント運転データに基づいて、プラント運転データが正常に推移する範囲となる正常範囲Wを設定している。また、異常予兆監視システム102は、リアルタイムに取得している現在のプラント運転データが、正常範囲Wにおいて推移しているか否かを判定している。
【0035】
記憶部10は、メモリおよび記憶装置等のハードウェア資源を用いて構成され、運転履歴データベース105から取得した過去のプラント運転データと、分散制御システム121からリアルタイムに取得した現在のプラント運転データと、を含むデータを記憶している。また、記憶部10は、監視制御部11により作成された下記する正常範囲Wと、原子力発電プラント110の異常を警告する下記する警報値Kとを記憶している。
【0036】
監視制御部11は、CPUを含む集積回路等のハードウェア資源を用いて構成され、ベースロード運転している原子力発電プラント110の異常予兆の有無を監視したり、原子力発電プラント110の異常の有無を監視したりしている。
【0037】
監視制御部11は、異常の有無を監視するにあたり、記憶部10に記憶された警報値Kをしきい値として用いている。つまり、監視制御部11は、分散制御システム121からリアルタイムに取得した現在のプラント運転データに含まれる所定の計測パラメータが、警報値Kを超えたか否かを判定する。例えば、警報値Kが上限値である場合、警報値K以下の値となる領域が、計測パラメータが正常となる正常判定領域E1となり、警報値Kよりも大きな値となる領域が、計測パラメータが異常となる異常判定領域E2となる。そして、監視制御部11は、計測パラメータが正常判定領域E1の値となる場合、正常であると判定し、計測パラメータが異常判定領域E2の値となる場合、異常であると判定する。
【0038】
また、監視制御部11は、異常予兆の有無を監視するにあたり、過去のプラント運転データに基づいて、原子力発電プラント110の運転開始から運転停止までの運転サイクルにおける正常範囲Wを作成している。そして、監視制御部11は、分散制御システム121からリアルタイムに取得した現在のプラント運転データに含まれる所定の計測パラメータが、正常範囲Wに収まって推移しているか否かを判定する。なお、正常範囲Wは、正常判定領域E1内において設定される。
【0039】
具体的に、プラント運転データに含まれる所定の計測パラメータに設定される正常範囲Wを作成する場合について説明する。監視制御部11は、正常範囲Wを作成する場合、運転サイクルごとの過去のプラント運転データを取得する。監視制御部11は、運転サイクルの所定の期間において、過去のプラント運転データの所定の計測パラメータの値を取得し、所定の期間における計測パラメータの平均値μを算出する。また、監視制御部11は、この平均値μを基準として、標準偏差σを算出する。そして、監視制御部11は、平均値μを中心として、標準偏差σが±3σとなる範囲(つまり、μ±3σ)を、正常範囲Wとして設定する。なお、この正常範囲Wは、μ±5σとしてもよく、各計測パラメータに応じて適宜設定される。そして、監視制御部11は、運転サイクルの全期間において上記の処理を行うことで、
図3に示す正常範囲Wを運転サイクルの全期間に亘って設定する。この正常範囲Wは、原子力発電プラント110の運転開始前に、監視制御部11によって作成される。
【0040】
監視制御部11は、正常範囲Wが設定されると、分散制御システム121からリアルタイムに取得した現在のプラント運転データに含まれる所定の計測パラメータが、正常範囲Wに収まって推移しているか否かを判定する。監視制御部11は、計測パラメータが、正常範囲Wを超えた場合、異常予兆が検知されたと判定する。そして、監視制御部11は、異常予兆が検知されると、その旨を保守作業員に報知すると共に、異常予兆が検知された計測パラメータに関する異常兆候データを、異常診断システム103へ向けて出力する。なお、異常診断システム103は、この異常兆候データの計測パラメータに対して、外挿法により計測パラメータの進展を予測した予測モデルLを生成し、生成した予測モデルLを用いて、異常診断を行う。
【0041】
次に、設定される正常範囲Wについて説明する。正常範囲Wは、原子力発電プラント110の運転状況に応じて、複数用意されている。具体的に、異常予兆監視システム102には、原子力発電プラント110の運転状況に応じて、複数の運転モードが用意されている。複数の運転モードとしては、例えば、原子力発電プラント110が定期試験を行うときの試験運転モード、原子力発電プラント110に設けられる補機が切り替えられたときの補機切替運転モード、原子力発電プラント110が起動運転を行うときの起動運転モード、原子力発電プラント110が停止するときの運転停止モード等がある。さらに、複数の運転モードとしては、所定の季節(夏季、冬季等)のときに原子力発電プラント110が運転するモードがある。そして、正常範囲Wは、複数の運転モードに対応して、複数用意される。なお、各運転モードに対応する正常範囲Wを作成する場合には、各運転モードに対応する運転状況で運転している原子力発電プラント110の所定の期間における過去のプラント運転データに基づいて作成される。
【0042】
そして、監視制御部11は、複数の運転モードの中から所定の運転モードが選択されると、選択された運転モードに対応する正常範囲Wを設定して、異常予兆の監視を実行する。
【0043】
また、監視制御部11は、設定される正常範囲Wの広さを、計測パラメータごとに設定変更可能となっていたり、運転時間に応じて設定変更可能となっている。例えば、監視制御部11は、原子力発電プラント110の運転サイクルの前期から後期に向かって、段階的または連続的に正常範囲Wの広さが狭くなるように変更している。具体的に、正常範囲Wは、運転サイクルの前期から後期に向かって、μ±5σからμ±3σに変更される。このため、監視制御部11は、運転サイクルの後期における異常予兆の感度が、運転サイクルの前期に比して高くなる。なお、正常範囲Wは、計測パラメータごとに設定変更可能としたが、プラント運転データに対して、つまり、全ての計測パラメータにおいて、一括に設定変更可能としてもよく、特に限定されない。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、監視制御部11は、原子力発電プラント110がベースロード運転を行うことを活かして、過去のプラント運転データに基づいて正常範囲Wを設定し、現在の計測パラメータが正常範囲Wを超えたか否かを判定することで、異常予兆を好適に検知することができる。このとき、監視制御部11は、計測パラメータの相関関係を求める必要がなく、現在の計測パラメータが正常範囲Wを超えるか否かを判定すればよいことから、計算負荷の増大を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、正常範囲Wを正常判定領域E1に設定することができるため、計測パラメータが異常とならない正常判定領域E1において、原子力発電プラント110の異常予兆を検知することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態によれば、原子力発電プラント110の運転状況に応じて、適切な正常範囲Wを設定することができる。このため、原子力発電プラント110の運転状況に応じた異常予兆を適切に検知することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態によれば、正常範囲Wの広さを設定変更可能とすることで、例えば、正常範囲Wの広さを広くして、異常予兆の検知の感度を低くしたり、正常範囲Wの広さを狭くして、異常予兆の検知の感度を高くしたりすることができる。