特許第6841593号(P6841593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841593
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】検針システム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/00 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
   G08C15/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-224096(P2015-224096)
(22)【出願日】2015年11月16日
(65)【公開番号】特開2017-91404(P2017-91404A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100134692
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 武
(72)【発明者】
【氏名】渋沢 真弘
(72)【発明者】
【氏名】古谷 伸秀
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−274038(JP,A)
【文献】 特開2012−39314(JP,A)
【文献】 特開2009−273264(JP,A)
【文献】 特開平10−290297(JP,A)
【文献】 特開2001−273578(JP,A)
【文献】 特開平9−247282(JP,A)
【文献】 特開2002−279572(JP,A)
【文献】 特開2003−203288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00−15/12
G01D 21/02
G01R 22/00−22/10
H04Q 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用した電力の使用量を計量する計量部と、上位装置と通信する通信部と、を有する電気メータ端末を複数備える検針システムであって、
前記通信部は、
ガスメータ端末と水道メータ端末のうち少なくとも一方と接続する通信線により通信可能に構成され、
前記ガスメータ端末から送信されるガスの使用量に関するガス検針データと前記水道メータ端末から送信される水道の使用量に関する水道検針データのうち少なくとも一方を前記通信線を介して受信し、
前記計量部で計量された電力の使用量に関する電力検針データと、前記ガス検針データと前記水道検針データのうち少なくとも一方の検針データとを前記上位装置に送信し、
前記電気メータ端末が備える制御部は、
前記上位装置からの制御要求を受けると、前記電気メータ端末に対して前記制御要求で要求された電力供給の接続又は遮断に関する制御を実行し、又は前記ガスメータ端末と前記水道メータ端末のうち少なくとも一方に対して前記制御要求を送信し、
前記電気メータ端末は、
前記ガスメータ端末と前記水道メータ端末のうち少なくとも一方に電力を供給する電源部を前記通信部に備え、
前記電源部は、
前記ガスメータ端末と前記水道メータ端末のうち少なくとも一方に前記通信線を通じて電力を供給
前記通信線は、
前記ガス検針データと前記水道検針データのうち少なくとも一方の受信と、前記電源部から前記ガスメータ端末と前記水道メータ端末のうち少なくとも一方への電力の供給と、に兼用される、ことを特徴とする検針システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記電力検針データ、前記ガス検針データ及び前記水道検針データを共通のデータ形式にそれぞれ変換し、
前記通信部は、前記制御部で変換された検針データを前記上位装置に送信する請求項1に記載の検針システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記電力検針データと、前記ガス検針データと前記水道検針データのうち少なくとも一方の検針データとを一つのデータにまとめ、
前記通信部は、前記制御部でまとめられたデータを前記上位装置に送信する請求項2に記載の検針システム。
【請求項4】
複数の前記電気メータ端末からの検針データを受信し、受信した複数の検針データを集約して上位のセンタ装置に送信するデータ集約装置を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検針システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気、ガス、水道の検針データを収集して伝送する検針システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気、ガス、水道の検針データは、各メータ端末により得られるが、各メータ端末からバラバラに検針データを得たのでは非効率であることから、近年、これらの検針データを収集して検針データセンタに伝送することが提案されている。例えば特許文献1には、電気、ガス、水道の検針データを各メータ端末から収集して、これらを検針データセンタに伝送するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3862638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の検針システムは、メータ端末から収集された電気、ガス、水道の検針データを、中継器を用いて検針データセンタに伝送するため、中継器の設置が必要となり、設備コストの増加を招くことになる。また、中継器に対して電源の供給又は内部電池の交換が必要となるので、電源の供給経路の形成又は電池交換といった面倒な作業を要するだけでなく、設備コストの増加を招くことになる。また、現在知られている電子式水道メータ端末は、通常の積算データ以外の情報を検知する機能があるが十分に活用されてなく、伝送する情報量を増やすと内部電池の交換寿命が短くなるといった課題を有している。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、水道、ガスの検針データを電気メータ端末の情報伝達システムを利用して伝送することで設備の構築やメンテナンスを簡素化することが可能な検針システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の態様に係る検針システムは、ユーザが使用した電力の使用量を計量する計量部と、上位装置と通信する通信部と、を有する電気メータ端末を複数備える検針システムであって、通信部は、ガスメータ端末と水道メータ端末のうち少なくとも一方と接続する通信線により通信可能に構成され、ガスメータ端末から送信されるガスの使用量に関するガス検針データと水道メータ端末から送信される水道の使用量に関する水道検針データのうち少なくとも一方を通信線を介して受信し、計量部で計量された電力の使用量に関する電力検針データと、ガス検針データと水道検針データのうち少なくとも一方の検針データとを上位装置に送信し、電気メータ端末が備える制御部は、上位装置からの制御要求を受けると、電気メータ端末に対して制御要求で要求された電力供給の接続又は遮断に関する制御を実行し、又はガスメータ端末と水道メータ端末のうち少なくとも一方に対して制御要求を送信し、電気メータ端末は、ガスメータ端末と水道メータ端末のうち少なくとも一方に電力を供給する電源部を通信部に備え、電源部は、ガスメータ端末と水道メータ端末のうち少なくとも一方に通信線を通じて電力を供給通信線は、ガス検針データと水道検針データのうち少なくとも一方の受信と、電源部からガスメータ端末と水道メータ端末のうち少なくとも一方への電力の供給と、に兼用される、ことを特徴とする。
また、本発明の態様に係る検針システムは、ユーザが使用した電力の使用量を計量する計量部と、上位装置と通信する通信部と、を有する電気メータ端末を複数備える検針システムであって、通信部は、ガスメータ端末と水道メータ端末のうち少なくとも一方と通信可能に構成され、ガスメータ端末から送信されるガスの使用量に関するガス検針データと水道メータ端末から送信される水道の使用量に関する水道検針データのうち少なくとも一方を受信し、計量部で計量された電力の使用量に関する電力検針データと、ガス検針データと水道検針データのうち少なくとも一方の検針データとを上位装置に送信することを特徴とする。
【0007】
電気メータ端末は、電力検針データ、ガス検針データ及び水道検針データを共通のデータ形式にそれぞれ変換する制御部を有し、通信部は、制御部で変換された検針データを上位装置に送信する構成でもよい。
【0008】
制御部は、電力検針データと、ガス検針データと水道検針データのうち少なくとも一方の検針データとを一つのデータにまとめ、通信部は、制御部でまとめられたデータを上位装置に送信する構成でもよい。
【0009】
ガスメータ端末と水道メータ端末の少なくとも一方に電力を供給する電源部を備える構成でもよい。
【0010】
複数の電気メータ端末からの検針データを受信し、受信した複数の検針データを集約して上位のセンタ装置に送信するデータ集約装置を備える構成でもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水道、ガスの検針データを電気メータの情報伝達システムを利用して伝送することで設備の構築やメンテナンスを簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る検針システムの構成を示すブロック図である。
図2】検針データのデータ形式(データフォーマット)を示す図である。
図3】センタ装置、データ集約装置及び電気メータ端末間におけるデータの送受信の手順を示すシーケンス図である。
図4】第2実施形態に係る検針システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現する場合がある。
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現する場合がある。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る検針システム1の構成を示すブロック図である。第1実施形態に係る検針システム1は、電気、ガス、水道の検針データを収集して伝送するシステムである。この検針システム1は、少なくとも、図1に示す複数の電気メータ(電気メータ端末)100、複数の通信親機200、及びデータ集約装置300を備えている。なお、検針システム1は、複数のガスメータ(ガスメータ端末)10や複数の水道メータ(水道メータ端末)20を含んでもよい。また、検針システム1は、センタ装置400を含んでもよい。また、検針システム1(複数の電気メータ100、複数の通信親機200、データ集約装置300)と、複数のガスメータ10と、複数の水道メータ20と、センタ装置400とを備えたシステムを、電気、水道、ガスの検針データを管理する管理システムと呼んでもよい。なお、図1に示す検針システム1は、マンションなどの集合住宅に設置されるシステムを想定している。
【0016】
電気メータ100は、家庭や会社などにおいてユーザ(電気、ガス、水道の使用者)が使用した電力使用量(電気量、電力消費量ともいう。)を計量(計測、測定)するメータ端末である。このような電力使用量を計量するメータ端末を電力量計ともいう。この電気メータ100は、双方向通信機能を備え、アナログのメータ端末と異なり、計量した電力消費量に関する検針データ(以下、電気検針データという。)をリアルタイムに伝送すること、また電力会社などのサーバからの制御要求に応じて電力供給の接続・切断や電力供給量の制御などを行うことができる。電気メータ100は、例えばマンションのパイプシャフト(上下水道間やガス管などの配管スペースであり、パイプスペースともいう。)に設置される。
【0017】
図1に示すように、電気メータ100は、計量部110、メモリ120、通信部130、及び制御部140を有している。電気メータ100以外の他の複数の電気メータも図1に示す電気メータ100と同一の構成を備えている。なお、図1に示す構成では、通信部130とは別にメモリ120及び制御部140を設けているが、メモリ120及び制御部140を通信部130内の構成として設けてもよい。この場合、通信部130は、メモリ、制御部及び信号I/F131を有する構成となる。計量部110は、ユーザが使用した電力使用量を計量する処理部である。メモリ120は、計量部110で計量された電力使用量に関する電力検針データを記憶する。また、メモリ120は、後述するガスメータ10の計量部11で計量されたガス使用量に関するガス検針データや、水道メータ20の計量部21で計量された水道使用量に関する水道検針データを記憶する。また、各種設定情報や制御プログラムなども記憶する。なお、通信部130内にメモリ及び制御部を設ける構成であれば、通信部130内のメモリにガス検針データ及び水道検針データが記憶される。
【0018】
通信部130は、既設の電力線を通信回線として通信親機200とデータ通信を行う処理部である。電力線を通信回線として利用する技術をPLC(Power Line Communication;電力線搬送通信)という。通信部130は、ガスメータ10及び水道メータ20から送られる信号(ガス検針データ、水道検針データ)を受信するためのインタフェースである信号I/F131が設けられている。電気メータ100とガスメータ10及び水道メータ20との間の通信は、有線通信であっても無線通信であってもよい。本実施形態では、信号I/F131は、ガスメータ10及び水道メータ20と有線の通信線(パルス信号を伝送するための信号線を含む。)を接続するための端子を備え、通信線を通じて有線通信を行うものとする。
【0019】
通信部130は、ガスメータ10から送信されるガスの使用量に関するガス検針データと水道メータ20から送信される水道の使用量に関する水道検針データを受信する。また、通信部130は、計量部110で計量された電力の使用量に関する電力検針データと、ガスメータ10から送信されたガス検針データと、水道メータ20から送信された水道検針データとを電力線を通じて通信親機200に送信(伝送)する。
【0020】
制御部140は、電気メータ100全体の制御を司る処理部である。本実施形態では、制御部140は、電力検針データ、ガス検針データ及び水道検針データを共通のデータ形式にそれぞれ変換する処理を行う。また、制御部140は、計量部110が計量した電力検針データや、ガスメータ10及び水道メータ20から送信されたガス検針データ及び水道検針データをメモリ120に記憶する処理などを行う。なお、通信部130内にメモリ及び制御部を設ける構成であれば、通信部130内の制御部が上記の処理を行う。
【0021】
ガスメータ10は、ガス会社などによって設置される、ガス使用量を計量(計測、測定)するメータ端末である。このガスメータ10は、ユーザが使用したガス使用量を計量する計量部11を有している。なお、ガスメータ10は、計量部11で計量されたガス検針データを例えば8ビットのパルスの信号として電気メータ100に送信する。水道メータ20は、水道会社などによって設置される、水道使用量を計量(計測、測定)するメータ端末である。この水道メータ20は、ユーザが使用した水道使用量を計量する計量部21を有している。なお、水道メータ20も、計量部21で計量された水道検針データを例えば8ビットのパルスの信号として電気メータ100に送信する。ガスメータ10及び水道メータ20は、例えばマンションのパイプシャフトに設置される。
【0022】
通信親機200は、複数の電気メータと電力線で接続され、電力線を通じてデータ通信を行う。また、通信親機200は、所定の通信方式の通信線でデータ集約装置300と接続され、その通信線を通じてデータ通信を行う。通信親機200以外の他の複数の通信親機も図1に示す通信親機200と同一の構成を備えている。
【0023】
図1に示すように、通信親機200は、通信部210及びPLC制御部220を有している。通信部210は、複数の電気メータから電力線を通じて送信される電力、ガス及び水道の検針データを受信し、受信した検針データを通信線を通じてデータ集約装置300に送信する。また、通信部210は、データ集約装置300から送信されるデータを受信し、受信したデータを電気メータ(すべての電気メータ又は所定の電気メータ)に送信する。PLC制御部220は、複数の電気メータとの間の通信(PLC方式の通信)におけるデータ形式とデータ集約装置300との間の通信におけるデータ形式を変換する処理を行う。
【0024】
データ集約装置300は、複数の通信親機と通信線で接続されるとともに、ルータなどを介してインターネットなどの通信網(図示せず)と接続されている。そして、データ集約装置300は、複数の通信親機から送信されるデータを集約してセンタ装置400に送信する処理を行う。また、データ集約装置300は、センタ装置400から送信されるデータを所定の電気メータ(つまり所定の電気メータと接続している通信親機)に送信する処理を行う。また、データ集約装置300は、複数の電気メータ(つまり複数の電気メータと接続している通信親機)から送信される検針データを取得し、取得した検針データを管理する処理も行う。
【0025】
図1に示すように、データ集約装置300は、通信部310、データ管理部320、及びメモリ330を有している。通信部310は、インターネットなどの通信網を通じてセンタ装置400とデータ通信を行う。また、通信部310は、通信線を通じて複数の通信親機とデータ通信を行う。また、データ管理部320は、複数の電気メータから送信された検針データをメモリ330に記憶する。また、データ管理部320は、センタ装置400からの要求に応じて所望の検針データをメモリ330から読み出して、読み出した検針データを(通信部310を介して)送信する。メモリ330は、複数の電気メータから送信された検針データを記憶する。
【0026】
センタ装置400は、検針データの収集・管理や電気メータの接続・遮断などの制御を行う装置である。このセンタ装置400は、サーバで構築されている。
【0027】
次に、検針データのデータ形式について説明する。図2は、検針データのデータ形式(データフォーマット、データ構造)を示す図である。図2(a)に示すデータ形式では、検針データは電気(電力)、ガス及び水道ごとに別々のデータ(電力検針データ、ガス検針データ、水道検針データ)として構成されている。各検針データの先頭には各ユーザを識別するための「ID情報」が付加されている。従って、同じユーザの電力検針データ、ガス検針データ及び水道検針データには同じID情報が付加される。電力検針データにおける「電気」の部分には計量部110で計測された電力の計量値(検針値)のデータが格納され、ガス検針データにおける「ガス」の部分には計量部11で計測されたガスの計量値(検針値)のデータが格納され、水道検針データにおける「水道」の部分には計量部21で計測された水道の計量値(検針値)のデータが格納される。図2(a)に示すデータ形式の場合、要求に応じた必要な種類(電力、ガス、水道)の検針値だけを送信することが可能であるため(例えば電気メータの検針データだけを必要な場合にその検針データだけ送信することが可能であるため)、検針データの送信を効率よく行うことが可能となる。
【0028】
図2(b)に示すデータ形式では、図2(a)に示す各検針データ(電力検針データ、ガス検針データ、水道検針データ)における計量値のデータの格納部の後ろに「追加情報」を格納する格納部が設けられている。追加情報としては、例えば、検針データの種類を識別するための情報(つまり電力検針データ、ガス検針データ及び水道検針データの種類を示す情報)、同じユーザの電力検針データ、ガス検針データ及び水道検針データに異なるID情報が付加される場合、各検針データを紐つけするための情報、計量時間(例えば30分、1時間、4時間・・・)の異なる計量値の検針データを設ける場合における計量時間ごとの検針データの種別を示す情報などが考えられる。図2(b)に示すデータ形式の場合、検針データのユーザ、種類、種別を特定することができる。
【0029】
図2(c)に示すデータ形式では、1つの検針データにおいて、計量部110で計測された電力の計量値のデータ、計量部11で計測されたガスの計量値のデータ、計量部21で計測された水道の計量値のデータが格納されている。すなわち、検針データの先頭に「ID情報」の格納部が設けられ、「ID情報」の格納部の後ろに電力の計量値のデータの格納部が設けられ、電力の計量値のデータの格納部の後ろにガスの計量値のデータの格納部が設けられ、ガスの計量値のデータの格納部の後ろに水道の計量値のデータの格納部が設けられている。図2(c)に示すデータ形式の場合、1つの検針データに電力、ガス及び水道の計量値のデータが格納されるので、1つのデータで3種類の計量値(検針値)のデータを一括して送ることができ、データ集約装置300やセンタ装置400においてデータの取得が容易となる。また、データ集約装置300やセンタ装置400において1つのID情報だけで3種類の検針データを管理することもできる。
【0030】
次に、検針システム1におけるデータの送受信の手順について説明する。図3は、センタ装置400、データ集約装置300及び電気メータ100間におけるデータの送受信の手順を示すシーケンス図である。図3に示すように、データ集約装置300が所定の電気メータ100(全部又は一部の電気メータ)に対して検針データ(電力検針データ、ガス検針データ、水道検針データの少なくとも1つ)の取得を要求する検針要求を送信する。その検針要求は、通信親機200を介して所定の電気メータに送信される。なお、データ集約装置300は定期的に検針データを取得するために、定期的に検針要求を送信する。
【0031】
所定の電気メータ100において、通信部130が検針要求を受信すると、受信した検針要求を制御部140に渡す。制御部140は、検針要求で要求された検針データをメモリ120から読み出し、読み出した検針データを通信部130に渡す。通信部130は、検針要求で要求された検針データを通信親機200を介してデータ集約装置300に送信する。なお、制御部140は、定期的に、計量部110で計量された検針データを予め決められたデータ形式(図2参照)に変換してメモリ120に記憶する。また、制御部140は、ガスメータ10及び水道メータ20から定期的に送信される検針データ(例えば8ビットのパルス信号のデータ)を予め決められたデータ形式(図2参照)に変換してメモリ120に記憶する。なお、制御部140は、検針要求を受け取ったときに、計量部110に計量させて電力検針データを取得し、またガスメータ10及び水道メータ20に検針データを要求してガス検針データ及び水道検針データを取得してもよい。
【0032】
データ集約装置300において、データ管理部320は、所定の電気メータ100から送信される検針データを取得し、取得した検針データをメモリ330に記憶する。このとき、データ管理部320は、ID情報などに基づいて各種の検針データをユーザごとに記憶する。
【0033】
センタ装置400は、所定のタイミングで(例えば定期的に)検針データを要求するデータ要求をデータ集約装置300に送信する。データ集約装置300において、データ管理部320は、センタ装置400からのデータ要求を受けると、データ要求で要求された検針データをメモリ330から読み出し、読み出した検針データをセンタ装置400に送信する。なお、データ管理部320は、センタ装置400からのデータ要求を受けると、そのデータ要求で要求された検針データを電気メータに要求して所望の検針データを取得してもよい。
【0034】
センタ装置400は、電気メータ100の制御が必要となった場合に、電気メータ100の制御を要求する制御要求をデータ集約装置300に送信する。データ集約装置300において、データ管理部320は、センタ装置400からの制御要求を受けると、制御要求を通信親機200を介して制御対象の電気メータに送信する。電気メータにおいて、制御部140は、制御要求を受けると、制御要求で要求された制御(例えば電力供給の接続又は遮断)を実行する。なお、ガスメータ10や水道メータ20の制御を制御要求で要求するように構成してもよい。この場合、制御部140は、制御要求がガスメータ10や水道メータ20の制御であれば、ガスメータ10や水道メータ20に制御要求を送信する。そして、ガスメータ10や水道メータ20は、制御要求に応じた制御を実行する。
【0035】
以上に説明したように、第1実施形態では、計量部110と通信部130とを有する電気メータ100を複数備える検針システム1であって、通信部130は、ガスメータ10と水道メータ20のうち少なくとも一方と通信可能に構成され、ガスメータ10から送信されるガスの使用量に関するガス検針データと水道メータ20から送信される水道の使用量に関する水道検針データのうち少なくとも一方を受信し、計量部110で計量された電力の使用量に関する電力検針データと、ガス検針データと水道検針データのうち少なくとも一方の検針データとを上位装置(通信親機200又はデータ集約装置300又はセンタ装置400)に送信する。このような構成によれば、電気メータ100が電力検針データだけでなく、ガス検針データや水道検針データを伝送することができる。従って、中継器を設けることなく、複数種類の検針データを伝送することができ、設備コストを抑制することができる。その結果、設備の構築やメンテナンスなども簡素化することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、電気メータ100は、電力検針データ、ガス検針データ及び水道検針データを共通のデータ形式にそれぞれ変換する制御部140を有し、通信部130は、制御部140で変換された検針データを上位装置に送信する。このような構成によれば、共通のデータ形式でデータの送受信及び管理を行うことができ、上位装置における処理負担が軽減される。
【0037】
また、第1実施形態では、制御部140は、電力検針データと、ガス検針データと水道検針データのうち少なくとも一方の検針データとを一つのデータにまとめ(図2(c)参照)、通信部130は、制御部140でまとめられたデータを上位装置に送信する。このような構成によれば、上位装置は1回の要求で複数種類の検針データを取得することができる。
【0038】
また、第1実施形態では、複数の電気メータ100からの検針データを受信し、受信した複数の検針データを集約して上位のセンタ装置400に送信するデータ集約装置300を備える。このような構成によれば、センタ装置400は、効率よく検針データを取得することができる。
【0039】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る検針システム1Aの構成を示すブロック図である。なお、図4に示す構成において、図1に示す構成と同一構成については同一符号を付すことで重複する説明を省略する。
【0040】
図4に示す構成において、電気メータ100Aは、計量部110、メモリ120、通信部130A、及び制御部140を有している。通信部130Aは、信号I/F131のほかに電源部132を備えている。電源部132は、ガスメータ10A及び水道メータ20Aに対して電源電力を供給する処理部である。本実施形態では、電源部132は、信号I/F131とガスメータ10A及び水道メータ20Aとを接続する通信線を通じて電力供給する。
【0041】
ガスメータ10Aは、計量部11のほかに電池12を備えている。水道メータ20Aは、計量部21のほかに電池22を備えている。電池12,22は、電源部132から供給される電力を蓄積する蓄電池である。ガスメータ10A及び水道メータ20Aは、電池12,22に蓄積された電力を用いて計量、信号の送信などの処理を実行する。
【0042】
このような構成によれば、電気メータ100、ガスメータ10A及び水道メータ20Aは別々に電力を確保する必要がなくなり、各メータにおける電池交換などの手間を省くことができる。なお、通信部130Aとガスメータ10A及び水道メータ20Aとを接続する通信線を介して信号の通信と電力供給を行う構成(つまり、通信線は通信と電力の伝送を兼用する構成)としていたが、通信部130Aとガスメータ10A及び水道メータ20Aとを接続する通信線とは別に、電力を伝送するための電力線で通信部130Aとガスメータ10A及び水道メータ20Aを接続してもよい。また、電源部132は、通信部130A内に設けられていたが、通信部130A外に設けてもよい。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能である。また、上記の実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。そのような変更又は改良、省略した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記した実施形態を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【0044】
図1及び図2に示す場合において、通信親機200が電気メータ100,100Aの上位に位置する上位装置に相当する。しかし、電気メータ100,100Aが通信親機200を介さずにデータ集約装置300に検針データを送信してもよい。この場合、データ集約装置300が上位装置に相当する。また、電気メータ100,100Aが通信親機200及びデータ集約装置300を介さずに直接、センタ装置400に検針データを送信してもよい。この場合、センタ装置400が上位装置に相当する。
【0045】
また、上記の各実施形態では、電気メータ100,100Aは、ガスメータ10,10A及び水道メータ20,20Aのいずれのメータからの検針データも上位装置に送信する構成であったが、このような構成に限定されず、ガスメータ10,10A及び水道メータ20,20Aのうち少なくとも一方の検針データだけを上位装置に送信する構成でもよい。また、電気メータ100,100Aは、ガスメータ10,10A及び水道メータ20,20A以外のメータの検針データ(計量値、検針値)を伝送する構成でもよい。例えば、自家発電の発電量に関するデータ、カロリーメータ(地域冷暖房等で消費熱量を測定する計器)などのデータを伝送してもよい。
【0046】
また、電源部132は、ガスメータ10Aと水道メータ20Aの少なくとも一方に電力を供給する構成でもよい。
【0047】
また、電気メータ100,100Aと通信親機200は電力線を介してPLC方式の通信方式でデータ伝送を行っていたが、このような構成に限定されず、PLC方式ではない通信方式を用いて通信線を介してデータ伝送してもよい。
【0048】
また、ガスメータ10,10A及び水道メータ20,20Aは、パルス信号で計量値を電気メータ100,100Aに伝送していたが、パルス信号以外のデータ形式のデータを電気メータ100,100Aに伝送してもよい。また、制御部140がデータ形式を変換していたが、通信親機200やデータ集約装置300がデータ形式を変換してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,1A 検針システム
10,10A ガスメータ(ガスメータ端末)
20,20A 水道メータ(水道メータ端末)
100,100A 電気メータ(電気メータ端末)
110 計量部
130,130A 通信部
140 制御部
200 通信親機(上位装置)
300 データ集約装置(上位装置)
400 センタ装置(上位装置)
図1
図2
図3
図4