(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841714
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】ダクト用換気扇
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20210301BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20210301BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
F24F7/06 L
F24F13/20 205
F24F13/22 222
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-85245(P2017-85245)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-185059(P2018-185059A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】397025107
【氏名又は名称】日本住環境株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】林 容
(72)【発明者】
【氏名】松沢 弘太
【審査官】
黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−194436(JP,U)
【文献】
特開2007−163018(JP,A)
【文献】
特開2008−224129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/20
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンを内蔵するハウジングを備えていて天井裏の点検口形成部に配備されるダクト用換気扇であって、
前記ハウジングの底板に、前記ファンを取り出し得る大きさの円形開口が開設され、前記円形開口にネジ蓋をネジ付けるためのネジ筒が延設されて成り、前記点検口を開けて前記ネジ筒から前記ネジ蓋の取り外しが可能であって、前記ネジ蓋を取り外した状態で前記ファンを取り外して前記ハウジング及び前記点検口から取り出し可能であることを特徴とするダクト用換気扇。
【請求項2】
前記ネジ蓋はその底面又は側面に水抜き栓を備えている、請求項1に記載のダクト用換気扇。
【請求項3】
前記ハウジングは発泡樹脂製の箱型ハウジングである、請求項1又は2に記載のダクト用換気扇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダクト用換気扇、より詳細には、天井裏等に設置されて天井裏等に配設されるダクトを接続することによって、室内の汚れた空気を吸入排出するダクト用換気扇に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高気密、高断熱化が進む昨今の住宅においては、室内汚染空気の排出のために、所謂24時間換気システムが採用されることが多くなってきている。このシステムにおいては、ダクト用換気扇(排気ファン)の作用で、室内の汚染空気が排出されるに伴い、外気が緩やかに導入される。
【0003】
住宅設備の進歩に伴い、風呂、洗濯場、トイレ等が住宅内へ設置されるようになっているため、人体由来の水分に加え、室内に放出される水分(水蒸気)量は上昇する傾向にある。
【0004】
また、室内の空気汚染に対処するためには、住宅全体を対象とし、24時間、常時、ある一定量を換気し続けることが必要であり、住宅内に居住空間(居間・寝室など)から非居住空間(トイレ・脱衣場など)への空気の流れを作ることで、極力汚染空気を人体に影響させないことが必要である。近年これらの技術は、局所換気と区別して「計画換気」、「換気システム」等と呼ばれ、種々のものが開発されてきている。特に、近年増えてきている高断熱・高気密住宅のような高性能住宅には、その技術を採用する例が増えてきている。
【0005】
この計画換気のための換気システムにおいては、各室に開口していて天井裏等を介して延びるダクトホースが換気ファン本体に直結され、換気ファン本体の作用で各室から回収された汚染空気は、一旦換気ファン本体内に流入し、その後、換気ファン本体から室外に向けて延びる排気ダクトを通って室外に排気される(例えば、特開2007−163018号公報)。
【0006】
ところで、浴室においてはシャンプーやリンス、ボディソープ、洗顔フォーム、浴槽洗浄剤等のせっけん類や、入浴剤等が用いられるため、浴室からの空気にはそれらの微粒子が含まれ、蒸気と共に換気ファン本体内に流入する。それにより機器内に結露が生じて水が溜まり、内部機器に悪影響が及び、換気ファン本体の故障の原因となるので、その回避のためのメンテナンスが必要となる。
【0007】
このような問題の発生を回避するために、浴室以外の複数の室から伸びるダクトホースをそれぞれ換気ファン本体に直結する一方、換気ファン本体から室外に伸びる排気ダクトの途中に分岐管を設け、この分岐管を浴室内に連通させることで、浴室から回収される湿気、並びに、せっけん類や入浴剤等の微粒子を含む汚染空気を換気ファン本体を経ることなく室外に排出させるようにした換気システムが、本願出願人によって提唱されている(特開2015−121393号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−163018号公報
【特許文献2】特開2015−121393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、ダクトホースが浴室にも設置され、そのダクトホースが換気扇に直結され、浴室からの湿気が流入するシステムの場合、湿気を吸入して内部に水溜りが生じ、換気扇故障の原因となるおそれがあるためにメンテナンスが必要となるところ、従来のダクト用換気扇の場合は、ポリスチレン等の発泡樹脂製箱型ハウジングに金属製又は樹脂製の底板が取り外し可能に取り付けられているが、その底板がハウジングの底面にネジ留めされる構成のものであるため(例えば、特許文献1参照)、その取り外しに際しては多数のネジを外し、メンテナンス後、多数のネジを締め付けるという手間のかかる作業が必要となる。即ち、従来のダクト用換気扇の場合は、溜まった水の排出処理のための簡便な手段が講じられていない。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の換気システムの場合は、分岐管部分の負圧が十分とは言えないため、浴室内の汚染空気の排出を十分に行い得ないおそれがある。
【0011】
本発明はこのような背景の下になされたものであって、シンプルな構成でメンテナンスや清掃に際しての底面の開閉が容易であって、それらの作業に手間がかからないため、各構成部のメンテナンスや清掃を容易に行うことが可能で、特に機器内に溜まった水の排出を簡単に行い得るダクト用換気扇を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ファンを内蔵するハウジング
を備えていて天井裏の点検口形成部に配備されるダクト用換気扇であって、
前記ハウジングの底板に
、前記ファンを取り出し得る大きさの円形開口が開設され、前記円形開口に
ネジ蓋をネジ付けるためのネジ筒が延設されて
成り、前記点検口を開けて前記ネジ筒から前記ネジ蓋の取り外しが可能であって、前記ネジ蓋を取り外した状態で前記ファンを取り外して前記ハウジング及び前記点検口から取り出し可能であることを特徴とするダクト用換気扇。
【0013】
一実施形態においては、前記ネジ蓋はその底面又は側面に水抜き栓を備えている。
【0014】
一実施形態においては、前記ハウジングは発泡樹脂製の箱型ハウジングである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るダクト用換気扇は上記のとおりであって、底板に円形開口が開設されてその円形開口にネジ筒が連設され、ネジ筒にネジ蓋がネジ付けられた構成であって、ネジ蓋が水受けとなってそこにハウジング内の水分が貯留され、且つ、ネジ蓋の脱着が容易であるので、ネジ蓋を外して排水する作業並びにメンテナンス作業が極めて容易となり、以て、当該換気扇の長期使用を可能にする効果がある。
【0016】
請求項2に記載の発明の場合は、ネジ蓋を外すことなく水抜きをすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るダクト用換気扇の構成を示す下方視斜視図である。
【
図2】本発明に係るダクト用換気扇の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明に係るダクト用換気扇の施工状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ説明する。本発明に係るダクト用換気扇は、通例、金属製又は樹脂製の底板2を備えた発泡樹脂製箱型であるハウジング1と、ハウジング1の内天面に取り付けられるファン6及びこれを駆動するモーター(図示してない)とから成る。
【0019】
ハウジング1は、ポリスチレン等の発泡樹脂によって底面を欠く箱型に形成されたもので、底面が底板2によって閉塞される。ハウジング1の3周側面にはそれぞれ、2つの吸気用ダクト接続口3が突設される。また、残りの周側面には、吸気用ダクト接続口3よりも口径の大きい排気用ダクト接続口4が1つ突設され、その横に制御基板5が取り付けられる。天井に設けられる点検口15は、通例45cm四方であるので、ハウジング1はそれ以下のサイズにし、点検口15から出し入れ可能にすることが好ましい(
図3参照)。ハウジング1は発泡樹脂製であるため、別途防音材を配設することなく、低騒音にての運転が可能である。
【0020】
ハウジング1は、吸気用ダクト接続口3と排気用ダクト接続口4を含め、2つ割りした形状のものを別個に成形し、両者を接着等により接合することにより成形することができる。底板2には円形開口が設けられ、その円形開口の縁から下方に突出するネジ筒7が延設され、そのネジ筒7にネジ蓋8がネジ付けられる。ネジ蓋8の周面には、回動を操作を容易にするために、適宜滑り止め用の凹凸が形成される。また、好ましい実施形態においては、ネジ蓋8の底面又は側面に水抜き栓9が配設される。
【0021】
ファン6としては、吸気量を高めるために、上下(両側)から吸気できるタイプのものを用いることが好ましい。この両側吸気式のファン6を用いる場合、吸入した空気をファン6の上下に導くために、ファン6の上面、より詳細には、ファン6をカバーするファン用ケーシング11の上面とハウジング1の内天面との間に通気空間を保持する。
【0022】
また、ネジ蓋8の内底面に、複数本の支持具12を介してベルマウス13が設置される(
図2参照)。このベルマウス13の下側に通気空間が確保され、ハウジング1内に導入された汚れた空気が、その隙間からネジ蓋8とベルマウス13との間の通気空間に流れ込み、ベルマウス13の内側からファン6に吸い上げられる。
【0023】
本発明に係るダクト用換気扇は、従来のものと同様にして用いる。即ち、点検口15を設けた部分の天井裏に配備して(
図3参照)、外壁から延びる排気用ダクト(図示してない)の端部を排気用ダクト接続口4に嵌め付け、また、各室から延びる吸気用ダクト(図示してない)の端部を、それぞれいずれかの吸気用ダクト3に嵌め付ける。
【0024】
かくしてモーターのスイッチを入れると、ファン6の作用で各室の汚れた空気が吸い出され、吸気用ダクトを通ってハウジング1内に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、ファン6の上下面からファン6内に吸引されて排気用ダクト接続口4に導かれ、排気用ダクトを介し、外壁に設置される排気グリルより大気に放出される。
【0025】
日常の清掃作業においては、点検口15を開けてネジ蓋8を外し、ネジ蓋8内に溜まった水を取り除くが、ネジ蓋8の取り外しは容易であるので、その清掃作業も、短時間のうちに容易に行うことが可能となる。また、ネジ蓋8に水抜き栓9が配設されているときは、ネジ蓋8を外すことなく、水抜き栓9を開けるだけで、ネジ蓋8に溜まった水を排出することができる。
【0026】
ファン6の掃除、メンテナンスに際しては、ネジ蓋8を外すとファン6が露出するので、固定ナット10を外してファン6を取り外すことができる(
図2参照)。かくして、ファン6及びハウジング1内の掃除を行うことができ、同様にしてメンテナンスも容易に行うことが可能となる。なお、ネジ筒7の口径は、ファン6の直径よりも大きく設定されることは言うまでもない。
【0027】
以上述べたところから明らかなように、本発明に係るダクト用換気扇によれば、メンテナンス作業や清掃作業が容易となって、その耐用年数を延ばすことができるので、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0028】
1 ハウジング
2 底板
3 吸気用ダクト接続口
4 排気用ダクト接続口
5 制御基板
6 ファン
7 ネジ筒
8 ネジ蓋
9 水抜き栓
10 固定ナット
11 ファン用ケーシング
12 支持具
13 ベルマウス
15 点検口