【課題を解決するための手段】
【0012】
バリスタ部品は、第1の外部コンタクトと第2の外部コンタクトとを備える。更に、このバリスタ部品は、その第1の外部コンタクトと電気的に接続されたバリスタを備える。当該部品は、バリスタと第2のコンタクトの間の経路を更に有する。更に、バリスタ部品は、シャッタ及び感熱素子を含む能動的な開放装置を有する。この感熱素子は、異常動作条件下でシャッタを開放し、当該シャッタは、バリスタと第2の外部コンタクトの間の経路を閉じる。
【0013】
上記バリスタは、例えば、金属酸化物バリスタであり、いかなる種類のバリスタとすることもできる。
【0014】
第1の外部コンタクト及び第2の外部コンタクトは、例えば、接地電位と高感度な電気回路の間の、高電圧パルスからこの高感度な電気回路を保護するための短絡素子のように、バリスタ部品を外部回路環境へ電気的に接続するために提供される。
【0015】
バリスタ及び第2の外部コンタクトの間の経路は、異常動作条件下で、それぞれの電圧がバリスタに印加されているときに、第1の外部コンタクト及び第2の外部コンタクトの間に電流を流すべき経路である。バリスタと、そのバリスタ及び第2の外部コンタクトの間の経路は、電気的に直列に接続される。
【0016】
能動的な開放装置は、シャッタ及び感熱素子が提供され、開放装置が能動装置であることにより、上記の引用されたバリスタ部品から、本願のバリスタ部品を識別する。そこでは、フューズの融解材料を有害ではない部分で凝結させることに頼る必要はない。開放装置はシャッタを能動的に閉じて、好ましくは、バリスタと第2の外部コンタクトとのガルバニック接続を回避する。
【0017】
各々のバリスタ部品について、例えば、周知の仕様が満たされる、通常の動作条件が定義される。感熱素子は、そのような方法で構築され、そして、その材料、特に材料の融点は、定義された通常動作条件を超えたときの方法で選定される。シャッタは、バリスタと第2の外部コンタクトの間の経路を閉じ、好ましくは、凝結された材料のその後の固定位置とは無関係であり、閉じられた経路は、更なる電流を防止し、バリスタと第2の外部コンタクトとの間をガルバニック的に分離する。
【0018】
開放装置を作動するための、通常動作条件と異常動作条件の間の境界値は、UL規格1449、第39.4節、制限電流異常過電圧試験、2015年1月1日有効、を参照することができる。
【0019】
そこでは、経路に配置された感熱素子が、バリスタと第2の外部コンタクトとの間の電気的な接続を構築することが可能である。
【0020】
そして、経路を閉じて、バリスタを第2の外部コンタクトと電気的に分離することにより、バリスタは外部回路環境から電気的に切り離され、更なる電力の消散はできなくなり、バリスタ部品が発火する危険性は著しく低下する。
【0021】
しかしながら、通常の動作条件の間、感熱素子はバリスタと第2の外部コンタクトとの間の電気的な連結部として動作し、バリスタ部品のバリスタが、対応する外部回路環境保護する保護素子として機能するように、バリスタと、第2の外部コンタクトに接続されてよい外部回路環境と、を結合する。
【0022】
感熱素子は、選択された温度以下では固体であり、境界温度以上で融解、すなわち液化する。感熱素子の相転移を引き起こす加熱は、無限小ではないオーミック抵抗値を有する感熱素子内でのエネルギー消費により、生じさせることができる。しかしながら、それも又、あるいは付加的に、感熱素子が、その感熱素子に物理的に近接して配置されたバリスタが発生させる熱により反応することを可能とする。更に、バリスタ部品が、異常動作条件に達したときに、感熱素子を融解させる熱を発生させるオーミック抵抗器のような、付加的な熱消散素子を含むことを可能とする。
【0023】
このように、感熱素子は、230℃以下の融点の導電材料を有するフューズとすることができる。
【0024】
特に、感熱素子は、対応する融点を有する半田を備えることができる。好ましい融点は、185℃から205℃の間とすることができる。好ましい関連材料の組成は、SnBiAgやSnBiAgIn、又は他のSnBi合金のような、SnBi合金の半田ペーストである。
【0025】
バリスタ部品は、更にスプリングを備えることができる。このスプリングは、シャッタに力を印加する。
【0026】
通常動作条件下では、スプリングは張力をもってバリスタ部品の内部に配置される。感熱素子は、通常動作条件下では固体であり、シャッタを固定している。このように、スプリングが、シャッタを閉じるために押圧しても、固体である感熱素子がシャッタの開放を維持し、バリスタと第2の外部コンタクトとの電気的な接続を確立しする。
【0027】
感熱素子近傍の温度があらかじめ決められたしきい値に到達したとき、感熱素子は液相へ転移され、スプリングの押圧力に更に耐えることができなくなる。このことから、感熱素子が融解した瞬間に、シャッタはスプリングにより閉位置に動かされ、バリスタと第2の外部コンタクトとの間のガルバニック分離が得られる。
【0028】
従来のバリスタ部品では、フューズ材料を置換するために重力エネルギーが利用されており、これは、融解した材料が流れ去ることができなかった場合、全く置換されないかもしれない。これと対比すると、本バリスタ部品の開放装置の機能は、実質的に常時、いずれの位置でも保証され、且つ開放装置の動作速度は大幅に減少する。
【0029】
バリスタ部品は、第1の開口を有するハウジングを備えることができる。シャッタは、通常動作条件の間は第1の開口に隣接して配置される、第2の開口を有する。第1の開口及び第2の開口は、バリスタと第2の外部コンタクトとの間の経路の一部分を構築する。感熱素子は、例えばボルト状又は円筒形の金属体であり、第1の開口及び第2の開口を通って延在する。
【0030】
感熱素子は、ハウジングの上記開口の内壁面、シャッタの開口の内壁面、及び第2の外部コンタクトと電気的に接続された導電部分と直接接触させることができる。感熱素子は、スプリングにより駆動されるシャッタを固定する。境界温度に達したときに感熱素子は融解し、スプリングの押下力に耐えられなくなり、シャッタは、シャッタの誘電材料がハウジング全体を閉じるように、ハウジングの開口に対して移動、すなわち平行移動又は回転される。
【0031】
シャッタはハブを有することができる。ハウジングは、ハブが配置されるピボットを有する。異常動作条件下では、シャッタはピボットの周りを回転し、経路を閉じる。
【0032】
シャッタは、フューズを切断し、一度、開放装置が動作したらバリスタと第2の外部コンタクトとのいかなる電気的な接続も妨げて防ぐために、決められた角度で回転される。シャッタが回転することは、ハウジングのピボットを囲んでいるハブが、その周りを回転することであり、シャッタのための複雑な誘導軌道を必要としない利点がある。複雑な誘導軌道を必要としないこと、及びシャッタが1本の軸の周りを回転することは、シャッタが誘導軌道の中で動かなくなる危険性を減少させる。
【0033】
ハウジングは第1のピンを有し、シャッタは第1のピンを有し、スプリングはシャッタ及びハウジングのそれぞれの第1のピンにトルクを印加する。
【0034】
このように、ハウジングとシャッタのそれぞれの第1ピンは、力、例えばトルクを印加できるように、ハウジング及びシャッタに固く接続された部品であり、スプリングは、その関連する部分で支持される。
【0035】
スプリングは、コイルスプリングやスパイラルスプリングとすることができる。
【0036】
バリスタ部品は、第3の外部コンタクトをさらに備えることができる。通常動作条件下では、第3の外部コンタクトは、第1の外部コンタクト及び第2の外部コンタクトと電気的に分離されている。通常動作条件の範囲から外れて開放装置が動作したときは、シャッタが、経路から感熱素子の材料を除去することができる。このとき、感熱素子の材料は、第1の外部コンタクト及びバリスタが第2の外部コンタクト及び第3の外部コンタクトから電気的に分離される一方で、まだ、第2の外部コンタクトと第3の外部コンタクトの電気的な接続を確立するように除去される。第2の外部コンタクトと第3の外部コンタクトの電気的な接続が提供されることにより、回路環境のインジケータ、例えばLEDが、開放装置の作動を指し示し、且つ開放装置の作動を起動する外部回路環境のエラーを指し示すために点灯することができる。
【0037】
第1の外部コンタクト、第2の外部コンタクト及び第3の外部コンタクトは、バリスタ部品のハウジングから延在するリード線で配線することができる。
【0038】
シャッタは、熱可塑性のプラスチック又はセラミックからなる材料を備えることができる。
【0039】
シャッタは、温度が高い程、低導電性で高抵抗になる材料を備えることが好ましい。
【0040】
バリスタ部品は、更にキャップを備えることができる。シャッタ及び感熱素子は空洞に配置され、キャップがその空洞を覆う。
【0041】
そして、シャッタを素早く作動し、改善された故障安全性を有するバリスタ素子を可能とするバリスタ部品の内部機構が、周囲環境の影響から保護される。更に、感熱素子の融解し熱い材料は空洞から除去することができないことは、バリスタ部品の周囲環境を害する。
【0042】
シャッタは、異常動作条件下で、バリスタ部品の向きとは独立に、そして部品に印加された加速条件とは独立に、経路を閉じるために用意することができる。
【0043】
ハウジング、キャップ及びシャッタの材料は、230℃以上の温度において高抵抗となる誘電材料とすることができる。特に、ハウジング及びシャッタは、ALCP(Aromatic Liquid Cristal Polymer)を備える、又は、からなる、ことができる。スプリングは、鋼鉄を備える、又は、からなる、ことができる。外部コンタクトは、Cu(copper)やAg(silver)を備える、又は、からなる、ことができる。バリスタは、概ね1100℃で焼結された酸化亜鉛からなる板状バリスタとすることができる。
【0044】
ハウジングは、直径15mm、19mm、20mm,26mm又は26mmを超える大きさの円筒形を有することができる。ハウジングの厚さは、概ね7mmとすることができる。シャッタは、ベル形の断面を有することができ、厚さは概ね0.8mmとすることができる。
【0045】
通常動作と異常動作との間の電圧のしきい値は、熱発生、及び、部品の材料及び寸法に依存する。
【0046】
第2の外部コンタクトは、棒状の本体とボルト形の頭部を有することができる。棒状の本体は、外部回路環境との接続のために提供される。ボルト形頭部は感熱素子との接続を提供する。ボルト形頭部は、本体部分の厚さよりも、大きい又は少しだけ大きい厚さを有することができる。
【0047】
上述の通り、バリスタ部品を保護する方法は、能動的に経路を閉じ、電気的にバリスタと第2の外部コンタクトとを分離するシャッタを有する。
【0048】
バリスタ部品、部品の動作原理、及び好ましい実施形態は、概要図と共に示される。