特許第6841838号(P6841838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6841838バリスタ部品及びバリスタ部品を保護する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841838
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】バリスタ部品及びバリスタ部品を保護する方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/10 20060101AFI20210301BHJP
   H01C 7/108 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   H01C7/10
   H01C7/108
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-543639(P2018-543639)
(86)(22)【出願日】2017年1月24日
(65)【公表番号】特表2019-509633(P2019-509633A)
(43)【公表日】2019年4月4日
(86)【国際出願番号】EP2017051393
(87)【国際公開番号】WO2017140463
(87)【国際公開日】20170824
【審査請求日】2018年10月11日
【審判番号】不服2020-8178(P2020-8178/J1)
【審判請求日】2020年6月12日
(31)【優先権主張番号】102016102968.8
(32)【優先日】2016年2月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】スン, シャオユ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン, シャオジア
(72)【発明者】
【氏名】シャン, ロングァン
【合議体】
【審判長】 井上 信一
【審判官】 清水 稔
【審判官】 畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/102811(WO,A2)
【文献】 特開2010−211928(JP,A)
【文献】 実開昭52−26932(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0027153(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/10-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部コンタクト(EC1)及び第2の外部コンタクト(EC2)と、
前記第1の外部コンタクト(EC1)に電気的に接続されたバリスタ(V)と、
前記バリスタ(V)と前記第2の外部コンタクト(EC2)との間の経路(P)と、
シャッタ(SH)及び感熱素子(HSE)を有する能動的な開放装置(ARD)と、を備えるバリスタ部品(VC)であって、
前記感熱素子(HSE)は、異常動作条件下において前記シャッタ(SH)を開放し、前記シャッタ(SH)は、前記バリスタ(V)と前記第2の外部コンタクト(EC2)との間の前記経路(P)を閉じ、
第3の外部コンタクト(EC3)を更に備え、異常動作条件下において、感熱素子(HSE)が、前記第2の外部コンタクト(EC2)を前記第3の外部コンタクト(EC3)に、電気的に接続する、
バリスタ部品(VC)。
【請求項2】
前記感熱素子(HSE)は、前記経路(P)に配置され、前記バリスタ(V)と前記第2の外部コンタクト(EC2)との間の電気的な接続を構築する、請求項1に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項3】
前記感熱素子(HSE)は、フューズであり、230℃未満の融点を持つ導電材料を有する、請求項1又は2に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項4】
前記シャッタ(SH)に力を印加するスプリング(SP)を更に備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項5】
第1の開口(H1)を有するハウジング(HOU)を更に備え、
前記シャッタ(SH)は、前記第1の開口(H1)に隣接して配置される第2の開口(H2)を有し、
前記第1の開口(H1)及び前記第2の開口(H2)は、前記経路(P)の一部分を構築し、
記感熱素子(HSE)は、前記第1の開口(H1)及び前記第2の開口(H2)を通り抜けて延在し、前記バリスタ(V)を前記第2の外部コンタクト(EC2)に、電気的に接続する金属体である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項6】
前記シャッタ(SH)は、ハブ(HU)を有し、
前記ハウジング(HOU)は、前記ハブ(HU)に配置されたピボット(PV)を有し、
異常動作条件下において、前記シャッタ(SH)は、前記ピボット(PV)の周りを回転して前記経路(P)を閉じる、請求項5に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項7】
前記ハウジング(HOU)は、第1のピン(P1)を有し、
前記シャッタ(SH)は、第1のピン(P1)を有し、
前記スプリング(SP)は、前記シャッタ(SH)の前記第1のピン(P1)及び前記ハウジング(HOU)の前記第1のピン(P1)にトルクを印加する、請求項に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項8】
前記第1の外部コンタクト(EC1)、前記第2の外部コンタクト(EC2)、及び前記第3の外部コンタクト(EC3)は、リード線である、請求項1乃至のいずれか1項に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項9】
前記シャッタ(SH)は、熱可塑性のプラスチック又はセラミックからなる材料を備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項10】
キャップ(C)を更に備え、
前記シャッタ(SH)及び感熱素子(HSE)は、空洞(CAV)の中に配置され、前記キャップ(C)は、前記空洞(CAV)を覆う、請求項1乃至のいずれか1項に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項11】
前記シャッタ(SH)は、異常動作条件下において、バリスタ部品の向きとは独立に、経路(P)を閉じるために用意される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のバリスタ部品(VC)。
【請求項12】
前記シャッタ(SH)は、能動的に前記経路(P)を閉じて、前記バリスタ(V)を前記第2の外部コンタクト(EC2)から電気的に分離する、異常動作条件下において請求項1乃至11のいずれか1項に記載のバリスタ部品(VC)を保護する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障安全性を高めたバリスタ部品に関し、異常動作時のバリスタ部品を保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バリスタ部品は、その部品に印加された電圧に依存する電気抵抗を有する電気部品である。その抵抗値は印加電圧の増加にしたがって、減少させることができる。バリスタ部品は、通常動作条件の電圧がその部品に印加されるときは、kΩ、MΩ、又はGΩの範囲の抵抗値を有することができる。印加電圧が限界値を超えたとき、部品の抵抗値は数オームの範囲まで低下してよい。
【0003】
このようなバリスタ部品は、回路内の補償素子として、又は過電圧に対して敏感な回路を保護するために利用することができる。保護装置として使用する時は、バリスタ部品は、回路と接地電位の間に電気的に接続することができ、損傷させる可能性がある電力を短絡させることができる。
【0004】
その結果、バリスタ部品が高電圧において低抵抗になったときに、バリスタ部品内で消散される電力が限界値を超えるかもしれない。そして、消散される電力は、バリスタ部品を破壊することができ、又、バリスタ部品を有する電気デバイス全部を含む電気回路全体をも破壊することができる。限界電圧条件を超えたときは、バリスタ部品が発火することさえ、あるかもしれない。
【0005】
特許文献1では、いくつかの保護された金属酸化物バリスタ部品が知られている。バリスタ部品はフューズを備え、通常動作条件ではなくなった時に、絶縁された間隙を生じさせることができる。
【0006】
特許文献2では、更なる保護された金属酸化物バリスタ部品が知られている。この文献もまた、通常動作条件ではなくなった時の更なる損傷を防止すべく、回路を開放するフューズが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0055187号明細書。
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0027153号明細書。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、フューズを構築するための融解可能材料を有する公知のバリスタ部品は、フューズ材料の溶融後の電気的な接続を保証することができない。特に、バリスタ部品の向き、又は部品が加速度下にある周囲環境条件において、もしくは、フューズ材料がどこに流れるか不明な場所においては、電気的な接続を保持してしまう危険がある。
【0009】
本発明が目的とするところは、安全性が改善されたバリスタ部品を提供することである。特に、本発明が目的とするところは、異常動作条件下で開放回路を得られる確率を改善し、フューズ材料が電気的接触を保持する確率を減少させるバリスタ部品を提供することである。
【0010】
更に、本発明が目的とするところは、通常動作条件を超えたときに、バリスタ部品を保護する方法を提供することである。
【0011】
従って、独立請求項によるバリスタ部品及びバリスタ部品を保護する方法が提供される。従属請求項はより有利な実施形態を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
バリスタ部品は、第1の外部コンタクトと第2の外部コンタクトとを備える。更に、このバリスタ部品は、その第1の外部コンタクトと電気的に接続されたバリスタを備える。当該部品は、バリスタと第2のコンタクトの間の経路を更に有する。更に、バリスタ部品は、シャッタ及び感熱素子を含む能動的な開放装置を有する。この感熱素子は、異常動作条件下でシャッタを開放し、当該シャッタは、バリスタと第2の外部コンタクトの間の経路を閉じる。
【0013】
上記バリスタは、例えば、金属酸化物バリスタであり、いかなる種類のバリスタとすることもできる。
【0014】
第1の外部コンタクト及び第2の外部コンタクトは、例えば、接地電位と高感度な電気回路の間の、高電圧パルスからこの高感度な電気回路を保護するための短絡素子のように、バリスタ部品を外部回路環境へ電気的に接続するために提供される。
【0015】
バリスタ及び第2の外部コンタクトの間の経路は、異常動作条件下で、それぞれの電圧がバリスタに印加されているときに、第1の外部コンタクト及び第2の外部コンタクトの間に電流を流すべき経路である。バリスタと、そのバリスタ及び第2の外部コンタクトの間の経路は、電気的に直列に接続される。
【0016】
能動的な開放装置は、シャッタ及び感熱素子が提供され、開放装置が能動装置であることにより、上記の引用されたバリスタ部品から、本願のバリスタ部品を識別する。そこでは、フューズの融解材料を有害ではない部分で凝結させることに頼る必要はない。開放装置はシャッタを能動的に閉じて、好ましくは、バリスタと第2の外部コンタクトとのガルバニック接続を回避する。
【0017】
各々のバリスタ部品について、例えば、周知の仕様が満たされる、通常の動作条件が定義される。感熱素子は、そのような方法で構築され、そして、その材料、特に材料の融点は、定義された通常動作条件を超えたときの方法で選定される。シャッタは、バリスタと第2の外部コンタクトの間の経路を閉じ、好ましくは、凝結された材料のその後の固定位置とは無関係であり、閉じられた経路は、更なる電流を防止し、バリスタと第2の外部コンタクトとの間をガルバニック的に分離する。
【0018】
開放装置を作動するための、通常動作条件と異常動作条件の間の境界値は、UL規格1449、第39.4節、制限電流異常過電圧試験、2015年1月1日有効、を参照することができる。
【0019】
そこでは、経路に配置された感熱素子が、バリスタと第2の外部コンタクトとの間の電気的な接続を構築することが可能である。
【0020】
そして、経路を閉じて、バリスタを第2の外部コンタクトと電気的に分離することにより、バリスタは外部回路環境から電気的に切り離され、更なる電力の消散はできなくなり、バリスタ部品が発火する危険性は著しく低下する。
【0021】
しかしながら、通常の動作条件の間、感熱素子はバリスタと第2の外部コンタクトとの間の電気的な連結部として動作し、バリスタ部品のバリスタが、対応する外部回路環境保護する保護素子として機能するように、バリスタと、第2の外部コンタクトに接続されてよい外部回路環境と、を結合する。
【0022】
感熱素子は、選択された温度以下では固体であり、境界温度以上で融解、すなわち液化する。感熱素子の相転移を引き起こす加熱は、無限小ではないオーミック抵抗値を有する感熱素子内でのエネルギー消費により、生じさせることができる。しかしながら、それも又、あるいは付加的に、感熱素子が、その感熱素子に物理的に近接して配置されたバリスタが発生させる熱により反応することを可能とする。更に、バリスタ部品が、異常動作条件に達したときに、感熱素子を融解させる熱を発生させるオーミック抵抗器のような、付加的な熱消散素子を含むことを可能とする。
【0023】
このように、感熱素子は、230℃以下の融点の導電材料を有するフューズとすることができる。
【0024】
特に、感熱素子は、対応する融点を有する半田を備えることができる。好ましい融点は、185℃から205℃の間とすることができる。好ましい関連材料の組成は、SnBiAgやSnBiAgIn、又は他のSnBi合金のような、SnBi合金の半田ペーストである。
【0025】
バリスタ部品は、更にスプリングを備えることができる。このスプリングは、シャッタに力を印加する。
【0026】
通常動作条件下では、スプリングは張力をもってバリスタ部品の内部に配置される。感熱素子は、通常動作条件下では固体であり、シャッタを固定している。このように、スプリングが、シャッタを閉じるために押圧しても、固体である感熱素子がシャッタの開放を維持し、バリスタと第2の外部コンタクトとの電気的な接続を確立しする。
【0027】
感熱素子近傍の温度があらかじめ決められたしきい値に到達したとき、感熱素子は液相へ転移され、スプリングの押圧力に更に耐えることができなくなる。このことから、感熱素子が融解した瞬間に、シャッタはスプリングにより閉位置に動かされ、バリスタと第2の外部コンタクトとの間のガルバニック分離が得られる。
【0028】
従来のバリスタ部品では、フューズ材料を置換するために重力エネルギーが利用されており、これは、融解した材料が流れ去ることができなかった場合、全く置換されないかもしれない。これと対比すると、本バリスタ部品の開放装置の機能は、実質的に常時、いずれの位置でも保証され、且つ開放装置の動作速度は大幅に減少する。
【0029】
バリスタ部品は、第1の開口を有するハウジングを備えることができる。シャッタは、通常動作条件の間は第1の開口に隣接して配置される、第2の開口を有する。第1の開口及び第2の開口は、バリスタと第2の外部コンタクトとの間の経路の一部分を構築する。感熱素子は、例えばボルト状又は円筒形の金属体であり、第1の開口及び第2の開口を通って延在する。
【0030】
感熱素子は、ハウジングの上記開口の内壁面、シャッタの開口の内壁面、及び第2の外部コンタクトと電気的に接続された導電部分と直接接触させることができる。感熱素子は、スプリングにより駆動されるシャッタを固定する。境界温度に達したときに感熱素子は融解し、スプリングの押下力に耐えられなくなり、シャッタは、シャッタの誘電材料がハウジング全体を閉じるように、ハウジングの開口に対して移動、すなわち平行移動又は回転される。
【0031】
シャッタはハブを有することができる。ハウジングは、ハブが配置されるピボットを有する。異常動作条件下では、シャッタはピボットの周りを回転し、経路を閉じる。
【0032】
シャッタは、フューズを切断し、一度、開放装置が動作したらバリスタと第2の外部コンタクトとのいかなる電気的な接続も妨げて防ぐために、決められた角度で回転される。シャッタが回転することは、ハウジングのピボットを囲んでいるハブが、その周りを回転することであり、シャッタのための複雑な誘導軌道を必要としない利点がある。複雑な誘導軌道を必要としないこと、及びシャッタが1本の軸の周りを回転することは、シャッタが誘導軌道の中で動かなくなる危険性を減少させる。
【0033】
ハウジングは第1のピンを有し、シャッタは第1のピンを有し、スプリングはシャッタ及びハウジングのそれぞれの第1のピンにトルクを印加する。
【0034】
このように、ハウジングとシャッタのそれぞれの第1ピンは、力、例えばトルクを印加できるように、ハウジング及びシャッタに固く接続された部品であり、スプリングは、その関連する部分で支持される。
【0035】
スプリングは、コイルスプリングやスパイラルスプリングとすることができる。
【0036】
バリスタ部品は、第3の外部コンタクトをさらに備えることができる。通常動作条件下では、第3の外部コンタクトは、第1の外部コンタクト及び第2の外部コンタクトと電気的に分離されている。通常動作条件の範囲から外れて開放装置が動作したときは、シャッタが、経路から感熱素子の材料を除去することができる。このとき、感熱素子の材料は、第1の外部コンタクト及びバリスタが第2の外部コンタクト及び第3の外部コンタクトから電気的に分離される一方で、まだ、第2の外部コンタクトと第3の外部コンタクトの電気的な接続を確立するように除去される。第2の外部コンタクトと第3の外部コンタクトの電気的な接続が提供されることにより、回路環境のインジケータ、例えばLEDが、開放装置の作動を指し示し、且つ開放装置の作動を起動する外部回路環境のエラーを指し示すために点灯することができる。
【0037】
第1の外部コンタクト、第2の外部コンタクト及び第3の外部コンタクトは、バリスタ部品のハウジングから延在するリード線で配線することができる。
【0038】
シャッタは、熱可塑性のプラスチック又はセラミックからなる材料を備えることができる。
【0039】
シャッタは、温度が高い程、低導電性で高抵抗になる材料を備えることが好ましい。
【0040】
バリスタ部品は、更にキャップを備えることができる。シャッタ及び感熱素子は空洞に配置され、キャップがその空洞を覆う。
【0041】
そして、シャッタを素早く作動し、改善された故障安全性を有するバリスタ素子を可能とするバリスタ部品の内部機構が、周囲環境の影響から保護される。更に、感熱素子の融解し熱い材料は空洞から除去することができないことは、バリスタ部品の周囲環境を害する。
【0042】
シャッタは、異常動作条件下で、バリスタ部品の向きとは独立に、そして部品に印加された加速条件とは独立に、経路を閉じるために用意することができる。
【0043】
ハウジング、キャップ及びシャッタの材料は、230℃以上の温度において高抵抗となる誘電材料とすることができる。特に、ハウジング及びシャッタは、ALCP(Aromatic Liquid Cristal Polymer)を備える、又は、からなる、ことができる。スプリングは、鋼鉄を備える、又は、からなる、ことができる。外部コンタクトは、Cu(copper)やAg(silver)を備える、又は、からなる、ことができる。バリスタは、概ね1100℃で焼結された酸化亜鉛からなる板状バリスタとすることができる。
【0044】
ハウジングは、直径15mm、19mm、20mm,26mm又は26mmを超える大きさの円筒形を有することができる。ハウジングの厚さは、概ね7mmとすることができる。シャッタは、ベル形の断面を有することができ、厚さは概ね0.8mmとすることができる。
【0045】
通常動作と異常動作との間の電圧のしきい値は、熱発生、及び、部品の材料及び寸法に依存する。
【0046】
第2の外部コンタクトは、棒状の本体とボルト形の頭部を有することができる。棒状の本体は、外部回路環境との接続のために提供される。ボルト形頭部は感熱素子との接続を提供する。ボルト形頭部は、本体部分の厚さよりも、大きい又は少しだけ大きい厚さを有することができる。
【0047】
上述の通り、バリスタ部品を保護する方法は、能動的に経路を閉じ、電気的にバリスタと第2の外部コンタクトとを分離するシャッタを有する。
【0048】
バリスタ部品、部品の動作原理、及び好ましい実施形態は、概要図と共に示される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、バリスタ部品の動作原理を示す図である。
図2図2は、シャッタの開口が、開放装置が作動したときにマスクの開口と関連して動く実施形態を示す図である。
図3図3は、シャッタの開口が、開放装置が作動したときにマスクの開口と関連して動く実施形態を示す図である。
図4図4は、円筒形ハウジングの実施形態の全体像を示す図である。
図5図5は、第3の外部コンタクトの実施形態の全体像を示す図である。
図6図6は、シャッタの移動を制限するために、シャッタの停止を構築する第2のピンを有するハウジングの実施形態を示す図である。
図7図7は、開放装置の機構を含むハウジングと、関連するバリスタの向きを示す実施形態の斜視図である。
図8図8は、バリスタ部品、特に開放装置の分解組立図である。
図9図9は、バリスタ後部の全体像及びその第1の外部コンタクトとの電気的な接続を示す図である。
図10図10は、第1の外部コンタクトが、バリスタ後部の半田付けされた実施形態を示す図である。
図11図11は、回転するタイプのシャッタの動作原理を示す図である。
図12図12は、回転するタイプのシャッタの動作原理を示す図である。
図13図13は、第3の外部コンタクトの動作原理を示す図である。
図14図14は、第3の外部コンタクトの動作原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、バリスタ部品VCの基本動作原理を示す。バリスタ部品VCは、バリスタV、第1の外部コンタクトEC1、及び第2の外部コンタクトEC2を有する。通常動作条件下において、バリスタVは、第1の外部コンタクトEC1と第2の外部コンタクトEC2との間に、電気的に直列に接続されている。感熱素子HSEは、バリスタVと第2の外部コンタクトEC2との間に電気的に接続され、矢印で示された経路Pに配置される。バリスタ部品VCは、能動的な開放装置ARDの一部としてのシャッタSHを更に有する。
【0051】
通常動作条件下では、感熱素子HSEは固体であり、バリスタVを第2の外部コンタクトEC2に電気的に接続する。しかしながら、感熱素子HSEの温度が、あらかじめ決められた限度を超えると、感熱素子HSEは融解し、シャッタSHは能動的に経路Pを閉じ、バリスタVを第2の外部コンタクトEC2から電気的に分離する。シャッタSHは、スプリングSPにより駆動される。
【0052】
シャッタSHが、能動的に駆動されることは、バリスタ部品の閉鎖の応答時間を減少させ、バリスタ部品の信頼性を向上する。
【0053】
図2及び図3は、バリスタ部品が、マスクMに第1の開口H1、シャッタSHに第2の開口H2を有する実施形態の動作原理を図解する。感熱素子HSEは、電流経路Pを構築するために2つの開口内に配置される。開放装置が作動したとき(図3)、感熱素子HSEは融解し、スプリングSPの力に耐えることができなくなる。従って、シャッタは移動し、シャッタの開口H2はマスクMの開口H1に対して相対的に移動し、第2の外部コンタクトからのバリスタVの電気的に分離するように経路Pは塞がれる。
【0054】
シャッタSHの、例えば開口が無い部分は、融解した感熱素子HSEの残渣が、バリスタVと第2の外部コンタクトEC2の電気的な接続を残さないようにマスクMの開口は完全に閉じる。
【0055】
図4は、マスク及びシャッタが、感熱素子HSEの残渣が電気的な接続を維持する可能性があるような幾何学的な形状を有する実施形態を示す。バリスタ部品VCは、能動的な開放装置の機構の構成部品が配置されるハウジングHOUを有する。ハウジングHOUは主に円筒形を有する。
【0056】
ハウジングHOUの後側は、図3に図示したマスクMを構築する。シャッタはベル形の接地面と第1のピンP1を有する。ハウジングHOUもまた第1のピンP1を有し、ハウジングHOUの第1のピンP1とシャッタの第1のピンP1は、スプリングSPを支持する。このスプリングSPは、コイルスプリング又はスパイラルスプリングでもよい。更に、ハウジングHOUは、シャッタSHが回転することができる軸を構築するピボットPVを有する。
【0057】
感熱素子HSEは、主に円筒形であり、ハウジング及びシャッタSHの開口H1の内壁面と機械的に接触し、第2の外部コンタクトEC2と電気的に接続された配線と接触する。感熱素子HSEが固体の間は、その素子は、ハウジングHOUの開口H1を直接覆うシャッタの開口H2を、シャッタの開位置に保持する。感熱素子HSEは、バリスタ(図4に示さず、しかしハウジングHOUのすぐ向こう側に配置される)及び第2の外部コンタクトの間の電気的な接触を確立する。
【0058】
感熱素子HSEの温度が、境界温度を超えると、感熱素子HSEは融解し、そしてスプリングSPは、シャッタSHのピンP1に印加されている、シャッタSHを反時計回りに回転させようとする力によって、シャッタSHを回転させる。
【0059】
第2の外部コンタクトは、棒状の本体と、棒状の本体よりも太いボルト形の頭部を有することができる。そのボルト形の頭部は、感熱素子HSEに接続されるための長方形の断面を有することができる。
【0060】
図5は、バリスタ部品VCが、ハウジングHOUの空洞内の金属に電気的に接続する第3の外部コンタクトEC3を有する実施形態を示す。通常動作条件下では、第3の外部コンタクトEC3は、第1の外部コンタクトEC1及び第2の外部コンタクトEC3電気的に分離されている。しかしながら、一度、感熱素子HSEが融解すると、能動的な開放装置ARDの作動を外部回路環境へ示すために、その残渣が第3の外部コンタクトEC3を第2の外部コンタクトEC2に電気的に接続することができる。
【0061】
図6は、ハウジングHOUが、シャッタSHの停止位置を画定する第2のピンP2を有する更なる実施形態を示す。
【0062】
図7は、能動的な開放装置ARDの機構の構成部品を含むハウジングHOUに対するバリスタVの位置を指し示す、バリスタ部品の斜視図を示す。バリスタVはハウジングHOUの後側に配置されている。バリスタVもまた、円筒形を有することができ、その円筒形の一方の側が、バリスタ部品のハウジングHOUの方を向き、第2の外部コンタクトが電流経路Pを通して電気的に接続できる。
【0063】
第1の外部コンタクトEC1は、バリスタのハウジングHOUから離れる側の後面と電気的に接続される。
【0064】
図8は、構造に注目した能動的な開放装置の機構の主要な部品及び対応する実施形態の動作原理を示す分解組立図である。
【0065】
ハウジングHOUは、その中にハウジングHOUの第1のピンP1がある空洞CAVを有し、ハウジングHOUのピボットPVが、ハウジングの後面から延在する。ベル形のシャッタSHは、ハブHUとして機能する開口及び通常モードの間は経路の一部分を構築する開口H2を有する。更に、シャッタSHは、スプリングを支持する第1のピンP1を有する。通常動作の間は、ハブHUは、ハウジングHOUのピボットPVを取り囲んでおり、シャッタSHは、ピボットPVを介して対応する軸の周りを回転することができる。スプリングSPは、シャッタのピンP1を介してシャッタSHのトルクを印加するために、ハウジングHOUの第1のピンP1を用いる。
【0066】
感熱素子HSEは、ハウジングHOUの開口及びシャッタSHの開口H2に配置されている。更に、感熱素子HSEは、バリスタVのハウジングHOUの方を向いている側で、第2の外部コンタクトEC2のフック形の導電体部分と電気的に接続する。空洞CAVは、周囲環境の影響から機構を保護するために、そして感熱素子HSEの融解した材料に対して周囲環境から保護するために、キャップCで覆われている。
【0067】
図9は、バリスタVと外部接続EC1の導電体の電気的な接続を確立するその後面に取り付けられた配線WとバリスタVの後面を示す。
【0068】
図10は、配線WがバリスタVの後面に、機械的に且つ電気的に半田を用いて接続された、バリスタVの後面の好ましい実施形態を示す。
【0069】
図11及び図12は、シャッタSHが、図11の通常動作位置にあるとき、及び図12の作動した位置にあるときの動作原理を図示したものである。通常動作位置では、ハウジングHOUの開口H1及びシャッタSHの開口H2が直接重なるように配置され、バリスタと第2の外部コンタクトとの間の経路は開放されている。
【0070】
能動的な開放装置が作動された後、シャッタSHは、ハブHUの周りを反時計回りの方向に、シャッタSHは、シャッタSHが停止位置として画定される第2のピンP2の当たるまで、回転する。シャッタSHの開口H2は、シャッタSHにより経路が閉じられたままになるように、ハウジングHOUの開口H1から相対的に移動する。
【0071】
図13及び図14は、第3の外部コンタクトEC3の基本原理を図示したものである。感熱素子HSEがバリスタを第2の外部コンタクトEC2の接続する位置にあるような通常動作の間、第3のコンタクトEC3は、他の2つの外部コンタクトEC1、EC2と電気的に分離されている。図14は、作動後の状況を図示したものである。感熱素子HSEの材料は、その元々の位置から除去されている。バリスタと第2の外部コンタクトEC2の間の経路は閉じられ(開放回路)、感熱素子HSEの材料は、第2の外部コンタクトEC2を第3の外部コンタクトEC3の電気的に接続する。
【0072】
バリスタ部品、追加のシャッタ、フューズ、スプリング、電気的な接続、及び、例えば長方形の基礎形状とする、ポリゴン形状のハウジングのような追加部品を有することができる。シャッタは、回転シャッタ、又は平行移動するシャッタとすることができる。
【符号の説明】
【0073】
ARD 能動的な開放装置
C キャップ
CAV 空洞
EC1 第1の外部コンタクト
EC2 第2の外部コンタクト
EC3 第3の外部コンタクト
H1 第1の開口
H2 第2の開口、シャッタの開口
HOU ハウジング
HSE 感熱素子
HU ハブ
M マスク
P 経路
P1 第1のピン(スプリングSPを支持するための)
P2 第2のピン(ハウジングHOUの)
PV ピボット
S 半田
SH シャッタ
SP スプリング
V バリスタ
VC バリスタ部品
W 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14