特許第6841839号(P6841839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシーエル‐アイピー・アメリカ・インコーポレイテッドの特許一覧

特許6841839熱硬化性樹脂用の活性エステル硬化剤化合物、それを含む難燃性組成物、およびそれから製造される物品
<>
  • 特許6841839-熱硬化性樹脂用の活性エステル硬化剤化合物、それを含む難燃性組成物、およびそれから製造される物品 図000048
  • 特許6841839-熱硬化性樹脂用の活性エステル硬化剤化合物、それを含む難燃性組成物、およびそれから製造される物品 図000049
  • 特許6841839-熱硬化性樹脂用の活性エステル硬化剤化合物、それを含む難燃性組成物、およびそれから製造される物品 図000050
  • 特許6841839-熱硬化性樹脂用の活性エステル硬化剤化合物、それを含む難燃性組成物、およびそれから製造される物品 図000051
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841839
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂用の活性エステル硬化剤化合物、それを含む難燃性組成物、およびそれから製造される物品
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/40 20060101AFI20210301BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20210301BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20210301BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   C08G59/40
   C08K5/5313
   C08L63/00 C
   H05K1/03 610S
【請求項の数】22
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2018-544762(P2018-544762)
(86)(22)【出願日】2016年11月1日
(65)【公表番号】特表2019-502011(P2019-502011A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】US2016059878
(87)【国際公開番号】WO2017083136
(87)【国際公開日】20170518
【審査請求日】2019年10月31日
(31)【優先権主張番号】62/254,847
(32)【優先日】2015年11月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518168155
【氏名又は名称】アイシーエル‐アイピー・アメリカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ICL‐IP AMERICA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ピオトロウスキー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジルバーマン,ジョーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】レヴチク,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,メン
(72)【発明者】
【氏名】グラズ,エラン
(72)【発明者】
【氏名】スーリヤデヴァラ,カリ
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−179756(JP,A)
【文献】 特開昭61−118393(JP,A)
【文献】 特開平09−235480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/40
C08K 5/5313
C08L 63/00
H05K 1/03
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂と、難燃剤であると同時に活性エステル硬化剤でもある式(I)のリン含有芳香族ポリエステルとを含むエポキシ樹脂組成物。
【化1】
式中、Xは、6個〜12個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基であり、6個までの炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよく、または、
Xは、1〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルキレン基もしくは分岐鎖状アルキレン基、または、2個〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルケニレン基もしくは分岐鎖状アルケニレン基、であり、
Yは、
【化2】
または
【化3】
または、
【化4】
であり、
ここで、Zは、共有結合、−SO−、−C(CH−、−CH(CH)−、および、−CH−、からなる群から選択され、a=0〜2であり、b=0〜2であり、かつ、aとbとは同時に0ではなく、
Yの各構造における波線部は、一般式(I)においてYが接続するO原子への結合を示し、
は、H、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、ナフチル基、
【化5】
または
【化6】
であり
は、Hまたは−C(=O)Rであり、ここで、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ならびに、フェノール基、o−クレゾール基、m−クレゾール基、p−クレゾール基、α−ナフトール基、および、β−ナフトール基、のうちの1つから選択される芳香族フェノール基、から選択され、ならびに、
がHである場合、Rは、フェニル基またはナフチル基ではありえず、かつ、n≧1である。
【請求項2】
が、
【化7】
であり、Xが、6個までの炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい6〜12個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基、である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Xが、6個までの炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい6〜12個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基、である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】

【化8】
であり、Xが、1〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルキレン基もしくは分岐鎖状アルキレン基、または、2個〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルケニレン基または分岐鎖状アルケニレン基、である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
が、H、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Xが、1〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルキレン基もしくは分岐鎖状アルキレン基、または、2個〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルケニレン基もしくは分岐鎖状アルケニレン基、である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Xが、6個までの炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい6〜12個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基、である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
Xが、1〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルキレン基もしくは分岐鎖状アルキレン基であるか、または、2個〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルケニレン基もしくは分岐鎖状アルケニレン基、である請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
nが1〜100である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂が、非ハロゲン系エポキシ樹脂、非リン系エポキシ樹脂、および、リン含有エポキシ樹脂、ならびに、それらの混合物、からなる該群より選択されるエポキシ樹脂である請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
式(I)のリン含有芳香族ポリエステルを、前記熱硬化性樹脂100重量部あたり10重量部〜150重量部含む請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を含む、コーティング配合物、封入材、複合材、接着剤、成形物、ボンディングシート、または、積層プレート。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物を含む物品。
【請求項14】
鉛フリーはんだ付けおよび電子デバイスにおいて使用することができる、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
さらに銅箔を含む請求項13に記載の物品。
【請求項16】
プリント回路基板である請求項13に記載の物品。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物を含むプリプレグ。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物を含むラミネートまたはボンディングシート。
【請求項19】
請求項17に記載のプリプレグを含むプリント回路基板。
【請求項20】
請求項18に記載のラミネートを含むプリント回路基板。
【請求項21】
請求項18に記載のラミネートを製造する方法であって、
前記組成物を充填材料中に染み込ませてプリプレグを形成する工程と、
前記プリプレグを高温において処理することにより、B−ステージへの部分硬化を促進する工程と、
前記プリプレグを高圧および高温において積層することによってラミネートを形成する工程と、を含む方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法によってラミネートを製造することを含むプリント回路基板を製造する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年11月13日に出願された米国特許仮出願第62/254,847号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、難燃剤、詳細には、プリント回路基板などの電子用途のためのリン含有難燃剤の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
熱硬化性樹脂は、中でも特にそれらの耐薬品性、機械強度、および電気特性により、産業用および消費者用エレクトロニクスの両方において広く使用されている。たとえば、熱硬化性樹脂は、エレクトロニクスにおいて、保護フィルムとして、接着材料として、および/または絶縁材料(たとえば中間層絶縁フィルムなど)として使用することができる。これらの用途にとって有用であるために、当該熱硬化性樹脂は、ハンドリングの容易さを提供しなければならず、かつ、ある特定の物理的、熱的、電気的絶縁性および耐水性を有しなければならない。たとえば、十分に低い比誘電率を維持しつつ低い誘電正接を有する熱硬化性樹脂は、特に高速かつ高周波数の信号伝送が必要とされる状況において、電子用途のための特性における望ましい組み合わせを有し得る。
【0004】
しかしながら、熱硬化性樹脂は可燃性でありうる。そのため、当該望ましいレベルの難燃性をエポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂に付与するために様々なアプローチが為されてきており、そのようなアプローチは、非ハロゲン系難燃性化合物またはハロゲン系難燃性化合物のいずれかの使用を伴う。しかしながら、ハロゲン化化合物は、現在、追加精査を受けており、また、利用可能な様々な非ハロゲン化化合物は、許容できる特性を提供するように配合することが困難である。電子用途のための特性の好適な組み合わせを維持しつつ、望ましいレベルの難燃性と、許容可能な特性(たとえば、高いガラス転移点(Tg)および高い熱安定性など)とを、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に提供することは望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1416007号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の特徴は、高耐熱性および高熱安定性、高接着性、低吸湿性、低誘電正接、ならびに、十分な低誘電率、を熱硬化性樹脂に付与しつつ、エポキシ樹脂など熱硬化性樹脂のための難燃剤および活性エステル硬化剤として同時に機能することができる化合物であって、硬化されたエポキシ樹脂を電子用途に用いることができる化合物を提供することである。多くのリン含有難燃剤がエポキシ樹脂と反応して高極性のヒドロキシ基を形成することは既知である。この理由から、硬化された生成物において良好な電気特性を達成することは困難である。さらに、エポキシ樹脂用の既知の難燃剤のほとんどは、単官能性または二官能性であり、その結果、硬化された樹脂の架橋密度を低下させ、それは、最終的にガラス転移点の低下に反映される。
【0007】
本発明は、多官能性硬化剤として使用され、結果として、硬化された生成物において非常に満足できる難燃特性、機械特性、および電気特性の組み合わせを生じる、リン含有難燃剤を提供する。これらの化合物は、リンを含む芳香族ポリエステルである。それらが硬化剤として使用される場合、硬化反応時の望ましくないヒドロキシ基の形成を減じることが可能である。さらに、本発明の硬化剤は、1分子あたりに多くの反応性エステル基を有する多官能性硬化剤として機能するため、当該硬化剤の使用は、エポキシ樹脂硬化物品の架橋密度の向上を可能にする。それらの使用の結果としてガラス転移点が上昇し、当該材料は電気的絶縁材料として有用である。
【0008】
本発明はさらに、上記リン含有難燃性多官能性硬化剤化合物を含有し、かつ、優れた難燃特性、機械特性、および電気特性を示すエポキシ樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
非限定的な一実施形態において、本明細書における「活性エステル硬化剤化合物」との表現は、「エポキシ樹脂用硬化剤」、「エポキシ硬化剤」、「エポキシ用硬化剤」、「エポキシ樹脂硬化剤」、および「硬化剤」などの表現と相互互換的に使用することができることは、本明細書において理解されるであろう。
【0010】
本明細書の一実施形態において、下記の一般式(I)で表される化合物が提供される。
【0011】
【化1】
【0012】
ここで、一般式(I)において、Xは、6個〜約12個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基であり、非限定的な例としてフェニレン基、ナフタレン基、ビフェニレン基などが含み、このとき、芳香族環に結合した置換基(たとえば、6個までの炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基など)を有していてもよい。あるいは、Xは、1〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルキレン基もしくは分岐鎖状アルキレン基、または、2個〜約8個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルケニレン基もしくは分岐鎖状アルケニレン基である。
【0013】
また、一般式(I)において、Yは、式(i)〜(iii)で表されるいずれか1つの官能基である。ここで、Zは、共有結合、−SO−、−C(CH−、−CH(CH)−、および、−CH−、からなる群から選択され、a=0〜2であり、b=0〜2であり、かつ、aとbとは同時に0ではない。また、式(i)〜(iii)に示した各構造における波線部は、一般式(I)においてYが接続するO原子への結合を示す。
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
また、一般式(I)において、Rは、H、1個〜約4個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、ナフチル基、化学式5で表される官能基、または、化学式6で表される官能基、である。この場合、Rは、Hまたは−C(=O)Rであり、ここで、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ならびに、フェノール基、o−クレゾール基、m−クレゾール基、p−クレゾール基、α−ナフトール基、および、β−ナフトール基、のうちの1つから選択される芳香族フェノール基、から選択される。なお、RがHである場合、Rは、フェニル基またはナフチル基ではありえず、かつ、n≧1である。
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
本明細書の非限定的な一実施形態において、当該リン含有難燃性多官能性硬化剤は、一般式(I)で表される異なる構造の化合物の混合物を含みうるものであり、たとえば、当該混合物は、少なくとも50重量%、好ましくは一般式(I)構造の70重量%超の、一般式(I)で表される化合物であってYが上記(i)および(ii)から選択される化合物と、残重量分の、一般式(I)で表される他の化合物であってYが上記(iii)から選択される化合物と、を含み得る。
【0021】
本明細書において説明されるような、一般式(I)で表される化合物は、本明細書において説明されるような、難燃剤として、および、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を硬化させるための硬化剤としての、両方において機能することができることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】レオメーターにおいて、制御された連続的ひずみおよび垂直力の条件下、5℃/分の昇温速度(黒丸)条件において測定した、実施例11の組成物Aを含有するBステージプリプレグの動的粘度(白丸)プロファイルのグラフ。
図2】レオメーターにおける、組成物Aを含有するBステージ化された樹脂組成物の貯蔵弾性率G’(白丸)、損失弾性率G’’(黒丸)、および、複素粘度|η|(白四角)を重ね合わせたレオロジー曲線のグラフ。
図3】組成物Aを含有するラミネートのTgのDMA測定(3℃/分)のグラフ。
図4】組成物Aを含有するラミネートのTのTGA測定(10℃/分)のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、高い耐熱性および高耐熱性および高熱安定性、高接着性、低吸湿性、低誘電正接、ならびに、十分な低誘電率を維持しつつ、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂のための難燃剤および活性エステル硬化剤として同時に機能することができる化合物であって、硬化されたエポキシ樹脂を電子用途に用いることができる化合物に関する。
【0024】
有利なことに、当該化合物は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂のための活性エステル硬化剤化合物として機能し、エポキシ樹脂と反応する場合には、ヒドロキシ基(たとえば第二級ヒドロキシ基など)を有さないかまたはほとんど有さない生成物を生成するため、結果として、エポキシと反応した場合にそのような第二級ヒドロキシ基を有する生成物を生成するような従来の硬化系のように、吸湿性および誘電率が高くなることを防ぐ。
【0025】
さらに、それらは、高い架橋密度を提供する多官能性硬化剤であり、そのような高い架橋密度は、結果として著しく高いTgおよび優れた熱安定性を生じる。
【0026】
エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を硬化させるための硬化剤化合物として使用することができる当該化合物のいくつかのより詳細な実施形態は、上記において説明したような一般式(I)で表される化合物である。
【0027】
一般式(I)の一実施形態において、Rは、下記の化学式7で表される構造でありうる。なお、Rは上記において定義された通りである。
【0028】
【化7】
【0029】
一般式(I)の本明細書の別の実施形態において、Rは、1個〜約4個の炭素原子を有するアルキル基であってよく、より詳細には、メチル基またはエチル基から選択されうる。
【0030】
一般式(I)のより詳細な実施形態において、Xは、下記の化学式8で表される構造であってよく、より詳細には、下記の化学式9で表される構造でありうる。
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
一般式(I)の別のより詳細な実施形態において、Xは、1〜8個の炭素原子、より詳細には1個〜約4個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルキレン基または分岐鎖状アルキレン基であってよく、最も詳細には、メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、および、ブチレン基、からなる群より選択されうる。
【0034】
上記において説明した一般式(I)の別の詳細な実施形態において、Xは、2〜8個の炭素原子、より詳細には2個〜約4個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルケニレン基または分岐鎖状アルケニレン基であってよく、最も詳細には、エテニレン基、プロペニレン基、および、イソプロペニレン基、からなる群より選択されうる。
【0035】
一般式(I)のさらなる別の実施形態において、Yは、上記において説明されるように、下記の化学式10で表される構造でありうる。
【0036】
【化10】
【0037】
一般式(I)の他の一実施形態において、Yは、下記の化学式11で表される構造でありうる。
【0038】
【化11】
【0039】
本明細書における一般式(I)の一実施形態において、添字nの値は、1〜約100、より詳細には1〜約15、最も詳細には1〜約7でありうる。非限定的な一実施形態において、nは1であってよく、ただしこのときRは、下記の化学式12で表される構造である。この場合、Rは、上記において定義された通りである。
【0040】
【化12】
【0041】
別の実施形態において、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を硬化させるための硬化剤化合物として使用することができる化合物(たとえば、本明細書において説明されるエポキシ樹脂のための活性エステル硬化剤など)は、一般式(I)のリン含有化合物、たとえば、1分子あたり少なくとも3つの反応性基を有し、これらの反応性基のうちの少なくとも2つが活性エステル基であるものなど、でありうる。より好ましくは、一般式(I)のリン含有化合物は、1分子あたり少なくとも4つの反応性基を有するとともに活性エステル基の数が少なくとも3であるものである。
【0042】
本明細書において説明される一般式(I)の化合物は、たとえばエポキシ以外などの他の熱硬化性樹脂とともに使用される場合には、非反応性添加剤としても使用することができる。たとえば、本明細書において述べられる一般式(I)の化合物は、熱硬化性配合物に対して、高温において炭化による絶縁層を提供する炭化剤(charring agent)として使用することができる。
【0043】
反応性エステルなる用語は、下記の化学式13に示される反応式に従ってエポキシ基と反応することができる芳香族エステルを意味する。当該反応は、DOPO−HQ(10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド)による特定の硬化メカニズムであり、この場合、Rは、十二個までの炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり、下記の化学式14に示される従来のエポキシ硬化反応式とは大きく異なっている。
【0044】
【化13】
【0045】
【化14】
【0046】
当該硬化剤は多官能性硬化剤として機能するため、硬化された物品は高い架橋密度を有し、それは例外的に高いTgに反映される。硬化の際、非常に極性が高く熱に不安定なヒドロキシ基の形成が最小限に抑えられるため、硬化された物品は、高い熱安定性および低い誘電正接を有する。当該硬化剤は嵩高い構造を有するため、分子鎖の結晶化が妨げられ、エポキシ樹脂組成物中へのポリエステル硬化剤の溶解性は非常に良好である。欧州特許出願公開第1416007号明細書(特許文献1)の化合物とは異なり、本発明の化合物は優れた難燃性も提供する。
【0047】
本明細書の一実施形態において、様々な用途(たとえば、プリプレグ、ラミネート、コーティング、成形物品、および、複合製造物など)において有用な様々な耐発火性の化合物、組成物、または、配合物、を形成するために、一般式(I)の化合物を他の成分(たとえば、熱硬化性樹脂など)と、反応、ブレンド、または、混合することによって得ることができる化合物、組成物、および/または、配合物、が提供される。
【0048】
本明細書における別の実施形態は、(i)一般式(I)の化合物、(ii)エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂混合物、(iii)共架橋剤(任意選択)、(iv)硬化触媒(任意選択)、および、(v)ルイス酸(任意選択)、を含むリン系エポキシ樹脂硬化性配合物を対象とする。
【0049】
本明細書におけるさらなる別の実施形態において、硬化性の難燃性エポキシ樹脂組成物を得るための、(i)一般式(I)の化合物、(ii)ベンゾオキサジン含有化合物(任意選択)、(iii)1分子あたり2つ以上のエポキシ基を有する架橋性のエポキシ樹脂または2種以上のエポキシ樹脂の混合物、(iv)共架橋剤(任意選択)、および(v)硬化触媒(任意選択)、を含む硬化性難燃性エポキシ樹脂組成物が提供される。そのような硬化性の難燃性エポキシ樹脂組成物は、プリプレグを製造するために使用することができ、当該プリプレグはエレクトロニクス産業において有用なラミネートおよび回路基板を作製するために使用されうる。当該エポキシ樹脂組成物は、いわゆる積層技術のために、銅箔などの金属箔をコーティングして樹脂コーティングされた銅箔を製造するためにも使用されうる。
【0050】
本明細書において説明される一般式(I)の化合物およびその誘導体は、ハイブリッド耐発火性熱硬化性組成物を作製するべく、少なくとも一種の熱硬化性樹脂(エポキシおよび硬化剤)とも組み合わせられうる。
【0051】
〔耐発火性エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂組成物)〕
本発明の一実施形態において、本明細書および一実施形態において説明される一般式(I)の化合物およびその組み合わせは、硬化性(架橋性)リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の一成分として使用されうる。この実施形態において、硬化性リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、(i)本明細書において説明される一般式(I)の化合物、(ii)少なくとも一種のエポキシ樹脂(たとえば、非ハロゲン系エポキシ樹脂、非リン系エポキシ樹脂、および、リン含有エポキシ樹脂、および、それらの混合物、から選択されるもの)であって、非限定的な例として、DEN 438、DER 330、Epon 164(DENおよびEDRは、ダウ・ケミカル社の商標である。)、エポキシ官能性ポリオキサゾリドン含有化合物、脂環式エポキシ樹脂、GMA/スチレン共重合体、および、DEN438とDOPO樹脂との反応生成物など、ならびに、任意選択により(iii)少なくとも一種の共架橋剤、ならびに、任意選択により一種または複数種の、硬化触媒、ルイス酸、抑制剤、および、ベンゾオキサジン含有化合物、を含む。当該硬化性リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、任意選択により、上記の成分(ii)とは異なる少なくとも一種の追加の架橋性エポキシ樹脂または2種以上のエポキシ樹脂の混合物を含有しうる。当該硬化性リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、任意選択により、少なくとも一種の硬化触媒および少なくとも一種の抑制剤も含有しうる。上記の成分の全ては、当該硬化性リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を形成するために、任意の順番においてブレンドまたは混合することができる。
【0052】
本明細書において説明される一般式(I)の化合物と、エポキシ樹脂と、任意選択により別の共架橋剤と、の混合物を反応させることによって作製された、本発明に従って調製された硬化性リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、エレクトロニクス産業において有用なプリプレグ、ラミネート、および、回路基板、を作製するため、ならびに、上記において説明したようないわゆる積層技術のために金属箔をコーティングするための、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物として使用することができる。
【0053】
本明細書において説明される本発明において使用することができるエポキシ樹脂は、一実施形態において、下記の一般式(II)で表される構造を有するポリエポキシドを含む。なお、式中Rは、結合価pの、置換または非置換の芳香族基、脂肪族基、脂環式基、または、複素環式基、であり、この場合pは、好ましくは1〜約8未満の平均値を有する。
【0054】
【化15】
【0055】
本発明において有用なポリエポキシド化合物の例としては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、4,4’−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン−置換フェノール樹脂、テトラメチルビフェノール、およびそれらの任意の組み合わせ、のジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0056】
本発明において有用な特定のポリエポキシド化合物の例としては、D.E.R.330(ダウ・ケミカル社の商標)として販売される、エポキシ換算重量(EEW)が177〜189であるビスフェノールAのジグリシジルエーテル、非ハロゲン系エポキシ末端ポリオキサゾリドン樹脂およびリン含有エポキシ化合物、脂環式エポキシ樹脂、ならびに、グリシジルメタクリレートエーテル−スチレン共重合体、が挙げられる。
【0057】
好ましいポリエポキシド化合物としては、エポキシノボラック(たとえば、D.E.N. 438またはD.E.N. 439(いずれもダウ・ケミカル社の商標)など)、クレゾールエポキシノボラック(たとえば、Ciba Geigy社から入手可能なQUATREX 3310、3410、および、3710など、Momentive製のEpon 164)、トリスエポキシ化合物(たとえば、Ciba Geigy社製のTACTIX 742など)、エポキシ化ビスフェノールAノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールエポキシノボラック、テトラフェノールエタンのグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル、および、ヒドロキノンのジグリシジルエーテル、が挙げられる。
【0058】
一実施形態において、最も好ましいエポキシ化合物は、エポキシノボラック樹脂(場合によりエポキシ化ノボラック樹脂と呼ばれ、この用語はエポキシフェノールノボラック樹脂およびエポキシクレゾールノボラック樹脂の両方を包含することが意図される。)である。エポキシノボラック樹脂(エポキシクレゾールノボラック樹脂を含む。)は、たとえば、D.R.N.(ダウ・ケミカル社の商標)、ならびに、QUATREXおよびTACTIX 742(Ciba Geigy社の商標)、などの商品として、市場において容易に入手可能である。
【0059】
上記において言及したタイプの好ましい化合物は、150〜400、最も好ましくは160〜300のエポキシ当量と、500超、最も好ましくは700〜2500の分子量と、を有する
【0060】
本発明において有用なポリポリエポキシドは、好ましくは、臭素原子を実質的に含まない(または完全に含まない)ものであり、より好ましくは、ハロゲン原子を実質的に含まない(または完全に含まない)ものである。
【0061】
本発明において有用であり、実質的にハロゲン原子を含まないポリエポキシドの非限定的な一例は、リン含有エポキシ樹脂、たとえば、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物と反応性リン含有化合物(たとえば、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド(DOPO)または10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO−HQ)など)との反応生成物など、である。
【0062】
本明細書において説明される組成物、すなわち、硬化性リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物、熱硬化性組成物、および、ハイブリッド組成物、におけるエポキシの量は、エポキシの最終的な配合物において、本明細書において説明された一般式(I)の化合物をベースとする任意選択の任意のリン含有エポキシの量と、本明細書において説明されるかまたは当業者に既知の任意の他の成分の量とが、組成物中の総リン含有量が1重量%〜約5重量%、より詳細には約2重量%〜約3.5重量%となるような量である。したがって、当業者は、上記において説明されるような最終リン含有量になるようにエポキシの量をそのような他の成分と釣り合わせて配合するであろう。
【0063】
上記のような最終組成物中におけるリン含有エポキシの量は、エポキシ樹脂100部に対して、10〜90部、好ましくは20〜80部、最も好ましくは3.0〜50部、の範囲を取りうる。
【0064】
非限定的な一実施形態において、本明細書において説明されるエポキシ樹脂の量は、本明細書において説明される熱可塑性組成物中における熱可塑性樹脂の量、本明細書において説明される熱硬化性組成物中における熱硬化性樹脂の量、および、本明細書において説明されるハイブリッド組成物中における樹脂の総量、に等しい量でありうる。
【0065】
本明細書において説明される硬化性エポキシ樹脂組成物中における、本明細書においてエポキシ樹脂を硬化するための化合物として使用することができる、本明細書において説明される一般式(I)の化合物の難燃性有効量は、用いられる特定のエポキシ樹脂および特定の化合物、ならびに当業者に既知の特定の加工パラメータに応じて変わるであろう。非限定的な一実施形態において、エポキシ樹脂を硬化させるために使用することができる本明細書において説明される一般式(I)の化合物の難燃性有効量は、エポキシ樹脂100重量部あたり約10重量部〜約150重量部、より詳細にはエポキシ樹脂100重量部あたり約30重量部〜約100重量部、最も詳細にはエポキシ樹脂100重量部あたり約50重量部から約70重量部、である。適切な難燃性を提供するために、本明細書における組成物は、最終組成物中において1%〜約5%のリンを含有するであろう。一実施形態において、上記において述べた本明細書において説明される一般式(I)の化合物の量は、本明細書において説明されるエポキシ樹脂組成物、熱硬化性組成物、および、ハイブリッド組成物、のうちのいずれかにおいて使用された、本明細書において説明される一般式(I)の化合物の量でありうる。
【0066】
上記において説明したように、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、(i)本明細書において説明される一般式(I)の化合物、(ii)少なくとも一種の架橋性エポキシ化合物、および、任意選択により、(iii)少なくとも一種の共架橋剤、ならびに、本明細書において説明される他の任意選択の成分のいずれか、をブレンドすることによって形成することができる。あるいは、別の実施形態において、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、(i)本明細書において説明される一般式(I)の化合物をベースとするエポキシ化された化合物、少なくとも一種の架橋性リン含有化合物、および、(iii)少なくとも一種の共架橋剤、ならびに、本明細書において説明される他の任意選択の成分のいずれか、をブレンドすることによって形成することができる。リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、任意選択により、上記の(ii)における架橋性リン含有化合物以外の少なくとも一種の架橋性エポキシ樹脂を含有していてもよい。本明細書の一実施形態において、架橋性リン含有化合物における「架橋性」なる用語は、当業者が理解するであろうように、2を超えるエポキシ官能価を有するリン含有エポキシ化合物であると理解されることは理解されるであろう。
【0067】
エポキシ樹脂が存在する上記の組成物のいずれかとともに、任意選択により、任意の数の共架橋剤を(すなわち、本明細書において説明される一般式(I)のリン化合物に加えて)使用してもよい。任意選択により本発明によるリン含有エポキシ化合物との併用において存在していてもよい好適な共架橋剤としては、たとえば、当業者に既知の多官能性共架橋剤が挙げられる。
【0068】
かかる共架橋剤としては、たとえば、1,500〜50,000の分子量(M)および15%を越える無水物含有量を有する、スチレン−無水マレイン酸共重合体が挙げられる。これらの材料の市販の例としては、6,000〜15,000の分子量を有し、スチレン−無水マレイン酸比がそれぞれ、1:1、2:1、3:1、および、4:1、である、SMA 1000、SMA 2000、SMA 3000、および、SMA 4000、が挙げられる。これらは、Elf Atochem S.A.から入手可能である。
【0069】
本発明において有用な他の好ましい共架橋剤としては、ヒドロキシ基含有化合物、たとえば、下記の式(III)によって表されるものなどが挙げられる。なお、式中Rは、水素、または、1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、添字qは、0〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜5、の整数である。
【0070】
【化16】
【0071】
上記の式(III)に示す構造を有する市販製品としては、たとえばPERSTORP 85.36.28が挙げられ、これは、フェノールとホルムアルデヒドとから得られるフェノール樹脂であり、平均メトラー軟化点が103℃であり、150℃における溶融粘度が1.2Pa・sであり、かつ、6から7の官能価を有する。別の例としては、SD1708(Momentive製)(150℃における粘度:2200〜3800cps、軟化点:110℃)、HRJ13399(SI Group製)(比重:1.20、軟化点:90〜105℃)、HRJ12952(SI Group製)(比重:1.25、軟化点:97〜107℃)、FRJ425(SI Group製)(比重:1.24、軟化点:112〜118℃)、BRJ473液状品(SI Group製)(比重:1.10、ブルックフィールド粘度:1000〜4500cps)、が挙げられる。
【0072】
本明細書において説明される組成物における好適な共架橋剤の一例は、下記の一般式(IV)で表される活性エステルフェノール樹脂である。なお、式中Rは、水素、1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基、または、フェニル基もしくは置換フェニル基である。また、Rは、1〜4個の炭素原子を有する脂肪族基、または、フェニル基もしくは置換フェニル基である。このタイプの市販の硬化系の一例は、DIC株式会社(日本)から入手可能なEPICLON HPC−8000−65Tである。
【0073】
【化17】
【0074】
共架橋剤として好適な他のフェノール官能性材料としては、加熱時に少なくとも2の官能価を有するフェノール性架橋剤を形成する化合物が挙げられる。これらの化合物のいくつかの例は、ベンゾオキサジン基含有化合物である。加熱時にフェノール性架橋剤を形成する化合物の例としては、たとえば、以下の化学式18に示されるような、ベンゾオキサジンの加熱から得られるフェノール性化合物が挙げられる。この場合、rは、1を超え、好ましくは約100,000までであり、ならびに、RおよびRは、独立して別々に、同じかまたは異なり、水素、1個〜約10個の炭素原子を有するアリル基(たとえばメチル基など)、6〜20個の炭素原子を有する芳香族基(たとえばフェニル基など)、または、4〜20個の炭素原子を有する脂環式基(たとえば、シクロヘキサンなど)、でありうる。
【0075】
【化18】
【0076】
上記の化合物の例としては、フェノールフタレインのベンゾオキサジン、ビスフェノール−Aのベンゾオキサジン、ビスフェノール−Fのベンゾオキサジン、フェノールノボラックのベンゾオキサジン、および、それらの混合物、が挙げられる。これらの化合物と式(III)および/または(IV)との混合物も、本発明において使用することができる。Huntsman製の市販のベンゾオキサジンの非限定的な例としては、たとえば、ビスフェノールAベンゾオキサジン(MT35600)、ビスフェノールFベンゾオキサジン(MT35700)、フェノールフタレインベンゾオキサジン(MT35800)、チオジフェノールベンゾオキサジン(MT35900)、および、ジシクロペンタジエンベンゾオキサジン(MT36000)、が挙げられる。
【0077】
本発明において共架橋剤が使用される場合、当該共架橋剤は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を硬化させるために必要な化学量論的量の50パーセント未満の量において存在し、より好ましくは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を硬化させるために必要な化学量論的量の40%未満であり、最も好ましくは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を硬化させるために必要な化学量論的量の35%未満である。
【0078】
本明細書において説明される本発明の硬化性組成物のいずれも、硬化触媒を含んでもよい。本発明において有用な好適な硬化触媒材料(触媒)の例としては、アミン部分、ホスフィン部分、アンモニウム部分、ホスホニウム部分、アルソニウム部分、または、スルホニオム部分、を有する化合物、または、それらの混合物、が挙げられる。特に好ましい触媒は、複素環式窒素含有化合物である。
【0079】
当該触媒(共架橋剤と区別される)は、好ましくは、平均して1分子あたり約1つ以下の活性ハロゲン部分を有する。活性ハロゲン部分は、アミン基、フェノール性ヒドロキシ基、または、カルボン酸基、に結合したハロゲン原子を含む。たとえば、触媒におけるアミン部分およびホスフィン部分は、好ましくは、第三級アミン部分またはホスフィン部分であり、当該アンモニウム部分およびホスホニウム部分は、好ましくは、第四級アンモニウム部分および四級ホスホニウム部分である。
【0080】
触媒として使用することができる、中でも特に好ましい第三級アミンは、鎖状または環状構造を有するモノアミンまたはポリアミンであり、当該アミンの水素原子は全て、好適な置換基、たとえば、ヒドロカルビルラジカル、好ましくは脂肪族ラジカル、脂環式化合物ラジカル、または、芳香族ラジカルなど、で置換されている。
【0081】
これらのアミンの例としては、中でも特に、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン(DBU)、メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ピリジン、および、キノリン、が挙げられる。好ましいアミンは、トリアルキルアミン、トリシクロアルキルアミン、および、トリアリールアミン、であり、たとえば、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、トリ−(2,3−ジメチルシクロヘキシル)アミン、アルキルジアルカノールアミン(メチルジエタノールアミンなど)、および、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、である。弱い第三級アミン、たとえば、1M濃度の水溶液が10未満のpHを与えるアミンが、特に好ましい。特に好ましい第三級アミン触媒は、ベンジルジメチルアミンおよびトリス−(ジメチルアミノメチル)フェノールである。
【0082】
本明細書において用いることができる好適な複素環式窒素含有触媒の例としては、複素環式第二級および第三級アミンまたは窒素含有触媒、たとえば、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾリジン、イミダゾリン、オキサゾール、ピロール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピロリジン、ピラゾール、キノキサリン、キナゾリン、フタロジン、キノリン、プリン、インダゾール、インドール、インドラジン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、ピロリン、インドリン、ピペリジン、ピペラジン、および、それらの組み合わせ、などが挙げられる。特に好ましいのは、アルキル置換イミダゾール、2,5−クロロ−4−エチルイミダゾール、および、フェニル置換イミダゾール、ならびに、それらの混合物、である。さらにより好ましいのは、N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、および、それらの混合物、である。特に好ましいのは、2−フェニルイミダゾールである。
【0083】
使用される硬化触媒の量は、当該触媒の分子量、当該触媒の活性、および、意図される重合の進行速度、に依存する。概して、当該硬化触媒は、樹脂100部あたり0.01部(0.01phr)〜約1.0phr、より詳細には、約0,01phr〜約0.5phr、最も詳細には、約0.1phr〜約0.5phr、の量が使用される。本明細書における一実施形態において、樹脂の配合部は、本明細書において説明される硬化性エポキシ樹脂の配合部、すなわち、触媒を除く硬化性組成物の総量(本明細書において説明される一般式(I)のエポキシ化合物と硬化触媒以外の存在する任意の他の成分との総重量(g)を100%とし、これの100gは樹脂の100部に等しい)に関係すること、および、触媒はこの総重量100部に対して上記の数値範囲内において加えられること、が理解されるであろう。
【0084】
好ましくは、とりわけ触媒が複素環式窒素含有化合物である場合、本明細書において説明される本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物のいずれにおいても、ルイス酸が併せて用いられる。
【0085】
本発明において有用なルイス酸としては、たとえば、亜鉛、スズ、チタン、コバルト、マンガン、鉄、ケイ素、アルミニウム、および、ホウ素の、ハロゲン化物、酸化物、水酸化物、および、アルコキシド、のうちの1つまたは2つ以上の混合物、たとえば、ホウ素のルイス酸およびホウ素のルイス酸無水物、たとえば、ホウ酸、メタホウ酸、任意選択により置換されていてもよいボロキシン(トリメトキシボロキシンなど)、任意選択により置換されていてもよいホウ素酸化物、アルキルボレート、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化亜鉛(塩化亜鉛など)、ならびに、比較的弱い共役塩基を有する傾向のある他のルイス酸、が挙げられる。好ましくは、当該ルイス酸は、ホウ素のルイス酸またはホウ素のルイス酸無水物、たとえば、ホウ酸、メタホウ酸、任意選択により置換されていてもよいボロキシン(トリメトキシボロキシン、トリメチルボロキシン、または、トリエチルボロキシン、など)、任意選択により置換されていてもよいホウ素酸化物、またはアルキルボレート、である。最も好ましいルイス酸は、ホウ酸である。これらのルイス酸は、上記において言及された複素環式窒素含有化合物と組み合わせる場合に、エポキシ樹脂の硬化において非常に効果的である。
【0086】
ルイス酸およびアミンは、配合物に混合する前に組み合わせてもよく、またはin situで触媒と混合することによって硬化触媒混合物を形成することもできる。
【0087】
用いられるルイス酸の量は、好ましくは、複素環式窒素化合物1モルあたり少なくとも0.1モル、より好ましくは、複素環式窒素含有化合物1モルあたり少なくとも0.3モルである。
【0088】
本発明の硬化性組成物には、任意選択により、硬化抑制剤としてホウ酸および/またはマレイン酸を含ませてもよい。その場合、硬化剤は、好ましくは、ポリアミンまたはポリアミドである。硬化抑制剤の量は、当業者に既知であろう。
【0089】
本発明の硬化性組成物は、任意選択により、一種または複数種の追加の難燃性添加剤、たとえば、赤リン、カプセル化された赤リン、または、液体もしくは固体リン含有化合物、たとえば、Clariant GmbH製のEXOLIT OP 930、EXOLIT OP 910、および、ポリリン酸アンモニウム、たとえば、Clariant GmbH製のEXOLIT 700など、リン酸塩、または、ホスファゼン、窒素含有難燃剤および/または相乗剤、たとえば、メラミン、メレム、シアヌル酸、イソシアヌル酸、および、それらの窒素含有化合物の誘導体など、ハロゲン系難燃剤およびハロゲン化エポキシ樹脂(とりわけ、臭素化エポキシ樹脂)、相乗的リン−ハロゲン含有化学物質、または、有機酸塩を含有する化合物、無機金属水和物、たとえば、Sb、Sb、三水酸化アルミニウム、および、水酸化マグネシウム、たとえば、Martinswerke GmbH(ドイツ)製のZEROGEN 30、より好ましくは三水酸化アルミニウム、たとえば、Martinswerke GmbH(ドイツ)製のMARTINAL TS−610、ホウ素含有化合物、アンチモン含有化合物、シリカ、および、それらの組み合わせなど、を含有していてもよい。
【0090】
リンを含有する追加の難燃剤が本発明の組成物中に存在する場合、当該リン含有難燃剤は、好ましくは、エポキシ樹脂組成物の総リン含有量が0.2重量%〜5重量%となるような量において存在する。
【0091】
本発明の硬化性組成物は、任意選択により、一般的な従来タイプの他の添加剤、たとえば、安定化剤、他の有機もしくは無機添加剤、顔料、湿潤剤、流動調整剤、UV光遮断剤、および、蛍光性添加剤、などを含有していてもよい。これらの添加剤は、0重量%〜5重量%の量において存在しうるものであり、好ましくは3重量%未満の量において存在する。
【0092】
難燃性エポキシ樹脂は、好ましくは、臭素原子を含有せず、より好ましくは、ハロゲン原子を含有しない。
【0093】
上記において説明した組成物は、コーティング配合物、カプセル化、複合材、および接着剤、成形、ボンディングシート、および積層プレートの作製にとって有用である。本発明の組成物は、当該産業において周知の技術、たとえば、プルトルージョン法、成形、カプセル化、または、コーティング、などによって複合材料を作製するために使用することができる。実例として、コーティング配合物は、(i)本明細書において説明される一般式(I)の化合物、(ii)固体状エポキシ樹脂、および(iii)硬化剤、たとえば、アミン硬化剤またはフェノール性硬化剤など、を含みうる。硬化剤の量は、当業者に既知であろう。
【0094】
本発明は、Bステージ化されたプリプレグ、ラミネート、ボンディングシート、および、樹脂コーティングされた銅箔、を、当該産業において周知の技術によって作製する場合に特に有用である。
【0095】
〔耐発火性熱硬化性組成物(熱硬化性組成物)〕
本発明の別の実施形態において、本明細書において説明される一般式(I)の化合物は、リン含有耐発火性熱硬化性組成物を作製するために使用され、その場合、たとえば、非限定的な一実施形態において、当該熱硬化性樹脂は、エポキシに加えて使用され、または、エポキシと別に使用される。
【0096】
非ハロゲン系耐発火性熱硬化性組成物は、(i)本明細書において説明される一般式(I)の化合物を、(ii)少なくとも一種の熱硬化性樹脂とブレンドすることによって得ることができる。熱硬化性樹脂の例は、エポキシ、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ベンゾオキサジン環含有化合物、二重結合または三重結合を有する不飽和樹脂組成物、ポリシアン酸エステル、ビスマレイミド、トリアジン、ビスマレイミド、および、それらの混合物である。
【0097】
本明細書における熱硬化性樹脂組成物は、硬化性エポキシ樹脂組成物またはハイブリッド組成物のための、本明細書において説明される任意の成分および/またはそのような成分の任意の範囲の量を含むことができ、またその逆に、熱硬化性樹脂組成物の、すなわち、本明細書において説明される熱硬化性樹脂組成物の任意の成分および/またはそのような成分の任意の範囲の量を、本明細書において説明される任意のエポキシ組成物またはハイブリッド組成物において使用することができる。
【0098】
本明細書における一実施形態において、本明細書において説明される任意の組成物を含有する物品が提供される。一実施形態において、本明細書における物品は、鉛フリーはんだ付け用途および電子デバイス(プリント回路基板用途など)において使用することができる。詳細には、当該物品は、プリプレグおよび/またはラミネートであり得る。特定の一実施形態において、本明細書において説明される任意の一種または複数種の組成物を含有するラミネートおよび/またはプリプレグが提供される。他の一実施形態において、1つまたは複数のプリプレグおよび/またはラミネート(未硬化のもの、部分的に硬化させたもの、または、完全に硬化させたもの)を含むプリント回路基板、任意選択により多層プリント回路基板が本明細書において提供され、その場合、当該プリプレグおよび/またはラミネートは、本明細書において説明される任意の一種または複数種の組成物を含む。一実施形態において、プリプレグおよび/またはラミネートを含むプリント回路基板が提供され、その場合、当該プリプレグおよび/またはラミネートは、本明細書において説明される任意の一種または複数種の組成物を含む。
【0099】
本明細書において使用される場合、「部分的硬化」は、完全な硬化の手前の任意のレベルの硬化を包含しうるものであり、ならびに、特定の材料および製造条件ならびに所望の最終用途に応じて、幅広く変わるであろう。特定の一実施形態において、本明細書における当該物品は、さらに、銅箔を含む。一実施形態において、当該物品は、プリント回路基板を含み得る。一実施形態において、本発明のプリプレグおよび/またはラミネートを含むFR−4ラミネートが提供される。より詳細な実施形態において、FR−4ラミネートを含むプリント回路基板であって、当該FR−4ラミネートが本発明のプリプレグまたはラミネートを含むプリント回路基板が提供される。
【0100】
本明細書における一実施形態において、本明細書において説明される組成物のいずれかを含有するラミネートを作製するためのプロセスであって、それぞれの組成物を充填材料(ガラス繊維マットなど)に染み込ませてプリプレグを形成する工程、続いて部分的硬化をBステージへと促進するためにプリプレグを高温高圧において処理する工程、次いで2つ以上のプリプレグを積層することによりラミネートを形成する工程、を含むプロセスが提供される。一実施形態において、ラミネートおよび/またはプリプレグは、本明細書において説明される用途(プリント回路基板など)において使用することができる。
【0101】
本明細書において、本明細書において説明される任意の組成物は、ラミネート特性と熱安定性との良好なバランス、たとえば、高いt(すなわち、130℃超)、330℃以上のT、5分間以上のt288、V−0難燃性、良好な靭性、および、銅箔への良好な接着性、などのうちの1つまたは複数を有するプリプレグおよび/またはラミネートを作製するために有用であることが示される。近年、当該産業が、従来のスズ−鉛はんだより溶融温度が高い鉛フリーはんだへと移行しつつあるため、Tは最も重要なパラメータの1つになっている。
【0102】
本明細書における一実施形態において、本明細書において説明される組成物は、他の用途(電子素子のための封入材、保護コーティング、構造接着剤、構造的および/または装飾的複合材料など)において、特定の用途に応じて必要と思われる量を使用することができる。
【0103】
本明細書におけるさらなる実施形態において、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂のための活性エステル硬化剤を作製する方法が提供される。
【0104】
本明細書における非限定的な一実施形態において、本明細書において説明される一般式(I)の化合物の活性エステル硬化剤を作製する方法は、以下の化学式19で表される基本的反応メカニズムを含みうる。この場合、Acはアセチル基である。
【0105】
【化19】
【0106】
この反応は、いかなる追加の溶媒の使用も必要としない。無水酢酸は、溶媒であると同時に反応基質である。それは、DOPO−HQに対して、1モル〜10モル過剰、最も好ましくは2モル〜5モル過剰で使用される。当該反応は、170℃〜260℃、最も好ましくは190℃〜240℃において、1〜16時間、最も好ましくは5〜8時間実施される。
【0107】
熱硬化性樹脂のための活性エステル硬化剤を作製するための他の非限定的な実施形態を、以下の実施例において説明する。
【0108】
本発明についてある特定の実施態様を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を為すことができ、ならびに同等物でその要素を置き換えることができることは、当業者により理解されるであろう。さらに、その本質的な範囲から逸脱することなく本発明の教示に特定の状況または材料を適合させるために多くの修正を為すことができる。したがって、本発明は、本発明の実施のために想到される最良の形態として開示される特定の実施態様に限定されるものではないが、本発明は、付随する特許請求の範囲内の全ての実施態様を含むものであることが意図される。
【実施例】
【0109】
〔実施例1:DOPO−HQのジイソフタロイルエステルの合成〕
【0110】
【化20】
【0111】
DOPO−HQ(3.2g、10mmol)およびピリジン(0.8g、10mmol)を、50mLのアセトン/ジオキサン中において一緒に混合した。20mLのアセトンに溶解した二塩化イソフタロイル(1.0g、5mmol)を滴加した。得られた懸濁液を還流温度に加熱すると、均一な溶液が形成された。4時間後、真空下において溶媒を除去した。残留した白色固体を水で洗浄し、真空下において乾燥させた。得られた最終生成物は白色固体であった。H NMR(300MHz、アセトン−d、ppm)δ8.69〜6.90(m、26H)。31P NMR(121MHz、アセトン−d、ppm)δ28。HPLCは、DOPO−HQのジイソフタロイルエステル74%、分子量がより大きい他のオリゴマー18%、低分子量化合物8%、を示した。
【0112】
〔実施例2:オリゴマー性DOPO−HQ−イソフタロイル−エステルの合成〕
【0113】
【化21】
【0114】
DOPO−HQ−イソフタロイル−エステル(五量体混合物):DOPO−HQ(71.9g、221.6mmol)およびピリジン(25mL、310.5mmol)を、200mLのクロロホルム中において一緒に混合した。50mLのクロロホルム中に溶解した二塩化イソフタロイル(30.0g、147.8mmol)を滴加した。得られた懸濁液を還流温度に加熱すると、均一な溶液が形成された。3時間後、得られた溶液を室温まで冷却し、0.5MのHCl水溶液および飽和塩水で洗浄した。有機層を収集し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。真空下において溶媒を除去した。得られた最終生成物は白色固体であった。H NMR(300MHz、クロロホルム−d、ppm)δ9.00〜6.78(多重H)。31P NMR(121MHz、クロロホルム−d、ppm)δ32.5〜34、多重ピーク18〜19。HPLCは、三量体12%、五量体17%、七量体および他のより大きなオリゴマー66%、を示した。
【0115】
〔実施例3:オリゴマー性DOPO−HQ−テレフタロイル−エステルの合成〕
【0116】
【化22】
【0117】
DOPO−HQ(4.8g、15.0mmol)およびピリジン(2.0mL、24.6mmol)を、50mLのクロロホルム中において一緒に混合した。20mLのクロロホルム中に溶解した二塩化テレフタロイル(2.0g、9.8mmol)を滴加した。得られた懸濁液を、還流温度で3時間加熱した。不溶性固体をろ別し、得られた溶液を0.5MのHCl水溶液および飽和塩水で洗浄した。有機層を収集し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。真空下において溶媒を除去した。得られた最終生成物は白色固体であった。H NMR(300MHz、クロロホルム−d、ppm)δ9.00〜6.78(多重H)。31P NMR(121MHz、クロロホルム−d、ppm)δ32.5〜34、18〜19。HPLCは、三量体7.2%、五量体29%、七量体および他のより大きなオリゴマー60%、を示した。
【0118】
〔実施例4:オリゴマー性DOPO−HQ−マロニル−エステルの合成〕
【0119】
【化23】
【0120】
DOPO−HQ−マロニル−エステル:DOPO−HQ(6.9g、21.3mmol)およびピリジン(2.5mL、28.4mmol)を、50mLのクロロホルム中において一緒に混合した。20mLのクロロホルム中に溶解した二塩化マロニル(2.0g、14.2mmol)を滴加した。得られた懸濁液を、還流温度で6時間加熱した。不溶性固体をろ別し、得られた暗緑色の溶液を0.5MのHCl水溶液および塩水で洗浄した。有機層を収集し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。真空下において溶媒を除去した。得られた最終生成物は黄色発泡体であった。31P NMR(121MHz、クロロホルム−d、ppm)δ32〜33、20。HPLCは、三量体27%、五量体14%、七量体および他のより大きなオリゴマー47%、を示した。
【0121】
〔実施例5:オリゴマー性DOPO−HQ−テレフタロイル−エステルの合成〕
【0122】
【化24】
【0123】
メカニカルスターラーおよび窒素導入口を備える100mLの四つ口フラスコにDOPO−HQ−ジアセテート(10g、0.0245mol)を装入し、170℃に加熱して完全に溶解させた。テレフタル酸(2.03g、0.012mol)を加え、混合物を1時間撹拌した。次いで、温度を1.5時間にわたって190℃に上げた。反応を継続させ、混合物はより粘性となった。反応全体の間、反応混合物の上方において、強い窒素流をフラスコ内に通過させることにより、生成した酢酸を反応領域から排出した。フラスコ内において固化するのを避けるため、結果として得られた非常に粘性の高い温液を素早くアルミニウムプレート上に注いだ。得られた薄茶色の固体生成物が、定量的収率で得られた。
【0124】
得られた生成物は、式(I)のリン含有オリゴマー性テレフタレートからなった。当該生成物は、7.6%のDOPO−HQ−モノアセテートおよびDOPO−HQ−アセテート−テレフタレート、13%の未反応DOPO−HQ−ジアセテート、ならびに、78.4%の、主要分画が三量体、五量体、および七量体であるオリゴマーを含有した(各成分の含有率%はHPLC面積基準)。当該生成物は、7.2重量%のリンを含有した。当該生成物の主成分をLC−MSによって同定した(表1)。
【0125】
LC−MS分析は、PDA 200〜450nm UV検出器を備える、Dionex、UHPLC、Ultimate 3000により実施した。使用するカラムは、Phenomenex、Kinetex、フェニル−ヘキシル100A、250×4.6mm、5μ、であった。
【0126】
LC−MS条件:0.7mL/分、λ=210nm、溶離液A:水0.055FA、溶離液B:アセトニトリル0.05%FA。
【0127】
時間(分) 溶離液A(%) 溶離液B(%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
0 90 10
3 90 10
30 10 90
35 10 90
37 90 10
40 90 10
【0128】
表1:実施例5のクロマトグラフのピークのLC−MS(Q−TOF ESI+)同定
【表1-1】
【表1-2】
【0129】
〔実施例6:オリゴマー性DOPO−HQ−イソフタロイル−エステルの合成〕
【0130】
【化25】
【0131】
メカニカルスターラー、温度計、および、窒素導入口、を備える250mLの四つ口フラスコにDOPO−HQ−ジアセテート(100g、0.245mol)を装入し、反応内容物を撹拌しながら170℃に加熱して、完全に溶融させた。プロセス全体の間、フラスコに窒素を通過させた。イソフタル酸(20.34g、0.12mol)を加え、反応混合物を、さらに190℃で1時間および200℃で3時間加熱した。この時点において、生成した酢酸を反応領域からより効率的に除去するために減圧し、それにより重縮合を促進させた。混合物はより粘性になった。減圧度を、終了に向けて約30mmHgから1mmHgへと徐々に高めた。結果として得られた非常に粘性の高い生成物を、アルミニウムプレート上に注いだ。ほぼ即座に固化が生じた。得られた生成物は、式(I)のリン含有オリゴマー性イソフタレートからなった。得られた最終固体生成物を細かく粉砕し、真空下において137℃で乾燥させることにより、残留する酢酸を除去した。TGA:299℃で1%、322℃で5%、374℃で10%。生成物は、7.2重量%のリンを含有し、MEK(メチルエチルケトン)に完全に可溶であった。
【0132】
〔実施例7:オリゴマー性DOPO−HQ−イソフタロイル−エステルの合成〕
【0133】
【化26】
【0134】
メカニカルスターラー、温度計、および、窒素導入口、を備える1Lの四つ口フラスコにDOPO−HQ(293.9g、0.9mol)および無水酢酸(367.2g、3.6mol)を装入した。140℃で30分間保持した後、初期スラリーは透明になり、溶液を還流においてさらに2時間加熱した。DOPO−HQ−ジアセテートの生成をHPLC分析によって確認した。次いで、イソフタル酸(100g、0,6mol)を加え、反応混合物を200℃に加熱した。この時点において、過剰な無水酢酸および生成した酢酸の両方を反応領域からより効率的に除去するために減圧し、それにより、重縮合を促進させた。3時間かけて温度を250℃まで徐々に高めた。この期間に、減圧度を、終了に向けて約30mbarから1mbarへと徐々に高めた。結果として得られた非常に粘性の高い液体生成物を、アルミニウムプレート上に注いだ。得られた生成物が冷却されると、ほぼ即座に固化が生じた。定量的収率で得られた最終固体生成物は、薄茶色を呈し、3.3%のDOPO−HQ−モノアセテートおよびDOPO−HQ−アセテート−イソフタレート、13%の未反応DOPO−HQ−ジアセテート、ならびに、83.1%の、主要分画が三量体、五量体、および、七量体、であるオリゴマーを含有した(各成分の含有率%はHPLC面積基準)。生成物の成分のほとんどをLC−MSによって同定した(表2)。TGA:304℃で1%、334℃で2%、365℃で5%、400℃で10%。生成物におけるリン含有量は6.8%であった。真空下において乾燥させた生成物中の酢酸の総含有量は、約0.25%であった(ヘッドスペースGCにより定量)。生成物は、MEKに対する優れた溶解性を有していた。実施例7のオリゴマー性DOPO−HQ−イソフタレートの60%までを、55℃においてMEKに溶解させた。室温まで冷却した際、沈殿は全く観察されなかった。
【0135】
〔実施例8:酢酸カリウム触媒を使用したオリゴマー性DOPO−HQ−イソフタロイル−エステルの合成〕
酢酸カリウムまたは酢酸ナトリウムなどの触媒を使用することにより、より温和な条件、たとえば、より低い温度およびより高い減圧度(1mbarの代わりに30mbar)の条件下で、触媒を用いない場合と同様の結果を達成することが可能となり、そのような温和な条件は、スケールアップにとってより好適である。
【0136】
メカニカルスターラー、温度計、および、窒素導入口、を備える1Lの四つ口フラスコにDOPO−HQ(293.9g、0.9mol)および無水酢酸(367.2g、3.6mol)を装入した。140℃で30分間保持した後、初期スラリーは透明になり、溶液を還流においてさらに2時間加熱した。次いで、イソフタル酸(100g、0.6mol)および酢酸カリウム0.04gを加え、反応混合物を220℃に加熱した。この時点において、過剰な無水酢酸および生成した酢酸の両方を反応領域からより効率的に除去するために減圧し、それにより、重縮合を促進させた。温度を230℃に高めた。この期間、減圧度は30mbarだった。結果として得られた非常に粘性の高い液体生成物を、アルミニウムプレート上に注いだ。定量的収率で得られた最終固体生成物は、濃茶色を呈し、4%のDOPO−HQ−モノアセテートおよびDOPO−HQ−アセテート−イソフタレート、10%の未反応DOPO−HQ−ジアセテート、ならびに、86%の、主要分画が三量体、五量体、および、七量体、であるオリゴマーを含有した(各成分の含有率%はHPLC面積基準)。生成物におけるリン含有量は6.8%であった。
【0137】
〔実施例9:9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ−フェナントレン−10−オキシド(DOPO)およびベンゾキノンから出発するオリゴマー性DOPO−HQ−イソフタロイル−エステルの合成〕
メカニカルスターラー、温度計、および、窒素導入口、を備える0.25Lの四つ口フラスコにDOPO(21.6g.0.1mol)、ベンゾキノン(10.3g、0.095mol)、および、ジメトキシエタン(50mL)、を装入した。フラスコを還流するまで加熱し、その温度を3時間維持することにより、溶媒中においてDOPO−HQのスラリーを得た。続いて、無水酢酸(30.6g、0.3mol)を導入し、その後、140℃に加熱した。加熱工程の間に、ジメトキシエタンを蒸留除去した。140℃で30分保持した後、初期スラリーは透明になり、溶液を還流においてさらに2時間加熱した。次いで、イソフタル酸(10g、0.06mol)および酢酸カリウム0.01gを加え、反応混合物を220℃に加熱した。この時点において、過剰な無水酢酸および生成した酢酸の両方を反応領域からより効率的に除去するために、30mbarに減圧した。結果として得られた非常に粘性の高い液体生成物を、アルミニウムプレート上に注いだ。定量的収率で得られた最終固体生成物は、茶色を呈し、3%のDOPO−HQ−モノアセテートおよびDOPO−HQ−アセテート−イソフタレート、6%の未反応のDOPO−HQ−ジアセテート、ならびに、91%のオリゴマー、を含有した(各成分の含有率%はHPLC面積基準)。生成物におけるリン含有量は6.7%であった。
【0138】
表2:実施例7のクロマトグラフのピークのLC−MS(Q−TOF ESI+)同定
【表2】
【0139】
〔比較例1:DOPO−HQ−ジアセテートの合成〕
【0140】
【化27】
【0141】
DOPO−HO−ジアセテート:DOPO−HQ−ジアセテートをDOPO−HQおよび無水酢酸から合成した。この生成物は、MEKに対して非常に限られた溶解性を有する。
【0142】
〔実施例10:本発明の硬化剤による小スケールでのエポキシ硬化実験〕
実施例1〜4および8において調製したDOPO−HQ−誘導体の試料を、エポキシおよびノボラックと組み合わせて、小スケールにおいて硬化させた(全ての材料情報は表4に一覧されている)。試料は、1:1の比のDEN438:EPON164、共硬化剤としてSD1708、および、触媒として0.2重量%の2−メチルイミダゾール、を使用して硬化させた。総P%は2.4〜2.7%であった。エポキシを、2時間にわたって165〜195℃で硬化させ、1時間にわたって180〜210℃で後硬化させた。試料の熱安定性を、DSCおよびTGAを使用して調査した。DkおよびDf測定のためのワニスキャスティングを調製するために、組成物Aを、1:1の比のDEN438:EPON164、共硬化剤SD1708、および、触媒2−メチルイミダゾール、と混合して、当該エポキシ混和物試料を使用して10インチ×10インチのアルミニウム箔の片面をコーティングした。コーティング後、アルミニウム箔を空気乾燥させ、その後、165℃において「B」ステージ化した(3分50秒)。当該エポキシをアルミニウム箔から剥がし、成形して、200℃で2〜3時間にわたって硬化させ、210〜220℃で1時間にわたって後硬化させた。結果を表3に示す。
【0143】
表3:小スケールでの硬化実験の組成、Tg、TGA、および電気特性
【表3】
【0144】
〔実施例11:DOPO−HQ−誘導体によるラミネートの調製〕
実施例2において合成した組成物Aについて、エポキシラミネート用途のための共硬化剤として使用することについて検討した。フェノール性ノボラックと一緒に組成物Aを使用して、多官能性エポキシ樹脂DEN 438およびEPON 164を硬化させた。全ての材料情報を表4に一覧する。MEK/ダウアノール(80/20)溶媒混合物を加えることによって、固体含有量を66.67%に維持した。それらから、2.7%のリン含有量を有するワニス配合物を調製した。各組成物の含有量を表5に示す。
【0145】
表4:材料
【表4】
【0146】
表5:実施例11におけるエポキシラミネート配合
【表5】
【0147】
触媒の添加は、IPC−TM−650試験2.3,18に従って171℃において270秒の最適なワニスゲル化時間を得るべく、2−メチルイミダゾール(2−mI)溶液(DMF中における20重量%固形分の溶液)を少量ずつ加えることによって慎重に制御した。
【0148】
ガラス織布(17インチ×36インチ)を、連続的に、ワニス貯槽および絞りロールを通過させることにより、均一なコーティングを得た。溶媒をゆっくり蒸発させるために、織布のコーティングした部分をフードに一晩吊るした。当該樹脂でコーティングされたガラス織布を、予備加熱された空気を循環させるオーブンにおいて160℃で4分30秒乾燥させることにより、樹脂流動を20.0%未満にすることによって、プリプレグを作製した。さらに、樹脂含有量が50〜55%を超えるように制御し、当該含有量は、ガラス織布とプリプレグとの間の重量の差により特定する。プリプレグのゲル化時間は、当該プリプレグをジップロック袋内において粉砕することにより、可融性の熱可塑性樹脂を収集することによって特定した。収集した樹脂を171℃のホットプレート上に配置して、ゲル化時間を特定した。当該プリプレグの物性を下記の表6に示す。
【0149】
表6:表5に示された組成物Aによるプリプレグの物性
【表6】
【0150】
25mmの直径を有する4つのプリブレグの円形スタックを、使い捨てアルミニウム(Al)プレートの間に配置し、AR2000exレオメーターにおいて5℃/分で樹脂を200℃に電気的に加熱することによってBステージのプリプレグのレオロジー挙動を調べた。プリプレグの線形粘弾性領域内での連続的に制御されたひずみ条件を、垂直力制御とともに維持し、それにより、温度変化における樹脂の体積変化を生じさせた。
【0151】
レオロジー曲線に基づいて、ラミネートの最終硬化温度が179℃を上回るように選択した。レオロジー曲線に基づいて、ガラスクロスにおいて良好な濡れ性が得られるように硬化サイクルを設計した。図1は、振動試験モードでのBステージ化された樹脂組成物の温度を上昇させたときのプリプレグの複素粘度プロファイルを示している。図2は、B−ステージ化された樹脂組成物の貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、および、複素粘度(|η|)、の曲線を重ね合わせて示している。図1および2に基づいて、ガラスクロスにおいて良好な濡れ性が得られるように、硬化サイクルを設計した。103〜105℃において10psiの低い初期圧力を印加し(プリプレグの複素粘度は約17560Pa・sだった)、これは、様々な実験的エポキシラミネートの調製の際に調査されるガラス織布を濡らすのに十分だった。それに続いて、140℃において20psiの圧力を印加し、圧力を、165℃まで20psiに維持した。165℃において圧力を再び50psiまで上げ、プレスが175℃に達すると100psiに上げた。175℃において100psiの圧力を印加し、最終的に、195℃において220psiの圧力を印加した。
【0152】
最後に、プレスを220psiにおいて恒温的に195℃に90分間維持した。ラミネートは良好な樹脂流動を示し、最終ラミネートの厚さは、ほぼ1.3mmだった(銅を含まず)。Atlas UL−94燃焼室を使用して、ASTM D3801−10規格に従って7秒の最長燃焼時間を示したことにより、ラミネートをV−0として格付けした(V−0は最も高い格付けである)。
【0153】
昇温速度3℃/分のシングルカンチレバーモードにおける動的機械分析(DMA)によって、多層ラミネートのガラス転移点(Tg)が192℃であることを特定した。5重量%減少時の複合材の熱分解温度は、窒素の不活性雰囲気下においての10℃/分の加熱速度における熱重量分析(TGA)によって測定した場合、416℃である。
【0154】
プレッシャークッカー試験(PCT)用の4つの試験片を、組成物Aを含有するエポキシラミネートから切り出し、121℃、15psiにおいてプレッシャークッカーに30分間入れた。試験片の吸湿は、およそ0.07〜0.14重量%であり、平均約0.1%であった。3つの試験片はブリスターを全く生じず、これらをIPC試験評価基準に従ってコンディション5として格付けした。1つの試験片はブリスターを生じ、コンディション1として格付けされた。
【0155】
〔実施例12:DOPO−HQ−誘導体によるラミネート調製〕
実施例8において合成した組成物Aについて、エポキシラミネート用途のための共硬化剤として使用することについて検討した。フェノール性ノボラックと一緒に組成物Aを使用して、多官能性エポキシ樹脂DEN 438およびEPON 164を硬化させた。全ての材料情報を表4に一覧する。MEK/ダウアノール(80/20)溶媒混合物を加えることによって、固体含有量を65〜66%に維持した。それらから、2.4%のリン含有量を有するワニス配合物を調製した。各組成物の含有量を表7に示す。
【0156】
表7:実施例12のワニス配合
【表7】
【0157】
ワニスは、ガラス充填ラミネートの性能を確認するためのサンプリング目的のために調製した材料から配合した。当該ワニスは、MEK/ダウアノール(80/20)溶媒混合物を使用して調製した。触媒レベルを調節することによってFRワニスのゲル化時間を特定した後、ワニス貯槽に通過させることによってガラス織布パネルを当該ワニスでコーティングし、次いで、所定のギャップのローラー間を通すことによって、過剰な材料を取り除いて、滑らかで均一なコーティングを得た。当該ワニスにおけるより高い固体含有量は、コーティングプロセスをより困難にした。コーティングされたパネルを吊るして、一晩空気乾燥させた。4枚の18インチ×30インチのパネルを乾燥させた後、8.5インチの四角形に切断し、その後、強制換気炉において165℃で「B」ステージ化させた。35μmの銅箔の2つのシートの間において、8層のプリプレグを使用してラミネートを作製した。次いで、スタックを加熱されたプレスに位置した。温度および圧力は、AR200exレオメーターから得られた粘度プロファイルに従って傾斜させた。195℃において200psiの最終圧力をラミネートに印加し、1時間15分保持した後、冷却した。銅クラッド層を除去した後、ラミネートのFRおよび熱特性を特定するために、試験試料を切り出した。UL94プロトコルに従って、6秒の燃焼時間を示したことにより、当該ラミネートをV−0に格付けした。当該ラミネートのTgは194℃であった。当該ラミネートは、1時間、1.5時間、および、2時間、においてプレッシャークッカー試験に合格した。全ての表面は、コンディション5に格付けされた。
【0158】
表8:表7に示された組成物Aによるプリプレグ物性およびラミネート物性
【表8】
*1:組成物A(36.8重量%)、DEN438(50.9重量%)、SD1708(12.4重量%)、および、触媒2−MI、からなる混合物を用いた。
【0159】
〔比較例2 ラミネートの調製〕
【0160】
表9:溶媒としてダウアノールを伴う最終エポキシワニスにおいて2.7%Pでの、比較例(合成)からのDOPO−HQ−ジアセテートの配合物。この生成物は、限られた溶解性のため、配合するのが困難であった。
【表9】
【0161】
表10:表9に示された配合物によるプリプレグおよびラミネートの特性
【表10】
図1
図2
図3
図4