特許第6841864号(P6841864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6841864漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841864
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/02 20060101AFI20210301BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20210301BHJP
【FI】
   G09B7/02
   G06Q50/20
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-94187(P2019-94187)
(22)【出願日】2019年5月18日
(65)【公開番号】特開2020-190581(P2020-190581A)
(43)【公開日】2020年11月26日
【審査請求日】2019年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】307049096
【氏名又は名称】直井 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】直井 明子
【審査官】 宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6335150(JP,B2)
【文献】 特開2014−056210(JP,A)
【文献】 特開昭63−128388(JP,A)
【文献】 特開平07−020772(JP,A)
【文献】 特開平05−333759(JP,A)
【文献】 特開2012−061065(JP,A)
【文献】 特開2017−105010(JP,A)
【文献】 おにくちゃん,"ゲームで学ぶ!無料のおすすめ四字熟語アプリ5選",アプリ場,日本,アプリ場,2019年 3月25日,全文,全図(p.1-10),[2020年7月1日検索](特に、「毎日10問!四字熟語トレーニング」,「そろえて!四字熟語クイズシリーズ」),URL,https://app-field.com/four-character-idiom-app
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00− 9/56
G09B 17/00−19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漢字熟語の構造を学習するためのコンピュータプログラムであって、
主語漢字配置枠、述語漢字配置枠、修飾語漢字配置枠及び目的語漢字配置枠の4の漢字配置枠を表示する機能、
前記4の漢字配置枠から選択される2の配置枠の組合せのうち修飾語漢字配置枠と目的語漢字配置枠の組合せを除く5の組合せについて、該組合せに係る2の漢字配置枠を結ぶ線分を表示する機能、
2の漢字からなる熟語の各々の漢字を含む2の漢字表示域を前記4の漢字配置枠のいずれとも相違する初期位置に初期状態で表示する機能、
各々の漢字熟語について、2の漢字の関係に基づいて定まる各々の前記漢字表示域の移動先の前記漢字配置枠の正解データを表示する機能、
前記初期状態から前記2の漢字表示域を前記正解データに基づく前記漢字配置枠に自動的に移動させる学習モードを表示する機能、
前記初期状態から前記2の漢字表示域をユーザの移動操作によって前記4の配置枠のいずれかに移動させる練習モードを表示する機能を、コンピュータに実現させるための漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
【請求項2】
1又は2以上の漢字熟語について前記学習モードによる表示の後に、前記1又は2以上の漢字熟語について前記練習モードによる表示する機能を、コンピュータに実現させるための、請求項1に記載の漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
【請求項3】
前記練習モードにおいて、前記移動操作によって移動される前記漢字表示域の移動先が前記正解データと一致するか否かを判定する判定する機能を、コンピュータに実現させるための、請求項1又は2に記載の漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
【請求項4】
前記判定する機能において前記正解データと相違すると判定した場合に、前記移動操作による移動を表示せず、前記漢字表示域を前記初期位置に表示する機能を、コンピュータに実現させるための、請求項3に記載の漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
【請求項5】
漢字熟語の構成を説明した説明文データを備え、
前記判定する機能において前記正解データと相違すると判定した場合に、前記説明文データを表示する機能を、コンピュータに実現させるための、請求項3又は4に記載の漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
【請求項6】
漢字熟語がレベル分けされ、予め指定したレベル、又はそれ以下のレベルの漢字熟語のみを表示する機能を、コンピュータに実現させるための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
【請求項7】
各々の漢字にレベルが与えられ、
前記レベル分けは、漢字熟語を構成する2の漢字のうちの予め定められたほうの漢字のレベルに基づいて行う機能を、コンピュータに実現させるための、請求項6に記載の漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
【請求項8】
前記4の配置枠が上下方向及び左右方向の対角線を有する菱形の頂点の位置に配置され、前記主語漢字配置枠が上方の頂点の位置に、前記述語漢字配置枠が下方の頂点の位置に、前記修飾語漢字配置枠及び前記目的語漢字配置枠が右方及び左方の頂点の位置に、それぞれ表示する機能を、コンピュータに実現させるための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の漢字熟語学習用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2漢字の熟語を学習するための漢字熟語学習用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、特許文献1に示す「漢字熟語学習用ノート及び漢字熟語学習用教材」の特許権者である。特許文献1には、以下の考え方に基づいてなされた発明が開示されている。熟語を構成する各々の漢字を単独の語であると考え、複数の語を並べた連語表現が熟語であると考える。現在の日本語において使用される熟語は、主として明治時代に、各々の漢字の意味に基づき日本国で造られた造語であるという事情がある。このため、各々の漢字を単独の語であるとして、語が連接するにあたり語(漢字)同士の関係(修飾被修飾等)によって決定される構造が存在する。2漢字熟語の構造は以下に分類される。(1)主語となる漢字(主語漢字)と述語となる漢字(述語漢字)からなる主述構造。(2)動詞となる漢字(述語漢字)と目的語又は補語となる漢字(目的語漢字)からなる補足構造。(3)修飾語(主に形容詞)となる漢字(修飾語漢字)と被修飾語となる漢字(主語漢字又は述語漢字)からなる修飾構造。 (4)否定や可否の認定を示す接頭辞的な漢字(修飾語漢字)と認定対象の語となる漢字(主語漢字又は述語漢字)からなる認定構造。(5)類義語又は対義語の2つの漢字(主語漢字又は述語漢字)からなる並列構造。この構造を理解することによって、熟語の意味を理解することが容易になる。この構造を視覚的に示すことで、構造の理解を助け、ひいては熟語の意味の理解を助けることができる。
【0003】
「漢字熟語学習用ノート及び漢字熟語学習用教材」は、2漢字の熟語を学習するために適しているが、印刷物でなくコンピュータプログラムとして実装することで、学習効果をさらに高めることができる。
【0004】
印刷物を用いる学習では、学習者が自ら記入することで学習効果を得ることができる。ここで、(1)学習者に記入させずに自動的に表示を変更する、(2)学習者による操作が正しいか誤りかを判断し、正誤に依存して表示を変動させる(例えば、正しい場合にのみ表示を変更し誤りの場合には変更しない、誤りの場合には正解に誘導する表示を行う)、ことで、学習効果をさらに高めることができる。これは、コンピュータプログラムとして実装することで可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6335150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高い効果で2漢字の熟語を学習するためのコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンピュータプログラムは、
漢字熟語の構造を学習するためのコンピュータプログラムであって、
主語漢字配置枠、述語漢字配置枠、修飾語漢字配置枠及び目的語漢字配置枠の4の漢字配置枠を表示し、
前記4の漢字配置枠から選択される2の配置枠の組合せのうち修飾語漢字配置枠と目的語漢字配置枠の組合せを除く5の組合せについて、該組合せに係る2の漢字配置枠を結ぶ線分を表示し、
2の漢字からなる熟語の各々の漢字を含む2の漢字表示域を前記4の漢字配置枠のいずれとも相違する初期位置に表示する初期状態を有し、
各々の漢字熟語について、2の漢字の関係に基づいて定まる各々の前記漢字表示域の移動先の前記漢字配置枠を表す正解データを備え、
前記初期状態から前記2の漢字表示域を前記正解データに基づく前記漢字配置枠に自動的に移動させて表示する学習モードと、
前記初期状態から前記2の漢字表示域をユーザの移動操作によって前記4の配置枠のいずれかに移動させて表示する練習モードとを有することを特徴とする。
【0008】
この特徴によれば、熟語の構成を受動的に学習する(視覚的情報によって理解を進める)学習モードと、熟語の構成を正しく理解しているかどうかを確認する(学習内容の復習及び/又は熟語理解のテストを行う)練習モードとを使い分けて、高い効率の学習を行うことができる。
【0009】
本発明のコンピュータプログラムは、
1又は2以上の漢字熟語について前記学習モードによる表示を行った後に、前記1又は2以上の漢字熟語について前記練習モードによる表示を行うことを特徴とする。
【0010】
この特徴によれば、学習モードによって熟語の構成を学習し、その後に練習モードによって学習内容を復習することができる。
【0011】
本発明のコンピュータプログラムは、
前記練習モードにおいて、前記移動操作によって移動される前記漢字表示域の移動先が前記正解データと一致するか否かを判定する判定手段を備えることを特徴とする。
【0012】
この特徴によれば、学習者が正しい移動を行ったか(正しく理解したか)をコンピュータプログラムが把握することができる。
【0013】
本発明のコンピュータプログラムは、
前記判定手段が前記正解データと相違すると判定した場合に、前記移動操作による移動を表示せず、前記漢字表示域を前記初期位置に表示することを特徴とする。
【0014】
この特徴によれば、学習者は、自らが間違えたことを理解することができる。
【0015】
本発明のコンピュータプログラムは、
漢字熟語の構成を説明した説明文データを備え、
前記判定手段が前記正解データと相違すると判定した場合に、前記説明文データを表示することを特徴とする。
【0016】
この特徴によれば、学習者が間違えた場合に、説明文データによって正しい理解に誘導することができる。ここで、説明文データは、漢文の書き下し文の形式とすると、学習者の理解が容易となる。
【0017】
本発明のコンピュータプログラムは、
漢字熟語がレベル分けされ、予め指定したレベル、又はそれ以下のレベルの漢字熟語のみを表示することを特徴とする。
【0018】
この特徴によれば、学習者の理解のレベルに合わせて漢字熟語を選定して学習することができる。
【0019】
本発明のコンピュータプログラムは、
各々の漢字にレベルが与えられ、
前記レベル分けは、漢字熟語を構成する2の漢字のうちの予め定められた ほうの漢字のレベルに基づいて行われたものであることを特徴とする。
【0020】
この特徴によれば、レベルが漢字によって分けられる。小学生の学習者の場合、漢字ごとに何年生で習うかが定められているが、学習対象の漢字を予め定めておき、その学習対象の漢字のレベルによって熟語のレベルを定めることができる。
【0021】
本発明のコンピュータプログラムは、
前記4の配置枠が上下方向及び左右方向の対角線を有する菱形の頂点の位置に配置され、前記主語漢字配置枠が上方の頂点の位置に、前記述語漢字配置枠が下方の頂点の位置に、前記修飾語漢字配置枠及び前記目的語漢字配置枠が右方及び左方の頂点の位置に、それぞれ表示されることを特徴とする。
【0022】
この特徴によれば、理解しやすい形で視覚的に示すことが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のコンピュータプログラムによれば、本発明の国語学習用カードを容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、コンピュータプログラムによる表示を説明する図である。
図2図2は、漢字配置枠の意味を示す図である。
図3図3は、初期状態を示す図である。
図4図4は、コンピュータプログラムの構成を示す図である。
図5図5は、熟語データ、正解データ及び正誤データを示す図である。
図6図6は、正解の場合のコンピュータプログラムによる表示の推移を説明する図である。
図7図7は、移動手段のバリエーションを示す図である。
図8図8は、誤りの場合のコンピュータプログラムによる表示の推移を説明する図である。
図9図9は、コンピュータプログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0026】
図1は、コンピュータプログラムによる表示を説明する図である。初期位置(第1漢字)1a、初期位置(第2漢字)1b、主語漢字配置枠2S、述語漢字配置枠2V、修飾語漢字配置枠2A、目的語漢字配置枠2O、線分3a、3b、3c、3d、3e、及び説明文データ4が、処理対象の漢字熟語がいずれであっても表示される。
【0027】
初期位置(第1漢字)1a及び初期位置(第2漢字)1bは、後述の漢字表示域5(5a、5b)を最初に表示する位置である。図には四角形で示してあるが、位置を表すものであり、必ずしも四角形を表示しなくともよい。
【0028】
主語漢字配置枠2S、述語漢字配置枠2V、修飾語漢字配置枠2A及び目的語漢字配置枠2Oは、それぞれ、主語、述語、修飾語及び目的語を配置する枠である。図2は、漢字配置枠の意味を示す図である。各々の漢字配置枠にどのような漢字が配置されるかを説明したものであり、印刷物として学習者に事前に提示される。
【0029】
ここで、4つの漢字配置枠は、上下方向及び左右方向の対角線を有する菱形の頂点の位置に配置され、主語漢字配置枠が上方の頂点の位置に、述語漢字配置枠が下方の頂点の位置に、修飾語漢字配置枠及び前記目的語漢字配置枠が右方及び左方の頂点の位置に、それぞれ表示されている。文章が主語から述語に向けて流れることに鑑み、漢字熟語を文章で表現する場合に、表示においても上から下に向けて文章が流れるようにしたものである。
【0030】
線分3a、3b、3c、3d、3eは、漢字配置枠を結ぶ線分である。図には破線で示してあるが、コンピュータプログラム6によって、漢字表示域5が配置された2つの漢字配置枠を結ぶ線分が実線矢印に替えられる。
【0031】
説明文データ4は、漢字熟語の内容を説明する文である。図には「〇〇〇〇」と示してあるが、漢字熟語によって変更される。説明文データ4は、コンピュータプログラム6によって、その表示/非表示が切替えられる。
【0032】
図3は、初期状態を示す図である。図は、漢字熟語「青空」を学習する場合のものである。漢字熟語が選択されると、漢字表示域(第1漢字)5aが初期位置(第1漢字)1aに、漢字表示域(第2漢字)5bが初期位置(第2漢字)1bに、それぞれ表示される。漢字表示域(第1漢字)5aは漢字熟語の第1漢字(ここでは「青」)を、漢字表示域(第2漢字)5bは漢字熟語の第2漢字(ここでは「空」)を、表している。
【0033】
以上、基本的な表示内容を説明した。以下、その表示を行い、さらに表示を変化させるコンピュータプログラムについて説明する。図4は、コンピュータプログラムの構成を示す図である。コンピュータプログラム6は、初期表示手段6a、移動手段6b、判定手段6c、 説明表示手段6d及び次問題選択手段6eを備えている。また、参照されるデータとして、熟語データ7及び正誤データ8が保持されている。
【0034】
図5は、熟語データ、正解データ及び正誤データを示す図である。熟語データ7及び正誤データ8は、漢字熟語毎に(正誤データ8はさらに学習者毎に)設けられている。熟語データ7は、レベル7a、第1漢字7b、第2漢字7c、第1漢字正解(正解データ)7d、第2漢字正解(正解データ)7e及び説明文7fを含む。第1漢字正解7d及び第2漢字正解7eが正解データを構成する。
【0035】
レベル7aは、各々の熟語のレベル(難易度)を表す。漢字熟語毎にその意味の難解性等に基づいて教育者がレベルを設定してもよい。また、漢字熟語に含まれる各々の漢字のレベルを定め(例えば小学校n年で習う漢字(1≦n≦6)のレベルをnとし)、漢字熟語のレベルを2つの漢字のうち予め定めた学習対象の漢字のレベルとしてもよい。こうすることで、学習対象の漢字に合わせた漢字熟語をコンピュータプログラムによる学習の対象とすることができる。
【0036】
第1漢字7b及び第2漢字7cは、漢字熟語の構成する2つの漢字の、第1字及び第2字である。
【0037】
第1漢字正解(正解データ)7d及び第2漢字正解(正解データ)7eは、第1漢字7b及び第2漢字7cが、4つの漢字配置枠のいずれに表示されるかを表したものである。
【0038】
説明文7fは、漢字熟語の内容を説明し、第1漢字7b及び第2漢字7cが、4つの漢字配置枠のいずれに表示されるかを示唆する(学習者が理解できるようにする)文章である。
【0039】
正誤データ8は、練習モードにおいて学習者が第1漢字7b及び第2漢字7cに対応する漢字表示域5a及び5bを正しく配置したか否かを表すものであり、判定手段6cによって作成・更新される。なお、正誤データ8は、漢字熟語の内容を示すものではなく、学習者の履歴であるので、熟語データ7とは別のファイルに保持してもよい。(複数の学習者に対応する場合には、学習者別のデータとなるので、別のファイルに保持することが一般的である。)
【0040】
初期表示手段6aは、第1漢字7b及び第2漢字7cから漢字表示域5a及び5bを構成し、初期位置(第1漢字)1a及び初期位置(第2漢字)1bに表示する。
【0041】
移動手段6bは、漢字表示域5a及び5bを、初期位置(第1漢字)1a及び初期位置(第2漢字)から、4つの漢字配置枠のいずれかに移動して表示する。
【0042】
判定手段6cは、移動手段6bによって移動された結果の漢字配置枠が、正解データ7d、7eと一致しているか否かを判定する。なお、学習モードにおいては、コンピュータプログラム6が移動先の漢字配置枠を定めるので、判定手段6cを用いない。
【0043】
説明表示手段6dは、説明文7fを表示する。
【0044】
次問題選択手段6eは、次に表示すべき漢字熟語を選択する。なお「次問題選択部」は、最初の問題をも選択する。
【0045】
以下、コンピュータプログラムによる表示の変化について説明する。
【0046】
図6は、正解の場合のコンピュータプログラムによる表示の推移を説明する図である。図6(A)に示す初期表示から、漢字表示域(第1漢字)5a及び漢字表示域(第2漢字)5bを、正解データ7d及び7eの通りに移動させた場合の表示である。漢字表示域(第1漢字)5aを移動させると図6(B)の表示となり、漢字表示域(第2漢字)bを移動させると図6(C)の表示となり、その後、図6(D)に示すように、漢字表示域5が配置された2つの漢字配置枠を結ぶ線分が実線矢印に替えられる。ここで、矢印は、必ずしも漢字表示域(第1漢字)から漢字表示域(第2漢字)に向かうものである必要はなく、教育目的に依存して向きを調整してよい。なお、学習者の正解と対応させて、説明文データ4を追加表示してもよい。
【0047】
学習モードにおいては、学習者による入力がなく、図6(A)〜(D)の表示の変化が、コンピュータプログラム6によって自動的に行われる。ここで、図6(A)〜(D)の表示の変化を行うタイミングについては、教育目的に応じて設計することができる。以上の表示の変化は、移動手段6bによって行われる。
【0048】
練習モードにおいては、自動的な移動を行わず、移動手段6bが学習者の操作に基づいて漢字表示域を移動させる。例えば、漢字表示域5a又は5bをクリックし、その後に移動先の漢字配置枠をクリックすることで、クリックされた漢字表示域をクリックされた漢字配置枠に移動させる。
【0049】
なお、練習モードにおいて、移動手段6bは、必ずしも学習者の操作に基づいて漢字表示域を移動させなくともよい。後述のように、移動先の漢字表示域が誤りである場合には、漢字表示域を移動せずに初期位置に残してもよい。
【0050】
図7は、移動手段のバリエーションを示す図である。漢字表示域5a(5bについても同様)を初期位置から漢字配置枠に移動させる際、初期位置の表示を消去して漢字配置枠域に新たに表示することができるが、図に示すようにドラッグアンドドロップ操作によるものとし、ドラッグ位置に追随して漢字表示域5aを移動表示してもよい。
【0051】
また、教育目的に対応して、説明表示手段6dによる説明文データ4の表示を適宜行ってもよい。例えば、図6(A)、図6(B)、図6(D)の表示に際して説明文データ4の表示を追加することが考えられる。
【0052】
図8は、誤りの場合のコンピュータプログラムによる表示の推移を説明する図である。図8(A)の初期状態から、練習モードにおいて、学習者が漢字配置枠2Aに移動させることが正解の漢字表示域5aを漢字配置枠2V(2O、2Sも同様)に移動させる(図8(B)参照)操作を行ってしまったとする。
【0053】
移動手段6bは、漢字表示域5aを漢字配置枠2Vに移動させた表示をしてもよいが、図8(C)に示すように初期位置に表示してもよい。その際、説明表示手段6dによる説明文データ4の表示を行う。
【0054】
図8(C)を図8(A)と比較すると、説明文データ4が追加表示され、他は同一である。学習者は、初期状態からの操作を再び行って学習しなおすことができる。その際、説明文データ4を参考にできるので、正解を導きやすくなる。
【0055】
図9は、コンピュータプログラムのフローチャートである。図6及び図8に示した表示の変化のうち、練習モードのものを実現するものである。なお、学習モードについては、判断による分岐のない処理であり、表示を順番に行えばよい。また、図において「第1漢字」及び「第2漢字」と略記してあるが、「漢字表示域(第1漢字)」5a及び「漢字表示域(第2漢字)」5bである。
【0056】
次問題選択手段6eが問題を選択すること、又は先生によって問題が指定されること、(いずれも、熟語データから1つの漢字熟語(図5における1行)を選ぶ)によって、処理が開始される。
【0057】
初期表示手段6aが、第1漢字7b及び第2漢字7cから各々の漢字を含む漢字表示域5a及び5bを構成し、初期位置(第1漢字)1a及び初期位置(第2漢字)1bに表示する。図6(A)及び図8(A)に示す表示となる。
【0058】
学習者が漢字表示域(第1漢字)5aの移動処理を行うと、移動先の漢字配置枠が第1漢字正解7dと一致するか否かが、判定手段6cによって判定される。
【0059】
第1漢字正解7dと一致する場合には、移動手段6bが漢字表示域(第1漢字)5aを、移動先の漢字配置枠に表示する。図6(B)に示す状態となる。その後、学習者が漢字表示域(第2漢字)5bの移動処理を行う。
【0060】
第1漢字正解7dと一致しない場合(学習者の移動操作が図8(B)に示す状態とするものである場合)には、判定手段6cが正解データ8を「誤」とし、説明表示手段6dが説明文7fを表示し、移動手段6bが漢字表示域(第1漢字)5aを初期位置に表示し、学習者が再び漢字表示域(第1漢字)を移動するようにする。図8(C)に示す状態となる。
【0061】
漢字表示域(第2漢字)5bについても、漢字表示域(第1漢字)5aと同様に処理される。
【0062】
ここで、漢字表示域(第1漢字)5a、漢字表示域(第2漢字)5bの双方が正解の場合は、判定手段6cが正解データ8を「正」とし、移動手段6bが漢字表示域(第2漢字)5bを、移動先の漢字配置枠に表示する。図6(C)に示す状態となる。そして、漢字表示域(第1漢字)5aが配置された漢字配置枠と漢字表示域(第2漢字)5bが配置された漢字配置枠とを結ぶ線分を、破線から実線の矢印に替える。図6(D)に示す状態となる。なお、実線の矢印は、漢字熟語の意味を視覚化し、かつ、正解であったことを伝えるものである。具体的な形態は実線の矢印でなくともよい。
【0063】
ここで、矢印の向きは、第1漢字から第2漢字に向かうことが多いが、漢字熟語の意味によって第2漢字から第1漢字に向かうこともある。例えば、漢字熟語「読書」については「書を読む」という意味なので、第2漢字(書)から第1漢字(読)に向かう。説明文7fにおいて2つの漢字が現われる順番によって矢印の向きを決定することができる。
【0064】
以上詳細に説明したように、コンピュータプログラムを用いることで、印刷物を用いる学習よりも高い学習効果を得ることができる。例えば、学習者に操作させずに自動的に表示を変更する学習モードによって、先生の説明がなくても学習を行うことが容易になる。
【0065】
また、練習モードにおいては、学習者による操作が正しいか誤りかを判断し、正しい場合にのみ表示を変更し(図6(B)(C))、誤りの場合には変更しない(図8(B))ことで、先生の指摘がなくても学習を行うことが容易になる。さらに、誤りの場合に説明文7fを表示することで、先生が同席しなくても誤りを正解に導くことができる。
【0066】
以上、1つの漢字熟語の学習について、コンピュータプログラムによって高い学習効果を得ることができることを述べた。以下、いずれの漢字熟語を学習するかについて説明する。
【0067】
次問題選択手段6eが、学習する漢字熟語を選択する。例えば、数個の漢字熟語を選択して学習モードで動作し、その後に同じ数個の漢字熟語を選択して練習モードで動作することで、学習者は、学習した漢字熟語の復習を練習モードで行うことができる。また、学習モードで動作せず、あるいは学習モードで動作した時と相違する漢字熟語を選択して練習モードで動作することで、練習モードでは漢字熟語の理解力を試験することができる。
【0068】
第1漢字正解(正解データ)7dと第2漢字正解(正解データ)7eとが共に同一である漢字熟語同士は、熟語の文法的構造が同一である。熟語の文法的構造が同一の漢字熟語のみを選択してその文法的構造について学習者が習熟するようにすることができる。また、熟語の文法的構造が相違する漢字熟語を選択して学習者に各種の文法的構造を学ばせることもできる。
【0069】
また、正誤データ8は、学習者が各々の漢字熟語を学んだか否かを示すので、「正」の漢字熟語を選択するか「誤」の漢字熟語を選択するかによって学習者の得意/不得意に合わせたものとすることができる。
【0070】
このため、1台のコンピュータが複数の学習者に用いられる場合には、学習者毎に正誤データ8を保持する。
【0071】
漢字熟語は、その難易差があり、難しいもののレベル7aが高い(数値が大きい)ようにすることができる。レベル7aが低いものから高いものの順に漢字熟語を選択して、学習の進捗に合わせることができる。
【0072】
小学生(特に低学年の生徒)が学習者である場合には、漢字熟語の意味的、構造的な難易でなく、各々の漢字が既習であるか否かによってレベル7aを定めることも必要である。未習漢字を含む漢字熟語を学習することはない。このため、各々の漢字にレベルを与え、漢字熟語のレベル7aを2の漢字のうちのレベルの高いほうの漢字のレベルとすることができる。例えば、漢字に与えるレベルを習う学年として、既習の漢字のみからなる漢字熟語を選定して学習することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のコンピュータプログラムは、「漢字熟語学習用ノート及び漢字熟語学習用教材」(特許文献1)に基づき、高い学習効果をもたらす。多くの教育機関や個人における利用が考えられる。
【符号の説明】
【0074】
1a 初期位置(第1漢字)
1b 初期位置(第2漢字)
2S 主語漢字配置枠
2V 述語漢字配置枠
2A 修飾語漢字配置枠
2O 目的語漢字配置枠
3a 線分
3b 線分
3c 線分
3d 線分
3e 線分
4 説明文データ
5a 漢字表示域(第1漢字)
5b 漢字表示域(第2漢字)
6 コンピュータプログラム
6a 初期表示手段
6b 移動手段
6c 判定手段
6d 説明表示手段
6e 次問題選択手段
7 熟語データ
7a レベル
7b 第1漢字
7c 第2漢字
7d 第1漢字正解(正解データ)
7e 第2漢字正解(正解データ)
7f 説明文
8 正誤データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9