特許第6841870号(P6841870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6841870
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】公平性を強化したフレーム構造
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/02 20090101AFI20210301BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20210301BHJP
【FI】
   H04W74/02
   H04W72/04 131
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-135158(P2019-135158)
(22)【出願日】2019年7月23日
(62)【分割の表示】特願2018-116792(P2018-116792)の分割
【原出願日】2014年5月28日
(65)【公開番号】特開2019-201420(P2019-201420A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2019年7月23日
(31)【優先権主張番号】13305861.0
(32)【優先日】2013年6月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル・ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】フォンセカ ドス サントス,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ニザムディン,フセイン
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/120275(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/101394(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/046016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理リソース・ブロックを含むフレーム構造(40)におけるランダム・アクセス・ベースの送信のためにユーザ機器において実行される方法であって、前記方法は、
− 前記ユーザ機器において不利な送信条件を決定するステップと、
− 不利な送信条件が前記ユーザ機器によって決定されない場合に、前記フレーム構造内の物理リソース・ブロックの第1のセットで送信するステップと、
− 不利な送信条件が前記ユーザ機器によって決定される場合に、前記フレーム構造内の物理リソース・ブロックの第2のセットで送信するステップと
を含み、
物理リソース・ブロックの前記第2のセットの持続時間が物理リソース・ブロックの前記第1のセットの持続時間よりも長い、方法。
【請求項2】
基地局から受信した信号の受信電力レベルがしきい値を下回る場合、不利な送信条件が決定される、請求項1に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項3】
いくつかの成功しない送信の試みが行われた場合、不利な送信条件が決定される、請求項1に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項4】
不利な送信条件を決定するためのパラメータが前記基地局によってブロードキャストされる、請求項に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項5】
リソース・ブロックの前記第2のセットのパケットエラー率は、リソース・ブロックの前記第1のセットのパケットエラー率よりも低い、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項6】
マルチ・キャリア送信システムが前記基地局によって使用される、請求項2または4に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項7】
ランダム・アクセス・ベースの送信のためのプロトコルが使用され、少なくとも1つの第1のタイム・スロットは、物理リソース・ブロックの前記第1のセットにおいて、不利ではないユーザ機器デバイスの送信のために提供され、少なくとも1つの第2のタイム・スロットは、物理リソース・ブロックの前記第2のセットにおいて、不利であるユーザ機器デバイスの送信のために提供される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項8】
− 不利な送信条件を決定するための送信条件制御装置と、
− 不利な送信条件が決定される場合に、物理リソース・ブロックを含むフレーム構造(40)の物理リソース・ブロックの第1のセットでデータを送信することを決定する決定手段と、
− 物理リソース・ブロックの第2のセットでランダム・アクセス・ベースの送信を行う送信機と
を備え、物理リソース・ブロックの前記第2のセットの持続時間が物理リソース・ブロックの前記第1のセットの持続時間よりも長い、ランダム・アクセス・ベースの送信のためのユーザ機器。
【請求項9】
前記第1および第2のタイム・スロットは、データのランダム・アクセス・ベースの送信のために規定され、アップリンク制御フレーム(42)、レギュラー・フレーム(44)、または予約フレーム(46)として使用される、請求項7に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項10】
リソース・ブロックの前記第2のセットは、不利なユーザ機器のために予約される、請求項1に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項11】
不利な送信条件は、サービング・セルの前記受信電力レベルおよび/または隣接セルの前記受信電力レベルの推定に基づいて決定される、請求項2に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項12】
リソース・ブロックの前記第2のセットは、物理リソース・ブロックの前記第1のセットよりも長い持続時間を有する、請求項1に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【請求項13】
リソース・ブロックの前記第2のセットの持続時間が物理リソース・ブロックの前記第1のセットの持続時間の2倍である、請求項1に記載のランダム・アクセス・ベースの送信のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラー・ネットワークにおけるユーザ機器デバイスと基地局との間の通信に関する。
【背景技術】
【0002】
本節は、本発明のよりよい理解を促す助けとなり得る態様を導入するものである。したがって、本節において述べることは、この観点から読まれるべきであり、また何が先行技術にあるかについて認めるものと理解されるべきではない。
【0003】
機能強化された4Gワイヤレス・システムにおいて、またとりわけ将来の5Gワイヤレス・システムにおいては、多数のデバイスが、例えば、ユーザ機器デバイス(UE:user equipment devices)が、基地局の、例えば、eノードB(eNodeB)のカバレッジ・エリアの中に存在するであろう。パラダイム「モノのインターネット(Internet of Things)」によって知られているシナリオでは、ユーザ当たりに10倍から100倍のマシン/センサが、2020年までに展開されることになることが予測される。そのようなマシンのいくつかの用途では、全国的なカバレッジ、およびインターネットに対する容易なアクセスが必要になる。その観点から、3GPPは、例えば、マシン送信モードをサポートするためのLTEの拡張に取り組み始めている。
【0004】
モノのインターネットにおいては、たくさんの小型マシン型の通信デバイスが存在しており、また散発的にネットワークに対するアクセスを要求する。これらのユーザ機器デバイスは、エネルギー効率の良い、また公平なやり方でネットワークに接続される必要がある。
【0005】
スロット付きアロハ(slotted Aloha)は、競合ベースのアクセスのための従来の技術である。現代の受信機の能力は、いわゆる、マルチ・パケット受信(MPR:multi packet reception)を可能にする。MPR受信機は、干渉除去受信機や線形MMSE受信機のように、マルチユーザ検出技法によって正しく、複数のユーザのパケットを受信することができる。そのようなマルチ・アンテナおよび/またはマルチ・コード・システムは、例えば、直接シーケンスの符号分割多元接続(DS−CDMA:direct−sequence code division multiple access)信号フォーマットを使用する。
【0006】
MPRを伴うスロット付きアロハは、例えば、DS−CDMAを用いたマシン型通信についての見込みのあるアプローチであるが、ユーザ機器デバイスのサブセットについてのスループットと、エネルギー効率との公平性の観点からは短所が存在する。
【0007】
ユーザ機器デバイスが特定のセル・エリア(例えば、マクロ・セルまたはマイクロ・セル)の上に分散される場合のシナリオにおいては、受信信号電力のダイナミック・レンジの増大が、遠近効果(near−far−effect)に起因して発生している。
【0008】
シミュレーションにおいては、ユーザ機器デバイスの一定の割合、例えば、20%が、非常に多数の再送信を有しており、また受信成功のための大きい遅延を有することが観察される。これらのユーザ機器デバイスがシステムへの公平なアクセスを獲得するには難題がある。モノのインターネットのパラダイムの下では、これらのユーザ機器デバイスは、移動体ではなく、経時的によりよい送信条件を有するロケーションには位置しない。
【0009】
多数の再送信には、これらのデバイスの大きいバッテリ電力が費やされ、また不十分なスループットがもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記で述べられた問題についての問題解決手法を提供すること、および上記で説明されたシナリオにおいてスループットを向上させ、またバッテリ電力を節約することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ワイヤレス通信システムにおいて、ユーザ機器デバイスから基地局へとデータを送信するための方法に関する。データ送信は、少なくとも1つのレギュラー・フレームと、少なくとも1つの予約フレームとを含むフレーム構造において行われる。ユーザ機器デバイスにおいては、不利な送信条件は、基地局とユーザ機器デバイスとの間の送信リンクをチェックすることにより決定される。特定のユーザ機器デバイスが、基地局に対してデータを送信する困難を有しており、例えば、他のユーザ機器デバイスよりも高いビット・エラー・レート、または高いパケット損失を有する場合に、不利な送信条件が存在している。不利な送信条件が決定されない場合に、ユーザ機器デバイスは、レギュラー・フレームでデータを送信する。そのような不利な送信条件が決定される場合、ユーザ機器デバイスは、予約フレームでデータを送信する。予約フレームは、データを成功裏に送信する可能性を高める、そのような不利なデバイスに専用の特定の送信フレームである。このようにして、例えば、セルにおけるデバイスの物理ロケーションのために、より悪い送信条件を有する不利なデバイスが、全体のシステムに寄与できるようにシステムによって優先される。これは、セルの中のほとんどすべてのデバイスが、データを送信することができ、また使用され、またデバイスが、それらの送信条件が、他のデバイスの送信条件よりも悪いので、無視されないという利点を有する。基地局に対して、ある距離を有するデバイス、またはそれから低電力信号だけが基地局において受信されるデバイスだけが、予約フレーム時間中に送信している。それゆえに、実際的な干渉除去受信機からの残りの干渉は、比較的より小さいものである。実際的な受信機出力性能は、チャネル推定の影響に依存する。現実的なチャネル推定を用いて、干渉除去は、残りの信号の中に残りのエラーを残す。そのときには、不利なユーザ機器デバイスが、パケット・エラー・レート性能の観点から、特に影響を受けるので、これらのエラーは、異なるユーザ機器デバイスのダイナミック・レンジが大きいときに重要である。
【0012】
一実施形態においては、不利な送信条件は、基地局から受信される信号が、しきい値より低い場合に、決定される。それゆえに、基地局と、ユーザ機器デバイスとの間の送信条件は、直接にテストされ、また接続品質は、このようにして推定される。基地局は、前もって、ユーザ機器デバイスに知られているテスト信号を、例えば、パイロット・シンボル、基準シンボル、またはトレーニング・シンボルを送信する。ユーザ機器デバイスは、次いで、この信号を受信すること、および評価することにより、例えば、サービング・セルの受信電力レベルを推定することにより、それがしきい値より下にあるかどうかを決定する。さらに、また隣接セルの受信電力レベルは、推定される可能性もあり、また相対的な電力レベルの差が、性能メトリックとして使用されることもある。万一、受信された信号の電力レベルが、しきい値未満である場合、ユーザ機器デバイスは、それ自体を不利なデバイスとして規定する。このようにして、本方法を実現するためのシステム・オーバーヘッドは、基地局と、ユーザ機器デバイスとの間の追加の信号交換が、ユーザ機器デバイスがそれが不利なデバイスであることを決定することを可能にするために必要とされないので、低く保持される。
【0013】
一実施形態においては、いくつかの成功しない送信の試みが所定の時間内に行われている場合には、不利な送信条件が決定される。ユーザ機器デバイスは、成功しない試みについての、例えば、自動反復要求(ARQ:automated repeat request)再送信について、ある数をカウントすることにより、データを送信することが、困難であることを決定し、また次いで、それ自体を不利なデバイスとして規定する。
【0014】
一実施形態においては、ユーザ機器デバイスが、それが不利なデバイスであることを決定している場合、ユーザ機器デバイスは、予約フレームに対するアクセスを要求する。一実施形態においては、これは、アップリンク制御チャネル上で要求を経由して行われる。そのような要求は、追加の情報を、例えば、成功しない試みの数、基地局から受信されるテスト信号の信号強度、送信されるべきデータの重要性、ユーザ機器デバイスの残りのエネルギー・レベルを含むことができる。これは、複数のユーザ機器デバイスが、そのような要求を送信する場合に、基地局が、ユーザ機器デバイスから受信される追加の情報に従って、要求に優先順位を付けることができるという利点を有する。
【0015】
一実施形態においては、不利な送信条件を決定するためのパラメータが、基地局によってブロードキャストされる。そのようなパラメータは、ユーザ機器デバイスが、それがそれ自体を不利なデバイスとして決定するまで、ある時間内に、成功しないようにネットワークを試みようと試みることができる回数とすることができる。さらに、そのようなパラメータは、ユーザ機器デバイスが、不利なデバイスであることを決定する、基地局から受信されるテスト信号の信号強度とすることができる。システムをセットアップするときに、または定期的に、そのようなパラメータをブロードキャストすることにより、ユーザ機器デバイスは、それら自体、それらが、不利なデバイスであり、また予約フレームのユーザとしての候補であるかどうかについての専用の決定を行うための十分な情報を有する。
【0016】
一実施形態においては、予約フレームは、他のフレームよりも低いパケット・エラー・レートを有するフレームである。一実施形態においては、より低いパケット・エラー・レートは、予約フレームが、他のフレームよりも長い点において達成される。より長いフレーム持続時間の問題解決手法は、不利なデバイスの電力をブーストすることに類似している。それにもかかわらず、非常に安価なデバイスの電力範囲は、非常に限られており、またそれに加えて、バッテリ寿命は、非常にクリティカルである。それゆえに、フレーム持続時間を向上させることは、電力制御問題解決手法に比べて有利である。さらに、これは、予約フレーム期間中に受信信号電力レベルの低減されたダイナミック・レンジという利点を有する。符号分割多元接続(CDMA)が使用される一実施形態においては、より長いフレーム持続時間は、より高い拡散ファクタに対応しており、この拡散ファクタは、ユーザの拡散利得を増大させ、またこのようにしてパケット・エラー・レートを低減させる。
【0017】
一実施形態においては、マルチ・キャリア送信システムが、使用される。マルチ・キャリア送信システムは、時間および周波数の空間において差別化を提供しており、また送信は、サブキャリアと、サブキャリアのグループとを、すなわち物理リソース・ブロックを用いて実現される。それゆえに、不利なユーザのためにそのような物理リソース・ブロックを予約することにより、1組のサブキャリアが、そのようなユーザに専用とされ、また無線リソースの残りは、他のユーザによって使用される。マルチ・キャリア送信システムは、OFDM、マルチ・キャリアCDMA、フィルタ・バンク・ベースのマルチ・キャリア(FBMC:filter bank based multi−carrier)、IOTA−OFDM、あるいはCDMAまたは追加の拡散を伴う任意の種類のマルチ・キャリア変調信号フォーマットとすることができる。この文脈においては、フレームという用語は、時間、周波数、および符号の次元における多元接続リソースの実現として理解されるべきである。
【0018】
一実施形態においては、ランダム・アクセス・ベースの送信が、使用される。フレーム構造が、スロット付きアロハ・プロトコルを経由して、データを送信するために提供される。レギュラー・フレームを含む少なくとも1つの第1のタイム・スロットが、不利でないユーザ機器デバイスのデータの送信のために提供される。さらに、予約フレームを含む少なくとも1つの第2のタイム・スロットが、不利であるユーザ機器デバイスのデータの送信のために提供される。
【0019】
本発明の一態様によれば、ワイヤレス送信システムにおいて基地局によってデータを受信するための方法が、提案される。ユーザ機器デバイスが起源であるデータ・ストリームが、基地局において受信される。データ・ストリームは、複数のフレームを含んでおり、例えば、マルチ・キャリア送信システムにおいて、データ・ストリームは、物理リソース・ブロックの形式のサブキャリアの組を含んでいる。フレーム構造は、少なくとも1つのレギュラー・フレームと、少なくとも1つの予約フレームとを含む。一ステップにおいては、受信されたデータ・ストリームが、不利な送信条件を有するデバイスを起源とする予約フレームの中にデータを含んでいるかどうかが、決定される。受信されたデータ・ストリームが、予約フレームの中にデータを含む場合、予約フレームの中のデータは、処理される。予約フレームで受信されるデータの処理は、他の任意のデータを処理することに似ていることもあり、あるいは、例えば、予約フレームが、別のフレーム持続時間を有しており、または予約フレームの中のエラー符号化が、異なっている可能性があるなどの理由のために、特定の制約条件が存在することもある。
【0020】
一実施形態においては、データを受信するための方法は、さらに、予約フレームにアクセスすることを許すことを求めるユーザ機器デバイスによる要求を受信する。それに応じて、予約フレームの使用/アクセスを許すことが、条件が満たされ、また対応する情報が提示される場合に許可される。予約フレームに対するアクセスを許可するための条件は、万一ユーザ機器デバイスが、実際に不利なデバイスである場合に満たされる。基地局が、ユーザ機器デバイスが不利なデバイスであることを仮定する場合における条件は、例えば、成功しない試みの数、基地局から受信されるテスト信号の信号強度、送信されるべきデータの重要性、またはユーザ機器デバイスの残りのエネルギー・レベルなどである。ユーザ機器デバイスは、与えられたパラメータと、これらの条件についてのそれらのそれぞれの値を比較し、またそれら自体で、それらが、不利なデバイスであるかどうかを決定する。一実施形態においては、対応するパラメータは、セルを開始するときに、または定期的に基地局によってブロードキャストされる。
【0021】
本発明の一態様によれば、上記の説明された方法による、データを送信するためのデバイスが、提案される。本デバイスは、不利な送信条件を決定するための送信条件制御装置を備えている。さらに、本デバイスは、不利な送信条件が決定される場合に、少なくとも1つのレギュラー・フレームと、少なくとも1つの予約フレームとを含むフレーム構造の予約フレームでデータを送信することを決定するための決定手段を備えている。さらに、本デバイスは、予約フレームでデータを送信するための送信機を備えている。
【0022】
本発明の一態様によれば、上記で説明された方法を実行するための基地局が、提案される。基地局は、データ・ストリームを受信するための少なくとも受信機を備えている。さらに、基地局は、受信されたデータ・ストリームが、少なくとも1つのレギュラー・フレームと、少なくとも1つの予約フレームとを含むフレーム構造の予約フレームでデータを含むかどうかを決定するためのデータ制御装置を備えている。さらに、本デバイスは、予約フレームで受信されるデータを処理するためのプロセッサを備えている。
【0023】
本発明の実施形態による装置および方法のいくつかの実施形態が、次に、例だけとして、また添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】マシン型通信のシナリオを示す図である。
図2】例示のマシン型のシナリオにおける受信成功のための遅延を示す図である。
図3】例示のマシン型のシナリオにおける受信成功のための再送信の試みの数を示す図である。
図4】予約フレームを含む、本発明によるフレーム構造を示す図である。
図5】本発明の方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
説明および図面は、単に、本発明の原理を例証しているにすぎない。それゆえに、当業者なら、本明細書において明示的に説明されても、または示されてもいないが、本発明の原理を実施し、またその精神および範囲の内部に含まれる様々な構成を工夫することができるようになることが、理解されるであろう。さらに、本明細書において列挙されるすべての例は、主として、本発明の原理と、当技術分野を推進するように本発明者等によって寄与される概念とを理解する際に、読者を助ける教育上の目的のためにすぎないことを明示的に意図しており、またそのような具体的に列挙された例および条件だけに限定することのないように解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの特定の例を列挙する本明細書において述べることはすべて、その同等形態を包含することを意図している。
【0026】
図1は、第1のデバイス、例えば、4Gワイヤレス・システム、または5Gワイヤレス・システムにおける基地局10と、関連するユーザ機器デバイス12、14、例えば、センサ・デバイスなどとを備えている、好ましい一実施形態によるマシン型通信のシナリオを示すものである。ユーザ機器デバイス12、14という用語は、センサ・ネットワークにおけるセンサ・デバイスと、人間の相互作用を伴って、または人間の相互作用を伴わずに、データを送信し、また受信する可能性のある、モバイル電話のような他の知られているユーザ機器デバイスと、データを送信し、また受信することができる他の固定されたインストール済みの、またはモバイルの通信デバイスとを対象として含むように理解されるべきである。ユーザ機器デバイス12、14と、基地局10とは、これらのデバイスの通信範囲の内部に位置しており、また通信は、送信チャネル16を経由して実行され、この送信チャネルは、例えば、ワイヤレス送信チャネルである。マルチ・キャリア・システムは、例えば、送信時間間隔と、周波数リソースとの形のリソース割り付けを有するOFDMシステム、SC−FDMAシステム、またはFBMCシステムは、基地局10と、ユーザ機器デバイス12、14との間の通信のために、使用される。
【0027】
デバイスが、特定のセル・エリア(例えば、マクロ・セルまたはマイクロ・セル)の上に分散される場合のシナリオにおいては、受信信号電力のより大きいダイナミック・レンジが、遠近効果に起因して発生している。基地局10のセル・カバレッジ内のいくつかのユーザ機器デバイスは、不利なユーザ機器デバイス14として考えられる。不利なユーザ機器デバイス14と、基地局10との間の直接ワイヤレス接続をブロックする障害物18のために、または不利なユーザ機器デバイス14が、ワイヤレス・セルのエッジにおける基地局から比較的遠く離れているので、これらのユーザ機器デバイス14は、多数の再送信の必要なしに、データを送信する際に困難を有する。
【0028】
図2は、例示のシナリオについてのシミュレーションを開示しており、不利なユーザ機器デバイス14の一定の割合、例えば、20%が、多数の再送信を有することを示している。これは、受信成功のための大きい遅延をもたらし、これは、図3において開示される。これらの不利なユーザ機器デバイス14は、システムへの公平なアクセスを獲得するための困難を有する。その理由は、例えば、実際のチャネル推定を用いた、実際のマルチ・パケット受信の非理想的な干渉除去からの残りの干渉である。受信機が、逐次的干渉除去(SIC:successive interference cancellation)を使用する場合、残りの信号の中のエラーが、重ね合わされた受信信号からの強い受信信号を用いて、デバイスから除去するときに、発生する。これは、チャネル知識における不正確さに起因している。SICにおいては、最も弱いデバイスが、最後に検出される。以前に除去されたデバイスからの蓄積されたエラーは、パケットが、正しく復号されない確率を増大させる。
【0029】
図4は、フレーム構造を、すなわち、ワイヤレス通信リンク16を経由した基地局10と、ユーザ機器デバイス12、14との間の通信のためのスーパーフレーム40を開示するものである。フレーム構造40は、アップリンク制御フレーム42と、レギュラー・フレーム44と、不利なユーザ機器デバイス14に専用の予約フレーム46とを含んでおり、この不利なユーザ機器デバイス14は、セルの中のそれらの地理的ロケーションに従って、または他の任意の理由のために、基地局10と通信する困難を有する。これらの困難は、送信が、成功裏に完了されることになる前に、これらのユーザ機器デバイス14についての高いビット・エラー・レート、および/または多数の再送信の形で現れることができる。不利なユーザ機器デバイス14だけが、アクセスすることが許され、あるいは予約フレーム46にアクセスする際に少なくとも優先される。一実施形態においては、複数の予約フレーム46もまた、スーパーフレーム40において提供されることもある。図4において開示されるスーパーフレーム40は、例えば、スロット付きアロハCDMAシステムにおいて使用される。タイム・スロットは、データのランダム・アクセス・ベースの送信のために規定され、またアップリンク制御フレーム42、レギュラー・フレーム44、または予約フレーム46として使用される。一実施形態においては、予約フレーム46は、他のフレームよりも長い持続時間を、例えば、図4に示されるように、レギュラー・フレームの2倍の持続時間を有する。
【0030】
図5は、不利なユーザ機器デバイス14のために、予約フレーム46を使用して、システムでデータを送信するための方法を示すものである。ステップ50において、ユーザ機器デバイス12、14は、通信が、実行されるべきときに、レギュラー・フレーム44のタイム・スロットの内部で、そのデータと、IDとを基地局10に対して送信する。ステップ51においては、ユーザ機器デバイスは、肯定応答(ACK)が、基地局10から受信されるかどうかをチェックする。ACKが、受信される場合に、送信は、完了され、また本方法は、ステップ52において終了する。ACKが、受信されない場合に、ユーザ機器デバイス12、14は、どれだけ多くの試みが、それまでに行われて、データを送信しているかをチェックし、また試みの数が、所定の数よりも低い場合、ユーザ機器デバイス12、14は、1だけ成功していない試みの数を増大させ、またステップ50へと戻って、この場合にもデータと、IDとを送信する。再送信は、以前の試みの後に、所定の時間に、またはランダムに規定された時間に起こる可能性がある。送信の試みの数が、所定の数を超過する場合、ユーザ機器デバイス14は、不利なユーザ機器デバイス14になることを決定する。次いで、ステップ53において、予約フレーム46の中の送信のための要求が、アップリンク制御フレーム42を経由して、基地局に対して送信される。一実施形態においては、アップリンク制御フレーム42が、その上で送信されるアップリンク制御チャネルは、不利なユーザ機器デバイス14からの効率的な通信を可能にするために拡張された持続時間を有する。次いで、基地局10は、要求について決定し、またユーザ機器デバイス14は、予約フレーム46でデータを送信するために、基地局10からの肯定応答をステップ54において受信する。一実施形態においては、肯定応答は、不利なユーザ機器デバイス14のためのオプションの余分な構成を用いて送信される。ダウンリンク制御チャネルが、ここで使用されることもある。ステップ55において、ユーザの不利なユーザ機器デバイス14は、予約フレーム46でそのデータを送信する。
【0031】
一実施形態においては、予約フレーム46において送信を要求するステップ53と、予約フレーム46において送信のための肯定応答を受信するためのステップ54とは、省略される。その代わりに、その送信の試みが、所定の数を超過する不利なユーザ機器デバイス14は、基地局に対する特別なアップリンク要求なしに、予約フレーム46にアクセスする。その代わりに、それは、予約フレーム46の通信に関する情報を繰り返して受信しており、またはこの情報を記憶している。制御情報は、それだけには限定されないが、マシンが予約フレーム46にアクセスすることができるまでの所定の数の失敗した試みと、競合確率や最大の再送信など、予約フレーム46にアクセスするためのさらなる構成とを含むことができる。情報は、ステップ56において評価され、また次いで、不利なユーザ機器デバイス14は、ステップ55において予約フレーム46でデータをただ送信する。それゆえに、ネットワーク上で送信される制御情報が、低減される。
【0032】
一実施形態においては、マルチ・キャリアCDMAが、使用され、また1組のサブキャリア(物理リソース・ブロック)が、不利なユーザ機器デバイス14のために予約される。帯域の残りは、他のユーザ機器デバイス12によって使用されることもあり、この他のユーザ機器デバイス12は、必ずしもマシン・ツー・マシン通信デバイスであるとは限らない。異なるコードと、サブキャリアとが、予約フレーム46のために使用されることもある。
【0033】
マルチ・キャリアCDMAは、OFDMリソース要素に加えて追加の拡散を有するOFDMのように、当技術分野において理解されることもあるが、その表現を有する本開示の範囲内で、マルチ・キャリアCDMAは、例えば、FBMC(フィルタ・バンク・ベースのマルチ・キャリア)またはIOTA−OFDMのような、任意の種類のマルチ・キャリア変調信号フォーマットを有するCDMA/拡散の組合せとして、より一般的に解釈されるべきである。
【0034】
任意の機能ブロックを含む、図面の中に示される様々な要素の機能は、専用のハードウェア、ならびに適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通して提供されることもある。プロセッサによって提供されるときに、それらの機能は、単一の専用プロセッサにより、単一の共用プロセッサにより、またはそれらのうちのいくつかが共用され得る複数の個別プロセッサにより提供されることもある。さらに、それらの機能は、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)ハードウェアと、ネットワーク・プロセッサと、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)と、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)と、ソフトウェアを記憶するためのリード・オンリー・メモリ(ROM:read only memory)と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)と、不揮発性ストレージとによって提供される可能性がある。他のハードウェアが、従来のもの、および/またはカスタムもまた含められることもある。
図1
図2
図3
図4
図5