(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロセッサは、前記保持状態であり、かつ、前記霧化器を動作させる要求が存在する状態において、前記基準抵抗値と、前記情報に基づいて得られる前記ヒータの抵抗値とに基づいて、前記ヒータが目標温度になるように前記電力供給部を制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の吸引器用コントローラ。
前記プロセッサは、前記保持状態において、前記情報の値が前記第1範囲内の第3範囲に属している場合に、前記ヒータに電力が供給されないように前記電力供給部を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
前記プロセッサは、前記保持状態であり、かつ、前記霧化器を動作させる要求が存在する状態において、前記情報の値が前記第1範囲内の第4範囲に属している場合に、前記情報に基づいて前記電力供給部を制御し、
前記第3範囲および前記第4範囲は、互いに重複する範囲を有しない、
ことを特徴とする請求項8に記載の吸引器用コントローラ。
前記保持部は、第1電気接点および第2電気接点を有し、前記第1電気接点は、前記電力供給部の出力端子に対して第1抵抗素子を介して電気的に接続され且つ前記霧化器が有する第3電気接点と接し、前記第2電気接点は、接地ラインに電気的に接続され且つ前記霧化器が有する第4電気接点と接し、
前記増幅器は、前記第1電気接点に電気的に接続された非反転入力端子と、前記第2電気接点に電気的に接続された反転入力端子とを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
前記保持部は、第1電気接点および第2電気接点を有し、前記第1電気接点は、前記電力供給部の出力端子に対して第1抵抗素子を介して電気的に接続され且つ前記霧化器が有する第3電気接点と接し、前記第2電気接点は、接地ラインに電気的に接続され且つ前記霧化器が有する第4電気接点と接し、
前記増幅器は、前記第1電気接点に電気的に接続された非反転入力端子と、前記第2電気接点に電気的に接続された反転入力端子とを有し、
前記第1電気接点と前記第2電気接点とが第2抵抗素子によって電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
前記プロセッサは、前記保持状態であり、かつ、前記霧化器を動作させる要求が存在する状態において、前記基準抵抗値と、前記情報に基づいて得られる前記ヒータの抵抗値とに基づいて、前記ヒータが目標温度になるように前記電力供給部を制御する、
ことを特徴とする請求項22に記載の吸引器用コントローラ。
前記プロセッサは、前記保持状態において、前記情報の値が前記第1範囲内の第3範囲に属している場合に、前記ヒータに電力が供給されないように前記電力供給部を制御する、
ことを特徴とする請求項17乃至23のいずれか1項に記載の吸引器用コントローラ。
前記プロセッサは、前記保持状態であり、かつ、前記霧化器を動作させる要求が存在する状態において、前記情報の値が前記第1範囲内の第4範囲に属している場合に、前記情報に基づいて前記電力供給部を制御し、
前記第3範囲および前記第4範囲は、互いに重複する範囲を有しない、
ことを特徴とする請求項24に記載の吸引器用コントローラ。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0041】
図1には、一実施形態の吸引器100の構成が模式的に示されている。ユーザによる吸引動作に応じて、エアロゾルを含む気体、または、エアロゾルおよび香味物質を含む気体を吸口部130を通してユーザに提供するように構成されうる。吸引器100は、コントローラ102と、霧化器104とを備えうる。吸引器100は、霧化器104を取り外し可能な状態で保持する保持部103を備えうる。コントローラ102は、吸引器用コントローラとして理解されてもよい。霧化器104は、エアロゾル源を霧化するように構成されうる。エアロゾル源は、例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール等の多価アルコール等の液体でありうる。あるいは、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。エアロゾル源は、液体であってもよいし、固体であってもよいし、液体および固体の混合物であってもよい。エアロゾル源に代えて、水等の蒸気源が用いられてもよい。
【0042】
吸引器100は、香味源131を含むカプセル106を更に備えてもよく、霧化器104は、カプセル106を取り外し可能な状態で保持するカプセルホルダ105を含みうる。カプセルホルダ106は、霧化器104ではなくコントローラ102に含められていてもよい。香味源131は、例えば、たばこ材料を成形した成形体でありうる。あるいは、香味源131は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ、漢方、コーヒー豆等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。香味源131は、エアロゾル源に添加されてもよい。
【0043】
コントローラ102は、電気部品110を含みうる。電気部品110は、ユーザインターフェース116を含みうる。あるいは、コントローラ102は、電気部品110およびユーザインターフェース116を含むものとして理解されてもよい。ユーザインターフェース116は、例えば、表示部DISP(例えば、LED等の発光素子、および/または、LCD等の画像表示器)、および/または、操作部OP(例えば、ボタンスイッチ等のスイッチ、および/または、タッチディスプレイ)を含みうる。
【0044】
コントローラ102の保持部103は、第1電気接点111および第2電気接点112を含みうる。保持部103によって霧化器104が保持された状態において、保持部103の第1電気接点111は、霧化器104の第3電気接点113に接し、また、保持部103の第2電気接点112は、霧化器104の第4電気接点114に接しうる。コントローラ102は、第1電気接点111および第2電気接点112を通して霧化器104に電力を供給しうる。第1電気接点112は、接地ラインに電気的に接続されうる。
【0045】
霧化器104は、前述の第3電気接点113および第4電気接点114を含みうる。また、霧化器104は、エアロゾル源を加熱するヒータ127と、エアロゾル源を保持する容器125、容器125によって保持されたエアロゾル源をヒータ127による加熱領域に輸送する輸送部(ウイック)127とを含みうる。該加熱領域の少なくとも一部は、霧化器104内に設けられた流路128に配置されうる。第1電気接点111、第3電気接点113、ヒータ127、第4電気接点114および第2電気接点112は、ヒータ127に電流を流すための電流経路を形成する。輸送部126は、例えば、繊維素材または多孔質素材で構成されうる。
【0046】
霧化器104は、前述のように、カプセル106を取り外し可能に保持するカプセルホルダ105を含むことができる。カプセルホルダ105は、一例において、カプセル106の一部をカプセルホルダ105内または霧化器104内に収容し、他の一部を露出させるようにカプセル106を保持しうる。ユーザは、吸口部130を口で銜えて、エアロゾルを含有する気体を吸引することができる。このように吸口部130が取り外し可能なカプセル106に備えられることで、吸引器100を清潔に保つことができる。
【0047】
ユーザが吸口部130を銜えて吸引動作を行うと、矢印で例示されるように、不図示の開口を通じて霧化器104の流路128に空気が流入し、ヒータ127がエアロゾル源を加熱することによって発生するエアロゾルがその空気によって吸口部130に向けて輸送される。そして、香味源131が配置されている構成においては、そのエアロゾルに香味源131が発生する香味物質が添加されて吸口部130に輸送され、ユーザの口に吸い込まれる。
【0048】
図2には、電気部品110の第1構成例が示されている。電気部品110は、電源(バッテリー)250と、霧化器104(のヒータ127)に電力を供給する電力供給部270と、ヒータ127の抵抗値を検出するための検出回路220と、検出回路220を使って得られる情報に応じて制御信号を発生するプロセッサ240とを備えうる。プロセッサ240は、例えば、検出回路220を使って得られる情報を平滑化した平滑信号に応じて制御信号を発生しうる。ヒータ127は、ヒータ127の温度によって変化する抵抗値R
HTRを有する。
【0049】
電力供給部270は、ヒータ127に電流を流すための電流経路に配置されたスイッチSW1を含みうる。スイッチSW1の開閉(オフ、オン)は、検出回路220を使って得られる情報(例えば、平滑信号)に応じてプロセッサ240が発生する制御信号SWC1によって制御されうる。電力供給部270は、例えば、電源250から供給される電源電圧Vbatをヒータ駆動電圧V
outに変換する電圧変換器272を含むことができる。スイッチSW1は、ヒータ駆動電圧V
outの供給ラインと接地ラインとの間に、ヒータ127に電流を流すための電流経路を構成するように配置されうる。スイッチSW1は、例えば、ヒータ駆動電圧V
outの供給ラインとヒータ127との間に配置されうる。
【0050】
検出回路220は、ヒータ駆動電圧V
outの供給ラインと接地ラインとの間に、ヒータ127と直列に配置されたシャント抵抗(第1抵抗素子)R
shunt1と、スイッチSW2とを含みうる。また、検出回路220は、ヒータ127に印加される電圧V
HTRを検出する増幅器AMPを含みうる。ここで、シャント抵抗R
shunt1の抵抗値をその符号と同様にR
shunt1と標記する。増幅器AMPは、例えば、非反転入力端子、反転入力端子および出力端子を有する差動増幅器221と、反転入力端子と接地ラインとを接続する抵抗素子R1と、反転入力端子と出力端子とを接続する抵抗素子R2とを有し、V
HTRが非反転入力端子に入力されうる。このような構成例では、抵抗素子R1の抵抗値をR1、抵抗素子R2の抵抗値をR2と標記すると、増幅器AMPの増幅率Aは、(1+R2/R1)である。ただし、増幅器AMPの構成および増幅率Aは、この例に限定されず、他の構成および増幅率が採用されてもよい。スイッチSW2は、プロセッサ240が発生する制御信号SWC2によって制御されうる。
【0051】
ヒータ127の抵抗値R
HTRを検出するときは、スイッチSW1がオフされ、スイッチSW2がオンされる。このとき、R
HTRを流れる電流をI
HTRとすると、R
HTRは
、式(1)で与えられる。
【0052】
R
HTR=V
HTR/I
HTR=V
HTR・(R
HTR+R
shunt1)/V
out
・・・式(1)
式(1)を変形すると、R
HTRを与える式(2)が得られる。
【0053】
R
HTR=R
shunt1・V
HTR/(V
out−V
HTR)
・・・式(2)
検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、式(3)で与えられる。
【0054】
V
AMP=A・V
HTR ・・・式(3)
式(3)を変形すると、V
HTRを与える式(4)が得られる。
【0055】
V
HTR=V
AMP/A ・・・式(4)
よって、式(2)および式(4)に従って、ヒータ127の抵抗値R
HTRを得ることができる。
【0056】
プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPが入力される入力端子、および、該入力端子に入力された電圧であるアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器を含みうる。プロセッサ240は、検出回路220を使って得られる情報(ここでは、V
AMP)、例えば、該情報を平滑化した平滑信号に応じて、制御信号を発生しうる。該制御信号は、例えば、制御信号SWC1でありうるが、他の制御信号(例えば、表示部DISPを制御する制御信号)を含むこともできる。
【0057】
プロセッサ240は、例えば、MCU(Micro Controller Unit(マイクロコントローラユニット))で構成されうるが、プロセッサ240は、MCUとアナログ回路とによって構成されてもよい。プロセッサ240には、電源電圧Vbatをプロセッサ240用の電源電圧V
Mに変換するLDO(Low DropOut)等の電圧変換回路260から電圧V
Mが供給されうる。プロセッサ240は、既知の値であるR
shunt1、V
out、および、増幅器AMPから供給されるV
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従って、ヒータ127の抵抗値R
HTRを計算しうる。
【0058】
プロセッサ240は、ヒータ127の抵抗値R
HTRに基づいて、式(5)に従って、ヒータ127の温度を計算しうる。
【0059】
T=T
ref+(1/α)・(R
HTR−R
ref)・(1/R
ref)・10
6
・・・式(5)
ここで、T
refは基準温度である。R
refは基準抵抗値であり、これは基準温度におけるヒータ127の抵抗値R
HTRである。αはヒータ127の温度係数[ppm/℃]である。なお、基準温度は、任意の温度とすることができ、基準抵抗値を取得する際のヒータ127の温度が基準温度である。基準抵抗値を取得する際のヒータ127の温度としては、吸引器100内の任意箇所の温度(例えば、後述の温度センサ282によって検出される温度)を代用することができる。
【0060】
プロセッサ240は、ヒータ127の温度に基づいて、ヒータ127の温度が目標温度に一致するように、スイッチSW1を制御するための制御信号SWC1を発生しうる。プロセッサ240は、ユーザインターフェース116の操作部OPからの信号を取り込み、また、ユーザインターフェース116の表示部DISPに対して表示制御用の信号を提供する。電気部品110は、ユーザのパフ動作を検出するパフセンサ(例えば、圧力センサ)281、および、電気部品110の所定箇所の温度を検出する温度センサ282を含みうる。温度センサ282は、パフセンサ281、電源250またはプロセッサ240に組み込まれていてもよい。
【0061】
図3には、電気部品110の第2構成例が示されている。第2構成例は、シャント抵抗R
shunt1と接地ラインとの間に、シャント抵抗R
shunt1と直列にシャント抵抗(第2抵抗素子)R
shunt2が設けられている点で第1構成例と異なり、その他は第1構成例と同じである。シャント抵抗R
shunt2は、第1電気接点111と第2電気接点112とを電気的に接続する抵抗素子である。ここで、シャント抵抗R
shunt2の抵抗値をその符号と同様にR
shunt2と標記する。抵抗値R
shunt2は、抵抗値R
HTRよりも十分に大きい。したがって、抵抗値R
HTRの計算においては、式(2)を使用することができる。
【0062】
図4には、電気部品110の第3構成例が示されている。第3構成例は、差動増幅器221の電源端子に電圧V
Mが供給されている点で、差動増幅器221の電源端子に電圧V
outが供給されている第1構成例とは異なる。第3構成例に対して、点線で示されるように、第2構成例のようなシャント抵抗R
shunt2が追加されてもよい。差動増幅器221の非反転入力端子と出力端子との間には、非反転入力端子から出力端子に向かって順方向に、ダイオードが配置されうる。
【0063】
図5には、吸引器100の動作が示されている。この動作は、プロセッサ240によって制御される。プロセッサ240は、プログラムを格納したメモリと、該プログラムに従って動作するCPUとを含む。ステップS501では、プロセッサ240は、霧化要求を受けることを待ち、霧化要求を受けたら、ステップS502を実行する。霧化要求は、霧化器104を動作させること、より詳しくは、エアロゾル源からエアロゾルを発生させるようにヒータ127を目標温度範囲内に制御することの要求である。霧化要求は、ユーザが吸口部130を通して吸引動作(パフ動作)を行ったことをパフセンサ281が検出し、その検出をパフセンサ281がプロセッサ240に通知する動作でありうる。あるいは、霧化要求は、ユーザが操作部OPを操作したことを操作部OPがプロセッサ240に通知する動作でありうる。
【0064】
ステップS502では、プロセッサ240は、電源電圧Vbatを不図示の電源管理回路から取得し、電源電圧Vbatが放電終止電圧Vend(例えば3.2V)を上回っているかどうかを判断する。電源電圧Vbatが放電終止電圧Vend以下ということは、電源250の放電可能残量が十分ではないことを意味する。そこで、電源電圧Vbatが放電終止電圧Vend以下である場合は、ステップS519において、プロセッサ240は、ユーザインターフェース116の表示部DISPを使って、電源250の充電を促す報知を行う。この報知は、表示部DISPがLEDを含む場合において、該LEDを赤色で点灯させることでありうる。電源電圧Vbatが放電終止電圧Vendを上回っている場合、ステップS503において、プロセッサ240は、ユーザインターフェース116の表示部DISPを使って、正常動作が可能であることを報知しうる。この報知は、表示部DISPがLEDを含む場合において、該LEDを青色で点灯させることでありうる。
【0065】
ステップS503に次いで、ステップS504では、プロセッサ240は、ヒータ127に対する給電制御を開始する。ヒータ127に対する給電制御は、ヒータ127を目標温度範囲内に制御する温度制御を含む。温度制御は、ヒータ127の抵抗値R
HTRを検出することによってヒータ127の温度を検出し、その検出結果に基づいてスイッチSW1の開閉を制御信号SWC1によって制御するフィードバック制御を含みうる。
【0066】
次いで、ステップS505では、プロセッサ240は、吸引時間T
Lを0にリセットし、その後、ステップS506では、プロセッサ240は、吸引時間T
LにΔtを加算する。Δtは、ステップS506の実行と次のステップ506の実行との時間間隔に相当する。
【0067】
次いで、ステップS507では、プロセッサ240は、霧化要求が終了しているかどうかを判断し、霧化要求が終了している場合は、ステップS509において、プロセッサ240は、ヒータ127に対する給電制御を停止する。一方、霧化要求が終了していない場合は、ステップS508において、プロセッサ240は、吸引時間T
Lが上限時間に達したかどうかを判断し、吸引時間T
Lが上限時間に達していない場合は、ステップS506に戻る。一例として、上限時間は2.0〜2.5secであってもよい。
【0068】
ステップS509に次いで、ステップS510では、プロセッサ240は、青色で点灯させていたLEDを消灯させる。次いで、ステップS511では、プロセッサ240は、積算時間T
Aを更新する。より具体的には、ステップS511では、現時点での積算時間T
Aに吸引時間T
Lを加算する。積算時間T
Aは、カプセル106が吸引のために使用された積算時間、換言すると、カプセル106の香味源131を通してエアロゾルが吸引された積算時間でありうる。
【0069】
ステップS512では、プロセッサ240は、積算時間T
Aが吸引可能時間(例えば、120sec)を超えていないかどうかを判断する。積算時間T
Aが吸引可能時間を超えていない場合は、カプセル106が未だ香味物質を提供可能であることを意味し、この場合は、ステップS501に戻る。積算時間T
Aが吸引可能時間を超えている場合は、ステップS513において、プロセッサ240は、霧化要求の発生を待つ。そして、霧化要求が発生したら、ステップS514において、プロセッサ240は、霧化要求が所定時間にわたって継続するのを待ち、その後、ステップS515において、プロセッサ240は、ヒータ127に対する給電制御を禁止する。なお、ステップS514は省略されてもよい。
【0070】
次いで、ステップS516では、プロセッサ240は、ユーザインターフェース116の表示部DISPを使って、カプセル106の交換を促す報知を行う。この報知は、表示部DISPがLEDを含む場合において、該LEDを青色で点滅(点灯、消灯の繰り返し)させることでありうる。これを受けて、ユーザは、カプセル106を交換しうる。一例において、1個の霧化器104と複数個(例えば、5個)のカプセル106とが1個のセットとして販売されうる。このような例では、1個のセットの1個の霧化器104および全てのカプセル106が消費された後、消費されたセットの霧化器104と最後のカプセル106が新しいセットの霧化器104およびカプセル106に交換されうる。
【0071】
ステップS517では、プロセッサ240は、カプセル106(または、カプセル106および霧化器104)の交換が完了するのを待ち、ステップS518では、プロセッサ240は、ヒータ127に対する給電制御の禁止を解除し、ステップS501に戻る。
【0072】
以下、ヒータ127の抵抗値R
HTRの検出およびそれに基づくヒータ127の温度の検出に関する検出関連処理を説明する。
図6には、検出関連処理が示されている。検出関連処理は、プロセッサ240によって、
図5に示された処理とは別に実行される。
図5を参照しながら説明された給電制御は、
図6に示された検出関連処理によって取得されるヒータ127の温度に基づいて実行されうる。
【0073】
ステップS601では、プロセッサ240は、霧化要求があるかどうかを判断し、霧化要求があれば、ステップS602に進み、霧化要求がなければ、ステップS621に進む。ステップS602では、プロセッサ240は、制御用の変数であるCountが所定数(例えば、3)以上であるかどうかを判断し、Countが所定数以上であれば、ステップS616に進み、そうでなければ、ステップS603に進む。Countは、ヒータ127の温度が250℃を超えたことが検出される度にカウントアップされる変数であり、Countが所定数以上であることは、霧化器104の容器125のエアロゾル源が枯渇しかけているか、あるいは、枯渇していることを示す。所定数の値は、ヒータ127の温度の検出誤差(ノイズの影響を含む)等を考慮して定められうる。
【0074】
なお、ヒータ127に対する給電制御は、エアロゾル源が枯渇していない状態(つまり、エアロゾル源による吸熱量)を想定して最適化されている。したがって、エアロゾル源が枯渇しかけたり、枯渇したりすると、ヒータ127が発生する熱が過剰となり、これにより、ヒータ127の温度が目標温度範囲の上限を超えて上昇しうる。
【0075】
ステップS603では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、ステップS604では、プロセッサ240は、スイッチSW2をオンさせる。次いで、ステップS605では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせる。この状態で、ヒータ127の抵抗値R
HTRの検出が可能な状態になる。ステップS606では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算する。
【0076】
ステップS607では、プロセッサ240は、ステップS606で計算したヒータ127の抵抗値R
HTRと、既に設定されている基準温度T
refおよび基準抵抗値R
refとに基づいて、式(5)に従ってヒータ127の温度T
HTRを計算する。ステップS606、S607は、検出回路220を使って得られる情報および基準抵抗値R
refに基づいてヒータ127の温度を取得する処理(第2処理)である。ステップS608では、プロセッサ240は、スイッチSW2をオフさせる。
【0077】
ステップS609では、プロセッサ240は、ヒータ127の温度T
HTRが300℃を超えているかどうかを判断し、温度T
HTRが300℃(第2温度)を超えている場合はステップS616に進み、温度T
HTRが300℃以下である場合はステップS610に進む。ステップS610では、プロセッサ240は、ヒータ127の温度T
HTRが250℃(第1温度)を超えているかどうかを判断し、温度T
HTRが250℃を超えている場合はステップS625に進み、温度T
HTRが250℃以下である場合はステップS611に進む。ステップS625では、プロセッサ240は、フラグFlagをセットする(つまり、Flag=Trueとする)。この例では、ヒータ127の温度T
HTRが250℃(第1温度)を超えていることは、霧化器104の容器125のエアロゾル源が枯渇しつつあることを示し、ヒータ127の温度T
HTRが300℃(第2温度)を超えていることは、該エアロゾル源が完全に枯渇していることを示す。しかし、第1温度および第2温度は、エアロゾル源の種類および輸送部(ウイック)127の構造等に応じて任意に定めることができる。
【0078】
ステップS611では、プロセッサ240は、霧化要求が終了しているかどうかを判断し、霧化要求が終了している場合はステップS612に進み、霧化要求が終了していない場合はステップS603に戻る。ステップS612では、プロセッサ240は、フラグFlagがセットされているかどうかを判断し、フラグFlagがセットされている場合はステップS625に進み、フラグFlagがセットされていない場合はステップS613に進む。ここで、フラグFlagがセットされていることは、ヒータ127の温度T
HTRが250℃を超えたことを示している。
【0079】
ステップS613では、プロセッサ240は、ヒータ127の自然冷却の完了を待つ。ヒータ127の自然冷却の完了は、ヒータ127の抵抗値R
HTRを検出し、その抵抗値R
HTRに基づいて計算されるヒータ127の温度に基づいて判断されうる。あるいは、予め設定された時間の経過を待つことによってヒータ127の自然冷却が完了したものと判断されてもよい。
【0080】
ステップS613に次いで、ステップS614では、プロセッサ240は、スイッチSW2をオンさせて、増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、その後、スイッチSW2をオフさせる。また、ステップS614では、プロセッサ240は、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算する。このときの抵抗値R
HTRは、ヒータ127が十分に自然冷却された状態でのヒータ127の抵抗値であるので、基準抵抗値R
refとして使用することができる。このときの温度は、基準温度T
refとして使用することができ、該温度としては、例えば、温度センサ282から提供される温度を使用することができる。ステップS614では、プロセッサ240は、取得した基準抵抗値R
refおよび基準温度T
refをメモリに格納(記憶)する。ステップS615では、プロセッサ240は、Countを0にリセットする。
【0081】
ステップS609においてヒータ127の温度T
HTRが300℃を超えたとプロセッサ240が判断した場合、ステップS616において、プロセッサ240は、ユーザインターフェース116の表示部DISPを使って、異常の発生(エアロゾル源の枯渇)を示す報知を行う。この報知は、表示部DISPがLEDを含む場合において、該LEDを赤色で点滅(点灯、消灯の繰り返し)させることでありうる。
【0082】
次いで、ステップS617では、霧化要求をマスク(無効化)する。霧化要求がマスクされた状態では、霧化要求が発生しても、それが無視される。つまり、霧化要求がマスクされた状態では、霧化要求が仮に発生しても、ステップS601(
図5のステップS501も同様)において、その霧化要求はないものとして判断される。次いで、ステップS618では、プロセッサ240は、ユーザインターフェース116の操作部OPに対するユーザによる操作がなされない時間(無操作時間)が所定時間(例えば、6分)に達したかどうかを判断する。そして、プロセッサ240は、無操作時間が所定時間に達したら、プロセッサ240をスリープ状態とする。スリープ状態からの復帰は、例えば、ユーザインターフェース116の操作部OPに対するユーザの操作に応答してなされうる。
【0083】
無操作時間が所定時間に達するまでは、ステップS619が実行される。ステップS619では、プロセッサ240は、霧化器104の交換作業の完了を待つ。より具体的には、ステップS619では、プロセッサ240は、霧化器104がコントローラ102(の保持部103)から取り外され、新たな霧化器104がコントローラ102(の保持部103)に取り付けられる操作の完了を待つ。プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPの変化に基づいて霧化器104の交換作業の完了を判断することができる。
【0084】
ここで、保持部103から霧化器104が取り外されると、第1電気接点111と第2電気接点112との間に接続されたヒータ127が失われるので、増幅器AMPの出力電圧V
AMPが変化する。これに基づいて、プロセッサ240は、保持部103からの霧化器104の取り外しを検出することができる。また、保持部103に霧化器104が取り付けられると、第1電気接点111と第2電気接点112との間に接続されたヒータ127が接続されるので、増幅器AMPの出力電圧V
AMPが変化する。これに基づいて、プロセッサ240は、保持部103に霧化器104が取り付けられたことを検出することができる。
【0085】
霧化器104の交換が検出されたら、ステップS620において、プロセッサ240は、Countを0にリセットするとともに、Flagをクリアする。次いで、ステップS621において、プロセッサ240は、増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、その出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算し、その抵抗値R
HTRを基準抵抗値R
refとしてメモリに格納(記憶)する。ステップS621は、霧化器104の交換に応じて、あるいは、保持部103によって霧化器104が保持されていない非保持状態から保持部103によって霧化器104が保持されている保持状態の遷移に応じて、基準抵抗値を取得する処理(第1処理)である。
【0086】
ステップS621において検出される抵抗値R
HTRは、給電されていない(加熱されていない)ヒータ127の抵抗値であるので、基準抵抗値R
refとして使用することができる。しかし、後述するように、カプセル106の交換作業のように、コントローラ102の電気接点と霧化器104の電気接点との間に応力が加わる操作によって、検出回路220の出力電圧V
AMPは変動しうる。そこで、後述するように、プロセッサ240は、検出回路220を使って得られる情報(出力電圧V
AMP)を平滑化した平滑信号に応じてヒータ127の抵抗値R
HTRを基準抵抗値R
refとして取得しうる。また、プロセッサ240は、このようにして取得した基準抵抗値R
refを使ってヒータ127の温度を検出し、その温度に基づいて、制御信号(例えば、スイッチSW1を制御する制御信号SWC1、表示部DISPを制御する制御信号)を発生しうる。つまり、プロセッサ240は、検出回路220を使って得られる情報を平滑化した平滑信号に応じて制御信号を発生しうる。
【0087】
ステップS622では、プロセッサ240は、吸引器100の所定箇所の温度を温度センサ282から取得し、該温度を基準温度T
refとしてメモリに格納(記憶)する。ここで、吸引器100の所定箇所とヒータ127との間には温度差が存在しうるが、そのような温度差は無視可能である。あるいは、プロセッサ240は、温度センサ282から取得した温度に所定値を加算した温度を基準温度Trefとしてメモリに格納(記憶)してもよい。次いで、ステップS623では、霧化要求のマスクを解除する。また、プロセッサ240は、ステップS621とステップS622を実行する順序を逆にし、ステップS622の後にステップS621を実行してもよい、また、プロセッサ240は、ステップS621とステップS622を同時に実行してもよい。
【0088】
ステップS624では、プロセッサ240は、ユーザインターフェース116の操作部OPに対するユーザによる操作がなされない無操作時間が所定時間(例えば、6分)に達したかどうかを判断する。そして、プロセッサ240は、無操作時間が所定時間に達したら、プロセッサ240をスリープ状態とする。一方、無操作時間が所定時間に達するまでは、プロセッサ240は、ステップS601に進む。
【0089】
ステップS626では、プロセッサ240は、ユーザインターフェース116の表示部DISPを使って、異常の発生(エアロゾル源の枯渇)を示す報知を行う。この報知は、表示部DISPがLEDを含む場合において、該LEDを赤色で点滅(点灯、消灯の繰り返し)させることでありうる。次いで、ステップS627では、プロセッサ240は、霧化要求をマスク(無効化)し、ステップS628では、プロセッサ240は、所定期間(例えば、11秒間)にわたりヒータ127の加熱(ヒータ127に対する給電)を禁止する。次いで、ステップS629では、霧化要求のマスクを解除し、ステップS630では、プロセッサ240は、Countをカウントアップして、ステップS618に進む。
【0090】
図7には、
図6のステップS621における基準抵抗値の検出処理の詳細を提供する第1例が示されている。ステップS701では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせ、スイッチSW2をオンさせる。ステップS702では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算し、その抵抗値R
HTRを示すデータをメモリの作業領域に格納(記憶)する。ステップS703では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、スイッチSW2をオフさせる。
【0091】
ステップS704では、プロセッサ240は、ステップS702で作業領域に格納された抵抗値R
HTRを示すデータ数がN(予め設定された自然数)以上であるかどうかを判断し、データ数がN以上であれば、ステップS705に進み、そうでなければ
図7に示された処理を終了する。ステップS705では、プロセッサ240は、ステップS702で作業領域に格納された抵抗値R
HTRを示す複数のデータのうち最新のN個のデータの平均値(即ち、N項移動平均値)を計算する。
【0092】
ステップS706では、プロセッサ240は、ステップS705で計算されたN項移動平均値からの乖離量が閾値|ΔR|の範囲、即ち、N項移動平均値±ΔRの範囲を許容範囲として設定する。ステップS707では、プロセッサ240は、ステップS702で作業領域に格納された抵抗値R
HTRを示す複数のデータのうち最新のデータがステップS706で設定された許容範囲内であるかどうかを判断する。そして、プロセッサ240は、該最新のデータが該許容範囲内である場合は、ステップS708において、該最新のデータを基準抵抗値R
refとしてメモリに格納(記憶)する。これは、既にメモリに格納されている基準抵抗値R
refを新たな基準抵抗値R
refで更新することを意味する。一方、プロセッサ240は、該最新のデータが該許容範囲内ではない場合およびデータ数がN以上でない場合は、ステップS708を実行しない。この場合、既にメモリに格納されている基準抵抗値R
refは更新されない。
【0093】
第1例によれば、プロセッサ240は、検出回路220を使って逐次得られる情報(抵抗値R
HTR)のN項移動平均値を計算し、検出回路220を使って逐次得られる情報(抵抗値R
HTR)のうち該N項移動平均値からの乖離量が閾値に収まっている情報を平滑信号として使用する。ここで、移動平均値を利用することは、平均値を利用する方法の一例であり、例えば、連続する所定個数のデータごとに平均値を計算し、その平均値に基づいて許容範囲を設定してもよい。
【0094】
図8には、
図7に示された第1例の有用性を検証した結果が示されている。
図8の例では、N=15である。”Measured resistance values”は、検出回路220を使って逐次得られる抵抗値R
HTRのデータを示している。”15項移動平均値”は、”Measured resistance values”の15項移動平均値である。”15項移動平均値−3mΩ”は、15項移動平均値に基づいて決定された許容範囲の下限を示し、”15項移動平均値+3mΩ”は、15項移動平均値に基づいて決定された許容範囲の上限を示している。丸マーク(”カプセル取付け”)は、霧化器104(のカプセルホルダ105)に対するカプセル106の取り付けによる抵抗値R
HTRの変動を示している。ダイヤマーク(”カプセルの取外し”)は、霧化器104(のカプセルホルダ105)からのカプセル106の取り外しによる抵抗値R
HTRの変動を示している。換言すれば、丸マーク(”カプセル取付け”)のタイミングで、霧化器104(のカプセルホルダ105)に対するカプセル106の取り付けが行われている。同様に、ダイヤマーク(”カプセルの取外し”)のタイミングで、霧化器104(のカプセルホルダ105)からのカプセル106の取り外しが行われている。カプセル106の取外しおよび取付けによって抵抗値R
HTRが大きく変動しうることが分かる。
【0095】
第1例によれば、検出回路220を使って逐次得られる抵抗値R
HTRのうち移動平均値(平均値)に基づいて決定される許容範囲に収まっている抵抗値R
HTRが平滑信号として使用され、この平滑信号に基づいて基準抵抗値R
refが決定される。よって、基準抵抗値R
refを高い精度で設定することができる。これにより、ヒータ127の温度の検出時において該温度を高い精度で検出することができ、また、該温度に基づいて発生する制御信号を高い精度で発生することができる。
【0096】
図9には、
図6のステップS621における基準抵抗値の検出処理の詳細を提供する第2例が示されている。ステップS801では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせ、スイッチSW2をオンさせる。ステップS802では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算し、その抵抗値R
HTRを示すデータをメモリの作業領域に格納(記憶)する。ステップS803では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、スイッチSW2をオフさせる。
【0097】
ステップS804では、プロセッサ240は、ステップS802で作業領域に格納された抵抗値R
HTRに対してLPF(Low Pass Filter(ローパスフィルタ))処理を施すことによって、作業領域に格納された抵抗値R
HTRを平滑化した平滑信号を生成する。ステップS805では、プロセッサ240は、ステップS804におけるLPF処理後の抵抗値、すなわち平滑信号が示す抵抗値を基準抵抗値R
refとしてメモリに格納(記憶)する。
【0098】
図11には、
図9に示された第2例の有用性を検証した結果が示されている。”Measured resistance values”は、検出回路220を使って逐次得られる抵抗値R
HTRのデータを示している。”LPFで処理”は、”Measured resistance values”に対してLPF処理を施した結果である。第2例によれば、検出回路220を使って逐次得られる抵抗値R
HTRにLPF処理を施した結果が平滑信号として使用され、この平滑信号に基づいて基準抵抗値R
refが決定される。よって、基準抵抗値R
refを高い精度で設定することができる。これにより、ヒータ127の温度の検出時において該温度を高い精度で検出することができ、また、該温度に基づいて発生する制御信号を高い精度で発生することができる。
【0099】
図10には、
図6のステップS621における基準抵抗値の検出処理の詳細を提供する第3例が示されている。ステップS901では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせ、スイッチSW2をオンさせる。ステップS902では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算し、その抵抗値R
HTRを示すデータをメモリの作業領域に格納(記憶)する。ステップS903では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、スイッチSW2をオフさせる。
【0100】
ステップS904では、プロセッサ240は、ステップS902で作業領域に格納された抵抗値R
HTRを示すデータ数がN(予め設定された自然数)以上であるかどうかを判断し、データ数がN以上であれば、ステップS905に進み、そうでなければ
図10に示された処理を終了する。ステップS905では、プロセッサ240は、ステップS702で作業領域に格納された抵抗値R
HTRを示す複数のデータのうち最新のN個のデータの平均値(即ち、N項移動平均値)を計算する。
【0101】
ステップS906では、プロセッサ240は、ステップS905で計算されたN項移動平均値を基準抵抗値R
refとしてメモリに格納(記憶)する。これは、既にメモリに格納されている基準抵抗値R
refを新たな基準抵抗値R
refで更新することを意味する。一方、プロセッサ240は、データ数がN以上でない場合は、ステップS906を実行しない。この場合、既にメモリに格納されている基準抵抗値R
refは更新されない。
【0102】
再度参照する
図11には、
図10に示された第3例の有用性を検証した結果が示されている。”Measured resistance values”は、検出回路220を使って逐次得られる抵抗値R
HTRのデータを示している。”16項移動平均”は、”Measured resistance values”の16項移動平均である。第3例によれば、検出回路220を使って逐次得られる抵抗値R
HTRの移動平均値が平滑信号として使用され、この平滑信号に基づいて基準抵抗値R
refが決定される。よって、基準抵抗値R
refを高い精度で設定することができる。これにより、ヒータ127の温度の検出時において該温度を高い精度で検出することができ、また、該温度に基づいて発生する制御信号を高い精度で発生することができる。
【0103】
図12には、
図6のステップS621における基準抵抗値の検出処理の詳細を提供する第4例が示されている。ステップS1001では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせ、スイッチSW2をオンさせる。ステップS1002では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算し、その抵抗値R
HTRを示すデータをメモリの作業領域に格納(記憶)する。ステップS1003では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、スイッチSW2をオフさせる。
【0104】
ステップS1004では、プロセッサ240は、ステップS1002で作業領域に格納された抵抗値R
HTRを示すデータの微分値(dR
HTR/dt)を計算する。ステップS1005では、プロセッサ240は、ステップS1005で計算された微分値が閾値TH内であるかどうかを判断する。そして、プロセッサ240は、該最新のデータが閾値TH内である場合は、ステップS1006において、該最新のデータを基準抵抗値R
refとしてメモリに格納(記憶)する。これは、既にメモリに格納されている基準抵抗値R
refを新たな基準抵抗値R
refで更新することを意味する。一方、プロセッサ240は、該最新のデータが閾値TH内ではない場合は、ステップS1006を実行しない。この場合、既にメモリに格納されている基準抵抗値R
refは更新されない。第4例は、抵抗値R
HTRを示すデータの微分値を用いて該データのピーク値を除去する方法として理解されうる。
【0105】
図13には、
図12に示された第4例の有用性を検証した結果が示されている。”Measured resistance values”は、検出回路220を使って逐次得られる抵抗値R
HTRのデータを示している。”微分値”は、”Measured resistance values”の微分値である。”微分値を用いたピーク除去”は、”Measured resistance values”のうち微分値が閾値TH内のもの、すなわちピークが除去されたデータである。第4例によれば、検出回路220を使って逐次得られる抵抗値R
HTRの微分値を逐次計算し、検出回路220を使って逐次得られる情報のうち抵抗値R
HTRのうち微分値が所定範囲に収まっている情報が滑信号として使用され、この平滑信号に基づいて基準抵抗値R
refが決定される。よって、基準抵抗値R
refを高い精度で設定することができる。これにより、ヒータ127の温度の検出時において該温度を高い精度で検出することができ、また、該温度に基づいて発生する制御信号を高い精度で発生することができる。
【0106】
上記の第1例、第2例、第3例および第4例は、ステップS614における基準抵抗値の検出に適用されてもよい。
【0107】
図14には、
図5に示された動作に基準抵抗値を更新する処理が組み込まれた例が示されている。
図5のステップS516、S517、S518が
図14のステップS1101〜S1108で置き換えられる。ステップS1101では、プロセッサ240は、ユーザインターフェース116の表示部DISPを使って、カプセル106の交換を促す報知を行う。この報知は、表示部DISPがLEDを含む場合において、該LEDを青色で点滅(点灯、消灯の繰り返し)させることでありうる。これを受けて、ユーザは、カプセル106を交換しうる。一例において、1個の霧化器104と複数個(例えば、5個)のカプセル106とが1個のセットとして販売されうる。このような例では、1個のセットの1個の霧化器104および全てのカプセル106が消費され、消費されたセットの霧化器104と最後のカプセル106が新しいセットの霧化器104およびカプセル106に交換されうる。
【0108】
ステップS1102では、プロセッサ240は、所定時間の経過を待つ。
図15に示されるように、カプセル106(および/または霧化器104)の交換作業のようにコントローラ102と霧化器104とを電気的に接続する電気接点111〜114に応力が加わる操作によって、検出回路220の出力電圧V
AMPが変動しうる。しかし、コントローラ102と霧化器104とを電気的に接続する電気接点111〜114に加わる力が安定した状態では、出力電圧V
AMPは、狭い範囲内に収束し平滑化された平滑信号となりうる。そこで、
図14の例では、ステップS1101でカプセル106の交換を促した後、ステップS1102で所定時間の経過を待った後に、抵抗値R
HTRおよび基準温度T
refを検出し、メモリに格納(記憶)する。
図14に示される処理は、ユーザインターフェース116を通してユーザに交換を促してから所定時間の経過を待った後に基準抵抗値Rrefを取得する処理(第1処理)である。
【0109】
具体的には、ステップS1103では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせ、スイッチSW2をオンさせる。ステップS1104では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算する。ステップ1105では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、スイッチSW2をオフさせる。
【0110】
ステップS1106では、プロセッサ240は、ステップS1104で計算によって得た抵抗値R
HTRを基準抵抗値R
refとしてメモリに格納(記憶)する。ステップS1107では、プロセッサ240は、吸引器100の所定箇所の温度を取得し、該温度を基準温度T
refとしてメモリに格納(記憶)する。ステップS1108では、プロセッサ240は、ヒータ127に対する給電制御の禁止を解除する。
【0111】
図16に例示されるように、プロセッサ240は、上記の平滑信号を生成するアナログ回路(平滑回路)242と、アナログ回路242の出力信号が入力されるMCU241とを含んでもよい。アナログ回路242は、例えば、上記の第1例〜第4例のいずれかの方法で平滑信号を生成しうる。アナログ回路242は、例えば、移動平均値等の平均値を生成する回路、または、LPF処理を実行するLPF回路、または、ピークを除去するピーク除去回路を含みうる。移動平均値等の平均値を計算する平均回路は、例えば、特開2000−278659号公報の
図1等に記載されている。
図17には、LPF回路を含むアナログ回路242を有する吸引器100の構成が例示されている。
図18には、ピーク除去回路を含むアナログ回路242を有する吸引器100の構成が例示されている。
【0112】
式(2)および式(4)として例示されるような計算は、アナログ回路によって実現されてもよい。
図19には、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算するアナログ回路が例示されている。このようなアナログ回路は、プロセッサ240を構成するMCUに組み込まれてもよいし、MCTとは別に設けられてもよい。
【0113】
以下、霧化器104の交換、すなわちコントローラ102(の保持部103)からの霧化器104の取り外し、および、コントローラ102(の保持部103)への霧化器104の取り付けをコントローラ102のプロセッサ240が検出する処理について説明する。
【0114】
図2に示される第1構成例では、霧化器104がコントローラ102の保持部103によって保持された保持状態における検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、式(6)で与えられる。
【0115】
V
AMP=A・V
HTR=A・Vout・R
HTR/(R
shunt1+R
HTR)
・・・式(6)
ここで、増幅器AMP(の非反転入力端子)には、ヒータ127に電流を供給する電流経路上のノード(例えば、電気接点111)の電圧に応じた電圧V
HTRが入力される。電圧V
HTRは、該ノードの電圧と相関を有する電圧でありうる。一例において、電圧V
HTRは、該ノードの電圧と等しい電圧でありうる。あるいは、電圧V
HTRは、例えば、電気接点111の電圧を分圧した電圧、または、電気接点111の電圧を増幅した電圧であってもよい。出力電圧V
AMPは、プロセッサ240に提供される増幅器AMPの出力である。プロセッサ240は、増幅器AMPから情報を取得し、該情報に応じた制御を実行しうる。プロセッサ240が増幅器AMPから取得する情報は、出力電圧V
AMPであってもよいし、出力電圧V
AMPから導出される情報であってもよい。
【0116】
図20には、第1構成例において、霧化器104がコントローラ102の保持部103によって保持されてない非保持状態が示されている。非保持状態では、第1電気接点111と第2電気接点112との間にヒータ127が存在しない。第1構成例では、第1電気接点111にヒータ駆動電圧V
outが現れるので、非保持状態における検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、式(7)で与えられる。
【0117】
V
AMP=A・V
HTR=A・V
out ・・・式(7)
ここで、保持状態において増幅器AMPの出力電圧V
AMPがとりうる値が第1範囲(0<V
AMP<V
TH)を満たし、非保持状態における増幅器AMPの出力電圧V
AMPがとりうる値が第2範囲(V
TH≦V
AMP≦V
out)を満たすように、増幅率Aおよびシャント抵抗値R
shunt1が決定されうる。第2範囲は、増幅器Aに供給される電源電圧V
outの変動範囲であるように設定されうる。第1範囲と第2範囲とは、互いに重複する範囲を有しないように設定されうる。第1範囲の下限および上限は、第2の範囲の下限および上限より小さく、第1範囲の上限と第2範囲の下限との間に差が設けられてもよい。あるいは、第1範囲の下限および上限は、第2の範囲の下限および上限より大きく、第1範囲の下限と第2範囲の上限との間に差が設けられてもよい。
【0118】
これにより、プロセッサ240は、増幅器AMPから取得した情報に基づいて保持状態と非保持状態を区別して識別することができる。また、プロセッサ240は、増幅器AMPから取得した情報に基づいて、保持状態から非保持状態への遷移、および、非保持状態から保持状態への遷移を検出することができる。保持状態から非保持状態への遷移の検出は、コントローラ102(の保持部103)からの霧化器104の取り外しの検出を意味し、非保持状態から保持状態への遷移の検出は、コントローラ102(の保持部103)への霧化器104の取り付けの検出を意味する。また、プロセッサ240は、増幅器AMPから取得した情報に基づいてヒータ127の温度を計算することができる。このような構成は、吸引器100あるいはコントローラ102のコスト低減に有利である。
【0119】
図3に示された第2構成例では、霧化器104がコントローラ102の保持部103によって保持された保持状態における検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、式(8)(式(6)と同じ)で与えられる。ただし、前述のように、シャント抵抗値R
shunt2は、ヒータ127の抵抗値R
HTRよりも十分に大きい。
【0120】
V
AMP=A・V
HTR=A・V
out・R
HTR/(R
shunt1+R
HTR)
・・・式(8)
図21には、第2構成例において、霧化器104がコントローラ102の保持部103によって保持されてない非保持状態が示されている。非保持状態では、第1電気接点111と第2電気接点112との間にヒータ127が存在しない。第2構成例では、非保持状態における検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、式(9)で与えられる。
【0121】
V
AMP=A・V
HTR=A・V
out・R
shunt2/(R
shunt1+R
shunt2)
・・・式(9)
ここで、保持状態における増幅器AMPの出力電圧V
AMPがとりうる値が第1範囲(0<V
AMP<V
TH)を満たし、非保持状態における増幅器AMPの出力電圧V
AMPがとりうる値が第2範囲(V
TH≦V
AMP≦V
out)を満たすように、増幅率Aおよびシャント抵抗値R
shunt1、R
shunt2が決定されうる。第1範囲と第2範囲とは、互いに重複する範囲を有しないように設定されうる。第1範囲の下限および上限は、第2の範囲の下限および上限より小さく、第1範囲の上限と第2範囲の下限との間に差が設けられてもよい。あるいは、第1範囲の下限および上限は、第2の範囲の下限および上限より大きく、第1範囲の下限と第2範囲の上限との間に差が設けられてもよい。
【0122】
これにより、プロセッサ240は、増幅器AMPから取得した情報に基づいて保持状態と非保持状態を区別して識別することができ、また、プロセッサ240は、増幅器AMPから取得した情報に基づいて、保持状態から非保持状態への遷移、および、非保持状態から保持状態への遷移を検出することができる。また、プロセッサ240は、増幅器AMPから取得した情報に基づいてヒータ127の温度を計算することができる。このような構成は、吸引器100あるいはコントローラ102のコスト低減に有利である。
【0123】
図4に示される第3構成例では、霧化器104がコントローラ102の保持部103によって保持された保持状態における検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、式(10)(式(6)、式(8)と同じ)で与えられる。
【0124】
V
AMP=A・V
HTR=A・V
out・R
HTR/(R
shunt1+R
HTR)
・・・式(10)
図22には、第3構成例において、霧化器104がコントローラ102の保持部103によって保持されてない非保持状態が示されている。非保持状態では、第1電気接点111と第2電気接点112との間にヒータ127が存在しない。第3構成例では、非保持状態における検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、シャント抵抗R
shunt2がなく、V
M<V
outである場合は、式(11)で与えられる。
【0125】
V
AMP=V
M ・・・式(11)
これは、増幅器AMPの出力電圧VAMPの最大値はVMであることから理解できよう。また、第3構成例では、非保持状態における検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、シャント抵抗R
shunt2があり、V
M<V
outである場合は、式(12)が満たされれば、式(11)のように、出力電圧V
AMPが電圧V
Mと等しくなる。この場合、非保持状態における増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、増幅器AMPが出力可能な電圧の最大値となる。よって、非保持状態における増幅器AMPの出力電圧VAMPの値がとりうる第1範囲と重複せずに、保持状態における増幅器AMPの出力電圧V
AMPの値がとりうる第1範囲を大きくすること、すなわち分解能を高くすることができる。
【0126】
(R
shunt2/(R
shunt1+R
shunt2))・V
out>V
M
・・・式(12)
一方、第3構成例では、非保持状態における検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、シャント抵抗R
shunt2があり、V
M>V
outである場合は、式(13)で与えられる。
【0127】
V
AMP=A・V
HTR=A・V
out・R
shunt2/(R
shunt1+R
shunt2)
・・・式(13)
ここで、保持状態における増幅器AMPの出力電圧V
AMPがとりうる値が第1範囲(0<V
AMP<V
TH)を満たし、非保持状態における増幅器AMPの出力電圧V
AMPがとりうる値が第2範囲(V
TH≦V
AMP≦V
M)を満たすように、増幅率Aおよびシャント抵抗値R
shunt1、R
shunt2が決定されうる。第1範囲と第2範囲とは、互いに重複する範囲を有しない。第1範囲の下限および上限は、第2の範囲の下限および上限より小さく、第1範囲の上限と第2範囲の下限との間に差が設けられてもよい。あるいは、第1範囲の下限および上限は、第2の範囲の下限および上限より大きく、第1範囲の下限と第2範囲の上限との間に差が設けられてもよい。
【0128】
これにより、プロセッサ240は、増幅器AMPから取得した情報に基づいて保持状態と非保持状態を区別して識別することができ、また、プロセッサ240は、増幅器AMPから取得した情報に基づいて、保持状態から非保持状態への遷移、および、非保持状態から保持状態への遷移を検出することができる。また、プロセッサ240は、増幅器AMPから取得した情報に基づいてヒータ127の温度を計算することができる。このような構成は、吸引器100あるいはコントローラ102のコスト低減に有利である。
【0129】
上記の増幅器AMPの出力電圧V
AMPは、増幅器AMPから得られる情報の一例である。増幅器AMPからから得られる情報は、例えば、プロセッサ240が出力電圧V
AMPから導出しうる他の情報であってもよい。そのような他の情報としては、例えば、出力電圧V
AMPから計算される抵抗値R
HTRでありうる。プロセッサ240は、抵抗値R
HTRに基づいて保持状態と非保持状態を区別して識別することができ、また、プロセッサ240は、保持状態から非保持状態への遷移、および、非保持状態から保持状態への遷移を検出することができる。
【0130】
増幅器AMPの出力電圧V
AMPがV
THであるときのヒータ127の抵抗値R
HTRをR
THとすると、プロセッサ240は、計算された抵抗値R
HTRがR
THより小さければ、保持状態であると判断することができる。一方、プロセッサ240は、計算された抵抗値R
HTRがR
TH以上であれば、非保持状態であると判断することができる。
【0131】
図27には、コントローラ102の保持部103による霧化器104の保持および非保持に関する状態の変化が例示されている。
図27において、「保持」は、コントローラ102の保持部103によって霧化器104が保持されている保持状態を示している。また、「非保持」は、コントローラ102の保持部103によって霧化器104が保持されていない非保持状態を示している。また、「取外し」は、ユーザがコントローラ102の保持部103から霧化器104を取外す操作を行っている取外し作業状態を示している。また、「取付け」は、ユーザがコントローラ102の保持部103に対して霧化器104を取り付ける操作を行っている取り付け作業状態を示している。
【0132】
図27において、横軸は時間経過を示し、縦軸は抵抗値R
HTRを示している。測定上限は、前述のR
THである。抵抗値R
HTRが測定上限(R
TH)以上であることは、抵抗値R
HTRが第2範囲に属すること、すなわち、霧化器104がコントローラ102の保持部103から取り外されることにより、霧化器104が保持部103によって保持されていない非保持状態であることを形式的に示している。一方、抵抗値R
HTRが測定上限(R
TH)未満であることは、抵抗値R
HTRが第1範囲に属すること、すなわち、霧化器104がコントローラ102の保持部103よって保持されている保持状態であることを形式的に示している。
【0133】
保持状態では、抵抗値R
HTRが若干の変動を有しうる。非保持状態では、抵抗値R
HTRは一定の値を有しうる。取外し作業状態では、抵抗値R
HTRが大きく変動し、抵抗値R
HTRは、保持状態と同様の値を示したり、非保持状態と同様の値を示したりしうる。取付け作業状態では、抵抗値R
HTRが大きく変動し、抵抗値R
HTRが保持状態の値になるまでに相応の時間を有しうる。以上より、
図6に示された検出関連処理のステップS619において、瞬間的な抵抗値R
HTRの大きさに基づいて単純に保持部103の状態を判断したのでは、霧化器104の交換作業の完了を誤って判断しうる。
【0134】
以下、霧化器104の交換作業の完了についての誤判断を防止ないし低減するために有利な制御について説明する。
図23には、検出回路220の増幅器AMPから得られる情報を監視する監視処理が示されている。監視処理は、プロセッサ240によって、
図5および
図6に示された処理とは別に実行される。
図6に示された検出関連処理のステップS619では、プロセッサ240は、
図23に示される監視処理によって管理されているコントローラ102の保持部103の状態の変化に基づいて、霧化器104の交換がなされたことを判断あるいは検出しうる。
図23に示される処理では、検出回路220の増幅器AMPから得られる情報として、増幅器AMPからの出力電圧V
AMPに基づいて計算されるヒータ127の抵抗値R
HTRが使用される。しかしながら、該情報は、例えば、出力電圧V
AMP自体または出力電圧V
AMPに相関を有する情報であってもよい。
【0135】
図26には、制御変数STの遷移が例示されている。
図26における標記は、
図25における標記と共通する。以下では、
図26を参照しながら
図23の処理を説明する。ステップS2301では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせ、スイッチSW2をオンさせる。ステップS2302では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算する。ステップS2303では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、スイッチSW2をオフさせる。
【0136】
ステップS2304では、プロセッサ240は、ステップS2302で検出した抵抗値R
HTRがR
TH(
図27の測定上限に相当)以上であるかどうかを判断する。そして、プロセッサ240は、抵抗値R
HTRがR
TH以上であれば、ステップS2305に進み、抵抗値R
HTRがR
TH未満であれば、ステップS2314に進む。ここで、抵抗値R
HTRがR
TH以上であることは、抵抗値R
HTRが第2範囲に属すること、すなわち、霧化器104がコントローラ102の保持部103から取り外されることにより、保持部103によって保持されていない非保持状態であることを形式的に示している。一方、抵抗値R
HTRがR
TH未満であることは、抵抗値R
HTRが第1範囲に属すること、すなわち、霧化器104がコントローラ102の保持部103よって保持されている保持状態であることを形式的に示している。
【0137】
ステップS2305では、プロセッサ240は、制御用の変数である制御変数STが「非保持状態」であるか、「保持状態」であるかを判断する。制御変数STが「非保持状態」であることは、現在の状態が、コントローラ102の保持部103によって霧化器104が保持されていない非保持状態であるとプロセッサ240が認識していることを意味する。一方、制御変数STが「保持状態」であることは、現在の状態が、コントローラ102の保持部103によって霧化器104が保持されている保持状態であるとプロセッサ240が認識していることを意味する。ステップ2305において、プロセッサ240は、制御変数STが「非保持状態」であれば、ステップS2301に戻り、制御変数STが「保持状態」であれば、ステップS2306に進む。
図23の処理では、ステップS2304で抵抗値R
HTRがR
TH以上であると判断されない限り、ステップS2305の判断が実行されないので、保持部103によって霧化器104が保持された保持状態(例えば、
図26のP1)において、抵抗値R
HTRに第1範囲内での変動があったとしても、保持状態であるとの認識が継続される。
【0138】
ステップS2306〜S2313では、プロセッサ240は、第1範囲(<R
TH)内であった抵抗値R
HTRが継続して第2範囲(≧R
TH)内に収まったことに応じて保持状態(例えば、
図26のP1)から非保持状態(例えば、
図26のP3)への遷移が完了したものと判断する。具体的には、ステップS2306では、プロセッサ240は、制御用の変数N1を1にセットする。ステップS2307では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせ、スイッチSW2をオンさせる。ステップS2308では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算する。ステップS2309では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、スイッチSW2をオフさせる。
【0139】
ステップS2310では、プロセッサ240は、ステップS2308で検出した抵抗値R
HTRがR
TH以上であるかどうかを判断する。そして、プロセッサ240は、抵抗値R
HTRがR
TH以上であれば、ステップS2311においてN1に1を加算した後にステップS2312に進み、抵抗値R
HTRがR
TH未満であれば、ステップS2301に戻る。ステップS2312では、プロセッサは、N1が予め設定されたT1に達したかどうかを判断し、N1がT1に達したら、ステップS2313に進み、そうでなければ、ステップS2307に戻る。T1は、ステップS2307〜S2312のループ(例えば、
図26のP2)が、例えば1.5秒〜2.5秒の範囲内の任意の時間にわたって継続するように設定されうる。ステップS2313では、プロセッサ240は、状態変数STを「非保持状態」に設定あるいは変更する。
【0140】
ステップS2314〜S2323では、プロセッサ240は、第2範囲(≧R
TH)内であった抵抗値R
HTRが継続して第1範囲(<R
TH)内に収まったことに応じて非保持状態(例えば、
図26のP3)から非保持状態(例えば、
図26のP5)への遷移が完了したものと判断する。具体的には、ステップS2314では、プロセッサ240は、制御変数STが「保持状態」であるか、「非保持状態」であるかを判断し、制御変数STが「保持状態」であれば、ステップS2301に戻り、制御変数STが「非保持状態」であれば、ステップS2315に進む。
【0141】
ステップS2315では、プロセッサ240は、抵抗値R
THRが第1範囲(≦R
TH)内の所定範囲内にあるかどうかを判断し、抵抗値R
THRが該所定範囲内であれば、ステップS2316に進み、そうでなければ、ステップS2301に戻る。ここで、該所定範囲は、抵抗値R
THRが保持状態における抵抗値R
THRであることを保証しうるように決定されうる。ステップS2316では、プロセッサ240は、制御用の変数N2を1にセットする。ステップS2317では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせ、スイッチSW2をオンさせる。ステップS2318では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算する。ステップS2319では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、スイッチSW2をオフさせる。
【0142】
ステップS2320では、プロセッサ240は、ステップS2318で検出した抵抗値R
HTRが所定範囲内にあるかどうかを判断し、抵抗値R
THRが該所定範囲内であれば、ステップS2321に進み、そうでなければ、ステップS2301に戻る。ここで、該所定範囲は、ステップS2315における所定範囲と同じ範囲とされうるが、異なる範囲(例えば、より小さい範囲)であってもよい。ステップS2321では、プロセッサは、N2が予め設定されたT2に達したかどうかを判断し、N2がT2に達したら、ステップS2323に進み、そうでなければ、ステップS2317に戻る。T2は、ステップS2317〜S2322のループ(例えば、
図26のP4)が、例えば1.5秒〜2.5秒の範囲内の任意の時間にわたって継続するように設定されうる。ステップS2323では、プロセッサ240は、状態変数STを「保持状態」に設定あるいは変更する。
【0143】
ここで、一例として、
図5に示された処理のステップS504において開始される給電制御と第1範囲との関係を説明する。給電制御は、保持状態において実行される。給電制御において、プロセッサ240は、増幅器AMPの出力電圧V
AMP(増幅器AMPから得られる情報)の値が第1範囲内の第3範囲に属している場合に、ヒータ127に電力が供給されないように電力供給部270(スイッチSW1)を制御しうる。また、給電制御において、プロセッサ240は、霧化要求が存在する状態において、増幅器AMPの出力電圧V
AMP(増幅器AMPから得られる情報)の値が第1範囲内の第4範囲に属している場合に、出力電圧V
AMPに基づいて電力供給部270(スイッチSW1)を制御しうる。第3範囲および第4範囲は、互いに重複する範囲を有しないように設定されうる。第3範囲は、目標温度範囲であり、第4範囲は、該目標温度範囲外の温度範囲でありうる。
【0144】
他の例として、
図6に示される処理における第1範囲と給電制御との関係を説明する。
図6に示された処理では、ヒータ127の温度T
HTRが250℃を超えると、プロセッサ240は、ステップS628において所定期間(例えば、11秒間)にわたりヒータ127の加熱(ヒータ127に対する給電)を禁止する。この例では、250℃以上の温度範囲は、第1範囲内における第3範囲であり、250℃未満の温度範囲は、第1範囲内における第4範囲である。
【0145】
図24には、
図23に示された監視処理の変形例が示されている。
図24に示された監視処理では、
図23に示された監視処理に対してステップS2341およびステップS2342が追加されている。ステップS2315において、抵抗値R
THRが第1範囲(≦R
TH)内の所定範囲内にあると判断されると、ステップS2341が実行される。ステップS2341では、プロセッサ240は、エアロゾルの生成を禁止、すなわちヒータ127の加熱(ヒータ127に対する給電)を禁止する。これにより、
図26にP4として示された期間において、エアロゾルの発生が禁止される。
【0146】
ステップS2323において状態変数STが「保持状態」に設定あるいは変更された後に、ステップS2342が実行される。ステップS342では、プロセッサ240は、エアロゾルの生成の禁止を解除する。このようにすれば、霧化器104がコントローラ102の保持部103よって保持されている保持状態においてのみ、エアロゾルの発生(ヒータ127に対する給電)が許可されるため、吸引器100の安全性を向上させることができる。
【0147】
図25には、
図23に示された監視処理の他の変形例が示されている。
図25に示された監視処理では、ステップS2314よりも後の処理が
図23に示された監視処理とは異なる。以下、ステップS2314以降の処理を説明する。
【0148】
ステップS2314〜S2323では、プロセッサ240は、第2範囲(≧R
TH)内であった抵抗値R
HTRが継続して第1範囲(<R
TH)内に収まったことに応じて非保持状態(例えば、
図26のP3)から非保持状態(例えば、
図26のP5)への遷移が完了したものと判断する。具体的には、ステップS2314では、プロセッサ240は、制御変数STが「保持状態」であるか、「非保持状態」であるかを判断し、制御変数STが「保持状態」であれば、ステップS2301に戻り、制御変数STが「非保持状態」であれば、ステップS2351に進む。
【0149】
ステップS2351では、プロセッサ240は、ステップS2302で検出した抵抗値R
THRをメモリの作業領域に格納(記憶)する。ステップS2316では、プロセッサ240は、制御用の変数N2を1にセットする。ステップS2317では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオフさせ、スイッチSW2をオンさせる。ステップS2318では、プロセッサ240は、検出回路220の増幅器AMPの出力電圧V
AMPを検出し、検出した出力電圧V
AMPに基づいて、式(2)および式(4)に従ってヒータ127の抵抗値R
HTRを計算する。ステップS2319では、プロセッサ240は、スイッチSW1をオンさせ、スイッチSW2をオフさせる。
【0150】
ステップS2352では、プロセッサ240は、ステップS2318で検出した抵抗値R
HTRがR
TH以上であるかどうかを判断する。そして、プロセッサ240は、抵抗値R
HTRがR
TH以上であれば、ステップS2301に戻り、抵抗値R
HTRがR
TH未満であれば、ステップS2353に進む。
【0151】
ステップS2353では、プロセッサ240は、ステップS2353で検出した抵抗値R
THRをメモリの作業領域に格納(記憶)する。ステップS2321では、プロセッサ240は、N2がT2に達したかどうかを判断し、N2がT2に達したら、ステップS2354に進み、そうでなければ、ステップS2318に戻る。T2は、ステップS2318〜S2322のループ(例えば、
図26のP4)が、例えば1.5秒〜2.5秒の範囲内の任意の時間にわたって継続するように設定されうる。
【0152】
ステップS2354では、プロセッサ240は、メモリの作業領域に格納されている複数の抵抗値R
THRのばらつきを示す指標として標準偏差σを計算する。ステップS2355では、プロセッサ240は、ステップS2354で計算したσが所定の閾値より小さいかどうか、すなわち、抵抗値R
THRが収束したかどうかを判断する。そして、プロセッサ240は、σが所定の閾値より小さければ、ステップS2323に進み、そうでなければ、ステップS2301に戻る。ステップS2323では、プロセッサ240は、状態変数STを「保持状態」に設定あるいは変更する。
【0153】
図26に例示されるように、プロセッサ240は、取外し作業状態を保持状態として認識あるいは判断し、取付け作業状態を非保持状態として認識あるいは判断する。これにより、
図6に示された検出関連処理のステップS619において、プロセッサ240は、霧化器104の交換がなされたことを正確に判断あるいは検出することができる。
【0154】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【解決手段】吸引器用コントローラは、エアロゾル源を加熱するヒータを有する霧化器を保持する保持部と、前記保持部に取り付けられた前記霧化器の前記ヒータに電力を供給する電力供給部と、前記ヒータに電流を供給する電流経路上のノードの電圧に応じた電圧が入力される増幅器と、前記増幅器から情報を取得し、前記情報に応じた制御を実行するプロセッサと、を備え、前記保持部が前記霧化器を保持した保持状態において前記情報の値がとりうる第1範囲と、前記保持部が前記霧化器を保持していない非保持状態において前記情報の値がとりうる第2範囲とは、互いに重複する範囲を有しない。