特許第6842076号(P6842076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6842076廃棄物選別システム、及び廃棄物選別方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6842076
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】廃棄物選別システム、及び廃棄物選別方法
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20210308BHJP
   B07C 5/346 20060101ALI20210308BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   B07C5/342
   B07C5/346
   B09B5/00 M
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-87850(P2020-87850)
(22)【出願日】2020年5月20日
【審査請求日】2020年5月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520176599
【氏名又は名称】株式会社NRS
(73)【特許権者】
【識別番号】516026240
【氏名又は名称】株式会社サナース
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 卓
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−109197(JP,A)
【文献】 特開2002−296245(JP,A)
【文献】 特開2010−172799(JP,A)
【文献】 特開平11−197609(JP,A)
【文献】 特開2001−259536(JP,A)
【文献】 特許第6695539(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0217342(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/00−5/38
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を搬送する第1搬送部と、搬送される前記廃棄物の素材を検知するセンサと、第1選別対象の前記素材の登録を受け付ける制御部と、1又は複数のノズルから排出されるエアーを用いて前記センサにより検知された前記第1選別対象の素材の前記廃棄物を回収する第1回収部と、を備える第1の光学選別機構と、
前記第1の光学選別機構の下流に位置し、前記第1回収部により回収されなかった前記廃棄物を搬送する第2搬送部と、第2選別対象の素材として、前記第1選別対象の前記素材と同じ素材の登録を受け付ける制御部と、前記第2搬送部により搬送される前記廃棄物のうち第2選別対象として登録された前記素材の前記廃棄物を回収するロボットアームと、を備えるロボット選別機構と、
を備えることを特徴とする、廃棄物選別システム。
【請求項2】
請求項1に記載の廃棄物選別システムであって、
前記ロボットアームは、単位時間当たりのピック回数に制限があることを特徴とする、廃棄物選別システム。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか一項に記載の廃棄物選別システムであって、
前記ロボット選別機構の下流に位置し、前記ロボットアームにより回収されなかった前記廃棄物を搬送する第4搬送部と、第3選別対象の素材として、前記第1選別対象の前記素材と同じ素材の登録を受け付ける制御部と、前記第4搬送部により搬送される前記廃棄物のうち、第3選別対象として登録された素材の前記廃棄物を、1又は複数のノズルから排出されるエアーを用いて回収する第2回収部と、を備える第2の光学選別機構を備えることを特徴とする、廃棄物選別システム。
【請求項4】
廃棄物を搬送する第1搬送ステップと、
第1選別対象となる前記廃棄物の素材の登録を受け付ける第1登録ステップと、
前記第1搬送ステップで搬送される前記廃棄物の素材をセンサを用いて検知する検知ステップと、
1又は複数のノズルから排出されるエアーを用いて前記センサにより検知された前記第1選別対象の素材の前記廃棄物を回収する第1回収ステップと、
第2選別対象となる前記廃棄物の素材として、前記第1選別対象の前記素材と同じ素材の登録を受け付ける第2登録ステップと、
第1回収ステップにおいて回収されなかった前記廃棄物を搬送する第2搬送ステップと、
前記第2搬送ステップにおいて搬送される前記廃棄物のうち第2選別対象として予め登録された前記素材の前記廃棄物をロボットアームを用いて回収するアーム回収ステップと、
を備えることを特徴とする、廃棄物選別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、廃棄物選別システム、及び廃棄物選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物を資源として有効活用するために、素材や大きさ等に応じて廃棄物を選別する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、廃棄物の選別システムが開示されている。同文献の段落[0035]には、「まず、サブコンベア21に廃棄物Wを供給し、選別の前処理として振動篩装置22によって廃棄物Wを所定の大きさ以下(50mm)の廃棄物を篩い落してから廃棄物W1,W2,W3・・・をコンベア20に供給する。」と記載されている。また、段落[0041]には、「また、ステップS6において廃棄物Wの素材が指定されると、入力部21から選別処理部44に信号が出力され、選別処理部44によってロボットアーム50を駆動する。ロボットアーム50は、コンベア20上の廃棄物W1,W2,W3・・・を取り出し、作業者が指定した素材に対応する回収ボックス70に廃棄物W1,W2,W3・・・を摘み上げて排出することによって、廃棄物Wが素材毎に選別される(ステップS11)。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−109197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、振動篩装置を用いて所定の大きさ以下の廃棄物を篩い落とす前処理を行った後、ロボットアームを用いて所定の素材の廃棄物を摘み上げて排出している。即ち、ロボットアームにより回収される廃棄物はある一定以上の大きさを有している。一定以上の大きさを有さない廃棄物を選別するためには、篩い落とされた廃棄物を別の選別ラインに移動させる必要が生じ、移動コストが発生する。さらには、振動篩装置によって生じる2種類の廃棄物をそれぞれ別の選別ラインで選別する必要があるため、広いスペースが必要となる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、より効率的に廃棄物を選別する廃棄物選別システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る廃棄物選別システムは、廃棄物を搬送する第1搬送部と、搬送される前記廃棄物の素材を検知するセンサと、第1選別対象の前記素材の登録を受け付ける制御部と、1又は複数のノズルから排出されるエアーを用いて前記センサにより検知された前記第1選別対象の素材の前記廃棄物を回収する第1回収部と、を備える第1の光学選別機構と、前記第1の光学選別機構の下流に位置し、前記第1回収部により回収されなかった前記廃棄物を搬送する第2搬送部と、第2選別対象の素材として、前記第1選別対象の前記素材と同じ素材の登録を受け付ける制御部と、前記第2搬送部により搬送される前記廃棄物のうち第2選別対象として登録された前記素材の前記廃棄物を回収するロボットアームと、を備えるロボット選別機構と、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記ロボットアームは、単位時間当たりのピック回数に制限があることを特徴としてもよい。
【0009】
前記廃棄物選別システムは、前記ロボット選別機構の下流に位置し、前記ロボットアームにより回収されなかった前記廃棄物を搬送する第4搬送部と、第3選別対象の素材として、前記第1選別対象の前記素材と同じ素材の登録を受け付ける制御部と、前記第4搬送部により搬送される前記廃棄物のうち、第3選別対象として登録された素材の前記廃棄物を、1又は複数のノズルから排出されるエアーを用いて回収する第2回収部と、を備える第2の光学選別機構を備えることを特徴としてもよい。
【0010】
また、本発明の他の態様に係る廃棄物選別方法は、廃棄物を搬送する第1搬送ステップと、第1選別対象となる前記廃棄物の素材の登録を受け付ける第1登録ステップと、前記第1搬送ステップで搬送される前記廃棄物の素材をセンサを用いて検知する検知ステップと、1又は複数のノズルから排出されるエアーを用いて前記センサにより検知された前記第1選別対象の素材の前記廃棄物を回収する第1回収ステップと、第2選別対象となる前記廃棄物の素材として、前記第1選別対象の前記素材と同じ素材の登録を受け付ける第2登録ステップと、第1回収ステップにおいて回収されなかった前記廃棄物を搬送する第2搬送ステップと、前記第2搬送ステップにおいて搬送される前記廃棄物のうち第2選別対象として予め登録された前記素材の前記廃棄物をロボットアームを用いて回収するアーム回収ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、より効率的に廃棄物を選別する廃棄物選別システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】廃棄物選別システムの一例を示す模式図である。図1(A)は、廃棄物選別システムの平面図であって、図1(B)は、廃棄物選別システムの側面図である。
図2】第1光学選別機の一例を示す模式図である。図2(A)は、第1光学選別機の平面図であり、図2(B)は、第1光学選別機の側面図である。
図3】ロボット選別機及び選別台の一例を示す模式図である。図3(A)は、ロボット選別機及び選別台の平面図であり、図3(B)は、ロボット選別機及び選別台の側面図である。
図4】第2光学選別機の一例を示す模式図である。図4(A)は、第2光学選別機の平面図であり、図4(B)は、第2光学選別機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の例を説明する。以下において、中間処理施設において使用される廃棄物選別システムを例に挙げて説明する。しかしながら、本実施形態における廃棄物選別システムは、中間処理施設において用いられるものに限定されるものではなく、さらには、本システムにおける選別対象は、廃棄物に限定されるものではない。
【0014】
従来の廃棄物選別システムでは、振動篩装置を用いて廃棄物を大きさにより仕分け、小さい廃棄物と大きい廃棄物とで別々の選別処理を行う。小さい廃棄物については、エアーにより選別処理を行う光学選別機を用いて、対象の廃棄物を選別する。大きい廃棄物については、選別作業者が目視により対象の廃棄物を特定し、手で選別を行う。しかしながら、この方法では振動篩装置から2ラインに分岐して選別処理を行うため、スペースを要する。本実施形態における廃棄物選別システムは、対象の廃棄物の選別をより効率的に行うことが可能となる。
【0015】
図1は、廃棄物選別システム10の一例を示す模式図である。図1(A)は、廃棄物選別システム10の平面図であって、図1(B)は、廃棄物選別システム10の側面図である。
【0016】
廃棄物選別システム10は、定量供給機1と、粒度選別機2と、第1光学選別機3と、ロボット選別機4と、選別台5と、第2光学選別機7と、搬送コンベア6・9と、選別品コンベア8・11とを備える。一例として、少なくとも第1光学選別機3と、ロボット選別機4と、選別台5と、第2光学選別機7とは、直列に設置される。また、少なくとも第1光学選別機3と、ロボット選別機4と、選別台5と、第2光学選別機7とは、地面より高い位置に設置され、選別した廃棄物を下階に落とす。
【0017】
本実施形態では、第1光学選別機3と、ロボット選別機4と、第2光学選別機7とは、同じ素材の廃棄物を選別するよう設定される。しかしながら、第1光学選別機3と、ロボット選別機4と、第2光学選別機7については、各々選別対象となる素材の設定が可能であるため、異なる素材の廃棄物を回収するよう設定されていてもよい。
【0018】
定量供給機1は、粒度選別機2に対して廃棄物を定量的に供給する機能を有する。定量供給機1は、例えば複数のプッシュボードを前後方向に交互に移動させることにより、廃棄物を搬送コンベア9に供給する。定量供給機1により定量的に供給される廃棄物は、搬送コンベア9により第1光学選別機3に搬送される。
【0019】
なお、搬送コンベア9は、図示しない磁選機を有し、廃棄物を搬送しながら廃棄物内の金属材料を回収してもよい。
【0020】
粒度選別機2は、粒度の小さい廃棄物を篩い落とす篩い機である。例えば粒度選別機2は、筒状のスクリーンドラムを有しており、スクリーンドラムを回転させることにより、搬送コンベア9から搬送された廃棄物から粒度の小さい廃棄物(例えば20mm以下)を篩い落とす。結果として、粒度選別機2により、粒度の大きな廃棄物が選別され、第1光学選別機3に搬送される。
【0021】
なお、粒度選別機2は、廃棄物選別システム10に必須の構成ではない。しかしながら、粒度選別機2を後述の第1光学選別機3よりも上流に配置することにより、第1光学選別機3の負荷を軽減し、より精度の高い廃棄物の選別を可能とする。
【0022】
第1光学選別機3は、予め登録された選別対象の素材の廃棄物を検知し、エアーを噴出することにより選別し回収する機構を有する。第1光学選別機3により回収された廃棄物は、選別品コンベア11により図示しない回収庫へと搬送される。第1光学選別機3において、登録された素材以外の素材により構成される廃棄物と、登録された廃棄物のうち一定の重さ以上の廃棄物とが、回収されずに下流へと導かれる。第1光学選別機3により回収されなかった廃棄物は、第1光学選別機3よりも下流に位置するロボット選別機4に搬送される。
【0023】
ロボット選別機4は、ロボットアームを用いて選別対象の廃棄物を摘まみ上げて回収する機構を有する。ロボット選別機4により回収された廃棄物は、選別品コンベア8により回収庫へと搬送される。ロボット選別機4により回収されなかった廃棄物は、ロボット選別機4の下流に位置する選別台5に搬送される。
【0024】
選別台5は、搬送路の一部であって、選別作業者が選別作業を行うよう選別作業者の目前に廃棄物を搬送する。選別作業者は、廃棄物を目視し、選別対象となる廃棄物を手で回収する。選別作業者により回収されなかった廃棄物は、搬送コンベア6により、選別台5の下流に位置する第2光学選別機7に搬送される。
【0025】
第2光学選別機7は、第1光学選別機3と同様に、エアーを噴出することにより、選別対象の廃棄物を選別し回収する機構を有する。下流に第2光学選別機7を配置することにより、より確実に選別対象の廃棄物を選別することができる。
【0026】
選別品コンベア11は、第1光学選別機3により回収された選別対象の廃棄物を搬送するコンベアである。選別品コンベア11は、例えば1列設置され、選別前の廃棄物の搬送方向と逆方向、即ち上流方向に向けて稼働し、第1光学選別機3により回収された廃棄物を搬送する。
【0027】
選別品コンベア8は、ロボット選別機4により回収された選別対象の廃棄物を搬送するコンベアである。選別品コンベア8は、例えばロボット選別機4を挟むよう2列設置される。1列の選別品コンベア8は、上流に向けて稼働し、ロボット選別機4により回収された廃棄物を搬送する。
【0028】
図2は、第1光学選別機3の一例を示す模式図である。図2(A)は、第1光学選別機3の平面図であり、図2(B)は、第1光学選別機3の側面図である。
【0029】
第1光学選別機3は、搬送コンベア31と、センサ32と、回収部33と、選別品コンベア34と、回収ダクト35とを備える。搬送コンベア31は、回収部33へと廃棄物を搬送する(図2に示す矢印a方向)。搬送コンベア31は、例えばベルトコンベアであるが、様々な大きさの廃棄物を搬送可能なものであればよい。
【0030】
センサ32は、廃棄物の素材を検知する。センサ32は、例えば近赤外線カメラによりその機能を発揮する。センサ32は近赤外線カメラに限定されず、X線カメラなど、選別する素材に応じて適切な装置を用いることができる。
【0031】
第1光学選別機3の回収部33は、図示しない制御部及びノズルによりその機能を発揮する。制御部は、図示しないコンピューターによりその機能を発揮する。制御部は、入力装置を介して素材の入力を受け付けると、入力された素材を選別対象として登録する。制御部は、センサ32により検知された情報を用いて、選別対象の素材を有する廃棄物を検知する。制御部は、例えば近赤外線カメラにより撮像された画像を解析する。一例として、制御部は、ハイパースペクトラルイメージング(HSI)法により画像を解析し、高い精度で選別対象の素材を検知することができる。
【0032】
回収部33は、内部に1又は複数のノズルを備え、バルブを開閉することによりノズルからエアーを噴出する。制御部は、検知した選別対象の素材に対してエアーを噴出することにより、対象の廃棄物をそれ以外の廃棄物と異なる搬送路に移動させて選別する。
【0033】
選別された廃棄物は、選別品コンベア34により図2に示す矢印b方向に搬送される。選別品コンベア34により搬送された廃棄物は、下段の選別品コンベア11に移し替えられる。選別品コンベア11は、図2に示す矢印m方向に移動する。選別品コンベア11に載置された選別対象の廃棄物は、回収ダクト36を経由して、図2に示す矢印n方向又は矢印o方向に排出され、回収される。
【0034】
回収部33により回収されなかった廃棄物は、搬送コンベア41により、図2に示す矢印c方向に移動する。なお、本実施形態における第1光学選別機3は、例えば廃プラスチックからポリ塩化ビニル(PVC)、廃プラスチックからポリエチレンテレフタレート(PET)、混合廃棄物からプラスチック、混合廃棄物から木、混合廃棄物から紙、等を選別可能である。
【0035】
図3は、ロボット選別機4及び選別台5の一例を示す模式図である。図3(A)は、ロボット選別機4及び選別台5の平面図であり、図3(B)は、ロボット選別機4及び選別台5の側面図である。ロボット選別機4は、搬送コンベア41と、センサ42と、アーム支持部43とを備える。搬送コンベア41は、図3に示すc方向に移動し、第1光学選別機3により回収されなかった廃棄物を下流のセンサ42へと導く。
【0036】
センサ42は、図2に示すセンサ32と同様に、可視光カメラ又は近赤外線カメラ、レーザースキャナー、金属検知器等であって、廃棄物の素材を検知する。アーム支持部43は、1つにつき1又は複数のロボットアームを指示する。図3に示すロボット選別機4は、各々1つのロボットアームを支持する2つのアーム支持部43を有しているが、ロボット選別機4の有するアーム支持部43の数、及びアーム支持部43の支持するロボットアームの数はこれに限定されない。
【0037】
ロボット選別機4は、第1光学選別機3と同様に、図示しない制御部を有し、入力された素材を選別対象として登録する。制御部は、センサ42により検知された情報を用いて、選別対象の素材を有する廃棄物を検知する。制御部は、検知した選別対象の廃棄物のピックポイントを特定し、ロボットアームを駆動させて摘まみ上げ、選別品コンベア8に載置することにより回収する。
【0038】
選別品コンベア8は図3に示す左方向に移動し、選別対象の廃棄物は、図2に示す回収ダクト35を経由して矢印e方向又は矢印f方向に排出される。
【0039】
付言すると、ロボット選別機4は、単位時間当たりのピック回数に物理的な制限がある。様々な大きさの廃棄物が混合されている場合、そのままロボット選別機4による選別を行うと、小さい廃棄物を大きい廃棄物と同様にロボットアームが回収するため、容易に単位時間当たりのピック回数の上限に達し、対象の廃棄物を回収し損なう事態が想定される。
【0040】
本実施形態では、ロボット選別機4より上流に第1光学選別機3を設置することで、ロボット選別機4による選別処理を行う前に、対象の廃棄物のうち軽量のものが選別される。即ち、ロボット選別機4に廃棄物が搬送される際には、残存する対象の廃棄物は一定以上の重さを有するものに限られる。これにより、廃棄物選別システム10が振動篩装置を有さない場合であっても、ロボット選別機4は大きさの大きい廃棄物を効率的に回収することができる。
【0041】
また、図1図3に示す廃棄物選別システム10は、2列の選別品コンベア8を有しているが、これらの選別品コンベア8が各々異なる方向に移動してもよい。例えば複数のロボット選別機4が、異なる方向に移動する選別品コンベア8に廃棄物を載置することができる。これにより、複数のロボット選別機4が、異なる基準で廃棄物を仕分けることができる。
【0042】
なお、選別品コンベア8・11により、第1光学選別機3とロボット選別機4とで、回収する廃棄物を分類することができる。例えば、第1光学選別機3により選別された廃棄物と、ロボット選別機4により選別された、第1光学選別機3による廃棄物より大きい廃棄物とを分類することができる。また例えば、第1光学選別機3とロボット選別機4とで、異なる素材の廃棄物を回収することができる。
【0043】
ロボット選別機4で回収されなかった廃棄物は、図3に示す矢印g方向に移動し、選別台5へと搬送される。
【0044】
選別台5は、選別対象者が作業を行う台である。選別台5はコンベア状になっており、廃棄物を矢印g方向に移動させる。選別作業者は、選別台5の上の廃棄物を目視し、対象となる素材の廃棄物がある場合に、手でつかみ、選別台5の下部に配置されたケースに移動させる。
【0045】
本実施形態において、選別台5を設け、選別作業者による選別を行うことにより、確実に対象となる素材の廃棄物を回収することができる。
【0046】
図4は、第2光学選別機7の一例を示す模式図である。図4(A)は、第2光学選別機7の平面図であり、図4(B)は、第2光学選別機7の側面図である。選別台5において回収されなかった廃棄物は、搬送コンベア6により第2光学選別機7に搬送される。
【0047】
第2光学選別機7は、搬送コンベア71と、センサ72と、回収部73と、回収ダクト74・75とを備える。搬送コンベア71は、搬送コンベア6により搬送される、第1光学選別機3、ロボット選別機4、及び選別台5において回収されなかった廃棄物をセンサ72に対して搬送する。
【0048】
センサ72は、先述のセンサ32・42と同様に、可視光カメラ又は近赤外線カメラ、レーザースキャナー、金属検知器等であって、廃棄物の素材を検知する。第2光学選別機7は、図示しない制御部を有し、入力装置を介して素材の入力を受け付けると、入力された素材を選別対象として登録する。制御部は、センサ72により検知された情報を用いて、選別対象の素材を有する廃棄物を検知する。
【0049】
回収部73は、内部に1又は複数のノズルを備え、バルブを開閉することによりノズルからエアーを噴出する。制御部は、検知した選別対象の素材に対してエアーを噴出することにより、対象の廃棄物とそれ以外の廃棄物とを選別する。選別された廃棄物は、回収ダクト74又は回収ダクト75のいずれか一方を経由して、図4の矢印k方向又は矢印l方向に排出される。選別されなかった廃棄物は、回収ダクト74又は回収ダクト75のうち、選別された廃棄物により使用される方でない回収ダクトを経由して、図4の矢印k方向又は矢印l方向に排出される。
【0050】
本実施形態では、第2光学選別機7を使用することにより、仮にロボット選別機4や選別作業者による選別により回収しきれなかった選別対象の廃棄物がある場合にも、確実に対象の廃棄物を回収することができる。
【0051】
なお、本実施形態において、選別台5及び第2光学選別機7は必須の構成ではない。選別対象となる廃棄物の素材やスペース等に応じて、適切な装置構成を選択することができる。また、各装置の有する制御部は、他の制御部と共通であってもよい。即ち、例えば第1光学選別機3の制御部が、ロボット選別機4、及び第2光学選別機7における選別処理を制御してもよい。
【0052】
以上、本実施形態の廃棄物選別システム10によれば、直列に配置された各装置により効率的に対象の廃棄物を選別して回収することができる。これにより、別ラインで廃棄物の大きさを仕分ける作業を行う必要がないため、装置を並列に設置する場合に比べ、占有スペースの削減が可能となる。特に、第1光学選別機3の下流にロボット選別機4を配置することで、各装置の機能が適切に発揮され、より効率的に廃棄物の選別を行うことができる。
【0053】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本願発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本願発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本願発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:定量供給機、2:粒度選別機、6・31・41・71:搬送コンベア、3:第1光学選別機、4:ロボット選別機、5:選別台、7:第2光学選別機、8・11・34:選別品コンベア、10:廃棄物選別システム、32・42・72:センサ、33・73:回収部、35・36・44・74・75:回収ダクト、43:アーム支持部、a・b・c・d・e・f・g・h・i・k・l・n・o:矢印
【要約】
【課題】より効率的に廃棄物を選別する廃棄物選別システムの提供を目的とする。
【解決手段】廃棄物選別システムであって、廃棄物を搬送する第1搬送部と、搬送される前記廃棄物の素材を検知するセンサと、第1選別対象の前記素材の登録を受け付ける制御部と、1又は複数のノズルから排出されるエアーを用いて前記センサにより検知された前記第1選別対象の素材の前記廃棄物を回収する第1回収部と、を備える第1の光学選別機構と、前記第1の光学選別機構の下流に位置し、前記第1回収部により回収されなかった前記廃棄物を搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部により搬送される前記廃棄物のうち第2選別対象として登録された前記素材の前記廃棄物を回収するロボットアームと、を備えるロボット選別機構と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4