【実施例1】
【0016】
<廃棄物選別機1の構成>
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、実施例1の廃棄物選別機の縦断面図である。
図2は、実施例1の廃棄物選別機を示す一部切り欠いた平面図であり、
図1のE−E線において切り欠いたものである。なお、
図1及び
図2においては、断面線は便宜上省略している。
実施例1の廃棄物選別機1は、
図1に示すように、廃棄物の小片(一辺が1〜20mmの大きさ、好ましくは一辺が1〜15mmの破砕片や粉砕片)を分散させて供給する供給部3と、供給された小片を所望の分類となるように選別する選別部5と、選別された分類ごとに小片を回収する回収部7と、これらを支える架台9とを備えている。
以下、廃棄物選別機1について、供給部3、選別部5、回収部7の順に説明する。なお、本実施例では、廃棄物の一例として、破砕又は/及び粉砕処理したペットボトルを、ボトル本体の樹脂片とラベルの薄片とに選別する場合について主として述べるが、廃棄物はこれに限らず、空気流に対する性質の異なる小片の混合物であれば選別可能であり、その詳細については後述する。
【0017】
<供給部3の構成>
供給部3は、廃棄物選別機1の上部に設けられた略円錐形状の部分である。
図1に示すように、供給部3は、上方から順に、廃棄物(破砕又は/及び粉砕処理したペットボトル)の小片を投入する投入部10と、投入された小片を分散させ、平面視において放射状に広がるように移動させる分散部20と、移動してきた小片を選別部5に誘導する誘導部30とを有する。
【0018】
投入部10は、略円筒形状の部分であり、上端内側には、平面視中央に投入口12が形成された略漏斗状の案内部材11が配設されている。分散部20は、略円錐台形状の部分であり、略中空円錐形状(横断面視略逆V字状)のコーン21と、このコーン21の上方に空間(後述する分散通路25)を設けた状態で、かつ、コーン21の上面側をカバーするように配設された略中空円錐台形状(横断面視略ハの字状)のコーンカバー23とを有する。分散部20には、コーン21とコーンカバー23により、投入部10の投入口12と連通する分散通路25が形成されている。
【0019】
案内部材11、コーン21、コーンカバー23は、それぞれが略軸対称な形状をしており、対称軸である中心軸が同一鉛直線上に位置するように配設されている。また、コーン21の頂部22は曲面となっており、投入された小片は、投入口12の直下に配設された頂部22により放射状に広がるように分散し、分散通路25の下流側(
図1における斜め下方)に略均等に分配される。また、コーン21の傾斜角度は、その上面(分散通路25の下面25a)に沿って小片が斜め下方に転がり落ちるように又は/及び滑り落ちるようにして分散通路25の下流側へ移動するような大きさに設定されている。また、この分散通路25は、
図1に示すように、下方に向かって徐々にコーン21の上面(分散通路25の下面25a)とコーンカバー23の下面(分散通路25の上面25b)との間隔が狭くなるように形成されており、分散通路25(空間部分)の横断面積を略一定とすることにより、選別部5への小片の供給を安定させて、効率的な処理及び高精度の選別を可能としている。
【0020】
図3は、廃棄物選別機1の供給通路55(分散通路25及び後述する誘導通路35)下流と選別部5との関係を説明するために、廃棄物選別機1の一部を拡大した概略説明図である。誘導部30は、略環状の内誘導部材31と外誘導部材33とを有し、これらを対面するように配設することにより、誘導通路35を形成している。また、誘導通路35の上流側は分散通路25の下流側に連通し、誘導通路35の下流側は後述する選別部5の上側空気導入路47rに合流している。
【0021】
誘導通路35は、分散通路25から転がり落ちるように又は/及び滑り落ちるようにして斜め下外方へ移動してきた小片の移動速度を略保つようにして(又は移動速度を加速させて)その移動方向を内方へと変え、小片を飛び出すようにして(所定の速度を有した状態で)選別部5に供給するように構成されている。すなわち、誘導通路35は、単に選別部5に小片を供給するのではなく、投入部10に投入された小片の有する位置エネルギーを運動エネルギーに変換した状態で供給する。また、誘導通路35は、小片の飛び出し方向が略水平方向内方となるようにして、選別部5(上側空気導入路47r)に供給する構成となっている。
【0022】
具体的には、誘導通路35は、
図3に示すように、小片を略下方に落下させるために略鉛直方向に延びるように形成された上流側の鉛直部36と、鉛直部36の下端から内方に湾曲し、接線方向が徐々に略鉛直方向から略水平方向となるように形成された下流側の湾曲部37とを有している。鉛直部36の内側の内側壁面36aは略鉛直面となるように形成されており、分散通路25を通ってきた小片を下方へ落下させることにより、その移動速度を加速させるとともに、移動方向を下方に向けるような構成となっている。つまり、鉛直部36により、分散通路25を通ってきた小片の移動速度の減速を防ぎつつ、その移動方向を斜め下方から略下方へと変更させることが可能となる。
【0023】
また、誘導通路35(鉛直部36及び湾曲部37)の外側の外側壁面36b,37bは、その接線が略垂直方向から略水平方向へと下方に向かって徐々に変化する縦断面略円弧状の湾曲面となるように形成されている。分散通路25を通ってきた小片を外側壁面36b,37bに沿うようにして移動させることにより、その移動速度を保ちつつ移動方向を徐々に変化させて、湾曲部37出口において選別部5に略水平方向内方に飛び出すようにして供給することが可能となる。なお、以下の説明において、小片の誘導通路35出口における水平方向内方に向かう速度を、適宜、内向き速度という。
【0024】
分散通路25と誘導通路35(以下、適宜、これらを合わせて供給通路55という)を上述のような構成として小片を略水平方向内方に飛び出すようにして選別部5に供給することにより、小片を、上側空気導入路47r(詳細は後述)を通る空気の移動方向に略沿うようにして飛び出させることができ、粉体よりも大きい小片を空気流(後述する導入空気流や旋回空気流などの空気流)に上手く乗せることができる。また、上側空気導入路47rを塞ぐように小片が溜まってしまうことを防ぐことができるとともに、小片を高精度に選別することが可能となる。
【0025】
なお、供給通路55は、小片を所定の速度を有して略水平方向内方に飛び出すように選別部5に供給されるように構成されていればよく、上述の構成に限らない。例えば、鉛直部36を設ける代わりに、誘導通路35を縦断面において外方に突出する曲率の小さい略円弧状となるように形成し、曲面に沿って徐々に移動方向が変化させて速度を保つようにしてもよい。なお、所定の速度とは、小片が上側空気導入路47rの空気の流れに乗ることができる速度をいい、小片の素材や大きさ、上側空気導入路47rの空気の速度などにより設定されるものである。
【0026】
本実施例の廃棄物選別機1の供給部3は、その中央に円筒形状の支柱3Aを有しており、この支柱3Aがコーン21を支持している。従来の粉体分級装置のように、供給通路55内に吊り部材を設けて、コーン21をコーンカバー23で吊って固定する構成(特許文献2の第1図参照)では、吊り部材が障壁となり小片の供給通路55出口での内向き速度を減少させて分類の精度を低いレベルにとどめたり、小片が吊り部材に引っ掛かって詰まりが発生したりする虞があった。特に、破砕又は/及び粉砕処理したペットボトルを、ボトル本体の樹脂片とラベルの薄片とに分類する場合においては、ラベルの薄片が一度引っ掛かると互いに絡まるなどして詰まりが発生する確率が高かった。
【0027】
本実施例では、支柱3Aによりコーン21を支持することにより吊り部材を用いる必要がなく、供給通路55内にまったく障壁が存在しないので、移動する一部の小片の速度を低下させたり、詰まりを発生させたりすることがない。なお、支柱3Aは後述する選別部5の軸部61に取り付けられるとともに、十字状に組まれた略円柱状の支持骨部材76を介して、架台9に保持されている。
【0028】
<選別部5の構成>
選別部5は、供給部3の下方に設けられた略円盤形状の部分であり、供給部3から供給された小片を選別する部分である。選別部5は、
図1及び
図2に示すように、周囲から空気を導入して旋回流を起こす略環状の空気導入部40と、導入された空気の旋回流により小片を素材別又は素材の種類別(以下、適宜分類別という)に選り分ける略円盤形状の旋回部60とを有し、旋回部60に設けられた軸部61を中心として、略軸対称な構成となっている。
【0029】
空気導入部40は、選別部5の周縁部分である。空気導入部40は、
図3に示すように、供給通路55の下流出口の外側に設けられた略環状の天板41と、これに略対面するように設けられた略環状の台板42と、天板41と台板42の略中間位置に設けられた中仕切板43と、この中仕切板43で上下2段に分割された複数の上段ガイドベーン44及び下段ガイドベーン45とを有している。上段ガイドベーン44及び下段ガイドベーン45は、
図2に示すように、軸部61の軸心を中心として円周上に略等間隔に配置された略矩形状の平板状部材であり、各径方向に対して略同じ角度で傾斜した状態となるように略水平方向に延びるように配列されている。また、上段ガイドベーン44及び下段ガイドベーン45は、
図2に示すように、平面視において重なるように配設されており、本実施例では36枚ずつ設けられている。
【0030】
上段ガイドベーン44及び下段ガイドベーン45は、
図1〜
図3に示すように、その内側端部に設けられた内ピンPaにより台板42に枢着されている。また、中仕切板43には、その外縁部に略等間隔に配置され、各径方向に対して斜めに伸びる長孔Bが設けられており、上段ガイドベーン44及び下段ガイドベーン45の外側端部に設けられた外ピンPbが係合している。さらに、中仕切板43は、角度調節機構46のハンドル46hにより、選別部5の軸心を中心として調節可能に回動させることができる構成となっている。
ハンドル46hを操作することにより、中仕切板43を回動させて長孔Bに係合する全ての外ピンPbを一体的に動かすことができ、全ての上段ガイドベーン44及び下段ガイドベーン45の径方向に対する角度を一体として調節することができる。上段ガイドベーン44及び下段ガイドベーン45の角度を調節することにより、廃棄物の性質(種類や形状や大きさなど)に合った選別を行うことができる。
【0031】
空気導入部40には、後述する回収部7(排気機構)によって選別部5内の空気を吸引(排気)することにより、その周囲から内部に空気が吸い込まれる。具体的には、空気導入部40周縁には、天板41と中仕切板43と隣り合う上段ガイドベーン44によって仕切られた開口である上側空気導入口47aと、台板42と中仕切板43と隣り合う下段ガイドベーン45によって仕切られた開口である下側空気導入口48aとが形成されている。上側空気導入口47aから導入された空気は上段空気導入路47rを通って選別部5内に、下側空気導入口48aから導入された空気は下段空気導入路48rを通って選別部5内に入り、後述する選別空間S2において旋回流を形成する。
【0032】
ここで、上段ガイドベーン44は、
図3に示すように、その内側上部には内方に向かって斜め下方に切り欠くようにして形成された、略三角形状の切欠部44cが設けられている。この切欠部44cは、上段ガイドベーン44の内側上縁を、供給部3の誘導通路35の下面(湾曲部37の外側壁面37b)を延長するように切り欠いた形状となっており、この切欠部44cにより、供給通路55(誘導通路35)と上段空気導入路47rとが合流する合流空間S1(
図3における略三角形状の空間)が形成されている。つまり、この合流空間S1において、供給通路55(誘導通路35)から供給される小片が、上段空気導入路47rを流れてくる空気(以下、適宜、導入空気流という)に合流する空間となっている。また、合流空間S1は、切欠部44cにより空気導入部40内縁上部において略環状空間となっており、導入空気流が旋回流と成り始める部分でもある。なお、切欠部44c及び合流空間S1の構成は、これに限らず、供給通路を通ってきた小片が導入空気流に乗りやすくなるような構成であればよく、適宜変更することができる。
【0033】
このように、本実施例の廃棄物選別機1においては、上段空気導入路47rの下流側端部(内側端部)に合流空間S1を設けることにより、小片が上段ガイドベーン44の間に溜まることを抑制できるような構成となっている。また、上段ガイドベーン44に、誘導通路35を延長するように形成した切欠部44cを設けることにより、小片が上段ガイドベーン44に引っ掛かるのを防ぐとともに、合流空間S1に内向きに飛び出してくる小片が上段空気導入路47rを通ってくる導入空気流に乗って、そのまま選別空間S2内の旋回空気流(以下、適宜、旋回流という)に乗るように構成されており、粉体よりも粒度の大きい小片の高精度の選別を可能にしている。
【0034】
旋回部60は、
図2に示すように、選別部5の中央部分であり、空気導入部40に囲まれた部分である。旋回部60は、
図1に示すように、その天井側と床側にはそれぞれ選別室天板66と選別室床板63が設けられ、その中心軸部分には略円柱形状の軸部61が設けられており、小片を分類別に選別するための略環状の選別空間S2が形成されている。
なお、選別空間S2の上下幅や、中仕切板43の位置(高さ)は、重力の影響も受けている小片を選別するのに十分な大きさに設定されている。また、本実施例においては、選別室床板63を空気導入部40の台板42と略同じ高さになるように配設している。
【0035】
選別室床板63は、後述する排気回収管71の周縁部に高さ調節部材65を挟んで取り付けられており、選別室床板63及び高さ調節部材65は適宜交換可能な構成となっている。高さ調節部材65は、異なる高さのものが複数用意されており、選別対象となる小片群の性質に合わせて、適宜選択して使用できるように構成されている。選別室床板63の位置を下げることにより、選別空間S2を広くすることが可能となる。また、選別室床板63自体も、その大きさ(径方向の幅)や形状の異なるものが複数用意されており、適宜選択して使用できるように構成されている。なお、形状が異なるとは、例えば、径方向内側に向かって僅かに下方や上方に傾斜するなどしたもの(例えば、傾斜角度0.1〜8度)である。
【0036】
選別室天板66は、内誘導部材31の下端を内側に延設するように配設されている。また、旋回部60下側には、
図2に示すように、軸部61の軸心を中心として同心円状に、中心から周方向に向かって順に、軸部61、内側リング状開口部62、選別室床板63、外側リング状開口部64が設けられている。
図1に示すように、選別室床板63の内側に設けられた内側リング状開口部62と、選別室床板63の外側に設けられた外側リング状開口部64は、それぞれ回収部7の排気回収管71と回収ホッパー73が接続されており、供給部3から供給された廃棄物の小片を旋回流により所望の分類に選り分け、開口部62,64によりこれらを分離して回収できるように構成されている。
【0037】
本実施例においては、旋回部60の中央に軸部61を設けてコアンダ効果を得ることにより、旋回流を安定させてミリ単位の小片を高精度に選別することができるように構成されている。また、軸部61を設けることにより、小片の回収部7への移動時間を短くすることができ、効率的な処理が可能となる。特に、ラベルの薄片等は、軸部61を設けることによりその表面に沿うようにして、絡まることなくスムーズに回収することができる。
なお、軸部61は、選別部5における旋回流の乱れを防ぐために回収部7側に延びるように設けられており、回収部7内部において支持骨部材76に取り付けられている。また、軸部61は、供給部3のコーン21の受け部にもなっている。さらに、本実施例では、軸部61の上部に、旋回流を下方に導くための縦断面略三角形状である略環状の案内部61aが設けられている。案内部61aにより旋回する小片を下方に誘導することができるので、旋回流の乱れを抑制することができ、処理能力をより高くすることができる。なお、図示は省略するが、軸部61を下方へ向かって径が小さくなる下細りの略円錐台形状としてもよい。このような形状とすることにより、渦流状の旋回流が安定し、より処理能力をより高くすることができる。
【0038】
ここで、選別部5の空気流について、簡単に説明する。後述する排気回収管71の排気機構(図示せず)を稼働させると、選別空間S2の略中心部(内側リング状開口部62)から空気が吸引されて選別空間S2内が負圧となり、空気導入部40の周縁の開口である上側空気導入口47a及び下側空気導入口48aから外部の空気が導入される。そして、導入された空気は上段空気導入路47r及び下段空気導入路48rを通ることにより旋回流(旋回空気流)となり、渦流状となって内側リング状開口部62から排気回収管71内に吸い込まれる。破砕又は/及び粉砕処理したペットボトルの小片群のうち、この旋回流に乗りやすいラベルの薄片は、旋回流とともに選別室床板63上又は選別室床板63上方を通り内側リング状開口部62へ移動して排気回収管71の中へ流れ込み、旋回流に乗りにくいボトル本体の樹脂片は、選別室床板63上又は選別室床板63上方を通るが、遠心力と効力とのバランスにより旋回流から外れて外側リング状開口部64へ移動して回収ホッパー73の中へ落下する。なお、旋回流による小片の選別、分離の詳細については後述する。
【0039】
<回収部7の構成>
回収部7は、選別部5の下方に設けられた略逆円錐形状の部分であり、選別部5で選別、分離された小片それぞれを回収する部分である。回収部7は、
図1に示すように、内側リング状開口部62と連通しラベルの薄片を回収する排気回収管71と、外側リング状開口部64と連通しボトル本体の樹脂片を回収する回収ホッパー73と、旋回流が乱れを抑制するために選別室床板63の下方に設けられる制流板75とを有している。また、排気回収管71の下流側には、排気回収管71内を負圧にするためのブロアを有する排気機構と、ラベルの薄片を集める捕集手段(図示せず)が設けられ、回収ホッパー73の下端側は、ボトル本体の樹脂片を排出させるためのロータリーバルブ74に連結されている。さらに、回収部7は、上述したように、コーン21と軸部61とを支える支持骨部材76を備えている。この支持骨部材76は、十字状に組まれた中央部でコーン21等を支持し、排気回収管71の壁面を貫通して端部側が回収ホッパー73に固定(溶接)されており、コーン21や軸部61の振動を吸収する役目も担っている。
【0040】
本実施例では、選別室床板63の下側に正面視略円錐台形状の制流板75を設けることにより、旋回流の乱れを抑制し、選別の高精度化を実現する構成となっている。回収部7には、排気回収管71が軸対称性を崩すように正面視略L字状に配設されているが、選別部5の旋回流がこの崩れの影響を受けるのを遮断するために、その上方に軸対称性を有する制流板75を設けている。なお、制流板75の上面は、ボトル本体の樹脂片が堆積しないように、外周側に向かって低くなるように傾斜した傾斜面となっている。
【0041】
ここで、小片の選別、分離の詳細について、
図2及び
図3を参照して説明する。破砕又は/及び粉砕処理したペットボトルの小片は、上述したように供給通路55により、上段空気導入路47rの内側端部の合流空間S1(導入空気流)に向けて、選別空間S2の旋回流(旋回空気流)に乗りやすいように内向き速度を有した状態で供給される。そして、ペットボトルの小片のうち、旋回流に乗りやすいラベルの薄片は、遠心力と旋回流による抗力とのバランスで旋回流よりも若干外側に膨らみながら中心部へと移動し、内側リング状開口部62から排気回収管71に吸い込まれる(
図2の破線X参照)。また、旋回流に乗りにくいボトル本体の樹脂片は、最初は旋回流に乗って移動するものの、遠心力と旋回流による抗力とのバランスにおいて遠心力が大きく働くため、旋回流を離れて略直進して選別室床板63の外方へと移動し、外側リング状開口部64から回収ホッパー73内に落下する(
図2の破線Y参照)。このようにして、ラベルの薄片とボトル本体の樹脂片とは、旋回流により選別されて分離回収される。
【0042】
本実施例においては、破砕又は/及び粉砕処理したペットボトルの小片群(ボトル本体の樹脂片とラベルの薄片とが混在する小片群)を選別、分離回収の対象とした場合について述べたが、分類する対象はこれに限らず、空気流に対する性質(空気流への乗りやすさ)の異なる小片が複数種類混合したものであれば、この性質の違いを利用して分類することができる。本発明の廃棄物選別機1は、空気流に対する性質に違いのあるものであれば、排気機構の負圧の大きさと上段ガイドベーン44及び下段ガイドベーン45の角度のうちの一方又は両方を適宜調節することにより、小片群の性質(大きさ、形、比重、素材など)に合わせて、所望の分類に選別して、分離回収を行うことができる。なお、空気流への乗りやすさの違いには、小片の比重の違いだけでなく、例えば、大きさ(表面積)や厚さや形状等の様々な要因が関連する。例えば、同じ素材のプラスチック片であっても、粒状のものであれば空気流に乗りにくく、箔状であれば空気流に乗りやすくなる。
【0043】
また、本実施例においては、二種類の合成樹脂片を選別、分離回収する場合について述べたが、選別等する対象はこれに限らない。合成樹脂片(廃プラスチック類の小片)だけでなく、例えば、金属片や、金属を含む合成樹脂片(樹脂めっき片)や、ゴム片、ガラス片、木片、紙片、繊維片なども対象とすることができ、二種類以上の性質の異なる小片からなる小片群を、空気流への乗りやすさに違いにより選別、分離回収することができる。
よって、ペットボトル本体とそのラベルとを分離するだけでなく、例えば、自動車や家電製品など、金属やプラスチックやゴムなどで構成されている複合素材廃棄物の破砕片や粉砕片を分類する際に使用することも可能である。
【0044】
図4は、本実施例の廃棄物選別機1による廃棄物の小片の選別方法を説明するフロー図である。上述した廃棄物選別機1の各構成要素の説明において、その特徴と共に選別方法についても合わせて説明したので、ここでは
図4に基づいて、廃棄物の小片の選別方法を簡単に説明する。
まず、廃棄物選別機1の回収部7の排気機構を駆動させる。そして、駆動させた排気機構により上側空気導入口47a及び下側空気導入口48aから周囲の空気を吸い込ませて、選別部5内に旋回流(旋回空気流)が発生している状態とする。次に、廃棄物選別機1の供給部3(投入口12)に廃棄物の小片を投入する。供給部3に投入された小片は、コーン21により放射状に広がり、分散通路25を通って下流側(下方)へ移動し、誘導通路35に入る。誘導通路35に入った小片は、誘導通路35の内側壁面に沿って分散通路25からの移動速度を略保つようにして内方へとその移動方向を変えられて、内向き速度を有する状態で選別部5(合流空間S1)に供給される。選別部5(合流空間S1)に供給された小片は、上段空気導入路47rを通る導入空気流により選別部5内方の選別空間S2に案内されて、旋回流に乗せられる。そして、旋回流により、空気流に乗りやすい性質を有する小片と、空気流に乗りにくい性質を有する小片に選り分けられて、それぞれ異なる箇所(内側リング状開口部62と外側リング状開口部64)に移動し、排気回収管71と回収ホッパー73とに分離回収される。
【0045】
本発明の廃棄物選別機1及び
これを用いた選別方法によれば、粉体よりも大きい小片を含む小片群(粉体を含んでいてもよい)であっても、効率的に、かつ、高精度に選別することができる。特に、選別部5に軸部61を設けることにより、旋回流を安定させて高精度に選別を行うことができ、効率的な処理が可能となる。また、供給部3の分散通路25や誘導通路35を上述のような構成とすることにより、小片を内向き速度を有した状態で選別部5に供給することができ、高精度な選別が可能となる。さらに、供給通路55の合流位置を上段空気導入路47rの下流側とすると共に、上段ガイドベーン44に切欠部44cを形成することにより、小片が旋回流に乗りやすく、詰まりの発生を抑制できる構成となっており、高精度に選別することができる。
【0046】
また、選別部5における旋回流が乱れるのを抑制するために、軸部61は回収部7側に延びるように設けられ回収部7内で保持され、選別室床板63の下方には制流板75が設けられている。旋回流の乱れを抑えることにより、その処理能力も高くすることができる。
【0047】
なお、本発明は、廃棄物の小片を内向き速度を有する状態で旋回流に合流させることができ、旋回流により小片をその性質の違いを利用して選別することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。例えば、本実施例の廃棄物選別機1は、投入された小片群を2つに選別し、分離回収するものであるが、開口部を同心円状に3つ以上設けて(例えば、選別室床板63の径方向内側に略環状の新たな開口部を設けて)、小片群を3つ以上に選り分けて分離回収する構成にしてもよい。旋回流に乗って選別室床板63上方を通る小片(粉体)を中央側の開口部(内側リング状開口部62)で回収し、選別室床板63上を移動する小片を旋回流に乗りやすいものと乗りにくいものに分けて、新たに設けた開口部と外側リング状開口部64からそれぞれ回収するように構成してもよい。
【0048】
また、図示を省略するが、本実施例の廃棄物選別機1は、選別部5の下側にのみ開口部(内側リング状開口部62、外側リング状開口部64)が設けられているが、案内部61aを設けずに選別部5の上側(例えば、内側リング状開口部62に対向する部分)にも開口部を設けて、この開口部(以下、適宜、上側開口部という)に接続される排気回収管の方にも排気機構を設けて旋回流を作れるように構成してもよい。上側開口部の排気機構により旋回流を起こした場合には、選別自体に重力をさらに利用することにより、投入された小片群を、上側開口部と下側の内側リング状開口部62、外側リング状開口部64により、3つに選別して分離回収することができる。
【0049】
また、図示は省略するが、廃棄物選別機1の変形例として、以下のような構成としてもよい。変形例1の廃棄物選別機は、上述の廃棄物選別機1において、コーン21を、駆動装置に接続された回転機構を介して支柱3Aを中心軸として回転可能に取り付けたものである。コーン21を回転機構により回転させて供給通路55を通る小片に周方向の力を加えることにより、小片を合流空間S1に上段空気導入路47rを通っていく空気の流れと略同一方向に飛び出すように供給することができる。小片を旋回流に更に乗りやすい構成とすることにより、より高精度の選別が可能となる。
【0050】
また、廃棄物選別方法の変形例として、排気機構の排気により、空気導入口47a,48aから空気を吸い込むだけでなく、供給通路55内の空気や小片を選別部5内に吸い込むように設定して、選別精度や処理能力を上げることも可能である。