(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外筒体に対して前記円周方向へは実質的に回動しないように固定されており、前記外筒体の前記先端側の開口を着脱可能に閉止するように構成された蓋体と、前記内筒体の先端部に形成された可動係合面及び前記蓋体の内側に設けられた固定係合面とを具備する係合構造とをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6記載のコック。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、未開封証明機能を備えつつ、従来からある機能が阻害されるのを防ぐことができるコックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明に係るコックは、液体貯留容器に取り付けられて、該液体貯留容器の内容液を外部に導出するコックであり、両端部が開口した外筒体と、該外筒体と接続されており、前記液体貯留容器に取り付けられる取り付け部とを具備した本体部と、前記外筒体の側面を貫通させて形成され、液体貯留容器の内部と連通される外側連通孔と、先端側が開口しており、前記外筒体の内部に円周方向に回動可能に嵌合される内筒体と、前記内筒体の側面を貫通させて形成された内側連通孔と、前記内筒体の基端側に設けられており、前記内筒体とともに前記円周方向に回動されて前記外側連通孔と前記内側連通孔とが連通した開状態、又は、前記外側連通孔と前記内側連通孔とが連通していない閉状態のいずれかに切り替え可能に構成されたハンドルとを備え、前記先端側から前記内容液を外部に導出するコックであって、その一部が破断されて初めて、前記ハンドルを前記閉状態から前記開状態への回動が可能となるように構成された未開封証明機構をさらに備え、前記未開封証明機構が、前記本体部と前記ハンドルとの間に形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るコックによれば、前記未開封証明機構が前記本体部と前記ハンドルとの間に形成されているので、未開封証明機能を追加しても例えば前記外筒体及び前記内筒体の先端側に設けられた誤動作防止のためのロック機構等の機能が損なわれることがない。
【0015】
また、前記未開封証明機構が前記本体部と前記ハンドルとの間に形成されているので、前記未開封証明機構の設計自由度が高く、手で掴んで破断させる時に、該未開封証明機構を破断させるために十分な力を発揮することができる形状にしやすい。
【0016】
また、本発明に係るコックによれば、前記未開封証明機構の一部が破断されて初めて、前記ハンドルを前記閉状態から前記開状態に回動させることができるので、未開封時には前記ハンドルが誤って開状態まで回動することがなく、前記液体貯留容器の内容液が漏れ出るのを防ぐことができる。
【0017】
この結果、本発明であれば、開封前、開封後にかかわらず、ロック機能を実現することも可能となる。
【0018】
前記コックの具体的な実施態様としては、前記未開封証明機構が、前記外筒体から所定の距離だけ離間して設けられ、第1端部が該外筒体の周方向、又は、接線方向に延びる把持片と、前記外筒体と前記把持片とを接続し、前記外筒体、及び、前記把持片よりも強度が低い破断構造と、前記ハンドルに形成され、前記把持片と当接する係合突起とを備え、前記破断構造が、互いに対向する第1端面、及び、第2端面と、該第1端面、及び、第2端面に開口するように前記外筒体の周方向又は接線方向に沿って形成された溝と、該溝の底部側に形成された薄肉部とを具備し、パーティングラインが少なくとも前記外筒体の表面にその軸方向にそって形成されるように、前記外筒体、前記把持片、及び、前記破断構造が一体で樹脂成形されており、前記破断構造の前記第1端面が前記把持片の前記第1端部に近い側に位置する端面であり、前記パーティングラインに対して垂直な方向から見た場合に、前記把持片の前記第1端部と前記破断構造の前記第1端面とが、前記パーティングラインに対して同じ側にあるように構成されているものを挙げることができる。
【0019】
このように構成されたコックによれば、金型を用いた樹脂成形による製造を繰り返しても、前記破断構造を破断させにくくなることを抑えることができる。その理由は以下のようなものである。
【0020】
例えば、複数の金型を互いに当接させて、各金型間に形成されるキャビティにより所定形状の製品を量産する樹脂成形においては、製品の表面にパーティングラインが形成される金型同士の境界面においては、金型同士の間にどうしても隙間ができてしまうので、金型が劣化していなくても製品の表面にバリが発生してしまう。
【0021】
また、樹脂成形を繰り返すことにより、金型同士が互いに当接する境界面が徐々に削れて金型の形状が変化してしまう。
【0022】
従って、前述したように経年劣化によって、金型が互いに当接する面が削れてしまうと、当該境界面により大きなバリが発生しやすくなったり、製品が所望の厚みよりも大きく形成されてしまったりする。
【0023】
本発明に係るコックであれば、樹脂成形で製造した場合でも、前記第1端面がパーティングライン上で形成されず、前述した金型同士の境界面に位置することがないので、金型の経年劣化による形状変化やバリによって、前記破断構造の前記第1端面に開口する前記溝がふさがってしまうことを抑えることができる。
【0024】
また、前記把持片の前記第1端部と前記破断構造の前記第1端面とがパーティングラインに対して同じ側にあるので、例えば、前記把時片の前記第1端部を掴んで前記外筒体の円周方向外側に引っぱり上げ、前記破断構造を前記第1端面から前記薄肉部に沿って破断させる場合には、前記第1端面から前記薄肉部を破断させることができる。
【0025】
破断のきっかけとなる前記第1端面の前記薄肉部さえ破断させることができれば、それほど力を加えなくても、この第1端面に生じた亀裂を前記薄肉部の伸びる方向に進展させることができる。
【0026】
前述したようなコックを樹脂成形によって製造する場合に、前記外側連通孔の近傍、及び、前記外筒体と前記内筒体が互いに接する部分を液密なものとし、かつ前記未開封証明機構が複雑な形状のものであっても金型から取り外しやすくするためには、前記本体部が、前記外筒体の表面に該外筒体の軸方向に沿ったパーティングラインが形成されないように樹脂成形される単一型領域と、前記外筒体の表面に該外筒体の軸方向に沿ったパーティングラインが形成されるように樹脂成形される分割型領域とを備えており、前記把持片、及び、前記破断構造が、前記分割型領域に含まれているようにすれば良い。
【0027】
前記ハンドルが誤って回動された場合に、前記係合突起によってトルクが過大に発生することを避けて、前記破断構造が破断したり変形させたりしてしまう恐れを低減し、かつ、開封後に前記ハンドルを前記破断構造に対して干渉せずに回動しやすくするためには、前記ハンドルが前記外筒体の半径方向外側に伸びるように形成されており、前記破断構造が、前記溝の前記外筒体側の壁である内側壁と、前記溝の前記把持片側の壁である外側壁とを具備し、前記係合突起が、前記ハンドルの内周側であり、前記破断構造が破断された後に、前記内側壁との間に所定の隙間が形成される位置、又は、当該内側壁の外周側部分にのみ接触する位置に形成されていれば良い。
【0028】
開封前に前記ハンドルが回動することによって前記液体貯留容器の内容液が漏れ出ることをより確実に防ぐには、前記コックが、前記閉状態から前記ハンドルを180度回動させることで、前記開状態になるように構成されており、前記把持片と前記係合突起とが、前記ハンドルの回動角度が0度以上90度以下の範囲内で互いに当接するように構成されていれば良い。
【0029】
輸送時などに誤って前記ハンドルを回動させる力が加わった場合に、前記破断構造が破断されたり、変形させられたりして前記コックが開封されてしまう恐れを低減するには、前記係合突起が、前記把持片の前記第1端部とは別に設けられた第2端部に対して、前記外筒体の内周側から当接するように構成されており、前記未開封証明機構が、前記把持片と前記外筒体との間に形成された支柱をさらに具備するように構成されていれば良い。
【0030】
前記コックにおいて、前記破断構造を破断させた後にも、前記ハンドルが前記閉状態から前記開状態へ回動しないように繰り返し固定するためには、前記外筒体に対して前記円周方向へは実質的に回動しないように固定されており、前記外筒体の前記先端側の開口を着脱可能に閉止するように構成された蓋体と、前記内筒体の先端部に形成された可動係合面及び前記蓋体の内側に設けられた固定係合面とを具備する係合構造とをさらに備えたコックとすれば良い。
【0031】
前記内筒体が強く回動しても前記固定突起を乗り越えてしまうことが防ぎやすくするには、前記可動係合面の少なくとも一部が、前記外筒体の前記先端側の先端よりも該外筒体の内側に位置し、前記蓋体により蓋がされた場合に、前記固定突起の少なくとも一部が、前記外筒体の内部に位置するように構成されていればよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るコックによれば、前記未開封証明機構が前記基端側に形成されているので、前記コックの前記先端側における設計上の制約が少なく、様々な機能を有する複雑なキャップを設けることもできる。例えば、未開封証明機能だけでなく、開封後のロック機能についても従来と同様に実現することが可能となる。
【0033】
さらに、前記未開封証明機構の一部が破断されて初めて、前記ハンドルを前記閉状態から前記開状態に回動させることができるので、前記未開封証明機構の一部が破断されていない場合には前記ハンドルが誤って開状態まで回動することがなく、前記液体貯留容器の内容液が漏れ出ることを防ぐことができる。
【0034】
また、前記未開封証明機構に、輸送時等の衝撃によって発生した比較的小さなトルクでは簡単には破断されない程度の強度を維持させながら、前記未開封証明機構を破断させるために十分な力を発揮させやすい大きさや形状にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の一実施形態に係るコックについて図面を参照しながら説明する。
【0037】
本実施形態に係るコック100は、例えば、
図1に示すように、プラスチックやPET等によって形成された容器や、バッグインボックスの内袋等である液体貯留容器Cの下方に取り付けられるものである。
【0038】
すなわち、前記液体貯留容器Cの内容液は、当該コック100を介して、自重で外部に導出するように構成してある。なお、
図1では、前記コック100の全体像が分かりやすいように、図面中の左下側が、前記液体貯留容器Cの下方となるようにしている。
【0039】
また、このコック100は、基端側となる上側部分において未開封証明機能を実現してあり、先端側となる下側部分においてコック100の誤動作を防ぎ、誤って内容液が導出されるのを防ぐためのロック機能を実現してある。
【0040】
まず、コックとしての基本機能と、上側部分に形成される未開封証明機能に関連する部位について説明する。
図1に示すように、前記コック100は、前記液体貯留容器Cに対してその内部と連通するように取り付けられる本体部MBと、該本体部MBに対して回動可能に挿入される操作部OPとから構成されている。
【0041】
前記本体部MBは、該本体部MBを構成する各部が一体に樹脂成形されているものであり、前記操作部OPは、該操作部OPを構成する各部が一体に樹脂成形されているものである。
【0042】
前記本体部MBは、前記液体貯留容器Cに対して取り付けられる概略太円筒状に形成した取り付け部1と、該取り付け部1の軸方向に対して直交するように設けた外筒体2とを備えたものである。
【0043】
前記外筒体2は、
図2又は
図3に示すように両端部が開口した円筒状のものであり、その側面中央部には前記液体貯留容器Cの内部と連通される外側連通孔21が貫通させて形成してある。この外側連通孔21の周囲を囲うように前記取り付け部1を接続してある。
【0044】
前記外筒体2の先端部の開口は、前記液体貯留容器Cの内容液が、その自重で一度に出過ぎないように、所定の径にしてある。
【0045】
前記操作部OPは、
図1に示すように、前記外筒体2の内部に嵌合される内筒体3と、前記内筒体3の基端側に設けられたハンドル4と、を備えたものである。
【0046】
前記内筒体3は、
図1乃至
図3に示すように、前記外筒体2よりも細く、先端側のみを開口させた概略円筒状のものであり、前記外筒体2に対して円周方向に回動可能に嵌合されるものである。また、前記内筒体3の側面の中央部には内側連通孔31が貫通させてある。
【0047】
この内筒体3は基端部の外周面に一部半径方向にリング状に突出したリング状突起32を有しており、このリング状突起32に対応させて、前記外筒体2の基端側の内周面にはリング状溝22が形成してある。
【0048】
前記外筒体2の基端側開口から前記内筒体3を挿入していき、前記リング状突起32と前記リング状溝22とを係合させることで前記外筒体2から前記内筒体3が外れないようにしてある。
【0049】
前記ハンドル4は、前記内筒体3の基端部において半径方向に伸びる扁平状の板部材であり、このハンドル4をユーザーがつまんで前記内筒体3を回動させることにより前記外側連通孔21と前記内側連通孔31との連通状態を切り替えることができる。
【0050】
より詳細について、前記コック100全体の断面図である
図2(a)、及び、
図3(a)と、該コック100の前記操作部OPのみを示した図である
図2(b)、及び、
図3(b)を使って説明する。
【0051】
前記コック100を
図2(a)中の上側から見たときに、
図2(b)に示すように「閉」の字が見える場合には、前記内筒体3の前記内側連通孔31は、前記外筒体2の前記外側連通孔21とは反対側に位置することとなる。したがって、この場合には前記外側連通孔21は前記内筒体3の外側面によって閉止され前記液体貯留容器Cの内溶液はコック100内には流入しない。
【0052】
一方、前記ハンドル4を円周方向に、基端側から見て反時計回りに180°回転させ、
図3(a)中の上側から前記コック100を見て、
図3(b)に示すように「開」の字が見える場合には、前記内筒体3も円周方向に180°回転して、前記内筒体3の前記内側連通孔31と前記外筒体2の前記外側連通孔21とが連通し合い、前記液体貯留容器Cの内溶液がコック100内に流入し、その先端側から外部に導出されるようにしてある。
【0053】
このように、前記ハンドル4は、前記内筒体3を前記円周方向に回動させて前記外側連通孔21と前記内側連通孔31とが連通した開状態と、前記外側連通孔21と前記内側連通孔31とが連通していない閉状態とを切り替え可能に構成してある。
【0054】
本実施形態に係るコック100は、前述の構成に加えて、前記外筒体2と前記ハンドル4との間に形成され、その一部が破断されて初めて前記ハンドル4の前記閉状態から前記開状態への回動が可能になるように構成された未開封証明機構5をさらに備えたものである。
【0055】
前記未開封証明機構5は、
図4に示すように、前記未開封証明機構5を破断する時に手で掴む部分として機能する把持片51と、該把持片51と前記本体部MBとを破断可能に接続する破断構造52と、前記把持片51と互いに当接することで前記ハンドル4の回動を妨げる係合突起53とを具備するものである。
【0056】
なお、
図4(a)は、前記未開封証明機構5を基端側から見た図であり、
図4(b)は、前記未開封証明機構5の周辺を前記取り付け部1の軸方向正面から見た図であり、
図4(c)は、前記未開封証明機構5の周辺を前記外筒体の接線方向から見た図である。
【0057】
なお、前記把持片51と前記破断構造52は、前記外筒体2と一体に形成してあり、前記係合突起53は前記ハンドル4と一体に形成してある。
【0058】
前記把持片51は、この実施形態では、
図4に示すように、前記外筒体2の半径方向外側に所定の距離だけ離間して設けられ、その面板部の長手方向が前記外筒体2の接線方向に延びた板状の部材である。
【0059】
この板状の把持片51は、その面板部の短手方向が前記外筒体2の軸方向に対して平行となるように形成してある。
【0060】
この把持片51は、長手方向に対する両端部である、第1端部511及び第2端部512を具備し、例えば、前記第1端部511を手で掴みやすいように、前記第1端部511は、前記第2端部512よりも前記外筒体2の接線方向の長さ寸法を大きくしてある。
【0061】
前記把持片51を、前記取り付け部1の軸方向から見ると、
図4(b)に示すように前記把持片51の前記第2端部512側の端が、前記外筒体2の側面とほぼ重なる位置にある。
【0062】
一方、前記第1端部511側の端は、前記外筒体2の側面から該外筒体2の直径分だけ外側に離れた位置にある。さらに言えば、前記第1端部511の端は、前記取り付け部の軸方向から見た場合に、該取り付け部1の外縁に対して若干内側に配置してある。すなわち、前記第1端部511を大きく外側へはみ出させないようにすることで、例えば輸送時等に第1端部511が何かに引っかかりにくくし、誤って前記破断構造52が破断されないようにしてある。
【0063】
また、前記把持片51において前記破断構造52の近傍には、当該把持片51と前記外筒体2とを接続する、円柱状の支柱54をさらに設けてある。
【0064】
前記破断構造52は、
図4(c)に示すように、前記外筒体2の接線方向において互いに対向する第1端面521及び第2端面522と、これら第1端面521及び第2端面522に開口するように前記外筒体2の接線方向に沿って形成されたV字型の溝523と、この溝523の底部側に形成された薄肉部524と、前記溝523の前記外筒体2側の面を形成する内側壁525と、前記溝523の前記把持片51側の面を形成する外側壁526とを具備するものである。
【0065】
前記第1端面521は、
図4(a)に示すように、前記把持片51の前記第1端部511に近い側の端面である。一方、第2端面522は、前記把持片52の前記第2端部512に近い側の端面である。
【0066】
前記内側壁525は、前記外筒体2の接線方向から見た場合に台形状に見える台形柱状のものである。
【0067】
また、前記外側壁526は、前記外筒体2の接線方向から見た場合に三角形状に見える三角柱状のものである。
【0068】
前記薄肉部524は、これら内側壁525と外側壁526とが接する部分に形成されており、他の部分と比較してその肉厚が最も小さくなる部分である。
【0069】
次に、前記未開封証明機構5のうち、本体部MB側に設けられた前記把持片51及び前記破断構造52を、前記外筒体2及び前記取り付け部1とともに一体に樹脂成形するための構造と方法について説明する。
【0070】
前記本体部MBには、
図5に示すように、樹脂成形時において前記外筒体2の表面に該外筒体2の軸方向に沿ったパーティングラインPが形成されない単一型領域Sと、前記外筒体2の表面に該外筒体2の軸方向に沿ったパーティングラインPが形成される分割型領域Mとを設定している。
【0071】
前記単一型領域Sは、前記外筒体2の軸方向に、前記パーティングラインPが形成される金型同士の境界面が位置しないように単一型で形成される部分である。該単一型領域Sに設定される部分は、前記コック100において、例えば、前記操作部OPに係合する部分、あるいは、液密が要求される部分を形成する領域である。
【0072】
一方、前記分割型領域Mは、前記外筒体2の軸方向に、前記パーティングラインPが形成される金型同士の境界面が位置するように、2つの金型を当接させて形成される部分である。該分割型領域Mは、前記コック100において、例えば、形状が複雑なため単一型では金型からの離型が難しい部分を形成する領域である。
【0073】
具体的には、
図5(a)に示すように、前記本体部MBのうち、前記外筒体2の内側面、及び、前記外筒体2の前記外側連通孔21の近傍は前記単一型領域Sに含まれるようにしてある。また、前記外筒体2の基端部、前記把持片51、及び、前記破断構造52は、前記分割型領域Mに含まれるようにしてある。
【0074】
図5(a)のA−A線断面図である
図5(b)に示すように、前記外筒体2の基端部、前記把持片51、及び前記破断構造52を形成するための2つの金型である、第1分割型M1、及び、第2分割型M2は、前記外筒体2の半径方向から互いに当接するように配置される。従って、
図6に示すように、前記外筒体2の基端側表面に該外筒体2の軸方向に沿ったパーティングラインPが形成される。
【0075】
また、前記外筒体2の前記外側連通孔21近傍を形成するための金型である第1単一型S1と、前記第1分割型M1、及び、前記第2分割型M2とは、前記外筒体2の軸方向に並んで互いに当接するように配置される。従って、
図6に示すように、前記外筒体2の表面に該外筒体2の周方向に沿ったパーティングラインP′が形成される。
【0076】
このようにして形成された前記本体部MBに形成される前記パーティングラインPについて、
図6を用いて説明する。
【0077】
前記分割型領域Mに含まれる、前記外筒体2及び前記把持片51の外表面には、例えば、
図6に示すように、前記外筒体2の軸方向に沿って、前記外筒体2の基端側から先端側に向かって伸びるパーティングラインPが形成されている。
【0078】
前記本体部MBを、前記外筒体2の軸方向に対して垂直な方向から見た時に、前記外筒体2の軸方向に沿って形成された前記パーティングラインPに対して、前記破断構造52の前記第1端面521が、前記把持片51においてユーザーにより掴まれる前記第1端部511と同じ側にあるように構成してある。
【0079】
本実施形態では、前記破断構造52の全体が、前記第1分割型M1のみによって形成されるようにしてあり、前記第1分割型M1には、前記溝523をV字型に形成する先端が尖った形状の突条部M1aが形成してある。この突条部M1aを前記外筒体2の接線方向から見た図が
図5(c)である。
【0080】
この突条部M1aのうち前記第2端面522に開口する溝523を形成する部分は、前記第1分割型M1において、前記第1分割型M1と前記第2分割型M2とが当接する面に位置するように設計してある。
【0081】
このため、前記コック100を量産するときに、前記第1分割型M1と前記第2分割型M2を繰り返し当接することで、前記第1分割型M1の端面が削れてしまったとしても、前記第1分割型M1によって形成される前記溝523における前記第1端面521での開口部分の形状変化を抑えることができる。
【0082】
次に、前記未開封証明機構5のうち、前記操作部OP側に形成されている部分について説明する。
【0083】
前記未開証明機構のうち、前記ハンドル4に形成される係合突起53は、前記ハンドル4から、前記外筒体2の先端側に向かって該外筒体2の軸方向に沿って突出する板状のものである。
【0084】
前記係合突起53は、前記ハンドル4の内周側であり、かつ、前記係合突起53の前記ハンドル4の内周側の端が、前記破断構造52の前記内側壁525の前記外筒体2の半径方向外側の端よりも、外周側にあるように形成してある。
【0085】
この係合突起53は、前記ハンドル4を回動させる時に、前記把持片51の前記第2端部512の前記外筒体2側の面板部に当接するように形成してある。
【0086】
前記係合突起53と前記把持片51の第2端部512は、前記閉状態の時は当接しておらず、前記ハンドル4を前記基端側から見て反時計周りに45°回動させた時に、前記係合突起53と前記把持片51の第2端部512とが当接するようにしてある。
【0087】
ここで、前記未開封証明機構5のうち、前記操作部OP側に形成されている係合突起53、前記ハンドル4、及び、前記内筒体3と一体に樹脂成形するための構造と方法について説明する。
【0088】
図7(a)に示すように、前記係合突起53、前記ハンドル4、及び前記内筒体3を一体に樹脂成形する場合にも、前記本体部MBを製造する場合と同様に、表面に該外筒体2の軸方向に沿ったパーティングラインPが形成されない単一型領域S′と、表面に該外筒体2の軸方向に沿ったパーティングラインPが形成される分割型領域M′とを前記操作部OPに設定している。なお、この
図7(a)を、基端側から見た図が
図7(b)である。
【0089】
前記内筒体3の表面のうち、前記リング状突起32よりも先端側の外表面が前記単一型領域S′に含まれており、前記内筒体3の前記リング状突起32を含む基端側の部分、前記ハンドル4、前記係合突起53は、前記分割型領域M′に含まれている。
【0090】
前記内筒体3の前記リング状突起32を含む基端側の部分、前記ハンドル4、及び、前記係合突起53を形成するための金型である、第3分割型M3及び第4分割型M4は、前記リング状突起32よりも先端側の前記内筒体3の外表面を形成するための金型である、第2単一型S2の天面に接するように配置してある。
【0091】
このとき、前記係合突起53の前記外筒体2の軸方向に対する長さは、前記ハンドル4の前記外筒体2の先端側の面から前記第2単一型の天面までの距離に等しくなるように設定してある。
【0092】
このように構成された前記未開封証明機構5を破断させて、前記コック100を開封するための操作は、以下のようなものである。
【0093】
まず、ユーザーが、前記把持片51の前記第1端部511を掴んで、該第1端部511を前記外筒体2の半径方向外側に向かって引っぱり上げることで、前記破断構造52の前記第1端面521における前記薄肉部524に亀裂を生じさせる。
【0094】
前記把持片51をさらに引っぱり上げると、前記第1端面521に生じた亀裂が、前記第1端面521から前記薄肉部524が前記溝523に沿って、前記破断構造52の前記第2端面522に向かって伸展する。
【0095】
前記亀裂が前記第1端面521から前記第2端面522まで達すると、次に前記把持片51と前記外筒体2との間を接続している前記支柱54に力がかかって破断される。
【0096】
このようにして、前記把持片51を前記破断構造52の前記外側壁526とともに、前記外筒体2から取り外すことができる。
【0097】
前記把持片51と前記破断構造52の前記外側壁526とが前記外筒体2から取り外されると、前記外筒体2の表面には、前記ハンドル4に形成された前記係合突起53とは干渉しない前記破断構造52の前記内側壁525だけが残るので、前記ハンドル4を開状態まで回動させることができるようになる。
【0098】
このように構成した前記コック100によれば、前記未開封証明機構5を破断するときにユーザーが掴む部分である前記把持片51が、前記外筒体2の接線方向に延びた板状のものであり、その第1端部511が前記外筒体2の外表面から十分に離間しているので、前記第1端部511を掴みやすい。
【0099】
また、前記第1端部511が前記外筒体2の外表面から十分に離間しているので、前記第1端部511を掴んで、前記外筒体2の半径方向外側に向かって引っぱり上げたときに、前記破断構造52を破断させるために十分な力を発揮させやすい。
【0100】
このため、前記破断構造52に、輸送時などの衝撃で加えられる比較的弱い力では破断しない程度の強度を与えても、問題なく前記破断構造52を破断することができる。
【0101】
また、前記把持片51の前記第2端部512を、前記破断構造52からの突出量を小さくしてあるので、前記ハンドル4が誤って回動し、前記係合突起53が前記第2端部512に当接した場合でも前記破断構造52にかかる力を小さくすることができる。したがって、前記ハンドル4が誤って回動した場合には、前記破断構造52は破断しにくくしつつ、前記ハンドル4の回転は止めることができる。
【0102】
前記把持片51の前記第2端部512の前記破断構造52からの突出量を、前記ハンドル4を前記基端側から見て反時計周りに45°回動させた時に、前記係合突起53と前記第2端部512とが当接する長さにしてあるので、前記破断構造52を破断させるまでは、前記外側連通孔21と前記内側連通孔31とが互いに連通せず、前記液体貯留容器Cの内容液が漏れ出ることを防ぐことができる。
【0103】
前記本体部MBの樹脂成形時に、前記破断構造52の前記第1端面521が前記第1分割型M1と前記第2分割型M2とが当接する境界面に位置していないので、コック100を量産して、前記第1分割型M1と前記第2分割型M2との境界面近傍が削れて劣化した場合であっても、前述したように、前記第1端面521での前記溝523の形状変化を抑えることができる。このため、樹脂成型を繰り返しても前記第1端面521における前記薄肉部524の厚みを小さく保つことができる。
【0104】
前記破断構造52全体が前記第1分割型M1のみによって形成されているので、樹脂成形を繰り返した場合であっても、前記破断構造52の前記溝523を形成する突条部M1aが削れたり欠けたりするのを最小限に抑えることができる。
したがって、前記破断構造52の前記溝523の前記第2端面522に開口した部分以外がバリの発生などによって埋まってしまうことを防ぐことができる。
【0105】
さらに、前記第1端面521が、前記外筒体2の軸方向に形成された前記パーティングラインPに対して、前記把持片51の前記第1端部511と同じ側にあるので、前記第1端部511を前記外筒体2の半径方向外側に引っぱり上げて、厚みが薄く保たれている前記第1端面521に、破断のきっかけとなる亀裂を生じさせやすい。このため、樹脂成形を繰り返しても前記破断構造52を破断させやすくすることができる。
【0106】
前記本体部MBが、前記単一型領域Sと前記分割型領域Mを備えているので、液密が求められる部分には影響を与えずに、複雑な形状の前記把持片51や前記破断構造52を金型から簡単に離型させることができる。
【0107】
同様に、前記内筒体3の前記リング状突起32を含む基端側の部分、前記ハンドル4、及び、前記係合突起53が前記分割型領域Mに含まれるので、これらを金型から簡単に離型させることができる。
【0108】
また、前記係合突起53の前記外筒体2の軸方向に対する長さが、前記ハンドル4の前記外筒体2の先端側の面から前記前記第2単一型S2の天面までの距離に等しくなるように設定してあるので、前記係合突起53の前記外筒体2の軸方向に対する長さを、離型しやすさを保ったまま、最大限まで伸ばすことができる。これにより、前記係合突起53を、前記把持片51の前記第2端部512としっかり当接させることができる。
【0109】
前記係合突起53が、前記ハンドル4の内周側に形成されているので、前記ハンドル4が誤って回動したときに、前記係合突起53によって前記破断構造52に過大なトルクが発生することを抑えて、前記破断構造52が破断したり、変形したりするのを防ぐことができる。
【0110】
前記把持片51と前記外筒体2とを接続する、円柱状の支柱54をさらに設けてあるので、例えば、輸送時などに誤って前記ハンドル4が回動し、前記係合突起53が、前記把持片51の第2端部512の前記外筒体2側の面板部に当接した場合に、前記支柱54が前記把持片51を支えて、前記破断構造52が破断されてしまったり変形してしまったりするのを抑えることができる。
【0111】
また、前記未開封証明機構5は、基端側に未開封証明機能に関連する構造が集約されているので、以下に詳述する先端側に形成されているロック機能に関連する構造を阻害することがない。したがって、コック100に複数の機能をそれぞれ無理なく実現することができる。
【0112】
ここで、前記未開封証明機構5の変形例について説明する。
【0113】
例えば、前記把持片51の形は、前述した板状のものに限らず、柱状のものでも良いし、柱状の部分と板状の部分とを組み合わせたような形状のもの等であっても良い。
【0114】
また、前記把持片51の大きさは、前記取り付け部1の軸方向から見た時に、前記把持片51の前記第1端部511側の端が前記外筒体2の側面から、該外筒体2の直径と同じ程度外側に位置するものにかぎらず、これより外側にあっても良いし、内側にあってもよい。
【0115】
さらに、前記把持片51は、前記外筒体2の接線方向に延びるものに限らず、前記外筒体2の周方向に伸びるものであっても良い。
【0116】
前記把持片51と前記外筒体2とを接続する前記支柱54の形状についても、円柱状のものに限らず、角柱状のものや異形柱状のもの等であっても良い。
【0117】
前記破断構造52の前記溝523の形状は、V字型のものに限らず、コの字型のものや、半円状のもの等であっても良い。
【0118】
この溝523の形状によって、前記内側壁525や外側壁526の形状についても、自由に設計することができる。
【0119】
さらに言えば、前記破断構造52の薄肉部524は、必ずしも前記第1端面521から前記第2端面522まで連続して形成される必要はなく、その一部が欠損しているような形状であっても良い。
【0120】
前記分割型領域Mを形成するために使用される金型の数は、2つに限らず、3つや4つでもいいし、それ以上であっても良い。
【0121】
前記破断構造52の前記溝523全体が、前記第1分割型M1のみによって形成される必要はなく、例えば、前記破断構造52の前記第1端面521は前記第1分割型M1で形成される領域に位置し、前記第2端面522は前記第2分割型M2で形成される領域に位置していても良い。
【0122】
前記把持片51、及び、破断構造52は、前記外筒体2と一体に形成されるものに限らず、前記取り付け部1と一体に形成されるものであっても良い。
【0123】
前記ハンドル4は、前記基端側から見た時に反時計周りに回動させて前記コック100を開状態とするものに限らず、前記基端側から見た時に時計周りに回動させて前記コック100を開状態とするものとしても良い。
【0124】
前記係合突起53は、前記内側壁525との間に所定の隙間が形成される位置に形成されるものに限らず、当該内側壁525の外周側部分にのみ接触する位置に形成されるようにしても良い。
【0125】
前記係合突起53は、前記ハンドル4を、前記基端側から見た時に反時計周りに45°回動させたときに、前記把持片51と当接するものに限られない。例えば、前記閉状態から前記開状態に切り替えるための前記ハンドル4の回動角度は、180°とした場合には、前記ハンドル4を前記基端側から見た時に反時計周りにおよそ90°回動させるまでの間に前記把持片51と当接するようにすれば良い。
【0126】
また、前記閉状態から前記開状態に切り替えるための前記ハンドル4の回動角度は、180°としたが、これに限らず、180°以上としても良いし、180°以下としても良い。
【0127】
次に、本実施形態に係るコック100の先端側の構造について詳述する。
【0128】
前記コック100は、
図1乃至
図3に示すように、前記外筒体2と前記内筒体3との間に設けられ、前記未開封証明機構5が破断された後においても、前記操作部OPが円周方向へ回動しないように固定するための係合構造6をさらに有する。
【0129】
前記係合構造6は、
図2、及び、
図3に示すように閉状態において前記内筒体3の先端部と、前記外筒体2の先端側の開口を着脱可能に閉止する蓋体7の内部構造体とを掛かり留めさせあうことにより、前記内筒体3が前記外筒体2に対して円周方向に回動しないようにする構造である。
【0130】
前記係合構造6は、前記蓋体7の天面から突出した固定突起61と、前記内筒体3の前記内側連通孔31が形成されている側の先端から、該内筒体3の軸方向に突出させた半円筒形状の可動突起62とを備えたものである。前記固定突起61の側面には、固定係合面611が形成されており、前記可動突起62の側面には、可動係合面621が形成されている。
【0131】
前記内筒体3は前記蓋体7により蓋がされていない場合には円周方向に対して自由に回動できるが、前記蓋体7により蓋がされている場合には、閉状態から前記ハンドル4を所定角度以上回転させようとしても、前記可動係合面621が前記固定係合面611に対して掛かり留められて、それ以上回転させることができず、前記内側連通孔31と前記外側連通孔21が連通するのが防がれる。
【0132】
より詳細に説明すると、前記蓋体7は、前記外筒体2に対して、前記外筒体2の先端部に設けられたヒンジ8によって円周方向に対して実質的に回動しないように接続されている。したがって、前記蓋体7により蓋がされており、前記可動係合面621と前記固定係合面611が係合し合っている状態では、前記内筒体3も前記蓋体7によって円周方向に回動できないように固定されることになる。
【0133】
なお、前記蓋体7、及び、前記内筒体3が円周方向に対して実質的に回動しないようにするとは、本実施形態でいえば、例えば前記ヒンジ8において円周方向の剛性が前記蓋体7の可動回転方向の剛性と比較して十分に大きく設定しているとも言える。
【0134】
以下では、前記可動係合面621及び前記固定係合面611の詳細についてさらに説明する。
【0135】
前記可動係合面621は、
図2、及び、
図3に示すように前記内筒体3の先端部において少なくも一部が前記外筒体2から外側へ出る部分である可動突起62に形成してある。前記可動突起62は、概略半円等形状に形成してあり、可動係合面621はその円周方向の2つの端面として形成してある。
【0136】
前記可動係合面621は、軸方向に沿って延びており、少なくとも一部が前記外筒体2の前記先端側の先端よりも、該外筒体2の内側に所定距離入り込むようにしてある。言い換えると、前記内筒体3の先端に形成された前記可動突起62の先端が、前記外筒体2の先端から外側へ突出している。一方、前記内筒体3の前記内側連通孔31とは反対側の先端は、前記外筒体2の内側周面に対して接触しない部分が所定距離形成してあり、その端面が前記外筒体2の内の奥まった位置に配置されるようにしてある。
【0137】
一方、前記固定係合面611は
図2、及び、
図3に示すように前記蓋体7の天面側内表面から軸方向に突出させた部分円筒状に突出させた固定突起61における円周方向の2つの端面として形成してある。本実施形態では、前記固定突起61の端面を見た場合に中心角が概略30°程度となるように形成してある。なお、固定突起61の大きさについては固定突起61で受けることになるトルクの大きさ等に応じて例えば固定突起61が折れたり、大きく変形したりしないように適宜設定すればよい。
【0138】
前記固定係合面611の少なくとも一部が、前記可動係合面621と前記外筒体2の内部で係合するように、前記固定突起61は、前記蓋体7の周囲壁と同じ程度の高さまで突出するようにしてある。すなわち、蓋がされた状態において前記固定突起61の先端部分は前記外筒体2の内部に挿入されるようにしてある。
【0139】
前記可動突起62及び前記固定突起61は、
図3に示すように前記開状態では相互に干渉して前記蓋体7により蓋をすることができないようにしてある。言い換えると、
図2に示すように前記ハンドル4により前記内筒体3の内側連通孔31が上向きになっており、前記外側連通孔21と連通していない閉状態では前記可動突起62が前記ヒンジ8側を頂点として配置されるようにしてあり、前記固定突起61は閉状態において前記ヒンジ8とは反対側に配置されるように設けてある。このように構成することにより、閉状態においてのみ前記蓋体7により内筒体3の蓋ができ、かつ、前記可動係合面621と前記固定係合面611とを対向配置させて係合させることができる。したがって、前記ハンドル4により前記内筒体3が閉状態での姿勢になっている場合のみ、前記蓋体7により前記内筒体3の円周方向への回転が生じないようにロックすることができる。
【0140】
より具体的には、
図2に示すように前記ハンドル4を水平方向に向けて閉状態としている場合には前記可動係合面621と前記固定係合面611との間には隙間が形成されるようにして前記蓋体7を前記内筒体3の先端部にかぶせやすくしてある。この状態から前記ハンドル4を基端側から見て反時計周りにまわすと、前記蓋体7において上側を向いている固定係合面611に対して前記可動係合面621が係合し、前記内筒体3の回動が防止される。また、閉状態の場合には前記ハンドル4を基端側から見て時計周りに回そうとすると、前記ハンドル4は前記取り付け部1の上面と干渉し、回せなくなるため開状態となることはない。なお、仮に前記ハンドル4と前記取り付け部1とが干渉しないように作成されていた場合に前記ハンドル4を時計周りに回した場合には、前記内筒体3は90°までは回転できるものの今度は前記蓋体7において水平方向を向いているもう一つの固定係合面611に対して前記可動係合面621の他方が係合することによりこれ以上の内筒体3の回動は防止される。すなわち、いずれの方向に前記内筒体3が回動したとしても前記内側連通孔31と前記外側連通孔21が連通するまでは回転させることができず、閉状態が保たれたままとなる。
【0141】
このように本実施形態のコック100の前記係合構造6によれば、前記係合構造6と、前記ヒンジ8により円周方向に対しては回動しないように固定された前記蓋体7と、を備えているので、前記蓋体7によって前記内筒体3の先端部の蓋をすることで前記固定係合突起53に対して前記可動突起62を係合させ、内筒体3を円周方向に回動しないように固定することができる。
【0142】
また、前記可動係合面621は、少なくとも一部が前記外筒体2の前記先端側の先端よりも、該外筒体2の内側に位置するようにしてあり、前記固定係合面611の少なくとも一部が、前記可動係合面621と前記外筒体2の内部で係合するように、前記固定突起61は、前記蓋体7の周囲壁と同じ程度の高さまで突出するようにしてあるので、前記固定係合面611と当接した前記可動係合面621が、前記固定係合面611を乗り越えてしまい、前記ハンドル4が回動してしまわないために十分な高さにすることができる。
【0143】
さらにこの実施形態では、
図2等に示すように、蓋体7により蓋がされた状態において前記内筒体3の先端部分において前記外筒体2よりも外側へ突出している部分の外側周面が、前記蓋体7の内側面と接触するように蓋体7の厚みを一部厚くしてある。このように構成することで、前記固定突起6に対して前記内筒体3が接触した状態でさらに強く回されても、前記内筒体3の先端突出部分は前記蓋体7に当接しているので外周側に逃げることができない。したがって、前記内筒体3が強く回ろうとしてもロック中は前記固定突起6を乗り越えることができない。
【0144】
したがって、従来のように前記ハンドル4に何らかの原因で力が加わってしまい、前記内筒体3が意図せず回動してしまうことについて別途ストッパ等を用意せずに防止することができる。このため、前記コック100は前記閉状態においても前記内筒体3の回動を防ぐ機能を有しながらも、前記本体部MB及び前記操作部OPの2つの樹脂成型パーツのみで構成することができ、部品点数及び組立工数を減らして、製造コストを低減できる。
【0145】
次に、前記係合構造6についての、その他の実施形態について説明する。
【0146】
例えば、前記固定突起61、及び、前記可動突起62は、前記蓋体7と前記内筒体3にそれぞれ1つずつ設けられたものに限られず、それぞれ複数個ずつあるようにしても良い。前記固定突起61の長さは、前記外筒体2の内部に入り込む長さであれば、前述したものと同様の効果を奏することができる。この他にも、例えば、特開2016−023792号公報に記載したような様々な形状のものを採用することができる。
【0147】
本発明のコック100は前記実施形態に示した使用例に限られず様々なものに用いても構わない。その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、種々の変形や実施形態の組合せを行ってもかまわない。