(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記災害分析装置は、前記災害時において前記需要家設備に供給中の電力が、前記災害時推定需要電力よりも大きい場合、漏電又は地絡が発生している可能性があると判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電力供給制御システム。
前記災害分析装置は、エリアに存在する複数の前記需要家設備の前記災害時推定需要電力の合計に基づいて、前記災害時における前記エリアの災害時推定需要電力を算出し、
前記電力供給制御装置は、推定した前記エリアの災害時推定需要電力に基づいて、前記災害時における前記エリアへの供給電力を制御する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の電力供給制御システム。
前記災害分析装置は、前記エリアに存在する電力流通設備の平常時の状態をモデル化した電力流通設備モデルと、前記電力流通設備の災害時の状態をモデル化した電力流通設備モデルとを対比して前記電力流通設備の破損状態を分析し、
前記電力供給制御装置は、前記電力流通設備の破損状態に基づいて、前記災害時における電力供給経路を制御する、
請求項7に記載の電力供給制御システム。
前記災害分析装置は、前記平常時と前記災害時の前記電力流通設備モデルの状態を学習させた学習器を用いて、前記災害時における前記電力流通設備の破損の割合を算出する、
請求項8に記載の電力供給制御システム。
前記電力供給制御装置は、前記電力供給経路において電力が供給されず、前記災害時推定需要電力が0よりも大きい前記需要家設備を特定し、当該特定した前記需要家設備10に電力を供給できる場所に移動電源車を配車する、
請求項8又は9に記載の電力供給制御システム。
前記平常時及び前記災害時に前記エリアを上空から撮影して画像データを生成する撮像装置と、前記エリアを上空から3Dスキャンして3D点群データを生成するレーザスキャナとをさらに備え、
前記災害分析装置は、前記画像データ及び前記3D点群データを用いて、前記エリアに存在する前記需要家設備モデル及び前記電力流通設備モデルを生成する、
請求項8から10のいずれか1項に記載の電力供給制御システム。
前記エリアの地図と、当該地図上に配置された前記災害時の前記需要家設備モデルと、当該需要家設備モデルの前記災害時推定需要電力とを表示する表示装置、をさらに備える、
請求項7から11のいずれか1項に記載の電力供給制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
(本実施の形態)
<電力供給制御システムの構成>
図1は、本実施の形態に係る電力供給制御システム1の構成例を示す模式図である。
【0014】
発電所2にて発電された電力は、変電所3、送電網4及び配電網5を通じて、所定のエリア6に存在する各需要家設備10に供給され、当該需要家設備10にて使用される。エリア6は、送電系統及び/又は配電系統に基づく管理区画に対応してよい。あるいは、エリア6は、住所に基づく区画に対応してもよいし、所定の面積に基づく区画に対応してもよい。需要家設備10の例として、工場、ビル、商店、住宅等が挙げられる。なお、発電所2、変電所3、送電網4、配電網5、鉄塔及び電柱といった電力を供給する側の設備を、電力流通設備20と称する。
【0015】
電力供給制御システム1は、電力流通設備20から需要家設備10への電力供給を制御するシステムである。電力供給制御システム1は、例えば
図1に示すように、撮像装置31、レーザスキャナ32、災害分析装置100、電力供給制御装置200、及び、表示装置300を含んで構成される。
【0016】
災害分析装置100、電力供給制御装置200、及び、表示装置300は、通信ネットワーク25を通じて、互いにデータを送受信できる。通信ネットワーク25の例として、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、移動体通信網(例えばLTE(Long Term Evolution)、4G、5G)、及び、インターネット網が挙げられる。
【0017】
撮像装置31、及び、レーザスキャナ32は、通信ネットワーク26を通じて、災害分析装置100とデータを送受信できる。通信ネットワーク26の例として、無線LAN、移動体通信網(例えばLTE、4G、5G)、及び、Bluetoothが挙げられる。
【0018】
レーザスキャナ32及び撮像装置31は、ドローンに代表される無人航空機30に備えられる。無人航空機30はエリア6の上空を飛行する。
【0019】
撮像装置31は、エリア6の上空から、当該エリア6に存在する需要家設備10及び電力流通設備20を撮像し、画像データ131(
図2参照)を生成する。
【0020】
レーザスキャナ32は、エリア6の上空から、当該エリア6に存在する需要家設備10及び電力流通設備20を3D(three-dimension)スキャンし、3D点群データ132(
図2参照)を生成する。3D点群データ132は、複数の3D座標点によって構成されるデータであり、当該3D座標点は、レーザスキャナ32から照射されたレーザの物体表面における反射点に対応する。すなわち、3D点群データ132は、物体の3次元形状を示すデータであるとも言える。
【0021】
平常時は、定期的に無人航空機30を飛ばしてエリア6の撮像及び3Dスキャンが行われてよい。災害時は、直ちに無人航空機30を飛ばしてエリア6の撮像及び3Dスキャンが行われると共に、平常時よりも短い頻度で繰り返し撮像及び3Dスキャンが行われてよい。
【0022】
災害分析装置100は、通信ネットワーク26を通じて、撮像装置31及びレーザスキャナ32から画像データ131及び3D点群データ132をそれぞれ受信し、その画像データ131及び3D点群データ132を用いて、エリア6に存在する需要家設備10のモデルデータ(以下、需要家設備モデル133(
図2参照)という)と、エリア6に存在する電力流通設備20のモデルデータ(以下、電力流通設備モデル134(
図2参照)という)とを生成する。モデルデータは、物体の形状、並びに、物体表面の色、質感及び模様等を示すデータである。本実施の形態では、3Dのモデルデータを例に説明するが、モデルデータは、2Dのモデルデータであってもよい。3Dのモデルデータは、3D点群データ132に画像データ131がテクスチャマッピングされたものであってもよい。
【0023】
災害分析装置100は、平常時に撮像及び3Dスキャンされた画像データ131及び3D点群データ132を用いて、平常時の需要家設備モデル133A及び電力流通設備モデル134Aを生成する。災害分析装置100は、災害時に撮像された画像データ131及び3Dスキャンされた3D点群データ132を用いて、災害時の需要家設備モデル133B及び電力流通設備モデル134Bを生成する。災害分析装置100は、平常時の需要家設備モデル133Aと災害時の需要家設備モデル133Bとを対比して、需要家設備10の破損状態を分析する。災害分析装置100は、分析した需要家設備10の破損状態に基づいて、需要家設備10の災害時における需要電力を推定する。この推定された災害時における需要電力を、災害時推定需要電力136(
図2参照)と称する。
【0024】
災害分析装置100は、エリア6に存在する複数の需要家設備10の災害時推定需要電力136の合計に基づいて、エリア6の災害時推定需要電力136(
図2参照)を推定する。
【0025】
災害分析装置100は、エリア6に存在する平常時の電力流通設備モデル134Aと災害時の電力流通設備モデル134Bとを対比して電力流通設備20の破損状態を分析する。なお、災害分析装置100の詳細については後述する。
【0026】
電力供給制御装置200は、各需要家設備10に適切に電力が供給されるように、電力流通設備20を制御する装置である。例えば、電力供給制御装置200は、送電網4及び配電網5に沿って配線されている電力保安用通信網を通じて、需要家設備10に供給中の電力を計測する。
【0027】
電力供給制御装置200は、送電網4及び配電網5に備えられる遮断器を制御して、特定の需要家設備10への電力供給を遮断してよい。
【0028】
電力供給制御装置200は、需要家設備10の需要電力とバランスのとれた供給電力を当該需要家設備10に提供できるように、発電所2及び変電所3の動作を制御してよい。
【0029】
電力供給制御装置200は、災害分析装置100によって算出された需要家設備10の災害時推定需要電力136に基づいて、災害時における当該需要家設備10への供給電力を制御する。これにより、災害時推定需要電力136と供給電力とのバランスが保たれ、災害時であっても安定的に電力を供給できる。なお、電力供給制御装置200の詳細については後述する。
【0030】
電力供給制御装置200は、分析した電力流通設備20の破損状態に基づいて、災害時におけるエリア6の電力供給経路を決定及び制御してよい。
【0031】
表示装置300は、例えば、エリア6の地図データ137(
図2参照)と、当該地図データ137上に配置された災害時の需要家設備モデル133B及び需要家設備モデル133Bと、当該需要家設備モデル133Bの災害時推定需要電力136とを表示する。なお、表示装置300の詳細については後述する。
【0032】
<災害分析装置の構成>
図2は、本実施の形態に係る災害分析装置100の構成例を示すブロック図である。
図2を参照して、災害分析装置100について詳細に説明する。
【0033】
災害分析装置100は、情報格納部101、データ受信部102、モデル生成部103、破損分析部104、需要電力推定部105、及び、情報送受信部106を有する。なお、情報格納部101は、
図8に示すメモリ1002及び/又はストレージ1003によって実現されてよい。データ受信部102及び情報送受信部106は、
図8に示すプロセッサ1001が通信装置1006と協調動作することによって実現されてよい。モデル生成部103、破損分析部104、及び、需要電力推定部105は、
図8に示すプロセッサ1001がメモリ1002と協調動作することによって実現されてよい。
【0034】
情報格納部101は、災害分析装置100が取り扱うデータ及び情報を格納する。
【0035】
データ受信部102は、撮像装置31から当該撮像装置31が撮像及び生成した画像データ131を受信し、情報格納部101に格納する。また、データ受信部102は、レーザスキャナ32から当該レーザスキャナ32が3Dスキャンした3D点群データ132を受信し、情報格納部101に格納する。
【0036】
モデル生成部103は、平常時に撮像された画像データ131及び3Dスキャンされた3D点群データ132を用いて、エリア6に存在する平常時の需要家設備モデル133A及び平常時の電力流通設備モデル134Aを生成する。本実施の形態では、需要家設備モデル133及び電力流通設備モデル134が3Dモデルデータである場合を説明する。しかし、需要家設備モデル133及び電力流通設備モデル134は、2Dモデルデータであってもよい。モデル生成部103は、生成した平常時の需要家設備モデル133A及び平常時の電力流通設備モデル134Bを情報格納部101に格納する。
【0037】
モデル生成部103は、災害時に撮像された画像データ131及び3Dスキャンされた3D点群データ132を用いて、エリア6に存在する災害時の需要家設備モデル133B及び災害時の電力流通設備モデル134Bを生成する。モデル生成部103は、生成した災害時の需要家設備モデル133B及び災害時の電力流通設備モデル134Bを情報格納部101に格納する。
【0038】
破損分析部104は、平常時の需要家設備モデル133Aと災害時の需要家設備モデル133Bとを対比して、需要家設備10の破損状態を分析する。破損分析部104は、分析した需要家設備10の破損状態を破損情報135に書き込む。破損分析部104は、平常時の電力流通設備モデル134Aと災害時の電力流通設備モデル134Bとを対比して、電力流通設備20の破損状態を分析する。破損分析部104は、分析した電力流通設備20の破損状態を破損情報135に書き込む。
【0039】
破損情報135には、設備の破損状態の分析結果として、各エリア6の破損が発生している設備を特定するための情報、及び、当該設備の破損の割合を示す情報が含まれてよい。設備の破損の割合を示す情報は、設備が全壊の場合を100%、設備が半壊の場合を50%、設備が未破損の場合を0%とする情報であってよい。
【0040】
破損分析部104は、破損前及び破損後のモデル133,134を含む複数のモデル133,134と、各モデル133,134の破損の割合とのセットを教師データとして、人工知能に係る学習器を生成してよい。そして、破損分析部104は、その学習器に分析対象のモデル133,134を入力し、当該モデル133,134の破損の割合を推定してよい。人工知能に係る学習器は、CNN(convolutional neural network)の分類器であってよい。
【0041】
例えば、破損分析部104は、複数の画像データ131について、画像データ131が示す需要家設備10の破損の割合を0%から100%の間の10%刻みで分類し、画像データ131とその分類した破損の割合とのセットを教師データとして、CNN(convolutional neural network)の分類器の学習を行う。そして、破損分析部104は、その学習したCNNの分類器に分析対象の画像データ131を入力し、その画像データ131が示す需要家設備10の破損の割合を算出する。例えば、分類器は、
図3Aに示すように、全く破損していない需要家設備10を含む画像データ131が入力された場合、破損の割合を0%として算出してよい。例えば、分類器は、全壊している需要家設備10を含む画像データ131が入力された場合、破損の割合を100%として算出してよい。例えば、分類器は、
図3Bに示すように、70%ほど破損している需要家設備10を含む画像データ131が入力された場合、破損の割合を70%として算出してよい。なお、破損分析部104は、画像データ131に代えて、需要家設備10を3Dスキャンした3D点群データ132を用いて上記の学習器(分類器)を生成してよい。この場合、破損分析部104は、その生成した学習器(分類器)に分析対象の3D点群データ132を入力し、その3D点群データ132が示す需要家設備10の破損の割合を算出してよい。あるいは、破損分析部104は、画像データ131に代えて、需要家設備モデル133を用いて上記の学習器(分類器)を生成してよい。この場合、破損分析部104は、その生成した学習器(分類器)に分析対象の需要家設備モデル133を入力し、その需要家設備モデル133が示す需要家設備10の破損の割合を算出してよい。
【0042】
需要電力推定部105は、平常時の需要家設備10の平均需要電力と、破損情報135が示す需要家設備10の破損状態とに基づいて、需要家設備10の災害時推定需要電力136を算出する。
【0043】
あるいは、需要電力推定部105は、過去の災害時における需要家設備10の破損の割合とその破損状態時の需要電力とのセットを教師データとして、人工知能に係る学習器を生成してよい。そして、需要電力推定部105は、その生成した学習器に、災害時における需要家設備10の破損の割合を入力し、その需要家設備10の災害時推定需要電力136を算出してよい。その場合、需要電力推定部105は、需要家設備10の破損の割合とその破損状態時の需要電力とのセットを回帰分析機能により生成し、その生成したセットを教師データとして、CNNの分類器の学習を行ってよい。そして、需要電力推定部105は、その学習したCNNの分類器を用いて、災害時推定需要電力136を算出してよい。なお、需要家設備10の破損の割合は、破損分析部104が上述したように学習器を用いて算出した値であってよい。
【0044】
需要電力推定部105は、需要家設備10の破損の割合に基づいて、当該需要家設備10の災害時推定需要電力136を算出してよい。例えば、需要電力推定部105は、需要家設備10の破損の割合が50%である場合、平常時の当該需要家設備10の平均需要電力×50%を算出し、その算出した値を当該需要家設備10の災害時推定需要電力136としてよい。
【0045】
需要電力推定部105は、エリア6に存在する各需要家設備10の災害時推定需要電力136に基づいて、当該エリア6の災害時推定需要電力136を算出してよい。例えば、需要電力推定部105は、エリア6に存在する各需要家設備10の災害時推定需要電力136の合計を算出し、その算出した値を当該エリア6の災害時推定需要電力136としてよい。
【0046】
なお、需要電力推定部105は、破損している需要家設備10の中に人が存在するか否かに基づいて、当該需要家設備10の災害時推定需要電力136を算出してよい。例えば、需要電力推定部105は、避難等によって当該需要家設備10の中に人が存在しない場合、需要家設備10の破損の割合が0%よりも大きかったとしても、当該需要家設備10の災害時推定需要電力136を0と算出してもよい。需要電力推定部105は、例えば、人が所持する携帯電話の位置情報を検出することによって、人が需要家設備10の中に存在するか否かを判定してよい。あるいは、需要電力推定部105は、避難所にて身元確認が取れた人の需要家設備10(例えば住居)の中には、すでに人は存在しないと判定してもよい。
【0047】
需要電力推定部105は、算出した災害時推定需要電力136を情報格納部101に格納する。
【0048】
情報送受信部106は、電力供給制御装置200及び表示装置300と、様々な情報を送受信する。例えば、情報送受信部106は、破損情報135、及び、災害時推定需要電力136を、電力供給制御装置200に送信する。例えば、情報送受信部106は、平常時の需要家設備モデル133A、災害時の需要家設備モデル133B、平常時の電力流通設備モデル134A、災害時の電力流通設備モデル134B、破損情報135、及び、災害時推定需要電力136を、表示装置300に送信する。
【0049】
<電力供給制御装置の構成>
図4は、本実施の形態に係る電力供給制御装置200の構成例を示すブロック図である。
図4を参照して、電力供給制御装置200について詳細に説明する。
【0050】
電力供給制御装置200は、情報格納部201、情報送受信部202、供給中電力計測部203、漏電判定部204、電力供給制御部205、及び、移動電源車配車部206を有する。なお、情報格納部201は、
図8に示すメモリ1002及び/又はストレージ1003によって実現されてよい。情報送受信部202は、
図8に示すプロセッサ1001がメモリ1002及び通信装置1006と協調動作することによって実現されてよい。供給中電力計測部203、漏電判定部204、電力供給制御部205、及び、移動電源車配車部206は、
図8に示すプロセッサ1001がメモリ1002と協調動作することによって実現されてよい。
【0051】
情報格納部201は、電力供給制御装置200が取り扱うデータ及び情報を格納する。
【0052】
情報送受信部202は、災害分析装置100及び表示装置300と、様々な情報を送受信する。例えば、情報送受信部202は、災害分析装置100から破損情報135、及び、災害時推定需要電力136を受信し、情報格納部201に格納する。
【0053】
供給中電力計測部203は、電力保安用通信網を通じて、エリア6に供給中の電力(以下、供給中電力232という)を計測し、情報格納部201に格納する。
【0054】
漏電判定部204は、エリア6の供給中電力232と、当該エリア6の災害時推定需要電力136とに基づいて、当該エリア6にて漏電又は地絡が発生している可能性があるか否かを判定する。例えば、漏電判定部204は、エリア6の供給中電力232が、当該エリア6の災害時推定需要電力136よりも大きい場合、当該エリア6において漏電又は地絡が発生している可能性があると判定する。エリア6への供給中電力232が、当該エリア6の災害時推定需要電力136よりも大きい場合、そのエリア6に供給された電力の一部が、需要家設備10ではなく、漏電又は地絡によって消費されている可能性が高いからである。
【0055】
電力供給制御部205は、破損情報135に含まれる電力流通設備20の破損状態に基づいて、送電網4及び配電網5における電力供給経路を決定する。例えば、電力供給制御部205は、破損している電力流通設備20を迂回した電力供給経路を決定する。例えば、電力供給制御部205は、漏電又は地絡が発生していると判定されたエリア6又は需要家設備10への電力供給を遮断した電力供給経路を決定する。電力供給制御部205は、その決定した電力供給経路に従って電力が流れるように、送電網4及び配電網5に設けられている遮断器の開閉を制御する。
【0056】
また、電力供給制御部205は、災害時推定需要電力136に基づいて、発電所2の発電、並びに、送電網4及び配電網5に流す電力を制御する。例えば、電力供給制御部205は、エリア6の災害時推定需要電力136が当該エリア6の平常時の需要電力の50%であった場合、当該エリア6の平常時の平均需要電力の50%が災害時の当該エリア6に供給されるように、発電所2での発電、並びに、送電網4及び配電網5に流す電力を制御する。
【0057】
移動電源車配車部206は、破損情報135が示す電力流通設備20及び需要家設備10の破損状態に基づいて、移動電源車7の配車先を決定する。移動電源車7は、発電能力及び蓄電能力の少なくとも1つを備えた電力を供給可能な車両(例えばトレーラー)であってよい。
【0058】
例えば、移動電源車配車部206は、電力供給経路において電力が供給されず、災害時推定需要電力136が0よりも大きい需要家設備10を特定し、その特定した需要家設備10に電力を供給できる場所に移動電源車7を配車することを決定する。災害時推定需要電力136が0よりも大きい需要家設備10の例として、破損の割合が0%よりも大きく、かつ、人が存在する需要家設備10が挙げられる。
【0059】
なお、移動電源車配車部206は、移動電源車7に限らず、発電能力及び蓄電能力の少なくとも1つを備える船舶又は移動体の行先を決定してもよい。
【0060】
<表示装置の構成>
図5は、本実施の形態に係る表示装置300の構成例を示すブロック図である。
図5を参照して、表示装置300について詳細に説明する。
【0061】
表示装置300は、情報格納部301、情報送受信部302、表示処理部303、及び、操作処理部304を有する。なお、情報格納部301は、
図8に示すメモリ1002及び/又はストレージ1003によって実現されてよい。情報送受信部302は、
図8に示すプロセッサ1001がメモリ1002及び通信装置1006と協調動作することによって実現されてよい。表示処理部303は、
図8に示すプロセッサ1001がメモリ1002、出力装置1005及びGPU1007と協調動作することによって実現されてよい。操作処理部304は、
図8に示すプロセッサ1001がメモリ1002及び入力装置1004と協調動作することによって実現されてよい。
【0062】
情報送受信部302は、災害分析装置100及び電力供給制御装置200と、様々な情報を送受信する。
【0063】
表示処理部303は、災害時の需要家設備モデル133B及び災害時の電力流通設備モデル134Bを2D又は3Dの地図データ137に配置して2D又は3Dのデジタルツインモデル331を生成する。表示処理部303は、生成したデジタルツインモデル331を、ディスプレイに代表される出力装置1005(
図8参照)に表示する。表示処理部303は、デジタルツインモデル331と共に、漏電情報233が示す漏電又は地絡が発生している可能性がある場所を表示してもよい。表示処理部303は、デジタルツインモデル331と共に、需要家設備10及びエリア6の災害時推定需要電力136を表示してもよい。
【0064】
なお、デジタルツインモデル331は、災害分析装置100によって生成されてもよい。この場合、災害分析装置100は、生成したデジタルツインモデル331を表示装置300に送信し、表示装置300の表示処理部303は、災害分析装置100から受信したデジタルツインモデル331を利用してよい。
【0065】
操作処理部304は、ユーザが入力装置1004(
図8参照)に対して行った操作を処理する。入力装置1004の例として、キーボード、マウス、及び、タッチパッドが挙げられる。例えば、操作処理部304は、出力装置1005に表示されたデジタルツインモデル331を、拡大、縮小、視点移動、及び、回転等させる操作を受け付ける。これにより、ユーザは、2D又は3Dのデジタルツインモデル331を様々な視点から見ることができる。
【0066】
<災害分析装置が実行する処理>
図6は、本実施の形態に係る災害分析装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6を参照して、災害分析装置100が実行する処理について説明する。なお、災害分析装置100は、災害が発生した場合、
図6に示す処理を繰り返し実行してよい。
【0067】
S101として、データ受信部102は、撮像装置31から災害が発生したエリア6を撮像した画像データ131を受信し、情報格納部101に格納する。
【0068】
S102として、データ受信部102は、レーザスキャナ32から災害が発生したエリア6を3Dスキャンした3D点群データ132を受信し、情報格納部101に格納する。
【0069】
S103として、モデル生成部103は、3D点群データ132及び画像データ131を用いて、災害時の電力流通設備モデル134Bを生成し、情報格納部101に格納する。
【0070】
S104として、モデル生成部103は、3D点群データ132及び画像データ131を用いて、災害時の需要家設備モデル133Bを生成し、情報格納部101に格納する。
【0071】
S105として、破損分析部104は、平常時の電力流通設備モデル134Aと、S103にて生成した災害時の電力流通設備モデル134Bとを対比して、電力流通設備20の破損状態を分析する。破損分析部104は、分析した電力流通設備20の破損状態(例えば電力流通設備20の破損の割合)を、情報格納部101内の破損情報135に書き込む。
【0072】
S106として、破損分析部104は、平常時の需要家設備モデル133Aと、S104にて生成した災害時の需要家設備モデル133Bとを対比して、需要家設備10の破損状態を分析する。破損分析部104は、分析した需要家設備10の破損状態(例えば需要家設備10の破損の割合)を、情報格納部101内の破損情報135に書き込む。
【0073】
S107として、需要電力推定部105は、平常時の需要家設備10の平均需要電力と、当該需要家設備10の破損状態とに基づいて、当該需要家設備10の災害時推定需要電力136を算出する。需要電力推定部105は、算出した災害時推定需要電力136を、情報格納部101に格納する。
【0074】
<電力供給制御装置が実行する処理>
図7は、本実施の形態に係る電力供給制御装置200が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図7を参照して、電力供給制御装置200が実行する処理について説明する。なお、電力供給制御装置200は、
図7に示す処理を適宜実行してよい。
【0075】
S201として、供給中電力計測部203は、電力保安用通信網を通じて、需要家設備10への供給中電力232を計測し、情報格納部201に格納する。
【0076】
S202として、漏電判定部204は、供給中電力232が災害時推定需要電力136よりも大きいか否かを判定する。
【0077】
供給中電力232が災害時推定需要電力136以下である場合(S202:NO)、S204の処理が実行される。
【0078】
供給中電力232が災害時推定需要電力136よりも大きい場合(S202:YES)、S203として、漏電判定部204は、当該需要家設備10にて漏電又は地絡が発生している可能性があると判定し、当該需要家設備10の位置を漏電情報233に書き込む。そして、S204の処理が実行される。
【0079】
S204として、電力供給制御部205は、エリア6の破損情報135及び漏電情報233に基づいて電力供給経路を決定し、その決定した電力供給経路にて電力が流れるように送電網4及び配電網5の遮断器を制御する。
【0080】
S205として、電力供給制御部205は、エリア6の災害時推定需要電力136に基づいて、当該エリア6への供給電力を決定し、その決定した供給電力が当該エリア6に供給されるように発電所2、変電所3、送電網4及び配電網5を制御する。
【0081】
S206として、移動電源車配車部206は、S204にて決定された電力供給経路では電力が供給されず、かつ、災害時推定需要電力136が0よりも大きい需要家設備10を特定し、その特定した需要家設備10に電力を供給できる場所を、移動電源車7の配車先に決定する。そして、本処理は終了する。
【0082】
<ハードウェア構成>
上述した災害分析装置100、電力供給制御装置200、及び、表示装置300の構成要素は、コンピュータプログラムにより実現されてもよい。
図8は、本実施の形態に係る災害分析装置100、電力供給制御装置200、及び、表示装置300の構成要素をコンピュータプログラムにより実現するコンピュータ1000のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、コンピュータ1000は、情報処理装置と読み替えられてもよい。
【0083】
コンピュータ1000は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、入力装置1004、出力装置1005、通信装置1006、GPU(Graphics Processing Unit)1007、読取装置1008、及び、バス1009を備える。
【0084】
各装置1001〜1008は、バス1009に接続され、バス1009を介して双方向にデータを送受信できる。
【0085】
プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、上述した構成要素を実現する装置である。プロセッサ1001の例として、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、コントローラ、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が挙げられる。
【0086】
メモリ1002は、コンピュータ1000が取り扱うコンピュータプログラム及びデータを記憶する装置である。メモリ1002は、ROM(Real-Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでよい。RAMの例として、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)が挙げられる。
【0087】
ストレージ1003は、不揮発性記憶媒体で構成され、コンピュータ1000が取り扱うコンピュータプログラム及びデータを記憶する装置である。ストレージ1003の例として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。
【0088】
入力装置1004は、プロセッサ1001に入力するデータを受け付ける装置である。入力装置1004の例として、キーボード、マウス、タッチパッド、マイクが挙げられる。
【0089】
出力装置1005は、プロセッサ1001が生成したデータを出力する装置である。出力装置1005の例として、ディスプレイ、スピーカーが挙げられる。
【0090】
通信装置1006は、サーバ又は端末に代表される他の装置と、通信ネットワーク25、26を介して、データを送受信する装置である。通信装置1006は、データを送信する送信部とデータを受信する受信部とを含んでよい。通信装置1006は、有線通信及び無線通信の何れに対応してもよい。有線通信の例として、Ethernet(登録商標)が挙げられる。無線通信の例として、IEEE802.11(WiFi)、Bluetooth、LTE(Long Term Evolution)、4G、5Gが挙げられる。
【0091】
GPU1007は、画像描写を高速に処理する装置である。なお、GPU1007は、AI(Artificial Intelligence)に関する処理(例えばディープラーニング)に利用されてもよい。
【0092】
読取装置1008は、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)又はUSBメモリといった外部の記録媒体からデータを読み取る装置である。
【0093】
なお、災害分析装置100、電力供給制御装置200、及び、表示装置300の構成要素は、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらの構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、その技術を用いて構成要素の集積化を行ってもよい。
【0094】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は以下のように表現できる。
【0095】
<表現1>
本開示に係る、電力の供給を制御する電力供給制御システム1は、災害分析装置100、及び、電力供給制御装置200を備える。災害分析装置100は、需要家設備10の平常時の状態をモデル化した需要家設備モデル133Aと、需要家設備10の災害時の状態をモデル化した需要家設備モデル133Bとを対比して需要家設備10の破損状態を分析し、需要家設備10の破損状態に基づいて、災害時における需要家設備10の需要電力の推定値である災害時推定需要電力136を算出する。電力供給制御装置200は、需要家設備10の災害時推定需要電力136に基づいて、災害時における需要家設備10への供給電力を制御する。
【0096】
災害によって破損した需要家設備10の需要電力は、平常時の需要家設備10の需要電力とは異なるため、災害時の電力需給バランスは平常時と異なる。上記の構成によれば、需要家設備10の災害時推定需要電力136に基づいて供給電力を制御するので、災害時においても需要家設備10に安定的に電力を需給できる。
【0097】
<表現2>
表現1に記載の電力供給制御システム1において、災害分析装置100は、需要家設備10の平常時の需要電力と災害時における需要家設備10の破損の割合とに応じて、災害時推定需要電力136を算出してよい。
【0098】
このように、需要家設備10の破損の割合に応じて災害時推定需要電力136を算出することにより、災害時推定需要電力136の推定精度が向上する。
【0099】
<表現3>
表現2に記載の電力供給制御システム1において、災害分析装置100は、平常時と災害時の需要家設備モデル133A、133Bの状態を学習させた学習器を用いて、災害時における需要家設備10の破損の割合を算出してよい。
【0100】
このように、平常時と災害時の需要家設備モデル133A、133Bの状態を学習させた学習器を用いることにより、災害時推定需要電力136の推定精度が向上する。
【0101】
<表現4>
表現1から3のいずれか1つに記載の電力供給制御システム1において、災害分析装置100は、需要家設備の破損の割合から災害時推定需要電力136を算出してよい。
【0102】
これにより、災害時推定需要電力136を容易に算出できる。
【0103】
<表現5>
表現1から4のいずれか1つに記載の電力供給制御システム1において、災害分析装置100は、災害時において需要家設備10に供給中の電力が、災害時推定需要電力136よりも大きい場合、漏電又は地絡が発生している可能性があると判定してよい。
【0104】
これにより、微小な漏電又は地絡の発生を検出することができる。
【0105】
<表現6>
表現5に記載の電力供給制御システム1において、電力供給制御装置200は、漏電又は地絡が発生している可能性があると判定された需要家設備10への電力供給を遮断してよい。
【0106】
当該遮断により、導電又は地絡による火災等の発生を阻止できるので、災害時における安全性が向上する。
【0107】
<表現7>
表現1から6のいずれか1つに記載の電力供給制御システム1において、災害分析装置100は、エリア6に存在する複数の需要家設備10の災害時推定需要電力136の合計に基づいて、災害時におけるエリア6の災害時推定需要電力136を算出し、電力供給制御装置200は、推定したエリア6の災害時推定需要電力136に基づいて、災害時におけるエリア6への供給電力を制御してよい。
【0108】
このように、エリア6の災害時推定需要電力136に基づいて供給電力を制御することにより、災害時においてもエリア6に安定的に電力を需給できる。
【0109】
<表現8>
表現7に記載の電力供給制御システム1において、災害分析装置100は、エリア6に存在する電力流通設備20の平常時の状態をモデル化した電力流通設備モデル134Aと、電力流通設備20の災害時の状態をモデル化した電力流通設備モデル134Bとを対比して電力流通設備20の破損状態を分析し、電力供給制御装置200は、電力流通設備20の破損状態に基づいて、災害時における電力供給経路を制御してよい。
【0110】
災害によって破損した電力流通設備20は電力を流通させることができない。上記の構成によれば、電力流通設備20の破損状態を考慮して電力供給経路を制御するので、災害時においてもより安全かつ安定的に電力を供給できる。
【0111】
<表現9>
表現8に記載の電力供給制御システム1において、災害分析装置100は、平常時と災害時の電力流通設備モデル134A、134Bの状態を学習させた学習器を用いて、災害時における電力流通設備20の破損の割合を算出してよい。
【0112】
このように、平常時と災害時の電力流通設備モデル134A、134Bの状態を学習させた学習器を用いることにより、災害時における電力流通設備20の破損の割合の算出精度が向上する。
【0113】
<表現10>
表現8又は9に記載の電力供給制御システム1において、電力供給制御装置200は、電力供給経路において電力が供給されず、災害時推定需要電力136が0よりも大きい需要家設備10を特定し、当該特定した需要家設備10に電力を供給できる場所に移動電源車7を配車してよい。
【0114】
これにより、電力需要が存在するにも関わらず、電力供給経路にて電力を供給できない需要家設備10に対して、移動電源車7から電力を供給することができる。
【0115】
<表現11>
表現8から10のいずれか1つに記載の電力供給制御システム1は、平常時及び災害時にエリア6を上空から撮影して画像データ131を生成する撮像装置31と、エリア6を上空から3Dスキャンして3D点群データ132を生成するレーザスキャナ32とをさらに備えてよい。災害分析装置100は、画像データ131及び3D点群データ132を用いて、エリア6に存在する需要家設備モデル133及び電力流通設備モデル134を生成してよい。
【0116】
これにより、平常時及び災害時における、エリア6に存在する需要家設備モデル133及び電力流通設備モデル134を生成できる。
【0117】
<表現12>
表現7から11のいずれか1つに記載の電力供給制御システム1は、エリア6の地
図137と、当該地
図137上に配置された災害時の需要家設備モデル133Bと、当該需要家設備モデル133Bの災害時推定需要電力136とを表示する表示装置300をさらに備えてよい。
【0118】
これにより、ユーザは、地
図137上に配置された各需要家設備10の災害時推定需要電力136を視認できる。
【0119】
<表現13>
本開示に係る、災害を分析する災害分析装置100は、需要家設備10の平常時の状態をモデル化した需要家設備モデル133Aと、需要家設備10の災害時の状態をモデル化した需要家設備モデル133Bとを対比して需要家設備10の破損状態を分析する破損分析部104と、需要家設備10の破損状態に基づいて、災害時における需要家設備10の需要電力の推定値である災害時推定需要電力136を算出する需要電力推定部105と、を備える。
【0120】
災害によって破損した需要家設備10の需要電力は、平常時の需要家設備10の需要電力とは異なるため、災害時の電力需給バランスは平常時と異なる。上記の構成によれば、需要家設備10の災害時推定需要電力136を算出できる。よって、当該災害時推定需要電力136を用いて供給電力を制御することにより、災害時においても需要家設備10に安定的に電力を需給できる。
【0121】
<表現14>
本開示に係る、電力供給制御システム1によって電力の供給を制御する電力供給制御方法では、需要家設備10の平常時の状態をモデル化した需要家設備モデル133Aと、需要家設備10の災害時の状態をモデル化した需要家設備モデル133Bとを対比して需要家設備10の破損状態を分析し、需要家設備10の破損状態に基づいて、災害時における需要家設備10の需要電力の推定値である災害時推定需要電力136を算出し、需要家設備10の災害時推定需要電力136に基づいて、災害時における前記需要家設備10への供給電力を制御する。
【0122】
災害によって破損した需要家設備10の需要電力は、平常時の需要家設備10の需要電力とは異なるため、災害時の電力需給バランスは平常時と異なる。上記の方法によれば、需要家設備10の災害時推定需要電力136を算出できる。よって、当該災害時推定需要電力136を用いて供給電力を制御することにより、災害時においても需要家設備10に電力を安定的に需給できる。
【0123】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【解決手段】電力の供給を制御する電力供給制御システムは、需要家設備の平常時の状態をモデル化した需要家設備モデルと、需要家設備の災害時の状態をモデル化した需要家設備モデルとを対比して需要家設備の破損状態を分析し、需要家設備の破損状態に基づいて、災害時における需要家設備の需要電力の推定値である災害時推定需要電力を算出する災害分析装置と、需要家設備の災害時推定需要電力に基づいて、災害時における需要家設備への供給電力を制御する電力供給制御装置とを備える。